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特許7196184リスナーの聴覚特性を考慮に入れた、ヘッドセットにおけるライブパブリックアドレス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】リスナーの聴覚特性を考慮に入れた、ヘッドセットにおけるライブパブリックアドレス方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 27/02 20060101AFI20221219BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20221219BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H04R27/02
H04R1/10 101B
H04R3/00 310
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020544981
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 FR2018052838
(87)【国際公開番号】W WO2019097161
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】1771226
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520169524
【氏名又は名称】オーグメンテッド アコースティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】ローラン サイド
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-543712(JP,A)
【文献】特開昭60-127000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 27/00-27/04
H04R 1/10
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の未加工のオーディオチャンネル(6)から調整されたオーディオ信号(8)を、リスナー2によって着用され又は着用が意図されるヘッドセット(7)に取り付けられた少なくとも一つのスピーカー(7G,7D)にライブ配信するための方法であって、
-次のオペレーションを含む前処理フェーズ(100)と、
・リスナー(2)の聴覚特性を考慮すること;
・リスナー(2)の聴覚特性に応じて各チャンネル(6)を補正すること;
-前処理されたチャンネル(6)からの混合オーディオ信号(16)の生成を含む混合フェーズ(400)と、
-次のオペレーションを含む後処理フェーズ(500)と、
・ヘッドセット(7)に侵入する背景ノイズの音量を測定すること(510);
・背景ノイズの音量に応じて混合オーディオ信号(16)を補正すること(520);
-後処理された調整済みオーディオ信号(8)を、ヘッドセット(7)において復元するフェーズ(600)と、
を含むことを特徴とするパブリックアドレス方法。
【請求項2】
各チャンネル(6)に適用される補正が、周波数補正を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパブリックアドレス方法。
【請求項3】
各チャンネル(6)に適用される補正が、時間補正を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のパブリックアドレス方法。
【請求項4】
各チャンネル(6)に適用される補正が、レベル補正を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項5】
各チャンネル(6)に適用される補正が、クリッピング、圧縮、ゲインから選択される一つ以上の処理を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項6】
前処理フェーズ(100)が、
・周波数における各チャンネル(6)のサンプリング;
・チャンネル(6)における一つ以上の周波数範囲の選択;
・選択された周波数範囲におけるリスナー(2)の聴覚特性に応じた、選択された周波数範囲におけるチャンネル(6)への処理の適用;
からなるオペレーションを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項7】
前処理フェーズ(100)におけるリスナー(2)の聴覚特性の考慮が、聴覚の快適レベルの考慮、又は、決定を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項8】
前処理フェーズ(100)における各チャンネル(6)の補正が、それが実質的にリスナー(2)の聴覚の快適レベルに収まるような修正を含むことを特徴とする、請求項7に記載のパブリックアドレス方法。
【請求項9】
前処理フェーズ(100)と混合フェーズ(400)との間に、前処理された各チャンネルから左トラック(12G)及び右トラック(12D)を形成するためのパノラマ処理オペレーション(200)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項10】
パノラマ処理(200)と混合フェーズ(400)との間に、各チャンネル(6)から生じる左トラック(12G)及び右トラック(12D)の増幅オペレーション(300)を含むことを特徴とする、請求項9に記載のパブリックアドレス方法。
【請求項11】
左混合オーディオ信号(16G)、及び、右混合オーディオ信号(16D)が生成されるように、混合フェーズ(400)が、左トラック(12G)、及び、右トラック(12D)に対し、個別に行われることを特徴とする、請求項10に記載のパブリックアドレス方法。
【請求項12】
調整済み左オーディオ信号(8G)、及び、調整済み右オーディオ信号(8D)を生成するために、後処理フェーズ(500)が、左混合オーディオ信号(16G)、及び、右混合オーディオ信号(16D)に適用されることを特徴とする、請求項11に記載のパブリックアドレス方法。
【請求項13】
後処理フェーズ(500)において、ヘッドセット(7)に統合されたマイクロフォン(18)により、ヘッドセット(7)を取り囲むノイズの音量の測定(510)が実行されることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項14】
後処理フェーズにおいて、
・リスナー(2)の痛みの閾値が考慮され、又は、決定され;
・混合オーディオ信号(8)とヘッドセット(7)に侵入する背景ノイズを含む、ヘッドセット(7)のグローバルサウンドレベルが、いずれの瞬間においてもリスナー(2)の痛みの閾値より小さくなるように、混合オーディオ信号16が補正される;
ことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【請求項15】
補正の前に、混合オーディオ信号(16)を測定された背景ノイズ上に調整するための、混合オーディオ信号(16)に対する遅延アプリケーション(530)を、後処理フェーズ(500)が含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載のパブリックアドレス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パブリックアドレスの分野に関する。より正確には、本発明は、コンサートに参加するリスナーのヘッドセットにおいて、コンサートの音声ピックアップから生じるオーディオチャンネルから、調整したオーディオ信号をライブで(即ち、リアルタイムで)配信することを可能にするパブリックアドレス方法及びパブリックアドレスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
「ライブ」という用語は、コンサートからのサウンドのピックアップと配信の同時性(処理時間内)を特徴付ける。
【0003】
コンサートは、一般的なパブリックアドレスの対象とする(即ち、ショーの音をスピーカーによって聴衆全体に放送する)ことができる。
【0004】
記録された異なるサウンドトラックのミキシングを、ショーに参加するリスナー自身が実行できるようにして、ライブで記録されたサウンドをレストアする信号を、リスナーのヘッドセットに配信することを可能にする、ショーのパブリックアドレス技術が、国際出願PCT WO 2016/124865(Augmented Acoustics)により知られている。
【0005】
この技術によれば、リスナーは、自分の好みに応じて各トラックのレベルを調整できるため、リスナーのサウンド体験を実質的に改善できる。ヘッドセットに背景ノイズ減衰システムが装備されている場合、周囲の音がヘッドセット内で減衰され、リスナーが知覚する音が浄化される。また、リスナーは、ライブショーに参加しているのに、スタジオの音質に近い音質を得ることができる。
【0006】
この技術は、難聴を患っている人が利用できるようにすることにより、更に改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開公報WO2016/124865
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図1において(Mercier et al, The livre des Techniques du son, T.1, Dunod, 3rd ed. 2002, p.193によると)、薄い灰色のゾーンは、正常な人間(即ち、完全な聴覚を有する人間)の聴野を表している。聴野の下限は、聴覚の閾値である。その上限は、痛みの閾値である。聴野に重ねて、音楽フィールド(「音楽」、即ち楽器が通常振動する音響フィールド)が(ミディアムグレーで)表示されている。楽器は、人間の耳に知覚されるように設計されているため、音楽フィールドが聴野に厳密に含まれていることは、驚くことではない。最後に、音声フィールド(「音声」、即ち人間の声が通常振動するフィールド)が(ダークグレーで)表示されている。このフィールドは、音楽フィールドに厳密に含まれている。
【0009】
図1は、人間の聴覚の大まかな近似を示している。周波数における耳の作用は、1930年代にFletcherとMunsonによって形式化された等音線によって、より正確にモデル化され、更に、国際標準化機構によって完成され、標準ISO 226:2003として標準化された。
【0010】
人間の等音線は、可聴範囲(20Hzから20kHz)のすべての周波数が1000Hzでの基準音のレベルに等しい感覚量(ラウドネスと呼ばれる)を引き起こす強度を表す(Mercier et al, op.cit., p.195)。
【0011】
図2は、正常な人間の等音線を、10dB SPL(SPL:音圧レベル)の増分で示している。等音線はボールドで表示され、以下に対応している:
-下部において(10dB SPLの音圧レベルの下)、聴覚の閾値まで:
-中間部において、通常の快適レベルまで(50dB SPLの音圧レベルに対応);
-上部において、痛みの閾値まで(120dB SPLの音圧レベル)。
【0012】
苦しんでいる人の観点からは、難聴は主観的であり、定量化が難しく、単に良く聞こえない(又は、聞こえない)ということになる。
【0013】
但し、難聴を(様々な方法で)測定することは可能である。
【0014】
図1は、難聴を患っている人の聴野の限界を点線で示している。このように縮減された聴野は、音楽フィールド又は音声フィールドを完全には包含していないことが分かる。
【0015】
図3は、50歳の人の聴覚スペクトル全体(20Hz~20kHz)の平均聴力損失レベル(破線の曲線)を、20歳の正常な人の聴覚(実線の曲線)との比較において示している。(この曲線(単なる一例)は、老人性難聴(即ち、年齢による聴覚障害)の現象を示している。)
【0016】
図4は、難聴に苦しむ人の等音線を示している。これは、図1及び図3よりも正確であり、被験者の聴野が狭くなっていることを示しているだけではなく、聴覚の閾値と、痛みの閾値に関する情報をも提示しており、この例では、各閾値が大幅に影響を受けていることがわかる。
【0017】
より正確には、低周波数では痛みの閾値は低くなり、高周波数では聴覚の閾値は高くなることがわかる。換言すると、図4で考慮される耳の場合、高レベルの低音は痛く感じられ、低レベルの高音は知覚されない。
【0018】
一般に、難聴に苦しむ人は、とりわけ、音声の誤った知覚の結果に苦しみ、その結果、社会的相互作用が減少し、細かくは、自分自身への特定の引きこもりが生じる。
【0019】
これが、補聴器の専門家が主に声の処理に集中し、音楽の処理を放棄している理由である。恐らく、音楽の処理は、過度に制限された患者基盤のために確保された贅沢であると(間違って)考えられているから、或いは、音楽フィールドは振幅が大きく、また、豊かさが大きいため、音楽の処理はより複雑であると(正しく)考えられているためである。
【0020】
しかし、1970年代から1990年代にかけて、過度に高いレベルでヘッドセットを使用して音楽を聴いた(サウンドレベルリミッターが導入される前の)多くの音楽愛好家は、今日、中程度から重度の難聴に悩まされている。人口の20%が影響を受けていると推定される。
【0021】
ただし、補聴器は、音声を(関係周波数で信号を増幅することによって)効果的に聞こえるようにすることができるが、音楽については、満足できる程度にレストアすることはできない。
【0022】
更に、補聴器に対し、音楽を処理できるようにするために(例えば、処理する周波数範囲を拡げることによって)、いくつかの適応を行うだけでは不十分である。
【0023】
実際、Mercier et al(op.cit. p.50)に示されているように、耳は、低音、中音、及び、高音の強度の変化に対し、同じようには反応しない。しかし、楽器の音は、ほとんどの部分でハーモニクスに富んでいる。音の動的変動(例えば、クレッシェンド)は、音声合成において頻繁に実行されるような単純な音の拡大ではなく、耳にとって敏感なゾーン(約3000Hz)のスペクトルの濃縮に対応する。
【0024】
スペクトルの低音域と高音域の成分を増幅する高忠実度システム(hi-fi)の製造者によく知られている生理学的補正装置に頼るだけで十分だと考えるのは間違っているだろう。これらの生理学的補正装置は、等音線が大きく異なることが示される難聴者ではなく、正常な人々の聴き心地を改善することを目的としているからである。
【0025】
実際、補聴器の音量を調整する以外に音圧を制御することができないコンサートは、難聴者にとって最悪の状況である。今日では、難聴者がライブ音楽を聴くことは事実上禁止されている。
【0026】
本発明は、難聴を患っている人が、音楽をライブで聴くときに、聴き心地を回復できるようにすることにより、これを克服できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この目的のため、複数の未加工のオーディオチャンネルから調整されたオーディオ信号を、リスナーによって着用され又は着用が意図されるヘッドセットに取り付けられた少なくとも一つのスピーカーにライブ配信するためのパブリックアドレス方法が提案される。この方法は以下を含む。
-次のオペレーションを含む前処理フェーズ:
・リスナーの聴覚特性を考慮すること;
・リスナーの聴覚特性に応じて各チャンネル(6)を補正すること;
-前処理されたチャンネルからの混合オーディオ信号の生成を含む混合フェーズ:
-次のオペレーションを含む後処理フェーズ:
・ヘッドセットに侵入する背景ノイズの音量を測定すること;
・背景ノイズの音量に応じて混合オーディオ信号を補正すること;
-後処理された調整済みオーディオ信号を、ヘッドセットにおいて復元するフェーズ:
【0028】
このようにして復元されたオーディオ信号は、リスナーの心理音響的性質、特に、難聴に適応される。従ってこれは、カスタマイズされた信号であり、オープンリスニングとしては聞こえないスペクトルの可聴領域をレンダリングできるだけでなく、聴き心地を向上させることもできる。
【0029】
各チャンネルに適用される補正は、例えば、周波数補正、及び/又は、時間補正、及び/又は、レベル補正を含む。
【0030】
実際には、各チャネルに適用される補正には、クリッピング、圧縮、ゲインから選択される一つ以上の処理を含めることができる。
【0031】
更に、前処理フェーズには、
・周波数における各チャンネルのサンプリング;
・チャンネルにおける一つ以上の周波数範囲の選択;
・選択された周波数範囲におけるリスナーの聴覚特性に応じた、選択された周波数範囲におけるチャンネルへの処理の適用;
からなるオペレーションを含めることができる。
【0032】
前処理フェーズにおけるリスナーの聴覚特性の考慮は、例えば、聴覚の快適レベルの考慮、又は、決定を含む。
【0033】
前処理フェーズにおける各チャンネルの補正は、それが実質的にリスナーの聴覚の快適レベルに収まるような修正を含む。
【0034】
更に、前処理フェーズと混合フェーズとの間に、前処理された各チャンネルから左トラック及び右トラックを形成するために、パノラマ処理オペレーションを提供することができる。
【0035】
パノラマ処理と混合フェーズとの間に、各チャンネルから生じる左トラック及び右トラックの増幅オペレーションを提供することもできる。
【0036】
有利には、左混合オーディオ信号、及び、右混合オーディオ信号が生成されるように、混合フェーズが、左トラック、及び、右トラックに対し、個別に行われる。
【0037】
その後、調整済み左オーディオ信号、及び、調整済み右オーディオ信号を生成するために、後処理フェーズが、左混合オーディオ信号、及び、右混合オーディオ信号に適用される。
【0038】
後処理フェーズにおいて、ヘッドセットに統合されたマイクロフォンにより、ヘッドセットを取り囲むノイズの音量の測定を実行することができる。
【0039】
後処理フェーズにおいて、
・リスナーの痛みの閾値が考慮され、又は、決定され;
・混合オーディオ信号とヘッドセットに侵入する背景ノイズを含む、ヘッドセットのグローバルサウンドレベルが、いずれの瞬間においてもリスナーの痛みの閾値より小さくなるように、混合オーディオ信号が補正されることが好ましい。
【0040】
最後に、補正の前に、測定された背景ノイズ上に混合オーディオ信号を調整するための、混合オーディオ信号に対する遅延アプリケーションを、後処理フェーズが含んでいることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の他の目的および利点は、添付の図面を参照して以下に与えられる実施形態の説明に照らして明らかになるだろう。
図1図1は、正常な人の聴野(薄い灰色)、特定の難聴を患っている人の聴野(点線)、音楽フィールド(「音楽」、ミディアムグレー)、及び、音声フィールド(「音声」、ダークグレー)を示す音量・周波数の図である。
図2図2は、正常な人間(即ち、完全な聴覚を有する人間)の等音線を示す音量・周波数の図である。
図3図3は、正常な人間の聴力損失レベル(ほぼゼロ)を実線で示し、老人性難聴を患っている人の聴力損失レベルを破線で示す損失・周波数の図である。
図4図4は、特定の難聴を患っている難聴者の等音線を示す音量・周波数の図である。
図5図5は、聴衆の中に存在する難聴者に、コンサートのための良好な聴き心地を提供することを目的とする、パブリックアドレスシステムの聴衆向けのライブパブリックアドレスの対象となるコンサートが行われるステージを示す図である。
図6図6は、パブリックアドレスシステムの機能構成を部分的に示す図である。
図7図7図9は、三つの異なる処理を受けた同じ信号(処理によって得られる信号が破線で示される)を示す音量・周波数の図(カットオフ(図7))である。
図8図7図9は、三つの異なる処理を受けた同じ信号(処理によって得られる信号が破線で示される)を示す音量・周波数の図(圧縮(図8))である。
図9図7図9は、三つの異なる処理を受けた同じ信号(処理によって得られる信号が破線で示される)を示す音量・周波数の図(ゲイン(図9))である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図5は、一人又は複数のリスナー2を含む公衆(又は聴衆)のために、音楽及び(適切な場合には)音声を含む音を発するコンサートのパブリックアドレスシステム1を示す。このコンサートは、発せられた音が、(リアルタイムの配信遅延、又は、音が空中を移動する時間の影響を受けるが)直接復元されるため、「ライブ」である。
【0043】
コンサートが行われる場所は、閉じられているとは限らず、特に、部屋、遊歩道、ステージ、アリーナ、又は、スタジアムとすることができる。屋根があってもよいし、屋外であってもよい。
【0044】
コンサートは、楽器(楽器奏者によって演奏される)と、該当する場合は歌手を含む音源4で構成されるバンド3によって行われる。
【0045】
コンサートは、音声ピックアップから恩恵を受け、パブリックアドレスシステム1は、この目的のため、それぞれが一つ又は複数の音源4(楽器又は楽器のグループ、音声又は音声のグループ)に向けられたマイクロフォン5を備える。各マイクロフォン5は、未加工のオーディオチャンネル6を形成する電気信号の形で、一つ又は複数の音源4から生じる音を拾う(又は記録する)。マイクロフォン5は、(例えば、スタンドに取り付けられることにより)固定されてもよいし、例えば、歌手により保持又は携帯されるか、或いは、移動楽器(例えば、ベースギター又はエレクトリックギター)に統合されてもよい。
【0046】
各リスナー2は、少なくとも一つのスピーカー7G,7D(有利には、リスナー2の左右の耳にそれぞれ対応する一対のスピーカー7G,7D)を備えたヘッドセット7を着用する(又は、着用が意図される)。
【0047】
パブリックアドレスシステム1は、ヘッドセット7のスピーカー7G,7Dにおいて、異なる未加工のオーディオチャンネル6からの調整済みオーディオ信号8をライブ配信するように設計されている。
【0048】
この目的のため、パブリックアドレスシステム1は、特に、一つ又は複数のコンソール9(それぞれが少なくともミキシング機能を統合する)を備えている。コンソール9は、各チャンネル6に信号処理を適用するようにプログラムできる統合プロセッサを装備することができる。
【0049】
例示では、パブリックアドレスシステム1は、コンソール9に接続され、各チャンネル6に信号処理を適用するようにプログラムされたプロセッサを含む一つ又は複数のサーバー10,11を有している。
【0050】
コンソール9は、異なるチャンネル6から生じるいくつかのトラック12、又は、チャンネル6自体を、並行して収集するように構成される。チャンネル6は、例えば8つであるが、その数は限定されない。
【0051】
図5に示すにように本実施形態においては、パブリックアドレスシステム1は、信号処理機能を統合するアプリケーションサーバー10と、通信サーバー11とを備えている。通信サーバー11は、一つ以上のアンテナを使用した無線(例えば、標準規格IEEE802.11(Wi-Fi)に準拠した無線)を介して行われる信号の配信を保証するように構成された一つ以上のルーター13に接続される(及び、これを管理する)。
【0052】
各リスナー2は、コンソール9から、又は、通信サーバ11から少なくとも1つのルータ13を介して受信した信号を、受信及び再生するための装置14を装備している。この装置14は、有線で(図示されているように)、又は、無線(例えば、標準規格IEEE802.15(Bluetooth(登録商標))に準拠した無線)を介して、ヘッドセット7と直接的又は間接的に接続されている。
【0053】
図面(より正確には図5及び図6)に示すように本実施形態においては、パブリックアドレスシステム1は、スマートフォン、タブレット、又は、ポータブルコンピュータタイプの携帯端末15を含む。携帯端末15は、装置14と対話するように(実際には、プログラムされたアプリケーションを含むように)構成されている。
【0054】
端末15は、特に、プロセッサ、一次無線通信インターフェース(装置14との対話を可能にする、例えば、標準規格IEEE802.15(Bluetooth(登録商標))に準拠した)、及び、グラフィックインターフェース(例えば、タッチスクリーン)を備えている。
【0055】
端末15のプロセッサは、カスタマイズ可能な様々な設定(例えば、バランス又はイコライザー)を、リスナー2が、グラフィックインターフェースを介して利用できるようにする命令を含むアプリケーション(例えば、ダウンロードプラットフォームから、又は、通信サーバー11から、リモートでダウンロードすることができるアプリケーション)を統合することができる。
【0056】
ルータ13を介してコンソール9又はサーバ11から受信した信号が、ヘッドセット7のスピーカー又はスピーカー7G,7Dにおいて復元される前に、それらの設定が受信信号に適用されるように、端末15のプロセッサは、それらの設定を、装置14に対して通信するようにプログラムされている。
【0057】
パブリックアドレスシステム1は、リスナー2の聴覚特性が記憶されているデータベースに接続され、又は、そのようなデータベースを統合する。それらの聴覚特性は、例えば、等音線の形を有している。
【0058】
本実施形態においては、リスナー2の聴覚特性は、次の曲線(等音線)のうちの少なくとも一つを含んでいる。
-リスナー2の聴覚の閾値を表す曲線;
-リスナー2の痛みの閾値を表す曲線;
-リスナー2の音響快適レベルを表す曲線。
【0059】
各等音線は、事前の測定フェーズの間に構築することができる。測定フェーズにおいては、音刺激(事前に録音され、選択肢のリストから選択された、リスナー2の反応を喚起するための音刺激)が、リスナー2のヘッドセット7に配信され、これにより、リスナー2が知覚する刺激のレベルに関する情報が得られる。
【0060】
この測定フェーズは、ヘッドセット7が接続される端末15のプロセッサに実装されたアプリケーションによって実施することができる。
【0061】
この場合、各リスナー2に特有の聴覚特性は、各リスナー2の端末15に記憶させることができる。或いは、各リスナー2の聴覚特性は、例えば、そのリスナー2に関連付けられた識別子を介して(任意に、パスワードとともに)、コンソール9又は通信サーバー11が接続できるリモートデータベースに記憶される。
【0062】
これらの聴覚特性は、様々な未加工のチャンネル6から調整済みオーディオ信号8を生成する目的で、各チャンネル6に一つ以上の補正を適用するために使用され、リスナー2に良好な聴き心地を確保するために、リスナー2のヘッドセット7への配信が意図される。
【0063】
この目的のため、パブリックアドレスシステム1は、三つの連続するフェーズを適用するように設計されている。
【0064】
第一の前処理フェーズ100は、
・リスナー2の聴覚特性を考慮すること、
・リスナー2の聴覚特性に応じて各チャンネル6を補正するオペレーション
を含む。
【0065】
図6に示すように、各チャンネル6は、この目的のために、アプリケーションサーバー10(ソフトウェアモジュールの形でコンソール9に統合され得る)を通過する。
【0066】
各チャンネル6は、マイクロフォン5によって実行されるピックアップから生じる電気信号の形態を有する。従って、チャンネル6は、特定の音源4のオーディオスペクトルを表し、楽器又は楽器のグループ(例えば、交響楽団のバイオリン)、或いは、一つ以上の音声(例えば、歌手や合唱団)から構成することができる。
【0067】
各チャンネル6の信号は、周波数(対数目盛でもよい)に従って、電圧又は音圧レベルの電力特性を(好ましくは対数目盛で)示す曲線によって表すことができる。
【0068】
図7図8、及び、図9は、チャンネル6の局所的なレベル変動を示す抽出曲線(スケールは提供されていない)を実線で示している。
【0069】
各チャンネル6には、いくつかのタイプの補正を適用することができる:
-周波数補正、
-時間補正、
-レベル補正。
【0070】
これらの補正はそれぞれ、単独で、又は、他の一つ以上の補正と組み合わせて適用することができる。
【0071】
従って、各チャンネル6に適用される補正100は、以下から選択される一つ以上の処理を含むことができる:
-クリッピング(図7)(これは、チャンネル6の信号のローカルレベルが、リスナー2の痛みの閾値又は快適レベルに対応する閾値を超えたとき(任意に、安全マージンで)に適用できる。);
-圧縮(図8)(これは、チャンネル6の信号の局所的な傾きが垂直すぎる場合(レベルが、リスナー2の痛みの閾値又は快適レベルをすぐに超える可能性があることを示す)に適用できる。);
-ゲイン(図9)(これは、チャンネル6の信号のローカルレベルが、聴力閾値又はリスナー2の快適レベルよりも低いときに適用できる。)
【0072】
各チャンネル6に個別に適用されるこの前処理フェーズ100においては、リスナー2の聴覚の快適レベルが好適に考慮される。快適レベルが事前に記録されていない場合(及び、データベースに保存されていない場合)には、必要に応じて(特に、リアルタイムで)(例えば、痛みの閾値が利用できる場合は、痛みの閾値から計算することにより)決定することができる。
【0073】
実際、リスナー2の快適レベルは、リスナー2の痛みの閾値を、一定の減衰量(例えば、10dB)を与えて減少させた値と等しいと考えることができる。
【0074】
前処理フェーズ100における各チャンネル6の補正には、それが実質的に(少なくとも局所的に)リスナー2の聴覚の快適レベルに収まるような修正を含めることができる。
【0075】
実際には、前処理フェーズ100は、例えば、
・周波数における各チャンネルのサンプリング(通常、アナログ-デジタルコンバーターを使用);
・チャンネル6における一つ以上の周波数範囲の選択;
・選択された周波数範囲におけるチャンネル6への処理(選択された周波数範囲におけるリスナー2の聴覚特性に応じた処理)の適用;
からなるオペレーションを含む。
【0076】
第一に、このシーケンスは、各チャンネル6に、アナログ処理ではなく、デジタル処理の適用を可能にする。第二に、このシーケンスは、リスナー2の聴き心地に悪影響(例えば、レベルが、リスナー2の快適レベルよりも大きいこと、又は、リスナー2の聴力閾値よりも低いことによる悪影響)を与えることなく、サンプリングされた未加工の信号がそのままリスナー2に配信されない周波数範囲への補正を制限することを可能にする。
【0077】
前処理フェーズ100の後、前処理されたチャンネル6からの混合オーディオ信号16の生成を含む混合フェーズ400が続く。
【0078】
図6に示すにように本実施形態においては、前処理された各チャンネル6から、左トラック12G及び右トラック12Dを形成するために、前処理フェーズ100と混合フェーズ400との間に、パノラマ処理オペレーション200が提供される。パノラマ処理200は、コンソール9又はアプリケーションサーバー10によって適用されることができる。
【0079】
この場合、コンソール9のアウトプットにおいて左混合オーディオ信号16G、及び、右混合オーディオ信号16Dが生成されるように、混合フェーズ400は、各チャンネル6の前処理から生じる左トラック12G、及び、右トラック12Dに対し、個別に行われる。
【0080】
図6にも示されているように、パノラマ処理200、及び、混合フェーズ400の間に、各チャンネル6から生じる左トラック12G、及び、右トラック12Dを増幅するオペレーション300を更に提供することができる。この増幅300は、コンソール9、又は、アプリケーションサーバー10によって適用されることができる。
【0081】
各チャンネル6は、そのスペクトルの特定の部分において、リスナー2の聴覚特性を考慮に入れて補正されているため、混合オーディオ信号16(又は、左右に分離された混合オーディオ信号16)は、スペクトル全体にわたって、この聴覚特性に適合されている。特に、混合オーディオ信号16を、リスナー2の快適レベルに適合させることができる。
【0082】
但し、コンサートはライブ配信される。その結果、オープンフィールドで伝播する自然な音が生成される。更に、コンサートは、聴衆に向けられた一般パブリックアドレスの対象(パブリックアドレスシステム1、又は、別のシステムによる)とすることができる。この目的のため、ピックアップされた音(例えば、ヘッドセット7に送られる信号の生成及び処理に使用されるマイクロフォン5によってピックアップされた音)は、スピーカー17によって放送される。
【0083】
その結果、リスナー2は、(ヘッドセット7を通して)背景ノイズ(音圧が、オープンフィールドにおける自然な音の伝播、及び、スピーカー17を介した一般パブリックアドレスによる放送から生じる背景ノイズ)にさらされる。
【0084】
リスナー2がステージからかなり離れている場合、背景ノイズの音圧は、ほとんどの部分が、スピーカー17からの放送(聴衆の周囲又は間に分散し、更に、ピックアップされた音から再構成された音響信号が増幅される)によるものとなる。
【0085】
その結果、リスナー2は二つの音響信号を感知する:
-コンソール9において生成され、ヘッドセット7に配信される混合信号;
-ヘッドセット7を貫いて侵入する背景ノイズ。
【0086】
これら二つの信号の総和は、リスナー2の聴き心地に悪影響を及ぼし得ると理解される。特に、それらの信号の総和が、リスナー2の快適レベルよりも大きい(或いは、痛みの閾値さえも超える)音圧レベルをリスナー2に及ぼしてしまう可能性がある。
【0087】
リスナー2のヘッドセット7の外側の背景ノイズは、減衰させることができない。しかし、ヘッドセット7内に侵入する背景ノイズについては、減衰させることができる。
【0088】
リスナー2の耳を取り囲むヘッドセット7のパッド(遮音特性を有するフォームで裏打ちされていることが有利である)によって、少なくとも部分的には、減衰が可能である。
【0089】
更に、減衰は、アクティブノイズリダクションシステム(ANR)(ヘッドセット7に装備することが有利である)によって得ることができ、又は、改善することができる。このノイズリダクションシステムは、マイクロフォン18(ヘッドセット7に統合され、背景ノイズをピックアップする)と、制御エレクトロニクス(ヘッドセット7に統合され、背景ノイズのレベルを推定するために、ピックアップされたノイズを分析し、背景ノイズとは位相が反対のカウンターノイズを生成する)を備えている。カウンターノイズは、ヘッドセット7においてリアルタイムに配信され、ヘッドセット7内で背景ノイズが減衰される。
【0090】
但し、そのようにして減衰されたとしても、背景ノイズは、コンソール9において生成される混合信号に加えられることにより、リスナー2の聴き心地に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0091】
このため、混合フェーズ400の後、下記のオペレーションを含む後処理フェーズ500が提供される。
・ヘッドセット7に侵入する背景ノイズの音量を測定するオペレーション510;
・背景ノイズの音量に応じた、混合オーディオ信号16のグローバル補正のオペレーション520。
【0092】
後処理フェーズ500は、装置14によって実行される。装置14には、混合オーディオ信号16(より正確には、図面に示す例では、左右の混合オーディオ信号16G,16D)が通信される。
【0093】
より正確には、この後処理フェーズ500においては、
・リスナー2の痛みの閾値が考慮され、又は、決定され;
・ヘッドセット7のグローバルサウンドレベル(混合オーディオ信号とヘッドセット7に侵入する背景ノイズを含む)が、いずれの瞬間においてもリスナー2の痛みの閾値より小さくなるように、混合オーディオ信号16が補正される。
【0094】
リスナー2のために記憶された聴覚特性に、痛みの閾値が含まれている場合、それはシンプルに考慮に入れられる。痛みの閾値は記憶されていないが、聴覚の快適レベルは記憶されているという場合、痛みの閾値は、快適レベルから計算することにより(例えば、所定のゲイン(通常10dB)を加えることにより)、決定することができる。
【0095】
混合オーディオ信号16(コンソール9から生じる)と背景ノイズは、いずれも同じ音源4から生じるが、それらは同期していないことが観察される。実際、混合オーディオ信号16は、電子速度(ほぼ光速に近い)でリスナー2に到達するが、背景ノイズは、音速(電子速度よりもはるかに遅い)でリスナーに到達する。
【0096】
パブリックアドレスシステム1によって適用される信号処理を考慮に入れても、混合オーディオ信号16は、背景ノイズに先行する。従って、リスナー2がリスニング中にエコーを発生させないように、それらを同期させる必要がある。
【0097】
このため、後処理フェーズ500は、混合オーディオ信号16に適用される遅延オペレーション530を含むことが好ましい。このオペレーションは、この目的のためにディレイライン(ハードウェア又はソフトウェア)を備えた装置14によって実行される。これを目的として、混合オーディオ信号16と背景ノイズの間の遅延を推定する(オペレーション540)ために、混合オーディオ信号16と背景ノイズとの相関関係が作成され、混合オーディオ信号16が、背景ノイズ上に調整されるよう遅延される。
【0098】
遅延オペレーション530は、グローバル補正のオペレーション520に先行することに留意されたい。
【0099】
イコライゼーション設定は、リスナーによってコントロールできるため、イコライゼーション設定550を考慮した後にのみ、グローバル補正のオペレーション520を適用することが更に有利である。
【0100】
図面に示す例では、コンソール9が左混合オーディオ信号16G、及び、右混合オーディオ信号16Dを生成し、調整済み左オーディオ信号8G、及び、調整済み右オーディオ信号8Dを(後処理によって)生成するために、後処理フェーズ500が、これらの信号16G,16Dのそれぞれに適用される。
【0101】
図6に示すように、装置14は、リスナー2の安全のために留保された、レベルの手動一般設定の機能560を備えており、これは、調整済み信号8に対して全体的に(任意に、調整済み左信号8G、及び、調整済み右信号8Dに分離して)適用することができ、また、リスニング音量を決定することができる。
【0102】
この後処理フェーズ500の後(任意に、図6に示すように、増幅570の後)、ヘッドセット7において、後処理された調整済みオーディオ信号8(ここでは左と右)を復元するフェーズ600が続く。
【0103】
従って、上述のパブリックアドレス方法は、難聴を患っている人々が、ライブ配信される音楽を聴く際に、難聴であるにもかかわらず、それらの人々の聴覚特性が考慮に入れられて、聴き心地を回復させることができる。
【0104】
各リスナー2には、独自の聴覚特性があるため、カスタマイズされたリスニングによるメリットが得られる。考慮される背景ノイズのインパクトを減衰できることがわかる。但し、背景ノイズを完全に抑制することは、必ずしも望ましいことではないことに注意されたい。これは、聴衆に完全に統合されている感覚を分離することに慣れているリスナー2において利用され得る。
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