(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】医療機器と関連手法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2020571394
(86)(22)【出願日】2018-08-24
(86)【国際出願番号】 US2018047928
(87)【国際公開番号】W WO2020040786
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】マグリンチー、エイダン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンスルッド、アリン
(72)【発明者】
【氏名】エステベス、ラモン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ミンシャン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン、ゲイリー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0043348(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0004656(US,A1)
【文献】特開2008-136842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0066009(US,A1)
【文献】特開2010-046199(JP,A)
【文献】特表2001-517974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト内に流体を流れさせるように構成されたルーメンを含むシャフトと、
電極と
を含
む医療装置であって、
前記電極の近位端及び前記シャフトの遠位端は、前記電極の近位端を前記シャフトの遠位端に離脱可能に連結するように構成された連結構造を形成し、前記電極の近位端が前記シャフトの遠位端に連結された時、前記ルーメン内を通過して送られた流体は、前記電極から放出され
、
前記遠位端は1つ以上のアームを含み、前記1つ以上のアームは、径方向外方に移動するように付勢され、且つ前記遠位端内で長手方向に移動可能である、医療装置。
【請求項2】
前記1つ以上のアームはそれぞれ、突起を含む、請求項
1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記1つ以上のアームはそれぞれ、前記突起の近位端及び遠位端のうちの少なくともいずれか一方に少なくとも1つの傾斜部をさらに含み、前記少なくとも1つの傾斜部は前記シャフトの遠位端の中心の長手方向軸に対して角度を有する、請求項
2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記電極は、前記1つ以上のアームを受承する1つ以上の受承部を含む、請求項2
または3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記1つ以上の受承部は、前記1つ以上の受承部より遠位側の電極部分及び前記1つ以上の受承部より近位側の電極部分のうちの少なくともいずれか一方よりも径方向に幅が広い、請求項
4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記電極と前記シャフトとの間に流体密シールを形成する1つ以上のシールをさらに含む、請求項2~
5のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記電極が前記1つ以上のアームに連結された状態において、前記1つ以上のシールは、前記電極及び前記シャフトの表面に密封係合して、流体を前記ルーメンから前記電極に指向する、請求項
6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記遠位端内で前記アームを遠位方向に付勢する少なくとも1つの付勢部材をさらに含む、請求項
1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記遠位端は、遠位方向に狭くなる傾斜部を備えた中央通路を含み、前記傾斜部は、1つ以上のアームがシャフトの遠位端内で遠位方向に移動した時、前記1つ以上のアームを径方向内方に付勢する、請求項
8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記電極は、前記電極の遠位端面を部分的にのみ覆う絶縁体を含み、前記電極は、遠位端面に出口を備え、前記絶縁体は前記出口の周囲の遠位端面から突き出した複数の突出部を備える、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記電極は、第1の導電性部材及び第2の導電性部材を含み、第1の導電性部材及び第2の導電性部材は、絶縁部材によって電気的に分離され、前記医療装置は、長手方向に移動して第1の導電性部材又は第2の導電性部材に接触してエネルギーを送達する導体を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項12】
シャフト内に流体を流れさせるように構成されたルーメンを含むシャフトと、
電極と
を含む医療装置であって、
前記電極の近位端及び前記シャフトの遠位端は、前記電極の近位端を前記シャフトの遠位端に離脱可能に連結するように構成された連結構造を形成し、前記電極の近位端が前記シャフトの遠位端に連結された時、前記ルーメン内を通過して送られた流体は、前記電極から放出され、
前記電極は、前記電極の遠位端面を部分的にのみ覆う絶縁体を含み、前記電極は、遠位端面に出口を備え、前記絶縁体は前記出口の周囲の遠位端面から突き出した複数の突出部を備える、医療装置。
【請求項13】
シャフト内に流体を流れさせるように構成されたルーメンを含むシャフトと、
電極と
を含む医療装置であって、
前記電極の近位端及び前記シャフトの遠位端は、前記電極の近位端を前記シャフトの遠位端に離脱可能に連結するように構成された連結構造を形成し、前記電極の近位端が前記シャフトの遠位端に連結された時、前記ルーメン内を通過して送られた流体は、前記電極から放出され、
前記電極は、第1の導電性部材及び第2の導電性部材を含み、第1の導電性部材及び第2の導電性部材は、絶縁部材によって電気的に分離されており、前記医療装置は、長手方向に移動して第1の導電性部材又は第2の導電性部材に接触してエネルギーを送達する導体をさらに含む、医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、医療機器及び関連する方法に関する。より詳細には、本発明の態様は、1つ以上の電極を用いて組織に対して又は組織内に電気エネルギーを送達すること及び組織内及び/又は組織の下に流体を注入することによって組織を治療するように構成された医療機器及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡又は他の適切な挿入装置などの医療装置は、内視鏡検査、腹腔鏡検査、関節鏡検査、婦人鏡検査、胸腔鏡検査、膀胱鏡検査などの様々なタイプの診断及び外科的処置に使用される。これらの処置の多くには、腫瘍や感染症などを治療するために臓器や腺の組織にエネルギーを送達することが含まれる。このような処置の例には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜切除術(ESR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、ポリープ切除術、粘膜切除術などが含まれる。特には、そのような処置は、外科的に切開された箇所内を通過して、又は天然の解剖学的開口部(例えば、口、膣、又は直腸)を介して被検者の体内に挿入装置を挿入すること及び挿入装置の中を貫通して挿入された補助装置を用いて標的部位で処置又は手術を実施することによって実行される。
【0003】
いくつかの場合には、医療処置中に、使用者は、組織を持ち上げる、分離する、洗い流す、切断する、解剖する、切除する、マーキングする、凝固する、焼灼するなどの組織を治療する目的で注射針及びエネルギー送達装置を使用する場合がある。注入とエネルギーの送達は、別々に実行することができる。例えば、組織にエネルギーを送達するために、使用者は、挿入装置から注射針を取り外し、挿入装置を介して標的組織にエネルギー送達装置を送達すること、及びその逆を行うことを求められる場合がある。処置中、使用者は、注射針とエネルギー送達装置を交互に使用する場合があるが、装置の交換には医療処置の時間及びリスクを増大させる可能性がある。さらに、必要とされる注射針の種類が変わる可能性がある。また、いくつかの場合には、必要なエネルギー供給装置の種類が変わる可能性がある。これは、医療処置の時間をさらに増加させ及び/又は実施される処置の種類を制限する可能性がある。
【0004】
本開発明に係る装置及び方法は、上記課題のいくつかを改善すること又は先行技術の別の課題に対処することが可能である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の例は、とりわけ、電気エネルギーを組織に送達することによって組織を治療するため、及び、流体を組織内及び/又は組織の下に送達するために構成された医療装置に関する。装置は、異なる電極、例えば異なる流路、絶縁パターン、及び/又は別の特徴を有する電極の使用を含む。本開示はまた、装置を組み立てる方法、装置を操作する方法、及び/又は装置を用いて処置を実施する方法に関する。本明細書に開示された例はそれぞれ、別の開示された例のいずれかに関連して記載された特徴の1つ以上を含むことができる。
【0006】
一例では、医療機器は、シャフト及び電極の中を通過して流体の流れを指向するように構成されたルーメンを備えたシャフトを含む。電極の近位端及びシャフトの遠位端は、電極の近位端をシャフトの遠位端と離脱可能に連結するように構成された連結構造を形成する。電極の近位端がシャフトの遠位端に連結された時、ルーメン内を通過して送達された流体は、電極から放出される。
【0007】
医療機器は、以下の要素のうちの1つ以上をさらに含み得る。連結構造は、シャフトの遠位端内に配置された1つ以上のアームを含む。1つ以上のアームはそれぞれ、突起を含む。1つ以上のアームはそれぞれ、突起の近位端及び突起の遠位端のうちの少なくともいずれか一方に傾斜部をさらに含み、少なくとも1つの傾斜部は、シャフトの遠位端の中央の長手方向軸に対して角度を有する。電極は、1つ以上のアームを受承するように構成された1つ以上の受承部を含む。1つ以上の受承部は、1つ以上の受承部より遠位及び/又は近位のうちの少なくともいずれか一方の電極部分よりも径方向に幅が広い。医療機器は、電極とシャフトとの間に液密シールを形成する1つ以上のシールをさらに含む。電極が1つ以上のアームに連結された状態において、1つ以上のシールは、電極及びシャフトの表面に密封的に係合して流体をルーメンから電極に指向することができる。
【0008】
シャフトの遠位端は、1つ以上のアームを含む。1つ以上のアームは、径方向外方に移動するように付勢され、1つ以上のアームは、遠位端内で長手軸方向に移動することができる。医療装置は、シャフトの遠位端内でアームを遠位方向に付勢するように構成された少なくとも1つの付勢部材をさらに含む。シャフトの遠位端は、遠位方向に狭くなる傾斜部を備えた中央通路を含む。傾斜部は、1つ以上のアームがシャフトの遠位端内で遠位方向に移動した時、1つ以上のアームを径方向内方に付勢するように構成される。シャフトは、電極の近位端に固定するように構成された遠位連結部位を備えた連結管を含む。遠位連結部位は、連結管を電極に連結して連結管と電極との間にシールを形成してルーメンから電極への流体の流れを促進するように構成されたエラストマーポリマー材料を含む。電極は、電極の遠位端面を部分的にのみ覆う絶縁体を含む。電極は、遠位端面に出口を含み、絶縁体は、出口の周りに遠位端面から突き出した複数の突出部を含む。電極は、第1の導電性部材及び第2の導電性部材を含む。第1の導電性部材及び第2の導電性部材は、絶縁部材によって電気的に分離されている。医療機器は、第1の導電性部材又は第2の導電性部材に接触してエネルギーを送達するために長手方向に移動可能な導体を含む。
【0009】
別例では、医療機器キットは、ハンドル、及びハンドルから遠位方向に延びるシャフトを含む医療機器を含み、シャフトは、ルーメンを含む。医療機器キットは、複数の電極も含み得る。シャフトは、複数の電極のうちの1つ電極をシャフトの遠位端に固定し、その電極をシャフトの遠位端から取り外して、別の電極をシャフトの遠位端に固定するための機構を有する遠位端を含む。
【0010】
医療機器キットは、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに含み得る。電極のうちの少なくとも2つは構造が異なり、複数の電極の異なる電極をシャフトに連結することによって医療機器の流体流路を変更することができる。少なくとも2つの電極のうちの1つがシャフトの遠位端に連結された時、中央のルーメン内を通過して送達された流体は、連結された電極内を通過して送達され、ハンドルの一部の移動は、連結された電極の移動を制御し、シャフトを介して送達された電気エネルギーは、連結された電極を介して組織に送達される。シャフトの遠位端は、1つ以上のアームを含み、アームはそれぞれ、突起、突起の近位傾斜部、及び突起の遠位傾斜部を含む。複数の電極はそれぞれ、受承部よりも遠位側にある電極の部分及び受承部より近位側にある電極の部分よりも径方向に幅の広い受承部を含む。突起は、受承部に係合し得る。
【0011】
さらなる例では、方法は、第1の構造を有する第1の電極を医療機器シャフトの遠位端に連結する工程を含み、連結する工程は、医療機器シャフトの内部構成要素を第1の電極の一部に離脱可能に連結する工程を含む。この方法は、第1の電極を遠位端から離脱する工程、及び第2の構造を有する第2の電極を遠位端に連結する工程をさらに含み、第2の構造は第1の構造とは異なる。
【0012】
この方法は、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに含み得る。第1の電極を離脱する工程は、シャフトの近位端に連結された医療機器ハンドルに対する作用を含む。医療機器のハンドルに対する作用は、1つ以上のアームを後退して、1つ以上のアームを展開し且つ第1の電極の近位部分からアームを離脱させることができる。
【0013】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方は、例示かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲にあるように、本発明を限定しないことが理解できる。
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を例示するものであって、詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明の態様にかかる例示的な医療装置を示す図。
【
図1B】本発明の態様にかかる医療装置を示す断面図。
【
図2A】本発明の態様にかかる
図1Aの医療機器の遠位部分を異なる操作状態で示す図。
【
図2B】本発明の態様にかかる
図1Aの医療機器の遠位部分を異なる操作状態で示す図。
【
図3A】本発明の態様にかかる医療機器の遠位部の電極を示す断面図。
【
図3B】本発明の態様にかかる医療機器の遠位部の電極を示す断面図。
【
図3C】本発明の態様にかかる医療機器の遠位部の電極を示す断面図。
【
図3D】本発明の態様にかかる医療機器の遠位部の電極を示す断面図。
【
図4】本発明の態様にかかる医療装置の遠位部の電極を離脱可能に連結するための例示的な連結構成を示す断面図。
【
図5A】本発明の態様にかかる医療装置の遠位部の電極を離脱可能に連結するための別の例示的な連結構成を示す部分断面図。
【
図5B】本発明の態様にかかる医療装置の遠位部分の電極を離脱可能に連結するための別の例示的な連結構成を示す部分断面図。
【
図6A】本発明の態様にかかる例示的な電極を示す斜視図。
【
図6B】本発明の態様にかかる例示的な電極を示す断面図。
【
図7A】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す斜視図。
【
図7B】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す断面図。
【
図8A】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す斜視図。
【
図8B】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す斜視図。
【
図8C】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す斜視図。
【
図9A】本発明の態様にかかる医療装置の例示的な遠位部分を示す斜視図。
【
図9B】本発明の態様にかかる医療装置の例示的な遠位部分の電極を示す断面図。
【
図10】本発明の態様にかかる1つ以上の例示的な電極を格納することができる例示的なカートリッジを示す斜視図。
【
図11A】本発明の態様にかかる
図10のカートリッジに類似する例示的なカートリッジに格納された1つ以上の例示的な電極を医療機器の遠位端に連結するための例示的な工程を示す図。
【
図11B】本発明の態様にかかる
図10のカートリッジに類似する例示的なカートリッジに格納された1つ以上の例示的な電極を医療機器の遠位端に連結するための例示的な工程を示す図。
【
図11C】本発明の態様にかかる
図10のカートリッジに類似する例示的なカートリッジに格納された1つ以上の例示的な電極を医療機器の遠位端に連結するための例示的な工程を示す図。
【
図12A】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す斜視図。
【
図12B】本発明の態様にかかる別の例示的な電極を示す断面図。
【
図13】本開示の態様にかかる別の例示的な医療装置の一部を示す斜視図。
【
図14A】
図13の医療機器上のアクチュエータの構成及び本発明のさらなる態様にかかる例示的な電極の対応する構成を示す図。
【
図14B】
図13の医療機器上のアクチュエータの構成及び本発明の別の態様にかかる例示的な電極の対応する構成を示す図。
【
図14C】
図13の医療機器上のアクチュエータの構成及び本発明の別の態様にかかる例示的な電極の対応する構成を示す図。
【
図14D】
図13の医療機器上のアクチュエータの構成及び本発明の別の態様にかかる例示的な電極の対応する構成を示す図。
【
図15A】本発明の態様にかかる別の電極構成を示す斜視図。
【
図15B】本発明の態様にかかる別の電極構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の例は、例えば、医療処置中に組織に電気エネルギーを印加する時及び組織内及び/又は組織下に流体を送達する時に、組織を治療する有効性、効率、及び安全性を促進し且つ改善するための装置及び方法を含む。例えば、本発明の態様は、使用者(例えば、医師、医療技術者、又は他の医療サービス提供者)が電極を有する医療機器を使用して組織に電気エネルギー又は熱を付与すること及び同一の医療装置を用いて組織内及び/又は組織下に流体を送達することを可能にする。さらに、本発明の態様は、使用者が1つ以上の出口内を通過して流体を送達することを可能にし、流体は、出口に向かう途中で迂回されて(例えば、電極の中心の長手方向軸に対して一定の角度で送達される)、流体流路を変更することができる。本発明の別の態様は、使用者が電極を異なる電極、例えば異なる出口位置及び/又は配置を有する電極に変更することを可能にして、医療装置からの流体の流路を変更できるようにする。本発明の別の態様は、使用者が電極を異なる絶縁パターンを有する異なる電極に変更することにより、治療された組織に対する治療効果を変更可能にする。本発明の別の態様は、使用者が、例えば、流路及び/又は絶縁パターンが類似する場合であっても、その電極を少なくとも1つの異なる特性を有する任意の別の電極に変更することを可能にする。本発明のいくつかの態様は、内視鏡処置、腹腔鏡処置、関節鏡処置、婦人科処置、胸腔鏡処置、膀胱鏡処置等の処置を実施する際に使用し得る。
【0016】
上記し且つ添付の図面に示す本発明の例について以下に詳細に説明する。可能な限り、同一又は類似する部分について記載する際には図面全体にわたって同一の参照番号を使用する。
【0017】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、例示的な医療機器の構成要素の相対的な位置を指すために使用される。本明細書で使用される場合、「近位」は、被検者の体外に比較的近い方の位置、又は医療機器を保持又は他の方法で使用する医療専門家などの使用者に近い方の位置を指す。対照的に、「遠位」とは、医療機器を保持又は使用する医療専門家などの使用者から比較的離れた方の位置、又は被検者の体内に近い方の位置を指す。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「からなる(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」などの用語、又はそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図したものであり、要素のリストを含む装置又は方法は、それらの要素だけでなく、明示的にリストに挙げられていない又はそれに固有でない他の要素を含み得る。特に明記しない限り、「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。本明細書で使用する場合、「約」、「実質的に」、及び「ほぼ」という用語は、記載された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。
【0018】
図1は、ハンドル12、シャフト14、及び遠位端16を含む医療機器10を示す。ハンドル12は、本体18及び可動体20を含む。ハンドル12は、流体を受けるように構成されたポート22、及び電気プラグ又はソケットに類似し電気エネルギーを受け取るように構成されたハブ24も含む。遠位端16は、電極26を備える。電極26は、ハブ24に対して電気的に接続され、ポート22に対して流体的に接続された、即ちポート22に対して連通した1つ以上のルーメン、通路、凹部などの表面(
図3A~3D)を含む。医療装置10は、挿入装置(図示せず)を用いて、又は単独で、被検者の体管腔の中に挿入されて、シャフト14の少なくとも一部は、被検者の体内にあり、ハンドル12は、被検者の体外に留まる。使用者は、被検者の体外からハンドル12を操作することができる。可動体20を本体18に対して第1の方向(例えば、遠位方向)に移動することにより、シャフト14に対して電極26を延伸することができ(例えば、シャフト14の遠位端に対して遠位方向に電極26を移動させる)、可動体20を本体18に対して第2の方向(例えば、近位方向)に移動することにより、シャフト14に対して電極26を引き込むことができる(例えば、シャフト14の遠位端に対して近位方向に電極26を移動させる)。
【0019】
ハンドル12は、ポート22を介して流体源に接続される。ポート22は、シャフト14(
図1B)の内ルーメン27を介して電極26に連通する。内部ルーメン27は、ハンドル12の本体18の中を貫通して長手方向に延び、ポート22は、ポート22の中を貫通して延びて、ポート22を内部ルーメン27に連通するポートルーメン22Aを含む。ポート22は、本体18の遠位部分に配置される。代替的には、ポート22は、可動本体20上に配置され得る。さらに、ポート22は、ハンドル12と流体源との間の安全な接続を維持し、且つ、逆流(例えば、ポート22から出て近位方向に流れる流体)を最小限に留めたり、防止するために一方向弁28、ルアー、シール、ねじ切り30、及び/又は任意の適切な要素を含み得る。一例では、一方向弁28は、内側のエラストマー及び/又はゲル(geatinous)状のシール部材(図示せず)を含む外側ハウジングを含む。
【0020】
ハンドル12は、ハブ24を介してエネルギー源に接続される。ハブ24は、シャフト14内の導電性要素33を介して電極26に対して電気的に接続される。エネルギー源は、電気焼灼源、無線周波数発生器、加熱源、電流発生器などであり得る。一態様では、医療装置10は、単極電気外科手術に使用することができ、電極26から離して被検者に配置されたリターン電極を含み得る。別の態様では、医療機器10は、双極電気外科手術に使用することができる。その場合には、電極26は、活性電極部分を含み、リターン電極は、電極26及び/又はシャフト14の別の部分に、又はその近くに設けられる。一例では、2つの導電性要素は、シャフト14の中を貫通して延びて、導電性要素は、互いに電気的に絶縁されて、一方は、活性電極にエネルギーを伝導し、他方は、リターン電極からエネルギーを伝導する。ハブ24は、可動本体20上に配置されて、1つ以上のピン又はプロング32を含みエネルギー源に接続する。代替的には、ハブ24は、本体18に配置されてもよい。
【0021】
図1Bに示す態様では、プロング32は、ハンドル12の長手方向軸を横切ってハブ24の中を貫通して延び、ワイヤ、ケーブル、及び/又は編組シースなどの導電性要素33に電気的及び物理的に接続される。導電性要素33は、導電性であるか、又は導電性要素を含み、導電性要素33は、内部ルーメン27及びシャフト14内を通過して長手方向に延びる。
図1Bに示すように、ポート22内を通過して送達された流体は、導電性要素33の少なくとも一部を包囲することができる。別の態様では、エネルギー源は、ハンドル12の一部である(例えば、ハンドル12の内部電池)。上で示唆したように、第2の導電性要素(図示せず)は、医療装置10が双極構成を有する場合において復路として設けられる。
【0022】
上記のように、ハンドル12は、シャフト14の遠位端16に対して電極26の延伸、又は後退を制御することができる。例えば、本体18は、スロット34及びサムリング36を含む。可動本体20は、スロット34内に摺動可能に配置されて1つ以上の指穴38を含む。可動本体20は、本体18に対して1つ以上の位置でロック可能である。可動本体20は、駆動要素に連結することができ、駆動要素は、本体18と可動本体20との間の相対移動に基づいて電極26の少なくとも一部に遠位方向又は近位方向の移動を付与し得る。一態様では、導電性要素33は、駆動ワイヤ、ロッド、ケーブルなどとしても機能し、導電性要素33は、電極26に(及び/又は電極26から)エネルギーを送達するために、電極26をハブ24、例えば、1つ以上のプロング32に連結するとともに電極26の少なくとも一部に遠位又は近位方向への移動を付与する。
【0023】
図1A,1Bに示すように、シャフト14は、本体18の遠位部分から遠位端16まで延びて、電極26の少なくとも一部を包囲する。シャフト14は、カプラー40を介してハンドル12に連結され、カプラー40は、シャフト14の一部を包囲し、本体18にねじ込まれて要素を固定する。シャフト14は、1つ以上のルーメン(例えば、ルーメン27)及び駆動ワイヤ(例えば、導電性要素33)の少なくとも一部を取り囲むシースである。別の態様では、シャフト14は、ハンドル12から遠位端16まで延びる1つ以上のルーメンを含む押出成形品である。
【0024】
図2A,2Bは、遠位端16の追加的な態様を示す。
図2A,2Bは、遠位端16の少なくとも一部を径方向に囲むシャフト14の遠位部分を示すことなく、遠位端16の内部構成要素を示していることに留意されたい。
図2A,2Bは、遠位端16の一部の斜視図を示し、電極26の一部は、遠位端16のエンドキャップ42内に配置されている。エンドキャップ42は、遠位端面44及び段階的な表面46,48,及び50を含む。エンドキャップ42は、少なくとも部分的に電気的に絶縁されている。例えば、エンドキャップ42は、セラミック材料又は別の非導電性材料で形成され得る。代替的には、電極26に接触する及び/又は電極26を囲む遠位端面44及びエンドキャップ42の内側部分のみが電気絶縁性であってもよい。遠位端面44は、電極26がその内部を貫通して延び且つ後退可能な中央開口52(
図2B)を含む。
【0025】
電極26は、円筒形延長部56を含む遠位端16の近位支持体54に連結される。近位支持体54は、ワイヤ受承部分57(
図3A~3D)を介して、駆動ワイヤの一部(例えば、導電性要素33)に連結される。円筒形延長部56は、遠位方向に延びて、電極26の少なくとも一部を受承する。以下に詳細に説明するように、電極26及び円筒形延長部56は、スナップフィット、摩擦フィット、ねじ切り、エラストマー及び/又は接着材料などの適切な結合を介して連結される。円筒形延長部56は、異なる電極26を遠位端16に取り外し可能に連結可能にする。
【0026】
電極26及び近位支持体54は、ハンドル12の可動本体20及び本体18の相対移動に応答して、エンドキャップ42に対して移動することができる。例えば、可動本体20が本体18に対して近位位置にある場合、電極26は、エンドキャップ42内に実質的に格納されて、電極26の遠位部分のみが、エンドキャップ42を超えて遠位方向に延びる(
図2A)。次に、可動本体20が本体18に対して遠位方向に移動された場合には、電極26及び近位支持体54は、電極26の大部分が中央開口部52内を通過してエンドキャップ42を超えて遠位方向に延びるようにエンドキャップ42に対して遠位方向に移動する(
図2B)。
【0027】
代替的には、図には示されていないが、可動体20が最も近位位置にある状態では、電極26は、エンドキャップ42の中央開口部52内に完全に後退される。中央開口部52は、
図2Bには、電極26の一部よりも小さいものとして示されているが、本発明はそのように限定されず、中央開口部52及び電極26は、様々な寸法及び構成を含んでもよいことに留意されたい。例えば、中央開口部52は、電極26が中央開口部52内に完全に後退されるように、電極26よりも広くてもよい。そのような構成は、例えば、流体が電極26の外面に沿って流れる医療機器10の実施形態において有利であり得る。代替的には、中央開口部52は、電極26の遠位部分が常に中央開口部52から部分的に延びた状態に維持されるように電極26の遠位部分よりも狭くてもよい。
【0028】
一態様では、電極26は、遠位端16の残りの部分に離脱可能に連結される。
図3Aに示すように、電極26Aは、遠位端16の内側部分にスナップフィットされる。例えば、遠位端16は、円筒形延長部56から延び及び/又は円筒形延長部56に連結された1つ以上の締結部分58を含む。電極26Aの近位部分は、1つ以上の締結部分58を受承するように形成された、1つ以上の遠位の拡幅部分及び/又は1つ以上の凹部を含む1つ以上の受承部60を含む。例えば、締結部分58はそれぞれ、遠位傾斜部62及び突起64を含む。電極26Aが遠位端16の残りの部分に挿入されると、電極26Aの近位部分は遠位傾斜部62に接触し、2つの間の相対移動は、締結部分58を径方向外方に押して、電極26Aの近位部分は、締結部分58内又は締結部分58の間に離脱可能に受承される。電極26Aを近位方向に(及び/又は遠位端16の残りの部分を遠位方向に)さらに移動すると、突起64が電極26Aの受承部分60に係合して電極26Aを固定する。一例では、1つ以上の締結部分58は、単一の片持ちアーム、基部の対向側から突き出した一対の片持ちアーム、又は基部の任意の適切な場所から突き出した2本以上の片持ちアームなどの、円筒形延長部56を取り囲む環状の基部から遠位方向に延びる1つ以上の片持ちアームを含む。代替的には、1つ以上の締結部分58は、円筒形延長部56を囲むコンプライアントシースを含み、シースは、遠位傾斜部分62を備えた遠位リム部分を有する。1つ以上の締結部分58が近位支持体54と一体形成され得ることも企図される。
【0029】
遠位端16は、1つ以上のシール66を含み、ルーメン27内を通過して送達された流体が電極26A内を通過して進むことを確実にすることができる。一態様では、遠位端16は、圧縮及び/又は拡張可能なシール66を含む。例えば、シール66は、1つ以上の締結部分58内に電極26Aを配置することにより、電極26Aが確実にシール66に当接し及び/又は圧縮するように円筒形延長部56の遠位端に配置されたエラストマー材料の円形リングである。したがって、ルーメン27内を通過して送達された流体は、電極ルーメン70内を通過して電極26Aの出口72から送達される。一態様では、近位支持体54、円筒形延長部56、及び締結部分58は、導電性要素33を介して送達された電気エネルギーが電極26Aを介して組織に又は組織内に送達されるように導電性である。
【0030】
上記のように、電極26Aは、遠位端16に取り外し可能に連結される。例えば、電極26Aを遠位端16の残りの部分に対して遠位方向に引くこと、及び/又は遠位端16の残りの部分を電極26Aに対して近位方向に引くことにより、電極26Aが遠位端16から取り外されるように締結部分58を展開することができる。例えば、締結部分58は、部位68に近位傾斜部を含み、及び/又は受承部分60は、部位68に遠位傾斜部を含み、これは、1つ以上の締結部分58の展開を容易にし得る。締結部分58を展開するために必要とされる力の量は、医療処置中に被検者の体内の組織又は他の物によって電極26Aに付与される力よりも大きくてもよい(例えば、約2倍大きい)。したがって、締結部分58は、遠位端16が被検者の体外にある時、使用者又は他の医療専門家によって、確実に電極26Aが遠位端16の残りの部分からのみ除去されることに役立ち得る。
【0031】
さらに、電極26Aは、遠位端16に連結される前及び/又は遠位端16から離脱された後に、送達カートリッジ(
図10)に一時的に保管される。例えば、カートリッジは、電極26Aの少なくとも遠位部分を囲み(電極26A全体を囲んでもよい)、例えば、電極26Aを遠位端の残りの部分に連結するための準備として、使用者が電極26Aを取り扱ったり保管したりすることに役立ち得る。カートリッジは、連結する間に、使用者が電極26Aを中央開口部52に整合して、電極26Aを遠位端16の残りの部分内に配置することを補助し得る。以下で
図10に関して説明するように、カートリッジは、同一の電極構成又は異なる電極構成を含む複数の電極も格納することができる。
【0032】
図3A~3Dは、遠位端16に連結し、且つ、遠位端16から取り外すことができる様々な電極26、26A、26B、26C、及び26Dを示す。電極26Aは、電極ルーメン70、2つの出口72、及び電極ルーメン70を出口72に接続するチャンネル74を含む。
図3Aに示すように、電極26Aが遠位端16に連結された場合には、1つ以上の流路100Aは、出口72からほぼ径方向の流路をとる。
【0033】
電極26Bは、電極ルーメン70B、2つの出口72B、及び電極ルーメン70Bを出口72Bに接続するチャンネル74Bを含む(
図3B)。チャンネル74Bは、電極ルーメン70Bを出口72Bに接続する2つの傾斜部を含む。電極26Bが遠位端16に連結された場合には、1つ以上の流路100Bは、例えば、遠位端16、シャフト14、キャップ42及び/又はルーメン70Bの中心長手方向軸に対して鋭角で出口72Bから迂回した流路をとる。流路100Bは、流体流路100Aに対して角度を付けることができる。
【0034】
電極26Cは、1個の出口72C(
図3C)に延びる電極ルーメン70Cを含む。出口72Cは、電極ルーメン70Cと整合している。電極26Cが遠位端16に連結された場合には、流路100Cは、遠位端16、シャフト14、キャップ42、及び/又はルーメン70C、及び/又は電極26Cの遠位面に直交する中心の長手方向軸に整合する、出口72Cからの順方向流路を形成する。
【0035】
電極26Dは、少なくとも1つの側面開口部、チャンネル、通路、及び/又は穴76を含む(
図3D)。側面開口部76は、電極26Dの近位部分から延びる。電極26Dは、中央ルーメンを含まない。電極26Dは、例えば、中空ではなく中実である。電極26Dが遠位端16の残りの部分に結合された状態において、側面開口部76は、ルーメン27に流体連通する。流路100Dは、ルーメン27内を通過して送達された流体が電極26Dの遠位先端に近位の位置で遠位端16を出るように、側面開口部76からの流路を形成する。例えば、流体は、電極26Dの外面と開口部52を形成する表面との間のギャップを介して、電極26Dの外面に沿って流れる。側面開口部76の少なくとも一部は、シール66のシール面の径方向内側である。
【0036】
上記のように、電極26A~26Dは、遠位端16の残りの部分に離脱可能に連結されて取り外すことができるため、使用者は、1つの電極、例えば、電極26Aを遠位端16に連結し、次に、電極26Aを取り外して、別の電極、例えば電極26B、26C、又は26Dを遠位端16に連結することができる。例えば、使用者は、電極26Aを遠位端16の残りの部分に連結して遠位端16を、例えば流路100A及び/又は電極26Aの構造的特徴が好ましい、又は有益である処置の第1の部分のために被検者の体内の管腔に送達し得る。次に、使用者は、遠位端16を被検者から取り除いて、電極26Aを遠位端16の残りの部分から離脱することができる。次に、使用者は、電極26B、26C、又は26Dを遠位端16の残りの部分に連結して、遠位端16を、例えば、流路100B、100C、又は100D及び/又は電極26B、26C、又は26Dの構造的特徴が好ましい、又は有益である処置の第2の部分のために被検者の体内の管腔に送達することができる。電極の交換は、必要に応じて何度でも繰り返すことができ、使用者が組織を治療する間、流体の流路及び/又は電極の構造的特徴を変更することを可能にする。
【0037】
図4は、本開示の一実施形態にかかる電極を着脱するためのボール及びソケット構成の断面図を示す。例えば、電極126は、受承部160を含み、遠位端116内の近位支持体154は、径方向延長部182から延びる締結アーム180を含む。締結アーム180は、外方に付勢されているため、それらを所定の位置に保持する圧縮又は拘束力がない場合には、締結アーム180は、互いに径方向外方に離れるように移動し得る。近位支持体154は、径方向延伸部182の近位側に配置された付勢要素、即ちばね184をさらに含む。さらに、遠位端116は、中央通路186を含み、中央通路186は、角度の付いた拡幅部分188を含む。近位支持体154は、平衡位置(図に示すように)と格納位置との間の中央通路186内で少なくとも部分的に長手方向に移動可能であり、径方向延伸長部182は、ばね184を圧縮し、締結アーム180は角度の付いた幅部分188で展開する。
【0038】
格納位置では、ばね184は、径方向延伸部182を遠位方向に付勢する。径方向延伸部182が遠位方向に移動すると、角度の付いた拡幅部分188は、締結アーム180を径方向内方に付勢する。締結アーム180が径方向内方に移動すると、締結アーム180は、電極126の受承部160に係合する。同様に、使用者が、例えば、ハンドル(図示せず)上の機構を用いて近位支持体154を後退すると、締結アーム180は、後退して展開するため、使用者は、電極126を取り外すことができる。
【0039】
締結アーム180は、電極126の一部、例えば受承部160を受容するように構成された円形又は部分的に円形のソケットを形成し得ることに留意されたい。締結アーム180は、後退され且つ展開された形態で離間される複数の個別のアーム部材であってもよいし、又は後退されかつ展開された形態で径方向に展開される単一部材であってもよい。さらに、図に示されていないが、
図4に示す構成は、電極126が遠位端116に連結された時、ルーメン127と電極ルーメンとの間の流体連通を維持するために遠位端116に1つ以上のシールを含む。例えば、1つ以上のシールは、電極126が遠位端116の残りの部分に連結された状態で、シールが締結アーム180と受承部160との間に配置されるように、締結アーム180内に径方向に配置される。1つ以上のシールは、締結アーム180及び受承部160の重なりに沿って任意の1つ以上の位置に配置され得る。代替的又は追加的に、1つ以上のシールは、角度の付いた拡幅部分188の遠位の遠位端116内に配置され得る。
【0040】
図5A,5Bは、本開示の追加的な態様を示す。
図5A,5Bは、電極を連結して取り外すための別の例示的な機構を示す部分断面図である。例えば、遠位端216は、近位支持体254とともに長手方向に移動可能な連結管290を含む。連結管290は、電極226の近位端に接触して電極226を連結管290に連結するように構成された連結部292を含む。連結管290は、流体ルーメンの遠位端に連結され、且つ内側ルーメン293を備える。連結管290は、連結部292内に形成又は配置されたエラストマーポリマー材料を含む。例えば、エラストマーポリマー材料は、ネオプレン、サントプレン(商標)(熱可塑性加硫物)、バイトン、ゴムなどである。連結管290は、少なくとも後退位置(
図5A)と延伸位置(
図5B)との間で長手方向に移動可能である。例えば、使用者は、電極226を遠位端216(
図5A)に挿入して、近位支持体254で連結管290を後退位置から延伸位置まで延ばすことができる。連結管290を延伸位置まで延ばすことにより、連結部292を電極226の近位端に接触させることができる。連結管290をさらに延ばすことにより、電極226の近位部分が内側ルーメン293の一部内に連結されるように連結管290の一部を電極226の近位部分の上に及び上へ移動して、近位支持体254を電極226(
図5B)に連結することができる。電極226の近位部は、1つ以上の輪郭、例えば、遠位方向に幅が広く電極226の近位部の上への連結管290の連結や延伸を助ける径方向に狭幅部分を含む。連結管290及び電極226は、締結部分58及び電極26A~26Dと同様の方法で、及び/又は締結アーム180及び電極126と同様の方法で、互いに堅固に係合し得る。
【0041】
図5Bに示す位置からの連結管290のさらに遠位方向に移動させることにより、電極226を遠位端216の残りの部分から遠位方向に延ばすことができる。この移動中、連結管290は、遠位端216のエンドキャップ(エンドキャップはキャップ42に類似する)のルーメン又は通路内に遠位方向に延びる。連結管290の壁は、電極226の外面及びエンドキャップの内面の間で圧迫され、電極226の外周面において連結管290のシールを強化して連結管チューブ290内を通過して電極226の中への流体の流れを促進する。
【0042】
連結部292内のエラストマーポリマー材料は、電極226の近位端の外周で拡張して、連結部292を電極226の近位端に離脱可能に連結する。連結部292内のエラストマーポリマー材料は、流体が連結管290内を通過して電極226の中に送達されるように、電極226の近位端の外周にシールを形成し得る。さらに、連結管290を近位方向に後退すること及び/又は電極226を遠位方向に引くことにより、連結部292内のエラストマーポリマー材料は、電極226の近位端から離脱されるため、使用者は、上記のように電極226を変更することが可能になる。図に示されていないが、使用者は、連結管290を延伸及び/又は後退するために、連結管290及び近位支持体254をハンドル上の機構に連結することができることに留意されたい。
【0043】
代替的又は追加的に、電極26、26A、26B、26C、26D、126、226、又は任意の別の適切な電極は、別の形態の連結を介して遠位端16の残りの部分に連結され得る。例えば、上記電極はいずれも、電極26の近位部分及び近位支持体54の遠位部分56上の対応する(係合する)ねじ切りを介して、遠位端16の残りの部分にねじ込むことが可能である。上記電極はいずれも、受承部、及び受承部内に受承される(及び場合によってはロックされる)要素を介して遠位端16の残りの部分に連結され得ることも企図される。例えば、電極のいずれかと遠位端16の残りの部分との間の連結には、電極及び近位支持体54のうちの一方の支柱、プラグ、ピン、らせん、レバー、バヨネットなどが含まれ、受承部は、電極及び近位支持体54のうちの他方にリング、オリフィス、又は別の対応する形状の連結要素を含む。ロック可能な連結は、戻り止め機構、干渉要素、及び/又はクイック連結機構をさらに含む。さらに、連結は、レバーロック、テーパーロック、ピン及び/又はキーイング要素を含み、連結は、ハンドル12の機構を介して操作可能に及び/又は離脱可能に制御され得る。
【0044】
電極の別例は、以下の段落に説明する。電極26、26A、26B、26C、26D、126、及び/又は226に関連して説明された任意の特徴は、別の電極のいずれにも見出すことができ、逆もまた同様であることを理解されたい。別の電極の態様もそれらの間で共有され得る。特に、本明細書で説明した電極の例のいずれも、上記流路及び連結機構のうちのいずれかを含み得る。同様に、本明細書で説明する電極の例のいずれも、以下で説明する絶縁パターンのいずれかを含み得る。
【0045】
図6A,6Bはそれぞれ、医療装置10内に配置されて機能することができる別の電極326を示す斜視図及び断面図を示す。電極326は、絶縁体394を含み、電極326の遠位端面396上に丸みを帯びた環状絶縁パターンを形成する。例えば、絶縁体394は、リング又はドーナツ形状であり、絶縁体394の外縁は、電極326の径方向外縁と同一平面上にある。
図6Bに示すように、電極326は、遠位端面396から近位方向に延びる環状キャビティ398を含み、絶縁体394の近位部分は、キャビティ398内に受承される。図に示されていないが、電極326は、電極326の中を通る流体の流れを容易にするために、上記のようにルーメン及び1つ以上の出口を含む。代替的には、電極326は、図に示すように中実であり、流体はその外面に沿って流れる。
【0046】
絶縁体394は、緩衝材を形成するか、又は遠位端面396及び任意の組織から離間されている。一態様では、絶縁体394は、絶縁体394が組織を絶縁することを助けつつ、電極326が通電されるように組織に当接する。さらに、電極326はさらに遠位方向に進められ、当接した組織の一部は、絶縁体394の径方向内方又は絶縁体394を含まない遠位端面396の部分に接触する。
【0047】
図7A,7Bはそれぞれ、医療装置10内に配置されて機能することができる別の電極426を示す斜視図及び断面図を示す。電極426は、点状の絶縁パターンを含む絶縁体401を含む。絶縁体401は、半球形の遠位部分401Aと、それぞれの半球形の遠位部分401Aの近位方向に延びる円筒形の近位部分401B(
図7B)とを含む。例えば、絶縁体401は、電極426の遠位端面498上に配置された4つの半球形部分401Aを含む。より少ない又はより多い半球形の遠位部分401Aを使用することもできる。
図7Bに示すように、電極426は、円筒形のキャビティ03を含み、絶縁体401の円筒形の近位部分401Bは、円筒形のキャビティ403内に延びる。図に示すように、電極426は、上記のように、流体を送達するためのルーメン470及び1つ以上の出口472を含む。例えば、電極426は、遠位端面498に中央出口472を含み、絶縁体401の半球形の遠位部分401Aは、出口472の周囲に径方向に配置される。電極326は、流体用の類似する流路を含む。
【0048】
図8A~8Cは、追加の電極526、626、及び726を示す。例えば、
図8Aに示すように、電極526は、遠位端面596上に十字形の絶縁体505を含む。電極526は、十字形の絶縁体505内に配置された出口572を含むか、又は上記のように1つ以上の出口を含む。さらに、十字形の絶縁体505は、半円筒形の絶縁部分を交差することによって形成することができる。絶縁体505の他の部分は、遠位端面596の1つ以上のキャビティ(図示せず)内に配置され得る。代替的には、十字形の絶縁体505は、遠位端面596上に配置された交差する多角形(例えば、長方形)の絶縁部分を含み得る。
【0049】
図8Bに示すように、電極626は、遠位端面696上に線状絶縁体607を含む。線状絶縁体607は、遠位端面696を二等分する(すなわち、線状の絶縁体607の端部は、180度離れて配置される)。代替的には、線状絶縁体607は、偏倚され及び/又は遠位端面607を横断しない場合がある(例えば、線状絶縁体607の端部は、約150、120、90度などの角度だけ離して配置される)。図に示されていないが、電極626は、線状絶縁体607内に配置された出口を含むか、又は上記のように1つ以上の出口を含む。さらに、線状絶縁体607は、半円筒形の絶縁部分によって形成され得る。絶縁体607の他の部分は、遠位端面696の1つ以上のキャビティ(図示せず)内に配置され得る。代替的には、絶縁体607は、遠位端面696に配置された多角形(例えば、長方形)の絶縁部分を含み得る。
【0050】
図8Cに示すように、電極726は、遠位端面796に環状絶縁体709を含む。環状絶縁体709は、開放された円筒形の中央部分を備えて実質的に円筒形である。環状絶縁体709は、円筒形の内壁及び外壁を含む。環状絶縁体709は、平坦な遠位部分を含み、及び/又は環状絶縁体709の遠位面上に丸みを帯びた径方向外側遠位部を含む。図に示すように、環状絶縁体709の外壁は、電極726の遠位端部の外面に実質的に整合(同一平面をなす)する。環状絶縁体709は、遠位端面796を超えて近位方向に延びる。例えば、電極726は、遠位端面796の近位側に延びる幅が狭くされた最遠位部分を含み、環状絶縁体709のための棚を形成する。環状絶縁体709は、幅が狭くされた最遠位部分で電極726に連結され、電極726の遠位部分の残りの部分は、絶縁されない。図に示されていないが、電極726は、環状絶縁体709の内側に配置された出口を含むか、又は上記のように1つ以上の出口を含む。
【0051】
本発明の上記態様では、様々な絶縁体は、セラミック、フルオロポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は他の耐熱性であり且つ非導電性の材料によって形成され得る。絶縁体は、電極の遠位端面から持ち上げられた材料の1つ以上のスタンドオフを形成する。様々な電極により、装置は、組織の切断すること及び組織領域の周囲に印をつけることの双方に使用することを可能になる。様々な電極は、装置が小さな出血を制御するために止血を実施することもできる。そのような電極は、遠位端面の少なくとも一部が接触組織に露出されることを可能にする絶縁部分を含む。絶縁部分は、電極が印をつけること及び止血を実施することを可能にすることにより、組織の熱損傷及び穿孔のリスクを最小限に抑えることに役立つ。
【0052】
本明細書で説明する様々な電極は、エネルギー(例えば、無線周波数エネルギー)を送達することによって、組織に接触した時、組織の物理的性質を変更することができる。送達されるエネルギーは、単極又は双極エネルギーであり得る。様々な電極をシャフトに連結することができ、シャフトは、対象の被検者の体管腔又はキャビティ内に延びるように構成される。シャフトは、シャフトを横断して、電極をエネルギー源、例えば、ハンドル内、又はハンドルに接続されたエネルギー源に接続する電気要素を含む。
【0053】
上記電極は、以下の少なくとも2つの別個の部分、つまり(1)シャフトの長手方向軸に一致又は平行な主軸を有する切断シャフト、及び(2)切断シャフトよりも大きな断面積を含む遠位部分を含む。遠位部分は、部分的に絶縁された部分及び露出された部分を含む遠位面(例えば、遠位端面396)を含む。絶縁部分は、電極の遠位端面に配置されるため、絶縁部分は、切断シャフトに沿って配置されない。露出部分を用いて、組織の一部にエネルギーを付与することができる。例えば、電極は、組織に向かって進められる。電極を遠位方向に押す第1の力が加えられると、部分的に絶縁された部分は組織の部分に当接するが、露出部分が組織に接触することは妨げられる。電極を遠位方向に押す第1の力よりも大きい第2の力が加えられると、露出部分は、組織の一部に接触する。さらに、電極の遠位部分は、使用者が遠位部分のより大きな断面積を使用して、組織の一部にエネルギーを送達して止血を実施することを可能にする長さを含み得る。
【0054】
電極は、例えば、ハンドル内又はハンドルに連結された作動部材に連結されるため、使用者は、シャフトに対して電極を移動させることができる。電極は、電極の切断シャフトがシャフト内に後退された少なくとも第1の位置(
図2A)と、切断シャフトがシャフトを超えて延伸されて露出される第2の位置(
図2B)との間で移動可能である。第1及び第2の位置の双方において、絶縁部分を含む遠位部分は、シャフトを超えて延伸して露出されており、シャフト内に後退されない。
【0055】
したがって、使用者は、部分的に絶縁された遠位端面を組織に当接するように配置して、遠位端面を介してエネルギーを付与してマークすることができる。使用者は、止血を実施して組織を焼灼又は凝固するために、遠位部分の径方向外側を配置することができる。使用者は、非絶縁電極シャフトを組織に当接又は接触するように配置して、エネルギーを付与して組織を切断、解剖、又は切除することもできる。異なる医療処置に対しては、異なる絶縁パターンを持つ異なる絶縁体が適切な場合がある。したがって、各電極は、上記のように遠位端16に離脱可能に連結することができる。さらに、電極は、
図1A~3Dに関して説明した上記流路のいずれかを設けるために、1つ以上の遠位出口を含み得る。
【0056】
図9A,9Bは、電極826の追加の例を示す。図に示すように、電極826は、電極826の遠位端部分813上に絶縁体811を含む。一態様では、絶縁体811は、セラミック堆積を介して遠位端部分813に配置される。絶縁体811は環状であり、遠位端部813を受承するための通路をその中に有する。絶縁体811は、ほぼ円筒形である。
【0057】
電極826は、電極ルーメン870に流体連通した1つ以上の出口868を含み、例えば、図に示すように、電極826は、遠位端出口868’及び側方出口868’’を含む。一態様では、側方出口868’’は、遠位端出口868’よりも小さく、送達された流体の大部分は、遠位端出口868’を介して出るが、遠位端出口868’が、例えば、当接する組織によって遮断された場合でも、流体は依然として側面出口868’’内を通過して電極ルーメン870を出ることができる。電極826は、遠位端816の残りの部分に連結されて、上記のように、エンドキャップ842に対して移動可能である。さらに、電極826は、遠位端816内で、上記のメカニズムのいずれかで離脱可能に連結され得る。
【0058】
電極826は、電極826のための切断シャフトを形成する電極本体815を含む。
図9Bに示すように、電極826は、縮小断面積(電極本体815に対して小さくされた)を有する遠位端部分813も含む。さらに、絶縁体811は、遠位端部分813と絶縁体811からなる直径が電極本体815の直径以下になるように、遠位端部分813の径方向外側に設けられる。一例では、絶縁体811及び815による電極本体の径方向の外面は同一平面上にある。図に示されていないが、絶縁体811は、電極826の遠位端面896の周囲に周方向に形成されて絶縁された遠位端部分813を形成してもよい。一例では、絶縁体811の遠位面及び遠位端部分813は同一平面上にある。代替的には、絶縁体811は、遠位端部分813の遠位面に近づくほど幅が狭くなっていてもよい。いずれの態様においても、遠位端部分813は、少なくとも部分的に絶縁され、電極本体815は、絶縁されていなくてもよい。したがって、遠位端部分813は、例えば、電極826が遠位端816の残りの部分内に引っ込められているが、遠位端部分813が遠位端816の残りの外側に留まっている場合に、漂遊電気エネルギーが組織に向けられるのを防止するために非導電性である。
【0059】
したがって、電極826は、エネルギーを送達するため及び電極826を延伸又は後退するために上記のように電気的要素及び作動部材に連結される。電極本体815は、シャフトの長手軸に一致する主軸を含む。上記のように、遠位端部813は、電極本体815の断面積以下の断面積を含む。さらに、遠位端部分813上の絶縁体811は、電極826の断面の最も長い軸線を有さず、絶縁体811は、電極826の大部分にわたって延びていない。
【0060】
図10は、複数の開口部915内に格納された複数の電極913A~913Eを備える例示的なカートリッジ911を示す。この図では、異なる電極913A~913Eが複数の開口部915内に示されているが、任意の数の同一の電極がカートリッジ911に含まれることも企図される。カートリッジ911はまた、それぞれの開口部915に格納された電極913A~913Eのそれぞれの種類又は構成を示すために、各開口部915と実質的に一致する1つ以上の表示917A-917E(例えば、文字、図、記号など)を含む。例えば、電極913A~913Eは、異なる形状、導電性経路、及び/又は流体流路を含み、表示917A~917Eは、それぞれの開口部915に格納された電極913A~913Eの形状、シルエット、矢印、及び/又は例示的な流体流路を含む。5つの電極913A~913E及び開口部915が示されているが、本発明は、そのように限定されない。カートリッジ911は、任意の数のそれぞれの開口部に格納された任意の数の電極を含むことができ、電極は、本明細書に開示された任意の構成を含むことができる。
【0061】
図11A~11Cは、カートリッジ911の1つの開口915内に格納された例示的な電極913(例えば、電極913A~913E又は本明細書に開示された別の電極のいずれか)を、医療装置のシャフト914の遠位端916に連結するために実施される工程を示す。遠位端916は、本明細書に開示された医療装置の遠位端の態様のいずれかを含む。
図11Aに示すように、電極913の近位部分919は、1つ以上の溝及び/又は目盛り部分を含み、
図3A~3D、4、5A、及び5Bに関して上記したように、電極913と遠位端916との間の物理的連結、電気的接続、及び流体連通を確実にするために役立つ。
図11Bに示すように、遠位端916は、開口915に挿入され、電極913の近位部分919を取り囲む。開口部915は、遠位端916の開口部915への進入を容易にして電極913の近位部分919の少なくとも一部の外周面に周方向に配置するため、及び、電極913を遠位端916に連結するために、遠位端916の断面積より大きい。次に、遠位端916は、
図11Cに示すように、電極913が遠位端916に連結された状態で、開口915から取り外すことができる。
【0062】
一態様では、カートリッジ911は、各電極913を特定の姿勢又は構成に保持するように構成される。例えば、カートリッジ911は、開口部915内に、電極913の1つ以上の部分に係合し得る、1つ以上のキャビティ又は突出部を含む。開口部915内のキャビティ及び/又は突出部は、電極913の形状に相補的な形状を有する凹部を形成し得る。さらに、キャビティ915を形成する又はキャビティ915内にある材料は、電極913を開口部915に挿入し且つ開口部915から引き抜くことができるように柔軟であり得る。一態様では、キャビティ915及び電極913は、摩擦嵌合、スナップ嵌合、又は別のタイプの係合を介して連結することができる。カートリッジ911及び医療機器910の遠位端916はそれぞれ、1つ以上の標識、突出部、溝などを含み、これは、電極913を遠位端916の残りの部分に連結する間に、使用者が電極913を適切な方向に整合することに役立ち得る。例えば、開口部915の内壁は、遠位端916の外壁上の1つ以上の溝に整合する1つ以上の突出部を含む。一態様では、開口部915の幅は、遠位端916の幅よりもわずかに大きいため、開口部915の内壁は、遠位端916の1つ以上の外側部分に当接又は係合することにより、遠位端916が電極913を受承するように適切に整合することを確実にし得る。追加的又は代替的に、開口部915を形成する壁は、電極913に向かって内方に先細になり、これは、遠位端915を電極913を受承するために整合することに役立ち得る。
【0063】
使用者は、遠位端916内の連結機構(例えば、1つ以上の締結部分58、
図3A~3D)が遠位端916の残りの部分に電極913を連結するように、電極913の近位部分919の少なくとも一部を取り囲むように遠位端916を開口915に挿入する。次に、使用者は、カートリッジ911から電極913を取り外す(
図11C)。例えば、カートリッジ911から電極913を取り外すのに必要な力は、遠位端916の内部の連結機構から電極913を取り外すのに必要な力よりも弱い。図に示されていないが、電極913は、遠位端916から取り外され、保管、洗浄、及び/又は後で使用するために、カートリッジ911の開口部915内に再配置され得る。例えば、遠位端916は、上記の
図4に関して説明したように、電極913を遠位端916から取り外す機構を含む。加えて、次に、異なる電極913を遠位端916に連結することができる。
【0064】
図12A,12Bは、シャフト1014の遠位端1016に連結された追加の例示的な電極1021を示す。電極1021は、本明細書で説明する機構のいずれかを介して遠位端1016に連結され、本明細書で説明する形状及び流体流路のいずれかを含み得る。さらに、電極1021は、単極又は双極の電気外科手術に使用することができる。電極1021は、少なくとも第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025を含む。第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025は、絶縁部材1027によって電気的に分離することができる。絶縁部材1027は、例えば、第2の導電性部材1025の凹部に受承される第1の導電性部材1023の遠位端にある環状部材を含む。第1の導電性部材1023は、電極1021の近位部分を形成し、第2の導電性部材1025は、電極1021の遠位端部分を形成する。第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025は、例えば、チタン又は別の医学的に安全で導電性の材料で形成され得る。絶縁部材1027は、セラミック、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)で形成され得る。
【0065】
図12Bの断面図に示すように、電極1021は、第1の導体1029及び第2の導体1031を含むか、又は受承することができる。第1の導体1029は、第1の導電性部材1023に接続され、第2の導体1031は、第2の導電性部材1025に接続される。各導体は、例えば、はんだ付け、接着、及び/又は機械的固定によって、対応する導電性部材に恒久的に結合されるか、又は、例えば機械的及び電気的な接続に使用されるプラグとソケットの構成、又は、ピンと穴の構成を選択的に使用して連結され得る。
【0066】
第1の導体1029及び第2の導体1031は、電気的に絶縁され、それぞれ、1つ以上のエネルギー源、例えば、シャフト1014に連結されたハンドル又はハンドルに連結された電気外科発電機に接続される。第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025はそれぞれ、例えば切断モード、凝固モードの無線周波数エネルギーなど、様々なモードのエネルギーを受け取るように構成される。したがって、第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025は、電極1021の異なる部分で組織を選択的に処理するために、別々に通電され得る。
【0067】
図12A,12Bは、第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025を有する電極1021を示すが、本発明はそのように限定されない。電極1021は、絶縁部材によって分離された3,4,5つ,又はそれ以上の別個の導電性部材を含み得る。さらに、導電性部材は、電極1021上に長手軸方向に間隔を置いて配置すること、電極1021の外周に周方向に間隔を置いて配置すること、又は電極1021の外周に長手軸方向に間隔を置くこと及び周方向に間隔を置くことの双方で配置され得る。それぞれの導電性部材は、導電性部材に個別にエネルギーを付与するためのそれぞれの導体を含む。
【0068】
代替的には、1つの導体は、電極の少なくとも一部内で長手軸方向に移動可能であり、ハンドル又は別の近位に配置された要素を介して制御可能である。例えば、導電性部材1029,1031の代わりに、単一の可動導体がハンドルから電極まで延びる。導体は、エネルギーが導体の遠位端部分からのみ供給されるように少なくとも部分的に絶縁されていてもよい。ハンドルの動きは、単一の可動導体の遠位端が電極の異なる部分に接触することができるように、1個の可動導体の遠位端の位置を制御することができる。電極の部分は、電極の他の部分から絶縁されていてもよい。したがって、使用者は、導体を介してエネルギーを送達することができ、電極に対する導体の長手方向の位置により、電極のどの部分にエネルギーを付与するかを制御することができる。
【0069】
図13は、ハンドル1112及びシャフト1114を備えた追加の例示的な医療装置1110を示す。図に示されていないが、本明細書で説明する電極のいずれも、シャフト1114の遠位端に連結することができる。一態様では、ハンドル1112は、例えば、ハンドル1112の本体1118上に起動制御1133を含む。起動制御1133は、シャフト1114に連結された電極の1つ以上の部分へのエネルギーの送達を制御する複数のボタン、スイッチ、又は別の使用者入力機構を含む。例えば、起動制御1133は、複数の位置に配置されて使用者が医療機器1110に連結された電極の通電を制御することを可能にするスライドスイッチ1135を含む。
【0070】
図14A~14Dは、起動制御1133の様々な位置及び電極1021の対応する構成を示す。例えば、スライドスイッチ1135は、ハンドル1112の一部内で長手方向に移動可能(例えば、スライド可能)であり、スライドスイッチ1135の位置は、電極1021の異なる動作状態又は構成に対応する。スライドスイッチ1135は、電極1021の構成を設定及び/又は示すために1つ以上のパッド又は突出部1137A~1137Dを含み、それは、導電性パッド又は突出部である。例えば、スライドスイッチ1135は、スライドスイッチの第1の側に第1の突出部1137Aを含む。スライドスイッチ1135は、スライドスイッチ1135の第2の側に第2の突出部1137Bを含む。スライドスイッチ1135は、スライドスイッチ1135の第1の側に第3の突出部1137Cと、スライドスイッチ1135の第2の側に第3の突出部1137Cに整合する第4の突出部1137Dとを含む。突出部1137A~1137Dはそれぞれ、ハンドル1112内を通過してハンドル1112から電気外科発電機まで延びる1つ以上の導電性ワイヤ及び/又はケーブル(図示せず)を用いて電気外科発電機(図示せず)に電気的に接続される。
【0071】
ハンドル1112は、1つ以上の矢印1139A及び1139Bを含み、これらは、スライドスイッチ1135の第1及び第2の側に配置される。矢印1139A,1139Bはそれぞれ、導体1029,1031上の又は導体1029、1031に連結されたパッド又は突出部の位置を示す。スライドスイッチ1135のパッド又は突出部1137A~1137Dが矢印1139A,1139Bのパッド又は突出部に接触すると、電気外科エネルギーを電極1021の1つ以上の部分に指向する回路が完成する。
【0072】
図14Aは、非起動形態における起動制御1133を示す。例えば、スライドスイッチ1135は、突出部1137A~1137Dのいずれもが矢印1139A,1139Bに整合していない第1の位置にある。矢印1139A,1139Bのパッド又は突出部の間のエアギャップのために、エネルギー源(例えば、電気外科用発電機)と電極1021との間の回路に断線があるため、電流は導体1029,1031に流れることができない。したがって、電極1021は、不活性であり、第1の導電性部材1023又は第2の導電性部材1025にエネルギーは送達されない。
【0073】
図14Bは、第1の起動形態における起動制御1133を示す。例えば、スライドスイッチ1135は、第2の位置にあり、第1の突出部1137Aは、矢印1139Aに整合されている。この第1の起動形態では、突出部1137Aと矢印1139Aとの間の電気的接続により、エネルギー源と電極1021との間の回路が完成する。したがって、エネルギーは、例えば、第1の導体1029(
図12B)を介して第1の導電性部材1023に送達されるため、第1の導電性部材1023は、通電される。一方、突出部1137A~1137Dの1つと矢印1139Bとの間の回路は完成していないため、電流は、第2の導体1031を介して第2の導電性部材1025に送達されない。
【0074】
図14Cは、第2の起動形態における起動制御1133を示す。例えば、スライドスイッチ1135は、第3の位置にあり、第2の突出部1137Bは、矢印1139Bに整合されている。この第2の起動形態では、突出部1137Bと矢印1139Bとの間の電気的接続により、エネルギー源と電極1021との間の回路が完成する。したがって、エネルギーは、例えば、第2の導体1031(
図12B)を介して第2の導電性部材1025に送達されるため、第2の導電性部材1025は、通電される。1つ以上の突出部1137A~1137Dと矢印1139Aとの間の回路は完成していないため、電流は、第1の導体1029を介して第1の導電性部材1023に送達されない。
【0075】
図14Dは、第3の起動形態における起動制御1133を示す。例えば、スライドスイッチ1135は、第4の位置にあり、第3の突出部1137C及び第4の突出部1137Dの両方が矢印1139A,1139Bに整合されている。この第3の起動形態では、突出部1137C,1137Dと矢印1139A,1139Bとの間の電気的接続により、エネルギー源と電極1021との間の回路が完成する。したがって、エネルギーは、例えば、第1の導体1029及び第2の導体1031(
図12B)を介して第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025の双方に送達されるため、第1の導電性部材1023及び第2の導電性部材1025の双方が通電される。
【0076】
ハンドル1112上のスライドスイッチ1135について説明したが、本発明はそのように限定されない。別の態様では、医療装置1110は、電極1021の異なる部分に選択的にエネルギーを付与するように操作することができる複数のボタン、スイッチ、使用者インターフェース、フットペダルなどを含み得る。例えば、第1のフットペダルを踏んで第1の導電性部材1023に通電することができ、第2のフットペダルを踏んで第2の導電性部材1025に通電することができる。第3のフットペダルを踏んで第1の導電性部材1023と第2の導電性部材1025の両方に通電する、又は、第1と第2のフットペダルの両方を同時に踏んで第1の導電性部材1023と第2の導電性部材1025の双方に通電することができる。この態様では、1つ以上のフットペダルを踏むことにより、エネルギー源と電極1021のそれぞれの部分との間の回路を完成させることができる。
【0077】
別の態様では、医療装置1110は、タッチスクリーンに接続することができ、タッチスクリーン上の様々な使用者入力により、使用者は、電極1021のそれぞれの部分への回路接続、したがってエネルギー供給を制御することができる。さらに、医療機器1110は、電気外科用発電機に接続することができ、1つ以上のスイッチを電気外科用発電機及び/又はハンドル1112に配置して、電極1021のそれぞれの部分への回路接続及びエネルギー供給を制御することができる。導体1029及び1031は、電極1021から電気外科発電機又は別のエネルギー源までずっと延び得る。電極1021は、任意の数の領域を含むことができ、本明細書に説明する制御要素のいずれかにより、使用者は、電極1021の個々の領域又は領域のグループに選択的にエネルギーを付与することができる。さらに、制御要素のいずれかは、各領域への別個の回路及び電極1021の領域間の絶縁を使用することにより、使用者が程度を変えて(例えば、電圧、電流などを制御することによって)異なる電極領域にエネルギーを付与することを可能にし得る。
【0078】
追加的又は代替的に、スライドスイッチ1135は、ハンドル1112から装置1110の遠位端まで延び得る。そのような構成では、パッド又は突出部1137A~1137Dは遠位端にあり、一方、スライドスイッチ1135の近位部分は、ハンドル1112まで近位方向に後方に延びるため、使用者は、パッド又は突出部1137A~1137Dをハンドル112から移動することができる。1つ以上の矢印1139A,1139Bも装置1110の遠位端に配置することができる。一例では、1つ以上の矢印1139A,1139Bは、電極1021の1つ以上の部分にあり、又は電極1021の1つ以上の部分に電気的に接続される。スライドスイッチ1135のパッド又は突出部1137A~1137Dが矢印1139A,1139Bのパッド又は突出部に接触すると、電気外科エネルギーを電極1021の1つ以上の部分に指向することができる回路が完成する。上記のように、エネルギーは、電極1021の別の部分にエネルギーを付与しないで、電極1021の一部に選択的に指向することができる。
【0079】
電極1021のシャフトのみにエネルギーを付与することは、組織に当接している電極1021の鈍な遠位端が通電されていないため、組織の穿孔又は組織への他の熱損傷のリスクを低減するのに役立つ可能性があるため、第1の導電部材1023にのみ通電することは、組織を切断する時、有利であり得る。第2の導電性部材1025にエネルギーを付与することは、最初の組織マーキング、切開、凝固を増加させるための止血などを行う間に有用であり得る。例えば、第2の導電性部材1025に通電することにより、通電された遠位端は、電極1021又は医療機器を交換する必要なしに、組織の即時かつ効果的な熱処理を実施することができ、電極1021の精度も向上し得る。さらに、一度に電極1021の一部のみに通電することは、送達されたエネルギー又は熱を1つの領域に集中させることに役立ち、これは、送達されたエネルギー又は熱の効力を増大させ得る。したがって、電極1021は、様々な異なる処置を実施するために使用することができ、処置に要する時間及びコストを削減することができる。
【0080】
図15A,15Bは、本開示のさらなる態様にかかるシャフト1014の遠位端1016に連結された電極1021A,1021Bを示す。電極1021Aは、絶縁部材1027Aによって離間された第1の導電性部材1023A及び第2の導電性部材1025Aを含む。第1の導電性部材1023A及び第2の導電性部材1025Aは、組織を治療するために、本明細書で説明した機構のいずれかを用いて別々に通電され得る。さらに、第1の導電性部材1023Aは、1つ以上の第1の導電性領域1041Aを含む。第1の導電性領域1041Aは、セラミック又は絶縁ベース材料上の金属堆積物であり、交互の導電性領域及び非導電性領域を有する一体型の第1の導電性部材1023Aを形成する。第1の導電領域1041Aは、電極1021Aの長手方向軸に沿って延びる実質的に平行な線である。第1の導電性領域1041Aは、等間隔に配置される。代替的には、電極1021Aの一方の側は、他方の側よりも高密度の第1の導電性領域1041Aを含み、電極1021Aのそれぞれの側の異なるエネルギー送達能力を設け得る。第1の導電領域1041Aは、導体1029又は別の類似の導体に接続される。さらに、すべての第1の導電領域1041Aは、ともに通電されるか、又は1つ以上の第1の導電領域1041Aは、上記の選択構成のいずれかを使用して個別に通電され得る。
【0081】
第2の導電性部材1025Aは、1つ以上の第2の導電性領域1043Aを含む。例えば、第2の導電性領域1043Aは、セラミック又は絶縁ベース材料上の金属堆積物であり、交互の導電性領域及び非導電性領域を含む一体型の第2の導電性部材1025Aを形成する。第2の導電性領域1043Aは、第2の導電性部材1025Aの遠位面の外周に間隔を置いて配置された径方向の延伸部である。第2の導電領域1043Aは、導体1031又は別の類似の導体に接続される。さらに、すべての第2の導電領域1043Aは、ともに通電され、又は1つ以上の第2の導電領域1043Aは、上記の選択的な構成のいずれかを使用して個別に通電され得る。
【0082】
電極1021Bは、絶縁部材1027Bによって離間された第1の導電性部材1023B及び第2の導電性部材1025Bを含む。第1の導電性部材1023B及び第2の導電性部材1025Bは、組織を治療するために、本明細書で説明する機構のいずれかを介して別々に通電され得る。さらに、第1の導電性部材1023Bは、1つ以上の第1の導電性領域1041Bを含み、これらは、導体1029又は類似の導体に接続されている。第1の導電性領域1041Bは、セラミック又は絶縁ベース材料上の金属堆積物であり、交互の導電性領域及び非導電性領域を有する一体型の第1の導電性部材1023Bを形成する。第1の導電性領域1041Bは、第1の導電性部材1023Bの外側に配置されたらせん状又はスパイラル状の線である。第1の導電性領域1041Bは、等間隔に配置される。代替的には、電極1021Bのある部分は、別の部分よりも高密度の第1の導電性領域1041Bを含み、電極1021Bのそれぞれの部分の異なるエネルギー送達能力を設け得る。
【0083】
さらに、第2の導電性部材1025Bは、1つ以上の第2の導電性領域1043Bを含み、これは、導体1031又は類似の導体に接続される。例えば、第2の導電性領域1043Bは、セラミック又は絶縁ベース材料上の金属堆積物であり、交互の導電性及び非導電性領域を有する一体型の第2の導電性部材1025Bを形成する。第2の導電性領域1043Bは、第2の導電性部材1025Bの遠位面の外周に間隔を置いて配置された円形の線である。したがって、導電性領域及び非導電性領域は、環状であり、例えば、同心リングの形態である。第1の導電領域1041A及び第2の導電領域1043Aに関して上記したように、第1の導電領域1041B及び第2の導電領域1043Bはともに通電することができ、又は1つ以上の第1の導電領域1041B又は第2の導電領域1043Bは、上記の選択的な構成のいずれかを用いて個別に通電され得る。
【0084】
上記電極のいずれも、医療機器に選択的に連結され、且つ、取り外すことができる。同様に、医療機器に連結されると、各電極は、互いに絶縁された別個の部分を含み、電極の別個の部分は、組織を治療するために個別に通電され得る。
【0085】
上記医療機器及び方法により、使用者は、同時に又は順次に、電気エネルギーを組織に送達すること、及び、流体を送達することによって組織を治療し得る。さらに、使用者は、例えば、電極26、26A~26D、126、226、326、426、526、626、727、826、913、1021、1021A及び1021Bを含む複数の電極のうちの1つを選択して、電気エネルギー及び/又は流体を送達することができ、電極はそれぞれ異なる流体流路及び/又は絶縁体を有する。また、使用者は、いくつかの別の点で異なる類似の流路及び/又は絶縁パターンを有する電極から選択することができると考えられる。例えば、電極は、異なる形状、寸法、材料特性、使用レベル(例えば、より新しいかより古いか、又は摩耗又は損傷した電極の交換)、及び/又は別の性質を有する。同様に、使用者は、形状、寸法、材料特性、使用レベル、柔軟性、操作、及び/又は別の任意の特性を含む、異なる性質を有するシャフト及び/又はハンドルの間で選択することができる。
【0086】
遠位端16、116、216、816、916、及び1016は、電極を離脱可能に連結することを可能にするため、使用者は、第1の電極を遠位端に容易に連結して手術の一部を準備し、手術の別の部分の準備のために、それを取り外すことができる。例えば、使用者は、第1の電極を遠位端に連結し、遠位端を被検者の体管腔に送達して、処置の第1の部分で(例えば、組織をマークする、焼灼する、又は切除する)医学的治療を実施する。次に、使用者は、遠位端を体管腔内から取り出して、第1の電極を遠位端から取り外すことができる。次に、使用者は、第2の電極を遠位端に連結し、遠位端を体管腔内に送達して、処置の第2の部分の医学的治療を実施することができる。第2の電極は、第1の電極とは異なる流体流路及び/又は絶縁パターンを含み、これは、第1の電極よりも処置の第2の部分により適している場合がある。これらの工程は、必要に応じて多数の異なるタイプの電極を使用して、処置中に必要な回数を繰り返すことができる。さらに、使用者は、同一の医療装置10を使用して、遠位端16に連結された電極を単に交換及び/又は変更することによって、様々な種類の医療を提供することができる。様々な流体流路及び/又は絶縁パターンは、使用者が、迅速かつ効率的に治療を実施する、例えば組織を切断、解剖、切除、マーク、凝固、焼灼するなどのために役立つ可能性がある。
【0087】
追加的又は代替的に、電極の固定及び/又は除去は、医療処置を実施するための準備として、医療処置を実施する前に行うことができる。例えば、電極の固定及び/又は取り外しは、医療装置のアセンブラによって行うことができ、次いで、装置は、医療処置を実施するために使用者に送達され得る。
【0088】
さらに、
図12~15Bに関して説明したように、1個の電極1021、1021A、又は1021Bは、使用者が、医療機器の遠位端1016に連結された同一の電極を用いて異なる組織治療処置を実施することを可能にする。例えば、絶縁部材1027、1027A、及び1027Bは、第2の導電性部材1025、1025A、及び1025B又は電極1021、1021A、及び1021Bの遠位端を通ってエネルギーが流れるのを防止することに役立つため、使用者は、第1の導電性部材1023、1023A、及び1023Bにエネルギーを付与して、組織穿孔のリスクを低減して切断処置を実施し得る。同様に、使用者は、第2の導電性部材1025、1025A、及び1025Bに通電して、マーク又は止血処置を実施することができる。最後に、使用者は、処置の別の部分のために、電極1021、1021A、及び1021B全体に通電することができる。近位制御、例えば、起動制御1133、1個の可動導体、スライドスイッチ、1つ以上のアクチュエータ又はフットペダルなどは、使用者が、患者の体内から医療機器を除去せずに、電極1021、1021A、及び1021Bの通電を制御することを可能にし、これにより、処置のコストと時間とを削減するとともに、患者へのリスクも潜在的に削減することに役立ち得る。
【0089】
本発明の本質は、特定の用途の例示的な態様を参照して本明細書に記載されているが、本発明はそれに限定されないことを理解されたい。当業者、及び本明細書によって提供された開示内容にアクセスする者であれば、追加の修正、適用、態様、及び均等物の置換はすべて、本明細書に記載の態様の範囲内にあることが認識できるろう。したがって、本発明は、上記説明によって限定されると見なされるべきではない。