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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】燃料電池用膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20221219BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20221219BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20221219BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20221219BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20221219BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D63/02
B01D53/04 110
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021529782
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2019018173
(87)【国際公開番号】W WO2020138854
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0171473
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0358808(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0038223(KR,A)
【文献】独国特許出願公開第102014205029(DE,A1)
【文献】特表2009-507350(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169785(JP,U)
【文献】特開2018-201721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
H01M 8/04
F24F 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流入する第1流体流入口、第1流体が流出する第1流体流出口、第2流体が流入する第2流体流入口、及び第2流体が流出する第2流体流出口を含むハウジング部(前記第1流体流入口を介して流入する前記第1流体の湿度は、前記第2流体流入口を介して流入する前記第2流体の湿度と異なる);
前記ハウジング部の内部に設けられ、複数の中空糸膜を収容した少なくとも一つの第1カートリッジ;及び
前記第1及び第2流体のうち少なくとも一つに含まれた有害ガスを捕集可能に構成されており、前記中空糸膜と異なる形態を有する第1ガスフィルター(前記有害ガスは窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)、又はこれらのうち2つ以上の混合物を含む)を含み、
前記ハウジング部は、前記第1カートリッジが装着され、前記第2流体流入口及び第2流体流出口が形成されたミドルケースと、該ミドルケースの両側にそれぞれ結合し、前記第1流体流入口及び第1流体流出口をそれぞれ有する一対のキャップケースとを含み、
前記第1ガスフィルターは、前記第1流体流入口を有するキャップケースと前記ミドルケースとの間に着脱可能に装着され、前記第1流体流入口を介して流入する前記第1流体が前記中空糸膜の中空内に流入する前に前記第1ガスフィルターを通過するように装着されていることを特徴とする、燃料電池用膜加湿器。
【請求項2】
前記ハウジング部の内部に設置された少なくとも一つの第2カートリッジをさらに含み、
前記第2カートリッジは、第2ガスフィルターのみで充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項3】
更に第2ガスフィルターが、前記第1カートリッジの内部に前記中空糸膜と一緒に配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項4】
前記第2ガスフィルターは、不織布、及び該不織布に塗布されたガス捕集物質を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項5】
前記第2ガスフィルターは、原糸、及び該原糸に塗布されたガス捕集物質を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項6】
前記燃料電池用膜加湿器は、複数の前記第1カートリッジを含み、前記燃料電池用膜加湿器は更に、前記ハウジング部の内部で複数の前記第1カートリッジを全て取り囲むように装着されている第2ガスフィルターを有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項7】
前記第1カートリッジの内周面又は外周面に、前記複数の中空糸膜を取り囲むように装着される第2ガスフィルターを更に有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項8】
前記第2ガスフィルターは、不織布、及び該不織布に塗布されたガス捕集物質を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項9】
前記ガス捕集物質は、バイオ炭(biochar)、チャコール(charcoal)、活性炭(active carbon)、酸性ポリマー(acidic polymer)、ゼオライト(zeolite)、白金、硫酸銅-硫酸チタン混合物、ニオビウム(Nb)、炭酸水素ナトリウム及びこれらのうち2つ以上の混合物よりなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項4,5又は8に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項10】
前記ガス捕集物質は酸性ポリマーを含み、該酸性ポリマーは、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone,S-PES)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone,S-PAES)、スルホン化されたポリスチレン(sulfonated polystyrene,S-PS)、スルホン化されたポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone,S-PEK)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone,S-PEEK)及びこれらのうち2つ以上の混合物よりなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする、請求項4,5又は8に記載の燃料電池用膜加湿器。
【請求項11】
前記第1ガスフィルターは、フィルター部、及び該フィルター部を取り囲むように結合したフレーム部を含み、
前記フィルター部は、不織布、及び該不織布に塗布されたガス捕集物質を含むことを特徴とする、請求項に記載の燃料電池用膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用膜加湿器に関し、より詳細には、別途のガスフィルター装置がなくても加湿過程で窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)などのガスを除去することによって、燃料電池の性能低下を防止できる燃料電池用膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは違い、水素と酸素が供給される限り、継続して電気を生産することができ、熱損失がなくて内燃機関に比べて効率が2倍程度高いという利点がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質の排出が少ない。このため、燃料電池は、環境に優しいだけでなく、エネルギー消費増加による資源枯渇に対するおそれを減らすことができるという利点がある。
【0004】
このような燃料電池は、用いられる電解質の種類によって、大きく、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類できる。
【0005】
これらの燃料電池のそれぞれは、根本的に同じ原理によって作動するが、使われる燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。このうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高くて小型化が可能な点から、小規模据置型発電装備の他に輸送システムにおいても最も有望なものと知られている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させる上で最も重要な要素の一つは、膜-電極組立体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給して含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急に低下するからである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
【0008】
これらの中でも、排気ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を用いて水蒸気を、高分子電解質膜に供給されるガスに提供することによって、高分子電解質膜を加湿する加湿膜方式が、加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0009】
加湿膜方式に用いられる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積の大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて膜加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも燃料電池を十分に加湿することができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される未反応ガスに含まれた水分と熱を回収し、加湿器を通じて再利用できるという利点を有する。
【0010】
一方、一般的な燃料電池用膜加湿器は、ハウジング部の内部に中空糸膜を収容し、ポッティング部によって中空糸膜はハウジング部の内壁に接着される。中空糸膜は、スタックの所望出力値に応じて特定の本数がハウジング部内に収容され、ポッティング部によってハウジング部に接着及び固定される。燃料電池用膜加湿器には、ブロワーから流入した高温の空気及びスタックから流入した高温多湿な空気が流入する。
【0011】
燃料電池システムにおいて、圧縮機及びブロワーから発生する高温の空気は、加湿器を通ってスタックに流入するが、前記空気中に含まれている窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)などの物質が燃料電池のスタックに流入すれば、スタックの性能が低下することがある。したがって、空気圧縮機の前端又は後端に、このような物質を除去できる別途のガスフィルター装置が使われている実情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】大韓民国公開特許第10-2009-0013304号
【文献】大韓民国公開特許第10-2009-0057773号
【文献】大韓民国公開特許第10-2009-0128005号
【文献】大韓民国公開特許第10-2000-0108092号
【文献】大韓民国公開特許第10-2000-0131631号
【文献】大韓民国公開特許第10-2001-0001022号
【文献】大韓民国公開特許第10-2001-0006122号
【文献】大韓民国公開特許第10-2001-0006128号
【文献】大韓民国公開特許第10-2001-0021217号
【文献】大韓民国公開特許第10-2001-0026696号
【文献】大韓民国公開特許第10-2001-0063366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、別途のガスフィルター装置がなくても、加湿過程で窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)などのガスを除去して、燃料電池の性能低下を防止することができる燃料電池用膜加湿器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための本発明の燃料電池用膜加湿器は、第1流体が流入する第1流体流入口、第1流体が流出する第1流体流出口、第2流体が流入する第2流体流入口、及び第2流体が流出する第2流体流出口を含むハウジング部(前記第1流体流入口を介して流入する前記第1流体の湿度は、前記第2流体流入口を介して流入する前記第2流体の湿度と異なる);前記ハウジング部の内部に設けられ、複数の中空糸膜を収容した少なくとも一つの第1カートリッジ;及び前記第1カートリッジの内部に設けられたり、或いは前記ハウジング部の内周面と前記第1カートリッジとの間に設けられ、前記第1及び第2流体のうち少なくとも一つに含まれた有害ガスを捕集可能に構成されており、前記中空糸膜と異なる形態を有するガスフィルター(前記有害ガスは、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)、又はこれらのうち2つ以上の混合物を含む)を含む
【0015】
前記燃料電池用膜加湿器は、前記ハウジング部の内部に設置された少なくとも一つの第2カートリッジをさらに含むことができ、前記第2カートリッジは、前記ガスフィルターのみで充填されてよい。
【0016】
前記ガスフィルターは、前記第1カートリッジの内部に前記中空糸膜と一緒に配列されてよい。
【0017】
前記ガスフィルターは、不織布及び該不織布に塗布されたガス捕集物質を含むことができる。
【0018】
前記ガスフィルターは、原糸及び該原糸に塗布されたガス捕集物質を含むことができる。
【0019】
前記燃料電池用膜加湿器は、複数の前記第1カートリッジを含むことができ、前記ガスフィルターは、前記ハウジング部の内部で複数の前記第1カートリッジを全て取り囲むように装着されてよい。
【0020】
前記ガスフィルターは、前記第1カートリッジの内周面又は外周面に、前記複数の中空糸膜を取り囲むように装着されてよい。
【0021】
前記ガスフィルターは、不織布及び該不織布に塗布されたガス捕集物質を含むことができる。
【0022】
前記ガス捕集物質は、バイオ炭(biochar)、チャコール(charcoal)、活性炭(active carbon)、酸性ポリマー(acidic polymer)、ゼオライト(zeolite)、白金、硫酸銅-硫酸チタン混合物、ニオビウム(Nb)、炭酸水素ナトリウム及びこれらのうち2つ以上の混合物よりなる群から選択されるいずれかであってよい。
【0023】
前記酸性ポリマーは、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone,S-PES)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone,S-PAES)、スルホン化されたポリスチレン(sulfonated polystyrene,S-PS)、スルホン化されたポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone,S-PEK)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone,S-PEEK)及びこれらのうち2つ以上の混合物よりなる群から選択されるいずれかであってよい。
【0024】
前記ガスフィルターは、前記ハウジング部の内部に装着されるが、前記第1流体流入口を介して流入する前記第1流体が前記中空糸膜の中空内に流入する前に、前記ガスフィルターを通過するように装着されてよい。
【0025】
前記ハウジング部は、前記第1カートリッジが装着され、前記第2流体流入口及び第2流体流出口が形成されたミドルケースと、該ミドルケースの両側にそれぞれ結合し、前記第1流体流入口及び第1流体流出口をそれぞれ有する一対のキャップケースを含み、前記ガスフィルターは、前記第1流体流入口を有するキャップケースと前記ミドルケースとの間に着脱可能に装着されてよい。
【0026】
前記ガスフィルターは、フィルター部及び該フィルター部を取り囲むように結合しているフレーム部を含むことができ、前記フィルター部は、不織布及び該不織布に塗布されたガス捕集物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
前記本発明に係る燃料電池用膜加湿器によると、別途のガスフィルター装置がなくても、加湿過程で窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)などのガスを除去することによって、燃料電池の性能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器を示す分解斜視図である。
【0029】
図2】本発明の第1実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【0030】
図3】ガスフィルターの形態に関する実施例を示す断面図である。
【0031】
図4】本発明の第2実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【0032】
図5】本発明の第3実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【0033】
図6】膜加湿器のミドルケース内部に装着されるガスフィルターの構造を示す概略図である。
【0034】
図7】本発明の第4実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【0035】
図8】膜加湿器のカートリッジの内部又は外部にガスフィルターが装着される構造を示す概略図である。
【0036】
図9】本発明の第5実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【0037】
図10】膜加湿器のミドルケースとキャップケースとの間に装着されるガスフィルターの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器を示す分解斜視図であり、図2は、本発明の第1実施例による膜加湿器を示す断面図であり、図3は、ガスフィルターの形態に関する実施例を示す断面図である。
【0039】
本発明の一実施例による燃料電池用膜加湿器は、ハウジング部、及びハウジング部の内部に設置された複数のカートリッジ150を含む。前記カートリッジ150の少なくとも一つは、内部に複数の中空糸膜160を収容した第1カートリッジである。ハウジング部は、ミドルケース110とキャップケース120とが結合して形成されてもよく、一体に形成されてもよい。
【0040】
ミドルケース110は、その両側で一対のキャップケース120と結合して膜加湿器の外形をなす。ミドルケース110及びキャップケース120は、ポリカーボネートなどの硬質プラスチック又は金属からなり得る。ミドルケース110及びキャップケース120は、図1に示すように、幅方向断面形状が多角形であってもよく、又は幅方向断面形状が円形であってもよい。前記多角形は、方形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであってよく、前記多角形は角部が丸まった形態であってもよい。また、前記円形は楕円形であってもよい。
【0041】
ミドルケース110には、第2流体が供給される第2流体流入口112と、第2流体が排出される第2流体流出口113がそれぞれ形成されている。
【0042】
ミドルケース110の両端にそれぞれ結合したキャップケース120のいずれか一方のキャップケース120には第1流体流入口121が形成され、他方のキャップケース120には第1流体流出口122が形成される。前記第1流体流入口121からハウジング部内に流入した第1流体は、第1カートリッジ150の内部に収容された中空糸膜160の内部管路を通過した後、第1流体流出口122から排出される。第1流体流入口121と第1流体流出口122が互いに位置を換えて形成され、第1流体の流動方向が反対になってもよい。
【0043】
中空糸膜160は、例えば、ナフィオン(Nafion)材料、ポリエーテルイミド(polyetherimide)材料、ポリイミド(PI)材料、ポリフェニルスルホン(polyphenylsulfone)材料、ポリスルホン(PS)材料、ポリエーテルスルホン(PES)材料の中空糸膜であってよい。
【0044】
第1カートリッジ150の一側には、第2流体流入口112から膜加湿器に流入した第2流体を前記第1カートリッジ150の内部に流入させるためのメッシュ部152が形成され、他側には、中空糸膜カートリッジ150の内部で水分交換を行った第2流体を前記第1カートリッジ150の外部に流出させるためのメッシュ部152が形成されてよい。
【0045】
前記第1カートリッジ150の両端部には、中空糸膜160を結束するとともに中空糸膜160間の空隙を埋めるポッティング部が形成される。これにより、前記第1カートリッジ150の両端部はポッティング部によって塞がり、その内部には第2流体が通過する流路が形成される。ポッティング部の材料は公知のものにしており、本明細書で詳細な説明は省略する。
【0046】
前記ミドルケース110には、第2流体流入口112及び第2流体流出口113が形成されている。
【0047】
前記第1流体は、低湿の流体(例えば、ブロワーにより供給される外部空気)であり、第2流体は高湿の流体(例えば、燃料電池スタックから排出される高湿のオフガス)であってよい。逆に、前記第2流体が低湿の外部空気であり、第1流体が高湿のオフガスであってもよい。
【0048】
ミドルケース110内には、前記複数のカートリッジ150が装着され得る複数個の挿入口140が形成され、それぞれの挿入口140にはカートリッジ150が挿入されてよい。
【0049】
本発明によれば、前記第1及び第2流体の少なくとも一つに含まれた有害ガスを捕集できるように構成されており、前記中空糸膜160と異なる形態を有するガスフィルターが、前記第1カートリッジ150の内部に設けられたり、或いは前記ハウジング部の内周面と前記第1カートリッジ150との間に設けられる。前記有害ガスは、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、アンモニア(NH)、又はこれらのうち2つ以上の混合物を含む。したがって、本発明の燃料電池用膜加湿器100は、ハウジング部の内部にガスフィルターを備えることによって、別途のガスフィルター装置がなくても加湿過程で有害ガスを捕集し、燃料電池の性能低下を防止することができる。
【0050】
すなわち、燃料電池システムにおいて、圧縮器及びブロワーから供給される高温の空気は加湿器を通してスタックに流入するが、前記空気中に含まれている(i)一酸化窒素(Nitric oxide,NO)、二酸化窒素(Nitrogen dioxide,NO)、一酸化二窒素(Dinitrogen monoxide,NO)、三酸化二窒素(Dinitrogen trioxide,N)、四酸化二窒素(Dinitrogen tetroxide,N)、五酸化二窒素(Dinitrogen pentoxide, N)などの窒素酸化物(NO)、(ii)二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、亜硫酸(HSO)、硫酸(HSO)などの硫黄酸化物(SO)、(iii)アンモニア(NH)などの有害物質が燃料電池のスタックに流入すれば、スタックの性能を低下させることがある。本発明においては、前記空気を加湿するとき、膜加湿器100に設けられたガスフィルターを用いて前記有害物質を捕集して除去することによって、燃料電池の性能低下を防止することができる。
【0051】
図2に示すように、本発明の第1実施例によれば、前記複数のカートリッジ150は、複数の中空糸膜160が収容された少なくとも一つの第1カートリッジ及び前記ガスフィルターのみで満たされた少なくとも一つの第2カートリッジを含むことができる。
【0052】
図2には、ミドルケース110内に装着された3個のカートリッジ150のうち2個の第1カートリッジ内に中空糸膜160が配置され、1個の第2カートリッジ内に複数のフィルター部材210が配置された実施例が示されている。しかしながら、前記ミドルケース110内に4個以上のカートリッジ150が装着される場合、2個以上のカートリッジ150にフィルター部材210が収容されてもよい。
【0053】
第1実施例の膜加湿器100では、低湿空気が第2流体流入口112からハウジング部の内部に流入する。低湿空気のうち一部は、フィルター部材210の収容された第2カートリッジ150を通過しつつ有害ガスが捕集されてフィルタリングされ、残りの空気は、中空糸膜160の収容された第1カートリッジ150を通過しつつ、高湿のオフガスである第1流体と水分交換して加湿される。各カートリッジ150を通過しつつフィルタリングされたり加湿されたりした空気は合わせられ、第2流体流出口113から排出されて燃料電池スタックに供給される。
【0054】
図3には、ガスフィルターの2つの形態が示されている。図3Aに示すガスフィルターは、不織布213、及び該不織布213に塗布されたガス捕集物質211を含む。不織布213は、繊維を織らずに機械的、化学的又は熱的に処理し、繊維集合体を結束させて布状物にしたものであり、接着布ともいう。不織布213は、シート(sheet)又はフィルム状に形成され、ガス捕集物質211を固定する基板の役割を担う。
【0055】
ガスフィルターは、ガス捕集物質211を液状に溶解又は分散させ、これを不織布213に塗布した後に乾燥して作ってもよく、粉状のガス捕集物質211を不織布213に噴射して製作してもよい。特に、不織布213にガス捕集物質211を塗布した後、ガス捕集物質211上に不織布213を覆って結合させたものがより好ましい。ガス捕集物質211の流失が防止できるからである。
【0056】
不織布213にガス捕集物質211を塗布して作ったフィルター部材210は、中空糸膜160と同じ長さ又はそれよりも短い長さと所定の幅を有するように裁断し、第1及び/又は第2カートリッジ150内に配置しポッティングして固定することができる。
【0057】
図3Bに示したガスフィルターは、原糸214及び該原糸214に塗布されたガス捕集物質212を含む。原糸214は、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル及びガラス繊維で構成された構成から一つ以上選択されたモノフィラメント、マルチフィラメント、又はモノフィラメントとマルチフィラメントとの混合糸であってよい。
【0058】
ガス捕集物質212は、図3Aのガス捕集物質211と同じ種類のものを用いることができる。図3Bのガスフィルターは,円形断面を有する原糸214の外周面に液状のガス捕集物質212を塗布した後、乾燥して作ることができる。
【0059】
前記ガス捕集物質211,212は、バイオ炭(biochar)、チャコール(charcoal)、活性炭(active carbon)、酸性ポリマー(acidic polymer)、ゼオライト(zeolite)、白金、硫酸銅-硫酸チタン混合物、ニオビウム(Nb)、炭酸水素ナトリウム及びこれらのうち2つ以上の混合物よりなる群から選択されるいずれかであってよい。
【0060】
前記酸性ポリマーは、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone,S-PES)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone,S-PAES)、スルホン化されたポリスチレン(sulfonated polystyrene,S-PS)、スルホン化されたポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone,S-PEK)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone,S-PEEK)及びこれらのうち2つ以上の混合物よりなる群から選択されるいずれかであってよい。
【0061】
図4は、本発明の第2実施例による膜加湿器を示す断面図である。
【0062】
第2実施例による膜加湿器において、ガスフィルターのフィルター部材220は、第1カートリッジ150の内部に複数の中空糸膜160と一緒に配列されてよい。
フィルター部材220は、図3に示すように、不織布213にガス捕集物質211が塗布された形態であってもよく、原糸214の外周面にガス捕集物質212が塗布された形態であってもよい。
【0063】
図4の実施例では、3個の第1カートリッジ150の各内部に、複数の中空糸膜160と共にそれらの間に複数のフィルター部材220を配列して一緒にポッティングする。
【0064】
低湿の空気は、第2流体流入口112からハウジング部の内部に流入した後、(i)前記中空糸膜160の中空に沿って流れながら加湿されるか、(ii)前記フィルター部材220を通過しながらフィルタリングされる。加湿又はフィルタリングされた空気は、各カートリッジ150から抜け出た後、第2流体流出口113から排出され、燃料電池スタックに供給される。
【0065】
図5は、本発明の第3実施例による膜加湿器を示す断面図であり、図6は、膜加湿器のミドルケース内部に装着されるガスフィルターの構造を示す概略図である。
【0066】
第3実施例による膜加湿器100は、複数の中空糸膜160をそれぞれ収容する複数の第1カートリッジ150を含み、ガスフィルターのフィルター部材230は、ハウジング部の内部に、複数の前記第1カートリッジ150を全て取り囲むように装着される。
【0067】
第3実施例において、フィルター部材230は、複数の第1カートリッジ150を一度に取り囲み得る形態でなければならず、不織布にガス捕集物質を塗布することによって形成することができる。
【0068】
ガス捕集物質としては前述と同様のものが使用でき、ガスフィルターのフィルター部材230は、不織布の間にガス捕集物質がサンドイッチ状に具備されることが好ましい。
【0069】
フィルター部材230は、多角形パイプ又は円形パイプの形態をなすフィルターフレームの外周面に装着されることが好ましい。図6の実施例において、フィルターフレームは四角形パイプの外周面をなし、中空糸膜の長さ方向の両端部に配置される一対のメインフレーム部235と一対のメインメインフレーム部235との間を連結する複数の連結フレーム部232を含むことができる。
【0070】
一対のメインフレーム部235の対向する内側には、フィルター固定溝236が形成されており、フィルター部材230の一側端が挿着して固定され得る。
【0071】
また、メインフレーム部235の外周部には、シーリング部材238が着座することが好ましい。シーリング部材238は、ゴムのような弾性素材からなり、メインフレーム部235とミドルケース110の内側面との間に圧着され、その間に空隙が生じないように密封することができる。
【0072】
このように、不織布にガス捕集物質を塗布することによって形成されたフィルター部材230が、フレームを取り囲むように装着されることによって、フィルター部材230の形態を一定に保持することができ、ガスフィルターのフィルター部材230をミドルケース110の内周面に容易に装着したり又はそれから分離することができる。
【0073】
図7は、本発明の第4実施例による膜加湿器を示す断面図であり、図8は、膜加湿器のカートリッジの内部又は外部にガスフィルターが装着される構造を示す概略図である。
【0074】
第4実施例の膜加湿器において、ガスフィルターのフィルター部材240は、複数の第1カートリッジ150のそれぞれの内周面又は外周面に、複数の中空糸膜160を取り囲むように装着され得る。
【0075】
図7及び図8の(a)には、フィルター部材240が第1カートリッジ150の内周面に装着されているものが示されている。フィルター部材240は、カートリッジ150の内周面の形態に対応する形態を有しなければならず、不織布にガス捕集物質を塗布することによって形成することができる。
【0076】
第1カートリッジ150は、両端部が開口されたパイプ状であり、少なくとも2ケ所の側面にメッシュ部152が形成され、第2流体がいずれか一方のメッシュ部152から流入して他方のメッシュ部152から流出される。
【0077】
フィルター部材240を第1カートリッジ150の内周面に挟めて装着し、その内部に複数の中空糸膜160を配列した後、前記中空糸膜160及びフィルター部材240と第1カートリッジ150を一緒にポッティングすることによって、一つのモジュールを製作することができる。この際、フィルター部材240は、全てのメッシュ部152を塞ぐように装着されることによって、前記第2流体が前記第1カートリッジ150内に流入したりそこから流出されるとき、前記フィルター部材240を必ず通過するようにすることができる。
【0078】
図8の(b)に示す本発明の第4実施例によれば、フィルター部材242が第1カートリッジ150の外周面に装着されている。この場合、複数個のフィルター部材242は、前記第1カートリッジ150の複数のメッシュ部152をそれぞれ外側から塞ぐように装着され得る。
【0079】
前記フィルター部材242は、第1カートリッジ150の外周面の少なくとも一部の形態に対応する形態を有しなければならず、不織布にガス捕集物質を塗布することによって形成することができる。
【0080】
図示してはいないが、前記第1カートリッジ150は、各メッシュ部152の周囲にフィルター部材242を装着するための複数の突出リブを備えることができる。
【0081】
第1カートリッジ150の外周面にフィルター部材242を装着し、その内部に複数の中空糸膜160を配列した後、中空糸膜160及び第1カートリッジ150とフィルター部材242を一緒にポッティングすることによって、一つのモジュールを製作することができる。
【0082】
第3実施例及び第4実施例において、ガス捕集物質は、前の実施例で説明したガス捕集物質が用いられてよい。
【0083】
図9は、本発明の第5実施例による膜加湿器を示す断面図であり、図10は、膜加湿器のミドルケースとキャップケースとの間に装着されるガスフィルターの構造を示す概略図である。
【0084】
第5実施例の膜加湿器において、ガスフィルターのフィルター部材250は、ハウジング部の内部に装着されるが、前記第1流体流入口121から流入する第1流体が、前記第1カートリッジ150の中空糸膜160の中空内に流入する前に前記ガスフィルターのフィルター部材250を通過するように装着される。
【0085】
前述したように、ハウジング部はミドルケース110と一対のキャップケース120とが結合する構造を有し得るところ、前記ガスフィルターのフィルター部材250は、前記第1流体流入口121を有するキャップケース120の内部、又は前記ミドルケース110と前記第1流体流入口121を有するキャップケース120との間に着脱可能に装着され得る。
【0086】
例えば、フィルター部材250を第1流体流入口121が形成されたキャップケース120の内部に装着した後、第1カートリッジ150が内部に装着されたミドルケース110を前記キャップケース120と結合させることができる。
【0087】
図9では、第1流体流入口121が形成されたキャップケース120側にのみフィルター部材250が装着されているが、第1流体流出口122が形成されたキャップケース120側にも同様にフィルター部材250が装着されてもよい。そうすると、フィルター部材250は、膜加湿器100に流入する第1流体から有害ガスを捕集し、膜加湿器100を抜け出る第1流体から有害ガスを再度捕集することができる。
【0088】
図10に示すように、フィルター部材250は、不織布にガス捕集物質を塗布して作られたフィルター部と、フィルター部を取り囲むように結合したフレーム部255とを含むことができる。
【0089】
フレーム部255は、ハウジング部の断面形状に対応して全体的に多角形又は円形の形態を有することができる。
【0090】
図10の一部拡大断面図に示すように、フレーム部255は、フィルター部材250の縁部が挿入されるフィルター固定溝256をその内周面に有することができる。
【0091】
また、前記フィルター部材250は、フレーム部255の端部、特に第1流体流入口121を有するキャップケース120と結合する端部に設けられるシーリング部材258をさらに含むことが好ましい。シーリング部材258は、ゴムのような弾性材料からなり、フィルター部材250をキャップケース120の内側に装着する際に圧着され、フィルター部材250とキャップケース120間の空隙によるガス漏れを防止することができる。
【0092】
以下、前述した実施例による膜加湿器を製作してガスフィルターの性能を実験した結果を説明する。
【0093】
まず、各実施例において、ガスフィルターは、厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)不織布にPFSAをコーティングした後、ゼオライト及びニオビウム粒子を塗布後に再び100μmのPET不織布を融着し、フィルム状のフィルター部材を製作した。
【0094】
このように製作したフィルター部材を、各実施例の形態に合わせて切って用いた。
【実施例1】
【0095】
4個のカートリッジから構成された膜加湿器において、1個のカートリッジに10mm×300mmに裁断した250個のフィルター部材をポッティングし、余り3個のカートリッジには加湿用中空糸膜を入れてポッティングし、これを用いて膜加湿器を製作した。次に、膜加湿器に10ppmのNH、10ppmのNO、及び10ppmのSOガスをそれぞれ含む3種類の各乾燥空気を第2流体流入口112から入れ、第2流体流出口113から出てくるガスを捕集して有害ガスの濃度を測定し、ガスフィルターの効果を確認した。
【0096】
【表1】
【0097】
表1に示すように、第1実施例によるガスフィルターのガス捕集性能は、有害ガスの種類によってそれぞれ64%、38%、42%を示した。ガス捕集性能は、NHの場合に最も優れていることが分かった。
【0098】
また、加湿性能を評価するために、乾燥空気(流量:3500sLPM、温度:80℃、相対湿度:5~10%RH、絶対圧力:1.8bar)と湿潤空気(流量:3500sLPM、温度:80℃、相対湿度:80%RH、絶対圧力:1.6bar)を膜加湿器にそれぞれ供給して加湿を行った結果、膜加湿器から排出される加湿した空気の露点は54℃であった。
【実施例2】
【0099】
3個のカートリッジから構成された膜加湿器において、各カートリッジに10mm×300mmに裁断した80個のフィルター部材を複数の中空糸膜と共に入れてポッティングし、膜加湿器を製作した。次に、前述した第1実施例と同じ方法でガスフィルターの効果を確認した。
【0100】
【表2】
【0101】
表2に示すように、第2実施例によるガスフィルターのガス捕集性能は、有害ガスの種類によってそれぞれ72%、59%、63%を示した。ガス捕集性能は、NHの場合に最も優れていることが分かった。
【0102】
また、前述した第1実施例と同じ方法で加湿性能を評価した結果、膜加湿器から排出される加湿した空気の露点は56℃であった。
【実施例3】
【0103】
3個のカートリッジから構成された膜加湿器において、ハウジング部と3個のカートリッジとの間に120mm×460mmに裁断したフィルター部材を装着し、膜加湿器を製作した。次に、前述した第1実施例と同じ方法でガスフィルターの効果を確認した。
【0104】
【表3】
【0105】
図3に示すように、第3実施例によるガスフィルターのガス捕集性能は、有害ガスの種類によってそれぞれ91%、89%、87%を示した。ガス捕集性能は、NHの場合に最も優れていることが分かった。第3実施例におけるガス捕集性能は、第1実施例及び第2実施例に比べて極めて優れているが、これは、第1実施例及び第2実施例の場合、流入する乾燥空気の一部がガスフィルターを通過するのに対し、第3実施例の場合には、すべての乾燥空気がガスフィルターを通過するように構成されているからである。
【0106】
前述した第1実施例と同じ方法で加湿性能を評価した結果、膜加湿器から排出される加湿した空気の露点は55℃であった。
【実施例4】
【0107】
3個のカートリッジから構成された膜加湿器において、各カートリッジの内周面に280mm×220mmに裁断したフィルター部材をそれぞれ装着し、中空糸膜束と共にポッティングし、膜加湿器を製作した。次に、前述した第1実施例と同じ方法でガスフィルターの効果を確認した。
【0108】
【表4】
【0109】
表4に示すように、第4実施例によるガスフィルターのガス捕集性能は、有害ガスの種類によってそれぞれ94%、93%、94%を示した。ガス捕集性能は、NHとSOの場合に最も優れていることが分かった。第4実施例におけるガス捕集性能は、第1実施例及び第2実施例に比べて極めて優れているが、これは、第1実施例及び第2実施例の場合、流入する乾燥空気の一部がガスフィルターを通過するのに対し、第4実施例の場合には、すべての乾燥空気がガスフィルターを通過するように構成されているからである。
【0110】
前述した第1実施例と同じ方法で加湿性能を評価した結果、膜加湿器から排出される加湿した空気の露点は56℃であった。
【実施例5】
【0111】
3個のカートリッジから構成された膜加湿器において、キャップケースとミドルケースとの間に170mm×170mmに裁断したフィルター部材を装着し、膜加湿器を製作した。次に、膜加湿器に10ppmのNH、10ppmのNO、及び10ppmのSOガスをそれぞれ含む3種類の各乾燥空気を第1流体流入口121から入れ、第1流体流出口122から出てくるガスを捕集して有害ガスの濃度を測定し、ガスフィルターの効果を確認した。
【0112】
【表5】
【0113】
表5に示すように、第5実施例によるガスフィルターのガス捕集性能は、有害ガスの種類によってそれぞれ95%、96%、96%を示した。ガス捕集性能は、NO及びSOの場合に最も優れていることが分かった。第5実施例のガス捕集性能は、第1実施例及び第2実施例に比べて極めて優れているが、これは、第1実施例及び第2実施例の場合、流入する乾燥空気の一部がガスフィルターを通過するのに対し、第5実施例の場合には、すべての乾燥空気がガスフィルターを通過するように構成されているからである。
【0114】
前述した第1実施例と同じ方法で加湿性能を評価した結果、膜加湿器から排出される加湿した空気の露点は57℃であった。
【0115】
第1実施例~第5実施例において、膜加湿器から排出される加湿した空気の露点は54~57℃を示したが、このことから、各実施例における加湿性能はほぼ類似していることが分かった。
【0116】
本発明の燃料電池用膜加湿器によれば、加湿性能はそのまま維持しながら、乾燥空気に含まれた有害ガスの相当部分を捕集してフィルタリングできるガスフィルターを、膜加湿器に一体に含むことができる。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10