(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】カーペット基布用ポリオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/20 20060101AFI20221219BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221219BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20221219BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20221219BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20221219BHJP
A47G 27/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C08L23/20
C08K3/013
B32B27/12
B32B27/32 103
B32B27/20 Z
A47G27/02 E
(21)【出願番号】P 2021533322
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085694
(87)【国際公開番号】W WO2020127298
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ムサッチ、ギアンルカ
(72)【発明者】
【氏名】マルチーニ、ロベルタ
(72)【発明者】
【氏名】スパタロ、ステファーノ
(72)【発明者】
【氏名】パスカーリ、ステファーノ
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504667(JP,A)
【文献】特表2012-500292(JP,A)
【文献】特開2007-051281(JP,A)
【文献】特表2009-522413(JP,A)
【文献】特表2012-512921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/20
C08K 3/013
B32B 27/12
B32B 27/32
B32B 27/20
A47G 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含む充填ポリオレフィン組成物:
(A)共重合コモノマー含量が
0.7~
1.5重量%であり、ISO 1133(190℃、2.16kg)によって測定されたメルトフローレート(MFR)値が
1,000~1,600g/10
分である、ブテン-1と、エチレン、プロピレン、炭素数5~10のα-オレフィン、およびこれらの混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つのコモノマーとのコポリマー、および
(B)
10~80重量%の少なくとも1つの無機フィラー、
前記(A)および(B)の量は、(A)+(B)の総重量を基準とする。
【請求項2】
前記ブテン-1コポリマー成分(A)は、以下の更なる特徴のうち少なくとも一つを有する、請求項
1に記載の充填ポリオレフィン組成物:
(a)4未満の分子量分布(Mw/Mn)、ここで下限は1.5である;及び/または
(b)30,000~140,000の重量平均分子量Mw;及び/または
(c)110℃未満の融点(TmII);及び/または
(d)80℃超えの融点(TmII);及び/または
(e)180℃(せん断速度100s-1)で5,000~50,000mPa・sec、特に8,000~20,000mPa・secの回転(ブルックフィールド)粘度;及び/または
(f)25~60%範囲に含まれるX線結晶化度。
【請求項3】
前記少なくとも一つの無機フィラー(B)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ケイ酸塩鉱物、合成シリカ、合成ゼオライト、ガラス、カーボンブラック、無機顔料、およびこれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1
又は2に記載の充填ポリオレフィン組成物。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の充填ポリオレフィン組成物を含む少なくとも1つの層を一次カーペット基布の裏面に塗布する段階を含むカーペットの製造方法。
【請求項5】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の充填ポリオレフィン組成物を含む少なくとも1つの基布層を含むカーペット。
【請求項6】
(i)一次基布;
(ii)前記一次基布の背面に接着されたバックコーティング材;および
(iii)任意選択的に、一つ以上の二次基布層、を含み、
前記バックコーティング材(ii)及び前記一つ以上の基布層(iii)のうち選択された少なくとも一つは、請求項1~
3のいずれか一項に記載の充填ポリオレフィン組成物を含む、請求項
5に記載のカーペット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高いメルトフローレートを有するブテン-1コポリマー及び無機フィラー含むカーペット基布(carpet backing)用ポリオレフィン系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットの裏面には、一般に、房(tuft)を固定し、かつカーペットに更なる強度及び寸法安定性を与える機能を有する複数の層を含んでいる。殆どのカーペットは、二重の基布、つまり糸が固定される一次基布と、所要の寸法安定性を提供する二次基布とを有している。一次及び二次基布は、ラテックス、合成ゴムのエマルジョン、またはホットメルト接着剤組成物で接着される。
【0003】
200~1,500g/10分の範囲のMFRを有する反応器外ブテン-1コポリマーを含有する高流動性の組成物は、国際公開公報WO2015/074830号に開示されている。前記組成物は、タフテッドカーペットまたはニードルパンチカーペットの一次カーペット基布に房を接着するのに適している。
【0004】
カーペット二次基布は、米国特許第5,929,145号に記載のように、ビチューメン(bitumen)及び無機フィラーを含む組成物などの異なる材料で作られる。前記カーペットは、ビチューメン含有層の層間剥離が困難であるので、使用寿命が尽きるまでリライクル性(recyclability)が制限されている。
【0005】
当業界において、特に米国特許第5,416,151号から、最大150g/10分までのメルトフローレート値を有するブテン-1コポリマー、多量のフィラー、および炭化水素油を含有するブテン-1コポリマー組成物がビチューメン系組成物に代わるためのカーペットの基布材として用いられることができることも知られている。しかし、組成物中における炭化水素油の存在は、基布層の弾性を損傷させることができ、オイルブルーミング(oil blooming)は、カーペットの美観を変える恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これにより、室温で十分に高い流動性及び優れた弾性特性を有しており、カーペット基布に使用可能なポリオレフィン系組成物が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出願人は、高いメルトフローレート及び優れた弾性特性を有するポリオレフィン組成物を明らかにした。
【0008】
本開示の充填ポリオレフィン組成物は、下記を含む:
(A)共重合コモノマー含量が0.5~5.0重量%であり、ISO 1133(190℃、2.16kg)によって測定されたメルトフローレート(MFR)値が200g/10分以上である、ブテン-1と、エチレン、プロピレン、炭素数5~10のα-オレフィン、およびこれらの混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つのコモノマーとのコポリマー、および
(B)80重量%以下の少なくとも1つの無機フィラー、
前記(A)および(B)の量は、(A)+(B)の総重量を基準とする。
【0009】
また、本開示のポリオレフィン組成物は、結晶性、粘度、及び接着性の相互間のバランスが良好に付与される。
【0010】
さらに、本開示は、前述のようなポリオレフィン組成物を含む少なくとも1つの層を一次カーペット基布の裏面に塗布する段階を含むカーペットの製造方法に関する。
【0011】
他の態様において、本開示はまた、前述のようなポリオレフィン組成物を含む少なくとも一つの基布層を含むカーペットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
請求された対象物は、添付の図面と連携して以下の説明を参照することにより、理解することができる:
【
図1】DMTAで測定した温度によるブテン-1コポリマーの粘弾性特性(E′、E″、およびTanδ)の変化を示す。
【
図2】温度関数として描画され、DMTA法によって測定された実施例1~3のポリオレフィン組成物の粘弾性特性の変化を示す。
【
図3】温度関数として描画され、DMTA法によって測定された実施例1~3のポリオレフィン組成物の粘弾性特性の変化を示す。
【
図4】温度関数として描画され、DMTA法によって測定された実施例1~3のポリオレフィン組成物の粘弾性特性の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の文脈上、用語「室温」は、相対湿度50%で測定された25±2℃の温度を指す。
【0014】
本開示の目的は、下記を含む充填ポリオレフィン組成物である:
(A)共重合コモノマー含量が0.5~5.0重量%であり、ISO 1133(190℃、2.16kg)によって測定されたメルトフローレート(MFR)値が200g/10分以上である、ブテン-1と、エチレン、プロピレン、炭素数5~10のα-オレフィン、およびこれらの混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つのコモノマーとのコポリマー、および
(B)80重量%以下の少なくとも1つの無機フィラー、
前記(A)および(B)の量は、(A)+(B)の総重量を基準とし、(A)+(B)の総重量は、100%となる。
【0015】
一実施形態において、ブテン-1コポリマー成分(A)は、ISO 1133(190℃、2.16kg)によって測定されたMFRが200~3,000g/10分、好ましくは400~2,700g/10分、より好ましくは600~2,500g/10分、さらに好ましくは800~2,000g/10分であることができる。
【0016】
一実施形態において、ブテン-1コポリマー成分(A)は、ISO 1133(190℃、2.16kg)によって測定されたMFRが1,000~1,600g/10分であることができる。
【0017】
前記少なくとも一つのコモノマーは、エチレン、プロピレン、炭素数5~10のα-オレフィンおよびこれらの混合物から選ばれる。
【0018】
好ましくは、前記少なくとも一つのコモノマーは、エチレン、プロピレン、ヘキセン-1、オクテンー1、およびこれらの混合物の中から選ばれることができる。
【0019】
より好ましく、前記少なくとも一つのコモノマーはエチレンであることができる。
【0020】
一実施形態において、前記ブテン-1コポリマー成分(A)は、0.5~3.0重量%、好ましくは0.7~2.0重量%、より好ましくは0.7~1.5重量%の共重合コモノマー含量、特に共重合エチレン含量を有することができる。
【0021】
また他の一実施形態において、ブテン-1コポリマー成分(A)は、下記を含むブテン-1コポリマー組成物であることができる:
(A1)3重量%以下、特に1重量%~3重量%の共重合コモノマー含量(CA1)を有する、ブテン-1ホモポリマー、またはブテン-1と、エチレン、プロピレン、炭素数5~10のα-オレフィン、およびこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つのコモノマーとのコポリマー;
(A2)3~10重量%の共重合コモノマー含量(CA2)を有する、ブテン-1と、エチレン、プロピレン、炭素数5~10のα-オレフィン、およびこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つのコモノマーとのコポリマー;
ここで前記組成物は、(A1)+(A2)の総合を基準として0.5~5.0重量%の共重合コモノマーの総含量、および好ましくは(A1)+(A2)の総重量を基準として定められた60%重量以下の0℃でキシレンに可溶性の分画の含量を有する。
【0022】
成分(A1)及び(A2)の相対量は、(A1)10~40重量%、特に15~35重量%の範囲、および(A2)90~60重量%、特に85~65重量%の範囲であることができ、前記量は(A1)+(A2)の総合を基準とする。
【0023】
前記ブテン-1コポリマー組成物の例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開公報WO2018/007280号に記載されている。
【0024】
好ましくは、ブテン-1コポリマー成分(A)は、以下の更なる特徴のうち少なくとも一つを有することができる:
(a)4未満、好ましくは3未満、より好ましくは2.5未満の分子量分布(Mw/Mn)、ここで下限はすべての場合に1.5である;及び/または
(b)30,000~140,000、好ましくは30,000~80,000の重量平均分子量Mw;及び/または
(c)110℃未満、好ましくは100℃未満、より好ましくは90℃未満の融点(TmII);及び/または
(d)80℃超えの融点(TmII);及び/または
(e)180℃(せん断速度100s-1)で5,000~50,000mPa・sec、特に8,000~20,000mPa・sec、特に8,000~20,000mPa・secの回転(ブルックフィールド)粘度;及び/または
(f)25~60%範囲に含まれるX線結晶化度。
【0025】
一実施形態において、ブテン-1コポリマー(A)は、更なる特徴(a)~(f)をいずれも有することができる。
【0026】
好ましくは、ブテン-1コポリマー成分(A)は、下記の更なる特徴のうち少なくとも一つをも有してもよい:
(g)-40℃~-10℃、好ましくは-30℃~-10℃範囲のガラス転移温度(Tg);及び/または
(h)300MPa以上の23℃での貯蔵弾性率(E′)、
ここでガラス転移温度及び貯蔵弾性率は、動的機械熱分析(DMTA)によって測定される。
【0027】
より好ましくは、ブテン-1コポリマー成分(A)は、更なる特徴(g)と(h)を両方とも有することができる。
【0028】
任意選択的に、ブテン-1コポリマー成分(A)は、下記の特徴のうち少なくとも一つをさらに有することができる:
(i)0.8dl/g以下、好ましくは0.2~0.6dl/gで構成される135℃でテトラヒドロナフタレン(THN)で測定した固有粘度(IV);及び/または
(ii)0.885~0.925g/cm3超え、特に0.890~0.920g/cm3の密度。
【0029】
一実施形態において、ブテン-1コポリマー成分(A)は、更なる特徴(i)と(ii)を両方とも有することができる。
【0030】
他の一実施形態において、ブテン-1コポリマー成分(A)は、更なる特徴(a)~(h)の全部、かつ更なる特徴(i)および(ii)をいずれも有することができる。
【0031】
ブテン-1コポリマー成分(A)は、以下を接触させることによって得られる触媒系の存在下にブテン-1と少なくとも1つのコモノマーを共重合させることによって得ることができる:
-立体剛性メタロセン化合物;
-アルモキサンまたはアルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物;および任意選択的に、
-有機アルミニウム化合物。
【0032】
参照により、本明細書に組み込まれる国際公開公報WO2004/099269号、WO2006/045687号、及びWO2018/007280号は、ブテン-1コポリマー成分(A)を製造するのに適したプロセス及び触媒系を記載している。
【0033】
ブテン-1コポリマー成分(A)は、直列に連結された一つ以上の反応器で行われる重合プロセスにより得られる。後者の場合に、触媒は、第1反応器にのみ、または1つ以上の反応器に添加することができる。WO2004/099269に述べるように、重合プロセスは、任意選択的に不活性炭化水素溶媒の存在下に液相で、または気相で、流動床もしくは機械攪拌式気相反応器を使用して実行される。好ましくは、重合プロセスは、液状ブテン-1を重合媒体として使用することによって実行される。重合温度は、20℃~150℃、好ましくは50℃~90℃、より好ましくは65℃~82℃の範囲である。
【0034】
WO2006/045687号に説明されているように、水素はブテン-1コポリマーの分子量を調節するのに有利に用いられることができる。液相で行われる重合反応時の水素の濃度は、1800モルppm超過及び6000モルppm未満であり、好ましくは2000モルppm~6000モルppmの範囲である。
【0035】
低融点を有するブテン-1コポリマーは、共重合コモノマー含量、特にエチレン含量を適宜選択することで得られる。したがって、ブテン-1コポリマー成分(A)は、液相でコモノマー、特にエチレンの(総)量が重合反応器に存在するブテン-1モノマーの総重量に対して0.1重量%~8重量%、好ましくは0.2重量%~6重量%の範囲である重合プロセスによって得られる。
【0036】
ブテン-1コポリマー(A)が、前述のような成分(A1)及び(A2)を含むブテン-1コポリマー組成物である場合、重合工程は、直列に連結された2つ以上の反応器で行われる少なくとも2つの重合段階を含む。成分(A1)がコポリマーである場合、成分(A1)の製造において液相中のコモノマー量は、0.1重量%~1.2重量%であることができる反面、成分(A2)の製造においては1重量%~8重量%であることができる。
【0037】
一実施形態において、前記少なくとも一つの無機フィラー(B)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ケイ酸塩鉱物、合成シリカ、合成ゼオライト、ガラス、カーボンブラック、無機顔料、およびこれらの混合物からなる群より選ばれることができる。
【0038】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、及び/または水酸化物は、天然または合成由来のものであってもよい。
【0039】
好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの無機フィラー(B)は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物からなる群より選ばれることができる。
【0040】
より好ましくは、前記少なくとも一つの無機フィラー(B)は、炭酸カルシウムであることができる。
【0041】
一実施形態において、前記少なくとも1つの無機フィラー(B)は、d(90)値が300μm以下の粒径分布を有することができる。
【0042】
好ましくは、無機フィラー(B)は、前記d(10)値が0.5~10μm、特に0.5~3μmであり、前記d(50)値が5~30μmであり、d(90)値が30~300μmである粒径分布を有することができる。
【0043】
一実施形態において、少なくとも一つの無機フィラー(B)は、前述した粒径分布を有する炭酸カルシウムであることができる。
【0044】
一実施形態において、前記充填ポリオレフィン組成物は、10~80重量%、好ましくは20~75重量%の少なくとも1つの無機フィラー(B)を含むことができる。本実施形態において、充填ポリオレフィン組成物は、20~90重量%、好ましくは25~80重量%のブテン-1コポリマー(A)を含むことができる。本実施形態の組成物は、特に、これに限定されないが、カーペットの二次基布を形成するのに適している。
【0045】
前述した成分(A)及び(B)に加えて、本開示の充填ポリオレフィン組成物は、任意選択的に抗酸化剤、UV安定剤、老化防止剤、造核剤、およびこれらの混合物から選ばれた添加剤をさらに含むことができる。好ましくは、添加剤の総量は、充填ポリオレフィン組成物の総重量に対して0.01~1重量%であることができる。
【0046】
本開示の充填ポリオレフィン組成物は炭化水素油を含まないということをさらに特徴とする。
【0047】
本開示の充填ポリオレフィン組成物は、一軸または二軸押出機で溶融状態の成分の混合のような公知の方法及び装置によって製造されることができる。無機成分(B)は、粉末形態で、若しくは好ましくはマスターバッチとしてブテン-1コポリマーに添加することができる。
【0048】
したがって、本開示の充填ポリオレフィン組成物は、成分(A)及び少なくとも1つの無機フィラー(B)を含むマスターバッチ組成物を含むことができ、前記充填ポリオレフィン組成物中におけるマスターマッチ組成物の量は、充填ポリオレフィン組成物中に80重量%以下の無機フィラー(B)の存在を確保する。
【0049】
前述した充填ポリオレフィン組成物は、カーペット基布としての用途に特に好適である。
【0050】
ブテン-1コポリマー(A)は、室温で優れた弾性を与え、このため高い機械的負荷に対する耐性に優れるカーペット基布が得られる。
【0051】
よって、本開示の更なる目的は、前述のような充填ポリオレフィン組成物を含む少なくとも1つの層を一次カーペット基布の裏面に塗布する段階を含むカーペットの製造方法である。
【0052】
前記方法は、好ましくは、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、織りカーペット、編みカーペット、及び接着カーペットからなる群より選択されたカーペットの製造方法であることができ、タフテッドカーペット製造方法であることが好ましい。
【0053】
前述したカーペットは、表糸(face yarn)が固定されている一次基布と、前記糸を前記一次基布に結合または固定する一次基布に接着またはコーティングされたバックコーティング材と、任意選択的に、しかし好ましくは、カーペットに寸法安定性を提供するバックコーティング材に接着された少なくとも1つの二次基布と、を含む。複数の二次基布を含むカーペットは、二次層を接着するための接着層をさらに含む。
【0054】
カーペット、好ましくはこれに限定されないが、タフテッドカーペットは、二次基布を用いることなく、前記糸を固定し、寸法安定性を提供するためにカーペットの一次基布にバックコーティング材を大量塗布する単一基布を有してもよい。
【0055】
本開示の充填ポリオレフィン組成物は、バックコーティング材と、少なくとも1つの二次基布のうち選択される少なくとも一つの層に含まれることができる。
【0056】
充填ポリオレフィン組成物を含む少なくとも一つの層を一次カーペット基布の裏面に塗布する段階は、充填ポリオレフィン組成物を含む層の厚さ及び粘度に応じて、押出コーティング、ロールコーティング、積層(lamination)のような従来の塗布技術を用いて行うことができる。
【0057】
本開示の更なる目的は、前述のような充填ポリオレフィン組成物を含む少なくとも1つの基布層を含むカーペットである。
【0058】
カーペットは好ましくは、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、織りカーペット、編みカーペット、及び接着カーペットからなる群より選ばれることができ、タフテッドカーペットであることが好ましい。
【0059】
一実施形態において、カーペットはタフテッドカーペットであってもよい。
【0060】
本開示のカーペットはビチューメンを含まないことをさらに特徴とする。
【0061】
一実施形態において、少なくとも1つの基布層は、0.1~5.0mm、好ましくは0.1~3.0mm範囲の厚さを有する。
【0062】
望ましい一実施形態において、カーペットは下記を含むことができる:
(i)一次基布;
(ii)前記一次基布の背面に接着されたバックコーティング材;および
(iii)任意選択的に、一つ以上の二次基布、
ここで前記バックコーティング材(ii)及び前記一つ以上の基布(iii)のうち選択された少なくとも一つは、上述の充填ポリオレフィン組成物を含む。
【0063】
前記一次基布(i)は、一次基布の前面から突出した糸を含むか、または黄麻、羊毛、レーヨン、ポリアミド、ポリエステル、プロピレンポリマー、エチレンポリマー、およびこれらの混合物から選ばれる天然または合成繊維を含む織布または不織布を製造するか含むことができる。
【0064】
あるいは、一次基布(i)は、プロピレンポリマー、エチレンポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選ばれたポリマー材を含むフィルムであることができる。
【0065】
バックコーティング材(ii)は、本開示の充填ポリオレフィン組成物を含むことができる。本実施形態において、充填ポリオレフィン組成物は、前記糸を一次基布(i)に結合させることを助け、かつカーペットに剛性を提供する。
【0066】
充填ポリオレフィン組成物を含むバックコーティング材(ii)は含む層は、0.2~5mm、好ましくは0.2~3mm範囲の厚さを有することができる。
【0067】
あるいは、バックコーティング材(ii)は、ラテックス、天然又は合成ゴム、たとえば、スチレン-ブタジエンゴム、ホットメルト接着剤、本開示の充填ポリオレフィン組成物のブテン-1コポリマー成分(A)、およびこれらの混合物から選ばれた接着材を含むことができる。
【0068】
望ましい一実施形態において、バックコーティング材(ii)は、ラテックスを含むことができる。
【0069】
前記一つ以上の二次基布層(iii)は、カーペット二次基布の当業界で用いられる材料、たとえば黄麻、羊毛、レーヨン、およびこれらの混合物から選択された天然繊維を含む織布または不織布;ポリアミド、ポリエステル、プロピレンポリマー、エチレンポリマー、およびこれらの混合物から選ばれた合成繊維を含む織布または不織布;オレフィンポリマー、好ましくはプロピレンポリマー、エチレンポリマー、ポリウレタン、ラテックス、およびこれらの混合物を含むフィルム又は発泡体を含むことができる。
【0070】
前記一つ以上の二次基布層(iii)は、本開示の充填ポリオレフィン組成物を含んでいても良い。
【0071】
第1の実施形態において、カーペットは下記を含むことができる:
(i)一次基布;
(ii)ラテックス、前述した充填ポリオレフィン組成物または前述した充填ポリオレフィン組成物のブテン-1コポリマー成分(A)のうち選択された少なくとも1つの接着材を含む一次基布の背面に接着されたバックコーティング材;および
(iii)一つ以上の二次基布層、
ここで、前記少なくとも1つの二次基布層(iii)は、前述のような充填ポリオレフィン組成物を含む。
【0072】
他の実施形態において、カーペットは下記を含むことができる:
(i)一次基布;および
(ii)前述のような充填ポリオレフィン組成物を含む一次基布の背面に接着されたバックコーティング材。
【0073】
本他の実施形態のカーペットは、単一基布を有するカーペットである。
【0074】
本開示のカーペットには、特性のバランスが有利に付与されており、バックコーティング材(ii)、および任意選択的に、一つ以上の二次基布層(iii)が一次基布に強く固定され、これによってカーペットの使用寿命の間層間剥離の問題が生じない。これと同時に、前記層は一次基布(i)から十分に容易に剥離され、そこでビチューメン二次基布を含むカーペットに比して使用寿命が尽きるまでカーペットのリサイクル性が向上する。
【0075】
さらに、本開示のカーペットは、高い耐荷重性、寸法安定性、及び優れた床接着量が付与され、カーペットの使用寿命の間、皺及び/または座屈(バックリンク)を防止する。
【0076】
下記の実施例は、単に例示的なものに過ぎず、いかなる形においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例
【0077】
以下の分析方法は、詳細な説明及び実施例に報告されている特性を決定するのに使用される。
【0078】
メルトフローレート(MFR)は、ISO 1133-2:2011(190℃、2.16kg)、他の荷重及び温度が指定されている場合を除く)によって測定した。
【0079】
コモノマー含量(重量%)は、IR分光法を通じて測定された。
【0080】
ポリマーの圧縮フィルムのスペクトルを吸光度対波数(cm-1)で記録した。以下の測定を使用し、エチレン含量を計算した:a)フィルム厚さの分光標準化に使用される、4482~3950cm-1の組み合わせ吸収バンドの面積(At);
b)メチレン基のシーケンスBEEとBEB(B:1,ブテン単位、E:エチレン単位)(CH2ロッキング振動)による吸収バンドとポリマー試料のスペクトル間のデジタル減算の減算係数(FCRC2);
c)C2PBスペクトルを減算した後、残余バンドの面積(AC2,ブロック)。これは、メチレン基のシーケンスEEE(CH2ロッキング振動)に由来する。
【0081】
装置
上記報告された分光測定値を提供することのできるフーリエ変換赤外分光計(FTIR)を使用した。200℃まで加熱可能なプラテンを有する油圧プレス(Carverまたは同等品)を使用した。
【0082】
方法
【0083】
(BEB+BEE)シーケンスの較正
較正直線は、%(BEB+BEE)wt対FCRC2/Atをプロットして得られる。傾斜度Grおよび切片Lrは、線形回帰から計算される。
【0084】
EEEシーケンスの較正
%(EEE)wt対AC2,ブロック/Atをプロットして較正直線が得られる。傾斜GHおよび切片IHは、線形回帰から計算される。
【0085】
試料準備
油圧プレスを使用し、2つのアルミニウムホイル間に約g1.5の試料をプレスして厚いシートを得る。均質性が問題であれば、少なくとも2回のプレス操作が推奨される。このシートから小さい部分を切断してフィルムを成形する。推奨されるフィルム厚さは、0.1~0.3mmの範囲である。プレス温度は140±10℃である。結晶相の変形は、時間の経過とともに起こるため、試料フィルムを成形する直後に、試料フィルムのIRスペクトルを収集することが推奨される。
【0086】
手順
機器データ収集パラメータは、次の通りである:
パージ時間:最小30秒。
収集時間:最小3分。
アポダイゼーション:Happ-Genzel。
分解能:2cm-1。
試料対空気背景のIRスペクトルを収集する。
【0087】
計算
エチレン単位のBEE+BEBシーケンスの重量当たりの濃度を計算する。
【数1】
残余バンドのショルダー間の基準線を使用して上述の減算後に残余面積(AC2,ブロック)を計算する。
エチレン単位のEEEシーケンスの重量当たりの濃度を計算する。
【数2】
エチレン重量%の総量を計算する。
【数3】
【0088】
Mw/Mn測定1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。すべての試料に対する分子量パラメータ(Mn、Mw、Mz)および分子量分布Mw/Mnは、4つのPLgel Olexis混合床(Polymer Laboratories)およびIR5赤外線検出器(PolymerChar)のカラムセットを具備したPolymerCharによってGPC-IR装置を使用して測定した。カラムの寸法は、300×7.5mmであり、その粒径は、13μmであった。移動相流量を1.0mL/分で維持させた。すべての測定は、150℃で実行した。溶液濃度は、2.0mg/mL(150℃において)であり、分解を防止するために0.3g/Lの2,6-ジタールブチル-p-クレゾールを添加した。GPC計算のため、PolymerChar(266~1220000範囲のピーク分子量)によって提供される12個のポリスチレン(PS)標準試料を使用して汎用較正曲線を得た。3次多項式フィットを使用して実験データを補間し、関連する較正曲線を得た。データ収集および処理は、Empower3(Waters)を使用して実行した。Mark-Houwink関係を使用して分子量分布および関連平均分子量を決定した:PSおよびポリブテン(PB)のK値は、各々KPS=1.21×10-4dL/gおよびKPB=1.78×10-4dL/gであり、反面、Mark-Houwink指数は、PSの場合α=0.706であり、PBの場合α=0.725であった。
【0089】
ブテン/エチレンコポリマーの場合、データ評価に関する限り、各試料に対し、組成が分子量の全体範囲において一定であり、Mark-Houwink関係式のK値は、以下に報告される線形組み合わせを使用して計算されるものと仮定した:KEB = xEKPE + xBKPB
ここでKEBは、コポリマーの定数であり、KPE(4.06×10-4,dL/g)およびKPB(1.78×10-4dL/g)は、ポリエチレン(PE)およびPBの定数であり、xEおよびxBはエチレンおよびブテン重量相対量xE+xB=1である。Mark-Houwink指数α=0.725は、すべてのブテン/エチレンコポリマーに、これらの組成に関して独立的に使用された。最終処理データの管理は、すべての試料に対して分子量換算で1000の分画を含むように固定した。1000未満の分画をGCを介して調査した。
【0090】
融点は、Perkin Elmer DSC-7装置を使用する示差走査熱量計(D.S.C.)によって決定した。ブテン-1コポリマーおよびHMA組成物の溶融温度は、以下の方法によって測定した:
-TmII(第2加熱操作で測定した溶融温度/秒):重合から得られる秤量した試料(5~10mg)(または、HMA組成物の秤量した試料)をアルミニウムパン中に密封し、10℃/分に相応する走査速度で200℃において加熱した。試料を200℃で5分間維持し、すべての結晶体を完全に溶融させ、試料の熱履歴を消去した。次いで、10℃/分に相応する走査速度で-20℃まで冷却させた後、ピーク温度を結晶温度(Tc)として採用した。-20℃で5分間放置した後、試料を10℃/分に相応する走査速度で200℃において再度加熱をした。かかる第2加熱操作においては、測定されたピーク温度/秒は(TmII)で表示し、ピーク(またはピークら)下の領域は、グローバル溶解エンタルピー(DH TmII)で表示した。
-溶融エンタルピーおよび溶融温度は、Perkin Elmer DSC-7装置を使用する示差走査熱量計(D.S.C.)によって次のようにエージングなしで(熱履歴を消去せず)測定した。重合から得られる秤量した試料(5~10mg)(または、HMA組成物の秤量した試料)をアルミニウムパン中に密封し、10℃/分に相応する走査速度で200℃において加熱した。試料を200℃で5分間維持し、すべての結晶体を完全に溶融させた。次いで、試料を室温で10日間保存した。10日後、試料をDSCに供して-20℃まで冷却した後、10℃/分に相応する走査速度で200℃において加熱した。かかる加熱操作において、ピーク温度(または2つ以上のピークが存在する温度)は溶融温度(TmI)で記録し、ピーク(またはピークら)下の領域は、10日後のグローバル溶解エンタルピー(DH TmI)で記録した。
【0091】
動的機械熱分析(DMTA)を通じたガラス転移温度(Tg)及び貯蔵弾性率(E’)。80mm×10mm×1mmの成形試験片(23°±2℃及び50%相対湿度で40時間成形後にコンディションニング)は、引張応力のためにDMTA装置に固定する。試料の引張周波数と依存度は、1Hzで固定される。DMTAは、2℃/分の加熱速度を用いて、-100℃から始まって130℃まで試料の弾性応答を解釈する。このようにして、弾性応答対温度をプロットすることが可能である。粘弾性材料に対する弾性係数は、E=E’+iE”で定義される。DMTAは、2つの成分E’とE”をこれらの共鳴によって分割し、E’対温度、およびE’/E”=tan(δ)対温度にプロットする。ガラス転移温度Tgは、曲線E’/E”=tan(δ)対温度の最大値における温度とする。
【0092】
回転(ブルックフィールド)粘度は、高精密エンコーダと動的ECモータからなる回転式レオメーターであるRheolabQC装置を使用し、180℃および変形速度100s-1で測定した。制御された剪断速度(CR)および制御された剪断応力(CS)試験設定中で選択することができる。同心シリンダーシステム、2重ギャップシステムおよび異なるベーン形状およびスピンドルを使用し、エマルジョンおよび分散液、ならびにペースト混合および攪拌挙動に対する調査に適している。試験中に、試料は、1s-1から1000s-1までの変形速度で掃引する。各変形速度に対してトルク測定し、相応する粘度は、装置ソフトウェアで計算する。
【0093】
結晶度は、下記の方法にしたがってX線回折によって測定した:結晶度の測定に用いた装備は、スリットを固定したCu-Kα1放射線を使用し、かつ毎6秒に0.1°段階で回折角2θ=5°および2θ=35°間のスペクトルを収集することができるX線回折粉末測定器(XDPD)であった。
試料は、圧縮成形によって製造した約1.5~2.5mm厚さおよび2.5~4.0cm直径のディスケットである。ディスケットを23℃で96時間の間エージングした。
このような準備後に、試料をDPD試料ホルダーに挿入する。回折角2θ=5°から2θ=35°まで0.1°段階で6秒の計数時間を使用して試料のXRPDスペクトルを収集し、最後には、最終スペクトルが収集されるようにXRPD装置を設定した。
Taをカウント/秒・2θで表されるスペクトルプロファイルと基準線間の総面積として定義し、総非結晶領域としてAaをカウント/秒・2θで表す。Caは、カウント/秒・2θで表される総結晶領域である。
スペクトルまたは回折パターンは、次の段階で分析される:
1)全体スペクトルに適した線形基準線を定義し、スペクトルプロファイルと基準線間の総面積(Ta)を計算する;
2)2つの位相モデルによって非結晶領域と結晶領域を分離する全体スペクトルにしたがって適した非結晶プロファイルを定義する;
3)非結晶プロファイルと基準線間の領域として非結晶領域(Aa)を計算する;
4)スペクトルプロファイルと非結晶プロファイル間の領域として結晶領域(Ca)をCa=Ta-Aaとして計算する;および
5)下記式を使用して試料の結晶性を計算する:
%Cr = 100 x Ca / Ta
【0094】
固有粘度:標準ASTM D 2857-16にしたがって135℃でテトラヒドロナフタレン中で決定した。
【0095】
密度:規格ISO 1183-1:2012、方法A、パート1:浸漬法によって測定する。圧縮成形板によって試験片を得た。密度は、10日間のコンディショニング後に測定する。
【0096】
-0℃でキシレン中の可溶性および不溶性分画:2.5gのポリマー組成物および250cm3のキシレンを冷蔵庫および磁性攪拌機が具備されたガラスフラスコに導入した。温度は、溶媒の沸騰点まで30分内に上昇させる。次いで、このように得られた透明な溶液を還流下に維持し、さらに30分間撹拌する。次いで、密閉されたフラスコを空気中に100℃で10~15分間攪拌した後、60分間0℃の恒温水槽で30分間維持する。このように形成された固体を0℃で迅速濾過紙上で濾過する。濾過された液体100cm3を予め秤量したアルミニウム容器に注ぎ、窒素流下で加熱板上で加熱して蒸発させ、溶媒を除去した。よって、キシレン(XS)に可溶性のポリマーの分画(重量%)は、残渣の平均重量から計算する。0℃(XI)でo-キシレンに不溶性のポリマー分画は、次のように計算する:XI(%)=100-XS(%)。
【0097】
曲げ弾性率は、ISO 178:2010によって測定した。曲げ試験のための試験片は、200℃で押圧された圧縮成形板から切断し、2kbarで10分間RTにてオートクレーブを通じて熟成させた。試験片の厚さは、4mmであった。
【0098】
粒径分布は、ISO 13320:2009によってレーザ回折で測定する。
【0099】
触媒成分の製造:ジメチルシリル{(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)-7-(2,5-ジメチル-シクロペンタ}[1,2-b:4,3-b’]-ジチオフェン)}ジルコニウムジクロリド(メタルロセンA-l)はWO01/47939号の実施例32によって製造した。
【0100】
触媒溶液の製造:窒素雰囲気下で、イソドデカン中のTIBA 33g/L溶液6400g及びトルエン中のMAO 30%wt/wt溶液567gを20Lジャケットガラス反応器に装填し、アンカー攪拌機で攪拌し、攪拌しながら室温で約1時間反応させた。
【0101】
この時間後、1.27gのメタロセンA-lを添加して攪拌しながら、約30分間溶解させた。
【0102】
最終溶液は、最後の固形残渣を除去するためにフィルタを通って反応器からシリンダーに排出した。
【0103】
溶液の結果的な組成は、以下の通りである:
【表1】
【0104】
ブテン-1コポリマーの重合重合は、液体ブテン-1が液体媒体を構成する直列に連結された2つの撹拌反応器で実行された。前述した触媒系は、二つの反応器に供給した。重合条件は、表1に報告されている。ブテン-1コポリマーは、溶液から溶融物として回収し、ペレットに切断した。コポリマーをさらに特性化し、データは表2に報告されている。
【表2】
注:kg/gMe=メタロセンA-1のグラム当たりポリマーのキログラム;スプリット=関連反応器で生成されるポリマーの量。
【表3】
【0105】
図1は、DMTAで測定した温度によるブテン-1コポリマーの粘弾性特性(E′、E″、およびTanδ)の変化を示す。
【0106】
実施例1~3
【0107】
充填ポリオレフィン組成物は、前述したブテン-1コポリマーと、d(10)が1μm、d(50)が9μm、d(90)が40μmである粒径分布を有する異なる量の炭酸カルシウムを溶融状態で混合して製造した。成分(A)及び(B)の量、実施例の組成物のMFR値、および貯蔵弾性率は表3に示す。温度による組成物の粘弾性の変化は、
図2~
図4に示す。
【表4】
充填ポリオレフィン組成物を用いて、実施例1~3の組成物を、ポリプロピレン一次基布に固定されたポリアミン糸と、バックコーティング材としてラテックスとを含むカーペットの裏面に押出コーティングすることで、タフテッドタイルカーペットの二次基布を製造した。一次基布と二次基布とを剥離するには、最小限の力が必要であった。