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特許7196264間歇エア発生装置のための動作状態測定装置及び間歇エア発生装置のキャリブレーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】間歇エア発生装置のための動作状態測定装置及び間歇エア発生装置のキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 21/12 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
F15B21/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021175322
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2018041947の分割
【原出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2022009558
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000204240
【氏名又は名称】株式会社TAIYO
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上間 丈司
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-205009(JP,A)
【文献】特開昭63-020605(JP,A)
【文献】特開2016-075377(JP,A)
【文献】特開平11-125218(JP,A)
【文献】特表2016-527453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/06
F15B 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気圧源に接続される入口ポート及びエア機器に接続される出口ポートを含み、パイロット圧を供給されることにより前記入口ポートと前記出口ポートとを選択的に連通させるパイロット圧式開閉弁と、圧縮空気圧源に接続され、低値のパイロット圧と高値のパイロット圧とを交互に発生する空気圧式論理装置を含み、前記パイロット圧を前記パイロット圧式開閉弁に供給する空気圧発振装置とを有する間歇エア発生装置のための動作状態測定装置であって、
前記空気圧式論理装置が発生する前記パイロット圧を検出する圧力センサと、
前記圧力センサによって検出された前記パイロット圧に基づいて前記パイロット圧式開閉弁から圧縮空気が出力されるオン時間と圧縮空気が出力されないオフ時間との比率によって圧縮空気の連続出力に対する圧縮空気の削減量及び前記パイロット圧に基づいて前記間歇エア発生装置の間歇動作の周波数の少なくとも一方を演算する演算装置と、
前記演算装置によって演算された前記削減量及び前記周波数の少なくとも一方を表示する表示器とを有する間歇エア発生装置のための動作状態測定装置。
【請求項2】
前記圧力センサと前記演算装置と前記表示器とに電力を供給するバッテリ電源を有する請求項1に記載の間歇エア発生装置のための動作状態測定装置。
【請求項3】
前記圧力センサは前記間歇エア発生装置側に設けられ、前記演算装置と前記表示器とが前記間歇エア発生装置に着脱可能なハウジングに設けられている請求項1又は2に記載の動作状態測定装置。
【請求項4】
圧縮空気圧源に接続される入口ポート及びエア機器に接続される出口ポートを含み、パイロット圧を供給されることにより前記入口ポートと前記出口ポートとを選択的に連通させるパイロット圧式開閉弁と、圧縮空気圧源に接続され、低値のパイロット圧と高値のパイロット圧とを交互に発生する空気圧式論理装置を含み前記パイロット圧を前記パイロット圧式開閉弁に供給する空気圧発振装置とを有し、低値のパイロット圧を発生する時間及び高値のパイロット圧を発生する時間が個別に可変設定される間歇エア発生装置のキャリブレーション方法であって、
低値のパイロット圧を発生する時間及び高値のパイロット圧を発生する時間の設定時に、請求項1からの何れか一項に記載の動作状態測定装置の前記表示器に前記削減量及び前記周波数の少なくとも一方を表示する間歇エア発生装置のキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間歇エア発生装置のための動作状態測定(動作状態可視化)装置及び間歇エア発生装置のキャリブレーション方法に関し、更に詳細には、空気圧論理式の間歇エア発生装置のための動作状態測定装置及びその間歇エア発生装置のキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切削粉除去、除塵、水切り、乾燥、冷却、搬送等に使用される間歇エアブローを行うための間歇エア発生装置として、圧縮空気圧源に接続される入口ポート及びエア機器に接続される出口ポートを含み、パイロット圧を供給されることにより前記入口ポートと前記出口ポートとを選択的に連通させるパイロット圧式開閉弁と、圧縮空気圧源に接続され、低値のパイロット圧と高値のパイロット圧とを交互に発生する空気圧式論理装置を含み、前記パイロット圧を前記パイロット圧式開閉弁に供給する空気圧発振装置とを有する空気圧論理式の間歇エア発生装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-75377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気圧論理式の間歇エア発生装置は、電力を必要とすることなく空気圧のみで動作するから、電源を取ることが困難な既設環境に設置することができるが、その反面、低値のパイロット圧を発生する時間(オフ時間)及び高値のパイロット圧を発生する時間(オン時間)が無段階調整式のダイヤル等によって手動操作される絞り弁により個別に設定され、間歇動作の状態を表示する機器が存在しないため、所望する発振周波数及びデューティ比に調整することが難しい。
【0005】
このため、間歇エアブローの動作音を耳で確認しながらストップウォッチ等を使用してオン時間やオフ時間を計測し、時間をかけて調整するのが現状であり、キャリブレーションや最適状態の再現を、作業性よく的確に行うことが難しいと云う課題がある。
【0006】
絞り弁が段階的に調整可能な目盛表示付のダイヤルによって手動操作されるものにすることが考えられる。しかし、絞り弁は、供給される空気の圧力に比例して流量が変化するため、設置場所が変わると、目盛表示のもとに絞り弁が同じに調整されても、得られる間歇エアブローの動作状況は異なる結果になることがある。このため、目盛表示付のダイヤルによる絞り弁が導入されても、上述の課題が解決されたことにはならない。
【0007】
例えば、除塵のための間歇エアブローにおいては、正しい調整が行われず、発振周波数が高すぎたり、低すぎたりすると、適切な除塵効果が得られない。デューティ比のオン時間が相対的に長ければ、良好な除塵効果が得られるが、省エネルギ効果が低くなる。逆に、デューティ比のオフ時間が長ければ、省エネルギ効果は高いが、本来の除塵効果が得られない結果となってしまう。間歇エアブローにて適切な効果を得るためには、正しい調整が行われることが重要であり、間歇エアブローのデューティ比が確認できれば、連続エアブローに対する圧縮空気の削減率を可視化できるが、従来は、これを確認することができなかった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、空気圧論理式の間歇エア発生装置の発振周波数や圧縮空気の削減率等を可視化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置は、圧縮空気圧源に接続される入口ポート(52)及びエア機器(60、130)に接続される出口ポート(54)を含み、パイロット圧(P)を供給されることにより前記入口ポート(52)と前記出口ポート(54)とを選択的に連通させるパイロット圧式開閉弁(50)と、圧縮空気圧源(150)に接続され、低値のパイロット圧(P)と高値のパイロット圧(P)とを交互に発生する空気圧式論理装置(72)を含み、前記パイロット圧(P)を前記パイロット圧式開閉弁(50)に供給する空気圧発振装置(70)とを有する間歇エア発生装置のための動作状態測定装置であって、前記パイロット圧(P)或いは前記出口ポート(54)の空気圧を検出する圧力センサ(14)と、前記圧力センサ(14)によって検出された前記パイロット圧(P)或いは前記空気圧に基づいて前記パイロット圧式開閉弁(50)から圧縮空気が出力されるオン時間と圧縮空気が出力されないオフ時間との比率によって圧縮空気の連続出力に対する圧縮空気の削減量及び前記パイロット圧(P)或いは前記空気圧に基づいて前記間歇エア発生装置の間歇動作の周波数の少なくとも一方を演算する演算装置(18)と、前記演算装置(18)によって演算された前記削減量及び前記周波数の少なくとも一方を表示する表示器(20)とを有する。
【0010】
この構成によれば、圧縮空気の削減量及び間歇動作の周波数の少なくとも一方が可視化される。
【0011】
上記間歇エア発生装置のための動作状態測定装置において、好ましくは、前記圧力センサ(14)と前記演算装置(18)と前記表示器(20)とに電力を供給するバッテリ電源を有する。
【0012】
この構成によれば、外部電源、外部配線が必要でなく、空気圧論理式の間歇エア発生装置と同様に、電源を取ることが困難な既設環境での設置に適合する。
【0013】
上記間歇エア発生装置のための動作状態測定装置において、好ましくは、前記圧力センサ(14)は前記間歇エア発生装置側に設けられ、前記演算装置(18)と前記表示器(20)とが前記間歇エア発生装置に着脱可能なケーシング(44)に設けられている。
【0014】
この構成によれば、複数の間歇エア発生装置の各々に圧力センサ(14)が設けられることにより、その複数の間歇エア発生装置において動作状態測定装置(10)が共用され、間歇エア発生装置毎に動作状態測定装置(10)を設ける必要がなくなる。
【0015】
上記間歇エア発生装置のための動作状態測定装置において、好ましくは、前記間歇エア発生装置に(パイロット圧P)或いは前記出口ポート(54)の空気圧が導かれる圧力取出ポート(55)が設けられており、前記圧力センサ(14)と前記演算装置(18)と前記表示器(20)とが前記間歇エア発生装置とは個別のケーシング(44)に設けられており、当該ケーシング(44)に前記圧力取出ポート(55)と連通可能な圧力取入出ポート(45)が設けられており、前記圧力センサ(14)が前記圧力取入出ポート(45)の圧力を検出する。
【0016】
この構成によれば、複数の間歇エア発生装置の各々に圧力取出ポートが設けられるだけで、複数の間歇エア発生装置において動作状態測定装置(10)が共用され、間歇エア発生装置毎に動作状態測定装置(10)を設ける必要がなくなる。
【0017】
本発明の他の一つの実施形態による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置は、圧縮空気圧源に接続される入口ポート(52)及びエア機器(60、130)に接続される出口ポート(54)を含み、パイロット圧(P)を供給されることにより前記入口ポート(52)と前記出口ポート(54)とを選択的に連通させるパイロット圧式開閉弁(50)と、圧縮空気圧源(150)に接続され、低値のパイロット圧(P)と高値のパイロット圧(P)とを交互に発生する空気圧式論理装置(72)を含み、前記パイロット圧(P)を前記パイロット圧式開閉弁(50)に供給する空気圧発振装置(70)とを有する間歇エア発生装置のための動作状態測定装置であって、前記パイロット圧(P)或いは前記出口ポートの空気圧を検出する圧力センサ(14)と、前記圧力センサ(14)によって検出された前記パイロット圧或いは前記空気圧に基づいて点灯するランプ(40)とを有する。
【0018】
この構成によれば、作業者がランプ(40)の点滅状態を見ることにより、間歇エア発生装置が実際に間歇動作しているか否かを的確に確認することができる。
【0019】
本発明の一つの実施形態による間歇エア発生装置のキャリブレーション方法は、圧縮空気圧源に接続される入口ポート(52)及びエア機器(60、130)に接続される出口ポート(54)を含み、パイロット圧(P)を供給されることにより前記入口ポート(52)と前記出口ポート(54)とを選択的に連通させるパイロット圧式開閉弁(50)と、圧縮空気圧源(150)に接続され、低値のパイロット圧(P)と高値のパイロット圧(P)とを交互に発生する空気圧式論理装置(72)を含み、前記パイロット圧(P)を前記パイロット圧式開閉弁(50)に供給する空気圧発振装置(70)とを有し、低値のパイロット圧(P)を発生する時間及び高値のパイロット圧(P)を発生する時間が個別に可変設定される間歇エア発生装置のキャリブレーション方法であって、低値のパイロット圧(P)を発生する時間及び高値のパイロット圧(P)を発生する時間の設定時に、請求項1から3の何れか一項に記載の動作状態装置の前記表示器(20)に前記削減量及び前記周波数の少なくとも一方を表示する。
【0020】
このキャリブレーション方法によれば、空気圧発振装置の間歇動作のデューティ比に相関する削減量や間歇動作の周波数が可視化された状態で、キャリブレーションを作業性よく行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置によれば、間歇エア発生装置の発振周波数や圧縮空気の削減率が可視化される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態1を示すブロック線図
図2】実施形態1の動作状態測定装置の表示器の画面表示例を示す図。
図3】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態2を示すブロック線図
図4】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態3を示すブロック線図
図5】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態4を示すブロック線図
図6】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態5を示す部分断面図
図7】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態6を示す部分断面図
図8】本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態7を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態1を、図1を参照して説明する。
【0024】
本実施形態の動作状態測定装置10が適用される間歇エア発生装置は、パイロット圧式開閉弁50及び空気圧発振装置70を含む。
【0025】
パイロット圧式開閉弁50は、圧縮空気圧源150から手動開閉弁152を介して圧縮空気を供給される供給パイプ154を接続される入口ポート52、エア機器である複数のエアブローノズル130に接続される出口ポート54及びパイロット圧ポート56を含み、パイロット圧ポート56に所定値以上の高値のパイロット圧Pが供給されることにより入口ポート52と出口ポート54とを連通(開弁)させるノーマルクローズ型の開閉弁である。
【0026】
空気圧発振装置70は空気圧式論理装置(空気圧式論理弁)72を含む。空気圧式論理装置72は、供給パイプ154から圧縮空気圧源150の圧縮空気を供給される入口ポート74、パイロット圧ポート56にパイロット圧を出力する出口ポート76及び大気開放の排気ポート78を形成された弁ケーシング80を有する。弁ケーシング80は、入口ポート74と出口ポート76とを連通する内部通路82の途中に形成された第1の弁座部84と、出口ポート76と排気ポート78とを連通する内部通路85の途中に第1の弁座部84と相対向して同軸的に形成された第2の弁座部86とを有する。
【0027】
弁ケーシング80内には弁体88が設けられている。弁体88は、第1の弁座部84と第2の弁座部86とに相反する関係で選択的に着座するシャトル弁であり、第1の弁座部84から離間することにより入口ポート74と出口ポート76との連通を確立すると共に第2の弁座部86に着座することにより出口ポート76と排気ポート78との連通を遮断する第1の位置と、第1の弁座部84に着座することにより入口ポート74と出口ポート76との連通を遮断すると共に第2の弁座部86から離間することにより出口ポート76と排気ポート78との連通を確立する第2の位置との間を移動する。弁ケーシング80内には弁体88を第1の位置に向けて付勢する圧縮コイルばね90が設けられている。
【0028】
弁ケーシング80にはダイヤフラム室92を画定するダイヤフラム94が取り付けられている。ダイヤフラム94はダイヤフラム室92との反対側において弁体88と一体のランド部96に結合されている。ダイヤフラム室92は弁ケーシング80に形成された内部通路98によってパイロット圧導入ポート100に連通している。
【0029】
パイロット圧導入ポート100は外部通路102によって出口ポート76に連通している。外部通路102の途中には、可変絞り弁104及び可変絞り弁104に並列に接続されてパイロット圧導入ポート100から出口ポート76に向かう圧縮空気の流れのみを許す逆止弁106による並列回路と、可変絞り弁110及び可変絞り弁110に並列に接続されて出口ポート76からパイロット圧導入ポート100に向かう圧縮空気の流れのみを許す逆止弁112による並列回路とが直列に設けられている。空気圧発振装置70には、可変絞り弁104の絞り度を可変設定すべく外部から手動操作されるオン時間調整ダイヤル116及び可変絞り弁110の絞り度を可変設定すべく外部から手動操作されるオフ時間調整ダイヤル118が設けられている。外部通路102にはリザーバタンク120が接続されている。
【0030】
手動開閉弁152が開弁している時には、パイロット圧式開閉弁50の入口ポート52及び空気圧式論理装置72の入口ポート74に圧縮空気圧源150から圧縮空気が供給される。初期状態では、圧縮コイルばね90のばね力によって弁体88が図示されている第1の位置にあることから、出口ポート76には圧縮空気圧源150からの空気圧が高値(所定値以上の空気圧)のパイロット圧Pとして現れ、当該パイロット圧Pがパイロット圧式開閉弁50のパイロット圧ポート56に供給される。これによりパイロット圧式開閉弁50が開弁し、各エアブローノズル130から圧縮空気が噴出される。
【0031】
また出口ポート76の空気圧(高値のパイロット圧P)は逆止弁112及び可変絞り弁104を介して空気圧式論理装置72のパイロット圧導入ポート100及びリザーバタンク120に加えられる。これにより、ダイヤフラム室92の圧力が徐々に上昇する。
【0032】
ダイヤフラム室92の圧力が所定値以上になると、弁体88が圧縮コイルばね90のばね力に抗して第2の位置に移動し、出口ポート76には排気ポート78から大気圧が低値(所定値未満の空気圧)のパイロット圧Pとして現れ、当該パイロット圧Pがパイロット圧式開閉弁50のパイロット圧ポート56に供給される。これによりパイロット圧式開閉弁50が閉弁し、各エアブローノズル130からの圧縮空気の噴出が停止される。
【0033】
弁体88が第1の位置から第2の位置に変位にするのに要する時間、つまり弁体88が第1の位置にあるオン時間は、可変絞り弁104の絞り度(開度)及びリザーバタンク120の容量により決まり、オン時間調整ダイヤル116によって可変絞り弁104の絞り度が変更されることにより可変設定される。
【0034】
弁体88が第2の位置にある時には、ダイヤフラム室92及びリザーバタンク120の空気圧が、逆止弁106、可変絞り弁110、出口ポート76を経て排気ポート78から大気中に排出される。ダイヤフラム室92の圧力が所定値未満になると、弁体88が圧縮コイルばね90のばね力によって第1の位置に移動し、出口ポート76には再び圧縮空気圧源150からの空気圧が高値のパイロット圧Pとして現れ、当該パイロット圧Pがパイロット圧式開閉弁50のパイロット圧ポート56に供給される。これによりパイロット圧式開閉弁50が開弁し、各エアブローノズル130から圧縮空気が噴出される。
【0035】
弁体88が第2の位置から第1の位置に変位にするのに要する時間、つまり弁体88が第2の位置にあるオフ時間は、可変絞り弁110の絞り度(開度)及びリザーバタンク120の容量により決まり、オフ時間調整ダイヤル118によって可変絞り弁110の絞り度が変更されることにより可変設定される。
【0036】
これにより、個別に可変設定されるオン時間とオフ時間による間歇エアの発生のもとに、オン時間による圧縮空気の噴出とオフ時間による圧縮空気の噴出停止とが繰り返され、間歇エアブローが行われる。
【0037】
動作状態測定装置10は、空気圧式論理装置72の出口ポート76とパイロット圧式開閉弁50のパイロット圧ポート56とを接続する通路12及び通路12の圧力、つまりパイロット圧Pを検出する半導体式の圧力センサ14と、圧力センサ14が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するコンパレータ16と、コンパレータ16からデジタル信号を入力する演算装置18と、表示器20と、LED駆動回路38と、LEDランプ40と、動作状態測定装置10を上位コンピュータ140に接続するために外部接続用端子22とを含む。
【0038】
動作状態測定装置10は、電源バッテリ26を含み、動作状態測定装置10の全電気素子、機器の電源をなし、電源スイッチ24によってオンオフされる電源回路28を内蔵している。これにより、動作状態測定装置10は、外部電源、外部配線が必要でなく、空気圧論理式の間歇エア発生装置と同様に、電源を取ることが困難な既設環境での設置に適合する。
【0039】
コンパレータ16は圧力センサ14によって検出されるパイロット圧Pが高値である時にはハイ信号(1)を出力し、パイロット圧Pが低値である時にはロー信号(0)を出力する。
【0040】
LED駆動回路38は、コンパレータ16よりハイ・ロー信号を入力し、ハイ・ロー信号に基づいてLEDランプ40の点滅する制御を行う。
【0041】
これにより、低値と高値のパイロット圧Pが交互に発生している時にはLEDランプ40が点滅する。作業者はLEDランプ40の点灯状態を見ることにより、間歇エア発生装置が実際に間歇動作しているか否かを的確に確認することができる。
【0042】
演算装置18は、マイクロコンピュータ等を含む電子制御式のものであり、所定時間当たりの、例えば1分間当たりのハイ信号或いはロー信号の個数をカウントして空気圧発振装置70の間歇動作の周波数を演算する。
【0043】
また、演算装置18は、1周期ごと或いは所定周期ごとのハイ信号とロー信号との合計時間とロー信号の時間との比率から連続噴出に対する圧縮空気の削減率を演算する。削減率は、ハイ信号の時間とロー信号の時間とのデューティ比をdとした場合、1-dに相当する百分率の値(%)である。例えば、ハイ信号の時間が3秒で、ロー信号の時間が2秒の時には削減率は40%になる。
【0044】
演算装置18は、周波数及び削減率を表示するための信号を表示器20に出力する。表示器20は、7セグメントLEDや液晶ディスプレイ等によるものであってよく、図2に示されているように、周波数及び削減率を数値で表示し、周波数及び削減率を可視化する。
【0045】
これより、作業者は、表示器20の表示を見ることにより、間歇エア発生装置の間歇動作の周波数及び圧縮空気の削減率をリアルタイムで定量的に正確に把握することができる。
【0046】
作業者は、表示器20の表示を見ながら、オン時間調整ダイヤル116及びオフ時間調整ダイヤル118を操作することにより、ダイヤル操作に対する間歇動作の周波数及び圧縮空気の削減率の変化をリアルタイムで定量的に正確に知ることができ、適切な除塵効果を期待できる最適なエアブロー状態が得られる間歇動作の周波数及び削減率を見出すことができる。
【0047】
これにより、キャリブレーション時には、表示器20に周波数及び削減率が表示された状態で、低値のパイロット圧を発生する時間及び高値のパイロット圧を発生する時間の設定が行われることにより、キャリブレーションが作業性よく正確に行われ得るようになる。初めて間歇エアブローを導入するときには、その用途に最適な間歇エアブローの条件(周波数、デューティ比)は分かっていないが、動作状態測定装置10が活用されれば、条件と結果の照合が可能になり、より効果的な間歇エアブローの利用が可能になる。
【0048】
尚、周波数や削減率が規定範囲から外れた場合には、表示器20の表示色を緑色から赤色に変更したり、連続表示から点滅表示に変更したり、エラーを示す「E」表示をしたりすることもできる。
【0049】
演算装置18によって演算された周波数及び削減率は外部接続用端子22から上位コンピュータ140に送信される。上位コンピュータ140は、演算装置18からの周波数及び削減率をモニタ(不図示)に画面表示すると共に、これらの情報をロギングし、累積動作時間等を演算してモニタ(不図示)に画面表示するものであってよい。
【0050】
動作状態測定装置10と上位コンピュータ140との間のデータ通信は、ケーブル或いは無線の何れかによって行われてよい。また、上位コンピュータ140モニタ(不図示)に周波数及び削減率が画面表示される場合には、動作状態測定装置10の表示器20が省略されてもよい。
【0051】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態2を、図3を参照して説明する。尚、図3において、図1に対応する部分は、図1に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0052】
実施形態2では、圧力センサ14のみが空気圧発振装置70とパイロット圧式開閉弁50との間に配置され、コンパレータ16、演算装置18、表示器20、電源スイッチ24及び電源バッテリ26を含む電源回路28等は、間歇エア発生装置とは別置きのケーシング42に設けられている。圧力センサ14はコネクタ30を有するケーブル32によってケーシング42の電源回路28及びコンパレータ16に電気的に接続されている。
【0053】
実施形態2では、ケーシング42の置き場所によって間歇エア発生装置やエアブローノズル130に対する表示器20の設置場所の自由度が増し、作業者が見やすい位置に表示器20を設置することができる。
【0054】
ケーシング42は作業者が持ち歩きできる携帯可能なものであってもよい。この場合には、複数箇所にある間歇エア発生装置に対して動作状態測定装置10が共用され、各間歇エア発生装置に対して個別の動作状態測定装置10を準備する必要がなくなる。
【0055】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態3を、図4を参照して説明する。尚、図4において、図1及び図3に対応する部分は、図1及び図3に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0056】
実施形態3では、圧力センサ14側と別置きのケーシング42側とに無線による通信装置34、36が設けられ、圧力センサ14の出力信号が無線によってコンパレータ16に送信される。
【0057】
実施形態3ではケーブル32が不要になり、表示器20の設置場所の自由度がより一層増大する。
【0058】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態4を、図5を参照して説明する。尚、図5において、図1に対応する部分は、図1に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0059】
実施形態4では、動作状態測定装置10がパイロット圧式開閉弁50の出口ポート54側に設置されている。圧力センサ14は出口ポート54とエア機器であるエアガン60とを接続する通路66の空気圧(パイロット圧式開閉弁50の出口ポート54の空気圧)を検出する。エアガン60は圧縮空気を噴射するためのエアノズル64及びエアノズル64に通路を開閉するトリガ弁62を有する。
【0060】
実施形態4では、圧力センサ14が検出する空気圧が実施形態1と相違するだけで、このこと以外は実施形態1と同じである。パイロット圧式開閉弁50の出口ポート54の空気圧はパイロット圧Pと等価であるから、実施形態4でも実施形態1と同等の作用、効果が得られる。
【0061】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態5を、図6を参照して説明する。尚、図6において、図1及び図5に対応する部分は、図1及び図5に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0062】
実施形態5は実施形態4の具体的な構造を示す実施形態である。実施形態5では、動作状態測定装置10の圧力センサ14、コンパレータ16、演算装置18、電源回路(不図示)等が間歇エア発生装置とは個別のケーシング44内に設けられ、ケーシング44に表示器20が取り付けられている。
【0063】
ケーシング44がパイロット圧式開閉弁50の鉄製等の常磁性を有するハウジング51に対向する面には磁石片46が取り付けられている。ケーシング44は磁石片46がハウジング51に磁気的に吸着することによりハウジング51に固定される。
【0064】
この固定によってケーシング44に設けられた通路66或いは出口ポート54に連通すべくハウジング51に設けられた出口通路58とがOリング68によって気密状態で連通する。
【0065】
実施形態5では、既存の間歇エア発生装置に動作状態測定装置10を容易に後付けすることができる。
【0066】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態6を、図7を参照して説明する。尚、図7において、図5及び図6に対応する部分は、図5及び図6に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0067】
圧力センサ14は、パイロット圧式開閉弁50に設けられた出口通路58の流体圧を検出すべく、パイロット圧式開閉弁50のハウジング51に設けられている。
【0068】
動作状態測定装置10のケーシング44には、コンパレータ16、演算装置18、表示器20、電源回路(不図示)が設けられている。パイロット圧式開閉弁50のハウジング51に対するケーシング44の取り付けは、ケーシング44に取り付けられている磁石片46がハウジング51に磁気的に吸着することにより、着脱可能に行われる。圧力センサ14とコンパレータ16との間の電機的な接続は、ケーシング44及びハウジング51に取り付けられた抜き差し可能なコネクタ30によって行われる。
【0069】
ケーシング44は作業者が持ち歩きできる携帯可能なものであってもよい。この場合には、複数箇所にある間歇エア発生装置に対して動作状態測定装置10が共用され、各間歇エア発生装置に対して個別の動作状態測定装置10を準備する必要がなくなる。
【0070】
尚、この実施形態は、圧力センサ14がパイロット圧Pを検出すべく空気圧発振装置70に設けられるものにも同様に適用可能である。
【0071】
本発明による間歇エア発生装置のための動作状態測定装置の実施形態7を、図8を参照して説明する。尚、図8において、図7に対応する部分は、図7に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0072】
パイロット圧式開閉弁50のハウジング51には、圧力取出通路53によって出口通路58に連通し、ハウジング51の外部に向けて開口した圧力取出ポート55が形成されている。圧力取出ポート55にはパイロット圧式開閉弁50の出口ポート54の圧力が導かれる。
【0073】
動作状態測定装置10のケーシング44には、圧力センサ14、コンパレータ16、演算装置18、表示器20、電源回路(不図示)が設けられている。パイロット圧式開閉弁50のハウジング51に対するケーシング44の取り付けは、実施形態と同様に、ケーシング44に取り付けられている磁石片46がハウジング51に磁気的に吸着することにより、着脱可能に行われる。

【0074】
ケーシング44には圧力取出ポート55に連通接続される圧力取入ポート45が形成されている。圧力センサ14は圧力取入ポート45に現れるパイロット圧式開閉弁50の圧力取出通路53の空気圧を検出する。
【0075】
本実施形態7でも、ケーシング44は、実施形態6と同様に、作業者が持ち歩きできる携帯可能なものであってもよい。この場合にも、複数箇所にある間歇エア発生装置に対して動作状態測定装置10が共用され、各間歇エア発生装置に対して個別の動作状態測定装置10を準備する必要がなくなる。また、本実施形態7では、パイロット圧式開閉弁50に圧力取出通路53及び圧力取出ポート55を追加するだけでよいから、既存のパイロット圧式開閉弁50に対する設定変更が少なくて済み、既存のパイロット圧式開閉弁50に対する動作状態測定装置10の適用が容易である利点がある。
【0076】
尚、パイロット圧式開閉弁50から動作状態測定装置10が取り付けられている時には、圧力取出ポート55が着脱可能なプラグ(不図示)によって塞がれていればよい。
【0077】
圧力取入ポート45と圧力取出ポート55との連通接続は、直接接続でなくて、チューブ等によって行われてよい。この場合には、動作状態測定装置10のケーシング44をパイロット圧式開閉弁50のハウジング51に取り付ける必要がなくなる。
【0078】
尚、この実施形態も、圧力取出通路53及び圧力取出ポート55がパイロット圧Pを検出すべく空気圧発振装置70に設けられるものにも同様に適用可能である。
【0079】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0080】
例えば、演算装置18は圧縮空気が出力されるオン時間と圧縮空気が出力されないオフ時間からデューティ比を演算し、表示器20はデューティ比を表示するものであってもよい。表示器20は、周波数、削減率、デューティ比の一つのみを表示するものであっても、表示切替ボタン等によって周波数、削減率、デューティ比の一つが選択的に表示するものであってもよい。動作状態計測装置の電源は外部電源であってもよい。動作状態測定装置10は、演算装置18及び表示器20が省略され、圧力センサ14、電源スイッチ24と電源バッテリ26とを含む電源回路28、コンパレータ16及びLED駆動回路38により駆動されるLEDランプ40のみであってもよい。
【0081】
パイロット圧式開閉弁50は、ノーマルクローズ型の開閉弁に限られることはなく、ノーマルオープン型の開閉弁であってもよい。
【0082】
本発明の動作状態計測装置は、上述の実施形態の間歇エア発生装置に対する適用に限られることはなく、WO2016/063499パンフレットに示されているような間歇エア発生装置にも適用することができる。
【0083】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 :動作状態測定装置
12 :通路
14 :圧力センサ
16 :コンパレータ
18 :演算装置
20 :表示器
22 :外部接続用端子
24 :電源スイッチ
26 :電源バッテリ
28 :電源回路
30 :コネクタ
32 :ケーブル
34 :通信装置
36 :通信装置
38 :LED駆動回路
40 :LEDランプ
42 :ケーシング
44 :ケーシング
45 :圧力取入ポート
46 :磁石片
50 :パイロット圧式開閉弁
51 :ハウジング
52 :入口ポート
53 :圧力取出通路
54 :出口ポート
55 :圧力取出ポート
56 :パイロット圧ポート
58 :出口通路
60 :エアガン
62 :トリガ弁
64 :エアノズル
66 :通路
68 :Oリング
70 :空気圧発振装置
72 :空気圧式論理装置
74 :入口ポート
76 :出口ポート
78 :排気ポート
80 :弁ケーシング
82 :内部通路
84 :第1の弁座部
85 :内部通路
86 :第2の弁座部
88 :弁体
90 :圧縮コイルばね
92 :ダイヤフラム室
94 :ダイヤフラム
96 :ランド部
98 :内部通路
100 :パイロット圧導入ポート
102 :外部通路
104 :可変絞り弁
106 :逆止弁
110 :可変絞り弁
112 :逆止弁
116 :オン時間調整ダイヤル
118 :オフ時間調整ダイヤル
120 :リザーバタンク
130 :エアブローノズル
140 :上位コンピュータ
150 :圧縮空気圧源
152 :手動開閉弁
154 :供給パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8