(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】コネクタユニットおよびキャップ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
H01R13/52 302E
H01R13/52 D
(21)【出願番号】P 2021127329
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】李 騰
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 直樹
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-164857(JP,A)
【文献】特開平10-255900(JP,A)
【文献】特開2006-066679(JP,A)
【文献】中国実用新案第201584571(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに嵌合されるコネクタ部と、
前記コネクタ部を保持し且つ前記相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタを挿入するための開口部を有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに取り付けられ且つ前記開口部を開閉可能に覆うキャップと
を備え、
前記コネクタハウジングは、前記開口部が形成されている前面プレート部と、前記前面プレート部を貫通して前記コネクタハウジングの内部に連通するキャップ取付孔を有し、
前記キャップは、前記前面プレート部に対向する裏面を有する蓋部と、前記蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕を有し、
前記L字腕は、前記蓋部の前記裏面に対して交差する方向に突出して延びる支持部と、前記支持部の先端に形成された屈曲部と、前記屈曲部から前記支持部に対して交差する方向に延びる引っ掛かり部とを有し、
前記キャップは、前記引っ掛かり部が前記コネクタハウジングの内部に収容され且つ前記支持部が前記キャップ取付孔を貫通した状態で前記コネクタハウジングに保持され、
前記支持部と前記屈曲部と前記引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向から見たときに、前記支持部および前記引っ掛かり部は、それぞれ、前記キャップ取付孔の寸法よりも小さい厚さ寸法を有し、前記屈曲部の最大寸法は、前記キャップ取付孔の寸法よりも大きく、前記引っ掛かり部は、前記キャップ取付孔の寸法よりも大きい長さ寸法を有
し、
前記屈曲部は、肉薄の部分を有することを特徴とするコネクタユニット。
【請求項2】
前記支持部と前記屈曲部と前記引っ掛かり部が含まれる前記平面に対して垂直な切断面により前記屈曲部を切断したときの断面積の最大値は、前記キャップ取付孔の面積より大きい請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記屈曲部は、切り欠きを有する請求項
1または2に記載のコネクタユニット。
【請求項4】
前記切り欠きは、前記支持部と前記屈曲部と前記引っ掛かり部が含まれる前記平面に対して垂直な方向における前記屈曲部の中央部に配置され且つ前記平面に対して平行に延びる請求項
3に記載のコネクタユニット。
【請求項5】
前記キャップは、互いに平行に配置された2つの前記L字腕を有し、
前記L字腕は、棒状の前記支持部と、棒状の前記引っ掛かり部とを有し、
前記コネクタハウジングの前記前面プレート部は、前記2つの前記L字腕に対応する2つの前記キャップ取付孔を有する請求項1~
4のいずれか一項に記載のコネクタユニット。
【請求項6】
前記キャップの前記支持部は、前記蓋部の前記裏面において、前記引っ掛かり部が前記屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置され、
前記コネクタハウジングの前記キャップ取付孔は、前記前面プレート部において、前記開口部よりも、前記引っ掛かり部が前記屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置されている請求項1~
5のいずれか一項に記載のコネクタユニット。
【請求項7】
前記コネクタハウジングは、前記前面プレート部において、前記キャップ取付孔よりも、前記引っ掛かり部が前記屈曲部から延びる方向に偏位した位置に配置され且つ前記前面プレート部を貫通する水抜き孔を有する請求項
6に記載のコネクタユニット。
【請求項8】
相手側コネクタに嵌合されるコネクタ部と、
前記コネクタ部を保持し且つ前記相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタを挿入するための開口部を有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに取り付けられ且つ前記開口部を開閉可能に覆うキャップと
を備え、
前記コネクタハウジングは、前記開口部が形成されている前面プレート部と、前記前面プレート部を貫通して前記コネクタハウジングの内部に連通するキャップ取付孔を有し、
前記キャップは、前記前面プレート部に対向する裏面を有する蓋部と、前記蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕を有し、
前記L字腕は、前記蓋部の前記裏面に対して交差する方向に突出して延びる支持部と、前記支持部の先端に形成された屈曲部と、前記屈曲部から前記支持部に対して交差する方向に延びる引っ掛かり部とを有し、
前記キャップは、前記引っ掛かり部が前記コネクタハウジングの内部に収容され且つ前記支持部が前記キャップ取付孔を貫通した状態で前記コネクタハウジングに保持され、
前記支持部と前記屈曲部と前記引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向から見たときに、前記支持部および前記引っ掛かり部は、それぞれ、前記キャップ取付孔の寸法よりも小さい厚さ寸法を有し、前記屈曲部の最大寸法は、前記キャップ取付孔の寸法よりも大きく、前記引っ掛かり部は、前記キャップ取付孔の寸法よりも大きい長さ寸法を有し、
前記キャップの前記支持部は、前記蓋部の前記裏面において、前記引っ掛かり部が前記屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置され、
前記コネクタハウジングの前記キャップ取付孔は、前記前面プレート部において、前記開口部よりも、前記引っ掛かり部が前記屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置され、
前記コネクタハウジングは、前記前面プレート部において、前記キャップ取付孔よりも、前記引っ掛かり部が前記屈曲部から延びる方向に偏位した位置に配置され且つ前記前面プレート部を貫通する水抜き孔を有する
ことを特徴とするコネクタユニット。
【請求項9】
前記キャップ取付孔と前記水抜き孔は、前記前面プレート部において、前記開口部を囲む四角形の対角線上に位置する2つの頂点の位置に配置されている請求項
7または8に記載のコネクタユニット。
【請求項10】
相手側コネクタを挿入するための開口部とキャップ取付孔が形成されている前面プレート部を有するコネクタハウジングに前記キャップ取付孔を使用して取り付けられ且つ前記開口部を開閉可能に覆うキャップであって、
前記コネクタハウジングの前記前面プレート部に対向する裏面を有する蓋部と、
前記蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕と
を備え、
前記L字腕は、前記蓋部の前記裏面に対して交差する方向に突出して延びる支持部と、前記支持部の先端に形成された屈曲部と、前記屈曲部から前記支持部に対して交差する方向に延びる引っ掛かり部とを有し、
前記屈曲部は、肉薄の部分を有することを特徴とするキャップ。
【請求項11】
前記屈曲部は、切り欠きを有する請求項10に記載のキャップ。
【請求項12】
前記切り欠きは、前記支持部と前記屈曲部と前記引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向における前記屈曲部の中央部に配置され且つ前記平面に対して平行に延びる請求項11に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタユニットに係り、特に、嵌合時に相手側コネクタが挿入される開口部をキャップで開閉可能に覆うコネクタユニットに関する。
また、この発明は、このようなコネクタユニットに用いられるキャップにも関している。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部端子接続口を備えている電子機器等において、外部端子を接続しないときに、外部からの水、埃等の侵入を防止するために外部端子接続口をキャップで覆う構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、
図16に示されるコネクタパネルが開示されている。コネクタパネルは、パネル枠1と、パネル枠1に取り付けられるキャップ2を有し、パネル枠1に、外部端子接続口3と、外部端子接続口3に連通する凹状のキャップ収容部4が形成されている。
キャップ2は、蓋部5と、蓋部5の裏面から延びる棒状の挿入部6と、挿入部6の先端に形成され且つ挿入部6よりも厚く形成された拡大部7を有しており、拡大部7と挿入部6をパネル枠1に斜めに形成されたヒンジ窓8に通すことにより、パネル枠1に移動可能に取り付けられている。
【0004】
外部端子接続口3の内部には、図示しない接続端子が装着され、外部端子の不使用時に、キャップ2の蓋部5がパネル枠1のキャップ収容部4に収容されることで、外部端子接続口3が覆われる。
また、キャップ2がパネル枠1から脱落しないように、パネル枠1には、ヒンジ窓8に連通する凹部9が形成されており、支持板10の端部が凹部9に嵌入されている。支持板10の端部によりヒンジ窓8が狭められ、キャップ2の拡大部7は、ヒンジ窓8を通って抜け出ることができないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パネル枠1からのキャップ2の脱落を防止する目的で、パネル枠1に形成された凹部9に支持板10の端部を嵌入させる必要があるため、コネクタパネルの構造が複雑になり、また、パネル枠1にキャップ2を取り付ける作業に手間がかかるという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、コネクタハウジングの開口部をキャップにより開閉可能に覆いながらも、構造が簡単で且つキャップをコネクタハウジングに容易に取り付けることができるコネクタユニットを提供することを目的とする。
また、この発明は、このようなコネクタユニットに使用されるキャップを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るコネクタユニットは、
相手側コネクタに嵌合されるコネクタ部と、
コネクタ部を保持し且つ相手側コネクタとの嵌合時に相手側コネクタを挿入するための開口部を有するコネクタハウジングと、
コネクタハウジングに取り付けられ且つ開口部を開閉可能に覆うキャップと
を備え、
コネクタハウジングは、開口部が形成されているプレート部と、前面プレート部を貫通してコネクタハウジングの内部に連通するキャップ取付孔を有し、
キャップは、前面プレート部に対向する裏面を有する蓋部と、蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕を有し、
L字腕は、蓋部の裏面に対して交差する方向に突出して延びる支持部と、支持部の先端に形成された屈曲部と、屈曲部から支持部に対して交差する方向に延びる引っ掛かり部とを有し、
キャップは、引っ掛かり部がコネクタハウジングの内部に収容され且つ支持部がキャップ取付孔を貫通した状態でコネクタハウジングに保持され、
支持部と屈曲部と引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向から見たときに、支持部および引っ掛かり部は、それぞれ、キャップ取付孔の寸法よりも小さい厚さ寸法を有し、屈曲部の最大寸法は、キャップ取付孔の寸法よりも大きく、引っ掛かり部は、キャップ取付孔の寸法よりも大きい長さ寸法を有し、
屈曲部は、肉薄の部分を有するものである。
【0009】
支持部と屈曲部と引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な切断面により屈曲部を切断したときの断面積の最大値は、キャップ取付孔の面積より大きいことが好ましい。
屈曲部は、切り欠きを有することができる。
切り欠きは、支持部と屈曲部と引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向における屈曲部の中央部に配置され且つ平面に対して平行に延びることが好ましい。
【0010】
キャップは、互いに平行に配置された2つのL字腕を有し、
L字腕は、棒状の支持部と、棒状の引っ掛かり部とを有し、
コネクタハウジングの前面プレート部は、2つのL字腕に対応する2つのキャップ取付孔を有することが好ましい。
キャップの支持部は、蓋部の裏面において、引っ掛かり部が屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置され、
コネクタハウジングのキャップ取付孔は、前面プレート部において、開口部よりも、引っ掛かり部が屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置されているように構成することができる。
【0011】
第2の発明に係るコネクタユニットは、
相手側コネクタに嵌合されるコネクタ部と、
コネクタ部を保持し且つ相手側コネクタとの嵌合時に相手側コネクタを挿入するための開口部を有するコネクタハウジングと、
コネクタハウジングに取り付けられ且つ開口部を開閉可能に覆うキャップと
を備え、
コネクタハウジングは、開口部が形成されている前面プレート部と、前面プレート部を貫通してコネクタハウジングの内部に連通するキャップ取付孔を有し、
キャップは、前面プレート部に対向する裏面を有する蓋部と、蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕を有し、
L字腕は、蓋部の裏面に対して交差する方向に突出して延びる支持部と、支持部の先端に形成された屈曲部と、屈曲部から支持部に対して交差する方向に延びる引っ掛かり部とを有し、
キャップは、引っ掛かり部がコネクタハウジングの内部に収容され且つ支持部がキャップ取付孔を貫通した状態でコネクタハウジングに保持され、
支持部と屈曲部と引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向から見たときに、支持部および引っ掛かり部は、それぞれ、キャップ取付孔の寸法よりも小さい厚さ寸法を有し、屈曲部の最大寸法は、キャップ取付孔の寸法よりも大きく、引っ掛かり部は、キャップ取付孔の寸法よりも大きい長さ寸法を有し、
キャップの支持部は、蓋部の裏面において、引っ掛かり部が屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置され、
コネクタハウジングのキャップ取付孔は、前面プレート部において、開口部よりも、引っ掛かり部が屈曲部から延びる方向とは反対方向に偏位した位置に配置され、
コネクタハウジングは、前面プレート部において、キャップ取付孔よりも、引っ掛かり部が屈曲部から延びる方向に偏位した位置に配置され且つ前面プレート部を貫通する水抜き孔を有するものである。
キャップ取付孔と水抜き孔は、前面プレート部において、開口部を囲む四角形の対角線上に位置する2つの頂点の位置に配置されていることが好ましい。
【0012】
この発明に係るキャップは、
相手側コネクタを挿入するための開口部とキャップ取付孔が形成されている前面プレート部を有するコネクタハウジングにキャップ取付孔を使用して取り付けられ且つ開口部を開閉可能に覆うキャップであって、
コネクタハウジングの前面プレート部に対向する裏面を有する蓋部と、
蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕と
を備え、
L字腕は、蓋部の裏面に対して交差する方向に突出して延びる棒状の支持部と、支持部の先端に形成された屈曲部と、屈曲部から支持部に対して交差する方向に延びる棒状の引っ掛かり部とを有し、
屈曲部は、肉薄の部分を有するものである。
【0013】
屈曲部は、切り欠きを有することができる。
切り欠きは、支持部と屈曲部と引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向における屈曲部の中央部に配置され且つ平面に対して平行に延びることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、キャップの蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕は、支持部と、支持部の先端に形成された屈曲部と、屈曲部から支持部に対して交差する方向に延びる引っ掛かり部とを有し、キャップは、引っ掛かり部がコネクタハウジングの内部に収容され且つ支持部がキャップ取付孔を貫通した状態でコネクタハウジングに保持され、支持部と屈曲部と引っ掛かり部が含まれる平面に対して垂直な方向から見たときに、支持部および引っ掛かり部は、それぞれ、キャップ取付孔の寸法よりも小さい厚さ寸法を有し、屈曲部の最大寸法は、キャップ取付孔の寸法よりも大きく、引っ掛かり部は、キャップ取付孔の寸法よりも大きい長さ寸法を有するので、コネクタハウジングの開口部をキャップにより開閉可能に覆いながらも、構造が簡単で且つキャップをコネクタハウジングに容易に取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態に係るコネクタユニットを示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るコネクタユニットを示す正面図である。
【
図3】コネクタハウジングからキャップが引き出された状態のコネクタユニットを示す斜視図である。
【
図10】前面プレート部のキャップ取付孔に通されたキャップのL字腕を示す断面図である。
【
図11】キャップが前面プレート部のキャップ取付孔に取り付けられる際のコネクタユニットを示す断面図である。
【
図12】コネクタハウジングからキャップが引き出される際のコネクタユニットを示す断面図である。
【
図13】コネクタハウジングからキャップが引き出された状態のコネクタユニットを示す断面図である。
【
図14】コネクタハウジングから引き出されたキャップの蓋部を開く際のコネクタユニットを示す断面図である。
【
図15】キャップの蓋部が開かれた状態のコネクタユニットを示す断面図である。
【
図16】従来のコネクタパネルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および
図2に、それぞれ、実施の形態に係るコネクタユニットの斜視図および正面図を示す。コネクタユニットは、絶縁性樹脂等の絶縁材料から形成されたコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11の前部に取り付けられ且つEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等の弾性材料から形成されたキャップ21を備えている。
コネクタハウジング11は、ほぼ直方体形状を有するハウジング本体部12と、ハウジング本体部12の前端に形成された矩形の前面プレート部13とを有しており、キャップ21は、コネクタハウジング11の前面プレート部13を覆うように配置されている。
【0017】
ここで、便宜上、前面プレート部13の表面に沿って前面プレート部13の長辺が延びる方向をX方向、X方向に直交し且つ前面プレート部13が形成されているコネクタハウジング11の前部からコネクタハウジング11の後部に向かう方向を+Y方向、XY面に垂直な方向をZ方向と呼ぶものとする。
図3に示されるように、キャップ21は、コネクタハウジング11に対して移動可能に取り付けられており、コネクタハウジング11から-Y方向に引き出すことができる。
【0018】
図4に示されるように、コネクタハウジング11の前面プレート部13のほぼ中央部に、図示しない相手側コネクタとの嵌合方向に向かって開口し且つ相手側コネクタとの嵌合時に相手側コネクタが挿入される開口部14が形成されている。相手側コネクタとしては、例えば、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)コネクタを用いることができ、相手側コネクタは、-Y方向から+Y方向に向けて前面プレート部13の開口部14に挿入されることとなる。
開口部14の周縁には、開口部14を囲むほぼ矩形の枠を描くようにXZ面内で延び且つ-Y方向に突出する凸部15が形成されている。
【0019】
また、前面プレート部13には、開口部14の+X方向側および-X方向側に、前面プレート部13を貫通する一対のキャップ取付孔16が形成されている。
さらに、前面プレート部13には、開口部14の+X方向側および-X方向側で且つ一対のキャップ取付孔16の-Z方向側に、前面プレート部13を貫通する一対の水抜き孔17が形成されている。
【0020】
図5に示されるように、一対のキャップ取付孔16と一対の水抜き孔17は、開口部14を囲み且つX方向に延びる一対の長辺とZ方向に延びる一対の短辺を有する四角形Sの4つの頂点の位置に配置されている。
すなわち、一対のキャップ取付孔16は、前面プレート部13において、開口部14よりも+Z方向に偏位した位置に配置され、一対の水抜き孔17は、前面プレート部13において、開口部14よりも-Z方向に偏位した位置に配置されている。
【0021】
具体的には、一対のキャップ取付孔16のうち-X方向側に位置するキャップ取付孔16と、一対の水抜き孔17のうち+X方向側に位置する水抜き孔17が、四角形Sの2本の対角線のうち、一方の対角線上に位置する2つの頂点の位置に配置され、一対のキャップ取付孔16のうち+X方向側に位置するキャップ取付孔16と、一対の水抜き孔17のうち-X方向側に位置する水抜き孔17が、四角形Sの2本の対角線のうち、他方の対角線上に位置する2つの頂点の位置に配置されている。
【0022】
図6に示されるように、キャップ21は、XZ面に沿って延びる、矩形で且つほぼ平板形状の蓋部22と、蓋部22に連結され且つ+Y方向に延びる一対のL字腕23を有している。一対のL字腕23は、コネクタハウジング11の前面プレート部13に形成されている一対のキャップ取付孔16に対応している。蓋部22の-Z方向端部には、キャップ21を移動させるための取っ手部22Aが形成されている。
【0023】
図7に示されるように、蓋部22の+Y方向を向いた裏面のほぼ中央部には、ほぼ矩形の枠を描くようにXZ面内で延び且つ-Y方向に窪む嵌合溝24が形成されている。この嵌合溝24は、コネクタハウジング11の前面プレート部13に形成されている凸部15に対応する大きさを有しており、キャップ21の嵌合溝24にコネクタハウジング11の凸部15を嵌め込むことにより、キャップ21が、前面プレート部13に固定されるように構成されている。
【0024】
一対のL字腕23は、それぞれ、蓋部22の+Y方向を向いた裏面の+Z方向に偏位した位置から+Y方向に突出して延びる棒状の支持部25と、支持部25の+Y方向端部に形成された屈曲部26と、屈曲部26から-Z方向に延びる棒状の引っ掛かり部27を有している。
なお、屈曲部26は、互いに直交する支持部25と引っ掛かり部27の接続部分であり、+Y方向および+Z方向に向かって尖る角部を有している。
【0025】
また、屈曲部26には、X方向における屈曲部26の中央部に配置され且つYZ面に沿って延びる切り欠き28が形成されており、この切り欠き28の存在により、屈曲部26に肉薄の部分が形成されている。キャップ21は弾性材料から形成されているが、屈曲部26が肉薄の部分を有することで、屈曲部26はより弾性変形しやすくなるように構成されている。
【0026】
図8に示されるように、コネクタハウジング11の前面プレート部13に形成されている一対のキャップ取付孔16と一対の水抜き孔17は、それぞれ、ハウジング本体部12の内部空間Rに連通している。
キャップ21の一対のL字腕23は、それぞれ、コネクタハウジング11の対応するキャップ取付孔16に通され、キャップ21は、引っ掛かり部27がハウジング本体部12の内部空間Rに収容され且つ支持部25がキャップ取付孔16を貫通した状態でコネクタハウジング11に保持されている。
【0027】
なお、ハウジング本体部12の内部空間Rには、図示しない相手側コネクタに嵌合されるコネクタ部C1等が内蔵されている。
コネクタ部C1に相手側コネクタが嵌合されないときには、
図8に示されるように、キャップ21は、蓋部22がコネクタハウジング11の前面プレート部13に接触するまで、支持部25をキャップ取付孔16に貫通しつつ+Y方向に移動される。
このとき、
図9に示されるように、蓋部22の嵌合溝24に、コネクタハウジング11の前面プレート部13に形成されている凸部15を嵌め込むことにより、キャップ21は、コネクタハウジング11に対して固定された状態となる。
【0028】
図10に示されるように、キャップ21のL字腕23の支持部25と屈曲部26と引っ掛かり部27が含まれるYZ面に対して垂直なX方向から見たときに、支持部25および引っ掛かり部27は、それぞれ、前面プレート部13のキャップ取付孔16の寸法H1よりも小さい厚さ寸法D1およびD2を有している。
このため、L字腕23の支持部25および引っ掛かり部27は、それぞれ、キャップ取付孔16を貫通する際に、円滑にY方向に移動することができる。
【0029】
一方、L字腕23の屈曲部26は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも大きい最大寸法D3を有している。なお、
図10に示される屈曲部26の最大寸法D3は、支持部25の-Z方向側縁部と引っ掛かり部27の-Y方向側縁部との接続箇所から、屈曲部26の+Y方向および+Z方向に向かって尖る角部までの距離により表されている。また、支持部25と屈曲部26と引っ掛かり部27が含まれるYZ面に対して垂直な切断面により屈曲部26を切断したときの断面積の最大値は、キャップ取付孔16の面積より大きい値を有している。
【0030】
このため、屈曲部26は、キャップ取付孔16を一旦貫通してハウジング本体部12の内部空間Rに収容されると、L字腕23を前面プレート部13に対し-Y方向に移動させてキャップ取付孔16から引き抜こうとする力がキャップ21に作用しても、容易にキャップ取付孔16を抜け出ることはない。
【0031】
さらに、L字腕23の引っ掛かり部27は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも大きい長さ寸法L1を有している。従って、L字腕23を前面プレート部13に対し-Y方向に移動させたときに、引っ掛かり部27が前面プレート部13の+Y方向を向いた裏面に接触して引っ掛かることで、L字腕23をキャップ取付孔16から容易に引き抜くことができないように構成されている。
【0032】
キャップ21をコネクタハウジング11に取り付ける際には、
図11に示されるように、まず、キャップ21の一対のL字腕23の引っ掛かり部27の先端を、前面プレート部13の一対のキャップ取付孔16に貫通させて+Y方向に挿入する。このとき、引っ掛かり部27の厚さ寸法D2は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも小さいので、円滑に引っ掛かり部27をキャップ取付孔16に貫通させることができる。
【0033】
この状態で、キャップ取付孔16を貫通する引っ掛かり部27を+Y方向に移動させると、L字腕23の屈曲部26がキャップ取付孔16に接触するようになる。ところが、屈曲部26は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも大きい最大寸法D3を有しているので、そのままL字腕23を+Y方向に押し込んでも、屈曲部26はキャップ取付孔16に挿入することができない。
【0034】
そこで、作業者の指等により一対のL字腕23の屈曲部26を弾性変形させて押しつぶし、キャップ21の蓋部22を+Z方向に持ち上げながら+Y方向に移動させて、一対のL字腕23の屈曲部26を、それぞれ、対応するキャップ取付孔16に挿入する。このとき、
図6および
図7に示される切り欠き28の存在により、屈曲部26は弾性変形しやすく形成されており、屈曲部26を容易に押しつぶしてキャップ取付孔16に挿入することができる。
【0035】
このようにして、一対のL字腕23の屈曲部26が一対のキャップ取付孔16を通過すると、今度は、一対のL字腕23の支持部25が一対のキャップ取付孔16に貫通されることになるが、支持部25の厚さ寸法D1は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも小さいので、支持部25をキャップ取付孔16に通して円滑に+Y方向に移動することができる。
さらに、一対のL字腕23を+Y方向に移動させて、
図9に示されるように、蓋部22の嵌合溝24に、前面プレート部13の凸部15を嵌め込むことにより、キャップ21が、コネクタハウジング11に固定される。
【0036】
次に、図示しない相手側コネクタをコネクタ部C1に嵌合させる際には、
図12に示されるように、蓋部22の取っ手部22Aを-Y方向に移動させることにより、キャップ21がコネクタハウジング11から引き出される。このまま、蓋部22の取っ手部22Aを-Y方向に移動させると、
図13に示されるように、キャップ21の一対のL字腕23の引っ掛かり部27が、コネクタハウジング11の前面プレート部13に接触して引っ掛かる状態となる。
【0037】
従って、この状態で、蓋部22の取っ手部22Aを-Y方向に引っ張ると、L字腕23がキャップ取付孔16から抜け出ることはなく、また、蓋部22の取っ手部22AはL字腕23の支持部25よりも-Z方向側に位置しているので、
図14に示されるように、一対のL字腕23の支持部25が弾性変形し、蓋部22が傾斜しながら+Z方向に持ち上げられる。
【0038】
そして、
図15に示されるように、キャップ21の蓋部22がコネクタハウジング11の前面プレート部13よりも+Z方向側にまで持ち上げられると、蓋部22により覆われていた前面プレート部13が-Y方向に向かって露出されることとなる。
この状態で、図示しない相手側コネクタが、前面プレート部13の開口部14を通して-Y方向から+Y方向に挿入され、コネクタ部C1に嵌合される。
【0039】
以上説明したように、上記の実施の形態に係るコネクタユニットにおいては、簡単な構造でありながらも、キャップ21の一対のL字腕23の屈曲部26を押しつぶして、一対のL字腕23を前面プレート部13の一対のキャップ取付孔16に挿入するだけで、容易にキャップ21をコネクタハウジング11に取り付けることができる。また、一対のL字腕23の屈曲部26が一対のキャップ取付孔16を一旦貫通してハウジング本体部12の内部空間Rに収容されてしまうと、コネクタハウジング11の外部から一対のL字腕23の屈曲部26を押しつぶすことができなくなるため、キャップ21に引き抜き力が作用しても、コネクタハウジング11からのキャップ21の脱落を防止することができる。
【0040】
また、このような構成のコネクタユニットを屋外で使用すると、コネクタハウジング11の前面プレート部13に開口部14が形成されているため、開口部14を通してハウジング本体部12の内部空間Rに雨水等の水が入り込むことがある。しかしながら、前面プレート部13の開口部14よりも-Z方向に偏位した位置に一対の水抜き孔17が配置されているため、開口部14を通してハウジング本体部12の内部空間R内に入り込んだ水は、水抜き孔17を通ってコネクタハウジング11の外部へ排出される。
【0041】
なお、上記の実施の形態では、蓋部22と一対のL字腕23を含むキャップ21の全体が、弾性材料から形成されているが、少なくとも一対のL字腕23のみを弾性材料から形成すればよく、蓋部22の形成材料は特に限定されない。
また、上記の実施の形態では、キャップ21が一対のL字腕23を有しているが、これに限るものではなく、1つのL字腕23のみを有していても、構造が簡単で且つキャップ21をコネクタハウジング11に容易に取り付けることができるコネクタユニットを実現することが可能となる。
【0042】
さらに、上記の実施の形態では、キャップ21のL字腕23において、切り欠き28の存在により、屈曲部26に肉薄の部分が形成されているが、これに限るものではなく、例えば、屈曲部26に貫通孔を形成しても、肉薄の部分が形成され、屈曲部26を弾性変形しやすくなるように構成することができる。
また、上記の実施の形態では、キャップ21のL字腕23は、棒状の支持部25と、棒状の引っ掛かり部27を有しているが、これに限るものではなく、例えば、平たい板状の支持部と引っ掛かり部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 パネル枠、2 キャップ、3 外部端子接続口、4 キャップ収容部、5 蓋部、6挿入部、7 拡大部、8 ヒンジ窓、9 凹部、10 支持板、11 コネクタハウジング、12 ハウジング本体部、13 前面プレート部、14 開口部、15 凸部、16 キャップ取付孔、17 水抜き孔、21 キャップ、22 蓋部、22A 取っ手部、23 L字腕、24 嵌合溝、25 支持部、26 屈曲部、27 引っ掛かり部、28 切り欠き、S 四角形、R 内部空間、C1 コネクタ部、H1 キャップ取付孔の寸法、D1,D2 厚さ寸法、D3 最大寸法、L1 長さ寸法。
【要約】
【課題】コネクタハウジングの開口部をキャップにより開閉可能に覆いながらも、構造が簡単で且つキャップをコネクタハウジングに容易に取り付けることができるコネクタユニットを提供する。
【解決手段】キャップ21の蓋部に連結され且つ弾性材料から形成されたL字腕23は、支持部25と屈曲部26と引っ掛かり部27を有し、キャップ21は、引っ掛かり部27がコネクタハウジングの内部に収容され且つ支持部25がキャップ取付孔16を貫通した状態でコネクタハウジングに保持され、支持部25と屈曲部26と引っ掛かり部27が含まれる平面に対して垂直な方向から見たときに、支持部25および引っ掛かり部27は、それぞれ、キャップ取付孔16の寸法H1よりも小さい厚さ寸法D1およびD2を有し、屈曲部26の最大寸法D3は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも大きく、引っ掛かり部27は、キャップ取付孔16の寸法H1よりも大きい長さ寸法L1を有する。
【選択図】
図10