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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】血管閉塞デバイス及び送達アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021085861
(22)【出願日】2021-05-21
(62)【分割の表示】P 2018530724の分割
【原出願日】2016-12-14
(65)【公開番号】P2021130019
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】62/269,867
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/341,789
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(73)【特許権者】
【識別番号】515084904
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン ホールディングス I,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】STRYKER EUROPEAN HOLDINGS I,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハンツェン
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0253572(US,A1)
【文献】国際公開第2004/008974(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/105932(WO,A1)
【文献】米国特許第06193728(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管閉塞治療システムにおいて、
送達アッセンブリと、
切り離し可能なジャンクションによって前記送達アッセンブリに取り外し可能に結合された血管閉塞デバイスとを具え、当該血管閉塞デバイスが、
内側軸上ルーメンと、前記切り離し可能なジャンクションに結合された近位端部分とを有する近位側コイルと、
第1のデバイス内ジャンクションによって前記近位コイルの遠位端部分に結合された近位端部分を有するブレードであって、当該ブレードは複数の細長いブレード状部材を含み、該ブレード状部材のうちの少なくとも1つは、該ブレードから前記近位側コイルの軸上ルーメンを通って近位側へ延在するとともに、前記近位側コイルの近位端部分にそれぞれ固定され、それによって近位側コイル伸長防止部材を構成する、ブレードと
を具えることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載の血管閉塞治療システムにおいて、前記近位側コイル伸長防止部材は、前記近位側コイルの近位端部分に接続されている切り離し可能なジャンクションの遠位部分に取り付けられた近位端を有し、前記切り離し可能なジャンクションは、当該切り離し可能なジャンクションが切断されたときに、前記切り離し可能なジャンクションの遠位部分が前記近位側コイルの近位端部分への接続を維持するように構成されていることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項3】
請求項2に記載の血管閉塞治療システムであって、前記近位側コイル伸長防止部材を形成する1つまたは複数のブレード状部材のそれぞれの近位端は、前記切り離し可能なジャンクションの遠位部分に形成された開口に係合するフックをそれぞれ具えることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の血管閉塞治療システムであって、前記血管閉塞デバイスが、
第2のデバイス内ジャンクションによって前記ブレードの遠位端部分に取り付けられた近位端部分を有する遠位側コイルを具え、
前記遠位側コイルは内側軸上ルーメンを有し、前記ブレード状部材の同じまたは異なる少なくとも1つが、前記ブレードから前記遠位側コイルの軸上ルーメンを通って遠位方向に延在し、前記遠位側コイルの遠位端部分にそれぞれ固定され、それによって遠位側コイル伸長防止部材を形成することを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項5】
血管閉塞治療システムであって、
送達アッセンブリと、
切り離し可能なジャンクションによって前記送達アッセンブリに取り外し可能に結合された血管閉塞デバイスとを具え、当該血管閉塞デバイスが、
内側軸上ルーメンと、前記切り離し可能なジャンクションに結合された近位端部とを有する近位側コイルと、
第1のデバイス内ジャンクションによって前記近位側コイルの遠位端部分に結合された近位端部分を有するブレードであって、当該ブレードは複数の細長いブレード状部材を含み、前記ブレード状部材のうちの2つ以上が、前記ブレードから前記近位側コイルの軸上ルーメンを通って近位側へ延在し、それぞれ前記近位側コイルの近位端部分に固定され、それによって近位側コイル伸長防止部材を形成する、ブレードと
を具えることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項6】
請求項5に記載の血管閉塞治療システムにおいて、前記近位側コイル伸長防止部材のそれぞれは、前記近位側コイルの近位端部分に結合された前記切り離し可能なジャンクションの遠位部分に取り付けられた近位端を有し、前記切り離し可能なジャンクションは、当該切り離し可能なジャンクションが切り離されたときに、前記切り離し可能なジャンクションの遠位部分が前記近位側コイルの近位端部分への接続を維持するように構成されていることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項7】
請求項6に記載の血管閉塞治療システムにおいて、前記近位側コイル伸長防止部材の近位端部は、前記切り離し可能なジャンクションの遠位部分に形成された開口に係合するフックをそれぞれ具えることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の血管閉塞治療システムにおいて、当該血管閉塞デバイスがさらに、
第2のデバイス内ジャンクションによって前記ブレードの遠位端部分に取り付けられた近位端部分を有する遠位側コイルを具え、
前記遠位側コイルは内側軸上ルーメンを有し、同じまたは異なる2つ以上のブレード状部材が、前記ブレードから前記遠位側コイルの軸上ルーメンを通って遠位側に延在し、前記遠位側コイルの遠位端部分にそれぞれ固定され、それによって遠位側コイル伸長防止部材を形成することを特徴とする血管閉塞治療システム
【請求項9】
請求項8に記載の血管閉塞治療システムにおいて、前記遠位側コイルの遠位端部分に結合され、前記遠位側コイル伸長防止部材のそれぞれの遠位端を共に少なくとも部分的に接続することによって形成される遠位端ジョイントをさらに具えることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項10】
血管閉塞治療システムにおいて、
送達アッセンブリと、
切り離し可能なジャンクションによって前記送達アッセンブリに取り外し可能に接続された血管閉塞デバイスとを具え、当該血管閉塞デバイスは、
内側軸上ルーメンを有する遠位側コイルと、
デバイス内ジャンクションによって前記遠位側コイルの近位端部分に結合された遠位端部分を有するブレードであって、当該ブレードは複数の細長いブレード状部材を含み、当該ブレード状部材のうちの2つ以上が、前記ブレードから前記遠位側コイルの軸上ルーメンを通って遠位側に延在し、それぞれ前記遠位側コイルの遠位端部分に固定され、それによって遠位側コイル伸長防止部材を形成するブレードと
を具えることを特徴とする血管閉塞治療システム。
【請求項11】
請求項10に記載の血管閉塞治療システムにおいて、前記遠位側コイルの遠位端部分に接続され、前記遠位側コイル伸長防止部材のそれぞれの遠位端を少なくとも部分的に接続することによって形成される遠位端ジョイントをさらに含むことを特徴とする血管閉塞治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年12月18日に出願された米国暫定出願第62/269,867号及び2016年5月26日に出願された米国暫定出願第62/341,789号に対する35U.S.C.§119に基づく利益を主張する。上記の出願は、引用によって全体が本出願中に組み込まれている。
【0002】
開示されている発明の技術分野は、一般的に、ヒトの患者の血管に塞栓又は血管閉塞を作る血管閉塞デバイスに関する。特に、開示した発明は、少なくとも部分的に網状又は織物状になった血管閉塞デバイス、このようなデバイス内のジャンクション、及びこのようなデバイスを送達システムに接続するジャンクションに関するものである。
【背景技術】
【0003】
血管閉塞デバイス又はインプラントは、血管内動脈瘤の治療を含めて、様々な理由で使用されている。通常使用されている血管閉塞デバイスは、「一次」マンドレルにプラチナ(又はプラチナ合金)ワイヤーストランドを巻き付けて形成した、柔らかくらせん状の巻きコイルを具える。このコイルは、次いで、より大きい「二次」マンドレルに巻かれ、熱処理を行って二次形状とする。例えば、全体が説明されているかのように引用によってここに組み込まれているRitchart et al.に付与された米国特許第4,994,069号は、送達カテーテルのルーメンを通って設置するために伸びているときには、リニアならせん状の一次形状となり、送達カテーテルから放出されて脈管構造内に配置されたときには、折りたたまれ、屈曲した二次形状となる、血管閉塞デバイスについて述べている。
【0004】
血管閉塞デバイスを、例えば、動脈瘤嚢といった脈管構造内の所望の部位に送達するためには、まず、操作可能なガイドワイヤを用いてその部位にプロファイルが小さい送達カテーテル又は「マイクロカテーテル」を配置することが良く知られている。通常は、担当医又は製造者のいずれかによって選択された、マイクロカテーテルの遠位端は、患者の身体構造に応じて、例えば、45°、26°、「J」、「S」、又はその他の曲がった形状といった、あらかじめ成形した曲げで提供されるため、ガイドワイヤが引き抜かれると遠位端は動脈瘤内の一またはそれ以上の血管閉塞デバイスを放出するための所望の位置にとどまる。次いで、送達アッセンブリの遠位端に接続された血管閉塞デバイスがマイクロカテーテルの遠位端開口の外にでて動脈瘤内に延在するまで、送達又は「押出器」アッセンブリ又は「ワイヤ」がマイクロカテーテルを通過する。動脈瘤内に届くと、血管閉塞デバイスの部分が変形あるいは曲げられて、より効率よく完全なパッキングがなされる。血管閉塞デバイスは、次いで、開放されるあるいは、送達アッセンブリの遠位端から「外され」、送達アッセンブリはカテーテルを通って引き戻される。患者の特定のニーズによっては、一またはそれ以上の血管閉塞デバイスをカテーテルを通って押し入れ、同じ部位で開放するようにしてもよい。
【0005】
送達アッセンブリから血管閉塞デバイスを開放する良く知られた一方法は、電気的に切断可能なジャンクションの使用である。このジャンクションは、送達アッセンブリの遠位端部分に沿って配置した小さな露出セクション又は取り外しゾーンである。取り外しゾーンは、通常ステンレススチールでできており、血管閉塞デバイスのすぐ近位側に配置されている。電気的に切断可能なジャンクションは、電気分解に敏感であり、送達アッセンブリが血液やその他の体液などのイオン溶液の存在下で電気的に荷電されると分離する。したがって、取り外しゾーンがカテーテルの遠位端から出てゆき、患者の血管血液プールに露出すると、電気接点を介して導電性押出器に流れた電流が、リターン電極とともに電解質の取り外し回路を形成し、電気分解によって取り外しゾーンが分離する。血管閉塞デバイスを送達アッセンブリから解放するその他の取り外しメカニズムには、機械的、熱的、及び水圧的メカニズムがある。
【0006】
より良く動脈瘤を囲み、いっぱいにするには、血管閉塞コイルを複雑な三次元二次形状として、血管閉塞コイルの剛性/可撓性を変えることができる。しかしながら、血管閉塞コイルは、ブレーキ性能、形状維持及びアンカリング能力を含む性能限界を持ち続けている。
【0007】
いくつかの血管閉塞デバイスの近位端は、血管閉塞デバイス治療システムの「主ジャンクション」あるいは「送達アッセンブリジャンクション」として知られている、接着剤で送達アッセンブリの遠位端に接続されている。もう一つの主要なジャンクションの設計は、本明細書に完全に記載されているかのように、引用によって全体が組み込まれている、Kellettに付与された米国特許第8,202,292号に開示されている。この主ジャンクションは、送達ワイヤを血管閉塞コイルに接続する平坦なアダプタを具える。送達ワイヤは、アダプタを近位端にある開口で受けるように構成されたフック、又は「J」形状の遠位端を有し、送達ワイヤをアダプタに接続している。血管閉塞コイルは、アダプタの遠位端にあるフィンガを受けるように構成された開口を規定する巻線を有しており、血管閉塞コイルをアダプタに接続している。その結果、アダプタが、送達ワイヤの血管閉塞コイルへの接続を容易にしている。その他の主要なジャンクション設計は、本明細書に完全に記載されているかのように、引用によって全体が組み込まれている、Chen et al.による米国特許出願第14/457,970号に開示されている。
【0008】
接着剤で接続された平坦なアダプタを具える主ジャンクションは良好に機能しているが、送達アッセンブリと血管閉塞デバイスの接続は改良できる。したがって、血管閉塞デバイスを送達アッセンブリに主ジャンクションで接続するその他のシステムと方法についての需要が残っている。
【発明の概要】
【0009】
一実施例では、インプラント可能な血管閉塞デバイスが、一又はそれ以上の複合金属チューブ(drawn filled tube)で形成したブレードを具える。各複合金属チューブは、コア金属材料でできたコアと、コア金属材料と異なる外側金属材料でできた外側層とを具える。コア金属材料と外側金属材料は各々、別個の放射線不透過性と、別個の剛性を有する。コア金属材料と外側金属材料の一方は、それぞれ、コア金属材料と外側金属材料の他方より放射線不透過性がより高く、剛性がより小さい。一またはそれ以上の複合金属チューブの各々は、「降伏力対極限強度」の比が80%より小さい。
【0010】
一またはそれ以上の実施例では、コア金属材料がプラチナを具え、外側金属材料がニチノールを具える。その他の実施例では、コア金属材料がニチノールを具え、外側金属材料がプラチナを具える。ブレードは、互いにより合わせた第1及び第2の複合金属チューブを具えていてもよい。一またはそれ以上の複合金属チューブの各々は、「降伏力対極限強度」の比が70%、60、又は50%より小さい。
【0011】
別の実施例では、インプラント可能な血管閉塞デバイスが、16-48本の複合金属チューブでできたブレードを具える。各複合金属チューブは、プラチナを具えるコアと、ニチノールを具える外側層とを有する。複数の複合金属チューブの各々は、体積当たりのプラチナ含有率が35%ないし60%であり、外径が0.0010インチ乃至0.0015インチである。
【0012】
一またはそれ以上の実施例では、ブレードが24-32本の複合金属チューブでできており、このチューブは各々が、体積当たりのプラチナ含有率が40%乃至50%であり、外径が0.00115インチ乃至0.00125インチである。ニチノールは、オーステナイト仕上げ温度が30℃乃至45℃である。複合金属チューブは、酸化物被覆を具えていてもよい。
【0013】
別の実施例では、血管閉塞治療システムが、送達アッセンブリと、この送達アッセンブリに、送達アッセンブリジャンクションによって着脱可能に接続された血管閉塞デバイスとを具え、血管閉塞デバイスがブレード状部分と、コイル状部分と、ブレード状部分をコイル状部分に接続するデバイス内ジャンクションとを具える。
【0014】
一またはそれ以上の実施例では、ブレード状部分が近位端と、中央部分とを具え、この近位端の直径が中央部分の直径より小さい。ブレード状部分は、遠位端と中央部分を具え、遠位端の直径が中央部分の直径より小さい。コイル状部分は、近位端と中央部分を具え、近位端の直径が中央部分の直径より小さい。コイル状部分は、遠位端と中央部分を具え、遠位端の直径が中央部分の直径より小さい。
【0015】
一またはそれ以上の実施例では、送達アッセンブリが遠位端を有し、この遠位端がフックを形成している。ブレード状部分は、その近位端にループを形成する細長部材を具えていてもよい。フックがこの細長部材通って、送達アッセンブリと血管閉塞デバイスを接続している。血管閉塞デバイスは、フックが近位側に動かないように直径を小さくした近位端を具えていてもよい。
【0016】
様々な実施例で、送達アッセンブリジャンクションは、近位端と遠位端を有するリンクを具え、このリンクの遠位端は複数のフィンガを具える。複数のフィンガは、ブレード状部分の隣接する細長部材の間でインターフェースを取るように構成されている。複数のフィンガは、コイル状部分の隣接する開巻線間でインターフェースを取るように構成されている。
【0017】
一またはそれ以上の実施例では、送達アッセンブリがブレード状部材を具え、このブレード状部材の少なくとも一部が、血管閉塞デバイスの内側に半径方向に配置されている。
【0018】
一またはそれ以上の実施例では、送達アッセンブリジャンクションが、血管閉塞デバイスの少なくとも一部の周りに配置した筒状本体を具える。この筒所本体は、金属バンド及び/又は積層ポリマーチューブを具える。
【0019】
一またはそれ以上の実施例では、血管閉塞デバイスが伸縮性抵抗部材を具える。この伸縮性抵抗部材は、細長部材及び/又はブレード上チューブであってもよい。デバイス内ジャンクションは、この伸縮性抵抗部材の近位端に形成したループを具えていてもよい。このループは、ブレード状部分の細長部材を取り囲んでおり、伸縮性抵抗部材をデバイスに固定する。このループは、血管閉塞デバイスの小さくなった直径を取り囲んでおり、伸縮性抵抗部材をデバイスに固定する。デバイス内ジャンクションは、その端部にフックを形成したワイヤを具え、このフックがループを通過することができる。
【0020】
一またはそれ以上の実施例では、デバイス内ジャンクションが伸縮性抵抗部材の近位端に形成された拡大した本体を具え、この拡大した本体は、血管閉塞デバイスの直径が小さくなった部分の近傍に配置されており、伸縮性抵抗部材を本体に固定する。デバイス内ジャンクションは、伸縮性抵抗部材の近位端に形成したフックを具える。伸縮性抵抗部材の中央部分は、血管閉塞デバイスの関節動きを容易にするように構成することができる。伸縮性抵抗部材は、細長部材を具えていてもよく、これも、血管閉塞デバイスの少なくとも一部を形成している。
【0021】
一またはそれ以上の実施例では、デバイス内ジャンクションが、血管閉塞デバイスの少なくとも一部の周りに配置した筒状本体を具える。この筒状本体は、金属バンド及び/又は積層ポリマーチューブであってもよい。
【0022】
一またはそれ以上の実施例では、デバイス内ジャンクションが血管閉塞デバイスの一部によって規定されたルーメン内に配置された筒状本体を具える。この筒状本体は、ブレード状チューブと、コイル、及び/又は中実本体を具える。デバイス内ジャンクションは、ブレード状及びコイル状部分を通って半径方向に延在するピンを具えており、これによって、ブレード状及びコイル状部分を接続している。コイル状部分は、その端部に配置した平巻線を具えていてもよい。この平巻線の長軸は、血管閉塞デバイスの縦軸にほぼ平行である。
【0023】
一またはそれ以上の実施例では、ブレード状部分が、ブレードの遠位端を具え、コイル状部分がコイル状の近位端を具える。ブレード状の遠位端を、コイル状の近位端の内側に配置してもよい。コイル状の近位端を、ブレード状の遠位端の内側に配置してもよい。
【0024】
一又はそれ以上の実施例では、ブレード状部分がブレード状の近位端を具え、コイル状部分がコイル状の遠位端を具える。このブレード状の近位端を、コイル状の遠位端の内側に配置してもよい。コイル状の遠位端は、ブレード状の近位端の内側に配置してもよい。コイル状部分は、血管閉塞デバイスの関節動きを容易にするように構成することができる。
【0025】
別の態様によれば、本発明の実施例は、送達アッセンブリと、この送達アッセンブリに、切り離し可能なジャンクションによって取り外し可能に接続された血管閉塞デバイスとを有する血管閉塞治療システムを具えており、血管閉塞デバイスは、内側軸上ルーメンと、切り離し可能なジャンクションに接続された近位端部分と、第1のデバイス内ジャンクションによって近位端コイルの遠位端部分に接続された近位端部分を有するブレードと、を具え、このブレードは複数の細長いブレード状部材であって、このブレード状部材の2又はそれ以上が近位側コイルの軸上ルーメンを通ってブレードから近位側へ延在しているとともに、近位側コイルの近位端部分に、それぞれ固定されて、コイル伸縮防止部材を形成しているブレード状部材である。
【0026】
一実施例では、各近位側コイル伸縮防止部材は近位端が、近位側コイルの近端部分に接続されている切り離し可能なジャンクションの遠位部分に取り付けられており、切り離し可能なジャンクションは、切り離し可能なジャンクションの遠位部分が、切り離し可能なジャンクションが切り離されたときに近位側コイルの近位端部分への接続を維持するように構成されている。非限定的な一例では、近位側コイル伸縮防止部材の近位端が、切り離し可能なジャンクションの遠位部分に形成された開口に係合するフックをそれぞれ具えている。同様に、血管閉塞部材は、第2のデバイス内ジャンクションによってブレードの遠位端部分に取り付けた近位端部分を有する遠位側コイルを具え、この遠位側コイルが内側軸上ルーメンを有し、同じ又は異なる2又はそれ以上のブレード状部材が、ブレードから遠位側コイルの軸上ルーメンを通って遠位側に延在し、遠位側コイルの遠位端部分にそれぞれ固定され、これによって遠位コイル伸縮防止を形成している。このような実施例では、血管閉塞デバイスがさらに、遠位側コイルの遠位端部分に接続され、遠位側コイル伸縮防止部材の各遠位端を共に少なくとも部分的に接続することによって形成される遠位端ジョイントを具える。
【0027】
本発明のさらなる実施例によれば、血管閉塞治療システムが、送達アッセンブリと、この送達アッセンブリに、切り離し可能なジャンクションによって取り外し可能に接続された血管閉塞デバイスとを有し、血管閉塞デバイスは、内側軸上ルーメンと、デバイス内ジャンクションによって近位端コイルの近位端部分に接続された遠位端部分を有するブレードと、を具え、このブレードは複数の細長いブレード状部材であって、このブレード状部材の2又はそれ以上が遠位側コイルの軸上ルーメンを通ってブレードから遠位側へ延在しているとともに、遠位側コイルの遠位端部分に、それぞれ固定されて、コイル伸縮防止部材を形成している。
【0028】
一実施例では、このシステムはまた、遠位側コイルの遠位端部分に接続され、遠位端コイル伸縮防止部材の各遠位端を少なくとも部分的に互いに接続することによって形成した遠位端ジョイントを具える。
【0029】
本発明の更なる態様によれば、インプラント可能な血管閉塞デバイスが、一又はそれ以上の細長いブレード状部材であって、各細長ブレード状部材がコアと、このコアを少なくとも部分的に囲む中間層と、この中間層を少なくとも部分的に囲む外側層とを具え、コア、中間層、及び外側層の各々が、金属部材でできており、この金属部材は各々、放射線不透過性と剛性を有し、コア、中間層、及び外側層の一つが、他より不透過性が高く、及び/又は、剛性が低い。非限定的な一例によれば、コア金属材料はプラチナを、中間層金属材料はニチノールを、外側層金属材料はチタンを含んでいてもよい。別の非限定的な例では、コアが放射線不透過性金属材料を、中間層が超弾性金属材料を、外側層が耐酸化金属材料を含んでいてもよい。更なる非限定的な例では、コアが中間層と外側層より放射線不透過性が高く、中間層がコアと外側層の各々より剛性が低く、外側層がコアと中間層の各々より耐酸化性が高い。
【0030】
更に別の実施例では、血管閉塞治療システムが、送達アッセンブリと;送達アッセンブリジャンクションで送達アッセンブリに取り外し可能に接続されている血管閉塞デバイスを具える。血管閉塞デバイスは、一またはそれ以上の複合ワイヤでできたブレード状部分と、このブレード状部分に接続されたコイル状部分と、ブレード状部分をコイル状部分につなぐデバイス内ジャンクションを具える。各複合ワイヤは、コア金属材料でできたコアと、コア金属材料と異なる外側金属材料でできた外側層とを具える。コアと外側層は、それぞれ、一方が、コアと外側層の他方より、放射線不透過性が高く剛性が低い。
【0031】
一又はそれ以上の実施例では、コア金属材料がプラチナを含み、外側金属材料がニチノールを含む。その他の実施例では、コア金属材料がニチノールを含み、外側金属材料がプラチナを含む。
【0032】
一又はそれ以上の実施例では、一またはそれ以上の複合ワイヤの各々が、極限強度に対する降伏力の比が80%より低くてもよい。
【0033】
一又はそれ以上の実施例では、ブレード状部分が、複数の複合ワイヤでできたブレードを具え、各複合ワイヤがプラチナを含むコアと、ニチノールを含む外側層とを有しており、複数の複合ワイヤの各々が、プラチナ含有量が35ないし60体積%であり、複数の複合ワイヤの各々の外径が0.0010インチ乃至0.0015インチである。
【0034】
一又はそれ以上の実施例では、複数の複合ワイヤが、24乃至32本の複合ワイヤからなり、各ワイヤのプラチナ含有量が40ないし50体積%であり、外径が0.00115インチ乃至0.00125インチである。
【0035】
一又はそれ以上の実施例では、送達アッセンブリが遠位端を有し、この遠位端がフックを形成している。送達アッセンブリジャンクションが、近位端と遠位端を有するリンクを具え、このリンクの遠位端が複数のフィンガを具える。送達アッセンブリジャンクションは、ブレード状部材を具え、このブレード状部材の少なくとも一部が血管閉塞デバイスの内側に半径方向に配置されている。送達アッセンブリジャンクションは、血管閉塞デバイスの少なくとも一部の周りに配置した筒状本体を具えていてもよい。
【0036】
一又はそれ以上の実施例では、デバイス内ジャンクションが、血管閉塞デバイスの少なくとも一部の周りに配置した筒状部材を具える。デバイス内ジャンクションは、血管閉塞デバイスの一部で規定されるルーメン内に配置した筒状本体を具えていてもよい。この筒状本体は、ブレード状チューブを具えていてもよい。
【0037】
一又はそれ以上の実施例では、デバイス内ジャンクションが、ブレード状及びコイル状部分を通って半径方向に延在するピンを具えており、これによってブレード状部分とコイル状部分をつないでいる。
【0038】
一又はそれ以上の実施例では、コイル状部分がその端部に平巻線を具え、この平巻線の長軸が、血管閉塞デバイスの縦軸にほぼ平行である。
【0039】
一又はそれ以上の実施例では、ブレード状部分の幅がほぼ一定である。
【0040】
一又はそれ以上の実施例では、コアと外側金属材料が、それぞれ放射線不透過性と剛性を具えている。
【0041】
一又はそれ以上の実施例では、一またはそれ以上の複合ワイヤの各々の極限強度に対する降伏力の比が80%より低い。
【0042】
一又はそれ以上の実施例では、コアと外側層の一方が、複合ワイヤに対して放射線不透過性を提供しており、コアと外側層の他方が、超弾性及び/又は複合ワイヤに対する形状記憶性(すなわち、ブレードが元の幅に戻る能力)を提供している。
【0043】
一又はそれ以上の実施例では、コアがワイヤの不連続セグメント及び/又はパウダーからできている。このような実施例では、コアが連続ワイヤでできた同じコアより剛性が低くなる。
【0044】
一又はそれ以上の実施例では、ブレード状部分の幅が0.5mm乃至2.5mmである。ブレード状部分の幅対厚さの比は、1:1乃至40:1の範囲にある。ブレード状部分のブレード角は、10°乃至90°の範囲でよい。
【0045】
本発明の実施例のその他の及び更なる態様と特徴は、添付の図面を参照して詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面は、本発明の様々な実施例の設計と有用性を示している。図中、同じ要素には共通の符号を付した。これらの図面は必ずしも縮尺通りではない。上述の、および他の利点や目的をどのように得るかを良く理解するために、実施例のより具体的な説明が記載され、添付図面に示されている。これらの図面は、説明と以下の詳細な説明を容易にする目的で本発明の例示的な実施例を示すのみであり、したがって発明の範囲を限定すると考えるべきではない。
図1図1は、一実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイスと送達アッセンブリを含む、例示的な血管閉塞治療システムを示す図である。
図2図2は、図1に示す血管閉塞治療システムの写真である。
図3図3は、動物の血管系内で展開させた図1に示す血管閉塞デバイスの画像である。
図4図4は、動物の血管系内で展開させた図1に示す血管閉塞デバイスの画像である。
図5図5は、本発明の実施例によって構成した非拘束状態にある血管閉塞デバイスを示す写真である。
図6図6は、本発明の実施例によって構成した非拘束状態にある血管閉塞デバイスを示す写真である。
図7図7は、血管閉塞デバイス又はその部分を本発明の実施例にしたがって形成できる、細長部材の斜視図である。
図8図8は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイスを具える血管閉塞治療システムの縦方向断面図である。
図9図9は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイスを具える血管閉塞治療システムの縦方向断面図である。
図10図10は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイスを具える血管閉塞治療システムの縦方向断面図である。
図11図11は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイスを具える血管閉塞治療システムの縦方向断面図である。
図12図12は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図13図13は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図14図14は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図15図15は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図16図16は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図17図17は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図18図18は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図19図19は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図20図20は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図21図21は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図22図22は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した主ジャンクションの縦方向断面図である。
図23図23は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイス送達システム内で用いられている主ジャンクションの写真である。
図24図24は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図25図25は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図26図26は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図27図27は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図28図28は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図29図29は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図30図30は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図31図31は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図32図32は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイス送達システム内で用いられている主ジャンクションの写真である。
図33図33は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図34図34は、一実施例に係る3つのデバイス内ジャンクションの写真であり、図33に示すデバイス内ジャンクションと同様である。
図35図35は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図36図36は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図37図37は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した血管閉塞デバイス送達システム内で用いられている主ジャンクションの写真である。
図38図38は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図39図39は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図40図40は、一実施例にしたがって構成したブレード状血管閉塞デバイスの写真である。
図41図41は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図42図42は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図43図43は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図44図44は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図45図45は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した代替のデバイス内ジャンクションの縦方向断面図である。
図46図46は、本発明の実施例に係る例示的製造プロセスにおける血管閉塞治療システムの構成要素の縦方向断面図である。
図47図47は、本発明の実施例に係る例示的製造プロセスにおける血管閉塞治療システムの構成要素の縦方向断面図である。
図48図48は、本発明の実施例に係る例示的製造プロセスにおける血管閉塞治療システムの構成要素の縦方向断面図である。
図49図49は、本発明の実施例に係る例示的製造プロセスにおける血管閉塞治療システムの構成要素の縦方向断面図である。
図50図50は、本発明の実施例によって構成した、血管閉塞デバイスと送達アッセンブリを含む、例示的血管閉塞治療システムを示す縦方向断面図である。
図51図51は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した、主ジャンクションとデバイス内ジャンクションを含む、血管閉塞治療システムの部分を示す縦方向断面図である。
図52図52は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した、主ジャンクションとデバイス内ジャンクションを含む、血管閉塞治療システムの部分を示す縦方向断面図である。
図53図53は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した、主ジャンクションとデバイス内ジャンクションを含む、血管閉塞治療システムの部分を示す縦方向断面図である。
図54図54は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した、主ジャンクションとデバイス内ジャンクションを含む、血管閉塞治療システムの部分を示す縦方向断面図である。
図55図55は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した、主ジャンクションとデバイス内ジャンクションを含む、血管閉塞治療システムの部分を示す縦方向断面図である。
図56図56は、本発明の様々な実施例にしたがって構成した、主ジャンクションとデバイス内ジャンクションを含む、血管閉塞治療システムの部分を示す縦方向断面図である。
図57図57は、本発明の実施例にしたがって構成した更なる血管閉塞治療システムの縦方向断面図である。
図58図58は、本発明の実施例にしたがって構成した更なる血管閉塞治療システムの縦方向断面図である。
図59図59は、本発明の実施例にしたがって、そこから血管閉塞デバイス又はその部分を形成できる細長部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書では、本発明の例示的実施例と用途について述べる。しかしながら、本発明は、これらの例示的実施例と用途、あるいは、この例示的実施例と用途が動作する方法あるいはここに述べられている方法に限定されるものではない。さらに、図面は、簡易化したあるいは部分的な図であり、図中の要素の寸法は誇張されていることがあり、あるいは比例するものではない。また、同様の構造の要素又は機能は、図面を通して同様の符号が付されている。さらに、図に示す実施例は、ここに示すすべてに態様又は利点を有している必要はない。特定の実施例と共に記載された態様又は利点は、必ずしもその実施例に制限されず、そのように説明されていなくても、その他の実施例において実行することができる。
【0048】
以下に規定した用語について、特許請求の範囲又は本明細書中のいずれかに別の定義がなされていない限り、これらの定義を当てはめるべきである。
【0049】
用語「上に」、「~に取り付けられている」、「~に接続されている」、「~に連結されている」、「~に固定されている」、あるいは同様の用語が本明細書で使用されているため、一つの構成要素(例えば、材料、層、基板、その他)は、その一つの構成要素が直接的に他方の要素の上にある、取り付けられている、接続されている、連結されている、固定されているかにかかわらず、あるいは、その一つの要素と他方の要素の間に一またはそれ以上の仲介要素が存在するかどうかにかかわらず、他方の要素の「上」にある、「取り付けられている」、「接続されている」、「連結されている」、「固定されている」。方向(例えば、上方、下方、頂部、底、側部、上、下、下部、上部、上側、下側、水平、垂直、「x」、「y」、「z」、その他)が記載されている場合、この方向は、相対的であり、単に例示として、及び説明と考察のために記載されており、限定するものではない。要素のリストに符号が付されている場合(例えば、要素a、b、c)、このような符号は、リストに挙げた要素のいずれか一つ、リストに挙げたすべての要素より少ない要素の組み合わせ、及び/又はリストに挙げたすべての要素の組み合わせを含むことを意図している。
【0050】
本明細書で使用されているように、「実質的に」とは、意図した目的のために十分に作用することを意味する。用語「実質的に」は、従って、絶対的又は完全な状態、寸法、測定、結果、あるいはこの分野の当業者が期待するが、全てのパフォーマンスにかなり影響するものではないようなものからのわずかな、不十分な変形も意図している。用語「複数のもの」は、一以上のものを意味する。
【0051】
すべての数値は、本明細書では、明確に記載されているかどうかにかかわらず、用語「約」によって修正されると仮定する。用語「約」は、一般的には、当業者が記載した値と同等であると考えるであろう数の範囲を意味する(したがって、同じ機能又は結果をもつ)。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められる数を含む。端点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1乃至5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5が含まれる)。
【0052】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されているように、単数形には、その内容が明示していない限り、複数の対象が含まれる。本明細書及び特許請求の範囲で使用されているように、用語「又は」は、その内容が明示していない限り、「及び/又は」を含む認識で使用されている。
【0053】
本明細書で使用されているように、ブレードを形成するのに使用される複数の「細長部材」には、ブレードを形成するのに使用した単一の細長部材のみが含まれる。すなわち、単一の細長部材は、ブレードの端部において、それ自体に戻っている。本明細書で使用されているように、用語「チューブ」、「筒状」、「直径」、「半径」、及び「外周」は、非円形断面を持つ物体、並びに、円形断面を持つ物体に及ぶ。
【0054】
図1及び2は、送達アッセンブリ104に接続されたインプラント可能な血管閉塞デバイス102を具える血管閉塞治療システム100を示す。この血管閉塞デバイス102は、近位部分と遠位部分108、110の間の軸上に配置された中央ブレード状部分106を具える。主ジャンクション200は、送達アッセンブリ104の遠位端を近位部分108の近位端に接続している。「主ジャンクション」は、また、「送達アッセンブリジャンクション」として知られている。近位側デバイス内ジャンクション300-1は、中央部分106の近位端を、近位部分108の遠位端に接続している。遠位側デバイス内ジャンクション300-2は、中央部分106の遠位端を遠位部分110の近位端に接続している。
【0055】
中央部分106は、インディアナ州フォートウェイン所在のFort Wayne Metals社から入手可能なものなどの、異種金属二層ワイヤ(drawn filled tubing:DFT)細長部材(例えば、「ワイヤ」)でできたブレードである。DFTはある種の複合ワイヤである。例えば、中央部分106は、24本のDFTワイヤでブレードすることができ、各ワイヤの断面径は、0.00125インチである。このブレードは、平ブレードでも丸ブレードでもよい。別の実施例では、中央部分106は、24乃至34本のDFTワイヤでブレードされており、各ワイヤの断面径は、0.00115乃至0.00125インチである。近位及び遠位部分108、110は、一又はそれ以上の同じDFTワイヤを巻いたコイルである。代替の実施例では、近位及び遠位部分108、110が、DFTワイヤに替えて、一又はそれ以上の実質的に純粋なNiTiワイヤを巻いたコイルであってもよい。
【0056】
このDFTワイヤは、実質的に純粋なニチノール(「NiTi」)外側層で少なくとも部分的に取り囲んだ実質的に純粋なプラチナ(「Pt」)コアを具える。本出願で使用されているように、「実質的に純粋な」Ptは、限定するものではないが、ASTM B561にしたがって製造した商業的純度99.95%のものを含む。Ptコアは、約40-50体積%のDFTワイヤである(「Ptコア含有量」)。いくつかの実施例では、DFTワイヤが、コア部分(個体細長部材)を外側部材(筒状細長部材)に挿入して複合細長部材(例えば、複合ワイヤ)を形成することで、形成される。複合細長部材は、繰り返し機械的に引き抜き、加熱によりアニーリングして、軸方向長さを増やし、断面径を小さくする。例えば、この引き抜きとアニーリングプロセスは、順次複合細長部材の径を、1インチから0.5インチへ、0.5インチから0.25インチへ、0.25インチから0.025インチへ、0.025インチから0.0025インチへと小さくしてゆく。
【0057】
DFTワイヤの様々な部分(例えば、コアと外側層)を形成している材料(例えば、PtとNiTi)は、様々な剛性(例えば、曲げ剛性)を有していてもよいが、DFTの結果物部分の相対的剛性(例えば、曲げ剛性)は、必ずしも、DFTが作られている材料の複合を反映していなくてもよい。例えば、Ptの曲げモジュール(すなわち、剛性)は、様々な実施例でNiTiのそれより大きいが、Ptワイヤの径と組み合わせたPtの曲げモジュールは、対応するNiTi外側層より柔らかい(すなわち、剛性が低い)ことになる。
【0058】
血管閉塞デバイス102の中央部分106は、マンドレルの上にブレードすることができる。このマンドレルは、所望の最終形状に応じて平坦であっても丸くてもよい。ブレードした後、中央部分106を熱処理することができる(例えば、500℃乃至550℃で1乃至10分間)。この熱処理が終わったブレードは、中央部分106の直線状の「主形状」を形成する。熱処理が終わったブレードは、次いで、第2のマンドレルの周りに巻き付けて(例えば、三次元マンドレル)、第2の時間、熱処理を行い、三次元「二次形状」とする。図5及び6に示すように、NiTi外側層が二次形状の保持力を改善する
【0059】
血管インプラント(例えば、ステント)は、Ptコア含有率が約30%までのNiTi-DFT-Ptワイヤで形成されていたが、Ptコア含有率が約40%乃至50%のNiTi-DFT-Ptワイヤは、ステントの形成には使用されなかった。これは、ステントが通常、血管の開存性を維持するのに、極限強度比(例えば、極限強度(UTS)の>80%)に対してより高い降伏力をもつワイヤを必要とするためである。一方、インスタント血管閉塞デバイス102は、UTS比に対して降伏力がより低いDFTワイヤを具えており、これが、より低い曲げモーメントと改善された制動性能を含むデバイス特性を改善している。様々な実施例では、血管閉塞デバイス102を形成するDFTワイヤが、<50%UTS、<60%UTS、<70%UTS、及び80%UTSのUTS対降伏力比を有する。降伏力は、材料が弾性的変形を開始する前に材料に係る最大量の力である。UTSは、材料が機能しなくなる前に材料に係る最小量の力である。血管閉塞デバイスの少なくとも一部を、UTS対降伏力の比が80%より小さいワイヤでブレードすることは、改善された放射性不透過性、形状保持力、制動性能といった特性を同時に達成するには絶対不可欠である。
【0060】
血管閉塞デバイスを含めて、Ptコアの含有率が約40%乃至50%のNiTi-DFT-Ptワイヤで血管インプラントを形成することは、以前は知られていなかった。Ptコアの含有率が約40%乃至50%のDFTワイヤで中央部分106をブレードすることは、(1)その全長にわたる放射線不透過性と、(2)改善された形状保持力と、(3)ブレードの全長に沿った改善された制動性能と、を有する中央部分106を提供する。Ptコアは、図3及び4に示すように血管閉塞デバイス102のかなりの大きな割合に対して放射線不透過性を提供する。図3及び4は、患者にインプラントした様々な血管閉塞デバイス102の放射線不透過性を示すX線写真である。図3に示すX線写真は、以下の特性を有する:後側1°、1°右前斜位、69kVp、及び1.36mA。図4に示すX線画像は、以下の特性を有する:後側1°、1°右前斜位、100kVp、及び3.73mA。NiTi外側層の超弾性属性は、改善された形状保持力に寄与する。Ptの柔軟性は、改善された制動性能、すなわち、血管閉塞デバイス102の曲げ及び折り畳んで体腔形状に合致させる能力に寄与する。これらの中央部分106の特徴によって、動脈瘤などの血管障害の嚢内塞栓に適した血管閉塞デバイス102となる。すなわち、デバイス102全体のほぼ一貫した視覚化グレースケールと最適な柔軟プロファイルとなる。
【0061】
血管塞栓デバイス102の少なくとも一部を16ないし48本のDFTワイヤでブレードし、各ワイヤが断面径0.;0010インチ乃至0.0015インチであり、Pt含有率が35%乃至60%であることは、改善された放射線不透過性、形状保持力、及び制動性能を同時に達成するには絶対に不可欠である。予想外に、Pt含有率が高くなると、柔軟性の低下についてのPt含有率の増加の効果が低減される。したがって、プラチナ含有率が35%乃至60%のDFTワイヤで編んだブレードは、驚くべきことに、血管閉塞のアプリケーション、例えば、フレキシブルなデバイスを必要とする瘤内アプリケーションに適している。このようなブレードは、16ないし48本のDFTワイヤで編んでいる場合に特に適切であり、各ワイヤの断面径は0.0010インチ乃至0.0015インチである。好ましい実施例では、血管閉塞デバイス102の少なくとも一部が、24乃至32本のDFTワイヤで編まれており、各ワイヤが0.00115インチ乃至0.00125インチの断面径を有し、Pt含有率が40%乃至50%である。
【0062】
通常は、NiTiのオーステナイト仕上げ、あるいは「A」温度が約25℃であり、これはマルテンサイト相のオーステナイト相への転換が完了する温度である。DFT内のNiTiを、A温度が30℃乃至45℃となるように変えることによって、より柔軟な血管閉塞デバイスとなる。この範囲にA温度を設定することで、デバイスの柔軟性と一致との間の所望のバランスが達成され、動脈瘤の治療についてのデバイスの適合性が改善される。NiTiのA温度の設定は、NiTi中のNiの組成を通常の50%から50.4%-50.8%に調整することで達成できる。さらに、AはNiTiの加熱処理で調整できる。好ましい実施例では、A温度は38℃乃至40℃である。
【0063】
DFTは、厚さを制御した酸化物被覆を具えていてもよく、この被覆は血栓形成(例えば、クロット)を強化して、動脈瘤内の血管閉塞を増やす。好ましくは、酸化物被覆は、平均厚さが50nm乃至500nmである。これは、酸化物被覆を実質的に除去する(例えば、電気研磨などにより)従来のDFTブレードインプラント(例えば、ステント)と逆であり、「ブライト」ステントを形成する。従来のDFTブレードステントでは、酸化物被覆の厚さが50nmより薄くなるよう制限されている。
【0064】
図1を再度参照すると、血管閉塞デバイス102を挿入し、展開させる間の組織のダメージを最小限にするために、近位部分及び遠位部分108、110が無傷コイルである。中央部分106は、また、あらかじめ決められた破点112を有しており、これは、二次形状の形成中に、中央部分106のセグメントを、互いにひねる、あるいは、中央部分106のブレード内のポイントを下にネッキングすることによって作られる。いくつかの実施例では、破点112は、体腔との固定をより良好にするために90°屈曲していてもよい。送達アッセンブリ104も、その遠位端に電解分解可能なセグメント114を具えている。その他の実施例では、血管閉塞デバイス102を送達アッセンブリ104から開放する代替の取り外し機構が、機械的、熱的、及び水圧的機構を具えている。
【0065】
その他の実施例では、図7に示すように、DFTワイヤに替えて、中央部分106が互いにねじったより小さいDFTワイヤ118で形成した細長部材116でブレードされている。各DFTワイヤ118は、NiTi-DFT-40Ptでできている。より大きなDFTワイヤに代えて細長部材116(より小さいDFTワイヤでできている)をブレードすることによって、ほぼ同じPtコア含有率でより柔らかい中央部分106となる。したがって、この実施例による中央部分106(すなわち、ねじった細長部材116のブレード)は、より柔らかいブレードと同様の放射線不透過性を提供する。この実施例によるブレードは、また、より大きな表面積を提供して、血栓形成を促進し、これによって動脈瘤の閉塞を強化する。
【0066】
図8は、一実施例に係る血管閉塞治療システム100を示す。血管閉塞治療システム100は、主ジャンクション200で送達アッセンブリ104に接続された血管閉塞デバイス102を具える。送達アッセンブリ104は、電解分解するセグメント114をその遠位端に具える。血管閉塞デバイス102は、デバイス内ジャンクション300で遠位部分110に接続された中央ブレード状部分106を具える。中央部分106は、上述したDFT(すなわち、複合)ワイヤでブレードされており、実質的に一定の幅(すなわち、断面寸法)を有する。上述したように、遠位側コイル状部分110は、一またはそれ以上のDFTワイヤを巻いたコイルである。その他の実施例では、この中央及び遠位部分106、110は、その他の細長部材で形成することができる。遠位部分110は、また、無傷の遠位先端120を具えており、これは、少量の接着剤でできている。伸縮性抵抗部材122が主ジャンクション200から、デバイス内ジャンクション300を通って、無傷の遠位先端120に延在しており、それの送達中に近位側に引き抜かれる時の、血管閉塞デバイス102の伸長を低減している。伸縮性抵抗部材122は、ポリマ(例えば、ポリプロピレン)又は金属(例えば、NiTi)でできている。
【0067】
主ジャンクション200は、送達アッセンブリ104の遠位端に形成されたフック202を具える。このフック202は、引用によって組み込まれている米国特許出願第14/457、970号に記載されているように、送達アッセンブリ104のコアワイヤの遠位端から形成することができる。伸縮性抵抗部材122は、その近位端に近位側ループ124を形成している。フック202は、近位側ループ124を通過して、機械的に送達アッセンブリ104を、血管閉塞デバイス102の中央部分106に接続されている。主ジャンクション200はまた、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウンした近位端126を具える。このネックダウンした近位端126は、フック202に接続された小さなプロファイルを有する。血管閉塞デバイス102の近位端126は、フック202と、伸縮性抵抗部材122の近位側ループ124とを取り囲んでいる。主ジャンクション200はまた、接着剤ドロップ204を具えており、これは、血管閉塞デバイス102の中央部分106のブレードした近位端126に浸透し、(1)送達アッセンブリ104のフック202;(2)伸縮性抵抗部材122の近位側ループ124;及び(3)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126;を互いに連結し、これによって、主ジャンクション200を形成している。
【0068】
デバイス内ジャンクション300は、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウンした遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130とを具えている。中央部分106の遠位端128は、遠位部分110の開近位端130の内側に合致するようにネックダウンしている。デバイス内ジャンクション300はまた、接着剤ドロップ302を具えており、これは、血管閉塞デバイス102の遠位部分110のコイル状開近位端130に浸透して、これを血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と連結させて、デバイス内ジャンクション300を形成している。さらに、接着剤ドロップ302は、デバイス内ジャンクション300を通過する伸縮性抵抗部材122の部分も連結している。
【0069】
図9は、もう一つの実施例に係る血管閉塞治療システム100を示す。血管閉塞治療システム100は、送達アッセンブリ104に主ジャンクション200で接続された血管閉塞デバイス102を具える。送達アッセンブリ104は、電解で分離できるセグメント114をその遠位端に具える。血管閉塞デバイス102は、近位側コイル状部分と遠位側コイル状部分108、110に、それぞれ、近位側デバイス内ジャンクション300-1と遠位側デバイス内ジャンクション300-2で接続された中央ブレード状部分106を具える。この中央部分106は、上述したように、DFT(すなわち、複合)ワイヤでブレードされており、実質的に一定の幅を有する(すなわち、断面寸法)。この近位部分及び遠位部分108、110は、上述したように、一またはそれ以上のDFTワイヤで巻いたコイルである。別の実施例では、中央部分、近位部分、及び遠位部分106、108、110がその他の細長部材でできていてもよい。遠位部分110は、また、少量の接着剤で形成することができる、無傷の遠位側先端120を具えている。伸縮性抵抗部材122は、主ジャンクション200から、デバイス内ジャンクション300を通って、無傷の遠位側先端120に延在している。
【0070】
主ジャンクション200は、送達アッセンブリ104の遠位端と、近位部分108の開近位端132の両方に接続された、リンク/アダプタ206を具えており、これによって、送達アッセンブリ104と近位部分108を接続している。リンク206は、引用によって全体が組み込まれている、米国特許第8,202,292号に記載されているように、シートで形成してもよい。リンク206は、一般的に平坦であり、その近位端に形成した複数のフィンガ208を具える。リンク206はまた、近位側及び遠位側開口210、212を具える。血管閉塞デバイス102の近位部分108は、その開近位端132に開ピッチの近位側巻線134を伴うコイルである。これらの近位側巻線134の少なくともいくつかは、リンク206のフィンガ208と組み合わさって、リンク206を血管閉塞デバイス102の近位部分108に接続している。
【0071】
主ジャンクション200は、また、上述したように、送達アッセンブリ104のコアワイヤの遠位端から形成されたフック202を具える。フック202は、リンク206の近位側開口210を通って、送達アッセンブリ104とリンク206(及びそれに接合された近位部分108)を接続している伸縮性抵抗部材122は、その近端に近位側ループ124を形成している。近位側ループ124は、リンク206の遠位側開口212を通って、リンク206(及び、それに接続された送達アッセンブリ104)を血管閉塞デバイス102の近位部分108に機械的に接続している。主ジャンクション200は、また、接着剤ドロップ204を具えており、これが開ピッチ近位側巻線134を通って血管閉塞デバイス102の開近位端132に浸透し、(1)送達アッセンブリ104のフック202;(2)リンク206;(3)伸縮性抵抗部材122の近位側ループ124;及び(4)血管閉塞デバイス102の近位部分108の近位端132を、互いに接続して、これによって主ジャンクション200を形成している。
【0072】
近位側及び遠位側デバイス内ジャンクション300-1、300-2は、互いにミラー画像である。近位側デバイス内ジャンクション300-1は、血管閉塞デバイス102の近位部分108の開遠位端136と、血管閉塞デバイス102の中央106のネックダウンした近位端126とを具える。中央部分106の近位端126は近位部分108の開遠位端136の内部に合致するようにネックダウンしている。近位側デバイス内ジャンクション300-1はまた、接着剤ドロップ302を具え、これは、血管閉塞デバイス102の近位部分108のコイル状開遠位端136に浸透する。接着剤302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126と、血管閉塞デバイス102の近位部分108の開遠位端136を互いに接続しており、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を形成している。さらに、接着剤ドロップ302は、近位側デバイス内ジャンクション300-1を通過する伸縮性抵抗部材122の部分にも接続している。
【0073】
遠位側デバイス内ジャンクション300-2は、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウンした遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130を具える。中央部分106の遠位端128は、遠位部分110の開近位端130の内部に合致するようにネックダウンしている。遠位側デバイス内ジャンクション300-2は、また、接着剤ドロップ302を具え、これは、血管閉塞デバイス102の遠位部分110のコイル状開近位端130に浸透する。接着剤302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130を互いに接続しており、これによって、遠位側デバイス内ジャンクション300-2を形成している。さらに、接着剤ドロップ302は、デバイス内ジャンクション300-2を通過する伸縮性抵抗部材122の部分にも接続している。
【0074】
図10は、更なる実施例に係る血管閉塞治療システム100を示す。図10に示す血管閉塞治療システム100は、図8に示す血管閉塞治療システム100とほとんど同じである。一の差異は、主ジャンクション200が、送達アッセンブリ104の遠位端にあるフック202と、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126との間に、半径方向に配置した内側ブレード214をさらに具えることである。内側ブレード214も、伸縮性抵抗部材122の近位側ループ124を取り囲んでいる。内側ブレード214は、上述した通り、DFT、Pt及び/又はNiTiワイヤで織ることができる。主ジャンクション200も、血管閉塞デバイス102の中央部分106のブレード近位端126に浸透する接着剤ドロップ204を具えており、(1)送達アッセンブリ104のフック202と;(2)内側ブレード214の近位部分と;(3)伸縮性抵抗部材122の近位側ループ124と;(4)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126を互いに接続して、主ジャンクション200を形成している。内側ブレード214は、押出性を強化し、中央部分106(特に、主ジャンクション200における)のねじれを低減させ、主ジャンクション200を保護して、強化している。特に、内側ブレード214は、送達アッセンブリ104の遠位端と血管閉塞デバイス102の近位端の各有効剛性を互いに近づけて、ねじれを引き起こす剛性差を最小に抑えることによって、ねじれを防止している。
【0075】
図11は、更なる実施例に係る血管閉塞治療システム100を示す。図11に示す血管閉塞治療システム100は、図10に示す血管閉塞治療システム100と同様である。一の差異は、内側ブレード214が主ジャンクション200から、デバイス内ジャンクション300を通って、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の遠位先端120まで延在していることである。内側ブレード214は、血管閉塞デバイス全体にわたっており、伸縮性抵抗部材として作用し、これによって、別の伸縮性抵抗部材を設ける必要をなくしている。第3の違いは、送達アッセンブリ104の遠位端にあるフック202が内側ブレード214の近位端に機械的に接続できることである。内側ブレード214は、上述した通り、DFT、Pt及び/又はNiTiワイヤで織ることができる。主ジャンクション200も、血管閉塞デバイス102の中央部分106のブレード近位端126に浸透する接着剤ドロップ204を具えており、(1)送達アッセンブリ104のフック202と;(2)内側ブレード214の近位部分と;(3)血管閉塞デバイス102の中央部分の近位端126を互いに接続して、主ジャンクション200を形成している。この実施例では、内側ブレード214は、更に押出性を強化し、血管閉塞デバイス102全体のねじれを低減させ、主ジャンクション200とデバイス内ジャンクション300の両方を保護して、それが送達中に近位側に引っ張られたときの血管閉塞デバイス102の伸縮を防止する。
【0076】
図8ないし11に記載の血管閉塞治療システム100は、様々な血管閉塞デバイス102、主ジャンクション200、及びデバイス内ジャンクション300を様々な組み合わせで具えているが、この開示は、例示的な血管閉塞治療システム100によって制限されるものではない。したがって、本明細書に開示した血管閉塞デバイス102、主ジャンクション200、及びデバイス内ジャンクション300は、それぞれ、適宜の態様で組み立てて、異なる血管閉塞治療システム100を形成することができる。また、開示されている血管閉塞治療システム100の構成要素が、全ての血管閉塞治療システム100に存在する必要がないことは明らかである。
【0077】
図12乃至23は、様々な実施例に係る主ジャンクション200を示す。図12及び14乃至23に記載の主ジャンクション200は、伸縮性抵抗部材を具えていないが、一またはそれ以上の伸縮性抵抗部材を具えるように変形可能である。さらに、主ジャンクション200は、デバイス内ジャンクション300として機能するように変形することができる。
【0078】
図12に記載の主ジャンクション200は、図12に記載の主ジャンクション200が、血管閉塞治療システム102の中央部分106のネックダウン近位端126を囲んでいるマーカーバンド対216を具えている点を除いて、図8に記載されているものと同様である。マーカーバンド216は、フック202(及び送達アッセンブリ104)と、血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126との接続を強化し、これによって、主ジャンクション200の強度を上げている。マーカーバンド216はまた。ネックダウン近位端126の直径を小さく維持する。より近位のマーカーバンド216は、また、フック202と機械的なインターフェースを取って(例えば、インターロック)、フック202と近位端126の接続を強化するとともに、主ジャンクション200の強度を上げている。
【0079】
図13に記載の主ジャンクション200は、図13に部分的に記載されている血管閉塞デバイス102が、近位部分108を具えていない点を除いて、図9のものと同じである。したがって、図13に記載の主ジャンクション200は、リンク/アダプタ206と、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126を具える。ネックダウン近位端126のブレードは、十分に開いており、リンクのフィンガ208が半径方向にブレードを通過できる。さらに、リンク206近傍のネックダウン近位端126の部分は、リンク206に溶接または半田付けして、リンク206(及びそれに接続された送達アッセンブリ104)と血管閉塞デバイス102の中央部分106との接続を強化できる。
【0080】
図14に部分的に記載されている血管閉塞測定システム100は、図14に部分的に記載されている血管閉塞治療システム100の近位側デバイス内ジャンクション300-1が、図9に記載されている血管閉塞治療システム100の近位側デバイス内ジャンクション300-1より軸方向に長いという点を除いて、図9に記載のものと同じである。図14に記載の近位側デバイス内ジャンクション300-1は、血管閉塞デバイス102の近位部分108の開遠位端136と、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126と、接着剤ドロップ302と、を具える。中央部分106のネックダウン近位端126は、近位部分108の遠位端136の内側に配置した伸展した長さのブレードを具え、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を長くしている。主ジャンクション200と近位側デバイス内ジャンクション300-1の間の血管閉塞デバイス102の近位端108の領域(すなわち、コイル)は、血管閉塞デバイス102の曲げを容易にするように構成された関節部分138を形成している。
【0081】
図15に記載の主ジャンクション200は、図15に記載の血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126の直径が、ブレードの側部が当接するまで小さくなっている点を除いて、図8のものと同様であり、これによって、フック202と機械的にインターフェースを取っている。このネックダウン近位端126の変更により、フック202と近位端126の結合が強まる。フック202と近位端126はさらに、レーザー溶接、半田付け、または接着剤の滴下により結合することができない。
【0082】
図16に記載の主ジャンクション200は、図16に記載の主ジャンクション200が血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126を囲むラミネート層218を具えている点を除いて、図15に記載のものと同じである。このラミネート層218は、フック202(及び送達アッセンブリ104)と、血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126との接続を強化する。ラミネート層218は、また、ネックダウン近位端126の小さくなった直径を維持する。
【0083】
図17に記載の主ジャンクション200は、図17に記載の血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126中のブレードが部分的に開であり、開口40を規定していることを除いて図8に記載のものと同様である。送達アッセンブリ104の遠位端に形成されたフック202は開口140を通り、これによりフック202と近位端126が結合される。
【0084】
図18に記載の主ジャンクション200は、図18に記載の血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126のブレードが近位側ループ142を形成している点を除いて、図8に記載のものと同じである。近位側ループ142は、一またはそれ以上の細長部材で形成してもよく、この部材から中央部分106がブレードされている。送達アッセンブリ104の遠位端に形成したフック202は、近位側ループ142を通って、フック202と近位端126とを接続している。主ジャンクション200は、接着剤ドロップ302も具えており、このドロップが送達アッセンブリ104のフック202と、血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126に形成された近位側ループ142を接続している。
【0085】
図19に記載の主ジャンクション200は、内側ブレード214がより短く、フック202の上に延在していない点を除いて、図10のものと同じである。内側ブレード214は、送達アッセンブリ104の遠位端と、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126との間に半径方向に配置されている。内側ブレード214は、フック202と機械的に干渉している(例えば、インターロック)。内側ブレード214は、上述した通りDFT、Pt、及び/又はNiTiワイヤで織ることができる。主ジャンクション200は、また、接着剤ドロップ204を具えており、このドロップは、血管閉塞デバイス102の中央部分106のブレードした近位端126に浸透して、(1)送達アッセンブリ104のフック202と;(2)内側ブレード214の近位部分と;(3)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126とを互いに接続して、これによって主ジャンクション200を形成している。内側ブレード214は、フック202と近位端126との接続を強化する。内側ブレード214は、また、押出性を強化し、中央部分106のねじれを低減し(特に、主ジャンクション200におけるねじれ)、主ジャンクション200を保護して強度を上げている。
【0086】
図20に記載した主ジャンクション200は、図20に記載した主ジャンクション200が伸縮性抵抗部材を具えていない点を除いて、図10に記載のものとほぼ同じである。したがって、主ジャンクション200の接着剤ドロップ204は、(1)送達アッセンブリ104のフック202と;(2)内側ブレード214の近位部分と;(3)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126とを互いに接続して、これによって主ジャンクション200を形成している。内側ブレード214は、フック202と近位端126の接続を強化する。内側ブレード214は、また、押出性を強化し、中央部分106のねじれを低減し(特に、主ジャンクション200におけるねじれ)、主ジャンクション200を保護し強度を上げている。
【0087】
図21に記載の主ジャンクション200は、図21に記載の主ジャンクション200が伸縮性抵抗部材を具えていない点を除いて、図8に記載のものとほぼ同じである。フック202は、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126と機械的にインターフェースを取って(例えば、インターロック)、主ジャンクション200の強度を上げている。したがって、主ジャンクション200の接着剤ドロップ204は、(1)送達アッセンブリ104のフック202と;(2)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126とを互いに接続して、これによって主ジャンクション200を形成している。
【0088】
図22に記載の主ジャンクション200は、図22に記載の主ジャンクション200が、二つのマーカーバンド216に代えて、一のマーカーバンドを具えている点を除いて、図12に記載のものと同じである。マーカーバンド216は、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126を囲んでいる。マーカーバンド216は、フック202(及び送達アッセンブリ104)と、血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126の接続を強化し、これによって主ジャンクション200の強度を上げている。マーカーバンド216は、また、ネックダウン近位端126の低減した直径を維持している。
【0089】
図23は、一実施例に係る送達アッセンブリ104と血管閉塞デバイス102の中央部分106とを接続する主ジャンクション200を示す。図23に示す主ジャンクション200は、接着剤ドロップ204が主ジャンクション200の詳細を見えなくしているので、図8、10-13、及び15-22に記載のものと同様である、あるいは同じであってもよい。
【0090】
図24乃至51は、様々な実施例に係るデバイス内ジャンクション300を示す。図24乃至51に記載の特定のデバイス内ジャンクション300は、伸縮性抵抗部材を具えているか、具えていないが、これらのジャンクションは、一またはそれ以上の伸縮性抵抗部材を具えないように、あるいは具えるように変形することができる。さらに、デバイス内ジャンクション300は、主ジャンクション200として機能するように変形できる。さらに、図24乃至51に記載のデバイス内ジャンクション300は、中央部分106を遠位部分110に接続しているが、中央部分106を近位部分108に接続するように変形することもできる。
【0091】
図24に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のものと同様である。一つの差異は、伸縮性抵抗部材122が、主ジャンクション200へ最後まで延在する代わりに、ループ304内のデバイス内ジャンクション300のすぐに近位側で終端していることである。ループ304は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128を形成しているブレードの部分を取り囲んでおり、これによって、伸縮性抵抗部材122の近位端を固定している。伸縮性抵抗部材122は、デバイス内ジャンクション300の近位側から無傷の遠位先端120まで延在しており、血管閉塞デバイス102の遠位部分110が送達する間に近位側に引っ張られる時の、遠位部分110の伸長を低減している。伸縮性抵抗部材122は、血管閉塞デバイス102の中央部分及び遠位部分106、110を接続する。デバイス内ジャンクション300は、また、接着剤ドロップ302を具えており、(1)血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と;(2)伸縮性抵抗部材122と;(3)ループ304と;(4)血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130を互いに接続して、これによって、デバイス内ジャンクション300を形成するとともに、血管閉塞デバイス102の中央部分及び遠位部分106、110を接続している。
【0092】
図25に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のもの同様であり、一の差異は、図25に記載のデバイス内ジャンクション300が、DFTブレード306を具えており、これが伸縮性抵抗部材として作用することである。このように、図25に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のもののような伸縮性抵抗部材を具えていない。DFTブレード306は、デバイス内ジャンクション300から無傷の遠位先端120まで延在しており、それが送達中に近位側に引っ張られるときの、遠位部分110の伸長を低減している。図25に示すDFTブレード306は、デバイス内ジャンクション300で終端しているが、その他の実施例では、DFTブレード306は、主ジャンクション200の最後まで近位側に延在していてもよい。DFTブレード306は、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。デバイス内ジャンクション300はまた、近位側及び遠位側接着剤ドロップ302-1、302-2を具えている。近位側接着剤ドロップ302-1は、ブレードした中央部分106のネックダウン遠位端128まで浸透し、DFTブレード306の近位端と中央部分106のネックダウン遠位端128を互いに接続している。遠位側接着剤ドロップ302-2は、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308に浸透して、DFTブレード306の中心部分と、遠位部分110の近位端130とを互いに接続する。近位側及び遠位側接着剤ドロップ302-1、302-2の間のDFTブレード306の部分は、血管閉塞デバイス102の曲げを容易にするように構成された関節部分310を形成している。
【0093】
図26に記載のデバイス内ジャンクション300は、中央部分106の遠位端128が、図8に記載のものよりも少なくネックダウンしている点を除いて、図8のものと同様である。遠位端128を遠位部分110の開近位端130内部に合致するようにネックダウンさせる代わりに、中央部分106の遠位端128は、その直径が、遠位部分110の近位端130の直径とほぼ同じになるようにネックダウンしている。また、図25に記載のデバイス内ジャンクション300は、チューブ312(例えばPETチューブ)を具えており、これがその上に(及びその中に)溶けて、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。チューブ312は、コイル状遠位部分の近位端130における開ピッチ巻線308と、中央部分106の遠位端128におけるブレードを貫通して、中央及び遠位部分106と110をよりしっかりと接続する。
【0094】
図27に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のもの同様である。一の差異は、デバイス内ジャンクション300が伸縮性抵抗部材を具えていないことである。接着剤ドロップ302は、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308と、中央部分106の遠位端128におけるブレードを貫通する。接着剤ドロップ302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130を互いに接続して、これによってデバイス内ジャンクション300を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。
【0095】
図28に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のものと同様であるが、一の差異は、中央部分106の遠位端128が図8に記載のものより少なくネックダウンしている点である。遠位端部分110の開近位端130の内部に合致させるように遠位端128をネックダウンさせる代わりに、中央部分106の遠位端128は、その直径が遠位部分110の近位端130の直径より若干大きくなるようにネックダウンしている。また、遠位部分110の近位端130に配置されている中央部分106の遠位端128に代えて、遠位部分110の近位端130が、中央部分106の遠位端128に配置されている。さらに、デバイス内ジャンクション300は、伸縮性抵抗部材を具えていない。接着剤ドロップ302は、中央部分106の遠位端128におけるブレードと、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308とに浸透する。接着剤ドロップ302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130とを接続して、これによって、デバイス内ジャンクション300を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。
【0096】
図29に記載のデバイス内ジャンクション300は、中央部分106のネックダウン遠位端128に加えて、遠位部分110の近位端130もネックダウンしている点を除いて、図28に記載のものと同様である。中央部分106の遠位端128と、遠位部分110の近位端130は、中央部分106の遠位端128の直径が遠位部分110の近位端130の直径より若干大きくなるようにネックダウンしている。これによって、遠位部分110の近位端130は、中央部分106の遠位端128に配置されうる。したがって、血管閉塞デバイス102が送達中に、遠位側に押されると、中央部分106の遠位端128が遠位部分110の近位端130を押して、力を遠位側に伝える。さらに、デバイス内ジャンクション300は、伸縮性抵抗部材を具えていない。接着剤ドロップ302は、中央部分106の遠位端128におけるブレードと、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308とに浸透する。接着剤ドロップ302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130とを互いに接続して、これによって、デバイス内ジャンクション300を形成するとともに、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続する。
【0097】
図30に記載のデバイス内ジャンクション300は、図28に記載のものと同様である。一の差異は、中央部分106の遠位端128と、遠位部分110の近位端130を接着剤ドロップで接続する代わりに、中央及び遠位部分106、110が互いに溶接されている(例えば、レーザ溶接)。図30に示すように、溶接314は、中央部分106の遠位端128と、遠位部分110の近位端130を接続する。この接続314が、デバイス内ジャンクション300を強化する。
【0098】
図31に記載のデバイス内ジャンクション300は、デバイス内ジャンクション300が伸縮性抵抗部材を具えていない点を除いて、図9に記載のものと同じである。接着剤ドロップ302は、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308と、中央部分106の遠位端128におけるブレードを貫通する。接着剤ドロップ302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130とを互いに接続して、これによって、デバイス内ジャンクション300を形成するとともに、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続する。
【0099】
図33に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のものと同様であり、一の差異は、伸縮性抵抗部材122が、主ジャンクション200全体に延在する代わりに、拡開部316におけるデバイス内ジャンクション300のすぐに近位側で終端していることである。伸縮性抵抗部材122は、デバイス内ジャンクション300の近位側から、無傷の遠位先端120へ延在しており、それが送達中に近位側に引っ張られる時の血管閉塞デバイス102の遠位部分110の伸長を低減する。伸縮性抵抗部材122は、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続する。デバイス内ジャンクション300は、また、接着剤ドロップ302を具えており、このドロップは、(1)血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン遠位端128と;(2)この遠位部分128を通過する伸縮性抵抗部材122と;(3)拡大部316とを接続している。
【0100】
図34は、一実施例に係る血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110をそれぞれ接続する3つのデバイス内ジャンクション300を示す。図34に記載されたデバイス内ジャンクション300は、図33に記載されたものと同様であるか、あるいは同じである。伸縮性抵抗部材122の近位端に形成された拡大部316は、3つのデバイス内ジャンクション300の各々においてみることができる。
【0101】
図35に記載のデバイス内ジャンクション300は、図24のものと同様である。一の差異は、接着剤ドロップ302がデバイス内ジャンクション300全体ではなく、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン遠位端128にのみ浸透することである。伸縮性抵抗部材122は血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128を形成するブレードの部分を囲むループ304内のデバイス内ジャンクション300のすぐ近位側で終端しており、これによって、伸縮性抵抗部材122の近位端を固定している。伸縮性抵抗部材122は、デバイス内ジャンクション300の近位側から無傷遠位先端120へ延在しており、それが送達中に近位側に引っ張られるときの、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の伸長を低減する。伸縮性抵抗部材122は、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。接着剤ドロップ302は、(1)血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と;(2)伸縮性抵抗部材122と;(3)ループ304を互いに接続している。
【0102】
図36に記載のデバイス内ジャンクション300は、図24に記載のものとほぼ同じである。一の差異は、接着剤ドロップ302が、デバイス内ジャンクション300全体ではなく、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン遠位端128にのみ浸透することである。ループ304(伸縮性抵抗部材122の近位端における)は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128を形成するブレード状部分を取り囲んでおり、これによって、伸縮性抵抗部材122の近位端を固定している。伸縮性抵抗部材122は、デバイス内ジャンクション300の近位側から無傷遠位先端120へ延在しており、それが送達中に近位側に引っ張られるときの、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の伸長を低減する。伸縮性抵抗部材122は、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。接着剤ドロップ302は、(1)血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と;(2)伸縮性抵抗部材122と、を互いに接続している。
【0103】
図38に記載のデバイス内ジャンクション300は、図8に記載のものと同様である。一の差異は、デバイス内ジャンクション300が伸縮性抵抗部材を具えていないことである。もう一つの差異は、デバイス内ジャンクション300が「U」字型係止ピン318を具えていることである。係止ピン318は、(1)血管閉塞デバイス102の遠位部分110の近位端130と、(2)血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン遠位端128の両方を半径方向に通過させて、これによって、中央及び遠位部分106、110を接続している。係止ピン318は、中央及び遠位部分106、110の両側を通過して、この接続を強化している。デバイス内ジャンクション300はまた、接着剤ドロップ302も具えており、このドロップが、(1)血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と;(2)血管閉塞デバイス102の遠位部分110の近位端130と;(3)係止ピン318;を互いに接続して、これによって、デバイス内ジャンクション300を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。
【0104】
図39に記載のデバイス内ジャンクション300は、接着剤ドロップに代えて、図39に記載のデバイス内ジャンクション300が、中央部分106のネックダウン遠位端128及び遠位部分110のネックダウン近位端130を囲むマーカーバンド320を具えている点を除き、図29のものと同様である。マーカーバンド320の一部はレーザー溶接されており、(1)マーカーバンド320のその部分と;(2)中央部分106の遠位端128の一部と;(3)遠位部分110の近位端130の一部分を溶融させている。これらの部分が冷却され固化すると、これらの部分は互いに接続される。さらに、中央部分106の遠位端128と、遠位部分110の近位端130は、中央部分106の遠位端128の直径が遠位部分110の近位端130の直径より若干大きくなるようにネックダウンしている。これによって、遠位部分110の近位端130が、中央部分106の遠位端128に配置され、それが送達中に遠位側に押される時に、中央部分106の遠位端128が遠位部分110の近位端130を押して、力を遠位側に伝達する。
【0105】
図40は、ブレード状血管閉塞デバイス102の周りに配置されたマーカーバンド302を示す図であり、マーカーバンド302が、図39に示したレーザー溶接による接続と同様に、レーザー溶接を用いてブレード状血管閉塞デバイス102に接続できることを示している。図40は、33%のパワーでファイバーレーザを15msでバーストさせて形成した、マーカーバンド320上の溶接スポット322を示す。ブレード状の血管閉塞デバイス102は、1インチあたり24ピックのブレードの、16本のNiTiフィラメントで形成した。ブレード状血管閉塞デバイス102の外径は0.0008インチである。マーカーバンド320は、内径0.0085インチ、外径0.0105インチ、長さ0.025インチの金属でできている。
【0106】
図41に記載のデバイス内ジャンクション300は、図11に記載のものと同様である。一の差異は、デバイス内ジャンクション300の内側ブレード324が、図11に示す内側ブレード214のように、血管閉塞デバイス102の長さまで延在していないことである。もう一つの差異は、中央部分106の遠位端128が図11に示すものより小さくネックダウンしていることである。遠位端128は、遠位部分110の開近位端130の内側に合致するようにネックダウンする代わりに、中央部分106の遠位端128は、その直径が遠位部分110の近位端130の直径とほぼ同じになるようにネックダウンしている。内側ブレード324は、中央部分106の遠位端128と、遠位部分110の近位端130の両方の下にある。デバイス内ジャンクション300は、また、接着剤ドロップ302を具えており、これは、血管閉塞デバイス102の中央部分106のブレード状遠位端128と、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308に浸透している。この接着剤ドロップ302は、(1)中央部分106の遠位端128と;(2)コイル状遠位部分110の近位端130と;(3)内側ブレード324と;を互いに接続して、デバイス内ジャンクション300を形成している。内側ブレード324は、押出性を強化し、中央部分106(特に、内側デバイス300における)のねじれを低減し、デバイス内ジャンクション300を保護し、強度を上げている。
【0107】
図42に示すデバイス内ジャンクション300は、図41に示す内側ブレード324が図42に示す内側コイル326で置き換えられている点を除いて、図41に示すものとほとんど同じである。中央部分106の遠位端128のネックダウンの量と、接着剤ドロップ302とは、図41及び42に示すデバイス内ジャンクション300でほとんど同じである。内側コイル326は、押出性を強化し、中央部分106(特に、内側デバイス300における)のねじれを低減し、デバイス内ジャンクション300を保護し、強度を上げている。
【0108】
図43に記載のデバイス内ジャンクション300は、デバイス内ジャンクション300の内側ブレード324が、図11に示す内側デバイスのように、血管閉塞デバイス102の長さまで延在していない点を除いて、図11に示すものとほぼ同じである。内側ブレード324は、押出性を強化し、中央部分106(特に、内側デバイス300における)のねじれを低減し、デバイス内ジャンクション300を保護し、強度を上げている。
【0109】
図44に記載のデバイス内ジャンクション300は、図25に記載のDFTブレード306が、ワイヤ328と伸縮性抵抗部材122とで置き換えられている点を除いて、図25のものと同様である。もう一つの差異は、デバイス内ジャンクション300が、近位側及び遠位側接着剤ドロップ302-1、302-2を具えていることである。ワイヤ328は、近位側フック330と遠位側フック332を有する。近位側フック330は、中央部分106のネックダウン遠位端128に、近位側接着剤ドロップ302-1によって接続されている。遠位側フック332は、伸縮性抵抗部材122の近位端に形成されたループ304を通って、これによって、ワイヤ328を血管閉塞デバイス102の遠位部分110に接続している。遠位側接着剤ドロップ302-2は、コイル状遠位部分110の近位端130における開ピッチ巻線308に浸透し、(1)ワイヤ328の遠位端(遠位端フック332を含む)と;(2)伸縮性抵抗部材122の近位端と;(3)遠位部分110の近位端130と;を互いに接続している。近位側接着剤ドロップ302-1は、ブレード状中央部分106のネックダウン遠位端128に浸透して、ワイヤ328の近位端(近位側フック330を含む)の近位端と、中央部分106のネックダウン遠位端128とを互いに接続している。近位側及び遠位側接着剤ドロップ302-1、302-2間のワイヤ328の部分は、血管閉塞デバイス102の曲げを容易にするように構成した関節部分310を形成している。
【0110】
図45に示すデバイス内ジャンクション300は、図41に示すものと同様であり、一の差異は、図41に示す内側ブレード324が、図45に示す固相サポート334(例えば、Ptロッド)で置き換えられていることである。もう一つの差異は、図41に示す接着剤ドロップ302が、図45では縮れたマーカーバンド320で置き換えられていることである。図45に示すデバイス内ジャンクション300の組み立ては、固相サポート334を、コイル状遠位部分110の開近位端130内へ半分挿入することによって開始できる。ブレード状中央部分106の遠位端128は、固相サポート334の半分露出した部分の上に配置できる。次いで、マーカーバンド320を固相サポート334のうえにある中央及び遠位部分106、110の部分の上に配置できる。最後に、マーカーバンド320を、縮らせて、マーカーバンド320と、中央及び遠位部分106、110の部分、及び固相サポート334を機械的に接着して、デバイス内ジャンクション300を形成する。固相サポート334とマーカーバンド320は、押出性を強化し、中央部分106(特に、内側デバイス300における)のねじれを低減し、デバイス内ジャンクション300を保護し、強度を上げている。
【0111】
図46乃至49は、二つの実施例に係るデバイス内ジャンクション300を形成する方法を示す。図46は、コイル状遠位部分110の開近位端130へ挿入したマンドレル336を示す。次いで、遠位部分110の近位端130における巻線308を、マンドレル336に対して円形断面から楕円形断面へとかしめ、一方で、図47に示すように同じ外側コイル径を維持する。次いで、中央部分106のネックダウン遠位端128を、遠位部分110のかしめた近位端130に挿入する。巻線308の楕円形断面によって、中央及び遠位部分106、110間により大きい接触面積がとれる。最終的に、図48に示すように、重なり合った中央及び遠位部分106、110が、接着剤ドロップ302と接続する。
【0112】
代替の実施例では、中央部分106の遠位端128が、ネックダウンして、直径が遠位部分110のかしめた近位端130の直径より若干大きくなっている。かしめたのち、遠位部分110のかしめた近位端130を、中央部分106のネックダウン遠位端128に挿入する。巻線308の楕円形断面によって、中央及び遠位部分106、110間の接触面積がより大きくなる。次いで、重なりあった中央及び遠位部分106、110を、図49に示すように、レーザ溶接314で接続する。
【0113】
図32と37は、様々な実施例に係る血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続するデバイス内ジャンクション300を示す図である。図32と37に記載のデバイス内ジャンクション300は、接着剤ドロップ302がデバイス内ジャンクション300の各々の詳細を不明瞭にしているため、図8乃至11、24乃至31、33、35、36、38、及び41ないし49に示すものと同様であるか、あるいは同じである。
【0114】
図50に示す血管閉塞治療システム100は、近位側及び遠位側デバイス内ジャンクション300-1、300-2がそれぞれ、近位側及び遠位側内側コイル326-1、326-2を具えている点を除いて、図9に示すものと同様である。近位側及び遠位側内側コイル326-1、326-2の構造と機能は、図42に記載の、上述した内側コイルと同じである。しかしながら、図50に記載の血管閉塞デバイス102は、血管閉塞デバイス102の長さにわたる伸縮性抵抗部材122を具えており、近位側及び遠位側内側コイル326-1、326-2が、伸縮性抵抗部材122をセンタリングして、円滑な転移を提供する更なる機能を実行する。近位側及び遠位側内側コイル326-1、326-2はまた、押出性を強化し、中央部分106(特に、近位側及び遠位側デバイス内ジャンクション300-1、300-2において)のねじれを低減し、近位側及び遠位側デバイス内ジャンクション300-1、300-2を保護し、強度を上げている。
【0115】
図51に部分的に記載した血管閉塞治療システム100は、図50に記載したものと同様である。一の差異は、図51に記載した近位側デバイス内ジャンクション300-1が、近位側内側コイル326-1を具えていないことである。代わりに、コイル状近位部分108の遠位端136がネックダウンして、中央部分106の開近位端126の内側に合致している。さらに、伸縮性抵抗部材122が、近位側デバイス内ジャンクション300-1を超えて遠位側に延在していない。伸縮性抵抗部材122は、近位側ループ124を具え、これがリンク206内の近位側開口210を通過して、図50に示すシステム100と同様に、リンク206に伸縮性抵抗部材122を接続している。図50に記載のシステム100と違って、伸縮性抵抗部材122の遠位端が、コイル状近位部分108の遠位端136の丁度遠位側に配置した二つの遠位側フック338を形成している。遠位側フック338は、コイル状近位部分108のネックダウン遠位端136からの機械的にインターフェースによって、近位側に移動しないようにして、これによって、伸縮性抵抗部材122の遠位端を固定している。伸縮性抵抗部材122は、DFT又はNiTiワイヤでできており、伸縮性抵抗部材122の遠位端を固定するのに十分な強度のある遠位側フック338の形成を容易にしている。
【0116】
近位側デバイス内ジャンクション300-1は、また、中央部分106の近位端126、コイル状近位部分108の遠位端136、及び伸縮性抵抗部材122の上に圧着させたマーカーバンド320を具え、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。
【0117】
図52に部分的に示されている血管閉塞治療システム100は、図51に示すものとほとんど同じである。一の差異は、図52に記載の主ジャンクション200がリンクを具えていないことである。代わりに、主ジャンクション200は、送達アッセンブリ104の遠位端に形成されたフック202を具えており、このフックが伸縮性抵抗部材122の近位端に形成されたループ124を通って、これによって、送達アッセンブリ104と伸縮性抵抗部材122とを機械的に接続している。図52は、図8に記載のシステム100の方向を約90℃回転させたシステム100を記載しており、この表示は図52のラインに現れているフック202の面に直交している。
【0118】
図51及び52には示されていないが、血管閉塞デバイス102の遠位端は、コイル状遠位部分を具えており、図51及び52に記載の伸縮性抵抗部材122と同様に固定された遠位側伸縮性抵抗部材を有する遠位側デバイス内ジャンクションを有する。
【0119】
図53に部分的に示す血管閉塞治療システム100は、図53に示す近位側デバイス内ジャンクション300-1が、近位側内側コイル326-1を具えていないことを除いて図50に記載のものと同様である。もう一つの差異は、伸縮性抵抗部材を122が近位側デバイス内ジャンクション300-1を通って遠位側に延在していないことである。代わりに、図50に示すシステム100のように、伸縮性抵抗部材122は近位側ループ124を具え、このループがリンク206の近位側開口210を通過して、伸縮性抵抗部材122をリンク206に接続している。図50に記載のシステム100と違って、伸縮性抵抗部材122の遠位端は、中央部分106のネックダウン近位端126の遠位端136のすぐ遠位側に配置した二つの遠位側フック338を形成している。この遠位側フック338は、中央部分106のネックダウン近位端126からの機械的干渉によって近位側に移動しないようになっており、これによって、伸縮性抵抗部材122の遠位端を固定している。伸縮性抵抗部材122は、DFT又はNiTiワイヤでできており、伸縮性抵抗部材122の遠位端を固定するのに十分な強度のある遠位側フック338の形成を容易にしている。
【0120】
近位側デバイス内ジャンクション300-1は、また、接着剤ドロップ302を具えており、(1)コイル状近位部分108の遠位端136と;(2)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126と;(3)伸縮性抵抗部材122の遠位部分と;(4)フック338と;を互いに連結しており、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。
【0121】
図54に部分的に記載の血管閉塞治療システム100は、図53に記載のものとほぼ同一である。一の差異は、図54に記載の主ジャンクション200がリンクを具えていないことである。代わりに、主ジャンクション200が送達アッセンブリ104の遠位端に形成したフック202を具えており、このフックが伸縮性抵抗部材122の近位端に形成したループ124を通過して、これによって、送達アッセンブリ104と伸縮性抵抗部材122を機械的に接続している。図54は、図8に記載のシステム100の方位からほぼ90℃回転させたシステム100を示しており、表示は、図54にラインで示すフック202の面に対して直交している。
【0122】
図53と54に示していないが、血管閉塞デバイス102の遠位端にコイル状遠位部分を具えていてもよく、これは、図53と54に示す伸縮性抵抗部材122に同様に固定した遠位側伸縮性抵抗部材を有する遠位側デバイス内ジャンクションを有する。
【0123】
図55に部分的に記載した血管閉塞治療システム100は、近位側デバイス内ジャンクション300-1が溶接部314(例えば、レーザで形成する)もそなえ、これが、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン近位端126をさらに固定している点を除いて、図54に部分的に示すものと同様である。さらに、伸縮性抵抗部材122は、近位側デバイス内ジャンクション300-1を通過して、遠位側に延在していない。伸縮性抵抗部材122は、近位側ループ124を有しており、図54に示すシステム100のように、これが送達アッセンブリ104の遠位端に形成したフック202を通過して伸縮性抵抗部材122を送達アッセンブリ104に連結している。図54に示すシステム100とは異なり、伸縮性抵抗部材122の遠位端が、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウンして溶接された近位端126の周りに配置された遠位側ループ342(フックの代わりに)を形成している。この遠位側ループ342は、機械的干渉によって中央部分106のネックダウンして溶接した近位端126から近位側に動かないようになっており、これによって、伸縮性抵抗部材122の遠位端を固定している。伸縮性抵抗部材122は、DFT又はNiTiワイヤでできており、伸縮性抵抗部材122の遠位端を固定するのに十分な強度を有する遠位側ループ324の形成を容易にしている。
【0124】
近位側デバイス内ジャンクション300-1は、また、接着剤ドロップ302を具えており、(1)コイル状近位部分108の遠位端136と;(2)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126と;(3)伸縮性抵抗部材122の遠位部分と;(4)遠位側ループ342と;を互いに連結しており、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。図55には示されていないが、血管閉塞デバイス102の遠位端は、図55に記載の伸縮性抵抗部材122に同様に固定された遠位側伸縮性抵抗部材を有する遠位側デバイス内ジャンクションと共に、コイル状遠位部分を具えていてもよい。
【0125】
図56に部分的に記載の血管閉塞治療システム100は、図54に記載のものとほぼ同一である。一の差異は、図56に記載の伸縮性抵抗部材122が細長部材116でできていることであり、その他端は、別のブレードワイヤでブレードされて、血管閉塞デバイス102の中央部分106を形成している。他方のブレードワイヤは近位側デバイス内ジャンクション300-1であるいはその近傍でトリミングされており、細長部材116を残して、伸縮性抵抗部材122として作用するようにしている。伸縮性抵抗部材122は、近位側ループ124を具えており、これが送達アッセンブリ104の遠位端に形成したフック202を通過して、図54に記載のシステム100のように、伸縮性抵抗部材122を送達アッセンブリ104に接続している。図56に記載のシステム100では、近位側ループ124がフック202に溶接されており、主ジャンクション200のこれらの二つの構成要素をさらに固定している。
【0126】
近位側デバイス内ジャンクション300-1は、また、接着剤ドロップ302を具えており、(1)コイル状近位部分108の遠位端136と;(2)血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126と;(3)伸縮性抵抗部材122の遠位部分/細長部材116と;を互いに連結しており、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を形成し、血管閉塞デバイス102の中央及び遠位部分106、110を接続している。図56には示されていないが、血管閉塞デバイス102の遠位端は、図56に記載の伸縮性抵抗部材122に同様に固定された遠位側伸縮性抵抗部材を有する遠位側デバイス内ジャンクションと共に、コイル状遠位部分を具えていてもよい。
【0127】
図51乃至56には示していないが、各血管閉塞デバイス102の遠位端にコイル状遠位部分を具えていてもよく、これは、図51乃至56に示す伸縮性抵抗部材122と同様に固定した遠位側伸縮性抵抗部材を有する遠位側デバイス内ジャンクションを有する。
【0128】
本明細書に記載された接着剤ドロップ204、302は、接着剤ドロップ204、302と、接着剤をセットする前のマンドレル上の血管閉塞治療システム100の一部の上に、ポリマ(例えばPET)チューブを配置することで形成することができる。次いで、このチューブを熱収縮させて、接着剤ドロップ204、302を成形する。接着剤ドロップ204、302は本明細の様々な実施例で用いられているが、その他の物質及び技術を用いて、各部品を接続するようにしてもよい。例えば、レーザ溶接と半田付けを用いて、本明細書に記載した血管閉塞治療システム100の部品を接続することができる。
【0129】
図57及び58は、さらに別の実施例によって構成した血管閉塞治療システム100を示す。システム100は、近位側及び遠位側デバイス内ジャンクション300-1、300-2によって、近位及び遠位部分108、110にそれぞれ接続するように構成された中央部分106を有する血管閉塞デバイス102(図58参照)を具える。中央部分106は、上述した通り、DFT(すなわち、複合)ワイヤでブレードされており、ほぼ均一な幅(すなわち、断面寸法)を有する。近位側及び遠位側デバイス内ジャンクション300-1、300-2は、互いにミラー画像である。近位側デバイス内ジャンクション300-1、は、血管閉塞デバイス102の近位部分108の開遠位端136と、血管閉塞デバイス102の中央部分のネックダウン近位端126を具える。中央部分106の近位端126は、近位部分108の開遠位端136の内側に合致するように、ネックダウンしている。近位側デバイス内ジャンクション300-1は、また、接着剤ドロップ302を具えており、これが、血管閉塞デバイス102の近位部分108のコイル状開遠位端136に浸透する。接着剤302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の近位端126と、血管閉塞デバイス102の近位部分108の開遠位端136を互いに接続して、これによって、近位側デバイス内ジャンクション300-1を形成している。さらに、接着剤ドロップ302は、近位側デバイス内ジャンクション300-1内に延在している伸縮性抵抗部材122の部分も接続している。
【0130】
血管閉塞デバイス102の近位部分108の伸縮性抵抗部材122は、少なくとも二つの部材122-1と122-2を具えており、各部材は、血管閉塞デバイス102の近位端126から延在する一又はそれ以上のワイヤからできている。非限定的な実施例として血管閉塞デバイス102の近位端126における、ブレード状DFTワイヤは、トリミングされて、これによって、伸縮性抵抗部材122(すなわち、部材122-1、122-2)を形成している。これらの少なくとも二つの部材122-1、122-2は、それぞれ、近位端122-1a、122-2a、及び、遠位端122-1b、122-2bを具える。フック123は、伸縮性抵抗部材122-1と122-2の近位端122-1aと122-2aの各々に形成されている。フック123は、図58に示すように、主ジャンクション200のリンク/アダプタ206に接続するように構成されている。伸縮性抵抗部材122-1、122-2のそれぞれの遠位端122-1b、122-2bは、近位側デバイス内ジャンクション300-1に接続されている。
【0131】
遠位側デバイス内ジャンクション300-2は、血管閉塞デバイス102の中央部分106のネックダウン遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130を具える。中央部分106の遠位端128は、遠位部分110の開近位端130の内部に合致するようにネックダウンしている。遠位側デバイス内ジャンクション300-2は、接着剤ドロップ302も具えており、これが、血管閉塞デバイス102の遠位部分110のコイル状開近位端130に浸透する。この接着剤302は、血管閉塞デバイス102の中央部分106の遠位端128と、血管閉塞デバイス102の遠位部分110の開近位端130を互いに接続しており、これによって、デバイス内ジャンクション300-2を形成している。さらに、接着剤ドロップ302は、伸縮性抵抗部材122の遠位側デバイス内ジャンクション300-2内に延在している部分も接続する。
【0132】
血管閉塞デバイス102の遠位部分110の伸縮性抵抗部材122は、少なくとも二つの部材122-3と122-4を具えている。各部材は、ブレード状血管閉塞デバイス102の遠位端128から延在する一又はそれ以上のワイヤでできている。例えば、血管閉塞デバイス102の遠位端128にあるブレード状DFTワイヤは、トリミングして、これによって伸縮性抵抗部材122(すなわち、部材122-3と122-4)を形成することができる。二つの部材122-3と122-4は、それぞれ、近位端122-3a、122-4aと、遠位端122-3b、122-4bを具える。それぞれの伸縮性抵抗部材122-3と122-4の各近位端122-3aと122-4aは遠位側デバイス内ジャンクション300-2に接続されている。それぞれの伸縮性抵抗部材122-3と122-4の遠位端122-3bと122-4bは、両方が接続して、遠位端ジョイント125を形成している。ジョイント125それぞれの遠位端122-3bと122-4bを互いにねじることで形成されている。ジョイント125は、接着剤、ボンディング、溶接、といったその他の適切な接続技術によって形成してもよい。ジョイント125は、図58に示すように、無傷の遠位側先端120に接続するように構成されている。
【0133】
図58に見られるように、血管閉塞治療システム100は、主ジャンクション200によって送達アッセンブリ104に接続された血管閉塞デバイス102を具える。送達アッセンブリ104は、その遠位端にある電解で分離できるセグメント114を具える。血管閉塞デバイス102の中央部分106は、上述したように、DFTワイヤでブレードされている。近位及び遠位部分108、110は、上述した通り、一又はそれ以上のDFTワイヤで巻いたコイルである。
【0134】
図57及び58に記載の血管閉塞治療システム100は、図9に示すシステム及び、図56に部分的に示すシステムと同様である。図9との一の差異は、図57乃至58に示すシステムが、少なくとも2セットの伸縮性抵抗部材122を具えており、各セットが、ブレード状血管閉塞デバイス102の近位端126と遠位端128それぞれの一またはそれ以上のワイヤによって構成されていることである。部材122-1、122-2を具える伸縮性抵抗部材122の第1セットは、血管閉塞デバイス102の近位端126と、近位側デバイス内ジャンクション300-1から、主ジャンクション200のリンク/アダプタ206内へ延在している。部材122-3と122-4を具える伸縮性抵抗部材122の第2セットは、血管閉塞デバイス102の遠位端128と、デバイス内ジャンクション300-2から、無傷遠位先端120へと延在している。図56との一の差異は、図57と58に記載の伸縮性抵抗部材の第1セットは、各々が遠位端フック123を有する二つの部材122-1と122-2を具えていることである。
【0135】
図58に示すように、主ジャンクション200は、送達アッセンブリ104の遠位端と、近位部分108の開近位端132との両方に接続されたリンク/アダプタ206を具えており、これによって、送達アッセンブリ104と近位部分108を接続している。リンク206は、遠位側開口212も具える。各伸縮性抵抗部材122-1と122-2の近位端122-1a、122-2aのそれぞれにおけるフック123は、リンク206の遠位側開口212を通過して、送達アッセンブリ104とリンク206を接続している(及び、それに接続された近位部分108)。
【0136】
図58のシステム100の遠位部分110は、無傷遠位先端120を具えており、これが、適切量の接着剤で形成されている。遠位側デバイス内ジャンクション300-2から延在している伸縮性抵抗部材122-3と122-4は、無傷遠位先端120内へ遠位側に延在している。それぞれの伸縮性抵抗部材122-3と122-4の遠位端122-3bと122-4bは、両方に接続されて、遠位端ジョイント125を形成している。ジョイント125は、無傷の遠位先端120内に接続及び/又は配置されている。
【0137】
図59は、細長部材の断面を示す図であり、血管閉塞治療システム100、血管閉塞デバイス102、あるいはそれらの部分がその部材で形成することができる。細長部材115(例えば、ワイヤ)は、放射線不透過性材料でできたコア117と、超弾性材料でできた中間層119と、酸化防止を提供するように構成された材料でできた外側層121とを具える。図59の実施例では、ワイヤ115が、実質的に純粋なニチノール(NiTi)中間層119によって少なくとも部分的に取り囲まれた実質的に純粋なプラチナ(Pt)コア117を具え;中間層119は、実質的に純粋なチタン(Ti)の薄い外側層121で少なくとも部分的に取り囲まれている。この出願で使用されているように、「薄い」外側層は、限定するものではないが、約0.001乃至20マイクロメータの範囲である。Ti外側層121は、ワイヤ115及びワイヤ115で形成された要素(例えば、ブレード)の可撓性及び/又は複合への影響を避ける又は最小限に影響するように構成されている。薄い外側層121が適切な密度その他の生体適合性材料でできており、ワイヤ115に酸化防止を提供するようにしてもよいことは自明である。
【0138】
中間層119及び/又は外側層の厚さの変動、及び/又はコア117の直径の変動を予想して、ワイヤ115の所望の特徴(例えば、可撓性、剛性、放射線不透過性、その他)を最適化することができる。ワイヤ115は、共押出技術、又はその他の適切な製造技術で製造することができる。例えば、Ti外側層121は、プレーティング、コーティング、物理蒸着法(PVD)によって、上述したようにDFTワイヤに塗布することができる(NiTi-DFT-40/0Pt)。
【0139】
ワイヤ115で編んだブレードは、血管閉塞のアプリケーションに適切である。ワイヤ115で形成したブレードの熱設定工程中に、Ti外側層121が酸化して、下にある中間NiTi層119に対するNiフリーの防止層を形成する。ブレードの形成にワイヤ115を使用することは、エッチング/EPと、パッシベート工程によって表面酸化物を除去するステップをなくすように構成され、及び/又は、使用中のNi浸出の問題をなくす。さらに、ワイヤ115で形成したブレードは、大気環境中で熱設定できる。
【0140】
本明細書で使用されているように、ブレード又はその部分に関連する「剛性」は、限定するものではないが、曲げ剛性を含む。
【0141】
開示した発明の様々な実施例は、図面を参照して述べられている。図面は寸法通り書かれておらず、同様の構成又は機能に関する要素は、図面を通して同じ符号が付されている。また、図面は実施例の説明を容易にするためだけのものであり、開示した発明の排他的な記載として、あるいは開示した発明の範囲の限定としては意図されておらず、これは、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定される。さらに、各実施例は、それぞれが、ここに記載した特徴の全ての態様又は利点を有している必要はない。開示した発明の特定の実施例と共に記載した態様又は利点は、必ずしもその実施例に限定されるものではなく、たとえそのように記載されていなくとも、その他の実施例において実行することができる。
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