(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】低温低流量の小型噴霧ノズルアセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
B05B 1/02 20060101AFI20221219BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20221219BHJP
B60S 1/46 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B05B1/02
B08B3/02 G
B60S1/46 Z
(21)【出願番号】P 2020540429
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(86)【国際出願番号】 US2019014746
(87)【国際公開番号】W WO2019147668
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-20
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516300944
【氏名又は名称】ディエルエイチ・ボウルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】dlhBOWLES Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ,チュンリン
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/070246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-3/18
7/00-9/08
B08B3/00-3/14
B60S1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低流量の流体節約せん断ノズルアセンブリであって、
2つの対向するパワーノズルを有するインサート部材であって、前記2つの対向するパワーノズルが、前記インサート部材に形成された出口オリフィス若しくはスロート及び相互作用領域と連通するように構成されており、前記出口オリフィス若しくはスロートは、前記2つの対向するパワーノズルが前記相互作用領域と合流する場所とは反対側の
前記インサートに形成された前記相互作用領域の端部に配置されている、インサート部材と、
前記インサート部材を受け入れる入口軸に沿って内部容積を取り囲むノズルハウジングであって、横向きの側壁開口部を含むノズルハウジングと
を含み、
前記2つの対向するパワーノズルは、前記インサート部材及び前記ノズルハウジングによって画定されており、前記2つの対向するパワーノズルは、加圧流体を受け取るように構成され、前記加圧流体が前記2つの対向するパワーノズルに流れ込み、それによって、第1の流体流及び第2の流体流が生成され、前記2つの対向するパワーノズルによって、前記相互作用領域に照準を定められ、
前記横向きの側壁開口部が、前記インサート部材の前記相互作用領域と連通しており、前記横向きの側壁開口部が、前記ノズルハウジングの側壁を通して画定され、前記ノズルハウジングの前記入口軸に対してほぼ垂直な平面上に均一な噴霧ファンを生成し、噴出し、又は可能にし、前記横向きの側壁開口部から放射する、低流量の流体節約せん断ノズルアセンブリ。
【請求項2】
前記相互作用領域は、実質的に矩形であり、前記インサート部材内の側壁によって画定され、前記側壁が、平坦な床面から上方に突出している、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記横向きの側壁開口部は、噴霧軸に沿って整列されており、前記噴霧軸は、前記ノズルハウジングの前記入口軸に対してほぼ垂直であり、前記インサート部材及び前記ノズルハウジングが、前記入口軸に沿って延びている。請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項4】
前記インサート部材の遠位端に隣接する少なくとも1つの流体通路に加圧流体が導入され、前記2つの対向するパワーノズル及び前記相互作用領域は、前記インサート部材の近位端に隣接して配置され、前記遠位端及び前記近位端が、前記入口軸に沿って整列するように構成されている、請求項3に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項5】
前記インサート部材は、前記ノズルハウジングの底部開口部内に受入れられ、前記インサート部材の周りで流体が前記ノズルハウジングの前記内部容積に流入することを可能にする、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項6】
前記相互作用領域に対する前記2つの対向するパワーノズルの位置は、上部クリアランス寸法及び下部クリアランス寸法を含み、前記上部クリアランス寸法は、前記下部クリアランス寸法よりも大きい、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項7】
前記インサート部材の前記相互作用領域が、部分的に第1の側壁、第2の側壁、及び床面によって画定されている、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の側壁及び第2の側壁が、互いに対向しており、かつ、実質的に平坦である、請求項
7に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項9】
前記ノズルハウジングは
、5.6mmの直径サイズを有するドーム型の先端を含む、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項10】
前記ノズルアセンブリは、25psiのとき
に150mL/分
~300mL/分の低流速で、前記ノズルハウジングの前記入口軸に対して概ね垂直な平面か
らマイナス10度か
らプラス10度までの間の照準角を有する均一な噴霧ファンを噴出し、かつ
、1CPから最
大25CPまでの粘度の液体の噴霧を、確実に開始することができる、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項11】
流体通路を画定する前記特徴は、前記インサート部材の外面及び前記ノズルハウジングの内面に沿って画定されている、請求項4に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項12】
前記インサート部材は、前記インサート部材の外面に沿って形成された第1の横向きの入口及び第2の横向きの入口をさらに含み、前記第1の横向きの入口及び前記第2の横向きの入口が、前記2つの対向するパワーノズルと連通している、請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリ。
【請求項13】
低流量の小型せん断ノズルアセンブリを組み立てる方法であって、
入口軸に沿って内部容積を取り囲むノズルハウジングであって、前記ノズルハウジングの側壁に沿って開口部を含むノズルハウジングを設けるステップと、
2つの対向するパワーノズルを有する細長いインサート部材を形成するステップであって、前記2つの対向するパワーノズルが、前記細長いインサート部材の相互作用領域と連通しており、前記相互作用領域は、前記2つの対向するパワーノズルが前記相互作用領域と合流する場所とは反対側の
前記インサートに形成された前記相互作用領域の端部に配置された出口オリフィス若しくは出口スロートを有している、細長いインサート部材を形成するステップと、
前記ノズルハウジングの前記内部容積内に、前記インサート部材及び前記ノズルハウジングによって少なくとも1つの流体通路が画定された前記インサート部材を受入れるステップと、
前記インサート部材の前記相互作用領域を前記ノズルハウジングの前記開口部と整列させるステップと
を含み、
前記流体通路が、前記相互作用領域と連通する2つの対向するパワーノズルと連通しており、前記ノズルハウジングの前記入口軸に対してほぼ垂直な平面上に均一な噴霧ファンを噴出し、前記開口部から放射する、低流量の小型せん断ノズルアセンブリを組み立てる方法。
【請求項14】
前記インサート部材を形成するステップは、上部クリアランス寸法及び下部クリアランス寸法を含むように前記2つの対向するパワーノズルを前記相互作用領域に対して位置決めすることをさらに含み、前記上部クリアランス寸法は、前記下部クリアランス寸法よりも大きい、請求項
13に記載の低流量の小型せん断噴霧ノズルアセンブリを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年1月23日に出願された「COLD WEATHER LOW FLOW MINIATURESPRAY NOZZLE ASSEMBLY AND METHOD」と題する米国仮出願第62/620,826号の優先権と利益を主張するものであり、この米国仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この出願は、2018年3月12日に出願された「LOW-FLOW MINIATURE FLUIDICSPRAY NOZZLE ASSEMBLY AND METHO」と題する米国実用特許出願第15/759,242号の一部継続出願でもあり、この米国実用特許出願は、2016年11月16日に出願された米国仮出願第62/423,016号に対する優先権を主張して2017年11月16日に出願された国際出願第PCT/US2017/62044号の国内段階移行出願である。
【0002】
この出願は、出願人が共通に所有する次の特許出願にも関連している。すなわち、「Micro-sized Structure andConstruction Method for Fluidic Oscillator Wash Nozzle」と題するPCT出願第PCT/US16/57762号(現在、国際公開第WO2017/070246号)、「Compact Split-lip Shear WasherNozzle」と題するPCT出願第PCT/US15/45429号(現在、国際公開第WO2016/025930号)、及び「"Integrated automotivesystem, compact, low profile nozzle assembly, compact fluidic circuit andremote control method for cleaning wide-angle image sensor's exterior surface」と題する米国特許出願第15/303,329号(現在、米国出願公開第US2017/0036650号)である。これらの開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
開示の分野
本開示は、非常に小さい、すなわち小型の噴霧ノズルアセンブリに関し、特に、外部カメラレンズ表面のような外部表面をクリーニングするための小型の自動車用ウォッシャーノズルに関する。
【背景技術】
【0004】
フルイディック型ウォッシャーノズルは、高効率(広い有効到達範囲、高速で低流量)の噴霧性能でよく知られている。ただし、フルイディックノズルの主な制限は、パッケージサイズを十分に大きくしなければならない点である(例えば、ほとんどの流体回路では、供給口から出口まで少なくとも6mmが必要である)。
【0005】
一部の応用事例では、使用可能な空間が非常に限られていることから、パッケージサイズが、大きな問題になる。ジェット噴霧ノズルは、そのような応用事例で一般的に使用された。噴霧パターンが狭いことから、ジェット噴霧ノズルは、ガラス又は外部レンズの表面をクリーンアップするために、比較的高い流速又は比較的長い持続時間を必要とする。ジェットノズル式噴霧ノズルは、フルイディックノズルよりも小さいパッケージサイズを有するが、効果的な噴霧パターンを有していない。
【0006】
一部のせん断ノズルは、洗浄に有用な噴霧を生成するように作られ、ノズルハウジング内のボールインサートを使用して調整可能に作られる場合があるが、サイズの制約が、問題として残っている。自動車の設計者は、自動車のウォッシャーノズル用の非常に小型のノズルアセンブリを望んでいるが、同時に、均一な噴霧分布も望んでいる。自動車のOEM事業者は、非常に経済的で多用途のノズルも、望んでいる。例えば、外部トリムアセンブリは、CHMSLライトアセンブリのような多くの機能を組み合わせることが多い。CHMSLライトアセンブリは、外部カメラのような他の機能を含むことがあるが、外部トリムに関する設計者のビジョンを維持する場合、こうしたカメラのレンズのクリーニングは、問題となる。
【0007】
せん断ノズルは、小さなパッケージサイズの応用事例でときどき使用されることがあり、噴霧ファン(噴霧の扇風)が供給穴の軸と整列された幾何配置である場合は、良好な性能を発揮するが、噴霧ファンが供給穴の軸に対して垂直な幾何配置である場合は、十分な性能を発揮しない。他の課題としては、せん断ノズルを含む設計案に対する主要な制約となる噴霧の照準や金型の複雑化が挙げられ、高粘度の冷たい液体を噴霧する場合のウォッシャー液噴霧性能も、同様に課題となる。
図1A~
図1Gは、車両の窓洗浄システムやカメラ洗浄システムの分野における従来技術と、出願人の従来の小型ウォッシャーノズル部材100のうちの1つを示している(上で組み込まれた参考文献から)。
【0008】
低温時の噴霧性能が、もう一つの難しい課題であるが、小型ノズルアセンブリにおける低温時のウォッシャー液噴霧生成の問題を解決することは、特に車載カメラ用ウォッシャーノズルの応用事例にとって、非常に望ましい目的である。低温条件下では、カメラのレンズや同様のセンサーの表面から汚れ、氷、塩の汚れを取り除くために、車両のカメラレンズ上での良好な噴霧到達範囲が、非常に重要である。
【0009】
したがって、実用的で、経済的で、容易に製造でき、非常に小型の自動車カメラ用レンズウォッシャーノズル構成及びクリーニング方法が、必要とされている。
【0010】
概要
したがって、本開示の一つの目的は、低温下で低流量高粘度の望ましい噴霧配向機能を、非常に小型(例えば、直径5mm)のノズルアセンブリ噴霧ヘッドに組み込む新しい方法を提供することにより、上記の困難を克服することである。
【0011】
本開示によれば、新しい小さな(例えば、直径5mmの)せん断ノズルは、小さな噴霧ヘッドの側面から所望の噴霧を提供するように最適化される。本開示のせん断ノズルの幾何形状は、優れた低温性能と容易な製造可能性を実現しながら、ウォッシャー液が低流速であるときに供給穴の軸に対して垂直な均一な噴霧ファンを生成する。さらに、このノズル設計は、1つの単一ノズルから2つの異なる向きのファンを噴霧することができる。
【0012】
クリーニングの応用事例向けの低流量の小型噴霧ヘッド設計は、カメラレンズの自動洗浄の応用事例に特に適しており、単一方向の噴霧ノズルの場合は直径約5mm以下、複数の噴霧を有するノズルの場合は直径約8mm以下の、小型噴霧ノズルヘッドを含む。ウォッシャー液は、ノズルハウジングの底から、垂直内部管腔の流動軸に沿って供給され、その後、加圧された液は、2つの流れに分かれる。これらの2つの流れは、2つのパワーノズル入口に供給され、そこで流れは90°回転され、相互作用領域内で互いに向かい合う2つのジェットになる。2つの真っ直ぐに向かい合うジェットによって、均一なストリームラインが生成され、それらがノズルスロートで合流し、円筒形ノズルヘッドの軸に対して垂直な平面上の均一な噴霧ファンになる。この流体回路設計によれば、低温(すなわち、約-4°F以下)を含むさまざまな温度時に50%エタノールを用いて、小型サイズの低流速ノズルを一貫して低流速(例えば、約25CPの粘度の場合、25psiのときに約150mL/分~約300mL/分の流速、又は、25psi以上のときに約250mL/分の流速)で動作させることが可能となる。このノズル設計によれば、1つの単一ノズルから2以上の異なる向きの噴霧ファンを生成(例えば、反対方向にファンを噴霧)することが可能である。
【0013】
本開示のノズルアセンブリ方法は、二部品からなるノズルアセンブリにおいて、可変噴霧ファンを有する直径5mmの噴霧ノズルを組み立てるための新しい方法を提供する。噴霧ファン角度は、約15°~約70°の範囲内になるように選択される場合がある。噴霧照準角は、約-15°~約+15°の範囲内になるように選択される場合がある。このシステムは、25psiのときに、約200mL/分~約600mL/分のウォッシャー液流速で、良好に動作する。本開示のノズルアセンブリ及び方法は、低流速(例えば、約25CPの粘度の場合、25psiのときに約150mL/分~約300mL/分の流速、又は、25psi以上のときに約250mL/分の流速)で有効に動作することが可能なレンズ洗浄システムを提供する。噴霧ノズルは、低温(すなわち、約-4°F以下)を含むさまざまな温度で、高粘度のウォッシャー液(例えば、50%エタノール)を用いて非常に良好に機能する。
【0014】
本開示のノズルアセンブリ及び方法は、ハウジング部材とインサート部材との両方が、荒っぽい大量生産向けに経済的に製造可能な二部品からなる噴霧ノズルアセンブリを含む。本開示のノズルアセンブリ及び方法は、1つのノズル噴霧を有するように実施されてもよいし、2以上の様々な向きの噴霧ファンを有するように実施されてもよい。マルチ噴霧の実施形態では、1つのノズルアセンブリが、発散する、すなわち、反対方向を向いた噴霧軸に沿って照準を定められた2つの別々の噴霧ファンを生成することにより、別々の異なる向きの(例えばカメラレンズ)表面をクリーニングするように構成される場合がある。
【0015】
本開示の上記及びさらなる目的、特徴及び利点は、特に添付の図面と併せて、その特定の実施形態に関する以下の詳細な説明を検討したときに、明らかになるであろう。添付の図面において、様々な図における類似の参照符号は、類似の構成要素を指し示すために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】米国特許第7,965,336号に開示されているような支援カメラシステムを備えた車両を示す図である。
【
図1B】米国特許第7,965,336号に開示されているような支援カメラシステムを備えた車両を示す図である。
【
図1C】従来技術による、撮像システムの外部対物レンズの表面をクリーニングするように構成されたノズルアセンブリを備えた自動車の撮像システムを示す概略図である。
【
図1D】従来技術による、自動車の応用事例で使用するための小型スプリットリップせん断ウォッシャーノズルを示す図である。
【
図1E】従来技術による、自動車の応用事例で使用するための小型スプリットリップせん断ウォッシャーノズルを示す図である。
【
図1F】従来技術による、自動車の応用事例で使用するための小型スプリットリップせん断ウォッシャーノズルを示す図である。
【
図1G】従来技術による、自動車の応用事例で使用するための小型スプリットリップせん断ウォッシャーノズルを示す図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による噴霧ノズル、及び
図2AのA-A線に沿った側断面図である。
【
図2B】
図2AのB-B線に沿った平断面図であり、本開示の一実施形態による、噴霧ノズルの相互作用領域、及びハウジングから分離されたインサート部材を示している。
【
図3】
図3(A)は、本開示の一実施形態による
図2AのB-B線に沿った拡大平断面図である。
図3(B)は、本開示の一実施形態による
図2AのA-A線に沿った拡大断面図である。
【
図4A】室温で動作し、25psiのときに約250ml/分のノズル流速を有する、本開示の一実施形態による噴霧ノズルの平面図を示す写真である。
【
図4B】室温で動作し、25psiのときに約250ml/分のノズル流速を有する、本開示の一実施形態による噴霧ノズルの側面図を示す写真である。
【
図4C】約-4度Fで動作し、25psiのときに約250ml/分のノズル流速を有し、50%エタノール液を噴霧する、本開示の一実施形態による噴霧ノズルの平面図を示す写真である。
【
図5A】
図5Aのノズルが2以上の噴霧ファンを生み出す能力を有する場合の、本開示の他の実施形態による噴霧ノズルの斜視図である。
【
図6A】本開示の他の実施形態による、噴霧ノズル用インサートの断面斜視図である。
【
図6B】本開示の他の実施形態による、噴霧ノズル用インサートの反対側の断面図である。
【
図6C】噴霧ノズル用のインサートの上面斜視図である。
【
図7】本開示による噴霧ノズルの一実施形態を示す断面図である。
【
図8A】動作中の本開示の一実施形態によるマルチ噴霧ノズルアセンブリを示す図である。
【
図8B】動作中の本開示の一実施形態によるマルチ噴霧ノズルアセンブリを示す図である。
【
図8C】動作中の本開示の一実施形態によるマルチ噴霧ノズルアセンブリを示す図である。
【
図9】本開示の一実施形態によるノズルアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示の詳細な説明
次に、本開示の例示的実施形態を詳細に参照する。本開示の例は、添付の図面に示されている。本開示のそれぞれの範囲から外れることなく、他の実施形態を使用することができ、構造的及び機能的な変更を行うことができることを理解されたい。さらに、本開示の範囲から外れることなく、様々な実施形態の特徴を、組み合わせたり変更したりすることができる。したがって、以下の説明は、例示としてのみ提示されており、例示の実施形態に対して行うことができ、それでもなお本開示の思想及び範囲内にある様々な代替及び修正を、決して限定しようとするものではない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「例」及び「例示的」という語は、実例又は例示を意味している。「例」又は「例示的」という語は、重要又は好ましい局面又は実施形態を示すものではない。「または」という語は、文脈からそうではないと示唆されない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例として、「AはB又はCを使用する」という句には、任意の包括的順列(例えば、がBを使用すること、AがCを使用すること、又はAがBとCの両方を使用すること)が含まれる。
【0019】
全図を通して、類似の参照符号が使用される。したがって、アセンブリの機能がすべての図で同一である場合であっても、図によっては、選択された要素のみが示される。同様に、本開示の特定の態様がそれらの図に示されているが、以下で説明されるように、他の態様及び配置も可能である。次に、本開示のノズルアセンブリ及び小型噴霧ノズル部材の詳細な説明を参照すると、添付の図(
図2A~
図10)は、本開示の様々な具体的実施形態を示している。
【0020】
一例として、本開示の噴霧ノズルシステム及び方法の具体的な例示的実施形態では、非常に小型のノズルアセンブリ200が例示され、そこでは、そのようなシステムが、照準を定められた1以上の噴霧ファン又はパターンを生成する。本開示の小型(例えば、直径5mm)のせん断ノズルアセンブリ200は、小さな噴霧ヘッドの側面から所望の噴霧を提供するように最適化される。一実施形態において、本開示の噴霧ヘッドは、任意の適当な高さを有し、例えば、非限定的な一実施形態では、約4.6mmの高さ又は約3mmの高さを含む、約5mm以下の高さを有する。本開示のせん断ノズルの幾何形状は、優れた低温性能と容易な製造可能性を実現しながら、ウォッシャー液の低流速時に、噴霧軸に沿って均一な噴霧ファン(
図4A~
図4Cを参照)を、流体入口又は供給穴(
図3(A)~
図3(C)を参照)の中心管腔軸に対して垂直な噴霧ファン平面内に生成する。代替実施形態では、
図5A~
図8Cに示されるように、本開示の他の実施形態によるノズル設計は、1つの単一ノズルから2つの異なる向きのファンを噴霧することができるマルチ噴霧ノズルアセンブリ300として構成できるものとして開示される。クリーニング(特に、カメラレンズの洗浄)の応用事例向けの低流量の小型噴霧ヘッド設計は、一実施形態において、直径約5mm以下の小型噴霧ノズルヘッド200を含む。ウォッシャー液(又は何らかの他の流体、液体、さらには空気)は、ノズル200の底部からノズルアセンブリの管腔中心流動軸202に沿って供給され、その後、この液は、2つの流れ204a、204bに分かれる。次に、流れ204a及び204bは、第1のパワーノズル220a及び第2のパワーノズル220bに供給される。これらのパワーノズル、すなわち入口220a及び220bは、流れを90°回転させる管腔又は連通路を画定している。これによって、互いに対向する、すなわち、互いに向かい合う2つのジェットが生成される。これらの流れは、相互作用領域230内で互いに合流し、すなわち相手方と衝突する。
図3(A)及び
図3(B)の2つの図から最もよくわかるように、これら2つの衝突する、すなわち真っ直ぐに向かい合うジェットによって均一なストリームラインが生成され、それらがノズルスロート部又は出口オリフィス240で合流し、均一な噴霧ファン208になる。噴霧ファン208は、中心噴霧軸に沿って、円筒形ノズルヘッドの入口管腔の中心流動軸に対して垂直な平面に投影される。請求項1に記載のせん断ノズルアセンブリでは、相互作用領域に対するパワーノズルの位置が、上部クリアランス寸法及び下部クリアランス寸法を含み、上部クリアランス寸法は、下部クリアランス寸法よりも大きい。インサート部材の横向きスロートは、第1の側壁210A、第2の側壁210B、床面212A及び屋根面212Bによって部分的に画定されている。第1の側壁と第2の側壁は、互いに対向しており、かつ実質的に平坦である。また、床面と屋根面は、互いに対向しており、かつ実質的に平坦であってよい。ノズルハウジングは、約5.6mmの直径サイズを有するドーム型の先端を含む場合がある。
【0021】
この流体回路設計によれば、低温(すなわち、約-4°F以下)を含むさまざまな温度で、最大で約50%のエタノールを含む液体系又は水性系を用いて、小型サイズの低流速ノズルを、一貫して低流速(例えば、約1~25CPの粘度で、25psiのときに約150mL/分~約300mL/分の流速、又は、25psi以上のときに約250mL/分の流速)で動作させることが可能となる。ノズルアセンブリ200の構成に変更を加えることで、同じ原理で動作し、1つの単一ノズルアセンブリ(
図5A~
図8Cに示されるようなノズル300を参照)から2以上の異なる向きの噴霧ファン(例えば、反対方向に噴霧されるファン)を生成することが可能な2噴霧の実施形態(例えば、ノズルアセンブリ300を参照)を得ることができる。
【0022】
本開示のノズルアセンブリ方法は、二部品からなるノズルアセンブリにおいて、可変噴霧ファンを有する小型(例えば、直径約5mm)の噴霧ノズルを組み立てるための新規な方法を提供する。噴霧ファン角度は、約15°~約70°の範囲内になるように選択される場合がある。噴霧照準角は、約-15°~約+15°の範囲内になるように選択される場合がある。一実施形態において、本開示のシステムは、25psiのときに、約200mL/分~約600mL/分のウォッシャー液流速で、良好に動作する。本開示のノズルアセンブリ及び方法は、低流速(例えば、約25CPの粘度で、25psiのときに約150mL/分~約300mL/分の流速、又は、25psi以上のときに約250mL/分の流速)で有効に動作することが可能なレンズ洗浄システムを提供する。噴霧ノズルは、低温(すなわち、約-4°F以下)条件下で、高粘度のウォッシャー液(例えば、最大で約50%のエタノールを含む液体)を用いて非常に良好に機能する。
【0023】
本開示のノズルアセンブリ及び方法は、ハウジング部材206とインサート部材216(
図2Aを参照)との両方が、粗っぽい大量生産(例えば、プラスチック材料からの成形、3D印刷、射出成形など)向けに経済的に製造可能である、二部品からなる噴霧ノズルアセンブリ200を含む。本開示のノズルアセンブリ及び方法は、1つのノズル噴霧を有するように実施されてもよいし、2以上の様々な向きの噴霧ファンを有するように実施されてもよい。
図8A~
図8Cに示されるように、ノズルアセンブリ300は、発散する、すなわち、反対方向を向いた噴霧軸に沿って照準を定められた第1及び第2の別々の噴霧ファンを生成することにより、第1及び第2の個別かつ異なる向きのカメラレンズ表面をクリーニングするように構成される場合がある。
【0024】
図3(A)及び
図3(B)に戻ると、動作時には、第1及び第2の入口、すなわちパワーノズル220a及び220bからの2つの流れは、互いに反対方向から相互作用領域230に入る。衝突、すなわち激しくぶつかり合う流れは、相互作用領域の中心噴霧軸に沿って、出口オリフィス又はスロート240に向かって遠位方向に流れるせん断形ストリームラインを生成することにより、平坦な扇形噴霧208を形成する(
図4A~
図4Cに示されているように)。
図3(A)から最もよく分かるように、出口側スロート240は、所望の噴霧ファンの形を形成しており、低温周囲条件で動作しているときの、そのような小さなノズルの故障を低減する。
出口側スロート240の動作により生成される流動作用が無ければ、噴霧はジェット(噴流)になるであろう。一実施形態において、本開示のノズルアセンブリ200は、ファン入口供給流体が、低流速(例えば、最大約25CPの粘度の場合、25psiのときに約150mL/分~約300mL/分の流速、又は、25psi以上のときに約250mL/分の流速)で供給されたきに、十分な噴霧ファンを確実に生成することができる。さらに、噴霧ノズル200は、約-4°F以下の低温(例えば、
図3を参照)条件下でも、高粘度の流体/水性液体(例えば、約50パーセントのエタノールと約50パーセントの水を含むウォッシャー液)を用いて、非常に良好に機能する。
【0025】
本開示のノズル及び方法の別の利点は、インサート部材(例えば、216)が、射出成形に適しており、さらには三次元印刷にも適していて、製造、組立て、保持、及び密封に強い点である。各パワーノズル220a及び/又は220bについて、管腔断面積又は入口サイズは、非限定的な一例では、約1mm×約0.4mmである。この場合、一般的な相互作用領域の幅は、約0.4mm~約0.6mmの範囲内である。出口スロート又は出口オリフィス240(
図2B及び
図3(B)に側面が示されている)は、ハウジング部材206の側面開口部242と軸方向に整列されており、側面開口部242を通して噴霧する。
【0026】
一実施形態において、一般的な出口スロートサイズは、約0.5mm×約1mmである。下部開口部又はハウジング入口オリフィスから供給される流れに対する制限やその乱れを低減する(例えば、流れを楽にする)ために、パワーノズルの管腔領域又は入口サイズは、出口スロートに比べて大きくなっている。相互作用領域230内の供給流の上向きベクトルのバランスをとるために(
図2Bの2つの図から最もよく分かるように)、上部クリアランス(Δ1で示されている)は、下部クリアランス(Δ2で示されている)よりも大きくなっている。この入口供給条件は、安定した噴霧を維持するのに役立つ。
【0027】
一実施形態において、噴霧ファンは、出口スロート領域240と出口側スロート242との比率を調節することにより、異なる洗浄応用事例に合わせて、調整可能である。入口スロートと出口のスロートとの間の距離も、噴霧ファンに影響を及ぼす。出口側スロート242と出口スロートとの間にオフセットを作り、出口上面又は出口底面に下向きの抜き勾配を付与すること(例えば、
図7を参照)により、噴霧照準角を変更することもできる。抜き勾配が付与された上側/下側出口面によって、出口スロートが放射状に拡大されると、噴霧厚は、増加する(例えば、
図7を参照)。
【0028】
図5A~
図8Cに示されるように(これらの図は、ハウジング306及びインサート316を有するマルチ噴霧ノズルアセンブリ300を示している)、本開示の回路設計によれば、異なる向きのレンズや他の表面を洗浄するために、発散する噴霧軸、すなわち、互いに反対方向を向いた噴霧軸を有する2以上の別々の噴霧ファンを生成し、照準を定める1つの単一ノズルアセンブリを作成することができる。この実施形態では、パワーノズルはないが、インサート316内に延びる内部管腔320がある。内部管腔320によれば、流体は、内部管腔320を通って流れることができ、中心部材330に沿って、第1の入口管腔322Aと第2の入口管腔322Bに、分かれて流入することができる。第1の入口管腔322A及び第2の入口管腔322Bは、相互作用領域340に直接連通している。とりわけ、第1及び第2の入口管腔322A、322Bの面積は、相互作用領域340よりも大きくなっている。第1の出口350及び第2の出口360は、相互作用領域340から互いに反対側に延在しており、
図7に示されるように、第1の排出口出口352及び第2の排出口出口362と整列するように構成されている。
【0029】
図8A~
図8Cに示した例示的実施形態の場合、第1の出口350及び第1の排出口出口352からの第1の噴霧の噴霧方向は、照準=0°、回転=0°であるのに対し、第2の出口360及び第2の排出口出口362からの第2の噴霧の噴霧方向は、照準=-10°、回転=10°である。10°の回転角は、相互作用領域のスロット形断面を有する管腔を、第2の出口360に沿って回転させることにより達成される(
図6A、
図6B、
図6Cを参照)。-10°の照準角は、ハウジング306における第2の出口360と第2の排出口出口362との間のオフセットと、底部出口床370における下向きの抜き勾配とによって達成される。ハウジング206、306の設計とインサート216、316の設計は、どちらも成形に適している。
図5A~
図8Cに示したノズルの第1の噴霧軸と第2の噴霧軸との間の(2つの噴霧ファン間の)分離角、又は角度は、180°である。この分離角は、ノズルのパッケージサイズに応じて、約30°であっても、約45°であっても、約90°であっても、又は他の任意の角度であってもよい。本開示のノズルアセンブリ(例えば、200、300)に関する出願人の開発研究から、本開示のノズルは、油、空気又は他の流体でも機能することが分かっている。
【0030】
本開示の種々の実施形態が、添付の図面に示され、前述の詳細な説明に記載されているが、本開示は、開示された実施形態だけに限定されるべきではなく、本明細書に記載された本開示は、特許請求の範囲から外れることなく、多数の再配置、修正、及び置換が可能である。以下の特許請求の範囲は、特許請求の範囲又はその均等の範囲内にある限り、すべての修正及び変更を含むことを、意図している。
【0031】
したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲内にあるそのようなすべての変更、修正、及び変形を包含することを、意図している。さらに、「含む」という語が、詳細な説明と特許請求の範囲のいずれかで使用されている限り、そのような語は、請求項において「含む」という語が遷移語として使用される場合の「含む」という語の解釈と同様に、包括的であることを意図している。