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特許7196206酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層
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  • 特許-酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層 図1
  • 特許-酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層 図2
  • 特許-酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層 図3
  • 特許-酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/102 20060101AFI20221219BHJP
   H01C 7/112 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01C7/102
H01C7/112
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020572951
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2018097320
(87)【国際公開番号】W WO2020019273
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】506259634
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】Qinghuayuan,Haidian District,Beijing 100084,China
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】何金良
(72)【発明者】
【氏名】孟鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】胡軍
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-239602(JP,A)
【文献】特開昭49-020689(JP,A)
【文献】特開昭48-038486(JP,A)
【文献】特開昭60-226102(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106587985(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/102
H01C 7/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合成分は、Bi(NO3)3、Co(NO3)2、Mn(NO3)2、CH3COOLiを含み、調製方法は、配合成分の各原料を溶媒と混合し、加熱により溶解し、使用方法は,配合溶液を抵抗片の側面に塗布することを特徴とする酸化亜鉛バリスタに用いられ
前記配合成分における各成分の質量部数はそれぞれBi(NO 3 ) 3 :1重量部~3重量部、Co(NO 3 ) 2 :0.5重量部~1重量部、Mn(NO 3 ) 2 :1重量部未満、CH 3 COOLi:0.1重量部未満であることを特徴とする酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層。
【請求項2】
前記溶媒は水、アルコール、脱イオン水のうちの1種類を含み、前記溶媒の質量部数が95重量部~98重量部であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層。
【請求項3】
前記抵抗片は円柱状構造を呈しており、前記抵抗片の側面は前記抵抗片の軸方向側の端面であり、前記抵抗片の径方向側の端面は底面、頂面であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層。
【請求項4】
塗布作業は、前記抵抗片の成形作業後、接着剤排出作業前であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛バリスタの生産分野に関し、特に酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層及びその調製、使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の酸化亜鉛抵抗片の製造方法は、そのプロセスが安定しており、製品合格率が高いため広く応用されているが、欠点もある。1つ目は高抵抗層の作製技術が複雑で、釉漿の安定性が低い。2つ目は釉層の均一性が低く、また釉層の厚さは焼成収縮率の影響を大きく受ける。3つ目は抵抗片の圧力比が低く、抵抗片の通流能力が制限されている。
【0003】
製品の技術レベルの向上に伴い、製品性能に対する要求もますます高くなり、従来の圧力比性能はすでに要求を満たすことができなくなり、低圧比、高通流の抵抗片の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を解決するために、酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層を設計することである。具体的な解決手段は下記の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層であって、その配合成分は、Bi(NO3)3、Co(NO3)2、Mn(NO3)2、CH3COOLiを含み、その調製方法は、配合成分の各原料を溶媒と混合し、加熱により溶解し、その使用方法は、配合溶液を抵抗片の側面に塗布する。
【0006】
前記配合成分における各成分の質量部数はそれぞれBi(NO3)3:1重量部~3重量部、Co(NO3)2:0.5重量部~1重量部、Mn(NO3)2:1重量部未満、CH3COOLi:0.1重量部未満である。
【0007】
前記溶媒は水、アルコール、脱イオン水のうちの1種類を含み、前記溶媒の質量部数が95重量部~98重量部である。
【0008】
前記抵抗片は円柱状構造を呈しており、前記抵抗片の側面は前記抵抗片の軸方向側の端面であり、前記抵抗片の径方向側の端面は底面、頂面である。
【0009】
塗布作業は、前記抵抗片の成形作業後、接着剤排出作業前である。
【0010】
原材料に可溶性塩を使用し、高抵抗層の作製技術を簡素化し、また技術の応用をコントロールしやすい。各種原料は合理的な供給量である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記技術的解決手段により得られた酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層は、その有益な効果は下記の通りである。
【0012】
高抵抗層の配合調整、及び技術の制御により、抵抗片の本体と釉層の収縮率を一致させ、抵抗片の側面絶縁問題を解決し、また抵抗片の方形波の通流容量を高めた。従来の予備焼成の収縮率の不一致による釉層の厚さのばらつきを減少させ、抵抗片にクラックが発生せず、技術的に更に安定化させた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層が実施例1に記載の質量部で調製、塗布後、D62抵抗片の残圧測定データ表である。
図2】本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層が実施例1に記載の質量部で調製、塗布後、D62抵抗片の残圧測定データ表である。
図3】本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層が実施例1に記載の質量部で調製、塗布後、D62抵抗片の残圧測定データ表である。
図4】本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層の塗布位置の構造見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層であって、その配合成分は、Bi(NO3)3、Co(NO3)2、Mn(NO3)2、CH3COOLiを含み、その調製方法は、配合成分の各原料を溶媒と混合し、加熱により溶解し、その使用方法は、配合溶液を抵抗片の側面に塗布する。
【0016】
前記配合成分における各成分の質量部数はそれぞれBi(NO3)3:1重量部~3重量部、Co(NO3)2:0.5重量部~1重量部、Mn(NO3)2:1重量部未満、CH3COOLi:0.1重量部未満である。
【0017】
前記溶媒は水、アルコール、脱イオン水のうちの1種類を含み、前記溶媒の質量部数が95重量部~98重量部である。
【0018】
図4は本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層の塗布位置の構造見取り図である。前記抵抗片は円柱状構造を呈しており、前記抵抗片の側面は前記抵抗片の軸方向側の端面であり、前記抵抗片の径方向側の端面は底面、頂面である。
【0019】
塗布作業は、前記抵抗片の成形作業後、接着剤排出作業前である。
【0020】
原材料に可溶性塩を使用し、高抵抗層の作製技術を簡素化し、また技術の応用をコントロールしやすい。各種原料は合理的な供給量である。
【実施例1】
【0021】
百万ボルト式のD62仕様の抵抗片を選択し、以下の方式で高抵抗層を配合した:硝酸ビスマス1%、硝酸コバルト0.5%、硝酸マンガン1%、酢酸リチウム0.05%、脱イオン水97.45%である。各種原料を配合し溶液にして、抵抗片側面に均一に塗布し、各抵抗片2gを塗布し、その後、抵抗片は正常な接着剤排出、焼成、シート研磨、アルミスプレーなどの後工程を行い、その後テストを実施する。
【0022】
図1は本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層が実施例1に記載の質量部数で調製、塗布後、D62抵抗片の残圧測定データ表である。図1に示すように、抵抗片に対して方形波容量実験は600Aで18回行い、抵抗片は無欠であり、さらに800Aで18回行い、抵抗片は無欠であり、実験容量を継続的に増大させ、1000Aで18回行い、抵抗片も無欠であり、引き続き1050Aまで増加したとき、抵抗片にクラックが入った。
【実施例2】
【0023】
以下の方式で高抵抗層を配合した:硝酸ビスマス3%、硝酸コバルト0.5%、硝酸マンガン1%、アルコール95.50%である。各種原料を配合し溶液にして、また百万ボルト式のD62仕様の抵抗片を選択し、溶液を抵抗片側面に均一に塗布し、各抵抗片2gを塗布し、その後、抵抗片は正常な接着剤排出、焼成、シート研磨、アルミスプレーなどの後工程を行い、その後テストを実施する。
【0024】
図2は本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層が実施例1に記載の質量部で調製、塗布後、D62抵抗片の残圧測定データ表である。図2に示すように、抵抗片に対して方形波容量実験を600Aで行い、側面に沿って破壊される。
【実施例3】
【0025】
以下の方式で高抵抗層を配合した:硝酸ビスマス1%、硝酸コバルト1%、硝酸マンガン0.5%、脱イオン水97.5%である。各種原料を配合し溶液にして、また百万ボルト式のD62仕様の抵抗片を選択し、溶液を抵抗片側面に均一に塗布し、各抵抗片2gを塗布し、その後、抵抗片は正常な接着剤排出、焼成、シート研磨、アルミスプレーなどの後工程を行い、その後テストを行う。
【0026】
図3は本発明に記載の酸化亜鉛バリスタに用いられる液体高抵抗層が実施例1に記載の質量部数で調製、塗布後、D62抵抗片の残圧測定データ表である。図3に示すように、抵抗片に対して方形波容量実験を600Aで18回行い、抵抗片は無欠であり、実験容量を増大させ、800Aで18回行ったところ、抵抗片にクラックが入った。
【0027】
上記の技術的解決手段は本発明に関する技術的解決手段の好ましい事例のみであり、当業者がその一部に対して実施可能ないくつかの変更は本発明の原理を示しており、本発明の保護対象となる。
【符号の説明】
【0028】
1・・・抵抗片
2・・・高抵抗層
図1
図2
図3
図4