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特許7196187冷凍サイクル装置の室外機、冷凍サイクル装置、及び空気調和装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置の室外機、冷凍サイクル装置、及び空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20221219BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20221219BHJP
   F24F 1/30 20110101ALI20221219BHJP
【FI】
F25B49/02 520E
F25B1/00 101E
F25B1/00 321B
F24F1/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020547862
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2018036524
(87)【国際公開番号】W WO2020065999
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智隆
(72)【発明者】
【氏名】築山 亮
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-147907(JP,A)
【文献】特開2004-218865(JP,A)
【文献】特開2006-292213(JP,A)
【文献】特開2016-050680(JP,A)
【文献】特開2017-044454(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070954(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/111176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F25B 1/00
F24F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置の室外機であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から出力される冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器の出側の配管から分岐され、前記配管を流れる冷媒の一部を、室内機を通過することなく前記圧縮機へ戻すように構成されたバイパス回路とを備え、
前記バイパス回路は、前記冷凍サイクル装置に封入された冷媒の不足を検知するための検知回路を含み、
前記検知回路は、
前記バイパス回路に流れる冷媒の流量を調整するように構成された流量調整部と、
前記流量調整部を通過した冷媒を加熱するように構成された加熱部とを含み、さらに、
前記加熱部を通過した冷媒に過熱度が生じている場合に、前記冷凍サイクル装置に封入された冷媒が不足しているものと判定する制御装置と、
前記配管から前記バイパス回路が分岐する分岐部において、前記配管に気液二相冷媒が流れる場合に、前記気液二相冷媒からガス冷媒を分離して前記バイパス回路へ流すように構成された気液分離機構とを備え、
前記気液分離機構において、前記バイパス回路は、前記配管から上方へ向けて分岐するように構成され、
前記バイパス回路の内径は、前記配管から前記バイパス回路に流入するガス冷媒の流速がゼロペネトレーション流速となる場合の前記内径を示す基準内径よりも大きい、冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項2】
前記気液分離機構において、前記配管は、前記分岐部から下方へ向けて配設される、請求項1に記載の冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項3】
冷凍サイクル装置の室外機であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から出力される冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器の出側の配管から分岐され、前記配管を流れる冷媒の一部を、室内機を通過することなく前記圧縮機へ戻すように構成されたバイパス回路とを備え、
前記バイパス回路は、前記冷凍サイクル装置に封入された冷媒の不足を検知するための検知回路を含み、
前記検知回路は、
前記バイパス回路に流れる冷媒の流量を調整するように構成された流量調整部と、
前記流量調整部を通過した冷媒を加熱するように構成された加熱部とを含み、さらに、
前記加熱部を通過した冷媒に過熱度が生じている場合に、前記冷凍サイクル装置に封入された冷媒が不足しているものと判定する制御装置と、
前記配管から前記バイパス回路が分岐する分岐部において、前記配管に気液二相冷媒が流れる場合に、前記気液二相冷媒からガス冷媒を分離して前記バイパス回路へ流すように構成された気液分離機構とを備え、
前記気液分離機構において、前記バイパス回路は、前記配管から上方へ向けて分岐するように構成され、
前記気液分離機構において、前記配管は、前記分岐部から下方へ向けて配設され、
前記配管は、
横向きに配設される第1部位と、
前記第1部位に接続され、前記分岐部から下方へ向けて配設される第2部位とを含み、
前記第1部位の中心線は、前記第2部位の中心線に対してオフセットを有する、冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項4】
前記気液分離機構は、前記分岐部から前記バイパス回路に流入した液滴を捕捉するように構成されたメッシュ状部材を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置の室外機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の室外機と、
前記室外機に接続される室内機とを備える冷凍サイクル装置。
【請求項6】
請求項5に記載の冷凍サイクル装置を備える空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置の室外機、冷凍サイクル装置、及び空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/135904号パンフレットは、冷凍装置を開示する。この冷凍装置は、熱源側ユニットと、熱源側ユニットに配管で接続される利用側ユニット(室内ユニット)とを備える。熱源側ユニットは、圧縮機と、凝縮器と、過冷却器とを含む。利用側ユニットは、膨張弁と、蒸発器とを含む。この冷凍装置においては、過冷却器の温度効率を用いて、冷媒回路に充填された冷媒量の適否が判定される。温度効率は、過冷却器の出口における冷媒の過冷却度を過冷却器の最大温度差で除算した値である。この冷凍装置によれば、冷媒回路における冷媒不足を検知することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/135904号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷凍装置では、冷媒の減少量がある程度大きくならないと、冷媒不足の状況が過冷却度或いは温度効率に顕著に表れないため、冷媒不足を精度良く検知できない可能性がある。また、過負荷運転中など、冷媒量が正常であっても過冷却をとることができない運転状態においては、上記の冷凍装置では、過冷却度の低下に基づく冷媒量の減少を精度良く検知できず、検知精度が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、冷媒回路に封入された冷媒の不足を精度良く検知可能な冷凍サイクル装置の室外機及びそれを備える冷凍サイクル装置、並びに空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の室外機は、冷凍サイクル装置の室外機であって、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から出力される冷媒を凝縮する凝縮器と、バイパス回路と、制御装置と、気液分離機構とを備える。バイパス回路は、凝縮器の出側の配管から分岐され、当該配管を流れる冷媒の一部を、室内機を通過することなく圧縮機へ戻すように構成される。バイパス回路は、冷凍サイクル装置に封入された冷媒の不足を検知するための検知回路を含む。検知回路は、バイパス回路に流れる冷媒の流量を調整するように構成された流量調整部と、流量調整部を通過した冷媒を加熱するように構成された加熱部とを含む。制御装置は、加熱部を通過した冷媒に過熱度が生じている場合に、冷凍サイクル装置に封入された冷媒が不足しているものと判定する。気液分離機構は、上記配管からバイパス回路が分岐する分岐部において、上記配管に気液二相冷媒が流れる場合に、気液二相冷媒からガス冷媒を分離してバイパス回路へ流すように構成される。
【0007】
この室外機においては、冷媒不足が生じていなければ、加熱部を流れる冷媒は気液二相状態になるため、加熱部を通過した冷媒に過熱度は生じにくい。一方、冷媒不足が生じている場合には、加熱部を流れる冷媒は蒸発してガス冷媒(ガス単相状態)になるため、加熱部を通過した冷媒に過熱度が生じる。そこで、この室外機では、加熱部を通過した冷媒に過熱度が生じている場合に、冷媒が不足しているものと判定される。
【0008】
冷媒不足が生じると、凝縮器において冷媒の凝縮が進まず、凝縮器の出側において冷媒が気液二相状態となる。この場合に、バイパス回路に液冷媒が流入すると、冷媒が加熱部を通過しても全て蒸発せず、加熱部を通過した冷媒に過熱度が生じない可能性がある。そこで、この室外機においては、バイパス回路が分岐する分岐部に気液分離機構が設けられ、冷媒不足が生じている場合に、気液二相冷媒から分離されたガス冷媒がバイパス回路へ流される。これにより、冷媒不足が生じている場合、バイパス回路には、ガス冷媒か、極めて乾き度の高い冷媒が流入するので、加熱部を通過した冷媒に確実に過熱度を生じさせることができる。したがって、この室外機によれば、冷媒不足が生じているにも拘わらず冷媒不足は生じていないと誤検知してしまうのを抑制することができる。
【0009】
なお、冷媒不足が生じていない場合には、凝縮器の出側は液冷媒となり、バイパス回路には液冷媒が流入するので、加熱部を通過した冷媒が全て蒸発することにより過熱度が生じる可能性は低い。
【発明の効果】
【0010】
本開示の室外機、冷凍サイクル装置、及び空気調和装置によれば、冷媒回路に封入された冷媒の不足を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1に従う室外機が用いられる冷凍装置の全体構成図である。
図2】冷媒不足が発生していない正常時における、冷媒の圧力とエンタルピとの関係を示すp-h線図である。
図3】冷媒不足時の冷媒の状態を示すp-h線図である。
図4】実施の形態1における気液分離機構の構成の一例を示す図である。
図5図1に示す制御装置により実行される冷媒不足判定の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2における気液分離機構の構成の一例を示す図である。
図7】実施の形態3における気液分離機構の構成の一例を示す図である。
図8】実施の形態4における気液分離機構の構成の一例を示す図である。
図9】気液分離機構の他の構成を示す図である。
図10】変形例における室外機の構成を示す図である。
図11】本開示の室外機が用いられる冷凍サイクルを備える空気調和装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に従う室外機が用いられる冷凍装置の全体構成図である。なお、この図1は、冷凍装置における各機器の接続関係及び配置構成を機能的に示したものであり、物理的な空間における配置を必ずしも示すものではない。
【0014】
図1を参照して、冷凍装置1は、室外機2と、室内機3とを備える。室外機2は、圧縮機10と、凝縮器20と、ファン22と、配管80,83,85とを含む。また、室外機2は、配管86,87と、冷媒不足検知回路70と、圧力センサ90と、制御装置100とをさらに含む。室内機3は、膨張弁50と、蒸発器60と、ファン62と、配管84とを含む。室内機3は、配管83,85を通じて室外機2に接続されている。
【0015】
配管80は、圧縮機10の吐出ポートと凝縮器20とを接続する。配管83は、凝縮器20と膨張弁50とを接続する。配管84は、膨張弁50と蒸発器60とを接続する。配管85は、蒸発器60と圧縮機10の吸入ポートとを接続する。配管86は、配管83の分岐部88から分岐し、配管83と冷媒不足検知回路70とを接続する。配管87は、冷媒不足検知回路70と配管85とを接続する。
【0016】
圧縮機10は、配管85から吸入される冷媒を圧縮して配管80へ出力する。圧縮機10は、制御装置100からの制御信号に従って回転数を調整するように構成される。圧縮機10の回転数を調整することで冷媒の循環量が調整され、冷凍装置1の能力を調整することができる。圧縮機10には種々のタイプのものを採用可能であり、たとえば、スクロールタイプ、ロータリータイプ、スクリュータイプ等のものを採用し得る。
【0017】
凝縮器20は、圧縮機10から配管80に出力された冷媒を凝縮して配管83へ出力する。凝縮器20は、圧縮機10から出力された高温高圧のガス冷媒が外気と熱交換(放熱)を行なうように構成される。この熱交換により、冷媒は凝縮されて液相に変化する。ファン22は、凝縮器20において冷媒が熱交換を行なう外気を凝縮器20に供給する。ファン22の回転数を調整することにより、圧縮機10出側の冷媒圧力(高圧側圧力)を調整することができる。
【0018】
膨張弁50は、凝縮器20から配管83へ出力された冷媒を減圧して配管84へ出力する。膨張弁50の開度を閉方向に変化させると、膨張弁50出側の冷媒圧力は低下し、冷媒の乾き度は上昇する。膨張弁50の開度を開方向に変化させると、膨張弁50出側の冷媒圧力は上昇し、冷媒の乾き度は低下する。
【0019】
蒸発器60は、膨張弁50から配管84へ出力された冷媒を蒸発させて配管85へ出力する。蒸発器60は、膨張弁50により減圧された冷媒が室内機3内の空気と熱交換(吸熱)を行なうように構成される。冷媒は、蒸発器60を通過することにより蒸発して過熱蒸気となる。ファン62は、蒸発器60において冷媒が熱交換を行なう外気を蒸発器60に供給する。
【0020】
冷媒不足検知回路70は、配管83から分岐する配管86と、配管85に接続される配管87との間に設けられる。配管86、冷媒不足検知回路70、及び配管87は、凝縮器20の出側の冷媒の一部を、室内機3を通過することなく圧縮機10へ戻す「バイパス回路」を構成する。
【0021】
冷媒不足検知回路70は、キャピラリチューブ71と、ヒータ72と、温度センサ73と、電磁弁74とを含む。キャピラリチューブ71は、配管86と配管87との間に接続され、バイパス回路に流れる冷媒の流量を調整する。冷媒がキャピラリチューブ71を通過することによって冷媒の圧力は低下する。これにより、配管86から液冷媒が供給される場合は(冷媒量正常時)、キャピラリチューブ71を通過した冷媒は、乾き度の低い気液二相状態となる。一方、配管86から気液二相の冷媒が供給される場合は(冷媒不足時)、キャピラリチューブ71を通過した冷媒は、乾き度の高い気液二相状態となる。
【0022】
ヒータ72及び温度センサ73は、配管87に設けられる。ヒータ72は、キャピラリチューブ71を通過した冷媒を加熱する。冷媒は、ヒータ72によって加熱されることによりエンタルピが上昇する。ヒータ72は、基本的には、配管87の外部から冷媒を加熱するものとするが、ヒータ72から冷媒への伝熱をより確実にするために配管87の内部に設置されてもよい。
【0023】
温度センサ73は、ヒータ72による加熱部の下流において配管87を流れる冷媒の温度Tを検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。温度センサ73も、配管87の外部に設置されるものとするが、冷媒の温度をより確実に検出するために配管87の内部に設置されてもよい。冷媒不足検知回路70による冷媒不足検知の原理及び方法については、後ほど詳しく説明する。
【0024】
電磁弁74は、キャピラリチューブ71の上流の配管86に設けられ、制御装置100からの指示に従って開閉する。電磁弁74が開状態になると、バイパス回路に冷媒が流れ、冷媒不足検知回路70による冷媒不足が検知可能になる。電磁弁74が閉状態のときは、バイパス回路における冷媒の流れが遮断されるので、冷媒不足検知は実行不可となる。なお、電磁弁74は、キャピラリチューブ71の下流の配管87に設けてもよい。
【0025】
圧力センサ90は、圧縮機10の吸入側の冷媒圧力(低圧側圧力)LPを検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。バイパス回路の配管87は、圧縮機10の吸入側の配管85に接続されているので、配管87と配管85との接続部において圧損がないとすれば、圧力センサ90によってバイパス回路の配管87内の冷媒の圧力を検出することができる。
【0026】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)102と、メモリ104(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)等を含んで構成される。CPU102は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置100の処理手順が記されたプログラムである。制御装置100は、これらのプログラムに従って、室外機2における各機器の制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0027】
<冷媒不足検知の説明>
以下、冷媒不足検知回路70を用いた冷媒不足の検知方法について説明する。なお、冷媒不足は、冷媒回路への冷媒の初期充填量が不足していたり、使用開始後に冷媒漏れが生じた場合等に発生する。
【0028】
図2は、冷媒不足が発生していない正常時における、冷媒の圧力とエンタルピとの関係を示すp-h線図である。なお、以下では、冷媒不足が発生しておらず、冷媒量が適正な範囲内であるときを、冷媒量が「正常」であると称する。図2を参照して、縦軸は圧力pを示し、横軸は比エンタルピh(kJ/kg)(以下、単に「エンタルピ」と称する。)を示す。
【0029】
点P11~P14を結ぶ実線S1(以下「サイクル1」と称する。)は、冷媒量が正常である場合の冷媒の状態を示す。サイクル1において、点P14→点P11は、圧縮機10における冷媒の圧縮を示し(等エントロピ変化)、点P11→点P12は、凝縮器20における等圧冷却を示す。また、点P12→点P13は、膨張弁50における減圧を示し、点P13→点P14は、蒸発器60における等圧加熱を示す。
【0030】
点A1,B1,C1は、冷媒量が正常である場合に、図1に示したバイパス回路上の点A,B,Cにおける冷媒の状態をそれぞれ示す。点A1と点B1とを結ぶ点線L11は、冷媒不足検知回路70のキャピラリチューブ71による減圧を示す。点B1と点C1とを結ぶ点線L12は、冷媒不足検知回路70のヒータ72による等圧加熱を示す。バイパス回路の出側の配管87は、蒸発器60の出側の配管85に接続されているので、キャピラリチューブ71の出側の圧力(点B1の圧力)は、蒸発器60における圧力(点P13の圧力)と同じになる。ヒータ72の下流(点C1)における冷媒は、気液二相状態であり、過熱度SHは0である。
【0031】
図3は、冷媒不足時の冷媒の状態を示すp-h線図である。図3を参照して、点P21~P24を結ぶ実線S2(以下「サイクル2」と称する。)は、冷媒量が不足している場合の冷媒の状態を示す。サイクル2において、点P24→点P21は、圧縮機10における冷媒の圧縮を示し(等エントロピ変化)、点P21→点P22は、凝縮器20における等圧冷却を示す。また、点P22→点P23は、膨張弁50における減圧を示し、点P23→点P24は、蒸発器60における等圧加熱を示す。
【0032】
図示されるように、冷媒量が不足した状態で冷凍装置1が運転されると、凝縮器20において冷媒の凝縮が進まず、冷媒の過冷却度が減少し、凝縮器20の出側において冷媒が気液二相状態となる(点p22)。点A2,B2,C2は、冷媒量が不足している場合に、図1に示したバイパス回路上の点A,B,Cにおける冷媒の状態をそれぞれ示す。点A2と点B2とを結ぶ点線L21は、冷媒不足検知回路70のキャピラリチューブ71による減圧を示す。点B2と点C2とを結ぶ点線L22は、冷媒不足検知回路70のヒータ72による等圧加熱を示す。
【0033】
後ほど詳しく説明するが、本開示の室外機2では、凝縮器20の出側の配管83からバイパス回路が分岐する分岐部88(図1)に気液分離機構が設けられており、冷媒不足が生じている場合に、凝縮器20から出力される気液二相の冷媒から分離されたガス冷媒(気相の冷媒)がバイパス回路へ流される。これにより、冷媒不足が生じている場合、バイパス回路には、ガス冷媒か、極めて乾き度の高い冷媒が流入する(点A2)。キャピラリチューブ71の出側(点B2)における冷媒も、ガス冷媒か、極めて乾き度の高い冷媒となる。したがって、ヒータ72の下流(点C2)における冷媒は、ヒータ72により加熱されて確実に過熱度SHを有するガス冷媒となる(SH>0)。
【0034】
このように、冷媒量が不足している場合、バイパス回路に設けられる冷媒不足検知回路70においてヒータ72による加熱部を通過した冷媒に過熱度SHが生じる。一方、冷媒量が正常である場合は、加熱部を通過した冷媒に過熱度SHは生じない(SH=0)。そこで、この冷凍装置1では、冷媒不足検知回路70の加熱部を通過した冷媒の過熱度SHに基づいて、冷媒不足が生じているか否かが判定される。
【0035】
この室外機2によれば、冷媒量が不足することにより凝縮器20の出側において冷媒が気液二相状態になると、冷媒不足検知回路70の加熱部を通過した冷媒に過熱度SHが生じるので、冷媒不足を直ちに検知することができる。また、過負荷運転中など、冷媒量が正常であっても過冷却をとることができない運転状態においても、上記の過熱度SHに基づいて冷媒不足を検知することができる。
【0036】
なお、冷媒不足検知回路70の加熱部を通過した冷媒の過熱度SHは、温度センサ73の検出値と、圧力センサ90の検出値とから算出することができる。すなわち、温度センサ73の検出値は、ヒータ72により加熱された冷媒の温度を示す。また、圧力センサ90の検出値は、ヒータ72による加熱部における冷媒の圧力を示す。この冷媒圧力から、加熱部における冷媒の蒸発温度(冷凍装置1における低圧側の冷媒の飽和温度)を算出することができる。そして、圧力センサ90の検出値から算出される蒸発温度を温度センサ73の検出値から差引くことによって、ヒータ72により加熱された冷媒の過熱度SHを算出することができる。
【0037】
<気液分離機構の構成>
上述のように、この室外機2では、冷媒不足検知回路70の加熱部を通過した冷媒の過熱度SHに基づいて冷媒不足が検知される。具体的には、加熱部を通過した冷媒の過熱度SHが0であれば、冷媒量は正常であり、加熱部を通過した冷媒が過熱度を有する場合には(SH>0)、冷媒不足が生じているものと判定される。
【0038】
そのため、冷媒不足を精度良く検知するには、冷媒不足が生じている場合に、ヒータ72により加熱された冷媒が確実に過熱度SHを有するようにすることが必要である。冷媒不足が生じると、凝縮器20において冷媒の凝縮が進まず、凝縮器20の出側において冷媒が気液二相状態となる。この場合に、バイパス回路に液冷媒(液相の冷媒)が流入すると、ヒータ72により冷媒が加熱されても全て蒸発せず、ヒータ72により加熱された冷媒に過熱度SHが生じない可能性がある。
【0039】
そこで、この実施の形態1に従う室外機2では、バイパス回路が配管83から分岐する分岐部88(図1)において、バイパス回路が配管83から上方へ向けて分岐するように構成される(気液分離機構)。このような構成により、冷媒不足が生じている場合に、凝縮器20の出側において気液二相となった冷媒からガス冷媒を分離してバイパス回路へ流すことができる。バイパス回路には、ガス冷媒又は極めて乾き度の高い冷媒が流入するので、ヒータ72により冷媒が加熱されると、冷媒には確実に過熱度SHが生じる。これにより、冷媒不足が生じているにも拘わらず、ヒータ72により加熱された冷媒に過熱度SHが生じないことにより冷媒量は正常であると誤検知してしまうのを抑制することができる。
【0040】
図4は、実施の形態1における気液分離機構の構成の一例を示す図である。図中、矢印U方向は、鉛直上向きを示し、矢印D方向は、鉛直下向きを示す。図4を参照して、凝縮器20の出側の配管83は、バイパス回路(配管86)が分岐する分岐部88の少なくとも近傍において、鉛直方向に対して横向きに配設されている。そして、分岐部88においてバイパス回路が配管83から鉛直上方へ向けて分岐するように、配管86が配管83に接続されている。
【0041】
このような構成により、冷媒不足によって液冷媒とガス冷媒とから成る気液二相の冷媒76が配管83を流れている場合に、重力によって比重の大きい液冷媒が配管86に流入するのを抑制するとともに、比重の小さいガス冷媒を配管86へ流すことができる。ガス冷媒が配管86へ流れるのは、バイパス回路出側の配管87は、圧縮機10の吸入側すなわち冷凍装置1の低圧側に接続されているので、高圧側の配管83に対して配管86には負圧が生じているからである。
【0042】
なお、冷媒の流速によっては、ガス冷媒に伴なって液冷媒の一部が配管86に流入することもあるが、少なくとも、このような気液分離機構によって、配管86に流入する冷媒の乾き度を、分岐部88よりも上流の配管83を流れる冷媒の乾き度よりも高くすることができる。
【0043】
冷媒不足によって配管83内を気液二相冷媒が流れている場合に、液冷媒が配管86に流入するのを抑制するには、配管86の内径dを基準内径d0よりも大きくすることが好ましい。ここで、基準内径d0は、配管83に気液二相冷媒が流れている場合に、配管83から配管86に流入するガス冷媒の流速がゼロペネトレーション流速となるときの内径dである。ゼロペネトレーションとは、気液二相冷媒が配管内を上昇して流れる場合、ガス冷媒に伴なって液冷媒が管壁を上昇する現象であり、ゼロペネトレーション流速は、ガス冷媒に伴なって液冷媒が管壁を上昇し始めるときの冷媒の流速である。ゼロペネトレーション流速は、配管の内径、ガス冷媒の密度、液冷媒の密度から、公知の手法を用いて算出することができる。配管86の内径dを基準内径d0よりも大きくすることにより、配管86に流入するガス冷媒の流速はゼロペネトレーション流速よりも低くなるため、液冷媒が配管86に流入するのを抑制することができる。
【0044】
このような気液分離機構を設けることにより、冷媒不足が生じている場合、バイパス回路には、ガス冷媒か、極めて乾き度の高い冷媒が流入するので、ヒータ72により加熱された冷媒に確実に過熱度を生じさせることができる。
【0045】
一方、冷媒量が正常である場合には、配管83には過冷却状態まで冷却された液冷媒が流れるので、上記のような気液分離機構が設けられていても、バイパス回路には液冷媒が流入する。そのため、冷媒不足検知回路70においてヒータ72により冷媒が加熱されても冷媒が全て蒸発することはなく、加熱部を通過した冷媒に過熱度は生じない。
【0046】
なお、上記では、バイパス管を構成する配管86は、配管83から鉛直上方へ向けて分岐するものとしたが、配管86の分岐の方向は、必ずしも鉛直方向でなくてもよい。配管86の分岐方向は、重力によって比重の大きい液冷媒が配管86に流入するのを抑制できる程度に上向きであればよい。なお、配管86の分岐方向を鉛直上方とすることにより、重力を用いて最も効果的に気液二相冷媒からガス冷媒を分離させることができる。
【0047】
図5は、図1に示した制御装置100により実行される冷媒不足判定の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、冷凍装置1が定常的な運転を行なっている間、繰り返し実行される。
【0048】
図5を参照して、制御装置100は、冷媒不足判定制御を実行するタイミングであるか否かを判定する(ステップS10)。冷媒不足判定制御は、たとえば、1日に1回の頻度で実行される。冷媒不足判定制御を実行するタイミングではないと判定されたときは(ステップS10においてNO)、制御装置100は、以降の一連の処理を実行することなくリターンへと処理を移行する。なお、フローチャート内にこのような判定処理を設けることなく、冷媒不足判定制御を実行するタイミングとなった場合に、当該フローチャートに示されるステップS20以降の一連の処理をスタートさせるようにしてもよい。
【0049】
ステップS10において冷媒不足判定制御を実行するタイミングであると判定されると(ステップS10においてYES)、制御装置100は、電磁弁74をON(開)にするとともに(ステップS20)、ヒータ72をON(作動)にする(ステップS30)。
【0050】
次いで、制御装置100は、ヒータ72による冷媒の加熱が定常状態となるのに十分な所定時間が経過すると(ステップS40においてYES)、制御装置100は、温度センサ73から温度Tの検出値を取得するとともに、圧力センサ90から圧力LPの検出値を取得する(ステップS50)。
【0051】
そして、制御装置100は、取得された温度T及び圧力LPの各検出値を用いて、加熱部を通過した冷媒の過熱度SHを算出する(ステップS60)。具体的には、冷媒の圧力と蒸発温度(飽和温度)との関係が、予めマップやテーブル等としてメモリ104のROMに記憶されており、制御装置100は、当該マップ等を用いて、加熱部における冷媒の圧力を示す圧力LPの検出値から、加熱部における冷媒の蒸発温度を算出する。そして、制御装置100は、その算出された蒸発温度を、ステップS50において取得された温度Tから差引くことによって、ヒータ72により加熱された冷媒の過熱度SHを算出する。
【0052】
ヒータ72の下流における冷媒の過熱度SHが算出されると、制御装置100は、過熱度SHがしきい値SHthよりも高いか否かを判定する(ステップS70)。このしきい値SHthは、ヒータ72により加熱された冷媒に過熱度SHが生じているか否かを判定するためのものであり、過熱度SHの算出精度に基づいて適宜設定される。
【0053】
そして、ステップS70において、過熱度SHがしきい値SHthよりも高いと判定されると(ステップS70においてYES)、制御装置100は、冷媒量が不足しているものと判定し(ステップS80)、冷媒不足が生じている旨のアラームを出力する(ステップS90)。その後、制御装置100は、ヒータ72をOFF(停止)にするとともに(ステップS100)、電磁弁74をOFF(閉)にする(ステップS110)。その後、制御装置100は、リターンへと処理を移行し、冷媒不足判定処理が終了する。
【0054】
なお、ステップS70において、過熱度SHがしきい値SHth以下であると判定されると(ステップS70においてNO)、制御装置100は、ステップS80,S90を実行することなくステップS100へ処理を移行し、ヒータ72をOFF(停止)にするとともに電磁弁74をOFF(閉)にする。すなわち、この場合は、冷媒量は正常であると判断される。
【0055】
以上のように、この実施の形態1においては、冷媒不足検知回路70のヒータ72により加熱された冷媒の過熱度SHに基づいて、冷媒不足が生じているかが判定される。これにより、冷媒不足が生じて凝縮器20の出側において冷媒が気液二相状態になると、上記の過熱度SHが生じるので、冷媒不足を直ちに検知することができる。また、過負荷運転中など、冷媒量が正常であっても過冷却をとることができない運転状態においても、上記の過熱度SHに基づいて冷媒不足を検知することができる。
【0056】
そして、この実施の形態1では、バイパス回路(配管86)が配管83から上方へ向けて分岐するように構成される。これにより、冷媒不足が生じている場合に、凝縮器20の出側において気液二相となった冷媒からガス冷媒を分離してバイパス回路へ流すことができる。バイパス回路には、ガス冷媒又は極めて乾き度の高い冷媒が流入するので、ヒータ72により加熱された冷媒には確実に過熱度SHが生じる。これにより、冷媒不足が生じているにも拘わらず上記の過熱度SHが生じないことにより冷媒量は正常であると誤検知してしまうのを抑制することができる。
【0057】
実施の形態2.
この実施の形態2は、気液分離機構の構成が実施の形態1と異なる。
【0058】
図6は、実施の形態2における気液分離機構の構成の一例を示す図である。図4と同様に、矢印U方向は、鉛直上向きを示し、矢印D方向は、鉛直下向きを示す。図6を参照して、凝縮器20の出側の配管83は、第1部位110と、第2部位112とを含んで構成される。第1部位110は、鉛直方向に対して横向きに配設される。第2部位112は、第1部位110の下流に設けられ、分岐部88から配管86と反対方向の鉛直下向きへ延びるように配設されている。
【0059】
このような構成により、冷媒不足によって液冷媒とガス冷媒とから成る気液二相の冷媒が配管83を流れている場合に、比重の大きい液冷媒は、重力によって第2部位112へ流れやすくなる。これにより、図4に示した構成よりも、より効果的に気液分離が行なわれる。したがって、実施の形態1よりも顕著にガス冷媒を配管86に流入させることができる。
【0060】
なお、この実施の形態2においても、配管86の内径dを基準内径d0よりも大きくすることが好ましい。これにより、配管86に流入するガス冷媒の流速をゼロペネトレーション流速よりも低くすることができるので、冷媒不足が発生している場合に配管83から配管86へ液冷媒が流入するのを抑制することができる。
【0061】
なお、この実施の形態2においても、冷媒量が正常である場合には、配管83には過冷却状態まで冷却された液冷媒が流れるので、上記のような気液分離機構が設けられていても、バイパス回路には液冷媒が流入する。したがって、冷媒不足検知回路70においてヒータ72により冷媒が加熱されても冷媒が全て蒸発することはなく、加熱部を通過した冷媒に過熱度は生じない。
【0062】
なお、この実施の形態2に従う室外機2及びそれが用いられる冷凍装置1の構成は、上述した気液分離機構の構成を除いて、図1に示した構成と同じである。
【0063】
以上のように、この実施の形態2によれば、冷媒不足が生じている場合に、配管83を流れる気液二相冷媒からより効果的にガス冷媒を分離してバイパス回路に流すことができる。その結果、より安定的に誤検知なく冷媒不足を検知することができる。
【0064】
実施の形態3.
この実施の形態3は、実施の形態2における気液分離機構の構成において、配管83を流れる冷媒に分岐部88において旋回流を生じさせる構成をさらに有する。これにより、冷媒不足が生じている場合に、旋回流による遠心分離も加わってより効果的な気液分離が行なわれ、より顕著にガス冷媒を配管86に流入させることができる。
【0065】
図7は、実施の形態3における気液分離機構の構成の一例を示す図である。この図7は、配管83から配管86が分岐する分岐部88を鉛直上方から視たときの図である。なお、分岐部88を側方から視たときの気液分離機構の構成は、図6に示した実施の形態2における気液分離機構と同じである。
【0066】
図7を参照して、この実施の形態3では、分岐部88を鉛直上方から視た場合に、配管83の第1部位110の中心線O1と、第2部位112の中心線O2とがオフセットを有している。このため、配管83において第1部位110から第2部位112へ冷媒が流入すると、中心線O2を中心に旋回流が生じる。
【0067】
これにより、冷媒不足によって凝縮器20の出側で気液二相となった冷媒が第1部位110から第2部位112へ流入すると、比重の高い液冷媒は、遠心力によって第2部位112の内壁に沿って流れ、ガス冷媒は、配管の中心部に集まる。このように、旋回流による遠心分離を用いて気液二相冷媒からガス冷媒をより効果的に分離し、分離されたガス冷媒を配管86へ流入させることができる。
【0068】
この実施の形態3によれば、冷媒不足が生じている場合に、配管83を流れる気液二相冷媒からさらに効果的にガス冷媒を分離してバイパス回路に流すことができる。その結果、さらに安定的に誤検知なく冷媒不足を検知することができる。
【0069】
実施の形態4.
上記の各実施の形態で説明した気液分離機構によっても、液冷媒の一部が液滴となってガス冷媒とともにバイパス回路に流入することがあり得る。そこで、この実施の形態4では、分岐部88からガス冷媒とともにバイパス回路に流入した液滴を捕捉するメッシュ状部材が配管86に設けられる。
【0070】
図8は、実施の形態4における気液分離機構の構成の一例を示す図である。図8を参照して、この気液分離機構は、図4に示した実施の形態1の構成において、メッシュ状部材120をさらに備える。メッシュ状部材120は、バイパス回路の配管86に設けられ、分岐部88からの配管86の立上り部分に配設されている。
【0071】
メッシュ状部材120は、冷媒不足によって配管83に気液二相冷媒が流れている場合に、分岐部88において分離されたガス冷媒はメッシュの目を通じて通過させつつ、分岐部88から不意に飛翔してくる液滴を捕捉する。メッシュ状部材120は、分岐部88から飛翔してくる液滴の全てを捕捉できるわけではないが、少なくとも一部を捕捉することができる。捕捉された液滴は、捕捉量が増えると塊となって分岐部88へ落下する。
【0072】
なお、メッシュ状部材120は、冷媒量が正常であって配管83から配管86へ液冷媒が流れる場合には、目を通じて液冷媒を通過させる。
【0073】
この実施の形態4によれば、メッシュ状部材120が設けられることにより、冷媒不足によって気液二相冷媒が配管83を流れている場合に、冷媒不足検知回路70に液冷媒(液滴)が流入し、ヒータ72により加熱された冷媒に過熱度SHが生じなくなることを回避することができる。
【0074】
なお、上記においては、図4に示した実施の形態1の構成にメッシュ状部材120がさらに設けられるものとしたが、図9に示されるように、図6に示した実施の形態2又は実施の形態3の構成にメッシュ状部材120をさらに設けてもよい。
【0075】
その他の変形例.
上記の各実施の形態では、ヒータ72の下流に温度センサ73が設けられ、温度センサ73により検出される温度Tと、圧力センサ90により検出される圧力LPから算出される蒸発温度とから過熱度SHを算出するものとしたが、キャピラリチューブ71とヒータ72との間に蒸発温度(低圧飽和温度)を検出する温度センサをさらに設け、当該温度センサの検出値を温度センサ73の検出値から差引くことによって過熱度SHを測定してもよい。
【0076】
このような温度センサを設けることによって、過熱度SHの測定精度を向上させ、ひいては冷媒不足の検知精度を向上し得る。一方、冷凍装置においては、一般的に、圧縮機の吸入側の圧力を検出する圧力センサが設けられている。このような圧力センサ90を過熱度SHの導出に用いる上記の各実施の形態によれば、キャピラリチューブ71とヒータ72との間に温度センサを別途設けることなく、既設の圧力センサ90を用いて冷媒不足検知を行なうことができる。
【0077】
また、上記の各実施の形態では、凝縮器20の出側の配管83からバイパス回路を分岐させるものとしたが、図10に示すように、凝縮器20の出側に液溜器30及び熱交換器40がさらに設けられている場合には、液溜器30と熱交換器40との間の配管82からバイパス回路を分岐させてもよい。
【0078】
冷凍装置においては、一般的に、このような液溜器及び熱交換器が設けられることが多い。そして、冷媒量が正常であれば、液溜器30に液冷媒が貯留されており、配管82及びバイパス回路の配管86には液冷媒が流れる。一方、冷媒不足が発生すると、液溜器30に液冷媒が貯留されなくなるため、バイパス回路の配管86には、気液二相或いは気相単体の冷媒が流れる。したがって、このような構成によっても、バイパス回路に設けられる冷媒不足検知回路70によって冷媒不足を検知することができる。
【0079】
また、上記の各実施の形態及び変形例では、倉庫やショーケース等に主に用いられる室外機及び冷凍装置について代表的に説明したが、本開示に従う室外機は、図11に示されるように、冷凍サイクルを用いた空気調和装置200にも適用可能である。
【0080】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 冷凍装置、2 室外機、3 室内機、10 圧縮機、20 凝縮器、22,42,62 ファン、30 液溜器、40 熱交換器、50 膨張弁、60 蒸発器、70 冷媒不足検知回路、71 キャピラリチューブ、72 ヒータ、73 温度センサ、74 電磁弁、80~87 配管、88 分岐部、90 圧力センサ、100 制御装置、102 CPU、104 メモリ、110 第1部位、112 第2部位、120 メッシュ状部材、200 空気調和装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11