(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気化学セルモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20221219BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20221219BHJP
H01M 50/204 20210101ALN20221219BHJP
H01M 50/242 20210101ALN20221219BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/262 E
H01M50/204 401H
H01M50/242
(21)【出願番号】P 2021504057
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008397
(87)【国際公開番号】W WO2020179690
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2019040487
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 克文
(72)【発明者】
【氏名】岩本 祥平
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0164077(US,A1)
【文献】特開2018-006285(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03133669(EP,A1)
【文献】特開2019-125455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/211
H01M 50/262
H01M 50/204
H01M 50/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に第1凹部を有する主面板及び前記主面板と接する側面板を有する筐体と、
前記筐体の内部に位置し、主面を有する板状の電気化学セルと、
前記筐体の内部に位置し、前記第1面に対向し、前記主面に接する押圧板と、
前記第1凹部の内部に一方の端部が位置し、前記押圧板および前記主面板を押圧するバネと、を備え
、
前記第1凹部の底面が貫通孔を有する電気化学セルモジュール。
【請求項2】
前記押圧板は、前記電気化学セルと接する第2面と前記第2面と反対側の第3面を有し、
前記押圧板は、前記第3面に第2凹部を有しており、
前記バネは、他方の端部が前記第2凹部の内部に位置している請求項1に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項3】
前記押圧板は、前記第3面上に第1凸部を有している請求項2に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項4】
前記主面板は、第2凸部を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項5】
前記主面板は、前記第1面に垂直な方向から見たときに、長辺と短辺とを有する長方形状であり、
前記主面板は、前記長辺で前記筐体の側面板に固定されており、
前記第2凸部が、前記長辺に交差する方向に沿って位置している請求項4に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項6】
前記主面板は、前記第1面の反対側に第4面を有しており、
前記主面板は、前記第4面のうち、前記第1凹部の底面の反対側に位置する第1部分と、前記側面板に接している第2部分と、を有しており、
前記第1部分が前記第2部分よりも前記筐体の内側に位置している請求項1~5のいずれか一項に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項7】
前記押圧板と前記バネとが接合材を介して接している請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項8】
前記主面板と前記バネとが接合材を介して接している請求項1~7のいずれか一項に記載の電気化学セルモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学セルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気化学セルモジュールとして、例えば、特許文献1に記載の電気化学セルモジュールが提案されている。特許文献1に記載の電気化学セルモジュールは、積層された複数の角型電池を有している。複数の角型電池は、それぞれ扁平な直方体形状である。また、特許文献1に記載の電気化学セルモジュールは、一対の押圧プレートとバネとを有している。一対の押圧プレートは、バネによって、複数の角型電池を加圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の電気化学セルモジュールは、筐体と、電気化学セルと、押圧板と、バネと、を備える。筐体は、第1面に第1凹部を有する主面板及び前記主面板と接する側面板を有する。電気化学セルは、前記筐体の内部に位置し、主面を有する板状である。押圧板は、前記筐体の内部に位置し、前記第1面に対向し、前記主面に接する。バネは、前記第1凹部の内部に位置し、前記押圧板および前記主面板を押圧する。前記第1凹部の底面は、貫通孔を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
【
図1】電気化学セルモジュールX1の斜視図を示す。
【
図2】
図1の電気化学セルモジュールX1をII-II線で切断した断面図を示す。
【
図4】
図3の電気化学セルをIV-IV線で切断した断面図を示す。
【
図6】電気化学セルモジュールから主面板を取り出し、主面板を第1面に垂直な方向から見たときの平面図を示す。
【
図7】電気化学セルモジュールX2における、
図2に対応する断面図を示す。
【
図9】電気化学セルモジュールから押圧板を取り出し、押圧板を第3面に垂直な方向から見たときの平面図を示す。
【
図10】電気化学セルモジュールX3の斜視図を示す。
【
図11】
図10の電気化学セルモジュールX3をXI-XI 線で切断した断面図を示す。
【
図12】電気化学セルモジュールX4の
図7に対応する断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
電気化学セルモジュールX1について
図1及び
図2を用いて詳細に説明する。電気化学セルモジュールは、
図1及び
図2に示すように、主面板7と側面板8とを有する筐体5と、第1電気化学セル1と、第2電気化学セル11と、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11に接し、主面板7と対抗する押圧板10と、押圧板10と主面板7とを押圧するバネ16と、を有している。
【0007】
図3および
図4に示すように、第1電気化学セル1は、電気化学セルモジュール内で電池として機能するための部材である。第1電気化学セル1は、例えば、リチウムイオン電池である。第1電気化学セル1は、第1発電要素2と、第1包装体3と、第1端子4と、を備えている。第1電気化学セル1は、例えば、板状である。第1電気化学セル1は、外部装置に電気的に接続することによって、外部装置に電気を流すことができる。
【0008】
第1発電要素2は、電気化学反応を利用して電気を蓄え、放出するための部材である。第1発電要素2は、例えば、正極2aと、負極2bと、正極2a及び負極2bの間にあるセパレータ2cと、を備えている。第1発電要素2は、セパレータ2cを通して、正極2aと負極2bとの間で陽イオン及び陰イオンを交換することができる。第1発電要素2は、正極2a及び負極2bと外部装置とを電気的に接続することによって、外部装置に電気を流すことができる。
【0009】
第1発電要素2は、例えば、正極2aとセパレータ2cと負極2bとを積層したものである。第1発電要素2は、例えば、板状である。第1発電要素2は、例えば、板状の厚み方向に正極2aとセパレータ2cと負極2bとが積層されている。
【0010】
正極2aと負極2bとは、例えば、電気化学的に活性な物質である。正極2aと負極2bとは、例えば、活物質及び電解質を有していてもよい。電解質としては、例えば、溶剤または溶剤混合液に塩を加えたものを用いることができる。
【0011】
具体的には、正極2aと負極2bとしては、例えば、「Semi-Solid Electrodes Having High Rate Capability」と題された米国仮特許出願第61/787,382及び「Asymmetric Battery Having a Semi-Solid Cathode and High Energy Density Anode」と題された米国仮特許出願第61/787,372において記載されている活性物質及び電解質を用いることができる。正極2aと負極2bとは、例えば、添加剤を有していてもよい。
【0012】
セパレータ2cは、正極2aと負極2bとの間で陽イオンと陰イオンとを交換するために設けられている部材である。セパレータ2cは、例えば、陽イオンと陰イオンとが通過するための微細な穴が開いていてもよい。セパレータ2cは、例えば、多孔質の絶縁材料を用いることができる。具体的には、セパレータ2cとして、例えば、ポリオレフィンまたは塩化ポリビニルを用いることができる。発電要素は、セパレータ2cを有していることによって、正極2aと負極2bとを電気的に絶縁することができる。
【0013】
第1発電要素2は、板状の場合は、例えば、縦50~500mm、横50~300mmおよび厚み0.1~2.0mmに設定できる。
【0014】
第1包装体3は、第1発電要素2を包装体の内側に包むための空間を有する部材である。第1包装体3は、外部環境から第1発電要素2を保護するために設けられている。より具体的には、第1包装体3は、外部環境から第1発電要素2を電気的に絶縁するために設けられている。第1包装体3は、第1発電要素2全体を覆うように設けられている。
【0015】
また、第1包装体3は、例えば、平たい袋形状である。第1包装体3は、例えば、ラミネートフィルムを平たい袋形状にすることで形成されている。また、第1包装体3は、例えば、2つのラミネートフィルムを溶着して形成されていてもよい。第1包装体3は、例えば、正極2aとセパレータ2cと負極2bとの積層方向から見たときに、長方形状であってもよい。
【0016】
第1包装体3は、例えば、絶縁材料を有している。これにより、第1包装体3を介して、外部環境と第1発電要素2とが短絡することなく、第1包装体3が外部環境から第1発電要素2を保護することができる。第1包装体3は、例えば、樹脂材料を有している。より具体的には、樹脂材料には、例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレン等を用いることができる。
【0017】
また、第1包装体3は、例えば、多層構造を有していてもよい。具体的には、第1包装体3は、例えば、熱接着性樹脂材料と耐熱性樹脂材料とを有している。熱接着性樹脂材料は、具体的には、融解する温度が150℃より低い樹脂材料である。また、耐熱性樹脂材料は、具体的には、融解する温度が150℃以上300℃以下の樹脂材料である。耐熱性樹脂材料には、例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタレート等を用いることができる。熱接着性樹脂材料には、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等を用いることができる。
【0018】
第1端子4は、第1発電要素2と外部装置とを電気的に接続するために設けられている。第1端子4は、例えば、板状である。具体的には、第1端子4は、例えば、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向から見たときに、四角形状である。第1端子4は、例えば、長方形状であってもよい。長方形状は、例えば、長辺と短辺とを有していてもよい。
【0019】
第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向から見たときに、第1端子4は、第1発電要素2に接触している。第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向から見たときに、第1端子4は、第1発電要素2の外周のいずれかの辺に位置している。また、第1端子4は、外部装置に電気的に接続されるために、第1電気化学セル1よりも外に伸びている。また、第1端子4は、第1電気化学セル1よりも外で外部接続端子と電気的に接続されている。
【0020】
第1端子4は、例えば、導電性部材である。第1端子4は、例えば、金属材料を有していてもよい。より具体的には、金属材料としては、例えば、アルミニウムまたは銅等を用いることができる。第1端子4は、板形状である場合は、例えば、縦30~100mm、横10~100mmおよび厚み0.1~0.5mmに設定できる。
【0021】
第2電気化学セル11は、第1電気化学セル1と同様に、外部装置に電気を流すために設けられている。電気化学セルモジュールでは、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とが並列に接続されている。これにより、電気化学セルモジュールの容量を多くすることができる。また、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とが直列に接続されていてもよい。これにより、電気化学セルモジュールの電圧を高めることができる。
【0022】
第2電気化学セル11と第1電気化学セル1とは、例えば、筐体5内で積層されている。第2電気化学セル11は、第2発電要素12と、第2包装体13と、第2端子14と、を備えている。第2電気化学セル11は、電気化学セルモジュールにおいては、第1電気化学セル1と同じ形状である。ただし、第2電気化学セル11は、例えば、第1電気化学セル1と異なる形状であってもよい。電気化学セルモジュールにおいては、第2電気化学セル11は、第1電気化学セル1と外周を揃えて積層されている。なお、第2電気化学セル11は、第1電気化学セル1と外周を揃えずに積層されていてもよい。
【0023】
第1発電要素2と第2発電要素12とは、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向から見たときに、それぞれの長辺及びそれぞれの短辺を揃えて積層されている。また、第1包装体3と第2包装体13とは、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向から見たときに、それぞれの長辺及びそれぞれの短辺を揃えて積層されている。
【0024】
第2発電要素12としては、例えば、第1発電要素2に用いられる材料を用いることができる。より具体的には、第2発電要素12は、第1発電要素2と同じ材料で形成されていてもよい。また、第2発電要素12としては、例えば、第1発電要素2と異なる材料を用いてもよい。
【0025】
第2包装体13は、第1包装体3と同じ形状である。ただし、第2包装体13は、例えば、第1包装体3と異なる形状であってもよい。第2包装体13としては、例えば、第1包装体3に用いられる材料を用いることができる。より具体的には、第2包装体13は、第1包装体3と同じ材料を用いてもよい。また、第2包装体13としては、例えば、第1包装体3と異なる材料を用いてもよい。
【0026】
第2端子14は、第1端子4と同じ形状である。ただし、第2端子14は、例えば、第1端子4と異なる形状であってもよい。第2端子14としては、例えば、第1端子4に用いられる材料を用いることができる。より具体的には、第2端子14は、第1端子4と同じ材料を用いてもよい。また、第2端子14としては、例えば、第1端子4と異なる材料を用いてもよい。
【0027】
第2電気化学セル11は、例えば、第1電気化学セル1と同じ寸法に設定できる。また、第2電気化学セル11は、例えば、第1電気化学セル1と異なる寸法であってもよい。
【0028】
筐体5は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とを筐体5の内側に収容するための空間を有する部材である。筐体5は、外部環境から第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とを保護するための部材である。より具体的には、筐体5は、外部環境から受ける外力から第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とを保護するための部材である。筐体5は、例えば、箱形状である。筐体5は、例えば、1つの部材を直方体形状にすることで形成されていてもよい。また、筐体5は、例えば、2つ以上の部材を組み合わせて形成されていてもよい。
【0029】
筐体5は、例えば、金属材料を有している。これにより、筐体5の剛性が大きくなり、外部環境からの外力を第1電気化学セル1及び第2電気化学セル11に伝わりにくくすることができ、筐体5は外部環境から第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とを保護することができる。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス等を用いることができる。これにより、電気化学セルで発生した熱が筐体5に伝わりやすくなり、放熱効率を向上させることができ、電池としての特性が低下する可能性を低減することができる。
【0030】
筐体5は、例えば、複数の部材を有していてもよい。筐体5は、例えば、2つの主面板7と2つの側面板8と底面板9と端子カバー6とを有していてもよい。具体的には、筐体5は金属材料と樹脂材料との組み合わせであってもよい。
【0031】
端子カバー6は、積層された第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とのそれぞれの端子を保護するために設けられている。そのため、端子カバー6は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とが積層された端子側に面している。端子カバー6は、例えば、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との端子側から見たときに、長方形状であってもよい。端子カバー6は、例えば、樹脂材料であってもよい。具体的には、樹脂材料は、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタレート等を用いることができる。端子カバー6の寸法は、例えば、長方形状である場合、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.1mm~5mmであってもよい。
【0032】
主面板7は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とのそれぞれの主面を保護するために設けられている。そのため、主面板7は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との主面に面している。主面板7は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とが積層されている方向から見て、長方形状であってもよい。主面板7は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、具体的には、例えば、アルミニウムまたはステンレス等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11で発生した熱が外部へ伝わりやすくなり、電池の特性が低下する可能性を低減することができる。
【0033】
また、主面板7は、例えば、樹脂材料を用いてもよい。樹脂材料としては、例えば、融点が高い耐熱性樹脂材料を用いることができる。耐熱性樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11と外部環境とが短絡してしまう可能性を低減することができる。主面板7の寸法は、長方形状である場合、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.5mm~5mmであってもよい。
【0034】
また、主面板7は、第1面A1を有している。第1面A1は、筐体5の内側に向いている。第1面A1は、例えば、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11に対向していてもよい。また、主面板7は、第1面A1上に第1凹部15を有している。第1凹部15は、バネ16を固定するために設けられている。第1面A1に垂直な方向から見たときに、第1凹部15は、例えば、円形であってもよい。第1凹部15の寸法は、例えば、第1面A1に垂直な方向から見たときに円形である場合には、例えば、直径5mm~40mm、深さ1mm~30mmであってもよい。第1凹部15は、例えば、主面板7をプレス成型して形成してもよい。また、第1凹部15の機能および形状の詳細については後述する。
【0035】
側面板8は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とのそれぞれの側面側を保護するために設けられている。そのため、側面板8は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との側面に面している。また、側面板8は、例えば、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とに接していてもよい。側面板8は、例えば、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との側面に垂直な方向から見て、長方形状であってもよい。また、側面板8は、例えば、金属材料を用いることができる。側面板8は、具体的には、例えば、アルミニウムまたはステンレス等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とで発生した熱を外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電池の特性が低下する可能性を低減することができる。
【0036】
また、側面板8は、例えば、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、耐熱性樹脂材料を用いることができる。耐熱性樹脂材料としては、例えば、PET等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11と外部環境とが短絡してしまう可能性を低減することができる。側面板8の寸法は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との側面に垂直な方向から見たときに長方形状である場合、例えば、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.5mm~5mmであってもよい。
【0037】
底面板9は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との端子が出ている面と反対側の面を保護するために設けられている。そのため、底面板9は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との端子が出ている面と反対側の面と接していてもよい。底面板9は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との端子が出ている面と反対側の面に垂直な方向から見たときに、長方形状であってもよい。また、底面板9は、例えば、金属材料が用いられてもよい。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス等が用いられてもよい。これにより、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とから発生した熱を外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電池としての特性が低下する可能性を低減することができる。
【0038】
また、底面板9としては、例えば、樹脂材料が用いられてもよい。樹脂材料としては、例えば、耐熱性樹脂材料を用いることができる。耐熱性樹脂材料としては、例えば、PET等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11と外部環境とが短絡してしまう可能性を低減することができる。また、底面板9は、側面板8もしくは主面板7の一部を折り曲げることで底面板9としてもよい。底面板9の寸法は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との端子が出ている面と反対側の面に垂直な方向から見たときに長方形状である場合は、縦200mm~600mm、横50mm~300mm、および厚み0.5mm~5mmであってもよい。
【0039】
押圧板10は、第1電気化学セル1及び第2電気化学セル11に圧力を加えるために設けられている。押圧板10は、筐体5の内側に位置しており、主面板7と第1電気化学セル1または第2電気化学セル11との間に位置している。押圧板10は、例えば、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11に接していてもよい。第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向から見たときに、押圧板10は、例えば、長方形状であってもよい。
【0040】
また、押圧板10は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11とから発生した熱を外部へ伝わりやすくすることができる。その結果、電池の特性が低下する可能性を低減することができる。
【0041】
また、押圧板10としては、例えば、樹脂材料が用いられてもよい。樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、PET等を用いることができる。これにより、第1電気化学セル1及び第2電気化学セル11と外部環境とを電気的に絶縁することができるため、第1電気化学セル1及び第2電気化学セル11と外部環境とが短絡する可能性を低減することができる。
【0042】
押圧板10は、電気化学セルと接する第2面A2と、第2面A2と反対側の第3面A3と、を有している。押圧板10の第3面A3は、主面板の第1面A1に対向している。押圧板10は、第1電気化学セル1と第2電気化学セル11との積層方向に沿って移動可能である。また、押圧板10は、例えば、第3面A3上に第2凹部17を有していてもよい。第2凹部17は、第3面A3に垂直な方向から見て、円形である。また、第2凹部17は、例えば、第3面A3に垂直な方向から見て、四角形状であってもよい。第2凹部17は、例えば、第3面A3に垂直な方向から見たときに円形状であった場合、直径5mm~40mm、深さ1mm~50mmであってもよい。第2凹部17は、例えば、押圧板10をプレス成型して形成してもよい。また、第2凹部17の機能および形状の詳細については後述する。
【0043】
バネ16は、主面板7と押圧板10とを押圧するための部材である。そのため、バネ16は、主面板7と押圧板10との間に位置している。バネ16は、例えば、弾性体であってもよい。バネ16は、具体的には、らせん形状のコイルバネであってもよい。また、バネ16は、例えば、曲がった板形状の板バネであってもよい。バネ16は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、鋼またはステンレスを用いることができる。バネ16の寸法は、例えば、らせん形状の場合は、直径5mm~40mmで、長さは、1mm~50mmで、ピッチは0.5mm~5mmであってもよい。
【0044】
また、バネ16は一方の端部と他方の端部とを有している。バネ16の一方の端部は、主面板7に接している。また、バネ16の他方の端部は、押圧板10に接している。
【0045】
バネ16の一方の端部は、主面板7の第1面A1上に位置する第1凹部15の内部に位置している。これにより、第1凹部15の側面15aは、バネ16の一方の端部の位置ずれを抑えることができる。そのため、主面板7と押圧板10との間でバネ16をずれにくくすることができる。これにより、バネ16は、押圧板10に適切な圧力を加えることで、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11に適切な圧力を加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0046】
第1凹部15は、
図2に示すように、第1面A1に垂直な断面を見たときに、例えば、長方形状であってもよい。第1凹部15は、例えば、断面の形状が長方形状のとき、長方形の長辺が深さ方向に位置していてもよい。これにより、第1凹部15の側面15aがバネ16の端部を固定しつつ、バネ16の他の部分もずれにくくすることができる。そのため、バネ16が適切な圧力を押圧板10に加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0047】
また、第1凹部15は、
図5に示すように、第1凹部15の側面15aが第1凹部15の底面15bに対して90°よりも大きくまたは小さく傾斜していてもよい。第1凹部15の側面15aと第1凹部15の底面15bとが成す角度は、例えば、90°以下であってもよい。この場合、バネ16のうち、底面15bに接する部分の径が第1凹部15の開口に位置する部分の径よりも大きくてもよい。これにより、第1凹部15の底面15bに接するバネ16の端部を第1凹部15の側面15aに引っ掛けることができるので、バネ16の位置ずれを抑えることができる。そのため、バネ16が適切な圧力を押圧板10に加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0048】
第1凹部15は、例えば、主面板7の第1面A1上に複数あってもよい。また、複数の第1凹部15は、
図6に示すように、主面板7の長辺に沿って位置していてもよい。複数の第1凹部15は、例えば、
図6に示すように、長辺方向及び短辺方向に均等な間隔をあけて第1面A1上に位置していてもよい。これにより、バネ16は第1電気化学セル1および第2電気化学セル11に均一に圧力を加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0049】
バネ16の他方の端部は、例えば、押圧板10の第3面A3上に位置する第2凹部17の内部に位置していてもよい。これにより、主面板7と押圧板10との間でバネ16をずれにくくすることができる。そのため、バネ16が押圧板10に加える力を均一にすることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0050】
第2凹部17は、
図7に示すように、第3面A3に垂直な断面を見たときに、例えば、長方形状であってもよい。第2凹部17は、例えば、断面の形状が長方形状のとき、長方形の長辺が深さ方向に位置していてもよい。これにより、第2凹部17の側面17aがバネ16の端部を固定しつつ、バネ16の他の部分もずれにくくすることができる。そのため、バネ16が適切な圧力を押圧板10に加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0051】
また、第2凹部17は、
図8に示すように、第2凹部17の側面17aが第2凹部17の底面17bに対して傾斜していてもよい。第2凹部17の側面17aと第2凹部17の底面17bとが成す角度は、例えば、90°以下であってもよい。これにより、第2凹部17の側面17aがバネ16の位置ずれをより抑えることができる。そのため、バネ16が適切な圧力を押圧板10に加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0052】
第2凹部17は、例えば、押圧板10の第3面A3上に複数あってもよい。また、複数の第2凹部17は、
図9に示すように、押圧板10の長辺に沿って位置していてもよい。複数の第2凹部17は、例えば、
図9に示すように、長辺方向及び短辺方向に均等な間隔をあけて第3面A3上に位置していてもよい。これにより、バネ16は第1電気化学セル1および第2電気化学セル11に均一に圧力を加えることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の寿命が短くなる可能性を低減することができる。
【0053】
押圧板10は、例えば、第3面A3上に第1凸部18を有していてもよい。第1凸部18は、例えば、第3面A3上の一方向に延びていてもよい。これにより、外部からの応力が押圧板10に加わっても、第1凸部18に交差する方向に押圧板10が折れてしまう可能性を低減することができる。第1凸部18は、例えば、第3面A3に垂直な方向から見たときに、帯形状であってもよい。
【0054】
また、第1凸部18は、例えば、押圧板10の長辺に交差する方向に沿って位置していてもよい。これにより、押圧板10の短辺に交差する方向に押圧板10が折れてしまう可能性を低減することができる。第1凸部18は、例えば、複数あってもよい。複数の第1凸部18は、例えば、
図9に示すように、第1凸部18同士の間隔を均等に空けて第3面A3上に位置していてもよい。
【0055】
第1凸部18は、例えば、金属材料が用いられてもよい。金属材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス等を用いることができる。また、第1凸部18は、例えば、押圧板10と同じ材料が用いられてもよい。第1凸部18は、例えば、一枚の押圧板10を曲げ加工することで形成されてもよい。第1凸部18の寸法は、例えば、第3面に垂直な方向から見たときに、縦1mm~50mm、横1mm~50mm、および高さ1mm~50mmであってもよい。
【0056】
主面板7は、例えば、第2凸部19を有していてもよい。第2凸部19は、例えば、第1面A1上に位置していてもよい。また、主面板7は、第1面A1と反対側に第4面A4を有していてもよい。第2凸部19は、例えば、第4面A4上に位置していてもよい。これにより、外部から加わる応力を第2凸部19に分散させることができるため、主面板7が破損する可能性を低減することができる。第2凸部19は、例えば、第1面A1に垂直な方向から見たときに、帯形状であってもよい。第2凸部19は、例えば、金属材料を用いることができる。金属材料としては、アルミニウムまたはステンレス等を用いてもよい。第2凸部19は、例えば、主面板7と同じ材料を用いて設けられていてもよい。第2凸部19は、例えば、一枚の主面板7を曲げ加工することで形成されてもよい。
【0057】
第2凸部19は、例えば、主面板7が長方形状である場合、主面板7の長辺に交差する方向に沿って位置していてもよい。これにより、主面板7の長辺と側面板8とが固定されている場合に、主面板7が長辺に交わる方向に曲がる可能性を低減することができる。その結果、筐体5が破損する可能性を低減することができる。第2凸部19の寸法は、例えば、縦1mm~50mm、横1mm~50mm、高さ1mm~50mmであってもよい。
【0058】
主面板7は、第1面A1の反対側に第4面A4を有している。すなわち、第4面A4は、筐体5の外側に向いている面である。主面板7は、第4面A4のうち、第1凹部15の底面15bの反対側に位置する第1部分22を有している。また、主面板7は、第4面A4のうち、側面板8に接している第2部分23を有している。
図11に示すように、第4面A4は、第2部分23Aと第2部分23Bとを有している。また、第4面A4は、第1部分22と第2部分23以外の第3部分24を有している。側面板8は、主面板7側の辺が折り曲げられており、第4面A4上で主面板7に固定されていてもよい。
【0059】
ここで、第1部分22は、
図11に示すように、領域Sに位置している。ここで、領域Sとは、筐体5を底面板9に平行な面で断面視したときに、第2部分23Aと第2部分23Bとを結んだ線分と第3部分24とに挟まれた領域のことを意味している。すなわち、第1部分22は、第2部分23よりも筐体5の内側に位置している。そのため、第1部分22がバネ16からの応力を受け、筐体5の外側に向かって変形したとしても、第1部分22が
図11の領域Sから外に出にくくすることができる。その結果、第1部分22が外部環境にぶつかりにくくすることができるため、筐体5が破損する可能性を低減することができる。
【0060】
側面板8は、主面板7の第4面A4上でビス止めをすることで固定することができる。また、主面板7と側面板8とは、例えば、接合材で固定されていてもよい。接合材としては、例えば、樹脂材料が用いられてもよい。樹脂材料としては、例えば、酢酸ビニル樹脂またはアクリル樹脂等を用いることができる。接合材としては、例えば、単一の樹脂材料を用いることができる。また、接合材としては、例えば、複数の樹脂材料を混合して用いることができる。
【0061】
また、バネ16は、例えば、押圧板10に接合材20を介して接していてもよい。これにより、バネ16が押圧板10に接合材20により固定されるため、より主面板7と押圧板10との間でバネ16をずれにくくすることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の特性が低下する可能性を低減することができる。ここで、バネ16の他方の端部のみ接合材20で固定されている。これにより、バネ16の他方の端部を押圧板10に固定しながら、バネ16の他方の端部以外で伸縮することができる。そのため、バネ16を押圧板10に固定しながら、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11を加圧することができる。
【0062】
また、バネ16は、例えば、主面板7に接合材20を介して接していてもよい。これにより、バネ16が主面板7に接合材20により固定されるため、より主面板7と押圧板10との間でバネ16をずれにくくすることができる。その結果、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11の特性が低下する可能性を低減することができる。ここで、バネ16の一方の端部のみ接合材20で固定されている。これにより、バネ16の一方の端部を押圧板10に固定しながら、バネ16の一方の端部以外で伸縮することができる。そのため、バネ16を押圧板10に固定しながら、第1電気化学セル1および第2電気化学セル11を加圧することができる。
【0063】
接合材20は、押圧板10または主面板7とバネ16を接着するために設けられている。また、接合材20には、樹脂材料を用いることができる。これにより、バネ16と押圧板10または主面板7とを電気的に絶縁することができ、第1電気化学セル1または第2電気化学セル11と外部環境とが短絡しにくくすることができる。樹脂材料としては、例えば、1つの樹脂材料を用いてもよい。また、樹脂材料としては、2つの樹脂材料を混合して用いてもよい。樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル系等を用いることができる。接合材20としては、例えば、単一の樹脂材料を用いることができる。また、接合材20としては、例えば、複数の樹脂材料を混合して用いることができる。
【0064】
また、
図12に示すように、第1凹部15の底面15bに貫通孔21を有していてもよい。これにより、貫通孔21を介してバネ16の長さを測ることができる。そのため、筐体5内部の電気化学セルにかかる圧力を算出することができる。
【0065】
なお、説明を簡単にするため、
図1から
図12において、各電気化学セルと各発電要素と各包装体と各端子とがそれぞれ同じ形状で外周を揃えた状態で図示したが、厳密な意味で同じ形状で外周が揃っていなくてもよい。例えば、製造上の誤差程度のずれが外周にあってもよい。また、筐体5内の電気化学セルは第1電気化学セル1及び第2電気化学セル11だけではなく、3つ以上の電気化学セルが筐体5内で積層されていてもよい。
【0066】
本開示は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本開示の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0067】
X1~X4 電気化学セルモジュール
1 第1電気化学セル
2 第1発電要素
2a 正極
2b 負極
2c セパレータ
3 第1包装体
4 第1端子
5 筐体
6 端子カバー
7 主面板
8 側面板
9 底面板
10 押圧板
11 第2電気化学セル
12 第2発電要素
13 第2包装体
14 第2端子
15 第1凹部
16 バネ
17 第2凹部
18 第1凸部
19 第2凸部
20 接合材
21 貫通孔
22 第1部分
23 第2部分
24 第3部分
A1 第1面
A2 第2面
A3 第3面
A4 第4面