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特許7196188ガスセンサへの保護チューブ装着装置およびガスセンサへの保護チューブ装着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ガスセンサへの保護チューブ装着装置およびガスセンサへの保護チューブ装着方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20221219BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G01N27/416 331
G01N27/416 371G
G01N27/409 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020549273
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037528
(87)【国際公開番号】W WO2020067127
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2018185362
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇也
(72)【発明者】
【氏名】牧 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】曽我 至
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-172533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0033986(US,A1)
【文献】特開2000-55869(JP,A)
【文献】実開昭53-144391(JP,U)
【文献】実開平5-25352(JP,U)
【文献】特開2017-20984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/416
G01N 27/409
G01N 27/41
G01N 27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスセンサにケーブルを保護する保護チューブを装着するための装置であって、
前記ケーブルに前記保護チューブが環装された前記ガスセンサを固定可能な支持部を有してなり、かつ、
前記支持部に前記ガスセンサが固定された場合に前記ガスセンサが長手方向に延在することとなる方向を装置長手方向とし、当該装置長手方向において、前記ガスセンサの前記ケーブルが位置することになる側を後端側と称し、その反対側を先端側と称するときに、
前記支持部よりも後端側に設けられてなり、前記後端側に向かうほど幅細となる挿入爪を有してなるとともに、前記挿入爪をなす面の1つが前記装置長手方向に沿って互いに対向する一対のチューブ端開口治具と、
前記装置長手方向において前記一対のチューブ端開口治具よりも後端側に設けられてなる一対の第1チャックと、
前記装置長手方向において前記一対の第1チャックよりも後端側に設けられてなる一対の第2チャックと、
前記保護チューブの一方端部が所定のチューブ端検知位置に到達したことを検知可能なチューブ端検知センサと、
前記装置の各部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記一対のチューブ端開口治具は、前記制御部からの実行指示に基づき、前記長手方向を含む一つの面内の所定範囲における移動を、少なくとも実行可能に設けられており、
前記一対の第2チャックは、前記制御部からの実行指示に基づき、前記ガスセンサが前記支持部に固定されてなる状態において、前記保護チューブを把持して移動することで前記保護チューブを前記ガスセンサから離隔させて前記ケーブルを露出させる離隔動作を、少なくとも実行可能に設けられており、
前記一対の第1チャックは、前記制御部からの実行指示に基づき、前記ガスセンサが前記支持部に固定されてなる状態において、前記保護チューブを把持して移動することで前記保護チューブを前記ガスセンサに接近させる接近動作を、少なくとも実行可能に設けられており、
前記離隔動作は、
前記ガスセンサが前記支持部に固定された後に開始され、
前記チューブ端検知センサによって前記保護チューブの前記一方端部が前記チューブ端検知位置に到達したことが検知された時点で停止され、
前記接近動作は、前記一対の第1チャックと前記保護チューブの前記一方端部との距離があらかじめ定められた第1の距離である状態で行われ、
前記接近動作の開始後に、
前記離隔動作後における前記ケーブルの露出範囲のなかからあらかじめ定められてなるチューブ掛合位置に対する、前記一対のチューブ端開口治具の接近配置と、
前記一対のチューブ端開口治具の前記挿入爪が前記ケーブルともども前記接近動作途中の前記保護チューブの内側に前記一方端部から挿入されていくことによる、前記保護チューブと前記挿入爪との掛合と、
が行われ、
前記接近動作は、前記一対の第1チャックと前記ケーブルを挟持してなる前記一対のチューブ端開口治具との距離が所定の第2の距離となったところで停止され、
前記接近動作の停止後に、前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの把持が解除され、
前記一対の第1チャックによる前記把持の解除後、前記一対のチューブ端開口治具を前記ガスセンサに沿って移動させることによって、前記挿入爪に掛合されてなる前記保護チューブを前記ガスセンサが囲繞されるように前記一方端部側から拡幅しつつ移動させ、
前記保護チューブの前記一方端部が、前記ガスセンサにおいてあらかじめ定められた装着時の前記保護チューブの被覆限界位置に相当する位置に到達した以降は、前記一対のチューブ端開口治具を前記先端側へ移動させて前記挿入爪を前記保護チューブから徐々に離脱させることによって、前記一対のチューブ端開口治具によって拡幅されていた前記保護チューブを徐々に収縮させることで、前記保護チューブを前記ガスセンサに装着する、
ことを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサへの保護チューブ装着装置であって、
前記ガスセンサに対しあらかじめ定められてなる前記保護チューブの前記被覆限界位置を含む所定範囲を撮像可能な撮像手段、
をさらに備え、
前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記ガスセンサに対する前記保護チューブの装着が適切か否かを判定する、
ことを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサへの保護チューブ装着装置であって、
前記チューブ端検知センサが、検知光における色情報の変化を検知可能な色識別センサであり、
少なくとも前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの前記離隔動作が開始されるまでの時点には、前記チューブ端検知位置における前記検知光の受光が開始され、前記検知光における色情報の変化に基づいて、前記保護チューブの前記一方端部が前記チューブ端検知位置に到達したことが検知される、
ことを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着装置。
【請求項4】
ガスセンサにケーブルを保護する保護チューブを装着する方法であって、
前記ケーブルに前記保護チューブが環装された前記ガスセンサを所定の支持部に固定する、固定工程を有してなるとともに、
前記ガスセンサの長手方向において、前記ケーブルが備わる側を後端側と称し、その反対側を先端側と称するときに、
前記固定工程によって固定された前記ガスセンサの前記保護チューブを前記ガスセンサから離隔させ、前記保護チューブの一方端部が所定のチューブ端検知位置に到達したことが所定のチューブ端検知センサによって検知された時点で前記保護チューブの前記ガスセンサからの離隔を停止する離隔工程と、
前記離隔工程の後、前記一方端部とあらかじめ定められた第1の距離隔てられた位置で一対の第1チャックに前記保護チューブを把持させた状態で、前記一対の第1チャックを移動させることで、前記保護チューブを前記ガスセンサに接近させる接近工程と、
前記接近工程の途中で行われる、
前記離隔工程による前記ケーブルの露出範囲のなかからあらかじめ定められてなるチューブ掛合位置に、前記後端側に向かうほど幅細となる挿入爪を有してなる一対のチューブ端開口治具を、前記挿入爪をなす面の1つが前記長手方向に沿って互いに対向するように配置する、配置工程と、
前記チューブ掛合位置に配置された前記一対のチューブ端開口治具の前記挿入爪が前記ケーブルともども前記ガスセンサに接近途中の前記保護チューブの内側に前記一方端部側から挿入されていくようにすることで、前記保護チューブと前記挿入爪とを掛合させる、掛合工程と、
を含む接近途中工程と、
前記一対の第1チャックと前記一対のチューブ端開口治具との距離が所定の第2の距離となったところで前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの前記ガスセンサへの接近を停止する接近停止工程と、
前記接近停止工程の後に、前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの把持を解除する把持解除工程と、
前記把持解除工程の後、前記一対のチューブ端開口治具を前記ガスセンサに沿って移動させることによって、前記挿入爪に掛合されてなる前記保護チューブを前記ガスセンサが囲繞されるように前記一方端部側から拡幅しつつ移動させる、拡幅工程と、
前記拡幅工程によって、前記一方端部が、前記ガスセンサにおいてあらかじめ定められた装着時の前記保護チューブの被覆限界位置に相当する位置に到達した以降、前記一対のチューブ端開口治具を前記先端側へ移動させて前記挿入爪を前記保護チューブから徐々に離脱させることによって、前記一対のチューブ端開口治具によって拡幅されていた前記保護チューブを徐々に収縮させることで、前記保護チューブを前記ガスセンサに装着する、装着工程と、
を備えることを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着方法。
【請求項5】
請求項4に記載のガスセンサへの保護チューブ装着方法であって、
前記離隔工程においては、前記一対の第1チャックよりも前記後端側に配置した一対の第2チャックによって前記保護チューブを前記ガスセンサから離隔させる、
ことを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のガスセンサへの保護チューブ装着方法であって、
前記ガスセンサに対しあらかじめ定められてなる前記保護チューブの前記被覆限界位置を含む所定範囲を所定の撮像手段によって撮像し、得られた撮像画像に基づいて、前記ガスセンサに対する前記保護チューブの装着が適切か否かを判定する、
ことを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着方法。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のガスセンサへの保護チューブ装着方法であって、
前記チューブ端検知センサが、検知光における色情報の変化を検知可能な色識別センサであり、
少なくとも前記離隔工程が開始されるまでの時点には、前記チューブ端検知位置における前記検知光の受光が開始され、前記検知光における色情報の変化に基づいて、前記保護チューブの前記一方端部が前記チューブ端検知位置に到達したことが検知される、
ことを特徴とする、ガスセンサへの保護チューブ装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサにケーブル類を保護するチューブを装着する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のエンジン等の内燃機関における燃焼ガスや排気ガス等の被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定する装置として、ジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスを用いてセンサ素子を形成したガスセンサが公知である。
【0003】
係るガスセンサは、通常、セラミックス製の長尺板状のセンサ素子(検出素子)を内部に備える一方、外側をカバーやケーシングと称される部材で覆った構成を有してなる。係るカバー等からは、センサ素子と外部の駆動制御部とを電気的に接続するためのケーブル類(接続導体)が適宜に引き出されてなる(例えば、特許文献1参照)。ケーブル類は、ガスセンサの一方端部ともども、難燃性、耐腐食性、絶縁性などを有し、かつ、伸縮性および可撓性を有する保護チューブにて被覆されてなる。
【0004】
ガスセンサに対する保護チューブの装着を好適に行える方法および装置が、すでに公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に開示された方法では、チューブ端開口治具に保護チューブを被せる工程につき、必ずしも装置による自動化が必須とはなっておらず、手作業で行うことも想定されている。しかしながら、手作業の場合、被せ量(保護チューブによる被覆範囲)が一定にならないという問題がある。
【0006】
より具体的には、特許文献2に開示された方法では、一対のチューブ端開口治具を保護チューブの端部に挿入したうえで互いに離隔させることで開口させた保護チューブ内に、ガスセンサを挿入し、その後チューブ端開口治具を保護チューブから抜くことで、保護チューブによる被覆を行うが、これらの作業を手動の装置で行う場合、作業者の作業スピードが遅く、係る挿入がなされるまでの待機時間が長くなると、チューブ端開口治具によって端部を保持されている保護チューブが徐々にずれていってしまい、結果として、ガスセンサへの被せ量が一定にならないことがある。
【0007】
保護チューブの被せ量が規格を外れると、被覆処理をやり直す必要があるが、このようなやり直しは、生産効率の観点から好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-172515号公報
【文献】特許第6227447号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ガスセンサに対しこれに付随するケーブル類を保護する保護チューブを確実にかつ安定的に装着することが出来る装置を提供することを目的とする。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、ガスセンサにケーブルを保護する保護チューブを装着するための装置が、前記ケーブルに前記保護チューブが環装された前記ガスセンサを固定可能な支持部を有してなり、かつ、前記支持部に前記ガスセンサが固定された場合に前記ガスセンサが長手方向に延在することとなる方向を装置長手方向とし、当該装置長手方向において、前記ガスセンサの前記ケーブルが位置することになる側を後端側と称し、その反対側を先端側と称するときに、前記支持部よりも後端側に設けられてなり、前記後端側に向かうほど幅細となる挿入爪を有してなるとともに、前記挿入爪をなす面の1つが前記装置長手方向に沿って互いに対向する一対のチューブ端開口治具と、前記装置長手方向において前記一対のチューブ端開口治具よりも後端側に設けられてなる一対の第1チャックと、前記装置長手方向において前記一対の第1チャックよりも後端側に設けられてなる一対の第2チャックと、前記保護チューブの一方端部が所定のチューブ端検知位置に到達したことを検知可能なチューブ端検知センサと、前記装置の各部の動作を制御する制御部と、を備え、前記一対のチューブ端開口治具は、前記制御部からの実行指示に基づき、前記長手方向を含む一つの面内の所定範囲における移動を、少なくとも実行可能に設けられており、前記一対の第2チャックは、前記制御部からの実行指示に基づき、前記ガスセンサが前記支持部に固定されてなる状態において、前記保護チューブを把持して移動することで前記保護チューブを前記ガスセンサから離隔させて前記ケーブルを露出させる離隔動作を、少なくとも実行可能に設けられており、前記一対の第1チャックは、前記制御部からの実行指示に基づき、前記ガスセンサが前記支持部に固定されてなる状態において、前記保護チューブを把持して移動することで前記保護チューブを前記ガスセンサに接近させる接近動作を、少なくとも実行可能に設けられており、前記離隔動作は、前記ガスセンサが前記支持部に固定された後に開始され、前記チューブ端検知センサによって前記保護チューブの前記一方端部が前記チューブ端検知位置に到達したことが検知された時点で停止され、前記接近動作は、前記一対の第1チャックと前記保護チューブの前記一方端部との距離があらかじめ定められた第1の距離である状態で行われ、前記接近動作の開始後に、前記離隔動作後における前記ケーブルの露出範囲のなかからあらかじめ定められてなるチューブ掛合位置に対する、前記一対のチューブ端開口治具の接近配置と、前記一対のチューブ端開口治具の前記挿入爪が前記ケーブルともども前記接近動作途中の前記保護チューブの内側に前記一方端部から挿入されていくことによる、前記保護チューブと前記挿入爪との掛合と、が行われ、前記接近動作は、前記一対の第1チャックと前記ケーブルを挟持してなる前記一対のチューブ端開口治具との距離が所定の第2の距離となったところで停止され、前記接近動作の停止後に、前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの把持が解除され、前記一対の第1チャックによる前記把持の解除後、前記一対のチューブ端開口治具を前記ガスセンサに沿って移動させることによって、前記挿入爪に掛合されてなる前記保護チューブを前記ガスセンサが囲繞されるように前記一方端部側から拡幅しつつ移動させ、前記保護チューブの前記一方端部が、前記ガスセンサにおいてあらかじめ定められた装着時の前記保護チューブの被覆限界位置に相当する位置に到達した以降は、前記一対のチューブ端開口治具を前記先端側へ移動させて前記挿入爪を前記保護チューブから徐々に離脱させることによって、前記一対のチューブ端開口治具によって拡幅されていた前記保護チューブを徐々に収縮させることで、前記保護チューブを前記ガスセンサに装着する、ようにした。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係るガスセンサへの保護チューブ装着装置において、前記ガスセンサに対しあらかじめ定められてなる前記保護チューブの前記被覆限界位置を含む所定範囲を撮像可能な撮像手段、をさらに備え、前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記ガスセンサに対する前記保護チューブの装着が適切か否かを判定する、ようにした。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に係るガスセンサへの保護チューブ装着装置において、前記チューブ端検知センサが、検知光における色情報の変化を検知可能な色識別センサであり、少なくとも前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの前記離隔動作が開始されるまでの時点には、前記チューブ端検知位置における前記検知光の受光が開始され、前記検知光における色情報の変化に基づいて、前記保護チューブの前記一方端部が前記チューブ端検知位置に到達したことが検知される、ようにした。
【0013】
本発明の第4の態様は、ガスセンサにケーブルを保護する保護チューブを装着する方法が、前記ケーブルに前記保護チューブが環装された前記ガスセンサを所定の支持部に固定する、固定工程を有してなるとともに、前記ガスセンサの長手方向において、前記ケーブルが備わる側を後端側と称し、その反対側を先端側と称するときに、前記固定工程によって固定された前記ガスセンサの前記保護チューブを前記ガスセンサから離隔させ、前記保護チューブの一方端部が所定のチューブ端検知位置に到達したことが所定のチューブ端検知センサによって検知された時点で前記保護チューブの前記ガスセンサからの離隔を停止する離隔工程と、前記離隔工程の後、前記一方端部とあらかじめ定められた第1の距離隔てられた位置で一対の第1チャックに前記保護チューブを把持させた状態で、前記一対の第1チャックを移動させることで、前記保護チューブを前記ガスセンサに接近させる接近工程と、前記接近工程の途中で行われる、前記離隔工程による前記ケーブルの露出範囲のなかからあらかじめ定められてなるチューブ掛合位置に、前記後端側に向かうほど幅細となる挿入爪を有してなる一対のチューブ端開口治具を、前記挿入爪をなす面の1つが前記長手方向に沿って互いに対向するように配置する、配置工程と、前記チューブ掛合位置に配置された前記一対のチューブ端開口治具の前記挿入爪が前記ケーブルともども前記ガスセンサに接近途中の前記保護チューブの内側に前記一方端部側から挿入されていくようにすることで、前記保護チューブと前記挿入爪とを掛合させる、掛合工程と、を含む接近途中工程と、前記一対の第1チャックと前記一対のチューブ端開口治具との距離が所定の第2の距離となったところで前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの前記ガスセンサへの接近を停止する接近停止工程と、前記接近停止工程の後に、前記一対の第1チャックによる前記保護チューブの把持を解除する把持解除工程と、前記把持解除工程の後、前記一対のチューブ端開口治具を前記ガスセンサに沿って移動させることによって、前記挿入爪に掛合されてなる前記保護チューブを前記ガスセンサが囲繞されるように前記一方端部側から拡幅しつつ移動させる、拡幅工程と、前記拡幅工程によって、前記一方端部が、前記ガスセンサにおいてあらかじめ定められた装着時の前記保護チューブの被覆限界位置に相当する位置に到達した以降、前記一対のチューブ端開口治具を前記先端側へ移動させて前記挿入爪を前記保護チューブから徐々に離脱させることによって、前記一対のチューブ端開口治具によって拡幅されていた前記保護チューブを徐々に収縮させることで、前記保護チューブを前記ガスセンサに装着する、装着工程と、を備えるようにした。
【0014】
本発明の第5の態様は、第4の態様に係るガスセンサへの保護チューブ装着方法において、前記離隔工程においては、前記一対の第1チャックよりも前記後端側に配置した一対の第2チャックによって前記保護チューブを前記ガスセンサから離隔させる、ようにした。
【0015】
本発明の第6の態様は、第4または第5の態様に係るガスセンサへの保護チューブ装着方法において、前記ガスセンサに対しあらかじめ定められてなる前記保護チューブの前記被覆限界位置を含む所定範囲を所定の撮像手段によって撮像し、得られた撮像画像に基づいて、前記ガスセンサに対する前記保護チューブの装着が適切か否かを判定する、ようにした。
【0016】
本発明の第7の態様は、第4ないし第6の態様のいずれかに係るガスセンサへの保護チューブ装着方法において、前記チューブ端検知センサが、検知光における色情報の変化を検知可能な色識別センサであり、少なくとも前記離隔工程が開始されるまでの時点には、前記チューブ端検知位置における前記検知光の受光が開始され、前記検知光における色情報の変化に基づいて、前記保護チューブの前記一方端部が前記チューブ端検知位置に到達したことが検知される、ようにした。
【0017】
本発明の第1ないし第7の態様によれば、ガスセンサに対し、あらかじめ該ガスセンサの一方端部から延在するケーブルに環装されてなる保護チューブを装着するに際して、保護チューブを把持してガスセンサに接近させる第1チャックと、保護チューブの一方端部との距離を、あらかじめ定めた固定値とし、さらには、保護チューブを把持した当該第1チャックを、保護チューブをチューブ端開口治具と掛合させるべく移動させる際の当該第1チャックとチューブ端開口治具との最接近距離と、保護チューブの端部を拡幅させたうえでガスセンサに装着させる際のチューブ端開口治具の移動距離についても、固定値とするので、保護チューブの被せ量が常に略一定に保たれる。これにより、保護チューブを確実かつ安定的な装着が実現される。
【0018】
しかも、接近動作に際しては、いったん保護チューブを離隔させ、保護チューブの一方端部がチューブ端検知位置に到達したことを所定のチューブ端検知センサによって検知することで、チャックと保護チューブの端部との距離が固定値に設定されるので装着処理の開始時点において、保護チューブについて位置決めをする必要がない。
【0019】
特に、第2および第6の態様によれば、保護チューブの装着不良の発生が、確実に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ガスセンサ1の外観斜視図である。
図2】装着装置100の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】装着処理に際し機能する構成要素の配置および動作について模式的に示す装着装置100の構成図である。
図4】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図5】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図6】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図7】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図8】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図9】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図10】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図11】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図12】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図13】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
図14】ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<ガスセンサの外観構成>
図1は、後述する装着処理の対象となる(装着処理前の)ガスセンサ(より詳細には、その本体部)1の外観斜視図である。本実施の形態において、ガスセンサ1とは、その内部に備わる図示しないセンサ素子によって所定のガス成分(例えば、NOx等)を検出するためのものである。
【0022】
ガスセンサ1の外側部分は、主として、第1カバー2と、固定ボルト3と、第2カバー4とから構成される。
【0023】
第1カバー2は、センサ素子のうち、使用時に被検ガスに直接に接触する部分を保護する、金属製の略円筒状の外装部材である。
【0024】
また、より詳細には、第1カバー2は、外側カバー2aと内側カバー(図示省略)との2層構造となっている。外側カバー2aと内側カバーは、それぞれ、一方側が有底の円筒状をしているとともに、気体が通過可能な複数の貫通孔が設けられてなる。なお、図1には、外側カバー2aに設けられた貫通孔H1を例示しているが、これはあくまで例示であって、貫通孔の配置位置および配置個数は、第1カバー2の内部への被測定ガスの流入態様を考慮して適宜に定められてよい。また、第1カバー2および第2カバー4の形状もあくまで例示であって、実際の形状は異なっている場合もある。
【0025】
固定ボルト3は、ガスセンサ1を測定位置に固定する際に用いられる金属製の環状の部材である。固定ボルト3は、ねじ切りがされたボルト部3aと、ボルト部3aを螺合する際に保持される保持部3bとを備えている。ボルト部3aは、ガスセンサ1の取り付け位置に設けられたナットと螺合する。例えば、自動車の排気管に設けられたナット部にボルト部3aが螺合されることで、ガスセンサ1は、第1カバー2の側が排気管内に露出する態様にて該排気管に固定される。
【0026】
第2カバー4は、ガスセンサ1の他の部位を保護する金属製の円筒状部材である。第2カバー4の端部からは、ガスセンサ1と(より詳細には内部のセンサ素子と)図示しない駆動制御部とを電気的に接続するためのケーブルCが延在している。なお、図1および以降の図においては、図示の簡単のため、ケーブルCがあたかも1本であるかのようになっているが、実際には、ケーブルCは、複数のケーブル類の束となっている。
【0027】
<保護チューブの装着装置とこれを用いた装着処理の概要>
次に、本実施の形態において行う、保護チューブの装着処理について説明する。本実施の形態における保護チューブの装着処理とは、ケーブルCを被覆し保護する保護チューブ5(図3等参照)を、ガスセンサ1に装着し、固定する処理である。保護チューブ5は、例えばワニスチューブのような、難燃性、耐腐食性、絶縁性などを有し、かつ、伸縮性および可撓性を有するチューブである。保護チューブ5の色味は、ケーブルCの色味(より詳細には、複数のケーブル類の束の全体としての色味)とは異なるものとされる。
【0028】
概略的にいえば、本実施の形態においては、あらかじめ前工程においてケーブルCのところに保護チューブ5を環装してなるガスセンサ1を用意し、保護チューブ5の端部部分を開口させつつ該開口部分にて第2カバー4の端部を被覆することによって保護チューブ5をガスセンサ1に装着する、という処理を行う。なお、これに続きイヤークランプにて装着部分を固定する、という処理を行うようになっていてもよい。
【0029】
図2は、係る装着処理に用いる装着装置100の概略的な構成を示すブロック図である。また、図3は、装着処理に際し機能する構成要素の配置および動作について模式的に示す装着装置100の構成図である。なお、図3には、図面視上側を正の向きとするZ軸座標を付している。
【0030】
以降においては、第1カバー2からケーブルCに向かう方向をガスセンサ1の長手方向と称し、該長手方向に垂直な方向をガスセンサ1の短手方向と称する。また、ガスセンサ1の長手方向において第1カバー2の備わる側をガスセンサ1の先端側と称し、ケーブルCが備わる側を後端側と称する。加えて、装着装置100についても便宜上、実際のガスセンサ1の配置の有無に関わらず、ガスセンサ1が配置(固定)された場合にガスセンサ1の長手方向が延在することとなる方向を装置長手方向と称し、該装置長手方向に垂直な方向を装置短手方向と称する。また、装置長手方向において、ガスセンサ1が配置(固定)された場合に第1カバー2が位置することになる側を先端側と称し、ケーブルCが位置することになる側を後端側と称する。
【0031】
装着装置100は、CPU101a、ROM101b、RAM101c等から構成され装着装置100全体の動作を制御する制御部101と、装着装置100に対して種々の実行指示などを与えるためのスイッチやボタン、タッチパネルなどからなる入力インタフェースである操作部102とを備える。また、装着装置100は、装着装置100の種々の動作メニューや動作状態などを表示するディスプレイや計器類などの表示部103と、図示しない動作条件データなどが格納される記憶部104とを備える。記憶部104には装着装置100の動作プログラム104pが記憶されており、係る動作プログラム104pが制御部101にて実行されることにより、以下に示す一連の装着処理動作が自動に行われる。
【0032】
装着装置100はさらに、装着に際してガスセンサ(本体部)1を支持する本体支持部105を備えるほか、実際の装着動作を担う構成要素として、本体支持部105に付随してなりかつ本体固定チャック駆動機構110によって駆動される一対の本体固定チャック111と、チューブ端開口治具駆動機構120によって駆動される一対のチューブ端開口治具121と、第1チャック駆動機構130によって駆動される一対の第1チューブ保持チャック131と、第2チャック駆動機構140によって駆動される一対の第2チューブ保持チャック141と、チューブ端検知センサ150と、カメラ(撮像手段)160とを備える。また、クランプ固定機構190をさらに備えていてもよい。
【0033】
本体支持部105は、装着処理に際してガスセンサ1を支持する部位である。本体支持部105は、ガスセンサ1が、第1カバー2が鉛直方向最上部となり最下端からケーブルCが延在する垂直姿勢とされてなる状態において、ガスセンサ1の固定ボルト3に備わる保持部3bを下方から支持可能な、水平な支持面105aを有する。換言すれば、支持面105aは、垂直姿勢にて搬送されてきたガスセンサ1の保持部3bを鉛直方向について係止可能に設けられてなる。係る態様にて係止されることにより、ガスセンサ1はその長手方向において位置決めされる。
【0034】
本体支持部105は、少なくとも、水平面内のある方向(図3においては図面視左右方向)において対向する一対の部分を有するように設けられてなる。あるいはさらに、ガスセンサ1と干渉しない位置においてそのような対向部分が連続した、平面視コの字型やC字型を有していてもよい。
【0035】
一対の本体固定チャック111は、本体支持部105に付随して配設されてなり、制御部101による制御のもと、本体固定チャック駆動機構110によって駆動されることにより、それぞれが矢印AR1にて示す、装置短手方向の進退動作(水平一軸移動)が可能とされてなる。
【0036】
装着装置100においては、ガスセンサ1が本体支持部105に支持されている状態において、一対の本体固定チャック111を互いに接近させることで、ガスセンサ1が、固定ボルト3のボルト部3aと保持部3bとの間の箇所において一対の本体固定チャック111によって挟持固定される。係る挟持固定によって、ガスセンサ1は、その短手方向においても位置決めされる。
【0037】
一対のチューブ端開口治具121は、保護チューブ5をガスセンサ1に装着するに際して保護チューブ5の一方端部を開口状態とし、さらに拡幅させるために設けられた治具である。一対のチューブ端開口治具121は、本体支持部105よりも後端側であって一対の第1チューブ保持チャック131よりも先端側に設けられてなる。係る一対のチューブ端開口治具121は、制御部101による制御のもと、チューブ端開口治具駆動機構120によって駆動されることにより、装置長手方向を含む一つの面内(図3および以降の図面においては当該図面の示す鉛直面内)の所定範囲において、矢印AR2aにて示す、装置短手方向の進退動作(水平1軸移動)と、矢印AR2bにて示す、装置長手方向の移動動作(垂直移動)との2軸移動が可能とされてなる。なお、一対のチューブ端開口治具121は、それら2軸移動を組み合わせることで、当該面内において斜め方向にも移動可能となっている。
【0038】
より詳細には、一対のチューブ端開口治具121は、それぞれ、後端側に向かうほど幅細となる態様にてテーパー状をなしているテーパー部(挿入爪)121aと、挿入爪121aの基端部となっているとともにチューブ端開口治具駆動機構120による直接の駆動対象である基部121bとを有してなる。
【0039】
挿入爪121aは、保護チューブ5の先端側の端部(図3および以降の図における上端部、以下、単に端部と称する)5eから内側に入り込んだ(内側に挿入された)状態において保護チューブ5を掛合可能に設けられてなる。具体的には、係る掛合が好適に実現される(掛合に際して保護チューブ5が滑ってずれることのない)形状および表面状態を有してなる。例えば、一対のチューブ端開口治具121は、少なくとも挿入爪121aがナイロンにて構成されるのが好適である。
【0040】
また、それぞれの挿入爪121aをなす一方の面121cは、装置長手方向に沿っており、かつ互いに対向している。面121cは、ケーブルCの外縁部に沿って湾曲する湾曲面であっても、平坦面であってもよい。そして、一対のチューブ端開口治具121の移動は常に、それぞれの面121cがガスセンサ1、保護チューブ5、またはケーブルCを介して互いに対向する状態を維持しつつなされる。例えば、後述するように、一対のチューブ端開口治具121は、装着処理の際、間にケーブルCが介在する状態において互いの面121cを接近させる態様にて近接させられ、係る近接状態にある一対のチューブ端開口治具121に対し、外側から保護チューブ5が被せられる。
【0041】
一対の第1チューブ保持チャック131は、保護チューブ5を把持(挟持)して装置長手方向に移動させるためのチャックである。一対の第1チューブ保持チャック131は、一対のチューブ端開口治具121よりも後端側に設けられてなる。係る一対の第1チューブ保持チャック131は、制御部101による制御のもと、第1チャック駆動機構130によって駆動されることにより、矢印AR3aにて示す、装置短手方向の進退動作(水平1軸移動)と、矢印AR3bにて示す、装置長手方向の移動動作(垂直移動)との2軸移動が可能とされてなる。これにより、一対の第1チューブ保持チャック131においては、保護チューブ5を把持した状態で後端側へと移動する(図3においては図面視下側へと下降する)ことで保護チューブ5をガスセンサ1から離隔させる離隔動作と、保護チューブ5を把持した状態で先端側へと移動する(図3においては図面視上側へと上昇する)ことで保護チューブ5をガスセンサ1に接近させる接近動作とを、行えるようになっている。
【0042】
それぞれの第1チューブ保持チャック131の少なくとも保護チューブ5と接する部分は、把持に際して保護チューブ5を傷つけることを避けるべく、ナイロンにて設けられてなるのが好適である。
【0043】
なお、以降においては、それぞれの第1チューブ保持チャック131の装置長手方向における中心位置(図3においては鉛直方向における中心高さ)を、当該第1チューブ保持チャック131の配置位置とする。図3においては、初期位置(Z=Z1なる高さ位置)にそれぞれの第1チューブ保持チャック131が配置されている状態を示している。
【0044】
一対の第2チューブ保持チャック141も、保護チューブ5を把持(挟持)して装置長手方向に移動させるためのチャックである。一対の第2チューブ保持チャック141は、一対の第1チューブ保持チャック131よりも後端側に設けられてなる。係る一対の第2チューブ保持チャック141は、制御部101による制御のもと、第2チャック駆動機構140によって駆動されることにより、矢印AR4aにて示す、装置短手方向の進退動作(水平1軸移動)と、矢印AR4bにて示す、装置長手方向の移動動作(垂直移動)との2軸移動が可能とされてなる。これにより、一対の第2チューブ保持チャック141においても、保護チューブ5を把持した状態で後端側へと移動する(図3においては図面視下側へと下降する)ことで保護チューブ5をガスセンサ1から離隔させる離隔動作と、保護チューブ5を把持した状態で先端側へと移動する(図3においては図面視上側へと上昇する)ことで保護チューブ5をガスセンサ1に接近させる接近動作とを、行えるようになっている。
【0045】
それぞれの第2チューブ保持チャック141の少なくとも保護チューブ5と接する部分についても、第1チューブ保持チャック131と同様、ナイロンにて設けられてなるのが好適である。
【0046】
なお、以降においては、それぞれの第2チューブ保持チャック141の装置長手方向における中心位置(図3においては鉛直方向における中心高さ)を、当該第2チューブ保持チャック141の配置位置とする。図3においては、初期位置(Z=Z2なる高さ位置)にそれぞれの第2チューブ保持チャック141が配置されている状態を示している。
【0047】
なお、本体固定チャック駆動機構110、チューブ端開口治具駆動機構120、第1チャック駆動機構130、および、第2チャック駆動機構140はいずれも、例えばエアシリンダである。より詳細には、チューブ端開口治具駆動機構120と第1チャック駆動機構130と第2チャック駆動機構140については、進退動作と移動動作とのそれぞれのために、エアシリンダが設けられてなる。
【0048】
チューブ端検知センサ150は、色識別センサである。チューブ端検知センサ150は、ガスセンサ1が本体支持部105および本体固定チャック111によって位置決めされた状態において、第1チューブ保持チャック131よりも先端側となる位置(図3においてはZ=Z0の高さ位置)に、保護チューブ5あるいはケーブルCの存在する方向が検知対象方向となるように(当該方向について色識別が可能であるように)配置される。
【0049】
装着処理に際しては、チューブ端検知センサ150における検知光L0の色情報(具体的には色度値)がモニタされる。そして、当該色情報の変化に基づいて、保護チューブ5の端部5eがチューブ端検知センサ150の配置位置に到達したことが検知されるようになっている。なお、この配置位置(図3においてはZ=Z0)を、チューブ端検知位置とも称する。
【0050】
カメラ160は、保護チューブ5の装着が好適に行われたか否かを判定するために、設けられてなる。具体的には、カメラ160は、第2カバー4における保護チューブ5の被覆範囲(装着範囲)の限界位置としてあらかじめ定められてなる被覆限界4bの位置を含む所定範囲を撮像し、得られた撮像画像に基づいて、保護チューブ5による被覆が好適に行われているか否かを判定するようになっている。なお、被覆限界4bは、第2カバー4の端部4aとの距離が10mm~15mm程度となる位置に設定されるのが好適な一例である。
【0051】
なお、図3および以降の図においては、一対のカメラ160が装置短手方向において(水平面内において)対向配置されている。これは相異なる向きからの撮像を行うことで、被覆が好適になされているか否かを、第2カバー4の周方向の広い範囲について判定することを意図したものである。ただし、係るカメラ160の配置は必須の態様ではなく、固定的に配置された一のカメラ160のみにより取得された一の撮像画像に基づいて判定を行う態様であってもよいし、一のカメラ160が複数の撮像位置で撮像を行い、得られた複数の撮像画像に基づいて判定を行う態様であってもよい。
【0052】
また、図3においては図示の都合上、一対の本体固定チャック111と、一対のチューブ端開口治具121と、一対の第1チューブ保持チャック131と、一対の第2チューブ保持チャック141と、チューブ端検知センサ150と、カメラ160とが同一の鉛直面内に位置するように示されているが、実際には、前4者については同一の面内に位置するのが好ましいものの、後2者については、他の要素と異なる面内に位置していてもよい。
【0053】
クランプ固定機構190は、保護チューブ5が装着された部分を環状の締付部材である図示しないイヤークランプによって固定する(締め付ける)処理を担う部位である。
【0054】
<装着処理の具体的手順>
図4ないし図14は、上述した構成を有する装着装置100において行われる、ガスセンサ1に保護チューブ5を装着する装着処理の、処理途中の様子を段階的に示す模式側面図である。
【0055】
装着処理を行うにあたっては、まず、あらかじめ前工程においてケーブルCのところに保護チューブ5を環装してなるガスセンサ1が用意され、本体支持部105に固定される。具体的には、固定ボルト3の保持部3bが図3に示したように本体支持部105の支持面105aに係止され、続いて、制御部101の制御のもと、本体固定チャック駆動機構110によって駆動された一対の本体固定チャック111が、ボルト部3aと保持部3bの間を挟持する。
【0056】
係る態様にてガスセンサ1が固定される際、保護チューブ5は、いずれも初期位置にある、一対の第1チューブ保持チャック131の間と、一対の第2チューブ保持チャック141の間に位置するように、配置される。また、一対のチューブ端開口治具121はガスセンサ1と干渉しない位置にて待避している。
【0057】
図4は、ガスセンサ1が本体支持部105に固定された後の様子を示す図である。ただし、図4においては、保護チューブ5の一方端部5eとガスセンサ1の第2カバー4の端部4aとの間においてケーブルCが露出しているが、これは必須の態様ではない。この時点では第2カバー4と保護チューブ5とは接続されてはいないので、保護チューブ5の位置は必ずしも定まってはいない。それゆえ、上述のように両者の間からケーブルCが露出する場合もあれば、第2カバー4に保護チューブ5が当接することで、ケーブルCが外部からは視認されない場合もある。
【0058】
ただし、保護チューブ5は、少なくとも端部5eがチューブ端検知センサ150よりも先端側にある状態とされる。なお、係る状態は、通常、ケーブルCによって保護チューブ5を適宜に係止させることで実現可能である。これは、実際にケーブルCをなす複数のケーブル類のそれぞれは通常、保護チューブ5の内部において適宜に湾曲しており、それらケーブル類と保護チューブ5の内面の間には適宜に摩擦が生じることから、保護チューブ5はそれらケーブル類にて容易に係止され得るということによる。
【0059】
また、装着装置100へのガスセンサ1の搬送および本体支持部105への保持部3bの係止は、作業者による手作業によってなされてもよいし、装置外部の搬送ロボットによって実行されてもよい。
【0060】
さらに、一対の本体固定チャック111によるの挟持以降の動作は、図示しない検知手段を通じて本体支持部105へのガスセンサ1の係止を検知した制御部101による適宜の制御のもと、段階的にかつ自動的に実行されてもよく、作業者が操作部102を通じて与える実行指示に応答して制御部101が制御を開始することにより、段階的にかつ自動的になされる態様であってもよい。
【0061】
図4に示すように、ガスセンサ1が固定されると、制御部101からの検知指示に応答して、チューブ端検知位置(Z=Z0)においてチューブ端検知センサ150による検知光L0の受光が開始される。この時点では、チューブ端検知センサ150の検知対象方向には保護チューブ5が存在しているため、検知光L0の色度値も、これを反映した値となる。
【0062】
続いて、初期位置(Z=Z2)にある一対の第2チューブ保持チャック141が、第2チャック駆動機構140によって図4において矢印AR5にて示すように互いに近接する方向へと移動させられ、保護チューブ5を把持する。
【0063】
図5および図6は、一対の第2チューブ保持チャック141が保護チューブ5を把持した後の様子を示す図である。保護チューブ5を把持した一対の第2チューブ保持チャック141は、引き続き第2チャック駆動機構140により、図5において矢印AR6にて示すように、係る把持状態を保ったまま後端側(図3においては下方)に向けて所定の速度で移動させられる。すると、矢印AR7にて示すように、保護チューブ5が当初の位置からずらされて、ガスセンサ1から離隔させられていき、ケーブルCが露出していく。
【0064】
このまま一対の第2チューブ保持チャック141による離隔動作が続くと、やがては、図6に示すように、保護チューブ5の端部5eが、チューブ端検知センサ150が設けられてなるチューブ端検知位置(Z=Z0)に到達するようになる。このとき、チューブ端検知センサ150における検知光L0の色度値は、端部5eがチューブ端検知位置に到達する前後で急激に変化する。これは、保護チューブ5とケーブルCとでは色味が異なっており、かつ、保護チューブ5よりもケーブルCの方が幅細であるため、保護チューブ5がずらされてケーブルCが露出することによって、それまでは保護チューブ5からの反射光が主であった検知光L0にケーブルCからの反射光や外光が含まれるようになるためである。
【0065】
装着装置100においては、このことを利用して、保護チューブ5の端部5eがチューブ端検知位置に到達したことを検知し、係る検知のタイミングで、一対の第2チューブ保持チャック141による保護チューブ5の離隔動作を停止させるようになっている。具体的には、チューブ端検知センサ150における検知光L0の色度値が制御部101によって連続的にモニタされ、その値が急激に変化したと判断された時点で、制御部101は、第2チャック駆動機構140による一対の第2チューブ保持チャック141の離隔動作を停止させる。
【0066】
これにより、装着処理の開始時点における保護チューブ5の配置位置を厳密に定めておかずとも、第2チューブ保持チャック141が停止した時点では必ず、保護チューブ5の端部5eはチューブ端検知位置に到達していることになる。換言すれば、一対の第2チューブ保持チャック141による保護チューブ5の離隔動作は、端部5eがチューブ端検知位置に位置するように保護チューブ5を位置決めするための動作である。
【0067】
図7および図8は、端部5eがチューブ端検知位置に位置するように保護チューブ5が位置決めされた後の様子を示す図である。係る位置決め後の保護チューブ5は、再びガスセンサ1に接近させられてその第2カバー4に装着されることになるが、係る接近動作は、一対の第2チューブ保持チャック141に代えて、一対の第1チューブ保持チャック131よりなされる。
【0068】
一対の第1チューブ保持チャック131は、この時点まで動作していないため、その配置位置は初期位置(Z=Z1)のままである。ここで、係る一対の第1チューブ保持チャック131の初期位置(Z=Z1)とチューブ端検知位置(Z=Z0)はともに、固定的に定められる位置であることから、両者の距離a(=Z1-Z0)もある固定値である。以降、係る距離aを基準距離(第1の距離)aと称することとする。すると、図7に示すように、保護チューブ5の端部5eがチューブ端検知位置に位置している状態では、当該端部5eと一対の第1チューブ保持チャック131との間隔も基準距離aに一致していることになる。それゆえ、以降において、一対の第1チューブ保持チャック131がその初期位置において保護チューブ5を把持し、ガスセンサ1に対し接近させる間も、保護チューブ5の端部5eと一対の第1チューブ保持チャック131の間隔は常に、基準距離aに保たれることになる。ここで、基準距離aは、後段の工程における保護チューブ5の第2カバー4に対する装着が好適に行える距離として、あらかじめ実験的あるいは経験的に定められてなる。基準距離aは例えば30mmとされる。
【0069】
具体的にはまず、一対の第1チューブ保持チャック131が、第1チャック駆動機構130によって図7において矢印AR8にて示す互いに近接する方向へと移動させられ、保護チューブ5を把持する。
【0070】
係る把持がなされると、第2チャック駆動機構140は、図7において矢印AR9にて示すように、一対の第2チューブ保持チャック141を保護チューブ5から離隔させて、該一対の第2チューブ保持チャック141による把持状態を解除する。これにより、保護チューブ5は、チューブ端検知位置から基準距離aだけ離隔した位置において、一対の第1チューブ保持チャック131のみによって把持された状態となる。
【0071】
保護チューブ5を把持した一対の第1チューブ保持チャック131は、第1チャック駆動機構130によって、図8において矢印AR10にて示すように、端部5eとの間隔を基準距離aに保ちつつ先端側(図8においては上方)に向けて所定の速度で移動(上昇)させられる。すると、矢印AR11にて示すように、保護チューブ5が先端側へと移動させられ、ガスセンサ1に接近していく。これにより、ケーブルCの露出部分は再び、保護チューブ5によって被覆されていく。
【0072】
図9および図10は、一対の第1チューブ保持チャック131が該保護チューブ5をガスセンサ1に接近させていく様子を示す図である。
【0073】
図9において矢印AR12にて示すように一対の第1チューブ保持チャック131が先端側(図9においては上方)に向けて移動(上昇)させられることによって、矢印AR13にて示すように保護チューブ5が先端側へと移動させられる一方で、それまで待避状態にあった一対のチューブ端開口治具121が、チューブ端開口治具駆動機構120によって、図9において矢印AR14にて示すように、露出しているケーブルCをそれぞれの挿入爪121aの面121cの間に介在させつつ互いに接近させられる。なお、図9においては、一対のチューブ端開口治具121がそれぞれに斜めに移動するように示しているが、一対のチューブ端開口治具121の移動動作は、図3において矢印AR2aにて示した装置短手方向の進退動作(水平1軸移動)と、矢印AR2bにて示した装置長手方向の移動動作(垂直移動)との2軸移動を同期的に行うことで実現される。ただし、一対のチューブ端開口治具121の退避位置によっては、進退動作のみを行ってケーブルCに向けて接近させられることもある。
【0074】
ケーブルCに向けて接近させられた一対のチューブ端開口治具121はやがて、図10に示すように、所定のチューブ掛合位置(Z=Z3)で停止する。なお、このときの停止位置であるチューブ掛合位置は、保護チューブ5がガスセンサ1から離隔させられる際のケーブルCの露出範囲のなかからあらかじめ設定された定位置であり、制御部101は、係るチューブ掛合位置において保護チューブ5の掛合が好適になされるよう、チューブ端開口治具駆動機構120を制御する。一対のチューブ端開口治具121の配置位置は、基部121bの装置長手方向における中心位置にて示すものとする。
【0075】
一方、図10において矢印AR15に示すように、一対の第1チューブ保持チャック131のガスセンサ1への接近は、一対のチューブ端開口治具121のチューブ掛合位置への到達の後も続けられる。すなわち、矢印AR16にて示すように、保護チューブ5は引き続き、ガスセンサ1へと接近させられる。
【0076】
当然ながら、チューブ掛合位置への一対のチューブ端開口治具121の到達に先立って保護チューブ5がチューブ保護位置近傍を被覆することのないよう、チューブ端開口治具駆動機構120による一対のチューブ端開口治具121の移動速度と、第1チャック駆動機構130による一対の第1チューブ保持チャック131の移動速度とは調整されてなる。
【0077】
図11は、保護チューブ5の端部5eがチューブ掛合位置に到達した後の様子を示す図である。
【0078】
係る段階においては、一対の第1チューブ保持チャック131が図11において矢印AR17にて示すように移動を続け、保護チューブ5をガスセンサ1へと接近させようとしているために、保護チューブ5は、矢印AR18にて示すように、一対のチューブ端開口治具121の挿入爪121aについても、それらの間に介在しているケーブルCごと被覆し始めていく。相対的にみれば、一対のチューブ端開口治具121の挿入爪121aは、徐々に、端部5eから、内面に接する態様にて保護チューブ5の内側に挿入されていく。その際、伸縮性を有する保護チューブ5は、先端側(図11においては鉛直上方)ほど幅広となっている挿入爪121aによって徐々に拡幅されつつ、該挿入爪121aに掛合されることとなる。
【0079】
一対の第1チューブ保持チャック131の移動による保護チューブ5の接近動作は、装置長手方向における一対のチューブ端開口治具121との間隔があらかじめ定められた最接近距離(第2の距離)dとなるところで停止される。上述したように、一対の第1チューブ保持チャック131の移動は初期位置Z=Z1から開始されており、係る移動の際には保護チューブ5の端部5eは一対の第1チューブ保持チャック131と一定の基準距離aだけ離隔していたので、係る停止時の保護チューブ5の端部5eの位置についても、一定となることが見込まれる。
【0080】
図12ないし図14は、一対の第1チューブ保持チャック131と一対のチューブ端開口治具121の基部121bとの間隔が最接近距離dとなった後の様子を示す図である。
【0081】
保護チューブ5をガスセンサ1に接近させる動作が停止されると、一対の第1チューブ保持チャック131は、図12に矢印AR19にて示すように、第1チャック駆動機構130によって、それまで把持していた保護チューブ5から離隔させられる。すなわち、接近動作の停止後、一対の第1チューブ保持チャック131による保護チューブ5の把持は解消させられる。
【0082】
一方で、一対のチューブ端開口治具121は、チューブ端開口治具駆動機構120によって、矢印AR20にて示すように、斜め方向であって第2カバー4の側方へと移動させられる。係る移動動作も、図3において矢印AR2aにて示した進退動作(水平1軸移動)と、矢印AR2bにて示した移動動作(垂直移動)との2軸移動を同期的に行うことで実現される。
【0083】
ただし、係る一対のチューブ端開口治具121の2軸移動は、挿入爪121aに保護チューブ5を掛合させた状態を保ちつつなされる。これにより、矢印AR21にて示すように、保護チューブ5は端部5eの側からさらに拡幅されていくこととなる。
【0084】
するとやがては図13に示すように、一対のチューブ端開口治具121が第2カバー4を挟んで対向する位置に到達する。係る時点では、一対のチューブ端開口治具121に掛合された保護チューブ5は、少なくとも端部5e近傍においては、第2カバー4よりも大きなサイズにまで拡幅された状態、換言すれば、第2カバー4を囲繞する状態となっている。このとき、第2カバー4の外径が例えば十数mm程度である場合、一対のチューブ端開口治具121は20mm程度、互いに離隔する。
【0085】
やがて、端部5eは長手方向における被覆限界4bの位置である被覆限界位置(Z=Z4)に到達する。ここで、チューブ掛合位置(Z=Z3)と被覆限界位置(Z=Z4)とはともに、あらかじめ固定的に定められた位置であるので、両位置の距離hで表される、一対のチューブ端開口治具121が保護チューブ5を拡幅しつつ移動させる際の移動距離は、固定値である。
【0086】
以降は、チューブ端開口治具駆動機構120による一対のチューブ端開口治具121の移動動作が、矢印AR22にて示す装置長手方向に沿った移動動作(図13においては上昇)に切り替えられる。すると、一対のチューブ端開口治具121はそれぞれの挿入爪121aの先端部(図13においては下端部)側から徐々に保護チューブ5から離脱させられていき、これとともに、一対のチューブ端開口治具121によって拡幅されていた保護チューブ5が徐々に収縮していく。これにより、矢印AR23にて示すように、保護チューブ5は次第に第2カバー4を被覆していくこととなる。
【0087】
一対のチューブ端開口治具121は最終的に、図14に示すように、挿入爪121aが完全に保護チューブ5から離脱した状態が実現される位置である離脱位置(Z=Z5)にまで、移動させられる。これにより、ケーブルCと、第2カバー4の後端部(図14においては下端部)から被覆限界4bまでが、保護チューブ5によって被覆された状態、換言すれば、保護チューブ5がガスセンサ1に装着された状態が、実現されたことになる。
【0088】
上述したように、一対の第1チューブ保持チャック131による保護チューブ5のガスセンサ1への接近動作は、一対の第1チューブ保持チャック131が端部5eから一定の基準距離a隔てられた位置にて保護チューブ5を把持した状態で、一対の第1チューブ保持チャック131と一対のチューブ端開口治具121との距離が最近接距離dとなるまで行われる。ここで、基準距離aおよび最近接距離dは、いずれも固定値である。
【0089】
これに加えて、一対のチューブ端開口治具121が保護チューブ5を拡幅しつつ移動させる際の移動距離hも固定値である。
【0090】
このことは、装着装置100においては、ガスセンサ1への保護チューブ5の接近動作の開始後、ガスセンサ1(具体的には第2カバー4)に対する保護チューブ5の装着が実現されるまで間における、保護チューブ5の少なくとも端部5eの移動距離が、常に一定となるように、保護チューブ5の装着処理が行われることで、保護チューブ5の第2カバー4に対する被せ量(保護チューブ5による第2カバー4の被覆範囲)が常に一定となる態様にて、保護チューブ5の装着が実現される、ということを意味している。
【0091】
そして、接近動作の開始に先立ち、保護チューブ5をガスセンサ1から離隔させ、その端部5eがあらかじめ定めた検知位置に到達することを検知することによって該端部5eと一対の第1チューブ保持チャック131との距離を一定としているのは、そのような態様での装着処理が確実に行われることを意図したものと位置付けられる。なお、係る態様にて保護チューブ5の端部5eと一対の第1チューブ保持チャック131による保護チューブ5の把持位置との距離を一定にすることは、装着処理の開始に際して保護チューブ5の端部5eの位置をあらかじめ厳密に位置決めしておく必要がない、ということをも意味している。
【0092】
ただし、保護チューブ5は伸縮性を有するため、一対のチューブ端開口治具121を離隔させたときの端部5eの位置に、誤差が生じる可能性がある。そこで、本実施の形態に係る装着装置100においては、装着不良が看過されることを防ぐため、上述のような態様にて保護チューブ5が装着された後、保護チューブ5の第2カバー4に対する被せ量が適切であるか否かが判定される。
【0093】
係る判定処理は、図14において矢印AR24にて示すようにカメラ160により被覆限界4bの位置を含む所定範囲を撮像対象とした撮像を行い、得られた撮像画像に対し所定の画像処理を行うことによって特定される、保護チューブ5の端部5eの位置のあらかじめ特定されている被覆限界4bに対するずれ量が、所定の閾値以下であるか否かを、制御部101が判断することによって、行われる。係るずれ量が閾値以下であれば、第2カバー4に対する保護チューブ5の被せ量は適切であると判断され、閾値を超えている場合は、第2カバー4に対する保護チューブ5の被せ量は適切ではないと判断される。
【0094】
判定が終了すると、一対の本体固定チャック111による固定ボルト3のボルト部3aと保持部3bの間における挟持固定は解除され、ガスセンサ1は本体支持部105から取り外される。これにより、一連の装着処理が完了する。なお、ガスセンサ1の取り外しは、作業者による手作業によってなされてもよいし、装置外部の搬送ロボットによって実行されてもよい。
【0095】
あるいは、ガスセンサ1を一対の本体固定チャック111により固定したままの状態で、後段の処理(例えばクランプ金具の加締め工程など)が実行される態様であってもよい。
【0096】
第2カバー4に対する保護チューブ5の被せ量が適切であったガスセンサ1については、後工程に供され、適切ではなかったガスセンサ1については、被せられた保護チューブ5が剥がされたうえで、再度、装着処理に供される。
【0097】
このような判定処理を行うことで、装着装置100においては、保護チューブ5の装着不良の発生が、確実に抑制されるようになっている。
【0098】
以上、説明したように、本実施の形態に係る装着装置においては、ガスセンサに対し、あらかじめ該ガスセンサの一方端部から延在するケーブルに環装されてなる保護チューブを装着する(より具体的には、保護チューブにより第2カバーの所定範囲を被覆する)に際して、保護チューブを把持してガスセンサに接近させるチャックと、保護チューブの一方端部との距離を、あらかじめ定めた固定値とし、さらには、保護チューブを把持した当該チャックを、保護チューブをチューブ端開口治具と掛合させるべく移動させる際の当該チャックとチューブ端開口治具との最接近距離と、保護チューブの端部を拡幅させたうえで第2カバーに装着させる際のチューブ端開口治具の移動距離とについても、固定値とするので、保護チューブの被せ量が常に略一定に保たれる。
【0099】
しかも、保護チューブをガスセンサに接近させる動作を開始するに際しては、保護チューブをガスセンサからいったん離隔させ、保護チューブの一方端部がチューブ端検知位置に到達したことを所定のチューブ端検知センサによって検知することで、チャックと保護チューブの端部との距離が固定値に設定されるので、装着処理の開始時点において、保護チューブについて位置決めをする必要がない。
【0100】
加えて、装着処理後の保護チューブの端部位置が、あらかじめ設定された許容範囲内にあるか否かを、カメラによる撮像結果に基づいて判定するので、保護チューブの装着不良の発生が確実に抑制される。
【0101】
<変形例>
上述の実施の形態においては、装着装置100の本体支持部105がガスセンサ1を垂直姿勢にて保持しているが、保護チューブ5をガスセンサ1の第2カバー4に被せる際のガスセンサ1の姿勢はこれに限られない。ガスセンサ1が正しく位置決めされ、少なくとも装着処理の実行中に安定的に固定され、かつ、保護チューブ5の移動が好適になされるのであれば、装着装置100は、ガスセンサ1を他の姿勢(例えば水平姿勢)にて保持するように構成されていてもよい。係る場合においては、ガスセンサ1の固定の仕方についても、保護チューブの装着に支障がない限りにおいて、その姿勢に応じて適宜に定められてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14