(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20221219BHJP
B60W 30/12 20200101ALI20221219BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20221219BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W30/12
B60W60/00
G01C21/28
(21)【出願番号】P 2021057523
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】和田 康一郎
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0077402(US,A1)
【文献】特開2019-053596(JP,A)
【文献】特開2010-069921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00
G01C 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の自動運転の制御を行う車両制御装置であって、
車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得する取得部と、
取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定する車線判定部と、
前記車線判定部により前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定する車線候補判定部と、
前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる変更処理部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記参照情報は、人工衛星から到来する電波に基づく前記車両の測位情報である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記変更処理部は、前記車線候補の少なくとも1つの車線自体に前記イベントが発生する場合、または、前記車線候補の少なくとも1つの車線に繋がる他車線に前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記変更処理部は、前記地図情報に基づいて、前記イベントの発生の有無を判定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記変更処理部は、前記車線候補上における前記車両の現在位置と、前記イベントの発生位置との距離が所定値以上である場合、現在の制御レベルを継続する、
請求項1から4の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記変更処理部は、前記制御レベルを低下させる場合、前記車両の乗員に対して運転操作を要求する情報を出力装置に出力させる、
請求項1から5の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記車線候補判定部は、前記車両が走行している可能性がある複数の車線の中から、前記車両の周辺を撮像した周辺画像情報、人工衛星から到来する電波に基づく前記車両の測位情報、および推測航法による測位情報の少なくとも1つに基づいて、前記車線候補を特定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記車線候補判定部は、前記周辺画像情報に含まれる道路区画線の種別情報または車線位置を特定可能な物標の情報に基づいて、前記車線候補を特定する、
請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記変更処理部は、前記参照情報により特定される前記車両の位置が車線上に無い場合、または、前記参照情報により特定される前記車両の位置が単位時間内で所定距離以上変動する場合、前記自動運転を停止させる、
請求項1から8の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
車両に搭載された自動運転の制御を行うコンピュータが、
車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得し、
取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定し、
前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定し、
前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる、
車両制御方法。
【請求項11】
車両に搭載された自動運転の制御を行うコンピュータに、
車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得させ、
取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定させ、
前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定させ、
前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動運転を目的として、車載カメラから得られる画像情報や衛星測位システムから得られる測位情報などを用いて、地図上における自車両の位置を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、例えば、電波状況の悪化などが原因で自車両の位置を正確に推定できない場合には、自動運転を停止するか或いは自動運転の制御レベルを低下させるように設計されている。このため、実際には自動運転を継続しても問題が生じえないような状況であったとしても、直ちに自動運転が停止等され、乗員に不要な運転負担を課すこととなり、利便性が損なわれている場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、適切な条件で自動運転の制御レベルを変更することができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1)この発明の一態様の車両制御装置は、車両の自動運転の制御を行う車両制御装置であって、車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得する取得部と、取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定する車線判定部と、前記車線判定部により前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定する車線候補判定部と、前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる変更処理部と、を備えるものである。
【0007】
(2)の態様は、上記(1)の態様に係る車両制御装置において、前記参照情報は、人工衛星から到来する電波に基づく前記車両の測位情報であるものである。
【0008】
(3)の態様は、上記(1)または(2)の態様に係る車両制御装置において、前記変更処理部は、前記車線候補の少なくとも1つの車線自体に前記イベントが発生する場合、または、前記車線候補の少なくとも1つの車線に繋がる他車線に前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させるものである。
【0009】
(4)の態様は、上記(1)から(3)のいずれかの態様に係る車両制御装置において、前記変更処理部は、前記地図情報に基づいて、前記イベントの発生の有無を判定するものである。
【0010】
(5)の態様は、上記(1)から(4)のいずれかの態様に係る車両制御装置において、前記変更処理部は、前記車線候補上における前記車両の現在位置と、前記イベントの発生位置との距離が所定値以上である場合、現在の制御レベルを継続するものである。
【0011】
(6)の態様は、上記(1)から(5)のいずれかの態様に係る車両制御装置において、前記変更処理部は、前記制御レベルを低下させる場合、前記車両の乗員に対して運転操作を要求する情報を出力装置に出力させるものである。
【0012】
(7)の態様は、上記(1)から(6)のいずれかの態様に係る車両制御装置において、前記車線候補判定部は、前記車両が走行している可能性がある複数の車線の中から、前記車両の周辺を撮像した周辺画像情報、人工衛星から到来する電波に基づく前記車両の測位情報、および推測航法による測位情報の少なくとも1つに基づいて、前記車線候補を特定するものである。
【0013】
(8)の態様は、上記(7)の態様に係る車両制御装置において、前記車線候補判定部は、前記周辺画像情報に含まれる道路区画線の種別情報または車線位置を特定可能な物標の情報に基づいて、前記車線候補を特定するものである。
【0014】
(9)の態様は、上記(1)から(8)のいずれかの態様に係る車両制御装置において、前記変更処理部は、前記参照情報により特定される前記車両の位置が車線上に無い場合、または、前記参照情報により特定される前記車両の位置が単位時間内で所定距離以上変動する場合、前記自動運転を停止させるものである。
【0015】
(10)この発明の他の態様の車両制御方法は、車両に搭載された自動運転の制御を行うコンピュータが、車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得し、取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定し、前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定し、前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させるものである。
【0016】
(11)この発明の他の態様のプログラムは、車両に搭載された自動運転の制御を行うコンピュータに、車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得させ、取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定させ、前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定させ、前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させるものである。
【発明の効果】
【0017】
上記(1)から(11)の態様によれば、地図情報上において車両が走行している車線候補を判定し、車線候補のいずれにおいても自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、車線候補の少なくとも1つにおいてイベントが発生する場合、制御レベルを低下させることで、適切な条件で自動運転の制御レベルを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システムの構成図である。
【
図2】実施形態に係る第1制御部および第2制御部の機能構成図である。
【
図3】実施形態に係る運転モードと、自車両の制御状態およびタスクとの対応関係の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る自動運転制御装置による自動運転の運転モードの変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5A】車線候補にレベルダウンイベントが発生しない場面の一例を表す図である。
【
図5B】車線候補にレベルダウンイベントが発生しない場面の一例を表す図である。
【
図6A】車線候補にレベルダウンイベントが発生する場面の一例を表す図である。
【
図6B】車線候補にレベルダウンイベントが発生する場面の一例を表す図である。
【
図7】車線候補にレベルダウンイベントが発生する場面の他の例を表す図である。
【
図8A】実施形態に係る車線候補判定部による車線候補の判定処理の一例を示す図である。
【
図8B】実施形態に係る車線候補判定部による車線候補の判定処理の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る車線候補判定部による車線候補の判定処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0020】
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪などの車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0021】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、ドライバモニタカメラ70と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線などの多重通信線やシリアル通信線、無線通信網などによって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0022】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面などに取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0023】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0024】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0025】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0026】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0027】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。HMI30は、「出力装置」の一例である。
【0028】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、自車両Mの向きを検出する方位センサなどを含む。
【0029】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。
【0030】
GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号(人工衛星から到来する電波)に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。
【0031】
第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末などの端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0032】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、推奨車線決定部61は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めMPU60の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることでMPU60の記憶装置にインストールされてもよい。
【0033】
推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0034】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報(道路中心線、中心線)或いは車線の境界の情報(道路区画線、区画線)などを含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報、後述するモードAまたはモードBが禁止される禁止区間の情報、後述するレベルダウンイベントの有無の情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0035】
ドライバモニタカメラ70は、例えば、CCDやCMOSなどの固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。ドライバモニタカメラ70は、自車両Mの運転席に着座した乗員(以下、運転者)の頭部を正面から(顔面を撮像する向きで)撮像可能な位置および向きで、自車両Mにおける任意の箇所に取り付けられる。例えば、ドライバモニタカメラ70は、自車両Mのインストルメントパネルの中央部に設けられたディスプレイ装置の上部に取り付けられる。
【0036】
運転操作子80は、例えば、ステアリングホイール82の他、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられている。そのセンサの検出結果は、自動運転制御装置100に出力されたり、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力されたりする。ステアリングホイール82は、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアリングホイールやジョイスティック、ボタンなどの形態であってもよい。ステアリングホイール82には、ステアリング把持センサ84が取り付けられている。ステアリング把持センサ84は、静電容量センサなどにより実現され、運転者がステアリングホイール82を把持している(力を加えられる状態で接していることをいう)か否かを検知可能な信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0037】
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0038】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140と、モード決定部150とを備える。自動運転制御装置100は「車両制御装置」の一例である。
【0039】
第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニングなどによる交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0040】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度などの状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナーなどの代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0041】
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0042】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0043】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0044】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベントなどがある。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0045】
モード決定部150は、自車両Mの運転モードを、運転者に課されるタスクが異なる複数の運転モードのいずれかに決定する。モード決定部150は、例えば、運転者状態判定部151と、モード変更処理部152と、取得部153と、車線判定部154と、車線候補判定部155とを備える。これらの個別の機能については後述する。モード変更処理部152は、「変更処理部」の一例である。取得部153は、「取得部」の一例である。車線判定部154は、「車線判定部」の一例である。車線候補判定部155は、「車線候補判定部」の一例である。
【0046】
図3は、運転モードと、自車両Mの制御状態およびタスクとの対応関係の一例を示す図である。自車両Mの運転モードには、例えば、モードAからモードEの5つのモードがある。制御状態すなわち自車両Mの運転制御の自動化度合い(制御レベル)は、モードAが最も高く、次いでモードB、モードC、モードDの順に低くなり、モードEが最も低い。この逆に、運転者に課されるタスクは、モードAが最も軽度であり、次いでモードB、モードC、モードDの順に重度となり、モードEが最も重度である。なお、モードDおよびEでは自動運転でない制御状態となるため、自動運転制御装置100としては自動運転に係る制御を終了し、運転支援または手動運転に移行させるまでが責務である。以下、それぞれの運転モードの内容について例示する。
【0047】
モードAでは、自動運転の状態となり、運転者には前方監視、ステアリングホイール82の把持(図ではステアリング把持)のいずれも課されない。但し、モードAであっても運転者は、自動運転制御装置100を中心としたシステムからの要求に応じて速やかに手動運転に移行できる体勢であることが要求される。なお、ここで言う自動運転とは、操舵、加減速のいずれも運転者の操作に依らずに制御されることをいう。前方とは、フロントウインドシールドを介して視認される自車両Mの進行方向の空間を意味する。モードAは、例えば、高速道路などの自動車専用道路において、所定速度(例えば50[km/h]程度)以下で自車両Mが走行しており、追従対象の前走車両が存在するなどの条件が満たされる場合に実行可能な運転モードであり、TJP(Traffic Jam Pilot)と称される場合もある。この条件が満たされなくなった場合、モード決定部150は、モードBに自車両Mの運転モードを変更する。
【0048】
モードBでは、運転支援の状態となり、運転者には自車両Mの前方を監視するタスク(以下、前方監視)が課されるが、ステアリングホイール82を把持するタスクは課されない。モードCでは、運転支援の状態となり、運転者には前方監視のタスクと、ステアリングホイール82を把持するタスクが課される。モードDは、自車両Mの操舵と加減速のうち少なくとも一方に関して、ある程度の運転者による運転操作が必要な運転モードである。例えば、モードDでは、ACC(Adaptive Cruise Control)やLKAS(Lane Keeping Assist System)といった運転支援が行われる。モードEでは、操舵、加減速ともに運転者による運転操作が必要な手動運転の状態となる。モードD、モードEともに、当然ながら運転者には自車両Mの前方を監視するタスクが課される。
【0049】
自動運転制御装置100(および運転支援装置(不図示))は、運転モードに応じた自動車線変更を実行する。自動車線変更には、システム要求による自動車線変更(1)と、運転者要求による自動車線変更(2)がある。自動車線変更(1)には、前走車両の速度が自車両の速度に比して基準以上に小さい場合に行われる、追い越しのための自動車線変更と、目的地に向けて進行するための自動車線変更(推奨車線が変更されたことによる自動車線変更)とがある。自動車線変更(2)は、速度や周辺車両との位置関係などに関する条件が満たされた場合において、運転者により方向指示器が操作された場合に、操作方向に向けて自車両Mを車線変更させるものである。
【0050】
自動運転制御装置100は、モードAにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行しない。自動運転制御装置100は、モードBおよびCにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行する。運転支援装置(不図示)は、モードDにおいて、自動車線変更(1)は実行せず自動車線変更(2)を実行する。モードEにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行されない。
【0051】
モード決定部150は、決定した運転モード(以下、現運転モード)に係るタスクが運転者により実行されない場合に、よりタスクが重度な運転モードに自車両Mの運転モードを変更する。
【0052】
例えば、モードAにおいて運転者が、システムからの要求に応じて手動運転に移行できない体勢である場合(例えば許容エリア外の脇見を継続している場合や、運転困難となる予兆が検出された場合)、モード決定部150は、HMI30を用いて運転者に手動運転への移行を促し、運転者が応じなければ自車両Mを路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止する、といった制御を行う。自動運転を停止した後は、自車両はモードDまたはEの状態になり、運転者の手動操作によって自車両Mを発進させることが可能となる。以下、「自動運転を停止」に関して同様である。モードBにおいて運転者が前方を監視していない場合、モード決定部150は、HMI30を用いて運転者に前方監視を促し、運転者が応じなければ自車両Mを路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止する、といった制御を行う。モードCにおいて運転者が前方を監視していない場合、或いはステアリングホイール82を把持していない場合、モード決定部150は、HMI30を用いて運転者に前方監視を、および/またはステアリングホイール82を把持するように促し、運転者が応じなければ自車両Mを路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止する、といった制御を行う。
【0053】
運転者状態判定部151は、上記のモード変更のために運転者の状態を監視し、運転者の状態がタスクに応じた状態であるか否かを判定する。例えば、運転者状態判定部151は、ドライバモニタカメラ70が撮像した画像を解析して姿勢推定処理を行い、運転者が、システムからの要求に応じて手動運転に移行できない体勢であるか否かを判定する。また、運転者状態判定部151は、ドライバモニタカメラ70が撮像した画像を解析して視線推定処理を行い、運転者が前方を監視しているか否かを判定する。
【0054】
モード変更処理部152は、モード変更のための各種処理を行う。例えば、モード変更処理部152は、行動計画生成部140に路肩停止のための目標軌道を生成するように指示したり、運転支援装置(不図示)に作動指示をしたり、運転者に行動を促すためにHMI30の制御をしたりする。また、モード変更処理部152は、後述する車線候補判定部155により判定された車線候補のいずれの車線においてもレベルダウンイベントが発生しない場合、現在の自動運転の制御レベルを継続する。一方、モード変更処理部152は、車線候補判定部155により判定された車線候補の少なくとも1つの車線においてレベルダウンイベントが発生する場合、自動運転の制御レベルを低下させる。すなわち、モード変更処理部152は、車線候補のいずれにおいても自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、車線候補の少なくとも1つにおいてイベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる。モード変更処理部152の処理の詳細については、後述する。
【0055】
取得部153は、GNSS受信機51により出力された自車両Mの位置情報(以下、「自車位置情報」と称する)と、MPU60により出力された自車両Mの目的地までの経路上の推奨車線が特定された地図情報(以下、「推奨車線地図情報」と称する)と、を取得する。この推奨車線地図情報は、第2地図情報62上において推奨車線が特定された高精度地図情報である。すなわち、取得部153は、車線の情報を含む地図情報と、車両の位置を特定するための参照情報とを取得する。参照情報は、人工衛星から到来する電波に基づく車両の測位情報である。推奨車線地図情報は、「地図情報」の一例である。自車位置情報は、「参照情報」の一例である。
【0056】
また、取得部153は、カメラ10により出力された自車両Mの周辺を撮像した周辺画像、レーダ装置12により出力された周辺の物体の位置情報、LIDAR14により出力された周辺の物体までの距離情報、物体認識装置16により出力された周辺の物体の位置、種類、速度などの認識情報、車両センサ40の出力値に基づいて推測航法により算出される自車両Mの位置情報(以下、「オドメトリ情報」と称する)などを取得する。オドメトリ情報は、例えば、車両センサ40に含まれる車輪速センサなどの出力である自車両Mの速度を積分することで得られる、自車両Mの単位時間あたりの走行距離の情報である。オドメトリ情報は、更に、車両センサ40に含まれるヨーレートセンサなどの出力である旋回角の情報が加味された情報であってもよい。
【0057】
また、取得部153は、通信装置20により出力されたナビゲーションサーバからの道路情報などを取得する。道路情報は、車両速度情報や道路属性情報、道路交通情報などを含む。車両速度情報は、走行予定経路の各区間における規制速度(例えば法定速度)や平均速度、車速分布などの情報である。平均速度は、各区間を走行した複数の車両の速度の平均値である。道路属性情報は、道路種別(高速道路または一般道路)や道路勾配、車線数などの情報である。道路交通情報は、渋滞、信号機または一時停止、工事などの情報である。
【0058】
車線判定部154は、取得部153により取得された自車位置情報および推奨車線地図情報を参照し、推奨車線地図情報上において、自車両Mが走行中の走行車線を判定する。例えば、車線判定部154は、推奨車線地図情報上において、自車両Mが走行中の1つの走行車線を特定する。すなわち、車線判定部154は、取得された参照情報に基づいて、地図情報上において車両が走行している走行車線を判定する。車線判定部154の処理の詳細については、後述する。
【0059】
車線候補判定部155は、車線判定部154により自車両Mの走行車線が特定されない場合に、自車両Mの走行中の車線の候補(以下、「車線候補」と称する)を判定する。例えば、車線候補判定部155は、取得部153により取得された推奨車線地図情報と、自車位置情報、周辺画像、周辺の物体の位置情報、周辺の物体までの距離情報、周辺の物体の認識情報、オドメトリ情報、および道路情報の少なくとも1つとに基づいて、複数の車線候補を特定する。すなわち、車線候補判定部155は、車線判定部154により走行車線が特定されない場合、参照情報に基づいて、地図情報上において車両が走行している車線候補を判定する。また、車線候補判定部155は、車両が走行している可能性がある複数の車線の中から、車両の周辺を撮像した周辺画像情報、車両のGNSS測位情報、および推測航法による測位情報の少なくとも1つに基づいて、車線候補を特定する。車線候補判定部155の処理の詳細については、後述する。
【0060】
図2に戻り、第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0061】
第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0062】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0063】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0064】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0065】
[運転モード変更処理]
以下、フローチャートを用いて、自動運転の運転モードの変更処理について説明する。
図4は、実施形態に係る自動運転制御装置100による自動運転の運転モードの変更処理の一例を示すフローチャートである。以下の説明においては、行動計画生成部140により生成された目標軌道に沿って、自車両Mがモード決定部150によって決定された運転モード(例えば、モードAまたはモードB)で自動運転の制御により走行しているものとする。
【0066】
まず、取得部153は、MPU60により出力された推奨車線地図情報と、GNSS受信機51により出力された自車位置情報と、を取得する(ステップS101)。
【0067】
次に、車線判定部154は、取得部153により取得された推奨車線地図情報および自車位置情報を参照し、推奨車線地図情報上において自車両Mが走行中の走行車線の判定処理を行う(ステップS103)。
【0068】
次に、車線判定部154は、1つの走行車線を特定できたか否かを判定する(ステップS105)。例えば、GNSS受信機51により特定される自車両Mの位置が時間に沿って離散的に変化している場合、車線判定部154は、自車両Mの走行車線を特定できないと判定する。自車両Mの位置が時間に沿って離散的に変化しているとは、例えば、自車両Mの位置が、ある時刻において第1の車線上であったのに、次の時刻には第1の車線とは異なる車線上に移動しているような場合である。このような走行車線を特定できない状況は、例えば、GNSS衛星からの信号の受信状況が悪化し、GNSS測位に揺れが生じている場合や、GNSS衛星からの信号の受信が断続的となっている場合などにおいて発生し得る。なお、車線判定部154は、推奨車線地図情報および自車位置情報に基づいて1つの走行車線を特定できない場合に、HMI30に含まれる表示装置に走行車線の選択画面を表示させ、この選択画面に対する乗員の選択操作に基づいて、走行車線を特定するようにしてもよい。
【0069】
車線判定部154により走行車線が特定できたと判定された場合(ステップS105:Yes)、自動運転を安定的に継続することが可能な状態であることが想定される。この場合、モード変更処理部152は、現在の制御レベルを継続し、現在の運転モード(ここでは、モードAまたはモードB)を維持する(ステップS113)。
【0070】
一方、車線判定部154により走行車線が特定できなかったと判定された場合(ステップS105:No)、自動運転を安定的に継続することが不確かな状態であることが想定される。この場合、以下のような車線候補を用いたさらなる判定処理が行われる。すなわち、車線候補判定部155は、車線候補の判定処理を行う(ステップS107)。例えば、車線候補判定部155は、取得部153により取得された推奨車線地図情報と、自車位置情報、周辺画像、周辺の物体の位置情報、周辺の物体までの距離情報、周辺の物体の認識情報、オドメトリ情報、および道路情報の少なくとも1つとに基づいて、車線候補の判定処理を行う。
【0071】
ここで、GNSS受信機51により出力された自車位置情報は1つの走行車線を特定できないものとなっている。すなわち、このような自車位置情報において特定された自車両Mの位置は、例えば、時間に沿って離散的に変化している(あたかも自車両Mが複数の車線上に位置していることを示している)ものとなっている。このような自車位置情報を用いる場合、車線候補判定部155は、自車位置情報により特定されうる複数の走行車線(自車両Mが走行している可能性がある複数の車線)を、車線候補として判定する。
【0072】
また、カメラ10により出力された周辺画像を用いる場合、車線候補判定部155は、周辺画像に映り込んだ複数の車線を車線候補として判定する。また、レーダ装置12から出力された周辺の物体の位置情報、LIDAR14から出力された周辺の物体までの距離情報、物体認識装置16から出力された周辺の物体の認識情報などを用いる場合、車線候補判定部155は、これらの周辺の物体の情報と、推奨車線地図情報に含まれる周辺の物体の情報とを照合して車線候補を推定する。また、オドメトリ情報を用いる場合、車線候補判定部155は、オドメトリ情報によって特定される自車両Mの位置と、推奨車線地図情報とを照合して車線候補を推定する。また、道路情報を用いる場合、車線候補判定部155は、この道路情報に含まれる車線を車線候補として判定する。
【0073】
次に、車線候補判定部155は、車線候補を特定できたか否かを判定する(ステップS109)。車線候補判定部155は、車線候補を特定できたと判定した場合(ステップS109:Yes)、さらに、自車両Mの進行方向前方の所定距離の区間において、レベルダウンイベントが発生するか否かを判定する(ステップS111)。
【0074】
レベルダウンイベント(運転交代イベント)とは、車両の運転者に課されるタスクが軽度な運転モードから、タスクが重度な運転モードへの変更が要求される事象(制御レベルを低下させることが要求される事象)を言う。例えば、レベルダウンイベントとは、運転モードAまたはBから、運転モードC、D、またはEへの変更が要求される事象を言う。例えば、レベルダウンイベントは、分岐車線を走行すること、分岐車線に繋がる車線を走行すること(分岐車線への侵入が可能な車線を走行すること)、合流車線を走行すること、合流車線に繋がる車線を走行すること(合流車線への侵入が可能な車線を走行すること、合流車線からの侵入が可能な車線を走行すること)、高速道路から一般道路に進入すること、急カーブ車線を走行すること、現在走行中の道路よりも車線数が減少した道路を走行すること、工事区間を走行することなどを含む。レベルダウンイベントの情報は、各車線と紐付されて、推奨車線地図情報に格納されている。なお、車線減少や工事区間に関する情報は、通信装置20を介して道路交通情報通信システムセンター(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System Center)から取得される道路交通情報に基づくものであってよい。レベルダウンイベントは、「イベント」の一例である。すなわち、レベルダウンイベントは、車線の分岐または合流である。
【0075】
図5Aおよび
図5Bは、車線候補にレベルダウンイベントが発生しない場面の一例を表す図である。
図5Aに示す例では、上記のステップS107およびS109において、自車両Mが走行している道路の3つの車線(第1車線L1、第2車線L2、第3車線L3)の内、車線候補EL1として第2車線L2および第3車線L3の2つの車線が特定されており、モード変更処理部152は、これらの第2車線L2および第3車線L3の各々について、自車両Mの進行方向前方の所定距離Dの区間において、レベルダウンイベントが発生するか否かを判定する。この例では、所定距離Dの区間において、第2車線L2および第3車線L3はいずれも直進車線となっており、レベルダウンイベントは発生しない。この場合、モード変更処理部152は、車線候補EL1について、レベルダウンイベントが発生しないと判定する。
【0076】
また、
図5Bに示す例では、上記のステップS107およびS109において、自車両Mが走行している道路の3つの車線(第1車線L1、第2車線L2、第3車線L3)の内、車線候補EL1として第2車線L2および第3車線L3の2つの車線が特定されており、モード変更処理部152は、これらの第2車線L2および第3車線L3の各々について、自車両Mの進行方向前方の所定距離Dの区間において、レベルダウンイベントが発生するか否かを判定する。この例では、所定距離Dの区間において、第2車線L2および第3車線L3はいずれも直進車線となっており、レベルダウンイベントは発生しない。この場合、モード変更処理部152は、車線候補EL1について、レベルダウンイベントが発生しないと判定する。
【0077】
図6Aおよび
図6Bは、車線候補にレベルダウンイベントが発生する場面の一例を表す図である。
図6Aに示す例では、上記のステップS107およびS109において、自車両Mが走行している道路の3つの車線(第1車線L1、第2車線L2、第3車線L3)の内、車線候補EL2として第1車線L1および第2車線L2の2つの車線が特定されており、モード変更処理部152は、これらの第1車線L1および第2車線L2の各々について、自車両Mの進行方向前方の所定距離Dの区間において、レベルダウンイベントが発生するか否かを判定する。この例では、所定距離Dの区間において、第2車線L2は直進車線となっており、レベルダウンイベントは発生しない。一方、第1車線L1は、第2車線L2および第3車線L3(本線)から分岐する分岐車線となっており、レベルダウンイベントが発生する。すなわち、第1車線L1は、所定距離Dの区間において、その車線自体にイベントが発生する。この場合、モード変更処理部152は、車線候補EL2について、レベルダウンイベントが発生すると判定する。
【0078】
また、
図6Bに示す例では、上記のステップS107およびS109において、自車両Mが走行している道路の3つの車線(第1車線L1、第2車線L2、第3車線L3)の内、車線候補EL2として第1車線L1および第2車線L2の2つの車線が特定されており、モード変更処理部152は、これらの第1車線L1および第2車線L2の各々について、自車両Mの進行方向前方の所定距離Dの区間において、レベルダウンイベントが発生するか否かを判定する。この例では、所定距離Dの区間において、第2車線L2は直進車線となっており、レベルダウンイベントは発生しない。一方、第1車線L1は、分岐車線L4に繋がる車線となっており(第1車線L1は、分岐車線L4と隣接する車線となっており)、レベルダウンイベントが発生する。すなわち、第1車線L1は、所定距離Dの区間において、その車線と繋がる他の車線(分岐車線L4)にレベルダウンイベントが発生する。この場合、モード変更処理部152は、車線候補EL2について、レベルダウンイベントが発生すると判定する。
【0079】
図7は、車線候補にレベルダウンイベントが発生する場面の他の例を表す図である。
図7に示す例では、上記のステップS107およびS109において、車線候補EL3として、第5車線L5および第6車線L6の2つの車線が特定されており、モード変更処理部152は、これらの第5車線L5および第6車線L6の各々について、自車両Mの進行方向前方の所定距離Dの区間において、レベルダウンイベントが発生するか否かを判定する。この例では、所定距離Dの区間において、第6車線L6は直進車線となっており、レベルダウンイベントは発生しない。一方、第5車線L5は合流車線となっており、レベルダウンイベントが発生する。この場合、モード変更処理部152は、車線候補EL3について、レベルダウンイベントが発生すると判定する。
【0080】
モード変更処理部152は、推奨車線地図情報において各車線と紐付けされて格納されているレベルダウンイベントの情報に基づいて、レベルダウンイベントの有無を判定する。すなわち、モード変更処理部152は、地図情報に基づいて、イベントの発生の有無を判定する。なお、モード変更処理部152は、カメラ10により出力された周辺画像に基づいて、レベルダウンイベントの有無を判定してもよい。例えば、周辺画像において分岐車線、合流車線、工事現場が映り込んでいる場合、モード変更処理部152は、レベルダウンイベントが発生すると判定してよい。
【0081】
図4に戻り、モード変更処理部152によりレベルダウンイベントが発生しないと判定された場合(ステップS111:No)、自動運転を安定的に継続することが可能な状態であることが想定される。この場合、モード変更処理部152は、現在の制御レベルを継続し、現在の運転モード(ここでは、モードAまたはモードB)を維持する(ステップS113)。なお、
図6に示す例において、第1車線L1上における自車両Mの現在位置と、分岐車線L4との分岐地点との距離が所定距離Dよりも離れている場合、モード変更処理部152は、車線候補EL2について、レベルダウンイベントが発生しないと判定し、現在の制御レベルを継続する。すなわち、モード変更処理部152は、車線候補上における車両の現在位置と、イベントの発生位置との距離が所定値以上である場合、現在の制御レベルを継続する。
【0082】
一方、モード変更処理部152は、レベルダウンイベントが発生すると判定した場合(ステップS111:Yes)、より制御レベルの低い自動運転の運転モードに変更する(ステップS115)。例えば、モード変更処理部152は、自車両Mの運転モードがモードAまたはモードBである場合、モードBよりも制御レベルの低いモードC、モードD、またはモードEに変更する。言い換えれば、モード変更処理部152は、自車両Mの運転モードがモードAまたはモードBである場合、モードBよりも乗員に課される責務(タスク)が重いモードC、モードD、またはモードEに変更する。また、モード変更処理部152は、制御レベルを低下させる場合、車両の乗員に対して運転操作を要求する情報をHMI30(出力装置)に出力させる。
【0083】
すなわち、モード変更処理部152は、車線候補の少なくとも1つの車線自体にイベントが発生する場合、または、車線候補の少なくとも1つの車線に繋がる他車線にイベントが発生する場合、制御レベルを低下させる。
【0084】
なお、
図6Bに示すような自車両Mが走行中の車線の候補として特定された車線(第1車線L1)と繋がる他の車線(分岐車線L4)にレベルダウンイベントが発生する場合、モード変更処理部152は、HMI30に含まれる表示装置に、レベルダウンイベントを行うか否か(すなわち、分岐車線L4に進入するか否か)の選択画面を表示させ、この選択画面に対する乗員の選択操作に基づいて、自動運転の運転モードの変更を行うようにしてもよい。この選択画面において、乗員からレベルダウンイベントを行う旨(すなわち、分岐車線L4に進入する)の操作を受け付けた場合、モード変更処理部152は、より制御レベルの低い自動運転の運転モードに変更し、乗員にステアリング把持の要求を行うようにしてよい。一方、この選択画面において、乗員からレベルダウンイベントを行わない旨(すなわち、分岐車線L4に進入せず、第1車線L1を直進する)の操作を受け付けた場合(すなわち、自動運転の継続要求があった場合)、モード変更処理部152は、現在の制御レベルを継続するようにしてもよい。なお、この選択画面において、乗員からの操作を検知できない場合(乗員が何も操作を行わない場合)、モード変更処理部152は、より制御レベルの低い自動運転の運転モードに変更し、乗員にステアリング把持の要求を行うようにしてよい。
【0085】
同様に、車線候補判定部155により車線候補が特定できないと判定された場合(ステップS109:No)、モード変更処理部152は、より制御レベルの低い自動運転の運転モードに変更する(ステップS115)。
【0086】
なお、モード変更処理部152は、自車位置情報(参照情報)により特定される車両の位置が定まらない場合、自動運転を停止させる。例えば、モード変更処理部152は、自車位置情報により特定される車両の位置が車線上に無い場合、または、自車位置情報により特定される車両の位置が単位時間内で所定距離以上変動する場合、自動運転を停止させる。単位時間内で所定距離以上変動するとは、例えば、自車両Mの位置が、ある時刻において左端車線上であったのに、次の時刻には左端車線から所定距離以上離れた右端車線上に移動しているような場合など、自車両Mの性能上、短時間では実現し得ないような移動(例えば、自車両Mの車幅方向への移動)を行っているような場合を示す。
【0087】
上述したとおり、モードAおよびモードBは、乗員にステアリングホイール82の把持が責務として課されないモードである。これに対して、モードC、モードD、およびモードEは、乗員にステアリングホイール82の把持が責務として課されるモードである。従って、モード変更処理部152は、レベルダウンイベントが発生すると判定された場合或いは車線候補が特定できないと判定された場合、自車両Mの運転モードを、乗員にステアリングホイール82の把持が責務として課されるモードに変更することになる。これによって本フローチャートの処理が終了する。
【0088】
[車線候補判定処理]
次に、車線候補判定部155による車線候補の判定処理の詳細について説明する。車線候補判定部155は、例えば、取得部153により取得された推奨車線地図情報と、周辺画像とに基づいて、車線候補を判定する。
図8A、
図8B、およびせいは、実施形態に係る車線候補判定部155による車線候補の判定処理の一例を示す図である。これらの例では、カメラ10から出力される周辺画像に映り込んだ道路区画線または物標の情報に基づいて、自車両Mの車線候補が推定される。
【0089】
図8Aに示す例では、車線候補判定部155は、周辺画像に基づいて、自車両Mの進行方向の左側に位置する黄色の実線の道路区画線(黄実線YSL)または物標S、および自車両Mの進行方向の右側に位置する白色の破線の道路区画線(白破線WDL)を認識する。この場合、車線候補判定部155は、車線候補として、道路の左端車線(第1車線L1)を特定する。例えば、車線候補判定部155は、推奨車線地図情報から得られる道路区画線のパターン(種別情報)と、カメラ10によって撮像された周辺画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターン(種別情報)とを比較することで、車線候補を特定する。また、車線候補判定部155は、推奨車線地図情報から得られる物標の情報と、周辺画像から認識される物標Sの情報とを比較することで、車線候補を特定する。物標Sは、例えば、信号、道路標識、路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)などを含む。なお、車線候補判定部155は、周辺画像に加えて、レーダ装置12により出力された周辺の物体の位置情報、LIDAR14により出力された周辺の物体までの距離情報、物体認識装置16により出力された周辺の物体の位置、種類、速度などの認識情報に基づいて、車線候補を判定してもよい。
【0090】
図8Bに示す例では、車線候補判定部155は、周辺画像に基づいて、自車両Mの進行方向の左側に位置する白色の実線の道路区画線(白実線WSL)および自車両Mの進行方向の右側に位置する白色の破線の道路区画線(白破線WDL)を認識する。この場合、車線候補判定部155は、車線候補として、道路の左端車線(第1車線L1)を特定する。
【0091】
図9に示す例では、車線候補判定部155は、周辺画像に基づいて、自車両Mの進行方向の左側の自車両Mから近い側から順に位置する白色の破線の道路区画線(白破線WDL1)および白色の実線の道路区画線(白実線WSL)、並びに自車両Mの進行方向の右側に位置する白色の破線の道路区画線(白破線WDL2)を認識する。この場合、車線候補判定部155は、車線候補として、道路の左端から2番目の車線である第2車線L2特定する。
【0092】
すなわち、車線候補判定部155は、周辺画像情報に含まれる道路区画線の種別情報または車線位置を特定可能な物標の情報に基づいて、車線候補を特定する。
【0093】
以上説明した実施形態によれば、車線の情報を含む地図情報(例えば、推奨車線地図情報)と、自車両Mの位置を特定するための参照情報(例えば、自車位置情報)とを取得する取得部(例えば、取得部153)と、取得された参照情報に基づいて、地図情報上において自車両Mが走行している走行車線を判定する車線判定部(例えば、車線判定部154)と、車線判定部により走行車線が特定されない場合、参照情報に基づいて、地図情報上において自車両Mが走行している車線候補を判定する車線候補判定部(例えば、車線候補判定部155)と、車線候補のいずれにおいても自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、車線候補の少なくとも1つにおいてイベントが発生する場合、制御レベルを低下させる変更処理部(例えば、モード変更処理部)とを備えることで、適切な条件で自動運転の制御レベルを変更することができる。
【0094】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
車両の自動運転の制御を行う車両制御装置であって、
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記プログラムを実行することにより、
車線の情報を含む地図情報と、前記車両の位置を特定するための参照情報とを取得し、
取得された前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している走行車線を判定し、
前記走行車線が特定されない場合、前記参照情報に基づいて、前記地図情報上において前記車両が走行している車線候補を判定し、
前記車線候補のいずれにおいても前記自動運転の制御レベルの変更が必要となるイベントが発生しない場合、現在の制御レベルを継続し、前記車線候補の少なくとも1つにおいて前記イベントが発生する場合、前記制御レベルを低下させる、
車両制御装置。
【0095】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0096】
10 カメラ
12 レーダ装置
14 LIDAR
16 物体認識装置
20 通信装置
30 HMI
40 車両センサ
50 ナビゲーション装置
51 GNSS受信機
52 ナビHMI
53 経路決定部
54 第1地図情報
60 MPU
61 推奨車線決定部
62 第2地図情報
70 ドライバモニタカメラ
80 運転操作子
82 ステアリングホイール
84 ステアリング把持センサ
100 自動運転制御装置
120 第1制御部
130 認識部
140 行動計画生成部
150 モード決定部
151 運転者状態判定部
152 モード変更処理部
153 取得部
154 車線判定部
155 車線候補判定部
160 第2制御部
162 取得部
164 速度制御部
166 操舵制御部
200 走行駆動力出力装置
210 ブレーキ装置
220 ステアリング装置