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特許7196336エアバッグインフレータベースを封止するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】エアバッグインフレータベースを封止するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20221219BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B60R21/264
B29C65/70
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021564910
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 US2020029389
(87)【国際公開番号】W WO2020223089
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】16/400,889
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、アラン アール.
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0127649(US,A1)
【文献】特開2015-157586(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180018(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/70
B60R 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(102)と、
前記ベース(102)内に少なくとも部分的に配置されたイニシエータ(110)と、
前記ベース(102)を前記イニシエータ(110)に結合するオーバーモールド(130)と、
基材(152)及び接着剤(154)を含む膜封止部(150)と、を含む、密封エアバッグインフレータ(30)において、
前記膜封止部(150)は、前記接着剤(154)を介して前記ベース(102)の外表面に結合され、前記基材(152)は、前記オーバーモールド(130)に結合されて、前記膜封止部(150)が前記ベース(102)と前記オーバーモールド(130)との間に封止部を形成していることを特徴とする、密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項2】
組み立て中に、前記基材(152)が、前記ベース(102)と前記オーバーモールド(130)との間で少なくとも部分的に溶融し、再凝固して前記オーバーモールド(130)と接合する、請求項1に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項3】
前記ベース(102)と前記オーバーモールド(130)との間の前記封止部が、前記密封エアバッグインフレータ(30)の外部から前記密封エアバッグインフレータ(30)の内部へのガス又は液体の通過を阻止する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項4】
前記ベース(102)と前記オーバーモールド(130)との間の前記封止部は、前記ベース(102)と前記オーバーモールド(130)との間のガス又は液体の通過を阻止する、請求項1から3のいずれか一項に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項5】
前記接着剤(154)が、好適な熱接合フィルム、コンタクト接合フィルム、又はこれらの組み合わせから形成される接着フィルムである、請求項1から4のいずれか一項に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項6】
前記ベース(102)は、開口(106)を有し、前記イニシエータ(110)は、前記開口(106)を少なくとも部分的に通って配置され、前記オーバーモールド(130)は、前記ベース(102)と前記イニシエータ(110)との間に配置されて、前記開口(106)において前記ベース(102)及び前記イニシエータ(110)に結合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項7】
前記オーバーモールド(130)の一部は、溶融して前記オーバーモールド(130)が前記開口(106)を部分的に充填するように構成されている、請求項6に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項8】
前記オーバーモールド(130)の前記一部の溶融後、前記オーバーモールド(130)が前記ベース(102)と前記イニシエータ(110)との間に封止部を形成する、請求項7に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項9】
前記ベース(102)と前記イニシエータ(110)との間の前記封止部は、前記密封エアバッグインフレータ(30)の外部から前記密封エアバッグインフレータ(30)の内部への、前記ベース(102)と前記イニシエータ(110)との間でのガス又は液体の通過を阻止する、請求項8に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項10】
前記基材(152)と前記オーバーモールド(130)との間に固相接合を更に含み、前記密封エアバッグインフレータ(30)の内部と前記密封エアバッグインフレータ(30)の外部との間に封止部が形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項11】
前記密封エアバッグインフレータ(30)の内部と前記密封エアバッグインフレータ(30)の外部との間の前記封止部が、前記密封エアバッグインフレータ(30)の外部から前記密封エアバッグインフレータ(30)の内部へのガス又は液体の通過を阻止する、請求項10に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項12】
前記オーバーモールド(130)は、熱可塑性ナイロンから形成され、前記基材(152)は、前記熱可塑性ナイロンと適合するナイロンから形成されたポリマー基材である、請求項1から11のいずれか一項に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【請求項13】
前記膜封止部(150)は、電気コネクタソケット108を露出させるコネクタポケット104を囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の密封エアバッグインフレータ(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、衝突事象に応答して展開するように構成されたエアバッグシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本実施形態は、添付図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるであろう。添付図面が、典型的な実施形態のみを図示しており、したがって本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解した上で、実施形態は、添付図面を参照して、具体的にかつ詳細に記載され説明される。
【0003】
図1図1は、本開示の実施形態に係る、膨張式エアバッグアセンブリを有する車両のステアリングホイールアセンブリの斜視図である。
【0004】
図2図2は、本開示の実施形態に係る、エアバッグと、封止システムを有するインフレータの背面斜視図である。
【0005】
図3図3は、本開示の一実施形態に係る、図2の線3-3に沿った図2のインフレータの断面図である。
【0006】
図4A図4Aは、本開示の実施形態に係る、封止システムの膜封止部の分解斜視図である。
【0007】
図4B図4Bは、図4Aの膜封止部の斜視図である。
【0008】
図5A図5Aは、本開示の実施形態に係る、封止システムの部分分解斜視図である。
【0009】
図5B図5Bは、インフレータベースに結合された図5Aの封止システムの斜視図である。
【0010】
図6図6は、本開示の実施形態に係る、インフレータベースに結合された膜封止部と、イニシエータと、を含む封止システムの部分側断面図である。
【0011】
図7A図7Aは、図6の線7に沿った、膜封止部を有さないインフレータベース及びイニシエータの一部の詳細断面図である。
【0012】
図7B図7Bは、図6の線7に沿った、膜封止部を有するインフレータベース及びイニシエータの一部の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の図面において全体的に記載され図示されている実施形態の構成要素が多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることは、容易に理解されよう。よって、図面に示すような様々な実施形態に関する以下のより詳細な説明は、特許請求されるような本開示の範囲を限定することを意図したものではなく、単に様々な実施形態を表すものである。実施形態の様々な態様が図面に示されているが、図面は、特段に示されない限り、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない。
【0014】
膨張式エアバッグアセンブリは、衝突事象中の乗員の怪我を低減又は最小化するために広く使用されている。エアバッグモジュールは、ステアリングホイール内、ダッシュボード及び/又は計器パネル内、車両のルーフレールに隣接するサイドドア又はサイドシート内、頭上位置、又は膝若しくは脚位置を含むがこれらに限定されない、車両内の様々な箇所に設置されている。
【0015】
取り付け時には、エアバッグは、典型的には、パッケージ化された状態で(例えば、巻かれた状態で、折り畳まれた状態で、及び/又は、他のやり方で圧縮された状態で)、すなわち、コンパクトな構成で、ハウジングの内部に配置され、カバーの背後にパッケージ化された状態で保持され得る。衝突事象中、インフレータがトリガされ、これにより、エアバッグが膨張ガスで急速に充填される。エアバッグは、パッケージ化された状態(例えば、コンパクトな構成)から、展開状態へと、すなわち膨張した構成へと、急速に移行することができる。インフレータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされてもよく、また、トリガは、1つ以上の車両センサに応答するもの及び/又はそのような車両センサによって影響を受けるものであってもよい。
【0016】
典型的なイニシエータは複数の導電体を含んでもよく、この導電体は、電気パルスを火薬に伝えて、火薬を燃焼させることができる。火薬の燃焼は中継火薬の燃焼を引き起こし得て、中継火薬の燃焼は、次に、推進薬ペレットの燃焼を開始させ得る。推進薬ペレットの燃焼によって、インフレータのハウジング内のフィルタ及び複数のポートを通って方向付けられ得るある体積のガスを生成することができ、それにより、膨張ガスは、エアバッグが急速に膨張して展開するようにエアバッグ内に方向付けられてもよい。
【0017】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、エアバッグアセンブリが設置される車両の電気ハーネスにイニシエータが結合され得るエアバッグインフレータベースの開口で改善した封止を提供することができる。本開示の一実施形態は、エアバッグインフレータベースの内部空間と外部環境との間に気密封止部などの封止部を形成して、ガス(例えば、空気)又は液体(例えば、水分)が外部環境からエアバッグインフレータベースの内部空間内に入ることを制限又は防止することができる。ガス又は液体がインフレータベースの内部空間に入ることを防止することにより、火薬、中継火薬、推進薬、フィルタ等にとって化学的により安定な環境を可能にして、インフレータの耐久性と信頼できる性能を提供することができ得る。
【0018】
図1は、膨張式エアバッグアセンブリ20を有する車両のステアリングホイールアセンブリ10の斜視図である。ステアリングホイールアセンブリ10は、ステアリングコラム12とステアリングホイール14とを含むことができる。膨張式エアバッグアセンブリ20は、膨張式クッション22とインフレータ30とを含むことができる。膨張式エアバッグは、車両の車室内にて、ステアリングホイール14(又は他の構成要素)内のハウジング内にパッケージ化された状態で配置されてもよく、ハウジングから展開状態に展開して、乗員を保護してもよい。
【0019】
図2は、封止システム100を含むインフレータ30の背面斜視図である。膨張式クッション22は、参照のために、少なくとも部分的に膨張した状態で示されている。インフレータ30はインフレータベース102を含むことができ、インフレータベース102はコネクタポケット104を含むことができる。コネクタポケット104は、イニシエータ開口を更に含むことができる(図示せず、だが、例えば図3のイニシエータ開口106を参照)。オーバーモールド130(例えば、ポリマーオーバーモールド130)は、コネクタポケット104及び/又はイニシエータ開口106において、又はそれに隣接して、インフレータ30を通ってインフレータ30に結合され得る。いくつかの実施形態では、オーバーモールド130は、インフレータベース102及び電気コネクタソケット108に、例えばインフレータベース102及び電気コネクタソケット108のそれぞれとの間の位置に結合することができる。イニシエータ(例えば、図3のイニシエータ110を参照)は、電気コネクタソケット108に結合されてもよい。イニシエータ110の2つの導電体122が、参照のために示されている。他の実施形態では、電気コネクタソケット108は、イニシエータ110に結合された別の好適な数の導電体(例えば、1つ、3つ、4つなど)を含んでもよい。図示するように、膜封止部150が、ポリマーオーバーモールド130及び/又はインフレータベース102の少なくとも一部に結合されてもよい。例えば、膜封止部150は、オーバーモールド130及びインフレータベース102のそれぞれとの間の位置で結合されてもよい。
【0020】
図3は、図2の線3-3に沿ったインフレータ30の断面図である。インフレータ30は、イニシエータ110と、二次火薬装填物114とを含むことができる。イニシエータ110は、一次火薬装填物112、二次火薬装填物114、及び/又は導電体122を含んでもよい。衝突事象において、電気信号が、導電体122を介して、イニシエータ110にパスされるか、又は送信されてもよい。電気信号は、一次火薬装填物112を点火するように、導電体122の遠位端を横切るブリッジワイヤを通過してもよい。次いで、一次火薬装填物112は、二次火薬装填物114を点火してもよく、これにより次に、ガス発生反応物116を点火してもよい。イニシエータ110は、少なくとも部分的に、オーバーモールド130の少なくとも一部によって、インフレータベース102の二次火薬装填物114に結合(例えば、固定的に結合)されてもよい。
【0021】
オーバーモールド130はまた、電気コネクタソケット108の少なくとも一部を形成して、イニシエータ110の導電体122を電気コネクタ(図示せず)に結合してもよい。膜封止部150は、インフレータベース102の外表面103の少なくとも一部に結合されてもよく、コネクタポケット104の少なくとも一部を取り囲むか、又はその周囲に配置されて、オーバーモールド130の少なくとも一部とインフレータベース102との間に結合してもよい。図示のように、膜封止部150は、インフレータベース102のコネクタポケット104及びオーバーモールド130のそれぞれとの間に少なくとも部分的に配置される。
【0022】
図1図3のインフレータ30は、一般にディスク型インフレータと呼ばれるスタイルのものであるが、本開示は、任意の種類のエアバッグについての他の種類のインフレータ(例えば、チューブ状インフレータ)と共に使用してもよい。更に、本開示はイニシエータを有するインフレータを指すが、2つ以上のイニシエータを有するインフレータもまた、本開示の範囲内である。
【0023】
図4Aは、封止システム100の膜封止部150の分解図を示す。膜封止部150は、基材152(例えば、ポリマー基材152)及び接合フィルム又は接着フィルム154を含むことができる。ポリマー基材152は、PA6ナイロンフィルムなどのポリアミド(ナイロン)部材、又は他の熱可塑性材料若しくは熱硬化性材料のうちの1つ以上から形成され得る。ポリマー基材152を形成するための他の好適な材料もまた、本開示の範囲内である。接着フィルム154は、高強度の可撓性ニトリルフェノール系熱可塑性接合フィルム、又は任意の他の好適な接着性熱接合若しくは圧縮接合材で形成されてもよいが、これらに限定されない。ポリマー基材152及び接着フィルム154は、環状又はリング様の形状で形成されてもよく、ポリマー基材152及び接着フィルム154は、同様の外径を有してもよい。ポリマー基材152は、インフレータベース102に結合する前に、平らに、又は予備成形され(例えば、図4Aに示すように形づくられ)てもよい。ポリマー基材152及び接着フィルム154はともに結合されて、外径が位置合わせされるか、又は実質的に位置合わせされて、膜封止部150を形成してもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー基材152及び接着フィルム154の外径は異なってもよい。例えば、ポリマー基材152の外径が、接着フィルム154の外径よりも大きくてもよい。
【0024】
図4Bは、封止システム100の膜封止部150の斜視図である。図示のように、ポリマー基材152及び接着フィルム154は、ポリマー基材152及び接着フィルム154の外径が実質的に位置合わせされるように結合された構成で一緒に結合されている。接着フィルム154の接着面は、接着フィルム154及びポリマー基材152を結合して、膜封止部150を形成してもよい。更に、接着フィルム152の接着面は、インフレータベースに更に結合又は設置されるまで、膜封止部150を単一又は一体型の構成要素として維持するのを補助してもよい(例えば、図5A及び図5Bのインフレータベース102を参照)。膜封止部150は、中央開口部又は開口を含む。膜封止部150の中央開口部又は開口は、コネクタポケット104及び/又はインフレータベース102のイニシエータ開口106と位置合わせ、適合、及び/又は他の方法で対応するように構成されてもよい。(図3図5を参照)更に、膜封止部150の中央開口部又は開口は、イニシエータ110のオーバーモールド130を取り囲む、それに適合する、又は別の方法で対応するように構成されてもよい。
【0025】
図5Aは、封止システム100の部分分解斜視図である。接着フィルム154に結合されたポリマー基材152を含む膜封止部150は、インフレータベース102に結合可能であってもよく、又は結合するように構成されてもよい。膜封止部150は、コネクタポケット104と同心円状に、又は実質的に同心円状に位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、接着フィルム154をインフレータベース102の少なくとも一部と結合させて(例えば、押圧して)、次にポリマー基材152が接着フィルム154に適用されてもよい。接着フィルム154は、(ポリマー基材152の適用前又は適用後のいずれかで)加熱又は再加熱して、接着フィルム154をインフレータベース102に接合するか、又は少なくとも部分的に接合してもよい。一例として、一実施形態では、ポリマー基材152は、コンタクト接着手段によってインフレータベース102に接着されてもよい。一実施形態では、インフレータベース102を加熱して、ポリマー基材152がインフレータベース102に接着するようにしてもよい。一実施形態では、成形プロセスを採用して、クランプ力及び加熱を組み合わせることで、ポリマー基材152にインフレータベース102に接着してもよい。
【0026】
図5Bは、インフレータベース102上に組み立てられたか、又はインフレータベース102に結合された、封止システム100の斜視図である。膜封止部150がインフレータベース102に結合された状態で、ポリマー基材152及び接着フィルム154を、互いに同心円状に、又は実質的に同心状に配置してもよい。更に、ポリマー基材152及び接着フィルム154は、インフレータベース102のコネクタポケット104に対して、同心円状に、又は実質的に同心円状に配置してもよい。
【0027】
図6は、インフレータベース102及びイニシエータ110上に組み立てられたか、又はそれらに結合された、膜封止部150の側断面図である。一次火薬装填物112、二次火薬装填物114、及びイニシエータ110の導電体122が、参照のために示されている。図示するように、イニシエータ110は、コネクタポケット104、イニシエータ開口106、及び膜封止部150の中央開口部又は開口に、部分的に配置されているか、又はそれを通過している。オーバーモールド130は、熱を加えることで(例えば、射出成型によって)インフレータベース102上に組み立てられるか、又はインフレータベース102に結合することができ、それにより、膜封止部150をインフレータベース102に結合し、イニシエータ110をコネクタポケット104及びイニシエータ開口106内に配置又は固定することができる。オーバーモールド130をインフレータベース102に組み付けるために使用される射出成形は、接着フィルム154を溶融させるか、又は少なくとも部分的に溶融させて、インフレータベース102の表面及びポリマー基材152に接合を形成することができる。加えて、オーバーモールド130の射出成形により、ポリマー基材152を溶融させるか、又は少なくとも部分的に溶融させて、ポリマー基材152の少なくとも一部とオーバーモールド130の少なくとも一部との間に接合(例えば、固相接合)を形成させることができる。
【0028】
オーバーモールド130は、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、又はポリメチルメタクリレート(PMMA)などのエンジニアリング熱可塑性ナイロンから形成されてもよい。ポリマー基材(図5A図7B中の152を参照)は、オーバーモールド130の特定のエンジニアリング熱可塑性ナイロンに適合するナイロンで形成されてもよい。非限定的な例として、ABS製のオーバーモールド130は、ABS、ABS/PC、PMMA、又はスチレンアクリロニトリル(SAN)製のポリマー基材152と結合されてもよい。同様に、PC製のオーバーモールド130は、ABS/PC、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、PC、PC/PBT、又はPMMA製のポリマー基材152と結合されてもよい。同様に、PMMA製のオーバーモールド130は、ABS、ABS/PC、PC、PC/PBT、PMMA、又はSAN製のポリマー基材152と結合されてもよい。他の材料の組み合わせもまた、本開示によって企図される。
【0029】
図7Aは、図6の封止システムを有さないイニシエータ-インフレータアセンブリ100の一部の詳細断面図である。図7Aに示す領域は、図6の線7によって特定されている。イニシエータ110、一次火薬装填物112、二次火薬装填物114、及びイニシエータ110の導電体122が参照のために示されている。オーバーモールド130は、イニシエータ110をコネクタポケット104及びイニシエータ開口106内に固定的に配置するために用いられてもよい。本開示の膜封止部150がないと、矢印140で示すガス及び/又は液体(例えば、空気及び/又は水分)の漏れが存在し得る。図示するように、漏れ140は、オーバーモールド130とインフレータベース102との間の境界面に沿って広がることもあり、又はそれに沿って通ることもある。エアバッグインフレータの内部に流入するか又は入ることができる任意のガス及び/又は液体は、エアバッグインフレータの適切な動作に干渉し得る。
【0030】
図7Bは、封止システム100の一部の詳細断面図である。一次火薬装填物112、二次火薬装填物114、及びイニシエータ110の導電体122が、参照のために示されている。イニシエータ110の少なくとも一部を、コネクタポケット104及びインフレータベース102のイニシエータ開口106を通って配置することができる。膜封止部150は、コネクタポケット104の周囲にて同心円状に、又は実質的に同心円状に配置されてもよく、インフレータベース102の外表面103の一部とオーバーモールド130の一部との間に結合されてもよい。別の言い方をすれば、膜封止部150は、位置決めされ、次に熱成形プロセスを介して接合されたときに、膜封止部150がイニシエータ開口106及び/又はイニシエータ110を少なくとも部分的に取り囲むように配置されてもよい。
【0031】
オーバーモールド130は、インフレータベース102及びイニシエータ110の少なくとも一部の上に組み立てられるか、又は結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーオーバーモールド130は、インフレータベース102に結合され得る。射出成形プロセスは、膜封止部150のポリマー基材152の少なくとも一部分を溶融させ、溶融することにより、ポリマー基材152とオーバーモールド130との間に接合(例えば、固相接合)を形成することができる。射出成形プロセスはまた、接着フィルム154の少なくとも一部分を溶融させるか、結果的に溶融し、それによって接着フィルム154とポリマー基材152との間に接合を形成し、及び/又は接着フィルム154とインフレータベース102の表面との間に接合を形成し得る。接合は、外部環境とインフレータ内に封入された内部領域との間に封止を創出、形成、又は生成し得る(例えば、図2及び図3のインフレータ30を参照)。様々な実施形態において、接合は、外部環境とインフレータ30の内部との間に封止部(例えば、気密封止部)を創出、形成、又は生成若しくは形成してもよく、それによって、ガス及び/又は液体がインフレータ30の内部に入るのを防止又は制限することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、封止部は、ガス(例えば、空気)の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗し得る。特定の実施形態では、封止部は、液体(例えば、水分又は水)の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗し得る。封止部は、インフレータの内部からインフレータの外部への物体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗し得る。封止部は、インフレータの外部からインフレータの内部への物体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗し得る。
【0033】
封止部は、液体中に所定の深さ(例えば、1メートル、2メートル、3メートルなど)まで浸水可能であってもよく、インフレータの外部からインフレータの内部への液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗し得る。様々な実施形態において、封止部は、ある期間(例えば、1時間、1日、1週間など)にわたって、液体中に浸水可能であってもよく、封止を維持し得る。封止部は、ガス及び/又は液体が、ベースとオーバーモールド及び/又はイニシエータとの間に配置された空間を通ってインフレータに入ることを阻止、防止、又はそれに抵抗するように構成されてもよい。更なる例として、封止部の性質は、ヘリウムトレーサーリークテストがテスト実施形態に対して採用され得るようなものであってもよい。ヘリウムトレーサーリークテストは、ヘリウムを、組み立てられて別の方法で封止されたインフレータベース及びディフューザ内に注入することでヘリウムをインフレータベース/ディフューザアセンブリ内に閉じ込めて、真空を外部から適用することを含む。インフレータベース/ディフューザアセンブリの外部へのヘリウムの透過が測定される。封止部を通るヘリウムの目標透過率は、20℃でのインフレータ内部のヘリウム濃度100%の標準ATMで、毎秒0.0001立方センチメートル未満であってもよい。
【0034】
他の実施形態では、オーバーモールドされたナイロンとナイロン基材との間に形成される封止部は、溶融接合であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、密封エアバッグインフレータは、ベース、ベース内に部分的に配置されたイニシエータ、ベースをイニシエータに結合するオーバーモールド、並びに/又は基材及び接着フィルムを含む膜封止部を含んでもよく、膜封止部は、接着フィルムを介してベースに結合され、基材は、オーバーモールドに結合されて、膜封止部がベースとオーバーモールドとの間で封止部を形成している。ベースとオーバーモールドとの間の封止部は、密封エアバッグインフレータの外部から密封エアバッグインフレータの内部へのガス及び/又は液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗し得る。例えば、ベースとオーバーモールドとの間の封止部は、ベースとオーバーモールドとの間のガス及び/又は液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗することができる。
【0036】
特定の実施形態では、接着フィルムは、ベースの外表面に結合してもよい。ベースは開口を含んで、イニシエータが開口を通って配置されてもよく、オーバーモールドは、ベースとイニシエータとの間に配置されて、開口においてベース及びイニシエータに結合される。オーバーモールドの一部は溶融するように構成されることができ、オーバーモールドが開口を部分的に充填してもよい。更に、オーバーモールドの一部が溶融すると、オーバーモールドがベースとイニシエータとの間に封止部を形成することができる。ベースとイニシエータとの間の封止部は、密封エアバッグインフレータの外部から密封エアバッグインフレータの内部への、ベースとイニシエータとの間でのガス及び/又は液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗することができる。
【0037】
密封エアバッグインフレータは、接着フィルムとベースとの間に接合を更に含んでもよい。密封エアバッグインフレータは、基材とオーバーモールドとの間に固相接合を更に含んでもよい。更に、接合及び固相接合は、密封エアバッグインフレータの内部と密封エアバッグインフレータの外部との間に封止部を形成することができる。密封エアバッグインフレータの内部と密封エアバッグインフレータの外部との間の封止部は、密封エアバッグインフレータの外部から密封エアバッグインフレータの内部へのガス及び/又は液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗することができる。
【0038】
オーバーモールドは、例えばナイロンなどの少なくとも1つの熱可塑性材料又は熱硬化性材料から形成されてもよい。基材は、ポリアミド又は別の熱可塑性材料若しくは熱硬化性材料のうちの少なくとも1つから形成されたポリマー基材であってもよい。接着フィルムは、熱接合フィルム及びコンタクト接合フィルム、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから形成されてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、エアバッグインフレータ用の膜封止部は、基材と、基材に結合された接着フィルムとを含んでもよく、膜封止部は、エアバッグインフレータのベースの一部に結合される。更に、膜封止部がベースに結合されると、接着フィルムは膜封止部をベースの外表面に結合して、膜封止部がエアバッグインフレータのベースの開口の少なくとも一部の周囲に配置され得る。開口は、イニシエータの一部を受容することができる。
【0040】
接着フィルムは、ベースに結合されると、ベースへの接合を形成してもよい。基材は溶融可能であって、基材をベースに結合する間、基材がオーバーモールドと固相接合を形成して、イニシエータをベースに結合してもよい。更に、ベースと接着フィルムとの間の接合、及び基材とオーバーモールドとの間の固相接合は、インフレータの内部とインフレータの外部との間に封止部を形成することができる。例えば、インフレータの内部とインフレータの外部との間の封止部は、インフレータの外部からインフレータの内部への、インフレータのベースとコネクタのオーバーモールドとの間でのガス及び/又は液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗することができる。
【0041】
様々な実施形態において、基材及び接着フィルムは、環状、正方形、三角形、又は非従来的な形状であってもよい。基材及び/又は接着フィルムの他の好適な形状もまた、本開示の範囲内である。開口又は開口部が、基材及び接着フィルムのそれぞれの中間部の間に延びていてもよい。
いくつかの実施形態では、イニシエータが通過するエアバッグインフレータベースの開口を封止する方法は、(i)エアバッグインフレータベースの開口の少なくとも一部の周囲に、膜封止部の接着フィルムを結合することと、(ii)エアバッグインフレータベースの表面とオーバーモールドとの間に膜封止部の基材を結合することであって、基材及びオーバーモールドが、イニシエータをエアバッグインフレータベースにオーバーモールドを介して結合する間に少なくとも部分的に溶融して、基材及びオーバーモールドが固相接合を形成する、結合することと、(iii)エアバッグインフレータベースと接着フィルムとの間に接合を形成することと、を含んでもよい。接着フィルムとエアバッグインフレータベースとの間の接合、及び基材とオーバーモールドとの間の固相接合は、開口において封止部を形成することができる。特定の実施形態では、開口における封止部は、気密封止部であり得る。更に、開口における封止部は、エアバッグインフレータの外部からエアバッグインフレータの内部へのガス及び/又は液体の通過を阻止、防止、又はそれに抵抗することができる。特定の実施形態では、接合を形成することは、膜封止部を加熱及び冷却することを含む。特定の実施形態では、接合を形成することは、エアバッグインフレータベースへの組み付け中に、膜封止部をエアバッグインフレータベースに対して押し付けて、接着フィルムをエアバッグインフレータベースに接着接合させることを含む。特定の実施形態では、接合を形成することは、エアバッグインフレータベースを加熱して膜封止部を誘導加熱することで、接着フィルムをエアバッグインフレータベースに接合することを含む。特定の実施形態では、接合を形成することは、組み立て中に、膜封止部をエアバッグインフレータベースに結合することを含み、オーバーモールドはエアバッグインフレータベースに対して射出形成することで、クランプ力及び熱を加えて、膜封止部をエアバッグインフレータベース及びオーバーモールドに接合することを含む。
【0042】
本明細書全体を通して、「結合する」(~に接合する、~で接合する、~と接合する等を含む)とは、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含む、2つ以上の物体間の、任意の形態での相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接していなくても、互いに結合され得る。
【0043】
「a」及び「an」という用語は、単数として記載し得るが、単数に限定されるものではない。例えば、本開示は、イニシエータを有するインフレータを記載し得るが、本開示はまた、インフレータが2つ以上のイニシエータを有することができることも企図する。
【0044】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体を通して記載される引用語句、又はその変形は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではない。
【0045】
同様に、上記の実施形態の説明において、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態、図面、又はその説明に共にグループ化されることがあることは、理解されるべきである。しかしながら、この開示の方法は、任意の請求項がその請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、本発明の態様は、前述の開示された単一の実施形態の全ての特徴よりも少数の特徴の組み合わせにある。よって、この発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、それ自体が別個の実施形態として成立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項とのすべての並べ替えを含む。
【0046】
ミーンズ・プラス・ファンクション形式で列挙される要素は、米国特許法第112条第6項に従って解釈されることが意図される。本発明の根底にある原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細に対して変更を行い得ることは、当業者には明らかであろう。排他的な所有権又は特権が請求される本発明の実施形態は、以下のように定義される。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B