(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】生体情報測定装置および生体情報測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/66 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G01N33/66 D
(21)【出願番号】P 2021511379
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2020011458
(87)【国際公開番号】W WO2020203223
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2019072615
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】寺島 則善
(72)【発明者】
【氏名】灘岡 正剛
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073371(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0370377(US,A1)
【文献】特表2015-511337(JP,A)
【文献】特表2008-521130(JP,A)
【文献】特開2002-366652(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099238(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/070111(WO,A1)
【文献】特開2017-225602(JP,A)
【文献】登録実用新案第3085691(JP,U)
【文献】特開2007-287027(JP,A)
【文献】特開2017-63963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/66,
G01N 27/416,
G16H 50/20,
A61B 5/00-5/0538,5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体情報を測定するためのセンサが装着されるセンサ装着部と、
前記センサ装着部に装着された前記センサと接続され、前記生体情報を測定する測定部と、
前記生体情報が測定される前記患者に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部において取得された前記患者に関する情報に基づいて
、生体情報の測定結果に影響を及ぼす前記患者のリスク状況を判定し、その判定結果に基づいて
、前記判定結果に応じた異なる表示を行うように表示部を制御して、前記測定部における前記患者の前記生体情報の測定に対して警告を行う制御部と、
を備えている生体情報測定装置。
【請求項2】
前記患者に関する情報には、前記患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、
患者の重症度を示すリスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記患者に関する情報を保存する記憶部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記患者に関する情報を外部機器との間で送受信する通信部を、さらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記通信部は、外部に設けられたサーバ装置との間において、前記患者に関する情報を送受信する、
請求項4に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記測定部における測定結果を表示する表示部を、さらに備えている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記判定結果に基づいて、測定者に対して前記患者の前記生体情報の測定を実施するか否かを問うメッセージを表示させるように、前記表示部を制御する、
請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記判定結果に基づいて、測定者に対して前記患者の前記生体情報を参考値として測定することを示すメッセージを表示させるように、前記表示部を制御する、
請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記判定結果に基づいて、測定者に対して前記患者の前記生体情報を測定する際の測定回数を提示するように、前記表示部を制御する、
請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
前記患者
および測定者
および前記センサに関する情報を読み取る読み取り部を、さらに備えている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
生体情報が測定される患者に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにおいて取得された前記患者に関する情報に基づいて
、生体情報の測定結果に影響を及ぼす前記患者のリスク状況を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果に基づいて、
前記判定結果に応じた異なる表示を行うように表示部を制御して、前記患者の前記生体情報の測定に対して警告を行う警告ステップと、
を備えている生体情報測定方法。
【請求項12】
前記警告ステップでは、前記判定ステップにおける前記判定結果に基づいて、測定者に対して前記患者の前記生体情報の測定を実施するか否かを問うメッセージを表示部に表示させる、
請求項11に記載の生体情報測定方法。
【請求項13】
前記警告ステップでは、前記判定ステップにおける前記判定結果に基づいて、測定者に対して前記患者の前記生体情報を参考値として測定することを示すメッセージを、表示部に表示させる、
請求項11に記載の生体情報測定方法。
【請求項14】
前記警告ステップでは、前記判定ステップにおける前記判定結果に基づいて、測定者に対して前記患者の前記生体情報を測定する際の測定回数を、表示部に提示させる、
請求項11に記載の生体情報測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、血糖値等の生体情報を測定する生体情報測定装置および生体情報測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体情報測定装置は、血糖値等の生体情報を測定するためのバイオセンサがセンサ装着部に装着され、第1と第2のコネクタ間に測定電圧供給手段から電圧が供給され、電流測定手段によって第1と第2のコネクタ間に流れる電流を測定することで、血糖値等の生体情報を測定するものや、それとは異なるバイオセンサの反応検出に光学的な原理を利用してCRP(C反応性タンパク質)等を測定する装置があり、さらに血液の粘性変化を物理的に測定するプロトロンビン時間を測定することで外因系凝固活性化機序を検査する装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、入力された患者の主訴・症状に基づいて、診療行為オーダーの妥当性を確認するオンライン環境での病名と診療行為との関連性をチェックするシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、上記従来のシステムは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたシステムでは、入力された患者の主訴・症状に基づいて、その後の診療行為の妥当性について確認することができるものの、生体情報を測定する際の測定行為に対する対処については何ら考慮されていない。
本発明の課題は、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことが可能な生体情報測定装置および生体情報測定方法を提供することにある。
【0006】
第1の発明に係る生体情報測定装置は、センサ装着部と、測定部と、情報取得部と、制御部と、を備えている。センサ装着部は、患者の生体情報を測定するためのセンサが装着される。測定部は、センサ装着部に装着されたセンサと接続され、生体情報を測定する。情報取得部は、生体情報が測定される患者に関する情報を取得する。制御部は、情報取得部において取得された患者に関する情報に基づいて患者のリスク状況を判定し、その判定結果に基づいて測定部における患者の生体情報の測定に対して警告を行う。
【0007】
ここでは、例えば、血糖値等の生体情報を測定する生体情報測定装置において、生体情報の測定を実施しようとする患者に関する情報が取得され、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に基づいて、患者の生体情報の測定に対して警告が行われる。
ここで、患者に関する情報には、例えば、患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つの情報が含まれる。また、患者に関する情報を取得する情報取得部には、患者に関する情報が直接入力される入力部、外部のサーバ装置等から患者に関する情報を取得する通信部等が含まれる。さらに、患者に関する情報は、生体情報測定装置内の記憶部に保存されていてもよいし、サーバ装置等の外部装置に保存されていてもよい。
【0008】
また、患者のリスク状況の判定とは、患者に関する情報に基づく、例えば、生体情報の測定結果に影響を及ぼす脱水症状の程度の判定等が含まれる。つまり、患者が脱水症である場合には、血糖値等の生体情報の測定結果にばらつきが生じて、測定精度が低下するおそれがある。
また、生体情報の測定に対する警告には、例えば、生体情報の測定を実施するか否かの確認メッセージ、生体情報の測定結果が参考値であることを示すメッセージ、複数回の測定を促すメッセージ、担当医師への相談を促すメッセージを、表示部に表示させる制御が含まれる。なお、これらの警告は、文字情報による表示部への表示だけでなく、音声出力や光出力による警告であってもよい。
【0009】
これにより、患者の既往歴、服薬中の薬剤等の患者に関する情報に基づいて、患者のリスク状況を判定することで、例えば、患者のリスク状況に応じて、測定値の誤差が大きくなるおそれがある場合には、誤差が生じるリスクを踏まえた警告を行うことができる。
この結果、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができる。
【0010】
第2の発明に係る生体情報測定装置は、第1の発明に係る生体情報測定装置であって、患者に関する情報には、患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つが含まれる。
ここでは、患者に関する情報として、患者の既往歴、服薬している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つの情報が取得される。
【0011】
ここで、患者のリスクレベルとは、ICUスコアリングシステム等によって点数付けされる患者の重症度を示すレベルであって、例えば、APACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)IIスコア、MODS(Multiple Organ Dysfunction)スコア等が含まれる。
これにより、これらの患者に関する情報に基づいて患者のリスク状況を判定することで、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができる。
【0012】
第3の発明に係る生体情報測定装置は、第1または第2の発明に係る生体情報測定装置であって、患者に関する情報を保存する記憶部を、さらに備えている。
ここでは、装置内に設けられた記憶部に、患者に関する情報が保存されている。
これにより、患者に関する情報を記憶部から取り出して、容易に患者のリスク状況の判定に使用することができる。
【0013】
第4の発明に係る生体情報測定装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る生体情報測定装置であって、患者に関する情報を外部機器との間で送受信する通信部を、さらに備えている。
ここでは、患者に関する情報等が保存された外部機器から、必要な情報を送受信する通信部が設けられている。
【0014】
これにより、サーバ装置等の外部機器から、患者に関する情報等の必要な情報を取得して、制御部へ送信することで、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができる。
第5の発明に係る生体情報測定装置は、第4の発明に係る生体情報測定装置であって、通信部は、外部に設けられたサーバ装置との間において、患者に関する情報を送受信する。
【0015】
ここでは、外部装置として、サーバ装置が用いられる。
これにより、サーバ装置に保存された患者に関する情報等の必要な情報を取得して、制御部へ送信することで、装置内に大容量の記憶手段を設けることなく、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができる。
第6の発明に係る生体情報測定装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る生体情報測定装置であって、測定部における測定結果を表示する表示部を、さらに備えている。
【0016】
ここでは、生体情報の測定結果等を、表示部が表示する。
これにより、生体情報の測定結果を、使用者に容易に認識させることができる。
第7の発明に係る生体情報測定装置は、第6の発明に係る生体情報測定装置であって、制御部は、判定結果に基づいて、測定者に対して患者の生体情報の測定を実施するか否かを問うメッセージを表示させるように、表示部を制御する。
【0017】
ここでは、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に応じて、生体情報の測定を実施するか否かを問うメッセージを、表示部が表示する。
これにより、測定者は、今から実施しようとしている患者の生体情報の測定について、例えば、測定誤差が大きくなる等の影響があるというリスクを認識した上で、生体情報の測定を実施するか否かを決定することができる。
【0018】
第8の発明に係る生体情報測定装置は、第6の発明に係る生体情報測定装置であって、制御部は、判定結果に基づいて、測定者に対して患者の生体情報を参考値として測定することを示すメッセージを表示させるように、表示部を制御する。
ここでは、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に応じて、生体情報の測定結果を参考値として測定することを示すメッセージを、表示部が表示する。
【0019】
これにより、測定者は、今から実施しようとしている患者の生体情報の測定について、例えば、測定誤差が大きくなる等の影響があるというリスクを認識した上で、参考値として表示されていることを認識することができる。
第9の発明に係る生体情報測定装置は、第6の発明に係る生体情報測定装置であって、制御部は、判定結果に基づいて、測定者に対して患者の生体情報を測定する際の測定回数を提示するように、表示部を制御する。
【0020】
ここでは、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に応じて、生体情報の測定回数を提示するメッセージを、表示部が表示する。
これにより、測定者は、今から実施しようとしている患者の生体情報の測定について、例えば、測定誤差が大きくなる等の影響があるというリスクを認識した上で、生体情報の測定回数を増やして、その平均値を参照することができる。
【0021】
第10の発明に係る生体情報測定装置は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る生体情報測定装置であって、患者、測定者、センサに関する情報を読み取る読み取り部を、さらに備えている。
ここでは、例えば、患者の手首、測定者の名札、センサが入れられたセンサボトルの外周面等に貼り付けられたそれぞれのバーコードを読み取る読み取り部が設けられている。
【0022】
これにより、生体情報の測定を実施する際に、例えば、患者の手首に巻回されたバーコードを読み取ることで、患者に関する情報を容易に取得することができる。
第11の発明に係る生体情報測定方法は、情報取得ステップと、判定ステップと、警告ステップと、を備えている。情報取得ステップは、生体情報が測定される患者に関する情報を取得する。判定ステップは、情報取得ステップにおいて取得された患者に関する情報に基づいて、患者のリスク状況を判定する。警告ステップは、判定ステップにおける判定結果に基づいて、患者の生体情報の測定に対して警告を行う。
【0023】
ここでは、例えば、血糖値等の生体情報を測定する生体情報測定装置において、生体情報の測定を実施しようとする患者に関する情報を取得し、患者に関する情報に基づいて判定した患者のリスク状況に基づいて、患者の生体情報の測定に対して警告を行う。
ここで、患者に関する情報には、例えば、患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つの情報が含まれる。また、患者に関する情報を取得する情報取得部には、患者に関する情報が直接入力される入力部、外部のサーバ装置等から患者に関する情報を取得する通信部等が含まれる。
【0024】
また、患者のリスク状況の判定とは、患者に関する情報に基づく、例えば、生体情報の測定結果に影響を及ぼす脱水症状の程度の判定等が含まれる。つまり、患者が脱水症である場合には、血糖値等の生体情報の測定結果にばらつきが生じて、測定精度が低下するおそれがある。
また、生体情報の測定に対する警告には、例えば、生体情報の測定を実施するか否かの確認メッセージの表示、生体情報の測定結果が参考値であることの表示、複数回の測定を促すメッセージの表示、担当医師への相談を促すメッセージの表示等が含まれる。なお、これらの警告については、文字情報による表示だけでなく、音声出力や光出力による警告が行われてもよい。
【0025】
これにより、患者の既往歴、服薬中の薬剤等の患者に関する情報に基づいて、患者のリスク状況を判定することで、例えば、患者のリスク状況に応じて、測定値の誤差が大きくなるおそれがある場合には、誤差が生じるリスクを踏まえた警告を行うことができる。
この結果、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができる。
【0026】
第12の発明に係る生体情報測定方法は、第11の発明に係る生体情報測定方法であって、警告ステップでは、判定ステップにおける判定結果に基づいて、測定者に対して患者の生体情報の測定を実施するか否かを問うメッセージを表示部に表示させる。
ここでは、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に応じて、生体情報の測定を実施するか否かを問うメッセージを、表示部が表示する。
【0027】
これにより、測定者は、今から実施しようとしている患者の生体情報の測定について、例えば、測定誤差が大きくなる等の影響があるというリスクを認識した上で、生体情報の測定を実施するか否かを決定することができる。
第13の発明に係る生体情報測定方法は、第11の発明に係る生体情報測定方法であって、警告ステップでは、判定ステップにおける判定結果に基づいて、測定者に対して患者の生体情報を参考値として測定することを示すメッセージを、表示部に表示させる。
【0028】
ここでは、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に応じて、生体情報の測定結果を参考値として測定することを示すメッセージを、表示部が表示する。
これにより、測定者は、今から実施しようとしている患者の生体情報の測定について、例えば、測定誤差が大きくなる等の影響があるというリスクを認識した上で、参考値として表示されていることを認識することができる。
【0029】
第14の発明に係る生体情報測定方法は、第11の発明に係る生体情報測定方法であって、警告ステップでは、判定ステップにおける判定結果に基づいて、測定者に対して患者の生体情報を測定する際の測定回数を、表示部に提示させる。
ここでは、患者に関する情報に基づいて判定された患者のリスク状況に応じて、生体情報の測定回数を提示するメッセージを、表示部に表示させる。
【0030】
これにより、測定者は、今から実施しようとしている患者の生体情報の測定について、例えば、測定誤差が大きくなる等の影響があるというリスクを認識した上で、生体情報の測定回数を増やして、その平均値を参照することができる。
(発明の効果)
本発明に係る生体情報測定装置によれば、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置を用いた血糖値の測定を行う状態を示す図。
【
図3】
図2の生体情報測定装置による血糖値の測定に対する警告処理の流れを示すフローチャート。
【
図4】(a)および(b)は、
図3の処理中に測定者IDをバーコードリーダで読み取る際に表示部に表示される表示例を示す図。
【
図5】(a)および(b)は、
図3の処理中に患者IDをバーコードリーダで読み取る際に表示部に表示される表示例を示す図。
【
図6】(a)および(b)は、
図3の処理中にセンサIDをバーコードリーダで読み取る際に表示部に表示される表示例を示す図。
【
図7】(a)~(d)は、
図3の処理中に表示部に表示される表示例を示す図。
【
図8】(a)~(c)は、
図3の処理中に表示部に表示される表示例を示す図。
【
図9】(a)~(c)は、
図3の処理の結果、表示部に表示される表示例を示す図。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る生体情報測定装置による血糖値の測定に対する警告処理の流れを示すフローチャート。
【
図11】
図10のフローチャートの後段の処理の流れを示すフローチャート。
【
図12】(a)および(b)は、
図10および
図11の処理中に、表示部に表示される表示例を示す図。
【
図13】(a)~(d)は、本発明のさらに他の実施形態に係る生体情報測定装置において、患者に関する情報が直接入力される表示画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施形態1)
本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置について、
図1~
図9(c)を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態に係る生体情報測定装置10は、例えば、患者の指F1に形成した穿刺傷から流出させた血液Bを点着させたセンサ1を挿入した状態で血糖値(生体情報)を測定する血糖センサである。そして、生体情報測定装置10は、主として、1つの生体情報測定装置10を用いて複数の患者の血糖値を測定する病院、介護施設等で使用される。
【0033】
ここで、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12に装着されるセンサ1は、
図1に示すように、点着口1aと、電極部1bとを有している。
点着口1aは、センサ1の第1端部に設けられている。そして、患者の指F1から流出した血液Bが点着口1aに点着されると、毛細管現象によって、血液Bがセンサ1内において供給路に沿って所定の方向へ移動し、センサ1内に設けられた試薬層(図示せず)と反応する。
【0034】
電極部1bは、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12内に挿入される側の第2端部に設けられている。そして、上述した試薬層は、酸化還元酵素および電子受容体を含み、センサ1内において電極部1bの一部を覆うように配置されている。電極部1bがセンサ挿入口12に挿入されると、センサ1と生体情報測定装置10とが電気的に接続され、血液Bと試薬層との反応によって試薬層に含まれる電子受容体の電気化学的な酸化によって得られる電流が測定される。
【0035】
これにより、生体情報測定装置を用いて、血液中に含まれるグルコース濃度(血糖値)を測定することができる。
そして、生体情報測定装置10は、
図1に示すように、本体部11、センサ挿入口(センサ装着部)12、ボタン13、表示部14、制御部20(
図2参照)、測定部21、バーコードリーダ(読み取り部)22、通信部23、電池24および記憶部25(
図2参照)を備えている。
【0036】
本体部11は、生体情報測定装置10の筐体部分であって、内部に、
図2に示す制御部20、測定部21、バーコードリーダ22、通信部23、電池24および記憶部25を内包している。
センサ挿入口12は、本体部11の端面に形成された開口部であって、上述したセンサ1が装着される。
【0037】
ボタン13は、血糖値の測定を開始する際等に操作される操作部であって、表示部14が設けられた本体部11の表面に設けられている。
表示部14は、本体部11におけるセンサ挿入口12側の表面に設けられた液晶表示パネルであって、例えば、血糖値の測定結果、後述する血糖値の測定に対する警告メッセージ等を表示する。
【0038】
制御部20は、
図2に示すように、測定部21、バーコードリーダ22、通信部23、ボタン13、電池24、表示部14および記憶部25と接続されている。
測定部21は、
図2に示すように、センサ挿入口12のコネクタ(図示せず)に接続されている。そして、測定部21は、センサ挿入口12に接続されたセンサ1の電極部1bにおいて、血液Bと試薬層との反応によって試薬層に含まれる電子受容体の電気化学的な酸化により得られる電流を測定する。
【0039】
バーコードリーダ22は、例えば、本体部11の裏面側等に設けられており、後述する血糖値の測定時において、患者ID、使用者ID、センサボトルID等を読み取って、制御部20へ送信する。
通信部23は、例えば、外部のサーバ装置30(
図2参照)と接続されており、サーバ装置30に保存された患者に関する情報(例えば、患者の既往歴、服薬中の薬剤、リスクレベル、年齢、食事、補助食品等)を送受信する。すなわち、通信部23は、例えば、バーコードリーダ22によって読み取られた患者IDの情報に基づいて、当該患者に対応する既往歴、服薬中の薬剤、リスクレベル、年齢、食事、補助食品等の情報を外部のサーバ装置30から取り出して、制御部20へ送信する。
【0040】
電池24は、例えば、繰り返し充電可能な二次電池であって、生体情報測定装置10の電源として設けられている。そして、電池24は、略一定の電流を制御部20等に対して供給することで、生体情報測定装置10を駆動する。
記憶部25は、各種データを保存するための記憶手段であって、制御部20と接続されている。なお、記憶部25は、例えば、血糖値の測定結果、バーコードリーダ22によって読み取られた患者IDと照合される患者情報、後述する血糖値測定に対する警告処理に使用される各種メッセージ等の情報を保存している。
【0041】
本実施形態の生体情報測定装置10は、通信部23との間でデータの送受信を行うサーバ装置は、患者に関する情報を含む各種データを保存している。そして、制御部20は、バーコードリーダ22によって読み取られた患者IDが、予め記憶部25に保存された患者のデータと一致すると、当該患者に関する情報(例えば、患者の既往歴、服薬中の薬剤、リスクレベル、年齢、食事、補助食品等)をサーバ装置30から取り出して受信するように、通信部23を制御する。そして、制御部20は、サーバ装置30から受信した患者に関する情報を参照して、当該患者のリスク状況を判定し、後述する血糖値測定に対する警告処理制御を実施する。
【0042】
<血糖値測定に対する脱水症の影響について>
脱水症を発症している患者が、血糖値を測定した場合、高値側に誤差が生じるおそれがある。このため、測定を実施する際に、測定者あるいは患者に対して、測定値に誤差が含まれている可能性が高いことを、何らかの警告として与えることが望ましい。
本実施形態の生体情報測定装置10は、患者の脱水症の程度に応じて、医師に相談するように促すメッセージ、測定の中止を促すメッセージ、複数回測定するように促すメッセージを表示する、あるいは測定結果を参考値として表示するように、表示部14の表示制御を行う。なお、これらの各種メッセージは、記憶部25に保存されている。
【0043】
具体的には、制御部20は、例えば、医療関係者(医者・看護士)または患者等に対するメッセージとして、血糖値の測定結果に誤差が生じる可能性が高いとを通知するメッセージを、表示部14に表示させる。
なお、脱水症は、糖尿病に関連する症状として、高血糖高浸透圧症候群や糖尿病性ケトアシドーシスが知られているが、これ以外に、下記のように、様々な病気、症状、副作用として脱水症になりやすい薬剤等が事例として挙げられる。
(a)病気
・糖尿病ケトアーシス(DKA(diabetic ketoacidosis))
・高浸透圧高血糖非ケトン性シンドローム(hyperosmolar hyperglycemic non-ketotic syndrome)
・低血圧症(hypotension)
・非代償性心不全(decompensated heart failure)
・末梢動脈閉塞性疾患(peripheral arterial occlusive disease)
・下痢(diarrhea),嘔吐(vomiting)(幼児特有(specially in young children))
・高熱/脱水(Fever(higher fever, more dehydrated)
・心源性:心臓障害{shock(cardiogenic)/循環血液量減少(Hypovolemic)/アナフィラキー:アレルギー反応(Anaphalactic)/敗血症:感染/毒素性ショック(Septic)/神経性:神経系への損傷(Neurogenic)}
(b)症状(組織内還流を妨げるもの)
・頻拍、頻脈(Tachycardia)
・せん妄/意識レベル低下(Confusion or diminished conscious level)
・末梢循環不良(Poor peripheral perfusion (cool, cyanosed extremities, poor capillary refill, poor peripheral pulses))
・排尿障害(Poor urine output (<0.5 ml/kg/h))
・メタボリックアシドーシス(Metabolic acidosis)
・血中高乳酸濃度(Increased blood lactate concentration)
(c)症状(組織内還流を妨げるもの)
・多汗症/湿潤した皮膚(Profuse sweating, moist skin)
・浅い呼吸(Shallow breathing)
・顔色が悪い/冷や汗(Pale, cool, clammy skin)
・胸痛(Chest pain)
・めまい(Dizziness),意識朦朧/気絶(light headedness or faintness)
・青みがかった唇/爪(Bluish lips or fingernails)
・不安神経症(Anxiety)
・熱中症(Excessive sweating(vigorous exercise, hot weather))
・排尿増加(Increased urination(uncontrolled diabetes, diuretics, some BP medications))
(d)薬剤
・血管拡張剤(Vasodilators)
・β阻害薬(Beta blockers)
・ACE阻害薬(ACE inhibitors)
・カルシウムチャネル阻害薬(Calcium channel blockers)
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
(e)その他(年齢)
・幼児、老人(脱水症状になりやすい)
<血糖値の測定に対する警告処理の流れ>
本実施形態の生体情報測定装置10は、
図3に示すフローチャートに従って、患者に関する情報に基づいて、血糖値の測定に対する警告を行う処理を実施する。
【0044】
すなわち、ステップS11では、例えば、生体情報測定装置10の本体部11の表面に設けられたボタン13が長押しされ、電源がONされる。
次に、ステップS12では、通信モードがONされ、通信部23による外部のサーバ装置30等との通信が可能な状態となる。
次に、ステップS13では、読み取りモードがONされ、バーコードリーダ22による患者ID等のバーコードの読み取りが可能な状態となる。
【0045】
次に、ステップS14では、看護師等の測定者が、生体情報測定装置10に設けられたバーコードリーダ22を用いて、バーコードの読み取りを実施する。具体的には、測定者は、バーコードリーダ22を用いて、自身の測定者ID、患者ID、センサロットNoの情報を取得する。
ここで、測定者IDは、測定者自身の名札等に付されたバーコードを、バーコードリーダ22によって読み取ることで取得される。患者IDは、例えば、患者の手首等に巻き付けられたバンドの表面に付されたバーコードを、バーコードリーダ22によって読み取ることで取得される。センサロットNoは、生体情報測定装置10に挿入される血糖センサが入れられた容器の外周面に付されたバーコードを、バーコードリーダ22によって読み取ることで取得される。
【0046】
なお、測定者IDの入力時には、
図4(a)に示す表示部14の表示画面に表示されているように、バーコードリーダ22を用いた読み取り、直接入力、入力しない、の3つの選択肢から1つが選択される。
そして、
図4(a)に示す表示画面において、最上段の「バーコード読取り」が選択され、バーコードリーダ22を用いて測定者IDが読み取られると、
図4(b)に示すように、読み取られた測定者IDの番号が表示部14の表示画面に表示される。そして、
図4(b)に示すように、表示部14の表示画面では、測定者によって、測定者IDの入力作業を完了するか、やり直しをするかが選択される。そして、ここで、測定者によって、完了が選択されると、
図5(a)に示す患者IDの入力画面に移行する。
【0047】
患者IDの入力時には、
図5(a)に示す表示部14の表示画面に表示されているように、バーコードリーダ22を用いた読み取り、直接入力、入力しない、の3つの選択肢から1つが選択される。
そして、
図5(a)に示す表示画面において、最上段の「バーコード読取り」が選択され、バーコードリーダ22を用いて患者IDが読み取られると、
図5(b)に示すように、読み取られた患者IDの番号が表示部14の表示画面に表示される。そして、
図5(b)に示すように、表示部14の表示画面では、測定者によって、患者IDの入力作業を完了するか、やり直しをするかが選択される。そして、ここで、測定者によって、完了が選択されると、
図6(a)に示すセンサロットNoの入力画面に移行する。
【0048】
センサロットNoの入力時には、
図6(a)に示す表示部14の表示画面に表示されているように、バーコードリーダ22を用いた読み取り、直接入力、入力しない、の3つの選択肢から1つが選択される。
そして、
図6(a)に示す表示画面において、最上段の「バーコード読取り」が選択され、バーコードリーダ22を用いてセンサロットNoが読み取られると、
図6(b)に示すように、読み取られたセンサロットNoの番号が表示部14の表示画面に表示される。
【0049】
ここで、バーコードリーダ22を用いた各IDの読み取りができなかった場合には、
図7(a)に示すように、「IDがうまく読み取れないか、該当IDがございません。再度ID読み取りをお願いします。」というメッセージが、表示部14の表示画面に表示される。
あるいは、
図7(b)に示すように、「IDがうまく読み取れないか、該当IDがございません。別の測定器で読み取りをお願いします。」というメッセージが、表示部14の表示画面に表示されてもよい。
【0050】
次に、ステップS15では、バーコードリーダ22によって取得されたID情報が、記憶部25に保存された情報を一致するか否かを判定する。すなわち、ステップS15では、血糖値を測定しようとする患者のID情報が、例えば、入院中の患者の情報と一致するか否かの照合を行う。
ここで、取得したID情報と、記憶部25に保存された情報とが一致する場合には、ステップS16へ進み、一致しない場合には、ステップS14へ戻る。
【0051】
なお、
図7(a)および
図7(b)に示すメッセージは、ステップS15におけるIDの照合の結果として表示部14の表示画面に表示させてもよい。
次に、ステップS16では、ステップS15において取得された患者IDに対応する患者に関する情報を用いて、当該患者が所定の病気リストに該当するか、もしくは、患者のリスク状況を示すスコアリングスコアが所定値以上であるか、の判定が行われる。
【0052】
すなわち、ステップS16では、ステップS14において取得された患者IDに対応する患者に関する情報が、通信部23を介して、外部のサーバ装置30から受信されて、所定の病気リスト等と比較される。
なお、通信部23を介して取得される患者に関する情報には、例えば、患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つが含まれる。
【0053】
ここで、病気リスト等に該当しない場合には、ステップS17へ進み、いずれかに該当する場合には、ステップS21へ進む。
なお、ステップS14において、患者IDの読取りが正常に行われ、ステップS16において、所定の病気リスト等に該当する場合には、
図7(c)に示すように、患者IDの番号と、患者名、該当する病歴等の情報が、表示部14の表示画面に表示される。
【0054】
一方、ステップS16において、該当しなかった場合には、
図7(d)に示すように、患者IDの番号、患者名、病気リストに該当していないため通常の測定が可能である旨が、表示部14の表示画面に表示される。なお、
図7(d)に示す通常の測定が可能である旨の表示は、省略されてもよい。
次に、ステップS17では、通常の測定を実施するために、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12にセンサ1が装着される。
【0055】
次に、ステップS18では、穿刺器具(図示せず)を用いて患者の指F1に穿刺傷を形成して流出した血液Bが、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12に挿入されたセンサ1の点着口1aに点着される。
次に、ステップS19では、ステップS18において、患者の血液Bが正常に点着されると、自動的に生体情報測定装置10の測定部21において血糖値の測定が行われる。
【0056】
次に、ステップS20では、ステップS19における測定の結果、測定された血糖値が表示部14の表示画面に表示される。これにより、通常の血糖値測定が終了する。
次に、ステップS21では、ステップS16において、所定の病気リストに該当する、あるいはスコアリングが所定値以上であったと判定されたため、血糖値を測定しても誤差が大きい測定結果となることが想定される。よって、ステップS21では、参考値として血糖値の測定を実施するか否かが、測定者によって確認される。
【0057】
具体的には、
図8(a)に示すように、「病気リストに該当のため、測定結果が保証できません。参考値でよければ、測定します。測定しない場合は、終了します。」とのメッセージが、表示部14の表示画面に表示される。
ここで、参考値としての測定を実施することを希望する場合には、ステップS22へ進む。一方、参考値としての測定を実施しないことを希望した場合には、そのまま処理を終了する。
【0058】
次に、ステップS22では、参考値としての血糖値を測定するために、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12にセンサ1が装着される。
次に、ステップS23では、穿刺器具(図示せず)を用いて患者の指F1に穿刺傷を形成して流出した血液Bが、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12に挿入されたセンサ1の点着口1aに点着される。
【0059】
次に、ステップS24では、ステップS23において、患者の血液Bが正常に点着されると、自動的に生体情報測定装置10の測定部21において血糖値の測定が行われる。
次に、ステップS25では、ステップS24における測定の結果、測定された血糖値が参考値として表示部14の表示画面に表示される。これにより、参考値としての血糖値測定が終了する。
【0060】
このとき、表示部14の表示画面には、
図8(b)に示す測定結果の数値(ここでは、70mg/dL)とともに、測定結果に応じて、
図8(c)に示すように、「あなたの参考値は低血糖レベルです。担当医にご相談ください。」という医師への相談を促すメッセージが表示される。
本実施形態の生体情報測定装置10は、以上のように、通信部23を介して、外部のサーバ装置30から取得した患者に関する情報に基づいて、正常な測定を実施するか、あるいは参考値としての測定を実施するかを判定し、参考値としての測定を実施するか否か等を、表示部14の表示画面にメッセージとして表示させる。
【0061】
具体的には、本実施形態では、血糖値の測定結果に影響を及ぼす患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品等の情報に基づいて、参考値としての測定を実施するか否か等のように、血糖値の測定に対して警告が行われる。
これにより、患者に関する情報に応じて、
図9(a)に示すように、表示部14の表示画面に、測定結果200mg/dL、「脱水症状を考慮すべき患者です」、「血糖値に誤差有り(過去)」というメッセージとともに、「脱水傾向の患者です。血糖値は参考値です。」というコメントを表示して、測定者に注意を促すことができる。
【0062】
あるいは、
図9(b)に示すように、表示部14の表示画面に、測定結果200mg/dL、「脱水症状を考慮すべき患者です」、「低血圧症です」、「血糖値に誤差有り(過去)」というメッセージとともに、「脱水傾向の患者です。血糖値は参考値です。」というコメントを表示して、測定者に注意を促すことができる。
さらに、
図9(c)に示すように、表示部14の表示画面に、測定結果200mg/dL、「脱水症状を考慮すべき患者です」、「APACHE IIスコア10です」、「低血圧症です」、「血糖値に誤差有り(過去)」というメッセージとともに、「脱水傾向の患者です。血糖値は参考値です。」というコメントを表示して、測定者に注意を促すことができる。
【0063】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係る生体情報測定装置10における血糖値の測定に対する警告処理の流れについて、
図10~
図12(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、本実施形態の生体情報測定装置10は、上記実施形態1の生体情報測定装置10と同じ構成を備えており、
図10および
図11に示すフローチャートに従って、血糖値の測定に対する警告処理を実施する。
【0064】
すなわち、
図10に示すように、ステップS31では、例えば、生体情報測定装置10の本体部11の表面に設けられたボタン13が長押しされ、電源がONされる。
次に、ステップS32では、通信モードがONされ、通信部23による外部のサーバ装置30等との通信が可能な状態となる。
次に、ステップS33では、読み取りモードがONされ、バーコードリーダ22による患者ID等のバーコードの読み取りが可能な状態となる。
【0065】
次に、ステップS34では、看護師等の測定者が、生体情報測定装置10に設けられたバーコードリーダ22を用いて、バーコードの読み取りを実施する。具体的には、測定者は、バーコードリーダ22を用いて、自身の測定者ID、患者ID、センサロットNoの情報を取得する。
なお、ID読取り時における表示部14の表示画面における表示例は、上述した実施形態1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0066】
次に、ステップS35では、バーコードリーダ22によって取得されたID情報が、記憶部25に保存された情報を一致するか否かを判定する。すなわち、ステップS35では、血糖値を測定しようとする患者のID情報が、例えば、入院中の患者の情報と一致するか否かの照合を行う。
ここで、取得したID情報と、記憶部25に保存された情報とが一致する場合には、ステップS36へ進み、一致しない場合には、ステップS34へ戻る。
【0067】
次に、ステップS36では、ステップS35において取得された患者IDに対応する患者に関する情報を用いて、当該患者が所定の病気リストに該当するか、もしくは、患者のリスク状況を示すスコアリングスコアが所定値以上であるか、の判定が行われる。
すなわち、ステップS36では、ステップS34において取得された患者IDに対応する患者に関する情報が、通信部23を介して、外部のサーバ装置30から受信されて、所定の病気リスト等と比較される。
【0068】
なお、通信部23を介して取得される患者に関する情報には、例えば、患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品のうち少なくとも1つが含まれる。
ここで、病気リスト等に該当しない場合には、ステップS37へ進み、いずれかに該当する場合には、ステップS42へ進む。
【0069】
次に、ステップS37では、通常の測定を実施するために、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12にセンサ1が装着される。
次に、ステップS38では、穿刺器具(図示せず)を用いて患者の指F1に穿刺傷を形成して流出した血液Bが、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12に挿入されたセンサ1の点着口1aに点着される。
【0070】
次に、ステップS39では、ステップS38において、患者の血液Bが正常に点着されると、自動的に生体情報測定装置10の測定部21において血糖値の測定が行われる。
次に、ステップS40では、例えば、測定結果が所定値よりも高値あるいは低値であった場合に、後からその測定結果を検索できるようにするために、測定値に応じたフラグが自動的に付与される。
【0071】
次に、ステップS41では、ステップS39における測定の結果、測定された血糖値が表示部14の表示画面に表示される。これにより、通常の血糖値測定が終了する。
次に、ステップS42では、ステップS36において、所定の病気リストに該当する、あるいはスコアリングが所定値以上であったと判定されたため、血糖値を測定しても誤差が大きい測定結果となることが想定される。よって、ステップS42では、誤差が生じやすい測定結果を平均化するために、患者のリスク状況に応じて、測定回数を増やす方向に測定回数を決定する。
【0072】
具体的には、
図12(a)に示すように、「あなたの測定回数は3回です。血糖値測定を3回実施してください。」とのメッセージが、表示部14の表示画面に表示される。
次に、ステップS43では、血糖値を測定するために、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12にセンサ1が装着される。
次に、ステップS44では、穿刺器具(図示せず)を用いて患者の指F1に穿刺傷を形成して流出した血液Bが、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12に挿入されたセンサ1の点着口1aに点着される。
【0073】
次に、ステップS45では、ステップS44において、患者の血液Bが正常に点着されると、自動的に生体情報測定装置10の測定部21において血糖値の測定が行われる。
次に、ステップS46では、ステップS40と同様に、例えば、測定結果が所定値よりも高値あるいは低値であった場合に、後からその測定結果を検索できるようにするために、測定値に応じたフラグが自動的に付与される。
【0074】
次に、ステップS47では、所定の測定回数に達したか否かが判定される。
このとき、表示部14の表示画面には、
図12(b)に示すように、「血糖値測定を3回実施しましたか?」というメッセージが表示される。
なお、表示部14の表示画面に、「1回目の測定です。」、「2回目の測定です。」、「3回目の測定です。」と、測定回数ごとに何回目の測定であるかを示すメッセージを表示してもよい。
【0075】
ここで、所定の回数(例えば3回)に達した場合には、ステップS48へ進み、未達の場合にはステップS42に戻る。
次に、ステップS48では、所定回数の測定が終了しているため、測定結果に応じたコメントを付与する。
次に、ステップS49では、ステップS45における測定の結果を比較して、3回の測定結果が表示部14の表示画面に表示される。これにより、3回の血糖値測定が終了する。
【0076】
さらに、
図11に示すように、ステップS51では、3回分の測定結果(3値)の差が所定値以上であるか否かを判定する。すなわち、ここでは、3回の測定の測定値のばらつきの程度を確認する。
ここで、所定値以上の差がある、つまり3値のバラツキが大きい場合には、ステップS52へ進み、所定値以上の差がない、つまり3値のバラツキが小さい場合には、3値の結果を最終測定値として処理を終了する。
【0077】
次に、ステップS52では、測定回数が最大回数(本実施形態では6回)以内であるか否かを判定する。ここで、最大回数(6回)に達している場合には、バラツキが大きい3値を最終測定値として処理を終了する。一方、最大回数(6回)以内である場合には、ステップS53へ進む。
次に、ステップS53では、追加測定を促すメッセージが表示部14の表示画面に表示される。
【0078】
次に、ステップS54では、追加測定分の血糖値を測定するために、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12にセンサ1が装着される。
次に、ステップS55では、穿刺器具(図示せず)を用いて患者の指F1に穿刺傷を形成して流出した血液Bが、生体情報測定装置10のセンサ挿入口12に挿入されたセンサ1の点着口1aに点着される。
【0079】
次に、ステップS56では、ステップS55において、患者の血液Bが正常に点着されると、自動的に生体情報測定装置10の測定部21において血糖値の測定が行われる。
次に、ステップS57では、追加測定分の測定結果が、表示部14の表示画面に表示される。
その後、再び、ステップS51に戻り、3値のバラツキが所定値以内になるか、あるいは、ステップS52において最大回数に達するまで、ステップS51~ステップS57の処理を繰り返す。
【0080】
なお、ステップS51において設定される測定回数は、3回に限定されるものではなく、患者に関する情報(患者の既往歴、現在の症状、服薬中の薬剤、患者のリスクレベル、年齢、食事、補助食品等)に応じて、以下のように設定されていればよい。
(i)既往歴
・測定回数1回:なし
・測定回数2回:下痢、心臓性の病気全般(Cardiogenic)、急性アレルギー反応(Anaphalactic)、神経性の病気全般(Neurogenic)、低温症、代謝性アシドーシス、血中ラクテート濃度上昇
・測定回数3回以上:血液量減少性の病気全般(Hypovolemic)、敗血症(Septic)
(ii)症状、年齢等
・測定回数1回:なし
・測定回数2回:幼児と老人、高熱、多汗(以上、脱水傾向にある入院患者)、不安神経症(Anxiety)、唇と爪が青色に変色、胸の痛み、目まい、ふらつき、脱力、顔が青白い、冷や汗、頻脈(Tachycardia)、尿量が<0.5ml/kg/hに減少、脈が弱くなる
・測定回数3回以上:幼児で嘔吐、血糖値をコントロール出来ていない糖尿病患者(以上、脱水している入院患者)
(iii)薬剤
・測定回数1回:なし
・測定回数2回:既存の妨害物質として認識されているアセトアミノフェン、アスコルビン酸(ビタミンC)、マルトース、キシロース、ガラクトース等の糖分を含む輸液、尿酸、ビリルビン等
・測定回数3回以上:Vasodilators、Beta blockers、ACE inhibitors、Calcium channel blockers、NSAIDs(以上、血流を低下させる薬剤)、利尿剤(脱水状況にさせる薬剤)
(iv)リスクレベル(APACHE II:スコア25で死亡率は予測で50%、36以上で90%)
・測定回数1回:score 0以上-25未満
・測定回数2回:score 25以上-36未満
・測定回数3回以上:score 36以上、最大score 71
(v)リスクレベル(MODS:スコア12で院内死亡率の予測は50%、20以上で82%、21以上は100%)
・測定回数1回:score 0以上-12未満
・測定回数2回:score 12以上-20未満
・測定回数3回以上:score 20以上、最大score 24
また、ステップS51~ステップS57における処理において、3値のバラツキが大きい場合、例えば、3回測定のうち、2回は約150mg/dl、1回は250mg/dlと大きく外れた場合には、1回追加測定を実施する。
【0081】
そして、追加測定分の4回目の測定結果が250mg/dlだった場合には、さらに1回、追加測定を実施し、5回目の測定結果が250mg/dlだった場合には、測定平均値を250mg/dlとすればよい。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
(A)
上記実施形態では、患者に関する情報を取得する情報取得部として、患者に関する情報が保存されたサーバ装置30と通信を行う通信部23を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、患者に関する情報を取得する情報取得部としては、通信部以外にも、測定者あるいは患者自身が手動で入力した患者に関する情報を取得する入力受付部を用いることもできる。
【0083】
さらに、生体情報測定装置10内の記憶部25内に、患者に関する情報が保存されている場合には、制御部20が、情報取得部として機能してもよい。
ここで、測定者あるいは患者が、患者に関する情報(既往歴、症状、薬剤等)を直接入力する場合には、
図13(a)~
図13(d)に示す表示部14の表示画面に対して、必要な情報を入力すればよい。
【0084】
例えば、患者に関する情報として、
図13(a)に示すように、APACHE IIのスコアリングを入力する場合には、患者に応じて医師が設定した3段階の評価(影響大、普通、影響小)のうちの1つを選択することで、情報が入力される。
ここに表示されるAPACHE IIの3段階の評価は、例えば、直近2~3日の平均APACHE IIの値の範囲であればよい。
【0085】
そして、患者に関する情報として、
図13(b)に示すように、血圧を入力する場合には、予め医師が設定した測定結果の数値が属する3段階の評価(高め、普通、低め)のうちの1つを選択することで、情報が入力される。
また、患者に関する情報として、
図13(c)に示すように、過去の測定値の誤差を入力する場合には、予め医師が設定した誤差範囲の数値が属する3段階の評価(誤差大、普通、誤差小)のうちの1つを選択することで、情報が入力される。
【0086】
例えば、過去の誤差が、±50mg/dl以上あった場合には誤差大、±20mg/dl以上であった場合には普通、±10mg/dl未満であった場合には影響小が選択される。
さらに、患者に関する情報として、
図13(d)に示すように、現在の症状(発熱)を入力する場合には、予め医師が設定した体温が属する3段階の評価(影響大、普通、影響なし)のうちの1つを選択することで、情報が入力される。
【0087】
(B)
上記実施形態では、患者に関する情報(患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢)を、通信部23を介して、生体情報測定装置10の外部に設けられたサーバ装置30から取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
例えば、生体情報測定装置内に設けられた記憶部に、患者に関する情報が保存されており、測定を実施する際に取り出されるように制御が行われてもよい。
(C)
本実施形態では、血糖値の測定結果に誤差が含まれる要因の1つとして、脱水症の程度をリスクとして考慮して、警告処理を実施する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0089】
例えば、血糖値の測定に影響を及ぼす他の要因をリスクとして考慮して、警告処理が実施されてもよい。
また、血糖値以外の生体情報の測定に影響を及ばす各種要因をリスクとして考慮して、その測定に対する警告処理が実施されてもよい。
(D)
上記実施形態2では、患者に関する情報に基づいて患者のリスクレベルが高いと判定された際に、3回の測定を実施するように促すとともに、測定値のバラツキが所定の範囲内になるまで最大6回まで繰り返し測定を行うように促す例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
例えば、複数回の測定は、患者のリスクレベルや各種生体情報の測定に応じて、2回であってもよいし、4回以上であってもよい。また、最大回数については、最大回数が設定されていなくてもよいし、5回以内あるいは7回以上に設定されていてもよい。
また、測定回数を増やす際には、最初に穿刺した穿刺箇所(例えば、指先)から血液を絞り出すよりも、改めて穿刺箇所を変えて穿刺したところから、血液を絞り出す方が好ましい。
【0091】
(E)
上記実施形態では、通信部23との間で患者に関する情報を含む各種データの送受信を行う外部の記憶手段として、サーバ装置30が用いられた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、サーバ装置の代わりに、クラウド空間が外部の記憶手段として用いられてもよい。
【0092】
(F)
上記実施形態では、患者に関する情報として、患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢が用いられた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、これらの患者の既往歴、服用している薬剤、現在の症状、リスクレベル、年齢、食事、補助食品等の情報の少なくとも1つが、患者に関する情報として用いられてもよいし、これら以外の他の情報を患者に関する情報として用いられてもよい。
【0093】
(G)
上記実施形態では、患者に関する情報に基づく生体情報の測定に対する警告として、表示部14に文字情報(メッセージ)が表示される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、文字情報の代わりに、音声情報を出力する出力部(スピーカ)から音声メッセージ、警告音等が出力されてもよい。また、例えば、LED(Light Emitting Diode)等で赤色、緑色、青色等の各色の光情報によって警告が行われることも可能である。
【0094】
あるいは、文字情報、音声情報および光情報が、組み合わせて用いられてもよい。
(H)
上記実施形態では、本発明に係る生体情報測定装置として、血糖値の測定を行う血糖メータが用いられた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
例えば、血糖値以外の生体情報{ケトン値、総コレステロール値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値、中性脂肪値、尿酸値、アルブミン値、AST(GOT)値、ALT(GPT)値、ALP値、LDH値、LAP値、CHE値、HBs値、HCV値、アミラーゼ値、HbA1c値、尿糖値、尿素窒素値、クレアチニン値、eGFR値、尿蛋白値、尿潜血値、尿PH値、ナトリウム(Na)値、カリウム(K)値、クロール(Cl)値、RF値、リポタンパク値、トリグリセライド値等}を測定する生体情報測定装置に対して、本発明が適用されてもよい。
【0096】
他の生体情報測定装置の一例としては、抗原抗体反応を用いたバイオセンサがある、例えば、CRPの測定を行う金コロイドイムノクロマトグラフィ測定システムについて例示する。
該バイオセンサは、被検査溶液を添加する添加部分を備え、被検査溶液が浸透可能な複数の展開層で構成され、前記展開層の一部に抗CRP抗体が、予め乾燥状態で固定化してある。さらに、前記抗体固定化部分よりも測定時被検査溶液の浸透の上流側に前記固定化抗体とは別のエピトープでCRPと結合することが可能であって、金コロイドで標識された抗CRP抗体(CRPの場合は5量体のためこの限りではない)が、被検査溶液により溶出可能な乾燥状態で予め保持されている構成を持つ。測定時は被検査溶液を添加部分に必要量添加すると、被検査溶液は展開層を浸透し測定が開始される。被検査溶液が全血であれば血球成分をろ過もしくは溶血、もしくは血漿等の液性成分と同時展開しながら毛細管現象によって展開層を下流に浸透し、前記標識抗体部に達し、標識抗体を溶出し、被検査溶液中のCRPと前記標識された抗CRP抗体とが反応しながら下流へと浸透する。その後、前記固定化抗CRP抗体部に到達し、さらに前記固定化抗体との抗原抗体反応が起こりCRP濃度に応じて固定化抗体―CRP―標識抗体の3複合体が形成される。複合体を形成しなかった前記標識抗体は、さらに下流へと浸透する。これにより、前記固定化抗体部には、3複合体を形成した標識抗体のみが補足される。前記抗体固定化部分に標識金コロイド粒形に応じた波長の光を照射し、その反射吸光度を検出することによって、結合した標識抗体を検出し、CRPの測定を行うことができる。
【0097】
ここでは、抗原抗体反応の中でサンドイッチ反応を測定原理とした例を述べたが、その他、例えば、固定化領域に抗原等を用いることや、標識するのが抗体ではなく標識抗原とする競合反応を測定原理とする等、抗原抗体反応をバイオセンサ上で様々にデザインしても同様に実施できる。また、標識物も金コロイド以外でもラテックスの粒子、蛍光色素、酵素を用いて前記固定化部で酵素反応を光学的に検出すること等も同様に実施可能である。
【0098】
光学的な読みとり装置は、反射光、透過光、蛍光等を読みとる方法や、カメラで画像としてデータを取り込み、画像を演算処理することで前記固定化部の前記標識物質を検出し生体情報を同様に測定できる。さらに、ここでは、CRP測定を例示したが、抗原抗体反応を基本原理としている性質から抗体のデザインを変更することで、同様の構成で、他の測定項目、例えば、急性心筋梗塞の早期診断や肺血栓塞栓症の除外検査、心不全患者のモニタリングに有用なマーカーであるトロポニンI、トロポニンT、CK-MB、ミオグロビン、心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)、D-ダイマー、BNP、NP-proBNP等や、感染症や敗血症、炎症検査マーカーの、プロカルシトニン(PCT)、HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体、HIV抗体、HIV抗原、HIV抗体、梅毒TP抗体、カンジタ抗原測定等の他、糖尿病の検査マーカーでは、HbA1c、グリコアルブミン測定、の他、アレルギー検査では、特異IgE測定等も同様に実施可能である。
【0099】
さらに、他の生体情報測定装置の一例としては、特定のバイオマーカーを測定しないがセンサ上の試薬層に組織因子を用いたバイオセンサがある、例えば、プロトロンビン時間の測定を行う電気化学式のプロトロンビン時間測定システムにつき例示する。
該バイオセンサは、被検査溶液を添加する添加部分を備え、被検査溶液が反応する試薬層と電極で構成され、前記試薬層に組織因子、基質エレクトロザイム(electrozyme)THがあらかじめ乾燥状態で含まれている。
【0100】
測定時は、被検査溶液を添加部分に必要量添加すると、被検査溶液は試薬層を溶解し、検査が開始される。試薬層に含まれる組織因子が外因性凝固機序を活性化することにより、検体中のプロトロンビンからトロンビンが生成し、その生成したトロンビンにより、試薬層に含まれるエレクトロザイムTHが分解され、フェニレンジアミンが生成される。
試薬層近傍にある二対以上の電極に電圧が掛かると、フェニレンジアミンが酸化されて電流を生じ、その電流が閾値に達するまでの時間を測定し、検体中のプロトロンビン時間を測定できる。
【0101】
ここでは、電気化学式のプロトロンビン時間測定システムを測定原理とした例を述べたが、その他、例えば、外因系凝固活性化機序による粘性変化を直接的または間接的に光学的に検出すること等も同様に実施可能である。
光学的な読みとり装置は、反射光、透過光、蛍光等を読みとる方法や、カメラで画像としてデータを取り込み、画像を演算処理することで試薬層の光学的変化を検出し生体情報を同様に測定できる。さらに、ここでは、プロトロンビン時間を例示したが、粘性変化の測定を基本原理としている性質から検出系を電気化学的な電気抵抗測定、磁性体の移動度測定等に変更することで、同様の試薬層構成でもプロトロンビン時間の測定は可能である。
【0102】
逆に、試薬層をエラジン酸等の活性化物質に変更することで、内因系凝固活性化機序の測定が様々な検出系で可能となる。
とは言え、プロトロンビン時間は、凝固因子を作る肝臓の状態や病気、凝固因子に影響を及ぼすビタミンKを含んだ商品やサプリメント、チトクロームP450薬物代謝酵素システムに影響を及ぼしたり、ワーファリンと相互作用する薬物等様々なファクターにより測定値が影響を受けたりする。
【0103】
プロトロンビン時間の測定が必要な患者は、主に、ワーファリン服薬患者であるが、ワーファリンと相互作用する薬物としては、アカルボース(Acarbose)、アセトアミノフェン(Acetaminophen)、アロプリノール(Allopurinol)、アミオダロン(Amiodarone)、アンプレナビル(Amprenavir)、アセチルサリチル酸(ASA:acetylsalicylic acid)、アタザナビル(Atazanavir)、アザチオプリンおよびメルカプトプリン(Azathioprine and mercaptopurine)、アジスロマイシン(Azithromycin)、次サリチル酸ビスマス(Bismuth subsalicylate)、ボセンタン(Bosentan)、カルバマゼピン(CBZ:Carbamazepine)、セレコキシブ(Celecoxib)、コレスチラミン(Cholestyramine)、シメチジン(Cimetidine)、シプロフロキサシン(Ciprofloxacin)、クラリスロマイシン(Clarithromycin)、クロピドグレル(Clopidogrel)、クロキサシリン(Cloxacillin)、コルヒチン(Colchicine)、ダナゾール(Danazol)、ダルナビル(Darunavir)、デラビルジン(Delavirdine)、ジクロフェナク(Diclofenac)、ジソピラミド(Disopyramide)、ドキシサイクリン(Doxycycline)、ドゥロネダロン(Dronedarone)、エファビレンツ(Efavirenz)、エリスロマイシン(Erythromycin)、エチニルエストラジオール(Ethinyl estradiol)、エトラビリン(Etravirine)、フェノフィブラート(Fenofibrate)、フルコナゾール(Fluconazole)、フルバスタチン(Fluvastatin)、ホスアンプレナビル(Fosamprenavir)、ゲムフィブロジル(Gemfibrozil)、グリベンクラミド(Glyburide)、イブプロフェン(Ibuprofen)、インジナビル(Indinavir)、インドメタシン(Indomethacin)、イソニアジド(Isoniazid)、イソトレチノイン(Isotretinoin)、イトラコナゾールおよびケトコナゾール(Itraconazole and ketoconazole)、ラクツロース(Lactulose)、ランソプラゾール(Lansoprazole)、レフルノミド(Leflunomide)、レボフロキサシン(Levofloxacin)、レボチロキシン(Levothyroxine)、カルテラ(ロピナビル/リトナビル)(Kaletra :Lopinavir/ritonavir)、メサラジン(Mesalamine)、チアマゾール(Methimazole)、局所サリチル酸メチル(Methyl salicylate(topical))、メトロニダゾール(Metronidazole)、ミコナゾール(経口、局所、膣製剤)(Miconazole (oral, topical, or vaginal formulation))、モキシフロキサシン(Moxifloxacin)、ナプロキセン(Naproxen)、ネルフィナビル(Nelfinavir)、ネビラピン(Nevirapine)、オメプラゾール(Omeprazole)、オルリスタット(Orlistat)、フェノバルビタール(Phenobarbital)、フェニトイン(Phenytoin)、プレドニゾン(Prednisone)、プロパフェノン(Propafenone)、プロポキシフェン(Propoxyphene)、プロピルチオウラシル(Propylthiouracil)、クエチアピン(Quetiapine)、ラロキシフェン(Raloxifene)、ラニチジン(Ranitidine)、リバビリン(Ribavirin)、リファンピシン(Rifampin)、リトナビル(Ritonavir)、ロピニロール(Ropinirole)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)、サキナビル(Saquinavir)、シンバスタチン(Simvastatin)、スルファメトキサゾール(トリメトプリムの有無にかかわらず)(Sulfamethoxazole (with or without trimethoprim))、サラゾスルファピリジン(Sulfasalazine)、スルフィンピラゾン(Sulfinpyrazone)、テルビナフィン(Terbinafine)テトラサイクリン(Tetracycline)、チクロピジン(Ticlopidine)、チプラナビル(Tipranavir)、トラマドール(Tramadol)、ボリコナゾール(Voriconazole)等がある。
【0104】
チトクロームP450薬物代謝酵素システムに影響を及ぼす薬剤としては、Macrolide antibiotics, cimetidine, flucanzoleが知られている。
また、凝固因子に影響を及ぼすビタミンKを含む野菜としては、アスパラガス(Asparagus)、豆(Beans)、ビート(Beet)、ブロッコリー(Broccoli)、芽キャベツ(Brussels sprouts)、キャベツ(Cabbage)、コラード(Collards)、キュウリ(Cucumber)、タンポポ(Dandelion)、キクヂシャ(Endive)、ケール(Kale)、レタス(Lettuce)、マスタードグリーン(Mustard)、オクラ、タマネギ(Onion)、パセリ(Parsley)、エンドウマメ(peas)、食用大黄(Rhubarb)、大豆(Soybeans)、ほうれん草(spinach)、カブ(Turnip greens)、ピーナッツ(Peanut)、コーン(Corn)、紅花(Safflower)、くるみ(Walnut)、胡麻(Sesame)、オリーブ(Olive)、西洋油菜(Canola)等があり、ファーストフードや加工食品では、チーズ入りハンバーガー(Hamburger with cheese)、ソースハンバーガー(Hamburger with sauce)、チキンサンドイッチ(Chicken sandwich)、フィッシュサンドイッチ(Fish sandwich)、フライドポテト(French fries)、ビーフタコス(Taco with beef)、Cheeto型チップ(Cheeto-type chips)、ポテトチップ(Potato chips)、オレストラポテトチップ(Olestra potato chips)、トルティーヤチップ(Tortilla chips)、オレストラトルティーヤチップ(Olestra tortilla chips)等がある。また、民族的な他の食品として、藻類-海苔(Algae-purple laver)、藻類-昆布(Algae-Konbu)、藻類-昆布(Algae-Hijiki)、アサツキの葉(Asatsuki, leaf)、アシタバの葉(Ashitaba, leaf)、チンゲンサイ(Bok-Choy)、小松菜(Komatsuna)、ピスタチオ(Pistachio)等がある。
【0105】
さらに、クマリン誘導体を含む栄養補助食品としては、アルファルファ(Alfalfa)、とうき(Angelica root)、アニス(Aniseed)、アルニカ(Arnica)、アルテミーシア(Artemesia)、アサフェティダ(Asa foetica(asafoetida))、ビショップ(Bishop's weed)、ミツガシワ(Bogbean)、ブッコ(Buchu)、トウガラシ(Capsicum)、カッシア(Cassia)、セロリシード(Celery seed)、カモミール(Chamomile)、丹参(タンジン)(Danshen(salvia miltiorrhiza))、タンポポ(Dandelion)、トウキ(Dong quai(Danggui, Angelica sinensis)、フェヌグリーク(Fenugreek)、セイヨウトチノキ(Horse chestnut)、西洋ワサビ(Horseradish)、甘草(Licorice root)、ラベージ根(Lovage root)、西洋夏雪草(Meadow sweet)、メリロート(Melilot)イラクサ(Nettle)、パセリ(Parsley)、トケイソウ(Passion flower)、山椒(Prickly ash)、カシア(Quassia)、レッドクローバー(Red clover)、ルー(Rue)、スイートクローバー(Sweet clover)、スイートウッドラフ(Sweet woodruff)、トンカ豆(Tonka beans)、野良人参(Wild carrot)、ワイルドレタス(Wild lettuce)等がある。
【0106】
さらに、ワーファリンの吸収を減らす可能性がある栄養補助食品としては、寒天(Agar)、アルギン(Algin)、アロエ(Aloe)、大麦(Barley)、ブロンドサイリウム(Blond psyllium)、バターナッツ(Butternut)、カラギーナン(Carrageenan)、カスカラ(Cascara)、カストール(Castor)、コーヒーチャコール(Coffee Charcoal)、ヨーロピアンバックソーン(European Buckthorn)、アイスランドモス(Iceland Moss)、グルコマンナン(Glucomannan)、ヤラップ(Jalap)、カラヤゴム(Karaya Gum)、カラマツアラビノガラクタン(Larch Arabinogalactan)、マシュマロ(Marshmallow)、メキシカンスカモニアルート(Mexican Scammony Root)、クインス(Quince)、ルバーブ(Phubarb)、米ぬか(Rice Bran)、北米ニレ(Slippery Elm)、トラガカント(Tragacanth)等がある。
【0107】
チトクロームP450薬物代謝酵素システムに影響を及ぼす栄養補助食品としては、ベルガモチン(グレープフルーツジュースの成分)(Bergamottin)、ビショップウィード(ベルガプテン)(Bishop's weed(Bergapten))、ビターオレンジ(Bitter Orange)、キャッツクロー(Cat's Claw)、クリシン(Chrysin)、クランベリー(Cranberry)、デビルズクロー(Devil's Claw)、デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone)、ジインドリルメタン(Diindolymethane)、エキナセア(Echinacea)、ユーカリ(Eucalyptus)、フィーバーフュー(Feverfew)、フォーチ(Fo-Ti)、ニンニク(Garlic)、チョウセンニンジン(Ginseng)、ゴールデンシール(Goldenseal)、グッグル(Guggul)、グレープ(Grape)、グレープフルーツジュース(Grapefruit juice)、インドール-3-カルビノール(Indole-3-carbinol)、イプリフラボン(Ipriflavone)、カヴァ(Kava)、リコリス(Licorice)、ライム(Lime)、リモネン (limonene)、クコ(Lycium(Chinese wolfberry)) 、ミルクシスル(Milk Thistle)、ペパーミント(Peppermint)、レッドクローバー(Red Clover)、レスベラトロール(Resveratrol)、セントジョンズワート(St. John's wort)、スルフォラファン (sulforaphane)、ヴァレリアン(Valerian)、ワイルドチェリー(Wild Cherry)等がある。
【0108】
その他、患者の状態が代謝に影響を及ぼすものとして、脱水、慢性炎症疾患、甲状腺疾患、発熱、妊娠、慢性的なフィブリノゲン上昇、後期ステージの癌、末期腎不全による透析治療があり、影響を及ぼす薬剤としては、ほぼ全ての抗生物質、アセトアミノフェン、アスピリン、非ステロイド性消炎鎮痛薬があり、患者に関する情報を様々な検体測定時に活用することが臨床上、非常に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の生体情報測定装置は、患者の病歴や症状、服薬中の薬剤等の情報に基づいて、生体情報の測定に対して警告を行うことができるという効果を奏することから、生体情報を測定する各種装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 センサ
1a 点着口
1b 電極部
10 生体情報測定装置
11 本体部
12 センサ挿入口(センサ装着部)
13 ボタン
14 表示部
20 制御部
21 測定部
22 バーコードリーダ(読み取り部)
23 通信部(情報取得部)
24 電池
25 記憶部
30 サーバ装置
B 血液
F1 指