(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】計時器のインデックス要素
(51)【国際特許分類】
G04B 13/02 20060101AFI20221219BHJP
F16D 41/12 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G04B13/02 C
F16D41/12 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021071576
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・サグリーニ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-40890(JP,U)
【文献】国際公開第2013/014515(WO,A1)
【文献】特開2017-146305(JP,A)
【文献】実開昭56-12883(JP,U)
【文献】特表2009-528524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
F16D 41/12 - 41/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器のインデックス要素(10)であって、前記インデックス要素(10)が伸展する軸(D)を中心にして実質的に同軸に、インデックス浮き上がり(30)を含む計時器構成要素(20)と協働するように配列され、複数の相対的インデックス位置から前記インデックス要素(10)とこの前記構成要素(20)の間で相対的にインデックスするために前記構成要素(20)の前記インデックス浮き上がり(30)と協働するように配列されたインデックス手段(13)を含み、前記インデックス手段(13)は、第1のインデックス表面(15)をそれぞれ含む複数の第1の弾性アーム(14)により保持され、各前記第1の弾性アーム(14)は、前記軸(D)に対して実質的に半径方向の押す力をこの前記構成要素(20)に加えるように配列され、前記インデックス要素(10)は、前記構成要素(20)が含む第2の相補的軸受面(21)から離したままであるように、かつ衝撃がある場合には前記第2の相補的軸受面(21)と当接軸受および/または案内軸受で協働するように、束縛されない状態で、使用位置で配列された少なくとも1つの第1の軸受面(11)を含み、各前記第1の軸受面(11)は、前記インデックス要素(10)の内
部に前記軸(D)から離れるように弾性変形可能な片持ち支持された第2
の軸受アーム(40)により保持されることを特徴とするインデックス要素(10)。
【請求項2】
各前記第1の軸受面(11)と各前記第2の相補的軸受面(21)の間の、前記使用位置での公差は、厳密に正であることを特徴とする、請求項1に記載のインデックス要素(10)。
【請求項3】
前記構成要素(20)を取り囲んで、衝撃がある場合に前記インデックス要素(10)と実質的に同軸に前記構成要素(20)を保つように配列された複数の前記第1の軸受面(11)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のインデックス要素(10)。
【請求項4】
各前記第1の軸受面(11)は、前記構成要素(20)の前記インデックス浮き上がり(30)が含むいくつかの突出する浮き上がり(31)と同時に協働するように配列されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項5】
各前記第2の軸受アーム(40)は、前記第1の弾性アーム(14)の向心性移動を制限するように、または衝撃時に前記第1の弾性アーム(14)を前記軸(D)から離して動かすように配列された第1の外側制限表面(41)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項6】
実質的に環状の構造から前記軸(D)に向けて内側にすべて突出する前記第2の軸受アーム(40)と前記第1の弾性アーム(14)とが交互になることを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項7】
各前記第1の弾性アーム(14)は、自身を前記構成要素(20)の前記インデックス浮き上がり(30)と協働させるために同心締付ツールにより自身を取り扱うための、または自身を取り除くための筐体または隆起部を含むこと特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項8】
各前記第2の軸受アーム(40)は、前記第1の弾性アーム(14)の遠心性移動を制限するように配列された第2の内部制限表面(42)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項9】
前記軸(D)を中心にして、かつ前記インデックス要素(10)が協働する前記構成要素(20)を中心にして枢動するように配列された可動物であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項10】
駆動または位置決めの手段(120)を含むことを特徴とする請求項9に記載のインデックス要素(10)。
【請求項11】
前記駆動または位置決めの手段(120)は歯部を含むことを特徴とする、請求項10に記載のインデックス要素(10)。
【請求項12】
ムーブメントの構造上に、または計時器機構の構造上に、固定した角度位置で固定されるように配列されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項13】
ニッケル-リン(NiP)から作られることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のインデックス要素(10)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのインデックス要素(10)と、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がり(30)を含む少なくとも1つの計時器構成要素(20)とを含む計時器組立体(100)であって、前記少なくとも1つのインデックス要素(10)および前記少なくとも1つの構成要素(20)は、それらが互いに対して相対的にインデックスするために、前記軸(D)を中心にして実質的に同軸に、互いに協働するように配列され、前記第1の軸受面(11)は、前記少なくとも1つの構成要素(20)が含む第2の相補的軸受面(21)と当接軸受または案内軸受で協働するように配列され、前記インデックス手段(13)は、前記インデックス要素(10)と前記構成要素(20)の間で相対的にインデックスするために、前記構成要素(20)の前記インデックス浮き上がり(30)と協働するように配列される計時器組立体(100)。
【請求項15】
前記インデックス要素(10)は、前記構成要素(20)の前記インデックス浮き上がり(30)を取り囲むように配列された内部チャンバ(111)を含むこと、ならびに各前記第1の弾性アーム(14)は、各前記第1の軸受面(11)よりも前記軸(D)に近いことを特徴とする、請求項14に記載の計時器組立体(100)。
【請求項16】
前記インデックス要素(10)は、前記構成要素(20)の前記インデックス浮き上がり(30)により範囲を定められたチャンバの中に挿入されるように配列されること、ならびに各前記第1の弾性アーム(14)は、各前記第1の軸受面(11)よりも前記軸(D)から遠く離れていることを特徴とする、請求項14に記載の計時器組立体(100)。
【請求項17】
単一の前記インデックス要素(10)および単一の前記構成要素(20)を含むことを特徴とする、請求項14~16のいずれか一項に記載の計時器組立体(100)。
【請求項18】
前記構成要素(20)は可動物であることを特徴とする、請求項14~17のいずれか一項に記載の計時器組立体(100)。
【請求項19】
前記構成要素(20)は、ムーブメントの構造上に、または計時器機構の構造上に、固定した角度位置で固定されるように配列されることを特徴とする、請求項14~18のいずれか一項に記載の計時器組立体(100)。
【請求項20】
前記インデックス要素(10)、および前記構成要素(20)のインデックス浮き上がり(30)は、前記軸(D)に垂直な同じ上部平面および同じ下部平面により両方とも範囲を定められることを特徴とする、請求項14~19のいずれか一項に記載の計時器組立体(100)。
【請求項21】
計時器機構(500)であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのインデックス要素(10)および/または請求項14~20のいずれか一項に記載の計時器組立体(100)を含む計時器機構(500)。
【請求項22】
計時器(1000)であって、請求項21に記載の少なくとも1つの記載の計時器機構(500)、請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのインデックス要素(10)、および/または請求項14~20のいずれか一項に記載の計時器組立体(100)を含む計時器(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器のインデックス要素であって、前記インデックス要素が伸展する軸を中心にして実質的に同軸に、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がりを含む計時器構成要素と協働するように配列され、前記構成要素が含む第2の相補的軸受面と当接軸受で協働するように配列された第1の軸受面を含み、前記第1の軸受面に対して前記構成要素を圧迫して押しつけるために、前記軸に対して実質的に半径方向の押す力を前記構成要素に加えるように配列された弾性戻し手段を含み、前記インデックス要素とこの前記構成要素の間で相対的にインデックスするために、前記構成要素の前記インデックス浮き上がりと協働するように構成されたインデックス手段を含む計時器のインデックス要素に関する。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなインデックス要素と、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がりを含む少なくとも1つのそのような計時器構成要素とを含む計時器組立体であって、前記少なくとも1つのインデックス要素および前記少なくとも1つの構成要素は、これらが互いに対して相対的にインデックスするために、前記軸を中心にして実質的に同軸に、互いに協働するように配列された計時器組立体に関する。
【0003】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなインデックス要素および/またはそのような計時器組立体を含む計時器機構に関する。
【0004】
本発明はまた、少なくとも1つのそのような計時器機構、および/または少なくとも1つのそのようなインデックス要素、および/またはそのような計時器組立体を含む計時器、詳細にはウオッチに関する。
【0005】
本発明はまた、計時器機構の分野に、詳細には、表示機構および/または調節機構および/または選択機構の分野に関する。
【背景技術】
【0006】
時間帯表示などの計時器表示機構では多くの場合、時間帯/時間ジャンプ輪(hour jumping wheel)は、ばね要素(歯止め)により束縛される星車/カムにより一緒に連結されるいくつかのプラットフォーム/ピニオンから構成される。そのようなシステムには、高い空間要件がある。
【0007】
これらのシステムのばね要素は多くの場合、自身の最大限まで押され、それにより巻取りおよび動作を確実にするために必要な十分な浮き上がり値を得ることができるようにならない。それに加えて、製造中の寸法変動は、これらのばねで著しい力の変動を引き起こし、力には再現性がない。
【0008】
シチズン時計株式会社名義の文書である実開平6-40890号公報は、インデックス可能ウオッチ可動物について記述している。
【0009】
セイコーウオッチ株式会社名義の文書である実開昭57-70176号公報もまた、インデックス可能計時器可動物について記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実開平6-40890号公報
【文献】実開昭57-70176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、調節機構およびインデックス機構をより信頼できるようにすること、これらの機構の厚さを低減すること、および2つの要素間で正確な制御されたインデックスを保証することを同時に提案する。
【0012】
これはこの場合も、弾性要素により受ける応力を制限することを伴う。
【0013】
そして最後に、再現可能な手法で製造公差を守ることが困難であることに起因する、力の値のばらつきを克服しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載の計時器のインデックス要素に関する。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなインデックス要素と、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がりを含む少なくとも1つのそのような計時器構成要素とを含む計時器組立体であって、前記少なくとも1つのインデックス要素および前記少なくとも1つの構成要素は、これらが互いに対して相対的にインデックスするために、実質的に同軸に、互いに協働するように配列された計時器組立体に関する。
【0016】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなインデックス要素および/またはそのような計時器組立体を含む計時器機構に関する。
【0017】
本発明はまた、少なくとも1つのそのような計時器機構、および/または少なくとも1つのそのようなインデックス要素、および/またはそのような計時器組立体を含む計時器、詳細にはウオッチに関する。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一方ではこの場合、2対の弾性アームを計時器組立体のプラットフォームから切断して含む歯車であるインデックス要素と、他方では、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がりを含む計時器構成要素とを含む計時器組立体を概略的に平坦に示し、このインデックス浮き上がりはこの場合、歯部により形成され、このインデックス要素およびこの構成要素は、互いに同軸に協働し、互いに圧迫する。各対の弾性アームでは、最も内側のアームは、インデックス浮き上がりと協働することによりインデックスすることを遂行し、インデックス浮き上がりに第1の圧力をかける。各対では、内側のアームと同一平面上にある最も外側の弾性アームは、それ自体の戻しトルクよりも大きな戻しトルクで内側のアームを圧迫する。この図は、インデックスされた、安定した位置を示す。
【
図2】
図1に類似して、同じ機構を遷移位置で示し、内側の弾性アームは、インデックス浮き上がりの歯の先端部を圧迫しており、内側の弾性アームおよび外側の弾性アームはこの場合、それらが半径方向に最大に伸展した状態にある。
【
図3】
図1に類似して、束縛されていない状態でインデックス要素だけを示し、内側の弾性アームおよび外側の弾性アームは、軸にできるだけ近い静止位置にある。
【
図4】
図1に類似して、逆の構成を示し、逆の構成では、インデックス浮き上がりを含む構成要素はインデックス要素を取り囲み、外側の弾性アームはインデックス要素と協働し、一方では、内側の弾性アームは外側の弾性アームを圧迫する。
【
図5】
図1に類似して、内側の弾性アームは、外側の弾性アームのボスが協働できるノッチを含む変形形態の詳細を示す。
【
図6】
図1に類似して、別の変形形態の詳細を示し、この変形形態では、ピンなどの閉塞要素は、簡単な衝撃減衰公差まで内側の弾性アームおよび外側の弾性アームの動きを制限するために、調節後に工場で挿入されるが、この閉塞要素を事前に抜き取る際にインデックスを変更できるようにしない。
【
図7】そのようなインデックス要素を伴うそのような組立体と、そのような構成要素とを含む計時器機構自体を含む計時器、詳細にはウオッチを示す構成図である。
【
図8】本発明による計時器組立体を概略的に平坦に示し、計時器組立体では、インデックス要素は、構成要素のインデックス浮き上がりと協働するように配列された第1の弾性アームと、使用位置ではインデックス浮き上がりから遠隔にあり、かつ衝撃がある場合には構成要素の当接軸受面および/または案内軸受面を構成する軸受面をそれぞれ含む第2のアームとが交互になることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、計時器のインデックス要素10であって、このインデックス要素10が伸展する軸Dを中心にして実質的に同軸に計時器構成要素20と協働するように配列された計時器のインデックス要素10に関する。
【0021】
この構成要素20は、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がり30を含む。このインデックス浮き上がりは、図に例示するように歯部により、または溝により、または刻み目もしくは突出部もしくはピンによるなどにより形成できる。
【0022】
インデックス要素10は、そのような構成要素20が含む第2の相補的軸受面21と、少なくとも衝突構成で、すなわち当接軸受および/または案内軸受で協働するように配列された第1の軸受面11を含む。
図1~
図6の場合、第1の軸受面11は、恒久的接触面であり、インデックス要素10と構成要素20の間のこの接触領域は、一方を他方に対して完全に位置決めすることを確実にし、インデックス要素10および構成要素20の位置は、両方とも既知であり、制御される。
【0023】
本発明の場合、正常動作では、すなわち使用位置では、各第1の軸受面11は、数マイクロメートルまたは数10マイクロメートルの、非ゼロの公差で、第2の相補的軸受面21から離れている。衝撃がある場合、第1の軸受面11は、構成要素20の当接機能と誘導機能の両方を提供する。
【0024】
インデックス要素10は、
図1~
図6で12を付けた弾性戻し手段を含み、弾性戻し手段12は、軸Dに対して実質的に半径方向の押す力をそのような構成要素20に加えて、そのような構成要素20を接触面に、または軸受面11に圧迫して押しつけるように配列される。
【0025】
インデックス要素10は、インデックス要素10と構成要素20の間で相対的にインデックスするためにこの構成要素20のインデックス浮き上がり30と協働するように配列されたインデックス手段13を含む。これらのインデックス手段13は、詳細には歯、出っ張りなどである。
【0026】
本発明によれば、弾性戻し手段12は、インデックス手段13が含む第1のインデックス表面15を含む少なくとも第1の弾性アーム14を含む。そしてこの第1の弾性アーム14は、軸Dに対して実質的に半径方向の押す力をそのような構成要素20に加えるように配列される。
【0027】
特定の配列では、
図1~
図6の実施形態で見ることができるように、弾性戻し手段12はまた、軸Dに対して実質的に半径方向の押す力を少なくとも1つの第1の弾性アーム14に加えるように配列された少なくとも1つの第2の弾性アーム16を含む。より詳細には、第1の弾性アーム14および第2の弾性アーム16から構成される対では、第2の弾性アーム16は、第1の弾性アーム14の戻しトルクよりも大きな戻しトルクを加えるように配列される。より詳細には、第1の弾性アーム14および第2の弾性アーム16から構成される対では、第2の弾性アーム16は、その屈曲移動で第1の弾性アーム14の半径方向の伸展(または浮き上がり)よりも小さい半径方向の伸展(または浮き上がり)を移動するように配列される。たとえば、ウオッチの時間および日付インジケータを駆動する適用例である
図1~
図3に例示する機構では、第1の内側弾性アーム14には0.26mの浮き上がりがあり、一方では、第2の弾性アーム16の浮き上がりは0.21mmである。この配列は、トルク保持を確実にできるようにし、この場合、最小トルク1.2N・mmを保証する。詳細には、
図1~
図6に例示するように、インデックス要素10は、複数の対(図の限定しない事例では2対)を含み、各対は、第1の弾性アーム14および第2の弾性アーム16から構成され、軸Dに対して実質的に直径方向に第1の軸受面11と反対の力を構成要素20に加えるように配列される。より詳細には、少なくとも1つの第2の弾性アーム16は、工場で、または販売後の使用時にインデックス位置に第1の弾性アーム14をロックするために、この第2の弾性アーム16が協働する第1の弾性アーム14が含むノッチ18と協働するように配列された出っ張り17を含み、ユーザが実装するためには、そのような変形形態は、ノッチ18から出っ張り17を解放するために、ここでは図示していない追加手段を配列する必要がある。より詳細には、インデックス要素10は、この第2の弾性アーム16が協働する第1の弾性アーム14を第2の弾性アーム16が圧迫するのを遮断するように配列された少なくとも1つの遮断要素19を含み、この遮断は、ウオッチの中に機構が組み込まれたとき、衝撃がある場合に第1の弾性アーム14および第2の弾性アーム16の半径方向の短い移動を可能にするわずかな公差を伴う遮断とすることができ、この場合もそのような遮断は、工場での調節、または販売後の使用時に関係する。好ましくは、同じ対の中で、第1の弾性アーム14および第2の弾性アーム16は、互いに実質的に平行である。特定の配列では、
図1~
図6に例示するように、第1の弾性アーム14および第2の弾性アーム16は、拘束を良好に分布させるために湾曲している、詳細には実質的に円形であり、軸Dを中心とする。
図1~
図3に例示するような変形形態では、インデックス要素10は、構成要素20のインデックス浮き上がり30を取り囲むように配列された、軸受面11および各第1の弾性アーム14により範囲を定められた内部チャンバ111を含み、各第1の弾性アーム14は、各第2の弾性アーム16よりも軸Dに近い。
図4に例示するような別の変形形態では、インデックス要素10は、構成要素20のインデックス浮き上がり30により範囲を定められたチャンバの中に挿入されるように配列され、各第1の弾性アーム14は、各第2の弾性アーム16よりも軸Dから遠く離れている。
【0028】
有利な変形形態では、
図1~
図6で見ることができるように、インデックス要素10は、衝撃がある場合、インデックスされた位置で一緒に組み立てられたインデックス要素10と構成要素20の間で相対的な半径方向の動きを制限する対衝突当接部を形成するために、軸Dに対して直径方向に第1の軸受面11と反対側にある少なくとも1つのボス110を含む。
【0029】
図8は、衝撃がある場合でさえ幾何形状を維持して適切な動作を確実にするように配列された、本発明による機構を例示する。
【0030】
このように本発明は、計時器のインデックス要素10であって、このインデックス要素10が伸展する軸Dを中心にして実質的に同軸に、インデックス浮き上がり30を含む計時器構成要素20と協働するように配列された計時器のインデックス要素10に関する。インデックス要素10は、複数の相対的インデックス位置からこのインデックス要素10と構成要素20の間で相対的にインデックスするために、この構成要素20のそのようなインデックス浮き上がり30と協働するように配列されたインデックス手段13を含む。
【0031】
これらのインデックス手段13は、第1のインデックス表面15をそれぞれ含む複数の第1の弾性アーム14により保持され、各第1の弾性アーム14は、軸Dに対して実質的に半径方向の押す力をこの構成要素20に加えるように配列される。
【0032】
そしてインデックス要素10は、少なくとも第1の軸受面11を含み、第1の軸受面11は、構成要素20が含む第2の相補的軸受面21から離れたままであるように、かつ衝撃がある場合には第2の相補的軸受面21と当接軸受および/または案内軸受で協働するように、束縛されない状態で、使用位置で配列される。
【0033】
より詳細には、各第1の軸受面11と各第2の相補的軸受面21の間の、使用位置での公差は、厳密に正である、すなわちゼロではない。
【0034】
本発明によれば、各第1の軸受面11は、インデックス要素10の内側で片持ち支持された第2の軸受アーム40により保持される。好ましい変形形態では、少なくとも第2の軸受アーム40は、より詳細には各第2の軸受アーム40は、弾性である。
【0035】
より詳細には、インデックス要素10は、構成要素20を取り囲むように、かつ衝撃がある場合にはインデックス要素10と実質的に同軸に構成要素20を保つように配列された複数の第1の軸受面11を含む。
【0036】
より詳細には、各第1の軸受面11は、構成要素20のインデックス浮き上がり30が含むいくつかの突出する浮き上がり31と、詳細には歯と同時に協働するように配列される。
【0037】
より詳細には、各第2の軸受アーム40は、第1の弾性アーム14の向心性移動を制限するように、または衝突時に第1の弾性アーム14を軸Dから離して動かすように配列された第1の外部制限表面41を含む。
【0038】
より詳細には、インデックス要素10は、軸Dに向けて実質的に環状の構造から内側にすべて突出する第2の軸受アーム40と第1の弾性アーム14とが交互になることを含む。
【0039】
より詳細には、各第1の弾性アーム14は、自身を構成要素20のインデックス浮き上がり30と協働させるために同心締付ツールにより自身を取り扱うための、または自身を取り除くための筐体150または隆起部を含む。
【0040】
より詳細には、各第2の軸受アーム40は、第1の弾性アーム14の遠心性移動を制限するように配列された第2の内部制限表面42を含む。
【0041】
本発明は、可動インデックス要素10および固定構成要素20を用いて、または固定インデックス要素10および可動構成要素20を用いて、または両方とも可動のインデックス要素10および構成要素20を用いて、またはたとえば工場で調節するために両方とも固定されたインデックス要素10および構成要素20を用いて、分け隔てなく使用できることが理解される。
【0042】
ある変形形態では、インデックス要素10は、軸Dを中心に、かつ自身が協働する構成要素20を中心に枢動するように配列された可動物である。
【0043】
より詳細には、インデックス要素10は、歯、溝、刻み目、穴、突出部、ペグ、ピン、ベルト、またはチェーン溝などのような駆動手段120を含む。
【0044】
ある変形形態では、インデックス要素10は、ムーブメントの構造上に、または計時器機構の構造上に、固定した角度位置で固定されるように配列される。
【0045】
より詳細には、インデックス要素10は、ケイ素、または酸化ケイ素、またはニッケル-リン(NiP)、または弾性ストリップを含む薄い不可欠な構成要素を製造するのに適した、今では時計製造で一般的に使用される任意の類似の材料から作られた、「LIGA」タイプの方法(ドイツ語の「Rontgenlithographie、Galvanoformung、Abformung」、すなわち、lithography(リソグラフィ)、galvanisation(亜鉛メッキ)、forming(成形)に由来する)などにより作り出すことができる微細加工可能な材料から作られる。
【0046】
本発明は詳細には、小さな寸法の、たとえば全体の直径が5mm未満の、かつ厚さが数10ミリメートルの、ウオッチ用構成要素を製造するのに適している。
【0047】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなインデックス要素10と、複数のインデックス位置を画定するインデックス浮き上がり30を含む少なくとも1つのそのような計時器構成要素20とを含む計時器組立体100に関する。この少なくとも1つのインデックス要素10およびこの少なくとも1つの構成要素20は、それらが互いに対して相対的にインデックスするために、軸Dを中心にして実質的に同軸に、互いに協働するように配列され、第1の軸受面11は、この少なくとも1つの構成要素20が含む第2の相補的軸受面21と当接軸受で協働するように配列され、インデックス手段13は、関係するインデックス要素10と構成要素20の間で相対的にインデックスするために、そのような構成要素20のインデックス浮き上がり30と協働するように構成される。
【0048】
図1~
図3の変形形態では、インデックス要素10は、軸受面11により範囲を定められた内部チャンバ111,および構成要素20のインデックス浮き上がり30を取り囲むように配列された各第1の弾性アーム14を含み、各第1の弾性アーム14は、各第2の弾性アーム16よりも軸Dに近い。
【0049】
図4の変形形態では、インデックス要素10は、構成要素20のインデックス浮き上がり30により範囲を定められたチャンバの中に挿入されるように配列され、各第1の弾性アーム14は、各第2の弾性アーム16よりも軸Dから遠く離れている。
【0050】
より詳細には、計時器組立体100は、単一のインデックス要素10および単一の構成要素20を含む。
【0051】
一変形形態では、構成要素20は可動物である。
【0052】
別の変形形態では、構成要素20は、ムーブメントの構造上に、または計時器機構の構造上に、固定した角度位置で固定されるように設計される。
【0053】
より詳細には、インデックス要素10、および構成要素20のインデックス浮き上がり30は、軸Dに垂直な同じ上部平面および同じ下部平面により両方とも範囲を定められる。さらにより詳細には、インデックス要素10、および構成要素20のインデックス浮き上がり30は、同じ厚さを有する。
【0054】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなインデックス要素10および/またはそのような計時器組立体100を含む計時器機構500に関する。
【0055】
本発明はまた、少なくとも1つのそのような計時器機構500、および/または少なくとも1つのそのようインデックス要素10、および/または計時器組立体100を含む計時器1000、詳細にはウオッチに関する。
【0056】
ばね要素と並んで歯車を並置することが通常であった従来技術と比較して、本発明は、2つのインデックスされる要素の離脱を確実にしながら、Zレベルを得ることができるようにする、すなわち、全体の厚さを低減できるようにする。
【0057】
2つの弾性アームまたはばね要素を平行に置くことにより、所望のトルクを得て、受ける拘束を制限し、著しい屈曲浮き上がり(弾性アームの半径方向の伸展)を有することが可能になる。大きく浮き上がることにより、製造ばらつきの影響を低減できるようになる。
【0058】
各対の中では、弾性アームの一方は、位置決めおよびインデックスを確実にし、軸受トルクの一部を確保し、その他のばねは、結果として得られる軸受トルクの大部分を確保する。
【0059】
ここで、両方とも歯車であるインデックス要素10および構成要素20を用いて本発明を例示する場合、本発明は、数多くの時計適用分野に、すなわち、列歯車、日付リング、時間帯インジケータ、レバー、表示円盤、昼/夜インジケータ、AM/PM(午前/午後)インジケータ、閏年表示、月相などに適していることが理解されよう。
【0060】
最後に、ばね要素が加える軸受荷重の正しい向きは、ある要素を他方に対して位置決めすることを公知の手法で常に確実にできるようにする。
【0061】
要するに本発明は、得るべき空間要件に関する節約を、詳細には厚さの節約をかなりの程度できるようにして、ばね要素が破損する危険性を最小にし、力のよりよい制御を確実にする。
【符号の説明】
【0062】
10 計時器のインデックス要素
11 第1の軸受面
12 弾性戻し手段
13 インデックス手段
14 第1の弾性アーム
15 第1のインデックス表面
16 第2の弾性アーム
17 出っ張り
18 ノッチ
19 遮断要素
20 計時器構成要素
21 第2の相補的軸受面
30 インデックス浮き上がり
31 突出する浮き上がり
40 第2の軸受アーム
41 第1の外部制限表面
42 第2の内部制限表面
100 計時器組立体
110 ボス
111 内部チャンバ
120 駆動手段
150 筐体
500 計時器機構
1000 計時器
D 軸