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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】金属相変換化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/083 20060101AFI20221219BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221219BHJP
   C01G 9/02 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/107 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/117 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/113 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/11 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/103 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/097 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/078 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/087 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/09 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/072 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/068 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/062 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 5/065 20060101ALI20221219BHJP
   C01B 13/14 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C07K5/083
A61K47/18
A61K47/02
C01G9/02 B
C07K7/06 ZNA
C07K5/107
C07K5/117
C07K5/113
C07K5/11
C07K5/103
C07K5/097
C07K5/078
C07K5/087
C07K5/09
C07K5/072
C07K5/068
C07K5/062
C07K5/065
C01B13/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021548211
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2021002959
(87)【国際公開番号】W WO2021246620
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0066600
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521361947
【氏名又は名称】ウィーバイオツリー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】キム ホ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム キ ヨク
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/159317(WO,A1)
【文献】特表2009-529004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/06
C07K 5/00
C01B 13/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属相変換化合物において、
金属酸化物及び金属水酸化物の少なくとも一つ;及び
2個ないし7個のアミノ酸を含むペプチドを含み、
前記金属相変換化合物は下記の[化学式1]で表され、60ないし99体積%の無定形を含み、
前記ペプチドは、dipeptide-1(YR)、dipeptide-2(VW)、dipeptide-4(FW)、dipeptide-6(KV)、dipeptide-7(KT)、dipeptide-14(AT)、GHdipeptide(GH)、acetyldipeptide-1(YR)、acetyl dipeptide-1cetyl Ester(YR)、nicotinoyldipeptide-2(VW)、CP dipeptide(CP)、VGE dipeptide(VE)、CGEdipeptide(CE)、EGEdipeptide(EE)、TGEdipeptide(TE)、LGE dipeptide(LE)、EQ dipeptide(EQ)、GR dipeptide(GR)、HG dipeptide(HG)、PE dipeptide(PE)、DE dipeptide(DE)、HQ dipeptide(HQ)、RS dipeptide(RS)、HP dipeptide(HP)、carnosine(AH)、tripeptide-1(GHK)、tripepdide-3(GHR)、tripeptide-4(LGD)、tripepdie-5(KVK)、tripeptide-6(GXP)、tripeptide-8(HFR)、tripeptide-10(KDI)、 RGD peptide(RGD)、AHK peptide(AHK)、tripeptide-29(GPX)、tripeptide-54(FTY)、biotinoyl tripeptide-1(GHK)、thioctoyl tripeptide-1(GHK)、tripeptide(RFK)、HGG peptide(HGG)、RKR peptide(RKRM)、tetrapeptide-1(LPTV)、tetrapeptide-2(KDVY)、tetrapeptide-3(KGHK)、tetrapeptide-5(AHSH)、tetrapeptide-7(GQPR)、tetrapeptide-9(QDVH)、tetrapeptide-11(PPYL)、tetrapeptide-15(YPFF)、tetrapeptide-21(GEKG)、tetrapeptide-26(ELPS)、acetyl tetrapeptide-2(KDVY)、acetyl tetrapeptide-3(KGHK)、acetyl tetrapeptide-5(AHSH)、acetyl tetrapeptide-9(QDVH)、acetyl tetrapeptide-11(PPYL)、acetyl tetrapeptide-15(YPFF)、pentapeptide-3(GPRPA)、pentapeptide-4(KTTKS)、pentapeptide-17(KLAKK)、pentapeptide-18(YAGFL)、thioctoyl pentapeptide-4(KTTKS)、hexapeptide-1(ARHLFW)、hexapeptide-2(FWFKPV)、hexapeptide-3(EEMQRR)、hexapeptide-4(FGHXAF)、hexapeptide-5(FGVXAF)、hexapeptide-6(VEPIPY)、hexapeptide-9(GPQGPQ)、hexapeptide-11(FVAPFP)、hexapeptide-12(VGVAPG)、acetyl hexapeptide-3(EEMQRR)、acetyl hexapeptide-8(EEMQRR)、hexapeptide-6(HWAWFK)、cysteine peptide(RFAACAA)、palmitoyl dipeptide-6(KV)、palmitoyl dipeptide-7(KT)、azelaoyl tripeptide-1(GHK)、palmitoyltripeptide-3(GHR)、palmitoyl tripeptide-5(KVK)、palmitoyl tripeptide-1(GHK)、palmitoyl tripeptide-5(KVK)、palmitoyl tripeptide(RFK)、myristoyl tripeptide-1(GHK)、palmitoyl tripeptide-4(LGD)、palmitoyl tripeptide-8(HFR、10.47)、palmitoyl tetrapeptide-7(GQPR)、myristoyl pentapeptide-17(KLAKK)、palmitoyl pentapeptide-4(KTTKS)、palmitoyl pentapeptide-17(KLAKK)、myristoyl hexapeptide-12(VGVAPG)及びpalmitoyl hexapeptide-12(VGVAPG)から選ばれる1種以上であることを特徴とする金属相変換化合物。
[化学式1]
{M2+(OH)(O)}A(2-x’)・nH
(前記式中、 M2+ はZ2+であり、Aはペプチドであり、x’は1以上2未満の数であり、yは0以上2以下の数であり、zは0以上2以下の数であり、y+zは2を超えず、yとzは同時に0の値を有せず、nは0以上10以下の数である。)
【請求項2】
前記金属相変換化合物は1ないし40体積%の結晶形;及び99ないし60体積%の無定形を含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属相変換化合物。
【請求項3】
前記金属相変換化合物は粉末-X線回折パターンが、回折角(2θ)が15~25°範囲でピークが広く形成されることを特徴とする、請求項1に記載の金属相変換化合物。
【請求項4】
前記金属相変換化合物は粉末-X線回折パターンが、回折角(2θ)=19±6°、33±5°及び59±5°のピーク値を含み、15~25°の範囲に形成されるピーク内の一つ以上のピークを含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属相変換化合物。
【請求項5】
前記ペプチドはPI2ないし12の値を有する、請求項1に記載の金属相変換化合物。
【請求項6】
前記金属相変換化合物は1単位体内のペプチドが20ないし80重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の金属相変換化合物。
【請求項7】
前記金属相変換化合物は1単位体内のペプチド20ないし80重量%;及び金属10ないし35重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属相変換化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属相変換化合物及びその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
物質は固有な結晶系を有するが、それに対する結晶習性(crystal habit)は外部条件に応じて変わる。結晶面の成長(growth)は外部条件に影響を受け、例えば過飽和度、温度、溶媒の種類、溶液のpH、不純物及び撹拌速度などに影響を受け得る。つまり、同じ成分の物質でも外部条件が異なる場合、互いに異なる形で結晶化する現像が現れ、物質の内部構造により大きく結晶形と無定形に分けられる。結晶形は基本構成単位であるunit cell内に構成成分が一定な配列をなして結晶を熱力学的に安定化させる。従って、結晶形構造体内に含まれている活性成分は安定して維持することができるが、溶解が容易ではなく、結晶形構造体の場合には活性成分(例えば、薬物)の放出が難しいこともある。一方、無定形構造体の場合、内部構造が無秩序に配列されており熱力学的に比較的に不安定な特徴を有し、その特徴は下記の通りである。
【0003】
i)無定形構造体内の薬物は溶解時に結晶形で現れる格子エネルギーを克服する必要がないため結晶形に比べて比較的に溶解、吸収されやすい。これに無定形は平衡濃度(溶解度)が相対的に高く、生体利用率(Bioavailability:BA)が比較的に優れている。
【0004】
ii)無定形は結晶形よりも安定性が劣るが、熱力学的に不安定な物質であるため放置すれば自然に結晶化する場合がある。
【0005】
iii)無定形構造体内の薬物は溶解時に結晶の格子エネルギーを克服する必要がないため結晶形に比べて比較的に溶解、吸収されやすい。従って、一般的に結晶形構造体よりは無定形構造体内に含まれた薬物の高い溶解度と速い溶出率を示す。
【0006】
つまり、結晶性固体の場合、元素間配列のエネルギー準位が最も低い状態で配列されている反面、無定形固体の場合、元素の配列が高いエネルギー準位を有する不安定な状態を維持することになる。従って、同一の物質の場合、結晶性固体が無定形固体より化学的に安定であり、低い溶解度と高い密度を有し熱力学的に安定な結晶形態を維持しようとする特徴を有する。
【0007】
酸化亜鉛または亜鉛水酸化物などのような金属化合物または無機化合物(inorganic compound)は結晶性が非常に大きいsolvateまたはhydrate類の構造体であって、製造時の温度、溶媒、過飽和度、核生成(seed becoming)/成長速度(seed growth speed)、結晶化メカニズム、結晶化時間などが結晶生成に主要な要因として作用し、このような多様な要因が結晶生成に起因する。つまり、通常の金属水酸化物は結晶性傾向が非常に大きく、単位体内に高い無定形性を形成することが困難な実情である。
【0008】
従来にも金属水酸化物と関連して韓国登録特許第10-1738545号のように結晶形の高い金属水酸化物及びこれを利用したナノ複合体に係る技術は多数あるが、無定形性が高い金属水酸化物は見つけられない実情である。
【0009】
そこで、本発明は上述した問題を解決するために考案された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は金属化合物内における無定形性を高めたことで、無定形性と結晶性を両方とも含む金属相変換化合物(Metal phase transformation compound)に関する。具体的に、本発明の金属相変換化合物はDDS(Drugdelivery system)の概念から派生した薬物担持体の一種で不安定な活性成分を安定して維持するようにし、水溶液状態の一定の条件で活性成分が溶出するようにする特徴を有する。
【0011】
本発明において、相変換とは多形体(polymorph)を意味することであり、金属化合物内の無定形性及び結晶性を複合的に含む無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)の金属化合物を意味する。本発明の金属相変換化合物は溶解度、薬物含量などにおいて結晶性化合物と異なる物性を有し、既存の結晶形と異なる特徴を示す。多形体結晶の物理化学的特性の差異は結晶構造内の隣接分子の配向及び分子間相互作用の差異から起因し、物質内の構成元素の配列は固体相の熱力学的エネルギー安定性にも大きな差を持たせる。
【0012】
そこで本発明は金属化合物1単位体内の無定形性及び結晶形性の特徴をいずれも有する金属化合物を提供することを目的とし、より具体的に無定形性を最大化して、結晶相が無定形性と結晶形が複合的に混在している状態である無定形-結晶質を含む金属相変換化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はペプチドを含め、60体積%以上の無定形を含むことを特徴とする、金属相変換化合物を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の金属相変換化合物は単位体内の無定形性を高い比率で有することによって、金属相変換化合物内の有効成分、つまり、ペプチドの含有率を最大化できる効果を奏する。
【0015】
また、本発明の金属相変換化合物は結晶性及び無定形性を同時に有し、無定形性を高い比率で有することによって、活性成分を安定して担持可能な効果を奏しながら、生体利用率に優れ、溶解度に優れ、溶出率にも優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明は無定形性を有する金属相変換化合物を効果的に形成可能な製造発明が提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の金属相変換化合物の形成方法に係るスキームであり、具体的にnucleationにより生成されたseedはcrystalline phaseの成長(growth)とdiffussional phase transformationによる粒子内原子の移動によりcoherent interfaceの部分が生成、成長する過程を示す。これにより、initiation seedはperiodic order phaseとともにshort-range order phaseが形成し、次第に増加することによってstackingしてparticleをなすことになる。
図2】従来の活性成分を含む金属水酸化物複合体の方法を示すpreexistence method及び本発明の金属相変換化合物の製造方法を示すnew methodに係る概略図である。
図3】結晶形比率に関わる結晶度に係るグラフである。
図4】実施例1ないし5のXRDグラフと参考例のペプチドが含まれない結晶性ZBSのXRDグラフを比較した図である。
図5】実施例6ないし8のXRDグラフと参考例のペプチドが含まれない結晶性ZBSのXRDグラフを比較した図である。
図6】実施例1のXRDグラフである。
図7】実施例2のXRDグラフである。
図8】実施例3のXRDグラフである。
図9】実施例4のXRDグラフである。
図10】実施例5のXRDグラフである。
図11】実施例6のXRDグラフである。
図12】実施例7のXRDグラフである。
図13】実施例8のXRDグラフである。
図14】比較例のXRDグラフである。
図15】実施例3のSEM-EDXの結果を示すグラフである。
図16】実施例3(peptibrid500ppm)、実施例3(peptibrid1000ppm)、pal-GHK(500ppm)及びpal-GHK(1000ppm)の透過率に係るグラフである。
図17】実施例3(500ppm)の粒子のサイズに対する図である。
図18】実施例3(1000ppm)の粒子のサイズに対する図である。
図19】pal-GHK(500ppm)の粒子のサイズに対する図である。
図20】pal-GHK(1000ppm)の粒子のサイズに対する図である。
図21】実施例3の化合物を1000倍拡大したFE-SEM走査電子顕微鏡写真である。
図22】実施例3の化合物を10000倍拡大したFE-SEM走査電子顕微鏡写真である。
図23】実施例3の化合物を10000倍拡大したFE-SEM走査電子顕微鏡写真である。
図24】実施例3の化合物を20000倍拡大したFE-SEM走査電子顕微鏡写真である。
図25】実施例3の化合物を100000倍拡大したFE-SEM走査電子顕微鏡写真である。
図26】実施例3のTEM透過電子顕微鏡写真である。
図27】実施例3のTEM透過電子顕微鏡写真である。
図28】実施例3のTEM透過電子顕微鏡写真である。
図29】実施例3のTEM透過電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は金属化合物内の無定形性を高めることによって、金属化合物内の活性成分の含量を増加させ、優れた徐放性を持たせるようにすることである。通常的に、金属化合物は、結晶性が高い結晶化した金属化合物の特徴を有する。このような、結晶化した金属化合物(crystalline metal compound)の場合、熱力学的に非常に安定した物質であり、かつ内部規則性に優れた結晶性を有している。このような高い結晶性を有する金属化合物に物理/化学的方法で規則性の変形を導いて(Polymorphism)相変化を起こし、導かれた異結晶質の部分(無定形;amorphous)が陰イオン性物質と共に積層されながら無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)を形成させる。このように形成された金属塩の場合、内部構造の変更により元の結晶形性の金属化合物が有する活性成分含量より無定形-結晶質構造体の金属化合物内に含まれる活性成分の含量が増加する特徴があり、pH変化により活性成分の放出量が調節される特徴がある。
【0019】
具体的に本発明は、ペプチドを含め、60体積%以上の無定形を含むことを特徴とする、金属相変換化合物に関する。つまり、本発明は既存の制限された金属化合物の構造に無定形性を導入し、無定形性及び結晶形性の特徴を同時に有する多形体(polymorph)構造の金属化合物を形成することである。多形体構造は物質の化学組成は同じであるが、分子が互いに異なる配列をなすことでファンデルワールス力、水素結合、分子間相互作用など物理的力が異なって作用し結晶核(seed)が成長するため、既存の金属化合物とは異なる結晶構造の特徴を有することになる。本発明では金属化合物の混合溶媒に対する反応性(polarity)と溶解度を用いて金属化合物の内部構造の対称性と反復性を変化させ金属化合物内の互いに接触している原子間距離を変わらせることで人為的に結晶性を低くして無定形構造に変化させ結晶相が変換された無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)を有する金属相変換化合物を考案した。
【0020】
具体的に、前記金属相変換化合物は1ないし40体積%の結晶形;及び99ないし60体積%の無定形を含むことができ、好ましくは、1ないし35体積%の結晶形;99ないし65体積%の無定形を含み、より好ましくは、1ないし30体積%の結晶形;99ないし70体積%の無定形を含み、更に好ましくは、1ないし25体積%の結晶形;99ないし75体積%の無定形を含み、より一層好ましくは、1ないし15体積%の結晶形;99ないし85体積%の無定形を含む金属相変換化合物を提供する。
【0021】
前記範囲で金属化合物が無定形性を含む場合、熱力学的に安定した原子配置により溶解度が落ちる純粋な結晶性金属化合物に対比し、ペプチドのような活性成分を含む無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)の金属相変換化合物はpHにより粒子のサイズの調節が可能であり、含まれている活性成分の放出速度を向上することができる。さらに、前記金属相変換化合物を化粧品剤形に適用した後、皮膚塗布時に皮膚が有するpH範囲(pH4.5~7)により使用者に必要な成分が全て伝達できる能力の向上を期待することができる。
【0022】
本発明の金属相変換化合物は具体的にペプチドを含む金属酸化物または金属水酸化物複合体であってもよく、これに制限されないが、好ましくは、下記の[化学式1]で表されるものであってもよい。
【0023】
[化学式1]
{M2+(OH)(O)}A(2-x’)・nH
【0024】
(前記式中、M2+はMg2+、Ca2+、Co2+、Cu2+、Ni2+またはZn2+であり、Aは生理活性物質であり、x’は1以上2未満の数であり;yは0以上2以下の数であり;zは0以上2以下の数であり、y+zは2を超えず、yとzは同時に0の値を有せず、nは0以上10以下の数である。)
【0025】
前記[化学式1]においてAの生理活性物質はペプチドである場合、より好ましい。
【0026】
本発明に含まれるペプチドはPI2ないし12値のペプチドであってもよい。前記のペプチドはpKaと密接な関係があり、pH5ないし10以下で金属イオンとのcoordinate covalent bondを形成することになり、hydrogen bonding、carboxylate bondingなどのようなbonding active groupのactivation siteがPIにより無定形性を高めることができる効果が現れる。具体的に、前記ペプチドはdipeptide-1(YR、(PI=、以下、省略)9.95)、dipeptide-2(VW、5.98)、dipeptide-4(FW、5.98)、dipeptide-6(KV、9.07)、dipeptide-7(KT、9.07)、dipeptide-14(AT、5.98)、GH dipeptide(GH、7.37)、acetyl dipeptide-1(YR、9.95)、acetyl dipeptide-1 cetyl Ester(YR、9.95)、nicotinoyl dipeptide-2(VW、5.98)、CP dipeptide(CP、5.21)、VGE dipeptide(VE、3.64)、CGE dipeptide(CE、3.64)、EGE dipeptide(EE、3.46)、TGE dipeptide(TE、3.64)、LGE dipeptide(LE、3.64)、EQ dipeptide(EQ、3.64)、GR dipeptide(GR、10.47)、HG dipeptide(HG、7.37)、PE dipeptide(PE3.64)、DE dipeptide(DE、3.29)、HQ dipeptide(HQ、7.37)、RS dipeptide(RS、10.47)、HP dipeptide(HP、7.37)、carnosine(AH、7.37)、tipeptide-1(GHK、9.07)、tripepdide-3(GHR、10.47)、tripeptide-4(LGD、3.37)、tripepdie-5(KVK、9.37)、tripeptide-6(GXP、5.98)、tripeptide-8(HFR、10.47)、tripeptide-10(KDI、6.34)、RGD peptide(RGD、6.5)、AHK peptide(AHK、9.07)、tripeptide-29(GPX、5.98)、tripeptide-54(FTY、5.98)、biotinoyl tripeptide-1(GHK、9.07)、thioctoyl tripeptide-1(GHK、9.07)、tripeptide(RFK、10.61)、HGG peptide(HGG、7.37)、RKR peptide(RKRM、11.84)、tetrapeptide-1(LPTV、5.98)、tetrapeptide-2(KDVY、6.34)、tetrapeptide-3(KGHK、9.37)、tetrapeptide-5(AHSH、7.52)、tetrapeptide-7(GQPR、10.47)、tetrapeptide-9(QDVH、4.78)、tetrapeptide-11(PPYL、5.98)、tetrapeptide-15(YPFF、5.98)、tetrapeptide-21(GEKG、6.6)、tetrapeptide-26(ELPS、3.64)、acetyl tetrapeptide-2(KDVY、6.34)、acetyl tetrapeptide-3(KGHK、9.37)、acetyl tetrapeptide-5(AHSH、7.52)、acetyl tetrapeptide-9(QDVH、4.78)、acetyl tetrapeptide-11(PPYL、5.98)、acetyl tetrapeptide-15(YPFF、5.98)、pentapeptide-3(GPRPA、10.47)、pentapeptide-4(KTTKS、9.37)、pentapeptide-17(KLAKK、9.54)、pentapeptide-18(YAGFL、5.98)、thioctoyl pentapeptide-4(KTTKS、9.37)、hexapeptide-1(ARHLFW、10.47)、hexapeptide-2(FWFKPV、9.07)、hexapeptide-3(EEMQRR、6.91)、hexapeptide-4(FGHXAF、7.37)、hexapeptide-5(FGVXAF、5.98)、hexapeptide-6(VEPIPY、6.91)、hexapeptide-9(GPQGPQ、5.98)、hexapeptide-11(FVAPFP、5.98)、hexapeptide-12(VGVAPG、5.98)、acetyl hexapeptide-3(EEMQRR、6.91)、acetyl hexapeptide-8(EEMQRR、6.91)、heptapeptide-6(HWAWFK、9.07)、cysteine peptide(RFAACAA、8.33)、palmitoyl dipeptide-6(KV、9.07)、palmitoyl dipeptide-7(KT、9.07)、azelaoyl tripeptide-1(GHK、9.07)、palmitoyl-tripeptide-3(GHR、10.47)、palmitoyl tripeptide-5(KVK、9.37)、palmitoyl tripeptide-1(GHK、9.07)、palmitoyl tripeptide-5(KVK、9.37)、palmitoyl tripeptide(RFK、10.61)、myristoyl tripeptide-1(GHK、9.07)、palmitoyl tripeptide-4(LGD、3.37)、palmitoyl tripeptide-8(HFR、10.47)、palmitoyltetrapeptide-7(GQPR、10.47)、myristoyl pentapeptide-17(KLAKK、9.54)、palmitoyl pentapeptide-4(KTTKS、9.37)、palmitoyl pentapeptide-17(KLAKK、9.54)、myristoyl hexapeptide-12(VGVAPG、5.98)及びpalmitoyl hexapeptide-12(VGVAPG、5.98)より選択される1種以上のペプチドであってもよく、2mer以上10mer以下の大きさを有するものであってもよい。前記範囲のペプチドを使用する場合、優れた無定形性を現わせることから好ましい。
【0027】
本発明は、15ないし25°範囲で形成される広い範囲のX線回折パターンを含むことを特徴とする。前記範囲で形成されるピークは単一値のピークが広く形成されることができるが、前記範囲に一つ以上の小さいピークが含まれるパターンが形成されることもできる。このようなピークパターンを含む場合、無定形性が高いことを意味することになる。結晶性が高い金属化合物の場合、特定値で範囲が狭くて高い形態のピークを形成することである反面、広い範囲で形成される形態のピークは1単位体内の無定形性を高い比率で有することを意味する。具体的に、本発明は図26ないし29のTEMイメージから確認できるように、無定形と結晶形が混在する金属化合物であるため、15ないし25°で形成される無定形性を示す広いピーク範囲内の結晶形を示す小さいピークが一つ以上含まれることができる。つまり、無定形のピークに加えて結晶性を示すピークが無定形ピークに含まれて現れることができる。
【0028】
また、本発明の金属相変換化合物は、粉末-X線回折パターンが回折角(2θ)=19±6°、33±5°及び59±5°のピーク値を含み、15ないし25°範囲で形成されるピークに一つ以上のピークを含むことができる。
【0029】
また、本発明の金属相変換化合物は1単位体内のペプチドが20重量%以上含まれることができ、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上含まれることができる。
【0030】
また、本発明の金属相変換化合物は1単位体内のペプチド20ないし80重量%;及び金属10ないし35重量%、より好ましくはペプチド30ないし80重量%;及び金属10ないし35重量%、更に好ましくはペプチド40%ないし80重量%及び金属10ないし35重量%を含むこともできる。
【0031】
従って、本発明は上述した金属相変換化合物を含む皮膚外用組成物を提供することができる。前記皮膚外用組成物は機能性ペプチドの皮膚伝達効率の向上による上達した機能性を有する化粧品、医薬外品、及び衛生用品の原料として使用が可能であると期待される。また、前記皮膚外用組成物は多様な剤形で製造されることができ、例えばクリーム、ゲル、軟膏、ローション、セラムなどの剤形で製造されることができる。
【0032】
本発明の金属相変換化合物は従来の金属化合物の製造方法であれば制限なく使用できるが、金属溶液、ペプチド溶液及び水酸化物溶液を各々分離して製造する段階;及び前記分離して製造された溶液を混合する段階を含んで製造される場合、金属化合物内の無定形性を高められるということから好ましい。
【0033】
また、前記製造方法において、製造に使用される全ての溶液及び溶媒を換算した時、使用される全ての溶液及び溶媒におけるエタノールと水の比率は体積比でエタノール:水が10:90ないし90:10の範囲である。特に本発明で使用されるエタノールは純度が95%以上であることがより好ましい。溶液及び溶媒の水とエタノールの比率が前記の範囲を満たす場合、金属化合物内の無定形性を高められるといことから好ましい。
【0034】
<金属相変換化合物の製造方法>
本発明で、金属相変換化合物の合成時、全ての工程は常温(20℃)及び窒素雰囲気下で行われる。また、95%エタノールと3次蒸溜水を使用し、純度95%以上(水分含量5%以下、)のPEP(ペプチド)を使用した。NaOH水溶液は3.2Mであり3次蒸溜水で製造した。合成-洗浄-乾燥の順に以下のように実施する。タンク1にPEP0.4equiv.~0.13equiv.に該当する重量を投入後、3次蒸溜水とエタノール(95%<)をエタノール対比30%以上維持されたco-solventをタンク1に投入した後撹拌する。タンク2にZnO1equiv.に該当する重量を投入後、補助タンク1のconc.HCl溶液を主タンクに徐々に滴加してpH0.5~1に滴定し、窒素雰囲気下で700rpmで約30分撹拌し溶解する。
【0035】
その次に、タンク3の3.2MNaOH溶液を準備し、主タンクにタンク1、2、3の溶液を共に加えた後、主タンクのpHが6.5~7.5に維持されるように滴定し、主タンクを3時間撹拌しながら沈澱反応を誘導し、pHは6.5~7.5に維持する。
【0036】
次に、沈殿物の洗浄過程で、前記溶液の未反応塩とイオン性物質を除去するため遠心分離機を用いて不純物を除去する。遠心分離は各5分間9000rpmで4回行い沈殿物と溶液を分離し、その順序は以下の通りである。合成された沈殿物溶液を5分間9000rpm遠心分離を行う。溶液と沈殿物を分離した後、沈殿物をエタノールと3次蒸溜水1:1比率で等しく稀釈し、9000rpmで5分間行う。この過程を4回繰り返す。最終の遠心分離洗浄は蒸溜水だけ使用して稀釈した後、9000rpmで10分間遠心分離を行い沈殿物を得た。
【0037】
実施例:実施例1ないし8の金属相変換化合物
実施例1の合成
実験の基本条件として、全ての工程は常温(20℃)及び窒素雰囲気下で行われる。また、95%エタノールと3次蒸留水を使用し、純度95%以上の(水分含量5%以下、)PEPを使用する。NaOH水溶液は3.2Mであり3次蒸溜水で製造する。
【0038】
合成-洗浄-乾燥の順に以下のように実施する。タンク1にpalmitoly-GHK2.845gとエタノール30mlを投入した後、撹拌する。タンク2にZnO1g、3次蒸溜水5mL、エタノール15mLを投入した後、補助タンク1のconc.HCl溶液を主タンクに滴加しpH1(0.5<)以下で滴定し、窒素雰囲気下で500rpmで約30分撹拌し溶解する。
【0039】
その次に、タンク3の3.2MNaOH溶液を準備し、主タンクにタンク1、2、3の溶液を共に加えた後、主タンクのpHが6.5~7.5に維持されるように滴定し、主タンクを3時間700rpmで撹拌しながら沈澱反応を誘導し、pHは6.5~7.5に維持する。(全体の投入溶媒量はエタノール対比30%以上に維持する。)
【0040】
次に、沈殿物の洗浄過程で、前記溶液の未反応塩とイオン性物質を除去するため遠心分離機を用いて不純物を除去する。遠心分離は各5分間9000rpmで4回行い沈殿物と溶液を分離し、その順序は下記の通りである。合成された沈殿物溶液を5分間9000rpm遠心分離を行う。溶液と沈殿物を分離した後、沈殿物をエタノールと3次蒸溜水1:1比率で等しく稀釈した後、9000rpmで5分間行う。この過程を4回繰り返す。最終の遠心分離洗浄は蒸溜水だけ使用して稀釈した後、9000rpmで10分間の遠心分離を行い沈殿物を得る。合成に使用された化合物及び合成結果の詳細は下記の表1に示した。
【0041】
結晶形(Crystallinity)の比率は下記のような式により決定され、結晶形に係るグラフを図3に示した。
【0042】
[式1]
Decree of crystallinity(%)=
【数1】
【0043】
実施例2ないし5
常に実施例1の合成方法と同様な方法で、表1に示されたように実施例2ないし5の金属相変換化合物を合成した。合成結果も、下記の表1に示した。
【0044】
【表1】
(*PEP1:palmitoyl-GHK)
【0045】
従来の結晶形金属水酸化物複合体の場合、palmitoyl-GHKペプチドは最大40%まで含有され得た。しかしながら、前記実施例1ないし5から見ると、金属相変換化合物はペプチド含量が60%以上含まれたことで、活性成分含量の特徴が顕著に改善されたことを確認した。また、このために実験過程でエタノールの比率を調節して無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)を人為的に誘導し、その結果はXRD patternから確認できる。
【0046】
実施例6ないし8
含有量及びペプチドの種類などを表2に示した内容にしたことを除いては常時実施例1の合成方法と同様な方法で実施例6ないし8の金属相変換化合物を合成した。
【0047】
合成結果また、下記表2に記載した。
【0048】
【表2】
(*PEP2:palmitoyl-pentapeptide4
【0049】
従来の結晶形金属水酸化物複合体の場合、palmitoyl-pentapeptide4ペプチドは最大20%まで含有されることができた。しかしながら、前記実施例6ないし8から見ると、金属相変換化合物はペプチド含量が60%以上含まれたことで、活性成分含量の特徴が顕著に改善されたことを確認した。また、このために実験過程でエタノールの比率を調節して無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)を人為的に誘導し、その結果はXRD patternから確認できる。
【0050】
参照例:Zinc Layered hydroxideの製造方法
【0051】
Zn(NO・6HO5gをカーボネートイオン(CO 2-)が除去された3次蒸溜水に溶解した後、0.2MNaOHを使用してpHを6~7程度に滴定し亜鉛塩基性塩沈殿物を得た。前記滴定された溶液を遠心分離機で分離し、洗浄過程を経て未反応塩を除去し白色の粉末状2.6g(収率70%)を製造した。
【0052】
比較例:ペプチドを含む結晶性金属水酸化物の製造方法
【0053】
実験の基本条件として、全ての工程は常温(20℃)及び窒素雰囲気下で行われる。また、95%エタノールと3次蒸留水を使用し純度95%以上(水分含量5%以下、)のpeptideを使用する。NaOH水溶液は3.2Mであり、3次蒸溜水で製造する。
【0054】
本発明で使用されたペプチドはpalmitoyl GHKである。
【0055】
実験は合成-洗浄-乾燥の順に以下のように実施する。
【0056】
*106主タンクにZn(NO・6HO3gとエタノール25ml、3次蒸溜水25mlを投入した後、700rpmで約30分撹拌し溶解する。その次に、補助タンク1にpeptide0.58gとエタノール20ml3次蒸溜水10mlを溶解した後、主タンクに投入して(全体の投入溶媒量はZn投入対比25volume)300rpmで約5分撹拌し溶解する。主タンクの撹拌速度を維持しながら、補助タンク2の3.2MNaOH溶液を主タンクに加えた後、主タンクのpHが6.5~7.5に維持されるように滴定し、主タンクを3時間撹拌しながら沈澱反応を誘導し、pHは6.5~7.5に維持する。
【0057】
次に、沈殿物の洗浄過程であって、前記溶液の未反応塩とイオン性物質を除去するため遠心分離機を用いて不純物を除去する。遠心分離は各5分間8000rpmで3回行い 沈殿物と溶液を分離し、その順序は下記の通りである。合成された沈殿物溶液を5分間8000rpm遠心分離を行う。溶液と沈殿物を分離した後、沈殿物をエタノールと3次蒸溜水を体積比で1:1に等しく稀釈した後、8000rpmで5分間行う。この過程を3回繰り返す。最終の遠心分離洗浄はエタノールだけ使用して稀釈した後、9000rpmで10分間遠心分離を行った後、沈殿物を得た。
【0058】
前記比較例の1単位体内に含まれているペプチドの含量は20%であることを確認し、そのXRDグラフは図14に示した。
【0059】
実験例1:金属化合物のXRDピークの測定
機器:PowderX-ray Diffraction(PXRD)
X-ray diffractometer(D/MAXPRINT2200-Ultima、Rigaku、Japan)
Cu-Kα radiation(λ=1.5418Å)
チューブ電圧(tube voltage)40kV、電流30mA
X-ray diffractometerはRigaku(Japan)社のD/MAXPRINT2200-Ultimaを用いて測定した。X線を発生させる陰極はCu金属を使用し、Kα線(λ=1.5418Å)で測定範囲は2θ=3~70°、scanning speed:0.02°/0.2sec、divergence slit、scattering slit、そしてreceiving slitは各々0.1、1、そして1mmに測定した。チューブ電圧(tube voltage)は40kV、電流30mAをかけた。
【0060】
-評価基準
z軸に対するone-dimensional(1D)electron densityは以下の方程式により計算される。
【0061】
[方程式1]
【数2】
【0062】
合成により得たパウダーをXRD回折パターンを通じて比較分析し、それによる層間距離をブラッグの式(Bragg’s equation;下記方程式2)により計算した。最前に位置したpeakの場合、合成した金属化合物の層と陰イオンが存在する層の距離を含む層間距離を示し、主要層間距離といえる。
【0063】
[方程式2]
nλ=2dsinθ
(λ=X線の波長、d=結晶の格子間隔、θ=入射角)
【0064】
測定されたXRD patternは図4ないし図10に記載した。
【0065】
図4ないし図10からみると、15ないし25°で広いピークが形成されることが確認できる。つまり、本発明の金属相変換化合物は、各単位体内の無定形-結晶質(co Amorphous-Crystalline)を人為的に誘導したことを確認可能であり、これは前記XRD patternを通して確認できる。
【0066】
具体的に、図6の粉末-X線回折パターンが回折角(2θ)は7.02±1°、8.36±1°、19.78±6°、20.66±1°、33.3±5°、47.43±1°、59.33±5°、69.5±1°及び76.5±1°のピーク値を含み、、より具体的に、7.02±1°、8.36±1°、19.78±1°、20.66±1°、33.3±1°、47.43±1°、59.33±1°、69.5±1°及び76.5±1°のピークを有し、15~25°範囲で広い範囲のピークを形成することである。
【0067】
具体的に、図7の粉末-X線回折パターンが、回折角(2θ)は18.86±1°、19.81±6°、33.3±5°、59.12±5°及び69.37±1°のピーク値を含み、より具体的に、18.86±1°、19.81±1°、33.3±1°、59.12±1°及び69.37±1°のピークを有し、15~25°範囲で広い範囲のピークを形成することである。
【0068】
具体的に、図8の粉末-X線回折パターンが、回折角(2θ)は4.87±1°、9.29±1°、21.25±6°、33.086±5°、59.15±5°及び69.30±1°のピーク値を含み、より具体的に、4.87±1°、9.29±1°、21.25±1°、33.086±1°、59.15±1°及び69.30±1°のピークを有し、15~25°範囲で広い範囲のピークを形成することである。
【0069】
具体的に、図9の粉末-X線回折パターンが、回折角(2θ)は8.4±1°、19.57±6°、33.155±5°、59.19±5°及び69.46±1°のピーク値を含み、より具体的に、8.4±1°、19.57±1°、33.155±1°、59.19±1°及び69. 46±1°のピークを有し、15~25°範囲で広い範囲のピークを形成することである。
【0070】
具体的に、図10の粉末-X線回折パターンが、回折角(2θ)は3.97±1°、20.43±6°、33.196±5°及び59.21±5°のピーク値を含み、より具体的に、3.97±1°、20.43±1°、33.196±1°及び59.21±1°のピークを有し、15~25°範囲で広い範囲のピークを形成することである。
【0071】
実験例2:SEM-EDX(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectrometer)
SEM-EDX(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectrometer)に用いられた機器はField Emission Scanning Electron Microscope(JEOL-7610F-Plus)を用い、ナノ構造の素材及び素子構造の分析とイメ-ジングする分析装置である。
【0072】
1. Performance
1)Resolution:0.8nm(15kV)
1.0nm(1kV GB mode)
3.0nm(15kV、PC5nA、WD8mm)
2)Magnification:Direct x25 to x1、000、000
Display x75 to 3、000、000
3)Accelerating voltage:0.01kV to 30kV
4)Probe current:A few pA to≧200nA
2.Electron Gun
1)Type:In-lens Schottky FE-Electron Gun
2)Electron detector system:Upper detector
r-filter、Built-in、Lower detector
3)EDS(Energy Dispersive Spectrometry):X-rayを用いた成分の定性/定量分析
【0073】
実施例3の金属相変換化合物のSEM-EDXを測定し、その結果を図15及び表3に示した。
【0074】
【表3】
【0075】
実験例3:金属相変換化合物及びペプチド(palGHK)の粒子の大きさ及び弱酸性溶媒内の濃度差による溶解(または分散)の確認実験
【0076】
<実験方法>
1. 粒度(particlesize)評価
機器:Zetasizer NanoZS90
dispersant agent:water
dispersant RI:1.330
cell:disposable cell
runs counts:20
Temperature:25℃
【0077】
粉末の粒子大きさに対し、電気泳動光散乱を用いるMalvernPanalticalT社の(UK)Zetasizerにより測定し、モデル名NANO ZS ZS90を使用して試料を3次蒸溜水に分散した後、粒子の大きさを測定した。
【0078】
DLS分析結果、透過したペプチドは、500ppmで平均13.09nmサイズ、1000ppmで12.18nmを示し、DLS分析結果、透過した本発明のペプチドが含まれている金属相変換化合物は、500ppmで平均247.6nm、1000ppmで256nmを示した。評価結果は図16ないし19に示した。
【0079】
2. 分散性評価
PVDF0.45μmフィルター使用。
24時間撹拌しながらHPLC測定。
体内温度と類似する温度条件(38℃)の維持。
溶媒はpH4.5bufferとして同一であり、サンプル原料のペプチド含量を基準として500、1000ppmで進行。
金属化合物内のpeptide含量(約71%)を基準として濃度計算。
ペプチド(palGHK)内のpeptide含量(約83%)を基準として濃度計算。
【0080】
前記方法で分散性を評価した結果は、下記の表4に示した。
【0081】
【表4】
【0082】
実験の結果、ペプチドは弱酸性(pH4.5)で粒子のサイズが減少し、12時間まで500ppmは約35%、1000ppmは約47%のフィルター透過が最高に増加することが見られたが、その以降減少する傾向が予測された。一方、本発明のペプチドが含まれている金属相変換化合物は弱酸性(pH4.5)で粒子のサイズが減少し、12時間まで全体の粒子のサイズが減少し、500ppmは約56%、1000ppmは66%のフィルター透過が最高に増加することが明らかになった。前記DLS分析において、透過したペプチドが透過した本発明の金属相変換化合物より粒子のサイズがより小さい反面、実質的にフィルターを透過する粒子は本発明の金属相変換化合物がより多いことから、本発明の金属相変換化合物の効率性がさらに優れていると予測される。
【0083】
実験例4:FE-SEM analysis、走査電子顕微鏡写真(Field Emission Scanning Electron Microscope)による評価
実施例3により合成された粉末を走査顕微鏡撮影した結果、図21のように数十ナノメーターないし数百マイクロメーター(μm)の大きさを有する金属相変換化合物が形成されることを確認した。前記図21を基準として10倍率をさらに拡大すると、図22及び図23のような粒子を確認できる。図22及び23からみても本発明の金属相変換化合物は小さい粒子がかたまって形成されていることが確認できる。図21を基準として20倍率をさらに拡大すると図24、100倍率をさらに拡大すると図25と同一である。特に、これを最大に拡大した図25をみると、丸い形状の小さい粒子がかたまっている形態を確認できる。これは先に実験された分散度実験と関係があり、たとえ金属相変換化合物の粒子のサイズが数十マイクロ以上の大きさを有するとしても、pHに感応する本複合体を特定のpH条件下で0.45マイクロメーター(450ナノメーター)フィルターを処理する場合、より多くの粒子が通過した結果を確認でき、これは金属相変換化合物の粒子大きさの調節が容易であることが確認できることである。
【0084】
実験例5:TEM analysis、透過電子顕微鏡写真(Transmission Electron Microscope)による評価
電子ビームを生成し試料に透過させて各種物質の内部/結晶構造を観察、イメージ化し、化学成分を分析する装置による本発明の実施例3の金属相変換化合物の電子顕微鏡写真である。
【0085】
機器構成
-Electron Gun Type:Schottky Field Emission Gun
-Resolution:0.23nm(at TEM)/0.19nm(at STEM)
-Magnification:x20 to x2.0M(at TEM)/x100 to x150M(at STEM)
-Accelerating Voltage:80/120/200Kv
-Tilt Angle:±30°
【0086】
前記電子顕微鏡で実施例3により合成された金属相変換化合物の構造を測定し、その結果を図26ないし29に示した。図26及び27を参考すると、本発明の相変化金属化合物は小さい粒子が集まって一つの大きい粒子を形成することを確認できる。また、図27は粒子をさらに拡大したものであり、小さい粒子が積層されて粒子を形成することが見られる。これに加え、粒子の大きさをさらに拡大した図28及び29を参考すると、amorphous形質では陰影が明確に観察され、結晶質がある部分では層状構造または格子縞の特徴が現れることが見られ、本発明の金属相変換化合物は無定形及び結晶形が混在されている化合物に該当することを確認できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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