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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】リチウム-硫黄二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20221219BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221219BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221219BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20221219BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221219BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20221219BHJP
   H01M 4/137 20100101ALI20221219BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221219BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M10/0566
H01M10/052
H01M4/60
H01M4/137
H01M10/0569
H01M4/62 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021530765
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 KR2019015731
(87)【国際公開番号】W WO2020105980
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0145531
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0160599
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0145596
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0145598
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャンフン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・キョン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】インテ・パク
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-119165(JP,A)
【文献】特表2014-502405(JP,A)
【文献】特表2018-503945(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0102406(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0057437(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 4/38
H01M 4/36
H01M 10/0566
H01M 10/052
H01M 4/60
H01M 4/137
H01M 10/0569
H01M 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、分離膜及び電解液を含むリチウム-硫黄二次電池であって、
前記正極は微小多孔性炭素材及び硫黄を含む硫黄-炭素複合体を含み、
前記正極は、下記数式1で表されるSC factor値が0.45以上であり、
前記電解液は溶媒及びリチウム塩を含み、
前記溶媒は、下記数式2で表されるDV factor値が1.75以下である第1溶媒及びフッ素化されたエーテル系溶媒である第2溶媒を含む、リチウム-硫黄二次電池:
[数式1]
【数1】
(前記数式1において、
Pは正極内の正極活物質層の空隙率(%)で、
Lは正極内の正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量(mg/cm)で、
αは10(定数)である。)
[数式2]
【数2】
(前記数式2において、
DVは単位体積当たり双極子モーメント(D・mol/L)で、
μは溶媒の粘度(cP、25℃)で、
γは100(定数)である。)
【請求項2】
前記微小多孔性炭素材は平均直径が1ないし10nmの気孔を含む、請求項1に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項3】
前記微小多孔性炭素材は比表面積が500ないし4500m/gである、請求項1または2に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項4】
前記微小多孔性炭素材は空隙率が10ないし90%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項5】
前記微小多孔性炭素材は気孔体積が0.8ないし5cm/gである、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項6】
前記硫黄は、無機硫黄、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマーからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項7】
前記硫黄は前記硫黄-炭素複合体の全体重量を基準にして50ないし90重量%で含まれる、請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項8】
請求項1に記載のリチウム-硫黄二次電池であって、
前記正極は高い比表面積の炭素材を含む導電材をさらに含み、
前記正極は、下記数式1で表されるSC factor値が0.45以上のリチウム-硫黄二次電池:
[数式1]
【数3】
(前記数式1において、
Pは正極内の正極活物質層の空隙率(%)で、
Lは正極内の正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量(mg/cm)で、
αは10(定数)である。)。
【請求項9】
前記高い比表面積の炭素材は比表面積が100ないし500m/gである、請求項8に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項10】
前記高い比表面積の炭素材は、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上を含む、請求項8または9に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項11】
前記高い比表面積の炭素材は、カーボンナノチューブ及びグラフェンを0:10ないし10:0の重量比で混合したものである、請求項8から10のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項12】
前記高い比表面積の炭素材は、正極活物質スラリーの全体重量を基準にして0.01ないし30重量%で含まれる、請求項8から11のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項13】
前記第1溶媒はDV factor値が1.5以下である、請求項1または8に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項14】
前記リチウム-硫黄二次電池は、下記数式3で表されるNS factor値が3.5以下である、請求項1、8または13に記載のリチウム-硫黄二次電池:
[数式3]
【数4】
(前記数式3において、
SC factorは前記数式1によって定義された値と同一で、
DV factorは前記数式2によって定義された値と同一である。)。
【請求項15】
前記リチウム-硫黄二次電池は、下記数式4で表されるED factor値が850以上である、請求項1または8に記載のリチウム-硫黄二次電池:
[数式4]
【数5】
(前記数式4において、
VはLi/Liに対する放電公称電圧(V)で、
SC factorは前記数式1によって定義された値と同一で、
Cは0.1Cレート(rate)で放電する時の放電容量(mAh/g)で、
Dは電解液の密度(g/cm)である。)。
【請求項16】
前記第1溶媒は、プロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ガンマ-ブチロラクトン、トリエチルアミン及び1-ヨードプロパンからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1、8、13または14に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項17】
前記第2溶媒は、1H,1H,2´H,3H-デカフルオロジプロピルエーテル、ジフルオロメチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、1,2,2,2-テトラフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、ペンタフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル及び1H,1H,2´H-パーフルオロジプロピルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1、8、13または14に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項18】
前記溶媒は前記溶媒の全体重量を基準にして第1溶媒を1ないし50重量%で含む、請求項1、8、13または14に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項19】
前記溶媒は、前記溶媒の全体重量を基準にして第2溶媒を50ないし99重量%で含む、請求項1、8、13または14に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【請求項20】
前記溶媒は、第1溶媒と第2溶媒を3:7ないし1:9の重量比で含む、請求項1、8、13または14に記載のリチウム-硫黄二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月22日付韓国特許出願第10-2018-0145531号、2018年12月13日付韓国特許出願第10-2018-0160599号、2019年11月14日付韓国特許出願第10-2019-0145596号及び2019年11月14日付韓国特許出願第10-2019-0145598号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明はリチウム-硫黄二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池の応用領域が電気自動車(electric vehicle;EV)やエネルギー貯蔵装置(energy storage system;ESS)などに拡がるにつれ、相対的に重さに対して低いエネルギー貯蔵密度(~250Wh/kg)を有するリチウム-イオン二次電池は、このような製品に対する適用に限界がある。これと違って、リチウム-硫黄二次電池は理論上重さに対して高いエネルギー貯蔵密度(~2,600Wh/kg)を具現することができるため、次世代二次電池技術として脚光を浴びている。
【0004】
リチウム-硫黄二次電池は、硫黄-硫黄結合(sulfur-sulfur bond)を有する硫黄系物質を正極活物質で使用し、リチウム金属を負極活物質で使用した電池システムである。このようなリチウム-硫黄二次電池は、正極活物質の主材料である硫黄が世界中に資源量が豊かで、毒性がなく、単位原子当たり低い重さを有している長所がある。
【0005】
リチウム-硫黄二次電池は放電の際に負極活物質であるリチウムが電子を出してイオン化されながら酸化され、正極活物質である硫黄系物質が電子を受けて還元される。この時、リチウムの酸化反応はリチウム金属が電子を出してリチウム陽イオン形態に変換される過程である。また、硫黄の還元反応は硫黄-硫黄結合が2つの電子を受け入れて硫黄陰イオン形態に変換される過程である。リチウムの酸化反応によって生成されたリチウム陽イオンは電解質を通して正極に伝達され、硫黄の還元反応によって生成された硫黄陰イオンと結合して塩を形成する。具体的に、放電前の硫黄は環状のS構造を有しているが、これは還元反応によってリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=8、6、4、2)に変換され、このようなリチウムポリスルフィドが完全に還元される場合は、リチウムスルフィド(LiS)が最終的に生成される。
【0006】
正極活物質である硫黄は低い電気伝導度の特性によって、固相(solid-state)形態では電子及びリチウムイオンとの反応性を確保しがたい。既存のリチウム-硫黄二次電池は、このような硫黄の反応性を改善するために、Li形態の中間ポリスルフィド(intermediate polysulfide)を生成して液相(liquid-state)反応を誘導して反応性を改善する。この場合、電解液の溶媒として、リチウムポリスルフィドに対して溶解性が高いジオキソラン(dioxolane)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)などのエーテル系溶媒が使われる。また、既存のリチウム-硫黄二次電池は、反応性を改善するためにカソライト(catholyte)タイプのリチウム-硫黄二次電池システムを構築するが、この場合、電解液に溶けやすいリチウムポリスルフィドの特性によって、電解液の含量に応じて硫黄の反応性及び寿命特性が影響を受ける。また、高いエネルギー密度を構築するためには、低含量の電解液を注入するべきであるが、電解液含量が減少するにつれ、電解液内のリチウムポリスルフィドの濃度が増加するようになって、活物質の流動性減少及び副反応増加によって正常的な電池駆動が難しい。
【0007】
このようなリチウムポリスルフィドの溶出は電池の容量及び寿命特性に悪影響を及ぼすところ、リチウムポリスルフィドの溶出を抑制するための多様な技術が提案された。
【0008】
一例として、特許文献1は、炭素材としてグラフェンでコーティングした3次元構造のカーボンナノチューブ凝集体を使用することでリチウムポリスルフィドが溶け出ることを遮断し、硫黄-カーボンナノチューブ複合体の導電性を向上させることができることを開示している。
【0009】
また、特許文献2は、グラフェンにフッ酸処理してグラフェン表面に気孔を形成し、前記気孔に硫黄粒子を成長させる方法で製造された硫黄を含むグラフェン複合体を正極活物質で使用することでリチウムポリスルフィドの溶出を抑制し、電池容量減少を最小化することができることを開示している。
【0010】
これらの特許は正極活物質で使われる硫黄-炭素複合体の構造または素材を異にすることでリチウムポリスルフィドの溶出を防止し、リチウム-硫黄二次電池の性能低下問題をある程度改善したが、その効果が十分ではない。よって、高エネルギー密度のリチウム-硫黄二次電池を構築するためには、高ローディング、低気孔度の電極を駆動することができる電池システムを必要とし、該当技術分野ではこのような電池システムに対する研究が持続的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第2016-0037084号公報カーボンナノチューブ
【文献】韓国登録特許第1379716号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】Abbas Fotouhi et al.、Lithiμm-Sulfur Battery Technology Readiness and Applications-A Review、Energies 2017、10、1937。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、本発明者らは前記問題を解決するために多角的に研究した結果、正極及び電解液を特定条件として調節することにより、高エネルギー密度のリチウム-硫黄二次電池を具現することができることを確認して本発明を完成した。
【0014】
よって、本発明の目的はエネルギー密度に優れるリチウム-硫黄二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の一具現例は、正極、負極、分離膜及び電解液を含むリチウム-硫黄二次電池であって、前記正極は微小多孔性炭素材及び硫黄を含む硫黄-炭素複合体を含み、前記正極は下記数式1で表されるSC factor値が0.45以上のリチウム-硫黄二次電池を提供する:
[数式1]
【数1】
(前記数式1において、P、L及びαは、明細書内で説明したところにしたがう。)。
【0016】
前記微小多孔性炭素材は、平均直径が1ないし10nmの気孔を含んでもよい。
【0017】
前記微小多孔性炭素材は、比表面積が500ないし4500m/gであってもよい。
【0018】
前記微小多孔性炭素材は、空隙率が10ないし90%であってもよい。
【0019】
前記微小多孔性炭素材は、気孔体積が0.8ないし5cm/gであってもよい。
【0020】
前記硫黄は、無機硫黄、Li(n≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマーからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0021】
前記硫黄は、前記硫黄-炭素複合体の全体重量を基準にして50ないし90重量%で含むことができる。
【0022】
本発明の別の一具現例は、正極、負極、分離膜及び電解液を含むリチウム-硫黄二次電池であって、前記正極は高い比表面積の炭素材を含む導電材を含み、前記正極は下記数式1で表されるSC factor値が0.45以上のリチウム-硫黄二次電池を提供する:
[数式1]
【数2】
(前記数式1において、P、L及びαは、明細書内で説明したところにしたがう。)。
【0023】
前記高い比表面積の炭素材は、比表面積が100ないし500m/gであってもよい。
【0024】
前記高い比表面積の炭素材は、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0025】
前記高い比表面積の炭素材は、正極活物質層の全体重量を基準にして0.01ないし30重量%で含まれてもよい。
【0026】
前記電解液は溶媒及びリチウム塩を含み、前記溶媒は下記数式2で表されるDV factor値が1.75以下の第1溶媒及びフッ素化されたエーテル系溶媒の第2溶媒を含むことができる:
[数式2]
【数3】
(前記数式2において、DV、μ及びγは、明細書内で説明したところにしたがう。)。
【0027】
前記第1溶媒は、DV factor値が1.5以下のものであってもよい。
【0028】
前記リチウム-硫黄二次電池は、下記数式3で表されるNS factor値が3.5以下のものであってもよい:
[数式3]
【数4】
(前記数式3において、SC factor及びDV factorは明細書内で説明したところにしたがう。)。
【0029】
前記リチウム-硫黄二次電池は、下記数式4で表されるED factor値が850以上のものであってもよい:
[数式4]
【数5】
(前記数式4において、V、SC factor、C及びDは、明細書内で説明したところにしたがう。)。
【0030】
前記第1溶媒は、プロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ガンマ-ブチロラクトン、トリエチルアミン及び1-ヨードプロパンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0031】
前記第2溶媒は、1H,1H,2´H,3H-デカフルオロジプロピルエーテル、ジフルオロメチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、1,2,2,2-テトラフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、ペンタフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル及び1H,1H,2´H-パーフルオロジプロピルエーテルからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0032】
前記溶媒は、前記溶媒の全体重量を基準にして第1溶媒を1ないし50重量%で含むことができる。
【0033】
前記溶媒は、前記溶媒の全体重量を基準にして第2溶媒を50ないし99重量%で含むことができる。
【0034】
前記溶媒は、第1溶媒と第2溶媒を3:7ないし1:9の重量比で含むことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によるリチウム-硫黄二次電池は、正極及び電解液を特定条件で調節することで既存のリチウム-硫黄二次電池では具現しがたい高エネルギー密度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実験例1による実施例1の性能評価結果を示すグラフである。
図2】本発明の実験例1による実施例2の性能評価結果を示すグラフである。
図3】本発明の実験例1による実施例3の性能評価結果を示すグラフである。
図4】本発明の実験例1による比較例1の性能評価結果を示すグラフである。
図5】本発明の実験例2による実施例4の走査電子顕微鏡イメージである。
図6】本発明の実験例2による比較例2の走査電子顕微鏡イメージである。
図7】本発明の実験例3による実施例4の容量特性を示すグラフである。
図8】本発明の実験例3による実施例4のサイクル特性を示すグラフである。
図9】本発明の実験例3による比較例2の容量特性を示すグラフである。
図10】本発明の実験例3による比較例2のサイクル特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0038】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0039】
本発明で使用した用語は単に特定実施例を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに違うことを意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたのが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の別の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0040】
本明細書で使われている用語「複合体(composite)」とは、2つ以上の材料が組み合わせられて物理的・化学的に相異なる相(phase)を形成しながら、より有効な機能を発現する物質を意味する。
【0041】
本明細書で使われている用語「ポリスルフィド」は、「ポリスルフィドイオン(S 2-、x=8、6、4、2)」及び「リチウムポリスルフィド(LiまたはLiS x=8、6、4、2)」をいずれも含む概念である。
【0042】
本明細書に記載された物性に対して、測定条件及び方法が具体的に記載されていない場合、前記物性は該当技術分野で通常の技術者によって一般的に用いられる測定条件及び方法によって測定される。
【0043】
リチウム-硫黄二次電池は、還元反応である放電時は硫黄系化合物の硫黄-硫黄結合が切れると硫黄の酸化数が減少し、酸化反応である充電時は硫黄-硫黄結合が再び生成されて硫黄の酸化数が増加する酸化-還元反応を利用して電気的エネルギーを生成する。
【0044】
リチウム-硫黄二次電池は幾つかの二次電池の中で高い放電容量及びエネルギー密度を有し、正極活物質で使われる硫黄は埋蔵量が豊かで安価なので、電池の製造単価を下げることができ、環境にやさしいという利点によって次世代二次電池として脚光を浴びている。
【0045】
このような利点にもかかわらず、正極活物質である硫黄は不導体なので、これを補完するために伝導性物質である炭素材と複合化した硫黄-炭素複合体が一般に使われている。
【0046】
しかし、既存のリチウム-硫黄二次電池システムの場合、前述したリチウムポリスルフィドの溶出を抑制することができず硫黄の損失が発生し、これによって電気化学反応に参加する硫黄の量が急激に減少して、実際の駆動では理論放電容量及び理論エネルギー密度全てを具現することができない。また、このように溶出されたリチウムポリスルフィドは、電解液の中に浮遊または沈澱されること以外にも、リチウムと直接反応して負極表面にLiS形態で固着されるので、リチウム金属の負極を腐食させる問題が発生する。
【0047】
従来の技術では、リチウムポリスルフィドの溶出を抑制するために炭素材にコーティング層を導入したり、気孔を形成するなど様々な構造または素材の炭素材が提案されたが、電池の性能が効果的に改善されることはなかった。
【0048】
ここで、本発明では、正極、負極、分離膜及び電解液を含むリチウム-硫黄二次電池において、正極活物質で微小多孔性炭素材及び硫黄を含む硫黄-炭素複合体を含んだり、導電材で高い比表面積の炭素材を含むことで気孔度が低く、正極活物質である硫黄のローディング量が高い正極を提供する。一般的な二次電池の場合、正極で気孔度を下げて正極活物質の含量を高めれば、正極を含む二次電池のエネルギー密度が増加する。しかし、リチウム-硫黄二次電池で正極の気孔度を最小限に下げて、硫黄の含量を最大限に高める場合、単位硫黄含量当たり電解液の割合が減少するので、前述した正極をリチウム-硫黄二次電池に適用する時、目標とした性能を具現することが難しい。よって、本発明では一具現例として微小多孔性構造(microporous structure)の炭素材を含む硫黄-炭素複合体を正極活物質で使用し、正極で硫黄と係る条件を限定し、これに適切な電解液の条件を特定することで、実際駆動する時に既存のリチウム-硫黄二次電池に比べて高エネルギー密度を有するリチウム-硫黄二次電池を提供する。
【0049】
本発明による正極は、正極集電体と前記正極集電体の一面または両面に塗布された正極活物質層を含むことができる。
【0050】
前記正極集電体は正極活物質を支持し、当該電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチール表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用されてもよい。
【0051】
前記正極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質との結合力を強化させることができ、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態を使用することができる。
【0052】
前記正極集電体の厚さは特に制限することはないが、例えば、3ないし500μmであってもよい。
【0053】
前記正極活物質層は、正極活物質と選択的に導電材及びバインダーを含むことができる。
【0054】
前記正極活物質は硫黄系化合物を含む。前記硫黄系化合物は、無機硫黄(S)、Li(n≧1)、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(2,5-dimercapto-1,3,4-thiadiazole)、1,3,5-トリチオシアヌル酸(1,3,5-trithiocyanuic acid)などのようなジスルフィド化合物、有機硫黄化合物及び炭素-硫黄ポリマー((C、x=2.5ないし50、n≧2)からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは無機硫黄(S)を使用することができる。
【0055】
前記硫黄系化合物は、単独では電気伝導性がないため、伝導性物質である炭素材と複合化して適用する。
【0056】
本発明において、前記正極活物質は炭素材と硫黄を含む硫黄-炭素複合体であり、前記炭素は微小気孔(micropore)を有する微小多孔性炭素材(microporous carbon materials)であることを特徴とする。
【0057】
前記微小多孔性炭素材は、正極活物質である硫黄が均一で安定的に固定されることができる骨格を提供し、硫黄の電気化学反応が円滑に進めれるようにする。
【0058】
特に、本発明の一具現例では、多数の微小気孔を含んで比表面積と気孔度が高い炭素材を硫黄-炭素複合体の担持体で使用することで、後述する電解液を含むリチウム-硫黄二次電池システムで硫黄と電解液が固相-固相(solid-state)反応性を示すことで向上された容量特性を示す。
【0059】
前記微小多孔性炭素材は、一般的に様々な炭素材質の前駆体を炭化させることで製造される。前記微小多孔性炭素材は表面及び内部に多数の気孔を含むが、本発明の場合、平均直径が1ないし10nmの微小気孔(micropore)を含み、空隙率(または気孔度)は10ないし90%範囲であってもよい。
【0060】
前記微小気孔の平均直径が前記範囲未満である場合、気孔の大きさが分子レベルに過ぎないため硫黄の含浸が不可能であり、これと逆に前記範囲を超過する場合、炭素材が高い比表面積を有することが難しい。
【0061】
前記微小多孔性炭素材は、比表面積が500ないし4500m/g、好ましくは800ないし4000m/gであってもよい。この時、前記比表面積は通常のBET(Brunauer & Emmett & Teller)法によって測定することができる。前記微小多孔性炭素材の比表面積が前記範囲未満の場合、硫黄との接触面積の低下による反応性低下の問題があり、これと逆に前記範囲を超過する場合、過度な比表面積による副反応増加問題及び正極スラリー製造の際に必要なバインダー添加量が増える問題がある。
【0062】
前記微小多孔性炭素材は気孔体積が0.8ないし5cm/g、好ましくは1ないし4.5cm/gであってもよい。この時、前記気孔体積は通常のBET法を通じて測定することができる。前記微小多孔性炭素材の気孔体積が前記範囲未満の場合、気孔構造内へ硫黄がよく含浸されないし、これと逆に前記範囲を超過する場合、電極の気孔度が増加して気孔を満たすための電解液の量が増加して高エネルギー密度達成が難しい問題がある。
【0063】
既存の硫黄-炭素複合体に使われる炭素材、特にカーボンナノチューブの場合、比表面積が通常50ないし400m/gの範囲で、微小気孔(micropore)の体積がほとんど存在しないことに比べて、本発明の微小多孔性炭素材は比表面積と微小気孔体積が高くて炭素材と硫黄の接触面積が高くなるので、前述した硫黄の固相反応性改善に効果的である。
【0064】
前記微小多孔性炭素材の形態は、球形、棒型、針状、板状、繊維型、チューブ型またはバルク型で、リチウム-硫黄二次電池に通常使われるものであれば、制限されずに使われることができる。
【0065】
本発明の硫黄-炭素複合体で前記硫黄は、前記硫黄-炭素複合体の全体重量を基準にして50ないし90重量%、好ましくは60ないし80重量%で含まれることができる。
【0066】
本発明の硫黄-炭素複合体で前記微小多孔性炭素材は、前記硫黄-炭素複合体の全体重量を基準にして10ないし50重量%、好ましくは20ないし40重量%で含まれることができる。
【0067】
これによって前記硫黄-炭素複合体で多孔性炭素材と硫黄の重量比は1:1ないし1:9、好ましくは1:1.5ないし1:4であってもよい。もし、前記重量比範囲未満の場合、多孔性炭素材の含量が増加することによって正極スラリー製造の際に必要なバインダー添加量が増える。このようなバインダー添加量の増加は結局電極の面抵抗を増加させることになり、電子移動(electron pass)を阻む絶縁体の役目をするようになって、セルの性能を低下させることがある。逆に、前記重量比範囲を超過する場合、硫黄どうし集まるようになり、電子を受けにくくなって、電極反応に直接参加することが難しくなることがある。
【0068】
前記硫黄-炭素複合体は、前述した硫黄と微小多孔性炭素材が単純混合されて複合化されたり、コア-シェル構造のコーティング形態または担持形態を有してもよい。前記コア-シェル構造のコーティング形態は硫黄または微小多孔性炭素材のいずれか一つが別の物質をコーティングしたもので、一例として微小多孔性炭素材の表面を硫黄で包んだり、この逆になってもよい。また、担持形態は微小多孔性炭素の内部に硫黄が担持された形態であってもよい。前記硫黄-炭素複合体の形態は前記提示した硫黄と微小多孔性炭素材の含量比を充たすものであれば、いかなる形態も使用可能であり、本発明で限定しない。
【0069】
本発明による硫黄-炭素複合体の平均直径は本発明で特に限定せずに様々であるが、0.5ないし20μm、好ましくは1ないし15μmである。前記範囲を充たす時、高ローディング電極を製造できる長所がある。
【0070】
前記正極活物質は前述した組成以外、遷移金属元素、IIIA族元素、IVA族元素、これらの元素の硫黄化合物、及びこれらの元素と硫黄の合金の中で選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0071】
前記遷移金属元素としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、AuまたはHgなどが含まれ、前記IIIA族元素としては、Al、Ga、In、Tiなどが含まれ、前記IVA族元素としては、Ge、Sn、Pbなどが含まれることができる。
【0072】
前記導電材は、電解質と正極活物質を電気的に繋いで集電体(current collector)から電子が正極活物質まで移動する経路の役目をする物質であって、正極活物質である硫黄の円滑な電気化学反応を図って、導電性を有するものであれば制限されずに使用することができる。
【0073】
例えば、前記導電材では、スーパーP(Super-P)、デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンブラックなどのカーボンブラック;カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどの炭素誘導体;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセンチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子を単独または混合して使用することができる。
【0074】
他の一具現例として、本発明でリチウム-硫黄電池は、既存の導電材より比表面積が高い炭素材を導電材で導入した正極を含む形態で提供されてもよい。このような正極で硫黄と係る条件を限定し、これに適切な電解液の条件を特定することで、本発明によるリチウム-硫黄電池は実際駆動する時、既存のリチウム-硫黄二次電池に比べてエネルギー密度を高いレベルで具現することができる。
【0075】
本発明の別の一具現例において、前記導電材は通常のカーボンブラック、炭素繊維系導電材より高い比表面積を有することを特徴とする。
【0076】
特に、本発明の別の一具現例では、高い比表面積の炭素材を導電材で使用することで後述する電解液を含むリチウム-硫黄電池二次電池システムで正極活物質の反応性を改善し、向上された容量特性を示す。
【0077】
既存のリチウム-硫黄二次電池で使われる導電材、例えば、気相成長炭素繊維(vapor grown carbon fiber:VGCF)の場合、比表面積が通常10ないし50m/gの範囲であることに対し、本発明の別の一具現例による炭素材は、比表面積が高くて正極活物質と接触面積が高くなるので、前述した正極反応性の改善に効果的である。
【0078】
前記高い比表面積の炭素材は、比表面積が100ないし500m/g、好ましくは150ないし400m/gであってもよい。この時、前記比表面積は通常のBET法を通じて測定することができる。前記炭素材の比表面積が前記範囲未満である場合、電極内での導電構造形成が難しくて電極伝導性が低下し、これと逆に、前記範囲を超過する場合、固相物質の比表面積増加によって正極活物質スラリーを製造する時に必要なバインダー添加量の増える問題がある。
【0079】
前記高い比表面積の炭素材は導電性を有するものであれば制限されずに使用することができる。例えば、前記高い比表面積の炭素材は、前述した比表面積の範囲を有するもので、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上を含むことができる。好ましくは、前記高い比表面積の炭素材は、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0080】
本発明において、前記導電材として高い比表面積の炭素材の中でカーボンナノチューブ及びグラフェンを含む場合、前記カーボンナノチューブとグラフェンの重量比は0:10ないし10:0、好ましくは1:9ないし9:1であってもよい。グラフェンは正極活物質間の接着力を高め、カーボンナノチューブは直径が小さくて、狭い空間内での導電構造形成に有利であるため、前述した重量比の範囲内で混合されることが有利である。
【0081】
前記導電材の含量は、前記正極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして0.01ないし30重量%で含まれてもよい。
【0082】
前記バインダーは正極活物質を正極集電体に維持させ、正極活物質の間を有機的に連結させてこれらの間の結着力をより高めるものであって、当該業界で公知された全てのバインダーを使用することができる。
【0083】
例えば、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVdF)またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン-ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリル-ブチジエンゴム、スチレン-イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;及びシラン系バインダー;からなる群から選択された1種、2種以上の混合物または共重合体を使用することができる。
【0084】
前記バインダーの含量は前記正極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして0.5ないし30重量%で添加されてもよい。バインダーの含量が0.5重量%未満であれば、正極の物理的性質が低下して正極内の活物質と導電材が脱落することがあるし、30重量%を超過すれば正極での活物質と導電材の割合が相対的に減少して電池容量が減少することがある。
【0085】
前記正極は当分野に知られている通常の方法で製造することができる。例えば、正極活物質に溶媒、必要に応じてバインダー、導電材、充填剤のような添加剤を混合及び撹拌してスラリーを製造した後、これを金属材料の集電体に塗布(コーティング)および圧縮した後、乾燥して正極を製造することができる。
【0086】
具体的に、先ず、スラリーを製造するための溶媒に前記バインダーを溶解させた後、導電材を分散させる。スラリーを製造するための溶媒としては、正極活物質、バインダー及び導電材を均一に分散させることができ、容易に蒸発されるものを使用するのが好ましく、代表的には、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、イソプロピルアルコールなどを使用することができる。次に、正極活物質を、または選択的に添加剤とともに前記導電材が分散された溶媒に再び均一に分散させて正極スラリーを製造する。スラリーに含まれる溶媒、正極活物質、または選択的に添加剤の量は本出願において特に重要な意味を持たず、単にスラリーの塗布が容易であるように適切な粘度を持てば十分である。このように製造されたスラリーを集電体に塗布し、乾燥して正極を形成する。前記スラリーはスラリーの粘度及び形成しようとする正極の厚さによって適切な厚さで集電体に塗布することができる。
【0087】
前記塗布は当業界で通常公知された方法によって行うことができ、例えば、前記正極活物質スラリーを前記正極集電体の一側上面に分配させた後、ドクターブレード(doctor blade)などを利用して均一に分散させて行うことができる。以外にも、ダイキャスティング(die casting)、コンマコーティング(comma coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)などの方法を通じて行うことができる。
【0088】
前記乾燥は特に制限されないが、50ないし200℃の真空オーブンで1日以内で行うことであってもよい。
【0089】
前述した素材及び方法で製造された本発明の正極は、下記数式1で表されるSC factor値によって仕分けられる。
【0090】
[数式1]
【数6】
(前記数式1において、
Pは正極内の正極活物質層の空隙率(%)で、
Lは正極内の正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量(mg/cm)で、
αは10(定数)である。)。
【0091】
本発明によるリチウム-硫黄二次電池は、上述した正極だけでなく負極、分離膜及び電解質などの有機的な結合によって高エネルギー密度を具現し、本発明によれば、リチウム-硫黄二次電池が高エネルギー密度を具現するために、前記SC factor値は0.45以上、好ましくは0.5以上であってもよい。本発明において、前記SC factor値の上限は特に制限されないが、実際リチウム-硫黄二次電池の駆動を考慮する時、前記SC factor値は4.5以下であってもよい。前記SC factor値が0.45以上である場合、既存のリチウム-硫黄二次電池は実際駆動する時に電池のエネルギー密度などの性能が低下するが、本発明によるリチウム-硫黄二次電池の場合は実際駆動する時も電池の性能が低下されずに維持される。
【0092】
本発明による負極は、負極集電体とその一面または両面に形成された負極活物質層で構成されることができる。または、前記負極はリチウム板金であってもよい。
【0093】
前記負極活物質層は負極活物質と選択的に導電材及びバインダーを含むことができる。
【0094】
前記負極活物質はリチウムイオンを可逆的にインターカレーション(Intercalation)またはデインターカレーション(DeIntercalation)できる物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質、リチウム金属またはリチウム合金を使用することができる。
【0095】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーションまたはデインターカレーションすることができる物質は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの混合物であってもよい。
【0096】
前記リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質は、例えば、酸化スズ、窒化チタン、またはシリコーンであってもよい。
【0097】
前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)とナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群から選択される金属の合金であってもよい。
【0098】
前記負極活物質を除いた集電体、導電材、バインダーなどの構成及び負極の製造方法は上述した正極で使われた物質及び方法などが利用されてもよい。
【0099】
本発明による分離膜は正極と負極を物理的に分離する機能を有する物理的な分離膜であって、通常の分離膜として使われるものであれば、特に制限されずに使用可能であり、特に電解液のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液含湿能力に優れるものが好ましい。
【0100】
また、前記分離膜は正極と負極を互いに分離または絶縁させながら正極と負極の間にリチウムイオンを輸送できるようにする。このような分離膜は気孔度30ないし50%の多孔性で、非伝導性または絶縁性の物質からなってもよい。
【0101】
具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを使用することができ、高融点のガラス繊維などからなった不織布を使用することができる。この中で、好ましくは多孔性高分子フィルムを使用する。
【0102】
もし、バッファー層及び分離膜として、いずれも高分子フィルムを使用すれば、電解液含浸量及びイオン伝導特性が減少し、過電圧減少及び容量特性改善効果が微々たるものとなる。逆に、いずれも不織布素材を使用する場合は、機械的剛性が確保されずに電池短絡の問題が発生する。しかし、フィルム型の分離膜と高分子不織布バッファー層を一緒に使うと、バッファー層の採用による電池性能改善効果とともに機械的強度も確保することができる。
【0103】
好ましくは、本発明において、エチレン単独重合体(ポリエチレン)高分子フィルムを分離膜で、ポリイミド不織布をバッファー層で使用する。この時、前記ポリエチレン高分子フィルムは厚さが10ないし25μm、気孔度が40ないし50%であることが好ましい。
【0104】
本発明による電解液は、リチウム塩を含む非水系電解液としてリチウム塩と溶媒で構成される。前記電解液は1.5g/cm未満の密度を有する。前記電解液が1.5g/cm以上の密度を有する場合、電解液の重さが増加してリチウム-硫黄二次電池の高エネルギー密度を具現しがたい。
【0105】
前記リチウム塩は非水系有機溶媒に容易に溶解される物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiB(Ph)、LiCBO、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF6、LiSbF、LiAlCl、LiSOCH、LiSOCF、LiSCN、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(SOF)、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルホン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム及びリチウムイミドからなる群から一つ以上であってもよい。本発明の一具体例において、前記リチウム塩はLiTFSIなどのようなリチウムイミドが好ましい。
【0106】
前記リチウム塩の濃度は、電解液混合物の正確な組成、塩の溶解度、溶解された塩の伝導性、電池の充電及び放電条件、作業温度及びリチウム二次電池分野に公知された他の要因のような多くの要因によって、0.1ないし8.0M、好ましくは0.5ないし5.0M、より好ましくは1.0ないし3.0Mであってもよい。もし、リチウム塩の濃度が前記範囲未満であれば電解液の伝導度が低くなって電池性能が低下することがあるし、前記範囲を超過すれば、電解液の粘度が増加してリチウムイオン(Li)の移動性が減少されることがあるので前記範囲内で適正濃度を選択することが好ましい。
【0107】
前記溶媒は第1溶媒及び第2溶媒を含む。前記第1溶媒は、溶媒で1重量%以上含まれた構成成分の中で単位体積当たり最も高い双極子モーメント(dipole moment)を有するものであり、よって高い双極子モーメント(dipole moment)及び低い粘度を有することを特徴とする。双極子モーメントが高い溶媒を使用する場合、硫黄の固相反応性を改善する効果を有するが、このような効果は溶媒自体が低い粘度を有する時によく発現される。本発明で第1溶媒は、下記数式2で表されるDV factorによって仕分けられる。
【0108】
[数式2]
【数7】
(前記数式2において、
DVは単位体積当たり双極子モーメント(D・mol/L)で、
μは溶媒の粘度(cP、25℃)で、
γは100(定数)である。)。
【0109】
本発明によれば、前記DV factor値は1.75以下、好ましくは1.5以下であってもよい。本発明において、前記DV factor値の下限は特に制限されないが、実際リチウム-硫黄二次電池の駆動を考慮する時、前記DV factor値は0.1以上であってもよい。前記第1溶媒のようにDV factor値が1.75以下の溶媒を混合する場合、気孔度が低く、正極活物質である硫黄のローディング量が高い正極がリチウム-硫黄電池に適用された時も電解液の機能性がそのまま維持されることができて、電池性能が低下しない。
【0110】
本発明における第1溶媒は、上述したDV factor値の範囲に含まれれば、その種類は特に限定されないが、プロピオニトリル(Propionitrile)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)、ガンマ-ブチロラクトン(Gamma-Butyrolactone)、トリエチルアミン(Triethylamine)及び1-ヨードプロパン(1-iodopropane)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0111】
前記第1溶媒は、電解液を構成する溶媒の全体重量を基準にして1ないし50重量%、好ましくは5ないし40重量%、より好ましくは10ないし30重量%で含むことができる。本発明による溶媒が上述した重量%範囲内で第1溶媒を含む場合、気孔度が低く、正極活物質である硫黄のローディング量が高い正極と一緒に使った時も電池性能改善効果を有する。
【0112】
本発明のリチウム-硫黄二次電池は、前記SC factorと前記DV factorを組み合わせたNS factorによってさらに仕分けられる。前記NS factorは下記数式3で表される。
【0113】
[数式3]
【数8】
(前記数式3において、
SC factorは前記数式1によって定義された値と同一で、
DV factorは前記数式2によって定義された値と同一である。)。
【0114】
本発明において、前記NS factor値は3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.7以下であってもよい。本発明において、前記NS factor値の下限は特に制限されないが、実際リチウム-硫黄二次電池の駆動を考慮する時、前記NS factor値は0.1以上であってもよい。前記NS factor値を前記範囲内で調節する場合、リチウム-硫黄二次電池の性能改善効果がより優れることがある。
【0115】
本発明における第2溶媒はフッ素化されたエーテル系溶媒である。従来は電解液の粘度を調節するために、希釈剤(diluent)でジメトキシエタン(dimethoxyethane)、ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate)などの溶媒が使われたが、このような溶媒を希釈剤で使用する場合、本発明のような高ローディング、低気孔度の正極を含む電池を駆動することができない。よって、本発明における第2溶媒は、第1溶媒とともに本発明による正極を駆動するために添加される。前記第2溶媒は、該当技術分野で一般的に使われるフッ素化されたエーテル系溶媒であれば、その種類は特に限定されないが、1H,1H,2´H,3H-デカフルオロジプロピルエーテル(1H,1H,2´H,3H-Decafluorodipropyl ether)、ジフルオロメチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(Difluoromethyl2,2,2-trifluoroethyl ether)、1,2,2,2-テトラフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル(1,2,2,2-Tetrafluoroethyl trifluoromethyl ether)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル(1,1,2,3,3,3-Hexafluoropropyl difluoromethyl ether)、ペンタフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(Pentafluoroethyl2,2,2-trifluoroethyl ether)及び1H,1H,2´H-パーフルオロジプロピルエーテル(1H,1H,2´H-Perfluorodipropyl ether)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0116】
前記第2溶媒は電解液を構成する溶媒の全体重量を基準にして50ないし99重量%、好ましくは60ないし95重量%、より好ましくは70ないし90重量%で含むことができる。本発明による溶媒が上述した重量%の範囲内で第2溶媒を含む場合、第1溶媒と同様に気孔度が低くて、正極活物質である硫黄のローディング量が高い正極とともに使った時も電池性能改善効果を示すことができる。前記第1溶媒と第2溶媒を混合する時、電池性能改善効果を考慮して第2溶媒は第1溶媒と同一か、またはそれ以上の量が電解液に含まれることができる。本発明によれば、前記溶媒は第1溶媒及び第2溶媒を1:1ないし1:9、好ましくは3:7ないし1:9重量比(第1溶媒:第2溶媒)で含むことができる。
【0117】
本発明のリチウム-硫黄電池用非水系電解液は、添加剤として硝酸または亜硝酸系化合物をさらに含むことができる。前記硝酸または亜硝酸系化合物はリチウム電極に安定的な被膜を形成して充放電効率を向上させる効果がある。このような硝酸または亜硝酸系化合物は本発明で特に限定しないが、硝酸リチウム(LiNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸セシウム(CsNO)、硝酸バリウム(Ba(NO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸セシウム(CsNO)、亜硝酸アンモニウム(NHNO)などの無機系硝酸または亜硝酸化合物;メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラートなどの有機系硝酸または亜硝酸化合物;ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエンなどの有機ニトロ化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種が可能で、好ましくは硝酸リチウムを使用する。
【0118】
また、前記電解液は充放電特性、難燃性などの改善を目的として、その他添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の例としては、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、プロフェンスルトン(PRS)、ビニレンカーボネート(VC)などを挙げることができる。
【0119】
本発明によるリチウム-硫黄二次電池は、下記数式4で表されるED factor値によって仕分けられる。
【0120】
[数式4]
【数9】
(前記数式4において、
VはLi/Liに対する放電公称電圧(V)で、
SC factorは前記数式1によって定義された値と同一で、
Cは0.1Cレート(rate)で放電する時の放電容量(mAh/g)で、
Dは電解液の密度(g/cm)である。)。
【0121】
前記ED factorは値が高いほど実際リチウム-硫黄二次電池で高いエネルギー密度を具現することができる。本発明によれば、前記ED factor値は850以上、好ましくは870以上、より好ましくは891以上であってもよい。本発明において、前記ED factor値の上限は特に制限されないが、実際リチウム-硫黄二次電池の駆動を考慮する時、前記ED factor値は10,000以下であってもよい。前記ED factor値の範囲は、本発明によるリチウム-硫黄二次電池が既存のリチウム-硫黄二次電池より向上されたエネルギー密度を具現することができることを意味する。
【0122】
本発明のリチウム-硫黄二次電池は、正極と負極の間に分離膜を配置して電極組立体を形成し、前記電極組立体は円筒状電池ケースまたは角形電池ケースに入れた後、電解質を注入して製造することができる。または、前記電極組立体を積層した後、これを電解質に含浸させて、得られた結果物を電池ケースに入れて密封して製造することもできる。
【0123】
また、本発明は、前記リチウム-硫黄二次電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
【0124】
前記電池モジュールは、高温安定性、長いサイクル特性及び高い容量特性などが要求される中大型デバイスの電源として使用されることができる。
【0125】
前記中大型デバイスの例としては、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(electric vehicle;EV)、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle;HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(plug-in hybrid electric vehicle;PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0126】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0127】
実施例及び比較例
[実施例1]
比表面積が2000m/g以上で、気孔体積が1.2cm/g以上の微小多孔性炭素材と硫黄(S)を3:1の重量比で均一に混合し、乳鉢混合(mortar mixing)で粉砕した後、155℃のオーブンで30分間置いて硫黄-炭素複合体を製造した。
【0128】
前記で製造された硫黄-炭素複合体、導電材及びバインダーを混合して正極活物質層形成用スラリーを製造した。この時、混合の割合は重量比で硫黄-炭素複合体:導電材:バインダーが90:5:5になるようにした。
【0129】
このように製造されたスラリーを20μm厚さのアルミニウムホイルの集電体に塗布した後、乾燥して正極を製造した(正極のエネルギー密度:4.7mAh/cm)。製造された正極で電極の重さと電極の厚さ(TESA社TESA-μHITE装備利用)を測定して計算された正極活物質層の空隙率は54%で、正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量は2.8mg/cmであった。これに基づいて計算されたSC factor値は0.52であった。
【0130】
上述した方法で製造した正極と負極を対面するように位置させた後、これらの間に分離膜を介在して電極組立体を製造した。この時、負極で60μm厚さのリチウムホイルを、分離膜で厚さ20μm、気孔度45%のポリエチレンを使用した。
【0131】
次いで、前記電極組立体をケース内部に位置させた後、電解液を注入してリチウム-硫黄二次電池を製造した。この時、前記電解液は、有機溶媒に3M濃度のリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)を溶解させて製造し、ここで前記有機溶媒は、プロピオニトリル(第1溶媒)と1H,1H,2´H,3H-デカフルオロジプロピルエーテル(第2溶媒)を3:7の重量比で混合した溶媒を使用した。前記第1溶媒で単位体積当たり双極子モーメントは97.1D・mol/Lで、BROOKFIELD AMETEK社のLVDV2T-CP粘度計を利用して測定した溶媒の粘度(25℃)は0.38cPであった。これに基づいて計算されたDV factor値は0.39であった。製造された電池の充放電は45℃で行った。
【0132】
[実施例2]
正極の製造条件を変更して正極活物質層の空隙率が54%、正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量が4.6mg/cm、これに基づいて計算されたSC factor値が0.85の正極を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池を製造した。
【0133】
[実施例3]
正極の製造条件を変更して正極活物質層の空隙率が53%、正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量が3.8mg/cm、これに基づいて計算されたSC factor値が0.72の正極を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池を製造した。製造された電池の充放電は25℃で行った。
【0134】
[実施例4]
正極の製造条件を変更してカーボンナノチューブと硫黄(S)を3:1の重量比で均一に混合し、乳鉢混合(mortar mixing)で粉砕した後、155℃のオーブンで30分間置いて製造した硫黄-炭素複合体と、比表面積が150m/g以上であるカーボンナノチューブとグラフェンを9:1の重量比で混合した形態の導電材を使用し、これによって正極のエネルギー密度が5.45mAh/cm、正極活物質層の空隙率が68%、正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量が4.54mg/cm、これに基づいて計算されたSC factor値が0.668の正極を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池を製造した。製造された電池の充放電は45℃で行った。
【0135】
[比較例1]
電解液の製造条件を変更してジエチレングリコールジメチルエーテルと1,3-ジオキソラン(DECDME:DOL=6:4(体積比))からなる有機溶媒に1M LiFSI、1重量%のLiNOを溶解させて製造された電解液を使用したことを除いては、実施例3と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池を製造した。
【0136】
[比較例2]
正極の製造条件を変更して導電材で気相成長炭素繊維(VGCF)を使用し、正極のエネルギー密度が5.67mAh/cm、正極活物質層の空隙率は68%、正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量は4.73mg/cmで、これに基づいて計算されたSC factor値が0.700の正極を製造したことを除いては、実施例4と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池を製造した。
【0137】
実施例及び比較例の条件を整理して下記表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
実験例1。電池性能評価
実施例1ないし3及び比較例1で製造された電池を充放電測定装置を利用して1.0から3.6Vまでの容量を測定した。この時、得られた結果は図1ないし図4に示す。
【0140】
図1ないし4に示すように、本発明による正極を含む電池の容量特性が比較例に比べて優れることを確認することができる。
【0141】
具体的に、実施例1ないし3による電池の放電容量は理論容量に近い特性のものと比べて既存の電解液をそれぞれ使用した比較例1の場合、著しく低い容量を示すことを確認することができる。前記結果より本発明のリチウム-硫黄二次電池が既存のリチウム-硫黄二次電池では具現することができなかった、より高いエネルギー密度を具現できることを確認することができる。
【0142】
実験例2。走査電子顕微鏡分析
前記実施例4及び比較例2で製造した正極の表面形状を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を利用して観察した。この時、得られた結果を下記図5及び図6に示す。
【0143】
図5及び図6を参照すれば、比較例2の正極は実施例4の正極と比べて導電材による導電構造形成が緻密になっていないことを確認することができる。
【0144】
実験例3.電池性能評価
実施例4及び比較例2で製造された電池を充放電測定装置を利用して1.0から3.6Vまでの容量を測定した。また、0.1C、0.2Cレート(rate)CCで順次放電するサイクルを行って放電容量を測定した(CC:一定電流(Constant Current))。この時、得られた結果は図7ないし図10に示す。
【0145】
図7ないし10に示すように、本発明による正極を含む電池の容量特性が比較例に比べて優れることを確認することができる。
【0146】
図7及び図9を参照すれば、実施例4による電池の放電容量と比べて既存導電材を使用した比較例2の場合、著しく低い容量を示すことを確認することができる。
【0147】
また、図8及び図10を通じて実施例4の正極を含む電池の放電容量は、サイクルの間ずっと比較例2に比べて高いので、放電容量維持率に優れることを確認することができる。前記結果より本発明のリチウム-硫黄二次電池が既存のリチウム-硫黄二次電池では具現することができなかった、より高いエネルギー密度を具現できることを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10