(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】空気調和機の室内ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
F24F1/0007 361F
(21)【出願番号】P 2021508511
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019013026
(87)【国際公開番号】W WO2020194555
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横関 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉武 伸哲
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英樹
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-217029(JP,A)
【文献】特開2000-065383(JP,A)
【文献】特開2006-258068(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107906600(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板を含む筐体と、
前記筐体に収容された熱交換器と、
前記熱交換器の下方に配置され、前記熱交換器に生じた結露水を受けるドレンパンと、
前記ドレンパンに溜る水を排出するポンプと、
前記ポンプを前記側板に固定する固定具と、
前記側板に設けられた接続口と前記ポンプとに接続され、前記ポンプにより前記ドレンパンから汲み上げられる水を前記接続口に送るホースと、を備え、
前記固定具は、前記ドレンパンに対向する下面と、前記下面の反対側の上面とを有し、
前記ポンプは、前記下面と前記ドレンパンとの間に配置され、
前記上面は、
前記ホースに対向し、前記側板から離れるに連れて前記ドレンパン側に下降するように傾斜している、
空気調和機の室内ユニット。
【請求項2】
前記固定具は、前記上面から突出するとともに前記側板に沿って延びる第1リブを有する、
請求項1に記載の室内ユニット。
【請求項3】
前記固定具は、前記上面から突出する第2リブおよび第3リブをさらに有し、
前記第2リブは、前記第1リブの一端に接続されるとともに前記側板から離れる方向に延び、
前記第3リブは、前記第1リブの他端に接続されるとともに前記側板から離れる方向に延びる、
請求項
2に記載の室内ユニット。
【請求項4】
前記上面は、前記ホースと対向する凹部を有し、
前記固定具は、前記凹部において前記上面から前記下面に貫通する孔を有する、
請求項
1に記載の室内ユニット。
【請求項5】
前記ドレンパンの水位を検出するフロートスイッチをさらに備え、
前記固定具は、前記フロートスイッチを保持する保持部をさらに有する、
請求項1に記載の室内ユニット。
【請求項6】
前記保持部は、前記下面よりも前記ドレンパン側に延びるとともに先端で前記フロートスイッチを保持するアームを有し、
前記アームは、前記上面に繋がる傾斜面を有する、
請求項
5に記載の室内ユニット。
【請求項7】
前記固定具は、樹脂材料で構成されている、
請求項1ないし
6のうちいずれか1項に記載の室内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば天井埋め込み型の空気調和機においては、室内ユニットが天井裏から吊り下げられている。室内ユニットは、送風装置と、熱交換器と、これらを収容する筐体とを備えている。さらに、筐体の内部には、熱交換器における結露によって発生する水を受けるドレンパンと、ドレンパンに溜った水を筐体に設けられた排水用の接続口に送るドレンポンプとが配置される。
【0003】
ドレンポンプは筐体の側板の近傍に固定具によって固定され、接続口も当該側板に設けられることが多い。ドレンポンプと接続口とは、ホースによって接続される。ドレンパンに溜る水は低温であるため、この水がホースを通るとその表面に結露が生じ得る。
【0004】
例えばドレンポンプや固定具の上にホースを通すことで、これらを横並びにする場合よりも、筐体の幅を小さくすることができる。しかしながらこの構成においては、ホースの表面の結露により生じた水が滴下すると、この水が下方の固定具等をつたって側板に至り、筐体の外に漏れる可能性がある。天井埋め込み型以外の空気調和機の室内ユニットにおいても同様の問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ドレンポンプ近傍において結露により生じる水の筐体外への漏れを抑制可能な室内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る空気調和機の室内ユニットは、側板を含む筐体と、前記筐体に収容された熱交換器と、前記熱交換器の下方に配置され、前記熱交換器に生じた結露水を受けるドレンパンと、前記ドレンパンに溜る水を排出するポンプと、前記ポンプを前記側板に固定する固定具と、前記側板に設けられた接続口と前記ポンプとに接続され、前記ポンプにより前記ドレンパンから汲み上げられる水を前記接続口に送るホースと、を備えている。前記固定具は、前記ドレンパンに対向する下面と、前記下面の反対側の上面とを有している。前記ポンプは、前記下面と前記ドレンパンとの間に配置されている。さらに、前記上面は、前記ホースに対向し、前記側板から離れるに連れて前記ドレンパン側に下降するように傾斜している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る室内ユニットの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、上記室内ユニットの内部を示す概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、上記室内ユニットの概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、上記室内ユニットの概略的な側面図である。
【
図5】
図5は、上記室内ユニット内部のドレンポンプ近傍の概略的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示したドレンポンプ、固定具およびフロートスイッチを拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7におけるIX-IX線に沿う各要素の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る室内ユニット1の外観を示す斜視図である。
図2は、室内ユニット1の内部を示す概略的な斜視図である。
図3は、室内ユニット1の概略的な断面図である。室内ユニット1は、例えば屋内に配置され、屋外に配置された室外ユニットと冷媒配管を介して接続される。室内ユニット1、室外ユニットおよび冷媒配管により、冷凍サイクルを備えた空気調和機が構成される。
【0010】
図1に示すように、室内ユニット1は、筐体2と、筐体2の下面を覆うパネル3とを備えている。筐体2の外周面には、複数の吊り金具2aが設けられている。これら吊り金具2aを天井裏の梁から吊り下げられた吊りボルトに連結することにより、室内ユニット1が空調対象の空間の天井に固定される。
【0011】
パネル3は、本体30と、吸込み口31と、吹出し口32とを有している。吸込み口31は、本体30に対して取り外し可能なグリル33と、グリル33の内側に配置されたフィルタ34(
図3参照)とを含む。吹出し口32は、本体30に対して開閉可能なフラップ35を含む。
図1においては、フラップ35により吹出し口32が閉じられた状態を示している。
【0012】
図2に示す内部構造は、パネル3および後述のドレンパン50を取り外して、筐体2の内部を
図1における下方から見たものに相当する。筐体2は、パネル3側(
図2における上側)が開口した箱型である。具体的には、筐体2は、天井への取り付け時には室内ユニット1の上面となる長方形の天板20と、天板20の一方の短辺に沿う第1側板21と、天板20の他方の短辺に沿う第2側板22と、天板20の一方の長辺に沿う第3側板23とを含む。
【0013】
なお、筐体2は、天板20の他方の長辺に沿う第4側板24(
図1参照)をさらに含むが、
図2においてはこの第4側板24を省略するとともに、第4側板24に沿って配置される断熱材25の一部を破断している。例えば、天板20および各側板21~24は、いずれも金属製である。断熱材25は、例えば発泡スチロールなどの発泡プラスチックで構成することができる。
【0014】
筐体2の内部には、仕切り板26が筐体2の長手方向に沿って配置されている。筐体2の内部空間は、仕切り板26によって送風室Aと熱交換室Bとに区画されている。送風室Aには、送風装置4が配置されている。熱交換室Bには、熱交換器5が配置されている。
【0015】
図3に示すように、熱交換器5とパネル3との間には、熱交換器5から滴下するドレン水を受けるドレンパン50が配置されている。ドレンパン50は、例えば発泡スチロールなどの発泡プラスチックで構成することができる。
【0016】
図2に示すように、熱交換器5と第1側板21との間には、ドレンパン50に溜ったドレン水を排出するためのドレンポンプ6等が配置されている。第1側板21には、冷媒が流れる配管を接続するための接続口51a,51bと、ドレン水を排出する配管を接続するための接続口60とが設けられている。接続口51a,51bは、熱交換器5に接続されている。接続口60は、ドレンポンプ6に接続されている。
【0017】
送風装置4は、ファンモータ40と、一対のファンユニット41a,41bと、回転軸42とを備えている。ファンユニット41a,41bは、ファンモータ40を挟んで向かい合うように配置されている。回転軸42は、ファンモータ40によって回転可能に支持されており、両端がそれぞれファンユニット41a,41bに向けて延出している。なお、送風装置4が備えるファンユニットの数は、2つに限定されない。
【0018】
図2および
図3に示すように、ファンユニット41a,41bは、回転軸42に接続された多翼ファン43と、多翼ファン43を収容するファンケース44とを備えている。ファンケース44は、吸気孔45およびノズル部46を有している。ノズル部46は、熱交換室Bに開口するとともに、熱交換器5と向かい合っている。
【0019】
図3に示すように、熱交換器5は、複数の板状のフィン52と、冷媒が流れる複数の伝熱管53とを備えている。各フィン52は、送風室A側の一端が他端よりも下方(パネル3に向かう方向)に位置するように傾斜している。複数のフィン52は、室内ユニット1の長手方向(第1側板21から第2側板22に向かう方向)に並んでいる。複数の伝熱管53は、室内ユニット1の長手方向に延びており、各フィン52を貫通している。
【0020】
各伝熱管53を含む熱交換器5の流路は、接続口51a,51bに接続されている。すなわち、接続口51a,51bの一方から供給される冷媒は、各伝熱管53を通った後、接続口51a,51bの他方へと排出される。
【0021】
送風室Aは、吸込み口31に通じている。多翼ファン43が回転すると、空気が吸込み口31を通じて送風室Aに取り込まれる。さらに、当該空気は、吸気孔45を通じて多翼ファン43の内側に吸い込まれ、ノズル部46から熱交換器5に向けて吹き出される。熱交換器5は、当該空気を冷気または暖気の熱交換空気に変える。熱交換空気は、吹出し口32を通じて空調対象の空間に送り出される。
【0022】
図2に示すように、第1側板21の近傍には、電装ユニット27が配置されている。電装ユニット27は、第1電気部品箱27aと、第2電気部品箱27bとを含む。第1電気部品箱27aは、第1側板21の外部に位置している。第2電気部品箱27bは、送風装置4と第1側板21との間に位置している。
【0023】
各電気部品箱27a,27bは、例えば複数のICチップが実装された回路基板や、リアクタおよび端子台などの各種の電装品を含む。これら電装品は、送風装置4やドレンポンプ6などの室内ユニット1の電気的要素を制御する。
【0024】
図4は、
図1に示した室内ユニット1を第1側板21の側から見た概略的な側面図である。第1側板21には、上述の接続口51a,51b,60および第1電気部品箱27a等が配置されている。
【0025】
図4の例においては、第1電気部品箱27aが第3側板23寄りに位置し、接続口51a,51bが第4側板24寄りに位置している。接続口60は、第1電気部品箱27aと接続口51a,51bとの間に位置している。
【0026】
接続口60の根本部分には、フランジ60aが設けられている。接続口60は、このフランジ60aに設けられた貫通孔を通じて、第1側板21の雌ねじに対しねじS1を挿入することにより、第1側板21に接続されている。また、フランジ60aの下方において、第1側板21には、3つのねじS2が挿入される貫通孔が設けられている。各ねじS2は、後述する固定具7を第1側板21に接続する。
【0027】
接続口51a,51bの近傍には、第1側板21に対して着脱自在な第1蓋体21aが設けられている。また、第1電気部品箱27aには、第1電気部品箱27aに対して着脱自在な第2蓋体21bが設けられている。第1側板21の近傍に配置された各要素に対するメンテナンス等の作業は、これら蓋体21a,21bを取り外すことで現れる点検口や、パネル3およびドレンパン50を取り外すことで現れる筐体2の下部開口を通じて行うことができる。
【0028】
図5は、ドレンポンプ6の近傍における筐体2の内部を示す概略的な斜視図である。なお、
図5においては、天板20、第4側板24、断熱材25、熱交換器5、接続口51a,51bと熱交換器5とを接続するための配管等を省略している。
【0029】
ドレンポンプ6は、固定具7によって第1側板21に対し固定されている。固定具7は、例えば樹脂製であり、ドレンポンプ6の上部を覆っている。すなわち、ドレンポンプ6は、固定具7とドレンパン50との間に位置している。固定具7を構成する樹脂材料としては、例えばABS樹脂やPS樹脂を用いることができる。
【0030】
ドレンパン50は、ドレンポンプ6と対向する位置に、凹部54を有している。さらに、この凹部54には、排水口55が設けられている。排水口55は、栓体56で閉じられている。
【0031】
ドレンポンプ6は、本体61と、本体61の下端に位置する吸引口62と、吸引口62から吸い込んだ水が通るドレンホース63とを備えている。吸引口62は、凹部54に位置している。ドレンホース63は、第1側板21から遠ざかる方向へ本体61から延出し、その後に上方へ屈曲し、さらに第1側板21に向けて屈曲している。ドレンホース63の先端には、接続口60が取り付けられている。ドレンポンプ6が動作すると、ドレンパン50に溜った水が吸引口62から吸い込まれ、この水がドレンホース63を通って接続口60に送られる。
【0032】
第1側板21の内面は、板状の断熱材28によって覆われている。断熱材28は、例えば発泡スチロールなどの発泡プラスチックで構成することができる。断熱材28は、固定具7が通される矩形状の開口28aと、接続口60のボス60b(
図6参照)が通される円形の開口28bと、上述の接続口51a,51bと熱交換器5とを接続する配管が通される一対の円形の開口28c,28dとを有している。なお、第1側板21にも開口28b,28c,28dに対向する開口が形成されている。
【0033】
図5の例においては、ドレンパン50の凹部54の上方にフロートスイッチ8が配置されている。図示を省略するが、フロートスイッチ8は、ドレンパン50の水位情報を上述の電装ユニット27に出力する制御回路や配線をさらに備えている。水位情報は、ドレンパン50の水位が所定位置まで上昇したことに応じて電装ユニット27に出力される信号であってもよい。また、水位情報は、電装ユニット27に常時出力される、ドレンパン50の水位を示す信号であってもよい。例えば、電装ユニット27は、このような水位情報に基づきドレンパン50の水位が所定位置まで上昇したと判断した場合に、室内ユニット1を異常停止する。
【0034】
図6は、
図5に示したドレンポンプ6、固定具7およびフロートスイッチ8を拡大して示す斜視図である。
図7は、
図6に示した各要素の概略的な上面図である。
図8は、
図6に示した各要素の概略的な側面図である。
図9は、
図7におけるIX-IX線に沿う各要素の概略的な断面図である。
図10は、
図7におけるX-X線に沿う各要素の概略的な断面図である。なお、
図7ないし
図10においては、ドレンホース63の一部を省略している。
【0035】
各図に示すように、固定具7は、第1端部7aと、第2端部7bと、第2端部7bの反対側の第3端部7cと、第1端部7aの反対側の第4端部7dとを有している。第1端部7aは、第1側板21に対向する。第2端部7bは、仕切り板26に対向する。
図7に示すように、第2端部7bは、第1端部7aに対して垂直に延び、中腹において緩やかに屈曲している。第3端部7cは、屈曲することなく第1端部7aに対して垂直に延びている。
【0036】
第1端部7aには、3つの雌ねじ70が設けられている。これら雌ねじ70には、
図4に示した3つのねじS2がそれぞれねじ込まれる。これにより、固定具7が第1側板21に連結される。
【0037】
固定具7は、ドレンホース63に対向する上面F1と、ドレンポンプ6に対向する下面F2とを有している。上面F1は、円形の第1凸部71と、第1凸部71の周囲に配置された3つの第2凸部72とを有している。
【0038】
図9に示すように、第1凸部71の下方にはドレンポンプ6の本体61が位置する。本体61と固定具7の下面F2との間には、隙間が存在する。ドレンポンプ6は、本体61から各第2凸部72の位置に向けて延びる3つの取付部64を有している。取付部64の先端部は、第2凸部72の下方において、下面F2に接触している。
【0039】
図7および
図8における左方の第2凸部72に破線で示すように、第2凸部72の内部には、下面F2に開口する雌ねじ72aが設けられている。取付部64の先端部には貫通孔が設けられており、この貫通孔に対して下方からねじS3が挿入され、当該ねじS3が雌ねじ72aにねじ込まれている。他の第2凸部72および取付部64についても同様に、ねじS3によって連結されている。このようにして、ドレンポンプ6と固定具7とが互いに固定される。
【0040】
図10に示すように、上面F1は、各凸部71,72を除き、第1端部7a側の縁よりも第4端部7d側の縁が重力方向の下方に位置するように水平方向に対して角度θ1(鋭角)で傾斜している。他の観点から言えば、上面F1は、第1側板21から離れるに連れてドレンパン50側に下降するように傾斜している。
【0041】
図6および
図7に示すように、上面F1には、第1端部7aに沿う第1リブ73aと、第2端部7bに沿う第2リブ73bと、第3端部7cに沿う第3リブ73cとが設けられている。これらリブ73a~73cは、いずれも上面F1から上方に向けて突出している。
【0042】
第2リブ73bは、第1リブ73aの一端に接続されている。第3リブ73cは、第1リブ73aの他端に接続されている。
図5に示すように固定具7を第1側板21に取り付けた状態において、第1リブ73aは、断熱材28の開口28aの内部で第1側板21に沿って直線状に延びる。第2リブ73bおよび第3リブ73cは、第1側板21から離れる方向に延びる。
【0043】
図6に示すように、上面F1は、ドレンホース63に対向する凹部74を有している。凹部74は、フランジ60aから突出するボス60bとも対向している。凹部74は、例えば緩やかな曲面である。上述の第1リブ73aは、凹部74の形状に合わせて窪んでいる。
【0044】
図7および
図9に示すように、凹部74と第1凸部71との境界近傍には、上面F1から下面F2に貫通する孔75が設けられている。凹部74において、上面F1は、孔75側の縁が第1端部7a側の縁よりも下方に位置するように角度θ2(鋭角)傾斜している。角度θ2は、角度θ1と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0045】
固定具7は、上述のフロートスイッチ8を保持するための保持部76をさらに備えている。
図7ないし
図10の例において、保持部76は、第4端部7dから延出するアーム77と、アーム77の先端77aに設けられたスリット78とを有している。
【0046】
フロートスイッチ8は、スリット78に通された軸80と、軸80に沿ってスライド可能なフロータ81とを備えている。軸80は、例えばボルトであり、一対のナットN1,N2によってアーム77の先端77aに固定されている。ドレンパン50の水位が上昇すると、フロータ81が水面とともに上昇する。このフロータ81の位置に応じた水位情報が、上述の通り電装ユニット27に出力される。
【0047】
アーム77は、下面F2よりもドレンパン50側に延びている。さらに、アーム77は、上面F1に繋がる傾斜面F3を有している。傾斜面F3は、例えば
図10に示すように、異なる角度で傾斜する複数の部分を有してもよい。これら複数の部分の角度は、上述の角度θ1より大きくてもよい。他の例として、傾斜面F3は、全体的に一定の角度で傾斜してもよいし、曲面であってもよい。
【0048】
上述の第3リブ73cは、先端77aの近傍まで延びている。また、アーム77は、第3リブ73cに対向する第4リブ79を有している。傾斜面F3は、これら第3リブ73cおよび第4リブ79によって挟まれている。
【0049】
以上のような構成において、ドレンホース63の表面で結露した水の少なくとも一部は、固定具7の上面F1に落ちる。本実施形態においては上面F1が筐体2の内側に向けて傾斜しているため、上面F1に落ちた水は、第1側板21から離れる方向に流れる。例えば、この水は、上面F1からアーム77の傾斜面F3へと流れ、先端77aからドレンパン50に落ちる。あるいは、上面F1に落ちた水は、凹部74に流れ、孔75を通じてドレンパン50に落ちる。
【0050】
仮に、上面F1に落ちた水が第1側板21に向かって流れる場合、この水が第1側板21とパネル3との接続部分などから室内ユニット1の外に漏れたり、この水によって冷やされた第1側板21の内外に結露が生じたりする可能性がある。そのため、第1側板21に水が到達しないようにするための追加の部品や、第1側板21が冷やされないようにするための追加の断熱材が必要となり、製造コストが上昇してしまう。
【0051】
一方、本実施形態の構成においては、上面F1に落ちた水が第1側板21に向かって流れないので、上記のような水漏れや第1側板21における結露を抑制することができる。しかも、このような効果をドレンポンプ6の固定具7の形状により実現するので、追加の部品や追加の断熱材が不要である。
【0052】
また、上面F1には、第1リブ73a、第2リブ73bおよび第3リブ73cが設けられている。これらリブ73a~73cにより、ドレンホース63から上面F1に落ちた水が第1側板21に到達することを、より確実に抑制できる。
【0053】
さらに、上面F1には、第1端部7aの近傍において、ドレンホース63に対向する凹部74および孔75が設けられている。これら凹部74および孔75により、ドレンホース63から第1端部7aの近傍に落ちる水が下面F2側に排水されやすくなる。
【0054】
上述のように固定具7を樹脂材料で構成する場合には、固定具7を金属材料で構成する場合に比べ、固定具7と第1側板21との間の伝熱を抑制できる。そのため、第1側板21が冷やされにくくなり、第1側板21の内外における結露をより確実に抑制できる。
【0055】
本実施形態における構成は、第1側板21の近傍における水漏れや結露の抑制だけでなく、室内ユニット1のコンパクト化や、据え付け作業およびメンテナンス作業の効率向上の効果も奏する。
【0056】
すなわち、仮にドレンホース63をドレンポンプ6や固定具7と重力方向に重ならないように配置した場合、筐体2の幅が大きくなる。これに対し、本実施形態においては固定具7が第1側板21に水が到達しにくい構造を有するために、ドレンホース63を固定具7の上に配置することが可能となる。これにより、筐体2の幅を小さくすることができる。
【0057】
さらに、本実施形態においては、固定具7がフロートスイッチ8を保持している。これにより、フロートスイッチ8を保持する別途の部材を配置する必要がないので、部品点数を削減できるとともに、筐体2をよりコンパクト化することが可能となる。
【0058】
また、
図4および
図5に示すように、電装ユニット27(第1電気部品箱27a)、冷媒配管の接続口51a,51b、ドレンポンプ6およびドレン水排出用の接続口60等の要素が第1側板21に沿って設けられている。そのため、据え付け作業やメンテナンス作業において、第1側板21付近にアクセスすればこれらの要素に対する作業を行えるため、これらの要素が分散して配置されている場合よりも作業効率が向上する。
【0059】
また、筐体2の内部において、熱交換器5と接続口51b,51aとを接続する配管、ドレンポンプ6、および電装ユニット27が重力方向に重ならない。仮にこれらの要素が重力方向に重なった場合、少なくとも一部の要素にアクセスしづらくなり、据え付け作業やメンテナンス作業の効率が著しく低下し得る。これに対し、本実施形態の構成においては、そのような問題も生じない。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、固定具7の形状は、上述の実施形態にて開示したものに限られない。固定具7の具体的な形状は、周囲に配置されるドレンポンプ6、ドレンホース63、第1側板21、仕切り板26およびドレンパン50等の形状に応じて、種々の態様に変形できる。
【0062】
上述の実施形態においては、天井埋め込み型の室内ユニットにおけるドレンポンプ6の固定構造を開示した。この固定構造は、天井埋め込み型だけでなく、他種の室内ユニットにも適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1…室内ユニット、2…筐体、3…パネル、4…送風装置、5…熱交換器、21~24…第1~第4側板、6…ドレンポンプ、7…固定具、8…フロートスイッチ、60…接続口、61…ドレンポンプの本体、62…吸引口、63…ドレンホース、73a…第1リブ、73b…第2リブ、73c…第3リブ、74…凹部、75…孔、76…保持部、77…アーム、F1…固定具の上面、F2…固定具の下面。