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特許7196347電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20221219BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20221219BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20221219BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221219BHJP
【FI】
G01R31/52
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/12 101
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022056126
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-07-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】河戸 希美
(72)【発明者】
【氏名】大澤 弘行
(72)【発明者】
【氏名】荒木 研太
(72)【発明者】
【氏名】原 啓城
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-100005(JP,A)
【文献】特開2008-293674(JP,A)
【文献】特開2005-348483(JP,A)
【文献】特開2011-209247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
H01M 8/04- 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、
各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、
各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置と、
前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備え、
前記制御装置は、
前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の前記中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得部と、
前記電位差取得部によって取得された前記電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部と、
を備える電気回路システム。
【請求項2】
複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、
各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、
各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置と、
前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備え、
前記制御装置は、
前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の前記中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得部と、
前記電位差取得部によって取得された前記電位差を所定の電位差の範囲以内とするように、複数の前記電路に流れる電流を制御する電流制御部と、
を備える電気回路システム。
【請求項3】
複数の前記電路の各前記中間電位部の前記電位差を計測する中間点電圧センサを備え、
前記電位差取得部は、前記中間点電圧センサから前記電位差を取得する請求項1に記載の電気回路システム。
【請求項4】
前記電位差取得部は、複数の前記電路の前記コモン電極とは逆の極側における電圧に基づき各前記中間電位部の電位を推定することにより、前記電位差を取得する請求項1に記載の電気回路システム。
【請求項5】
各前記電路に流れる電流を検出する電流センサを備え、
前記電位差取得部は、前記電流センサから取得した電流値を用いて、前記電位差を取得する請求項1に記載の電気回路システム。
【請求項6】
各前記電路の他方の極が、電圧変換器を介して接続される請求項1または請求項2に記載の電気回路システム。
【請求項7】
前記地絡検出回路は、抵抗と、該抵抗の両端の電圧を計測する電圧センサを備え、
前記制御装置は、前記電圧センサが計測した前記電圧が前記閾値設定部によって設定された前記閾値を超えた場合に、地絡と判定する判定部を備える請求項1または請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の電気回路システム。
【請求項8】
前記閾値は、前記電位差取得部が取得した前記電位差に所定値を加えた値である請求項7に記載の電気回路システム。
【請求項9】
前記電路は、発電装置である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気回路システム。
【請求項10】
前記発電装置は、燃料電池(SOFC)である請求項9に記載の電気回路システム。
【請求項11】
前記電路は、蓄電池である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気回路システム。
【請求項12】
前記電路は、電解装置である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気回路システム。
【請求項13】
複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、
各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、
前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備える電気回路システムの制御装置であって、
各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、
前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の前記中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得部と、
前記電位差取得部によって取得された前記電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部と、
を備える電気回路システムの制御装置。
【請求項14】
複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、
各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、
制御装置と、
前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、
を備える電気回路システムの制御方法であって、
前記制御装置は、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、
前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の前記中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得工程と、
前記電位差取得工程によって取得された前記電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定工程と、
を備える電気回路システムの制御方法。
【請求項15】
複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、
各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、
制御装置と、
前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、
を備える電気回路システムの制御プログラムであって、
前記制御装置は、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、
前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の前記中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得ステップと、
前記電位差取得ステップによって取得された前記電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定ステップと、
を備え、前記制御装置により実行される電気回路システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムなどの高圧直流回路では、回路に求められる耐電圧を小さくするために中間点接地が行われることがある。例えば、正負極の電位差がVの回路において、電位が中間の位置を接地点とすれば、回路に必要な耐電圧は1/2Vとなる。
【0003】
また、燃料電池システムでは、一般的に、設備保護や安全性の確保のために漏電の検知、すなわち地絡の発生を検知する地絡検出回路が設置されている。特許文献1には、複数の燃料電池を直列に接続した燃料電池スタックにおいて、燃料電池スタックの中間電位を検出し、地絡を検出する技術が開示されている。また特許文献2には、直列に接続された燃料電池の中点を接地する技術が開示されている。また特許文献3には、直列に接続されたセルスタックと断熱体とを電気的に接続し、金属イオンの移動を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-293674号公報
【文献】特開昭63-166155号公報
【文献】特許第6854954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1乃至3の発明では、地絡検出回路が二以上の接地点に接続された状態で各接地点の電位に電位差が生じると、地絡が発生していないにもかかわらず地絡が発生したとして誤検出されるおそれがある。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、各接地点に電位差が生じた場合であっても、地絡の誤検出を抑止可能な電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラムは以下の手段を採用する。
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る電気回路システムは、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置と、前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備え、前記制御装置は、前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部と、を備える。
【0008】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る電気回路システムは、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置と、前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備え、前記制御装置は、前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された前記電位差を所定の電位差の範囲以内とするように、複数の前記電路に流れる電流を制御する電流制御部と、を備える。
【0009】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る電気回路システムの制御装置は、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備える電気回路システムの制御装置であって、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部と、を備える。
【0010】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る電気回路システムの制御方法は、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、制御装置と、前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備える電気回路システムの制御方法であって、前記制御装置は、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得工程と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定工程と、を備える。
【0011】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る電気回路システムの制御プログラムは、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、制御装置と、前記中間電位部の電位差に関する情報を取得するセンサと、を備える電気回路システムの制御プログラムであって、前記制御装置は、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、前記センサが取得した前記中間電位部の前記電位差に関する情報に基づき複数の前記電路の中間電位部の前記電位差を取得する電位差取得ステップと、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定ステップと、を備え、前記制御装置により実行される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、地絡の誤検出を抑止することができる。また、電路の運転状態に応じて適切に地絡を検出することができ、電気回路の安全性を向上して設備保護が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを示す図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態における制御装置を示す図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを示す図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態における変形例1の電気回路システムを示す図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態における変形例2の電気回路システムを示す図である。
図7】本開示の幾つかの実施形態における中間点の電位差と閾値との関係を示す図である。
図8】本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを示す図である。
図9】本開示の幾つかの実施形態における燃料電池の電圧と許容電位差の関係を示す図である。
図10】本開示の幾つかの実施形態における燃料電池の電流と電圧の関係を示す図である。
図11】本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを備えた燃料電池発電システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示に係る電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
以下、本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムについて、図1を用いて説明する。
図1に示されるように、電気回路システム1は、発電装置として複数の燃料電池群(電路、発電装置)10と、複数のDCDCコンバータ(電圧変換器、直流電圧変換器)20と、インバータ30と、地絡検出回路40と、制御装置50と、を主な構成として備えている。なお、複数の燃料電池群10は、例えば固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)などである。
【0016】
燃料電池群10は、複数の燃料電池(電位差発生部)11が直列に接続されたものである。さらに、燃料電池群10がカスケード接続(多段接続)されて電気回路システム1を構成している。本願開示の燃料電池群10は、負極側をコモン電極とし、正極側には燃料電池群10ごとにそれぞれDCDCコンバータ20が接続されている。正極側、負極側のいずれをコモン電極とするかについては、任意に決定することができる。
【0017】
インバータ30は各燃料電池群10で共有とされ、インバータ30の負極側には、燃料電池群10の負極側であるコモン電極が接続される。またインバータ30の正極側には、各燃料電池群10の正極側に各DCDCコンバータ20を介して接続される。本開示の電気回路システム1では、DCDCコンバータ20は2つとされた例を例示しているが、DCDCコンバータ20は複数であればよく、燃料電池群10の数に合わせて任意に決定することができる。
【0018】
地絡検出回路40は、燃料電池群10aの中間点(中間電位部)13aとアースとの間、及び燃料電池群10fの中間点(中間電位部)13fとアースとの間に設けられる。地絡検出回路40は、電圧センサ41と、抵抗42と、遮断器43とを備え、各電圧センサ41は各抵抗42の両端の電圧を計測する。燃料電池群10aの中間点13aから順に、遮断器43a、抵抗42aが接続され、燃料電池群10fの中間点13fから順に、遮断器43f及び抵抗42fが直列に接続される。このように、各燃料電池群10の中間電位は接地されている。
【0019】
遮断器43は、通常閉とされており、地絡検出回路40が接続された燃料電池群10において地絡が発生すると開とされる。この時、燃料電池群10はトリップ(緊急停止)される。
【0020】
図1では、電気回路システム1において2以上の燃料電池群10a及び10fに対し、各燃料電池群10と1対1対応するDCDCコンバータ20a及び20fが接続された例を例示しているが、燃料電池群10のカスケード接続数は複数であればよく、任意に決定することができる。また本開示の電気回路システム1では、燃料電池群10aをトッピング(ガス流れ上流側)とし、燃料電池群10fをボトミング(ガス流れ下流側)とした例を例示しているが、任意に決定することができる。また、燃料電池群10aにおいて複数の燃料電池11a、11b、11c、11d及び11eが直列接続され、燃料電池群10fにおいて複数の燃料電池11f、11g、11h、11i及び11jが直列接続された例を例示しているが、燃料電池11の直列接続数は複数であればよく、任意に決定することができる。また、各燃料電池群10における燃料電池11の直列接続数は、それぞれ異なっていてもよい。
【0021】
以下の説明において、各燃料電池群10、各中間点13、各DCDCコンバータ20、各電圧センサ41、各抵抗42及び各遮断器43を区別する場合は、末尾にaまたはfのいずれかを付し、各燃料電池群10、各DCDCコンバータ20、各電圧センサ41、各抵抗42及び各遮断器43を区別しない場合は、aまたはfを省略する。また、各燃料電池11を区別する場合は、末尾にa、b、c、d、e、f、g、h、iまたはjのいずれかを付し、各燃料電池11を区別しない場合は、a、b、c、d、e、f、g、h、iまたはjを省略する。
【0022】
制御装置50は、各燃料電池群10の地絡を検出する。
図2は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置を示した図である。
図2に示すように、制御装置50は、電位差取得部51と、閾値設定部52と、判定部53と、電流制御部54と、を備えている。
【0023】
電位差取得部51は、いずれか2つの燃料電池群10の中間点13の電位差を取得する。閾値設定部52は、いずれか2つの燃料電池群10の各中間点13の電位の状態に応じて地絡の判定に用いられる閾値を設定する。判定部53は、地絡検出回路40に流れる電流を、例えば、電圧センサ41によって計測された電位差から検知し、閾値設定部52によって設定された閾値に基づき、地絡発生の有無を判定する。
【0024】
図3は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図3に示すように、制御装置(Controller)50は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1100、二次記憶装置(ROM、Secondary storage:メモリ)1200、主記憶装置(RAM、Main Memory)1300、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
【0025】
CPU1100は、例えば、バス1800を介して接続された二次記憶装置1200に格納されたOS(Operating System)により制御装置50全体の制御を行うとともに、二次記憶装置1200に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU1100は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0026】
主記憶装置1300は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU1100の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0027】
二次記憶装置1200は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置1200は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置1200の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置1200は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置1200には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置1200は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置1200に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0028】
制御装置50が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置1200などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)1100が主記憶装置1300に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置1200に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0029】
また、制御装置50は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。また、表示部を含み、ランプ、音、特にアラーム音を出力するスピーカーなどの通知部を備えていてもよい。
【0030】
図1の燃料電池群10aと燃料電池群10fにおいて、中間点13aの電位、中間点13fの電位及びアースとの間に電位差が無い場合を、通常運転状態であるとする。通常運転状態では、地絡検出回路40には電流は流れない。よって、電圧センサ41a及び41fの計測値は0である。この時、遮断器43a及び43fは閉とされる。
【0031】
例えば、燃料電池群10aの負極において地絡が発生したとすると、各燃料電池11の電圧が全て100Vである場合、燃料電池群10aの中間点13aの対地電圧は300V(燃料電池11c、11d及び11eの3×100V)となり、燃料電池群10aの中間点13aからアースに向けて地絡検出回路40に電流が流れ、電圧センサ41aが抵抗42aの電位差を検出する。制御装置50はあらかじめ設定された閾値に基づき地絡の検出を判定する。地絡が検出されると、遮断器43a及び43fは開とされ、燃料電池群10はトリップされる。
【0032】
燃料電池群10aの各燃料電池11a、11b、11c、11d及び11e、及び燃料電池群10fの各燃料電池11f、11g、11h、11i及び11jの電圧がそれぞれ100Vであったとする。この時、中間点13a及び13fにおける負極との電位差はそれぞれ300Vであり、中間点13a、中間点13f及びアースとの間に電位差がない通常運転状態である。
【0033】
例えば、燃料電池群10fの運転状態が変化することにより、燃料電池群10fの負荷率(発電電圧)が変化して各燃料電池11f、11g、11h、11i及び11jの電圧がそれぞれ80Vに変化したとする。中間点13fにおける負極との電位差は240V(燃料電池11h、11i及び11jの3×80V)となり、中間点13aと中間点13fとの間に60Vの電位差が生じる。これにより、中間点13aから中間点13fへ向けて地絡検出回路40に電流が流れ、電圧センサ41a及び41fが抵抗42a及び42fの電位差を検出する。この場合、燃料電池群10a及び10fには地絡が発生していないにもかかわらず、中間点13aと中間点13fとの間に電位差が生じることで地絡検出回路40に電流が流れ、制御装置50が地絡を検出したとの誤判定をする可能性がある。
【0034】
そこで、本開示の第1実施形態では、制御装置50は、各燃料電池群10の運転状態に応じて設定された地絡の検出を判定するための閾値を用いて地絡を判定するものとする。各燃料電池群10の運転状態としては、各燃料電池群10における各中間点13の電位の状態を用いる。
【0035】
次に、本開示の制御装置50による制御について説明する。
図4は、本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを示した図である。
図4に示すように、電気回路システム1には、燃料電池群10aの中間点13aの電位と燃料電池群10fの中間点13fの電位とから各中間点13の電位差を計測する中間点電圧センサ60が設けられる。電位差取得部51は、中間点電圧センサ60が計測した電位差(電圧)を取得する。
【0036】
本実施形態では、閾値設定部52により中間点電圧センサ60が計測した電位差に基づいて地絡として判定するための閾値が設定される。例えば中間点電圧センサ60が計測した電位差が60Vであった場合、地絡検出回路40を流れる電流が、電位差60Vで流れる電流まで、または電位差60Vに所定値を加えた値で流れる電流までは地絡と判定しないように、閾値が設定される。
【0037】
これにより、判定部53は、電圧センサ41a及び41fによってそれぞれ検出された電圧値と、閾値設定部52によって設定された閾値とを比較し、地絡検出回路40に流れる電流に対応する電圧センサ41a又は41fによって検出された電圧値が閾値を超えた場合に、地絡であると判定する。
【0038】
[変形例1]
図5は、本開示の幾つかの実施形態における変形例1の電気回路システムを示した図である。
図5に示すように、電気回路システム1には、DCDCコンバータ20aの入力電圧(燃料電池群10aの負極と正極との電位差)を計測するDCDCコンバータ電圧センサ70a及びDCDCコンバータ20fの入力電圧(燃料電池群10fの負極と正極との電位差)を計測するDCDCコンバータ電圧センサ70fが、それぞれDCDCコンバータ20の入力側に設けられる。電位差取得部51は、DCDCコンバータ電圧センサ70aが計測した電圧、及びDCDCコンバータ電圧センサ70fが計測した電圧をそれぞれ取得する。
【0039】
電位差取得部51は、DCDCコンバータ電圧センサ70aが計測したDCDCコンバータ20aの入力電圧、及びDCDCコンバータ電圧センサ70fが計測したDCDCコンバータ20fの入力電圧から、中間点13aと中間点13fとの間の電位差を推測する。例えばDCDCコンバータ電圧センサ70aの計測値が500V、DCDCコンバータ電圧センサ70fの計測値が400Vであったとすると、制御装置50は各燃料電池11a、11b、11c、11d及び11eの電圧をそれぞれ100V、各燃料電池11f、11g、11h、11i及び11jの電圧をそれぞれ80Vであると推測し、中間点13aと中間点13fとの間の電位差が60Vであると推測する。閾値設定部52により、推定された電位差60Vに基づき、地絡検出回路40に流れる電流が、電位差60Vまたは電位差60Vに所定値を加えた値で流れる電流までは地絡と判定しないように閾値が設定される。
【0040】
これにより、判定部53は、電圧センサ41a及び41fによってそれぞれ検出された電圧値に基づき閾値設定部52によって設定された閾値を用いて、地絡検出回路40に流れる電流に対応する電圧センサ41a又は41fによって検出された電圧値が閾値を超えた場合に、地絡であると判定する。
【0041】
[変形例2]
図6は、本開示の幾つかの実施形態における変形例2の電気回路システムを示した図である。
図6に示すように、電気回路システム1には、燃料電池群10aの電流を計測する電流センサ80a及び燃料電池群10fの電流を計測する電流センサ80fがそれぞれ設けられる。
【0042】
電位差取得部51は、電流センサ80aが計測した燃料電池群10aの電流、及び電流センサ80fが計測した燃料電池群10fの電流から、各燃料電池11の発電電圧を算出し、中間点13aと中間点13fとの間の電位差を推測する。例えば電位差取得部51は、各燃料電池11a、11b、11c、11d及び11eの発電電圧をそれぞれ100V、各燃料電池11f、11g、11h、11i及び11jの発電電圧をそれぞれ80Vであると算出し、中間点13aと中間点13fとの間の電位差が60Vであると推測する。閾値設定部52により推測された電位差に基づいて地絡として判定するための閾値が設定される。推測された電位差が60Vであった場合、地絡検出回路40に流れる電流が、電位差60Vまたは電位差60Vに所定値を加えた値で流れる電流までは地絡と判定しないように、閾値が設定される。
【0043】
これにより、判定部53は、電流センサ80a及び80fによってそれぞれ検出された電圧値に基づいて閾値設定部52によって設定された閾値を用いて、地絡検出回路40に流れる電流に対応する電圧センサ41a又は41fによって検出された電圧値が閾値を超えた場合に、地絡であると判定する。
【0044】
図7は、本開示の幾つかの実施形態における中間点の電位差と閾値との関係を示した図である。
図7において、縦軸は地絡検出回路40の電圧センサ41が計測した電圧値(抵抗42の電位差)、横軸は各燃料電池群10(例えば、中間点13a及び13f)の電位差である。また、破線は中間点13aと13fの電位差により地絡検出回路40に流れる電流に対応する電圧値(電圧センサ41が計測する電圧値)、実線は中間点13aと13fの電位差に応じて制御装置50が設定する所定の閾値を示す。
【0045】
図7に示されるように、所定の閾値は、中間点13aと13fの電位差が無い場合の地絡判定値に、中間点13aと13fの電位差に応じて変化する地絡検出回路40に流れる電流値に対応する電圧値(電圧センサ41が計測する電圧値)分の値(裕度)を加えた値となる。
【0046】
上記実施形態では、所定の閾値を電位の状態に応じて設定する場合について説明したが、本実施形態では、各中間点(中間電位部)の電位差が発生しないように制御する場合について説明する。以下、本実施形態に係る制御装置50について、前述の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0047】
制御装置50の電流制御部54(図2参照)は、電位差取得部51によって取得された電位差を所定の電位差の範囲内とするように、各燃料電池群10に流れる電流を制御する。
【0048】
図8は、本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを示した図である。
図8において、制御装置50の電流制御部54が各燃料電池群10の制御を行うことを破線で示す。制御装置50は、各DCDCコンバータ20a及び20fと接続される。
【0049】
本実施形態では、制御装置50は、燃料電池群10aの中間点13aと燃料電池群10fの中間点13fとの間に電位差が発生して、地絡検出回路40が地絡を誤検知しないように制御を行う。
【0050】
電流制御部54は、中間点13aと中間点13fとの間に電位差が発生しないように、燃料電池群10aと燃料電池群10fの電流を制御する。具体的には、電流制御部54は、各DCDCコンバータ20a及び20fの電流を制御、すなわち負荷を制御する。この場合、電流制御部54は、電位差が0の場合だけでなく、電位差が許容可能な電位差の範囲内の値であれば許容可能であるとする電位差の範囲を事前に規定しておく。
【0051】
図9は、本開示の幾つかの実施形態における燃料電池の電圧と許容電位差の関係を示す図である。
図9において、縦軸は燃料電池群10fの電圧(負極と正極間の電位差)、横軸は燃料電池群10aの電圧(負極と正極間の電位差)であり、破線が中間点13a及び13fの電位差が無い状態、実線がDCDCコンバータ20の電流を制御する際に規定される電位差の範囲の上限値及び下限値を示す。
【0052】
図9に示されるように、DCDCコンバータ20の電流を制御する際に規定される電位差の範囲は、中間点13a及び13fの電位差が無い状態(V1)を中心として所定値(V2)だけ増減させて制御範囲を設定する。上限値の場合は電位差が無い状態(V1)から所定値(V2)だけ増加させた値(V1+V2)、下限値の場合は電位差が無い状態(V1)から所定値(V2)だけ減少させた値(V1-V2)とされる。制御装置50は、中間点13a及び13fの電位差が、既定の電位差の範囲以内、すなわち下限値以上、上限値以下となるように、DCDCコンバータ20の電流を制御する。電位差の範囲については、電気回路システム1の状態に応じて任意に決定することができる。例えば、各燃料電池群10の電圧に応じて、増減させる所定値(V2)を変化させてもよい。
【0053】
このように、電流制御部54は、中間点13a及び13fの電位差が、DCDCコンバータ20の電流を制御する際に規定された電位差の範囲内となるように制御を行う。このとき、電流制御部54は、前述のいずれかの実施形態を用いて中間点13a及び13fの電位差を計測または検出してもよく、また別の方法を用いてもよい。求められた中間点13a及び13fの電位差から電流制御部54が制御する燃料電池群10a及び10fの電流(DCDCコンバータ20a及び20fの電流)の値については、燃料電池群10ごとの電流と電圧との関係から求める。
【0054】
図10は、本開示の幾つかの実施形態における燃料電池の電流と電圧の関係を示す図である。
図10において、縦軸は燃料電池群10の電圧、横軸は燃料電池群10の電流であり、実線が燃料電池の電流と電圧の関係を示す。なお、実線の関係は一例を示したものであり、電気回路の特性により必ずしも直線の関係とは限らない。
【0055】
図10に示されるように、燃料電池群10の電流と電圧の関係は、電流値が増加すると電圧値は減少する右肩下がりのグラフを示す。電流制御部54は、燃料電池群10ごとに求められた電流と電圧の関係から、中間点13a及び13fの電位差が生じないような電圧値に対応する電流値を求める。電流制御部54は、求められた電流値となるように電流(負荷)を制御する。
【0056】
図11は、本開示の幾つかの実施形態における電気回路システムを備えた燃料電池発電システムを示す図である。
図11に示されるように、燃料電池発電システム100は、第1燃料電池102及び第2燃料電池104を備える。第1燃料電池102及び第2燃料電池104は、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)であり、燃料と酸化剤(酸化性ガス)を用いて電気化学反応により発電を行う。燃料は、例えば、メタンガス(天然ガス)又はプロパンガスであり、酸化剤は、例えば、空気である。燃料流れ上流側(トッピング)である第1燃料電池102は図1における燃料電池群10aに、燃料流れ下流側(ボトミング)である第2燃料電池104は図1における燃料電池群10fに対応する。
【0057】
第1燃料電池102及び第2燃料電池104は、発電した直流電力を電力系統150に対応する交流電力に変換するためのインバータ152を有する。第1燃料電池102の温度(発電室温度)は、第1温度センサ154によって監視されており、DCDCコンバータ20aの電流量の調整によって、第1温度センサ154の検出値が所定温度になるように制御することができる。
【0058】
DCDCコンバータ20fの電流量は第1燃料電池102から排出される第2燃料ガスGf2の量に応じて適切な値に設定される。第2燃料電池104の温度(発電室温度)は、第2温度センサ164によって監視されており、第2温度センサ164の検出値が所定温度になるように第2酸化剤ガスGo2の流量で制御することができる。
【0059】
燃料ガス(第1燃料ガスGf1)は、燃料ガス供給源106から第1燃料ガス供給ライン108を介して第1燃料電池102に供給される。第1燃料電池102は複数の電池セル(不図示)を含んでおり、第1燃料ガス供給ライン108は各電池セルに分岐することで並列に燃料ガスを供給する。
【0060】
第1燃料電池102の各電池セルから排出される燃料ガス(第2燃料ガスGf2)は、第2燃料ガス供給ライン110を介して、第2燃料電池104に供給される。第2燃料電池104は少なくとも一つの電池セル(不図示)を含む。
【0061】
第2燃料電池104から排出される燃料ガス(第3燃料ガスGf3)は、燃料ガス排出ライン112を介して排出される。燃料ガス排出ライン112上には、燃料ガスを燃焼するための燃焼器114と、燃焼器114によって生成された燃焼ガスによって駆動可能なタービン116が設置されている。燃焼器114は触媒燃焼器であってもよい。タービン116は、後述するように酸化剤ガス供給ライン118上に設けられたコンプレッサ120に連結されており、コンプレッサ120とともにターボチャージャ122を構成する。
【0062】
第2燃料ガス供給ライン110上には水分回収器113が設置されてもよい。水分回収器113は、第1燃料電池102から排出される燃料ガス(第2燃料ガスGf2)に含まれる水分を回収するための装置であって、例えば、第2燃料ガス供給ライン110上の燃料ガス(第2燃料ガスGf2)を、外部冷却媒体と熱交換することにより、燃料ガス(第2燃料ガスGf2)に含まれる水分を凝縮して回収可能な凝縮器として構成される。これにより、第2燃料電池104に供給される燃料ガス(第2燃料ガスGf2)に含まれる水分を減少させることで、第2燃料電池104に供給される燃料ガスの発熱量を向上し、第2燃料電池104の発電出力を向上できる。
【0063】
また第2燃料ガス供給ライン110のうち水分回収器113より下流側には、再循環ライン124が分岐される。再循環ライン124上にはブロワ125が設置されており、ブロワ125を駆動することにより、第2燃料ガス供給ライン110を流れる燃料ガス(第2燃料ガスGf2)の一部が、第1燃料電池102の入り口側に再循環されるように構成される。再循環ライン124上には、第1再生熱交換器126が設置されており、再循環ライン124を通過する燃料ガスが、第2燃料ガス供給ライン110と通過する燃料ガスと熱交換することにより昇温可能に構成されている。
【0064】
また燃料ガス排出ライン112のうち燃焼器114より上流側には、第2再生熱交換器128が設置される。第2再生熱交換器128は、第2燃料電池104から排出される燃料ガス(第3燃料ガスGf3)を、第2燃料ガス供給ライン110を流れる燃料ガス(第2燃料ガスGf2)と熱交換することにより昇温可能に構成される。これにより、燃焼器114に供給される燃料ガスの温度を上昇させ、燃焼器114の燃焼温度を高めることができる。
【0065】
酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給源130から酸化剤ガス供給ライン118を介して第1燃料電池102及び第2燃料電池104に供給される。酸化剤ガス供給ライン118上には酸化剤ガスを圧縮供給するためのコンプレッサ120が配置されており、前述のタービン116とともにターボチャージャ122を構成する。
【0066】
酸化剤ガス供給ライン118は、コンプレッサ120より下流側において第1酸化剤ガス供給ライン132及び第2酸化剤ガス供給ライン134に分岐される。第1酸化剤ガス供給ライン132は第1燃料電池102に接続されて酸化剤ガス(第1酸化剤ガスGo1)を供給しており、第2酸化剤ガス供給ライン134は第2燃料電池104に接続されて酸化剤ガス(第2酸化剤ガスGo2)を供給する。これにより、第1燃料電池102及び第2燃料電池104は、酸化剤ガス供給源130に対して並列に接続される。
【0067】
第1酸化剤ガス供給ライン132又は第2酸化剤ガス供給ライン134の少なくとも一方には、第2燃料電池104に対する酸化剤ガスの供給量を調整するための調整バルブ140が設けられる。図11の例では、第2燃料電池104に接続される第2酸化剤ガス供給ライン134上に調整バルブ140が設けられており、調整バルブ140の開度を調整することにより、第2燃料電池104に対する酸化剤ガス(第2酸化剤ガスGo2)の供給量を調整可能に構成される。
【0068】
本開示の電気回路システム1における電路10は、燃料電池群10である場合について詳述したが、電路10は蓄電池であってもよい。また、電路10は、電解装置であってもよい。これらの場合も、電路10が燃料電池群10である場合と同様に扱うことができる。
【0069】
〈付記〉
以上説明した実施形態に記載の(発明の名称)は、例えば以下のように把握される。
【0070】
本開示の第1態様に係る電気回路システムは、複数の電位差発生部(11)が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路(10)と、各前記電路の中間電位部(13)とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路(40)と、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置(50)と、を備え、前記制御装置は、複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得部(51)と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部(52)と、を備える。
【0071】
各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部と、を備えることから、電路の運転状態に応じて適切に地絡を検出することができ、電気回路の安全性を向上し、設備保護が可能となる。また、地絡の誤検出を抑止することができる。
【0072】
本開示の第2態様に係る電気回路システムは、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出する制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された前記電位差を所定の電位差の範囲以内とするように、複数の前記電路に流れる電流を制御する電流制御部(54)と、を備える。
【0073】
複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された前記電位差を所定の電位差の範囲以内とするように、複数の前記電路に流れる電流を制御する電流制御部と、を備えることから、地絡検出回路に電流が流れることがなく、地絡の誤検出を抑止することができる。また、適切に地絡を検出して電気回路の安全性を向上し、設備を保護することができる。
【0074】
本開示の第3態様に係る電気回路システムは、前記第1態様または前記第2態様において複数の前記電路の各前記中間電位部の電位差を計測する中間点電圧センサ(60)を備え、前記電位差取得部は、前記中間点電圧センサから前記電位差を取得してもよい。
【0075】
複数の前記電路の各前記中間電位部の電位差を計測する中間点電圧センサを備え、前記電位差取得部は、前記中間点電圧センサから前記電位差を取得することから、適切に検出された電位差に基づき地絡の検出を判定することができる。また、地絡の誤検出を抑止することができ、電気回路の安全性を向上し、設備保護が可能となる。
【0076】
本開示の第4態様に係る電気回路システムは、前記第1態様または前記第2態様において前記電位差取得部は、複数の前記電路の前記コモン電極とは逆の極側における電圧に基づき各前記中間電位部の前記電位を推定することにより、前記電位差を取得してもよい。
【0077】
前記電位差取得部は、複数の前記電路の前記コモン電極とは逆の極側における電圧に基づき各前記中間電位部の前記電位を推定することにより、前記電位差を取得することから、各電路の電圧から適切に電位差を検出し、その電位差に基づき地絡の検出を判定することができる。また、地絡の誤検出を抑止することができ、電気回路の安全性を向上し、設備保護が可能となる。
【0078】
本開示の第5態様に係る電気回路システムは、前記第1態様または前記第2態様において各前記電路に流れる電流を検出する電流センサ(80)を備え、前記電位差取得部は、前記電流センサから取得した電流値を用いて、前記電位差を取得してもよい。
【0079】
各前記電路に流れる電流を検出する電流センサを備え、前記電位差取得部は、前記電流センサから取得した電流値を用いて、前記電位差を取得することから、各電路の電流値から適切に電位差を検出し、その電位差に基づき地絡の検出を判定することができる。また、地絡の誤検出を抑止することができ、電気回路の安全性を向上し、設備保護が可能となる。
【0080】
本開示の第6態様に係る電気回路システムは、前記第1態様から前記第5態様のいずれかにおいて各前記電路の他方の極が、電圧変換器を介して接続されてもよい。
【0081】
本開示の第7態様に係る電気回路システムは、前記第1態様から前記第6態様のいずれかにおいて前記地絡検出回路は、抵抗と、該抵抗の両端の電圧を計測する電圧センサを備え、前記制御装置は、前記電圧センサが計測した前記電圧が前記閾値設定部によって設定された閾値を超えた場合に、地絡と判定する判定部(53)を備えてもよい。
【0082】
前記地絡検出回路は、抵抗と、該抵抗の両端の電圧を計測する電圧センサを備え、前記制御装置は、前記電圧センサが計測した前記電圧が前記閾値設定部によって設定された閾値を超えた場合に、地絡と判定することから、地絡を適切に判定することができ、地絡の誤検出を抑止可能である。
【0083】
本開示の第8態様に係る電気回路システムは、前記第1態様から前記第7態様のいずれかにおいて、前記閾値は、前記電位差取得部が取得した電位差に所定値を加えた値であってもよい。
【0084】
閾値は、電位差取得部が取得した電位差に所定値を加えた値とすることにより、地絡の判定に裕度を持たせることができ、地絡の誤検知を抑止可能である。
【0085】
本開示の第9態様に係る電気回路システムは、前記第1態様から前記第8態様のいずれかにおいて、前記電路は、発電装置であってもよい。
【0086】
本開示の第10態様に係る電気回路システムは、前記第9態様において、前記発電装置は、燃料電池(SOFC)であってもよい。
【0087】
本開示の第11態様に係る電気回路システムは、前記第1態様から前記第8態様のいずれかにおいて、前記電路は、蓄電池であってもよい。
【0088】
本開示の第12に係る電気回路システムは、前記第1態様から前記第8態様のいずれかにおいて、前記電路は、電解装置であってもよい。
【0089】
本開示の第13態様に係る電気回路システムの制御装置は、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、を備える電気回路システムの制御装置であって、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得部と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定部と、を備える。
【0090】
本開示の第14態様に係る電気回路システムの制御方法は、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、制御装置と、を備える電気回路システムの制御方法であって、前記制御装置は、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得工程と、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定工程と、を備える。
【0091】
本開示の第15態様に係る電気回路システムの制御プログラムは、複数の電位差発生部が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路と、各前記電路の中間電位部とアースとの間に設けられるとともに、各前記電路の地絡の検出に用いられる地絡検出回路と、制御装置と、を備える電気回路システムの制御プログラムであって、前記制御装置は、各前記地絡検出回路によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各前記電路の地絡を検出し、複数の前記電路の中間電位部の電位差を取得する電位差取得ステップと、前記電位差取得部によって取得された電位差に基づいて前記閾値を設定する閾値設定ステップと、を備え、前記制御装置により実行される。
【符号の説明】
【0092】
1 電気回路システム
10 燃料電池群(電路)
11 燃料電池(電位差発生部)
13 中間点
20 DCDCコンバータ(電圧変換器)
30 インバータ
40 地絡検出回路
41 電圧センサ
42 抵抗
43 遮断器
50 制御装置
51 電位差取得部
52 閾値設定部
53 判定部
54 電流制御部
60 中間点電圧センサ
70 DCDCコンバータ電圧センサ
80 電流センサ
100 燃料電池発電システム
102 第1燃料電池
104 第2燃料電池
106 燃料ガス供給源
108 第1燃料ガス供給ライン
110 第2燃料ガス供給ライン
112 燃料ガス排出ライン
113 水分回収器
114 燃焼器
116 タービン
118 酸化剤ガス供給ライン
120 コンプレッサ
122 ターボチャージャ
124 再循環ライン
125 ブロワ
126 第1再生熱交換器
128 第2再生熱交換器
130 酸化剤ガス供給源
132 第1酸化剤ガス供給ライン
134 第2酸化剤ガス供給ライン
140 調整バルブ
150 電力系統
152 インバータ
154 第1温度センサ
164 第2温度センサ
1100 CPU
1200 二次記憶装置
1300 主記憶装置
1400 ハードディスクドライブ
1500 通信部
1800 バス
【要約】
【課題】地絡の誤検出を抑止可能な電気回路システム、電気回路システムの制御装置、電気回路システムの制御方法、及び電気回路システムの制御プログラムを提供する。
【解決手段】電気回路システム1は、複数の電位差発生部11が直列に接続されるとともに、一方の極がコモン電極とされた複数の電路10と、各電路10の中間電位部13とアースとの間に設けられるとともに、各電路10の地絡の検出に用いられる地絡検出回路40と、各地絡検出回路40によって計測された計測値と、地絡と判定するための閾値との比較において、各電路10の地絡を検出する制御装置50と、を備え、制御装置50は、複数の電路10の中間電位部13の電位差を取得する電位差取得部と、電位差取得部によって取得された電位差に基づいて閾値を設定する閾値設定部と、を備える。
【選択図】図1
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図8
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図10
図11