(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/258 20110101AFI20221219BHJP
H04N 21/266 20110101ALI20221219BHJP
H04N 17/00 20060101ALI20221219BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20221219BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221219BHJP
【FI】
H04N21/258
H04N21/266
H04N17/00 M
G06Q30/02 470
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022117418
(22)【出願日】2022-07-22
【審査請求日】2022-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良一
(72)【発明者】
【氏名】藤森 省吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康之
(72)【発明者】
【氏名】岡部 絵里
(72)【発明者】
【氏名】大野 ほのか
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082952(JP,A)
【文献】特開2020-167642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0337513(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 17/00
G06Q 30/02
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴者の視聴を解析するストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴者のインターネット関連サービスIDに基づ
くインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与するEC属性付与部と、
EC属性付与部により付与されたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析する視聴行動分析部と、
前記視聴行動分析部の分析結果に基づくレコメンドを行うレコメンド部と
を備えることを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項2】
請求項1記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴行動分析部は、前記視聴者の視聴傾向を示すヒートマップにより分析を行うことを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項3】
請求項2記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記レコメンド部は、前記視聴行動分析部による前記ヒートマップの分析結果に基づいて、前記視聴者の母集団の属性に対応した広告の出稿先として視聴傾向に応じた領域をレコメンドすることを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載のストリーム視聴解析システムにおいて、
前記放送ストリーム送信に加えて、ネットワークを介してストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信において、
前記レコメンド部は、前記視聴行動分析部による前記ヒートマップの分析結果に基づいて、前記IPストリーム送信におけるストリーム編成をレコメンドを行うことを特徴とするストリーム視聴解析システム。
【請求項5】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴者の視聴を解析するストリーム視聴解析方法において、
前記視聴者のインターネット関連サービスIDに基づ
くインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与するEC属性付与工程と、
EC属性付与工程により付与されたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析する視聴行動分析工程と、
前記視聴行動分析工程の分析結果に基づくレコメンドを行うレコメンド工程と
が実行されることを特徴とするストリーム視聴解析方法。
【請求項6】
放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴者の視聴を解析するプログラムであって、
コンピュータに、
前記視聴者のインターネット関連サービスIDに基づ
くインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与させ、
付与させたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成させ、該母集団についての視聴行動を分析させ、
前記視聴行動の分析結果に基づくレコメンドを行わせることを備えることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴を解析するストリーム視聴解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の視聴履歴分析システムとしては、下記特許文献1に示すように、放送システムにおいて、テレビ受信機へのプログラムの送信により、視聴者データを用いて生成されたテレビ受信機の視聴者の視聴履歴データを入力とし、テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを構築するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる放送システムでは、視聴者の属性又は嗜好が一定の確からしさを有する場合には、それに合ったコンテンツをテレビ受信機に表示することが可能となるが、確からしさの不確実性を拭い去って、これを広く一般化することは困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して用いることができるストリーム視聴解析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のストリーム視聴解析システムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴者の視聴を解析するストリーム視聴解析システムにおいて、
前記視聴者のインターネット関連サービスIDに基づくインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与するEC属性付与部と、
EC属性付与部により付与されたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析する視聴行動分析部と、
前記視聴行動分析部の分析結果に基づくレコメンドを行うレコメンド部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
第1発明のストリーム視聴解析システムによれば、視聴者のインターネット関連サービスIDに基づくインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与し、EC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析することで、視聴者の属性又は嗜好の確からしさの次元を超えてこれを一般化することができる。
【0008】
そして、一般化されたかかる視聴行動の分析結果に基づいてレコメンドを行うことで、実際に各種レコメンドに用いることができる。
【0009】
このように、第1発明のストリーム視聴解析システムによれば、視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して用いることができる。
【0010】
第2発明のストリーム視聴解析システムは、第1発明において、
前記視聴行動分析部は、前記視聴者の視聴傾向を示すヒートマップにより分析を行うことを特徴とする。
【0011】
第2発明のストリーム視聴解析システムによれば、視聴行動分析として、視聴傾向(視聴頻度)を示すヒートマップ分析を行うことができる。例えば、チャンネル、曜日、時間帯でヒートマップ分析を行えば、同じEC属性を有する人たちがよく視聴するチャンネル、曜日、時間帯を抽出することができる。
【0012】
このように、第2発明のストリーム視聴解析システムによれば、多角的に視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して、実際に行動分析に用いることができる。
【0013】
第3発明のストリーム視聴解析システムは、第2発明において、
前記レコメンド部は、前記視聴行動分析部による前記ヒートマップの分析結果に基づいて、前記視聴者の母集団の属性に対応した広告の出稿先として視聴傾向に応じた領域をレコメンドすることを特徴とする。
【0014】
第3発明のストリーム視聴解析システムによれば、ヒートマップ分析の結果、例えば、特定のEC属性を有する人たちがよく視聴するチャンネル、曜日、時間帯を抽出することができ、抽出対象をその特定のEC属性に応じた広告の出稿先とすることができる。
【0015】
このように、第3発明のストリーム視聴解析システムによれば、多角的に視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して、実際に行動分析に用いることができ、具体的に広告の出稿先をレコメンドすることができる。
【0016】
第4発明のストリーム視聴解析システムは、第2又は第3発明において、
前記放送ストリーム送信に加えて、ネットワークを介してストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信において、
前記レコメンド部は、前記視聴行動分析部による前記ヒートマップの分析結果に基づいて、前記IPストリーム送信におけるストリーム編成をレコメンドを行うことを特徴とする。
【0017】
第4発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリーム送信に加えてIPストリーム送信が行わる場合には、インターネット関連サービスの利用履歴に基づいて確かなEC属性を付与し、付与したEC属性が共通する母集団の放送における視聴者行動分析から、IPストリーム送信におけるストリーム編成の各種レコメンドを行うことができる。
【0018】
このように、第4発明のストリーム視聴解析システムによれば、放送ストリームに基づく視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して、実際にIPストリーム送信のストリーム編成に用いることができる。
【0019】
第5発明のストリーム視聴解析方法は、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴者の視聴を解析するストリーム視聴解析方法において、
前記視聴者のインターネット関連サービスIDに基づくインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与するEC属性付与工程と、
EC属性付与工程により付与されたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析する視聴行動分析工程と、
前記視聴行動分析工程の分析結果に基づくレコメンドを行うレコメンド工程と
が実行されることを特徴とする。
【0020】
第5発明のストリーム視聴解析方法によれば、視聴者のインターネット関連サービスIDに基づくインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与し、EC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析することで、視聴者の属性又は嗜好の確からしさの次元を超えてこれを一般化することができる。
【0021】
そして、一般化されたかかる視聴行動の分析結果に基づいてレコメンドを行うことで、実際に各種レコメンドに用いることができる。
【0022】
このように、第5発明のストリーム視聴解析方法によれば、視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して用いることができる。
【0023】
第6発明のプログラムは、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信における視聴者の視聴を解析するプログラムであって、
コンピュータに、
前記視聴者のインターネット関連サービスIDに基づくインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与させ、
付与させたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成させ、該母集団についての視聴行動を分析させ、
前記視聴行動の分析結果に基づくレコメンドを行わせることを備えることを特徴とする。
【0024】
第6発明のプログラムによれば、視聴者のインターネット関連サービスIDに基づくインターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与し、EC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析することで、視聴者の属性又は嗜好の確からしさの次元を超えてこれを一般化することができる。
【0025】
そして、一般化されたかかる視聴行動の分析結果に基づいてレコメンドを行うことで、実際に各種レコメンドに用いることができる。
【0026】
このように、第6発明のストリーム視聴解析システムによれば、視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態のストリーム視聴解析システムの概要を示すシステム構成図。
【
図2】
図1のストリーム視聴解析システムにおける各処理部の詳細を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示すように、本実施形態のストリーム視聴解析システムは、例えば、放送を介してストリームを送信する放送ストリーム送信と、ネットワーク(ユニキャストが望ましいが、ユニキャストのほかマルチキャストであってもよい)を介して該ストリームを送信するIPストリーム送信とが実行されるストリーム送信におけるストリームの視聴を解析するシステムであって、放送ストリームの送信を行うTV放送局10と、IPストリームの送信を行うIP放送局20と、放送ストリームおよびIPストリームの受信を行う受信機30(本発明の放送ストリーム受信手段に相当する)と、集計サーバ40と、放送側の広告枠取引システム100と、IP配信側の広告枠取引システム200とを備える。
【0029】
なお、IP放送局20が含まれるサービスプラットフォームは、Eコマースをはじめとするインターネット関連サービスを提供するプラットフォームであって、かかるインターネット関連サービスIDに紐づけされて、後述するIPストリーム送信の視聴履歴のほか、インターネット関連サービスの利用状況が管理可能となっている。
【0030】
【0031】
放送ストリームの送信を行うTV放送局10は、送出部11と、符号部13と、時計16と、打刻部17とを備える。
【0032】
送出部11は、いわゆる放送としての伝送を行う。なお、伝送路は、地上放送に限らず衛星放送やケーブルテレビのほか、TV放送局10で管理されるものであればIP再送信やマルチキャストであってもよい。また、送出部11は、伝送に際して多重化等の処理を行う。
【0033】
符号部13は、映像・音声・データなどの情報源の符号化を行う。なお、符号化に際しては暗号化を合わせて行い、後述する復号に必要な鍵情報も復号部で生成・管理される。この場合、鍵情報は、定期的に送出部11から送信される。
【0034】
時計16は、いわゆる内部時計であり、この場合は、送信基準時刻(放送時刻)となる基準時計となる。
【0035】
打刻部17は、映像・音声・データなどの符号化された情報源を送信する際に時計16の送信基準時刻(放送時刻)を付与する。
【0036】
IPストリームの送信を行うIP放送局20は、配信部21と、符号部23と、時計26と、打刻部27とを備える。
【0037】
配信部21は、いわゆるIPネットワーク配信のほかインターネット配信としての伝送を行う。
【0038】
符号部23は、映像・音声・データなどの情報源をIPネットワーク配信のために符号化する。なお、符号化に際しては暗号化を合わせて行い、後述する復号に必要な鍵情報も復号部で生成・管理される。この場合、鍵情報は、定期的に配信部21から送信される。
【0039】
時計26は、いわゆる内部時計である。
【0040】
打刻部27は、映像・音声・データなどの情報源をIPネットワーク配信する際に、時計26の時刻を該情報源に付与する。
【0041】
受信機30は、受信部31と、バッファ部32と、復号部33と、再生部34と、判定部35と、時計36と、記録部37と、通信部38とを備える。
【0042】
受信部31は、通信のインタフェースとして放送ストリームおよびIPストリームとして受信を行う。なお、受信部31は、受信と併せて、伝送された放送ストリームデータおよびIPストリームデータが多重化されている場合には、多重分離など必要な処理を行う。これにより、チャンネル(例えば、101chなど)が取得される。
【0043】
バッファ部は、受信部31により受信された放送ストリームデータおよびIPストリームデータを一時的に蓄積する。これにより、一時的なデータの欠損があっても、後述する復号部33による安定した復号が可能となる。
【0044】
復号部33は、TV放送局10の符号部13より符号化された映像・音声・データなどの情報源の符号を復号する処理を行うと共に、IP放送局20の符号部23より符号化された映像・音声・データなどの情報源の符号を復号する処理を行う。なお、復号部33は、符号化に際しては暗号化が行われている場合には、復号に必要な鍵情報の抽出など必要な処理も併せて実行する。
【0045】
再生部34は、復号部33より復号された映像・音声・データの再生処理を行う。
【0046】
判定部35は、いわゆる視聴率測定機としての機能を有する。すなわち、受信機30の再生部34により再生されたストリームを識別判定して、いわゆる視聴履歴(視聴ログ)を生成する。
【0047】
なお、判定部35は、受信機30の外部に構成されてもよい。例えば、いわゆる視聴率測定機のように、受信機30の再生部34により再生されたストリームを識別判定する装置であってもよい。
【0048】
また、判定部35は、再生されたストリームの識別に加えて、視聴している個人を識別する機能を有してもよい。例えば、受信機30の近傍にいるユーザを近距離通信(ユーザのスマートホンとのビーコンによる通信)により個人やユーザIDの特定を行うほか、リモコン入力の際にユーザを特定するボタン操作を伴うリモコン入力により個人やユーザIDの特定を行うように構成してもよい。視聴履歴の生成や蓄積は、リモコン入力等を用いてユーザの選択によって行うことができる。
【0049】
時計36は、受信機30の内部時計である。
【0050】
記録部37は、各種情報の記録を行う。例えば、受信部31により取得されたチャンネル情報、再生部34により再生された映像・音声・データに時計36が計時する内部時計の時刻を付して記録するほか、復号部33により復号して取得する送信基準時刻や、判定部35による判定結果である視聴履歴を記憶する。
【0051】
通信部38は、ネットワークを介した外部サーバ等との接続のインタフェースであってセキュリティ機能を備え、例えば、記録部37に記録された情報の送信や外部サーバからのデータの取得等が可能となっている。
【0052】
集計サーバ40は、集計部41と、蓄積部42と、EC属性付与部43と、視聴行動分析部44と、レコメンド部45とを備える。
【0053】
集計部41および蓄積部42は、受信機30の判定部35の判定結果である視聴履歴(受信機ID、ユーザID、世帯IDおよび視聴時刻を含む)を集計し、蓄積部42にその集計した視聴履歴を蓄積する。
【0054】
なお、ユーザIDは、ユーザによって受信機Xに入力され、また、世帯IDは、集計サーバにおいて世帯単位に発番され、受信機Xに割り当てられる。
【0055】
集計部41は、視聴率を含む視聴実態の各種分析を行う。例えば、集計部41は、視聴実態の分析として、番組の接触や広告の接触を、世帯ごと、ユーザごと、受信機ごとに集計する。
【0056】
EC属性付与部43は、インターネット関連サービスIDに紐づけされたインターネット関連サービスの利用状況から視聴者のEC属性を付与する。
【0057】
なお、EC属性付与部43は、必ずしも集計サーバ40内に構築される必要はなく、インターネット関連サービスのプラットフォームサーバなど外部サーバに構築されてもよい。
【0058】
視聴行動分析部44は、EC属性付与部43により付与されたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析する。
【0059】
レコメンド部45は、視聴行動分析部44の分析結果に基づいて各種レコメンドを行う。なお、レコメンド内容の詳細は後述する。
【0060】
放送側の広告枠取引システム100と、IP配信側の広告枠取引システム200とは、それぞれ放送ストリームおよびIPストリームにおけるCMなどの広告の取引を行うシステムである。本実施形態では、特に、放送側の広告枠取引システム100およびIP配信側の広告枠取引システム200を介して、レコメンド部により広告購入者や広告購入希望者に対する各種レコメンドが実行されてもよい。
【0061】
なお、集計サーバ40の各種処理においては、セキュリティを確保した構成とすることができる。
【0062】
以上が本実施形態のストリーム視聴解析システムの構成である。なお、以上の構成において、TV放送局10と、IP放送局20と、受信機30と、集計サーバ40との各処理部は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、後述する各種処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0063】
また、TV放送局10と、IP放送局20と、受信機30と、集計サーバ40の一部又は全部は、他のサーバ(外部サーバ)により構成し、分散処理によりストリーム視聴解析システムを実現してもよい。
【0064】
次に、説明を後回しにした集計部41と、EC属性付与部43と、視聴行動分析部44と、レコメンド部45との処理内容を説明する。
【0065】
集計部41は、まず、TV放送の視聴履歴を取得し、視聴実態の各種分析を行う。例えば、視聴者の好きな番組ジャンルなどの視聴実態の分析が行われる。放送ストリームの視聴履歴の分析のほか、IPストリームの視聴履歴の分析を行うことができる。
【0066】
EC属性付与部43は、インターネット関連サービスIDに紐づけされたインターネット関連サービスの利用状況から視聴者のEC属性を付与する。
【0067】
ここで、EC属性は、ECサービスの利用履歴(物品やサービスの購入履歴)のほか、WEB行動履歴、地理的移動履歴(徒歩、車、交通機関)IPストリームの視聴履歴を加味して、EC属性を付与してもよい。また、以下のデータフュージョン(データ連携)によりEC属性を付与してもよい。
【0068】
例えば、各種アンケート調査などにより得られる生活者データ(生活者属性情報)と、インターネット関連サービスID(ユーザの利用履歴)に紐づけされているユーザ情報とのデータフュージョン(データ連携)により、以下のような属性情報(EC属性情報を含む)を得ることができる。
<ペルソナ像描写目線>
・日常生活意識の俯瞰
・趣味・レジャー活動
・自由時間の過ごし方
・よく見るテレビ番組や動画ジャンル
<マーケティング活用目線>
・商品関与
・各メディア(テレビ・デジタル・その他)利用実態
・情報・購買意識
<コミュニケーション目線>
・広告への反応や意識特性
・各メディアで期待できる態度変容の推計
・広告出稿による接触実態把握
【0069】
次に、視聴行動分析部44は、EC属性が共通する母集団を作成し、その母集団について、視聴傾向(視聴頻度)を示すヒートマップにより分析を行う。具体的に、視聴行動分析部44は、ヒートマップ分析により、例えば、同じEC属性を有する人たちが放送においてよく視聴するチャンネル、曜日、時間帯を頻度の高い領域として抽出する。
【0070】
次いで、レコメンド部45は、ヒートマップの分析結果に基づいて、EC属性が共通する母集団の属性に対応した広告の出稿先として視聴傾向(視聴頻度)の高い領域(チャンネル、曜日、時間帯)をレコメンドする。
【0071】
また、レコメンド部45は、視聴傾向(視聴頻度)の高い領域(チャンネル、曜日、時間帯)をIPストリーム送信におけるストリーム編成(配信編成)としてレコメンドする。
【0072】
なお、レコメンド部45は、視聴傾向に応じた領域であれば、必ずしも視聴頻度の高い領域(チャンネル、曜日、時間帯)に限らず、視聴頻度自体は高くないが、視聴頻度の変動が少ない(根強いファンがいる)領域(チャンネル、曜日、時間帯)をレコメンドしてもよい。
【0073】
これにより、インターネット関連サービスの利用履歴に基づいて確かなEC属性を付与し、付与したEC属性が共通する母集団の放送における視聴者行動分析から、IPストリーム送信におけるストリーム編成のレコメンドを行うことができる。
【0074】
以上詳しく説明したように本実施形態のストリーム視聴解析システムによれば、視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して用いることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、EC属性が共通する母集団の放送における視聴者行動分析を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、放送ストリームに加えて又は代えてIPストリームの視聴履歴を用いて視聴者行動分析を行ってもよい。
【0076】
IPストリームの視聴履歴により視聴者行動分析を行う場合、IPストリームの利用履歴の有無や、利用の傾向、頻度を分析することができる。それに応じて、インターネット関連サービスにおいて、例えばアプリケーションやホームページ、利用端末に対して、IPストリームサービスの利用を喚起、促進するようなチャンネルや番組の広告(番宣)や、興味関心の高い広告を配信することができる。さらに、IP配信側の広告枠取引システム200にIPストリームサービスの利用の傾向に応じた属性や視聴傾向(視聴頻度)の高い領域をレコメンドすることができる。
【0077】
これにより、放送ストリームの視聴履歴にIPストリームの視聴履歴を重畳させた視聴者動向分析を行うことができ、視聴者の属性又は嗜好の確からしさの次元を超えてこれを一般化して、多角的に用いることができる。
【0078】
また、本実施形態では、視聴動向分析に際して、EC属性が共通する母集団を作成しているが、これに限定されるものではなく、母集団の作成を適宜省略してもよい。
【0079】
さらに、本実施形態において、IP送信に代えて、VOD送信であってもよい。
【0080】
また、本実施形態において、受信機30は、TV放送局10からのストリーム受信とIP放送局20からのストリーム受信との両方が可能である受信機である場合について説明したが、必ずしも同一端末である必要はない。
【0081】
すなわち、TV放送局10からのストリーム受信のみが可能な受信機30に基づく視聴履歴から、集計サーバ40(EC属性付与部43、視聴行動分析部44)による処理を行ってもよく、IP放送局20からのストリーム受信のみが可能な受信機30に基づく視聴履歴から、集計サーバ40(EC属性付与部43、視聴行動分析部44)による処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…TV放送局、11…TV放送局の送出部、13…TV放送局の符号部、16…TV放送局の時計、17…TV放送局の打刻部、20…IP放送局、21…IP放送局の配信部、23…IP放送局の符号部、26…IP放送局の時計、27…IP放送局の打刻部、30…受信機、31…受信部、32…バッファ部、33…復号部、34…再生部、35…判定部、36…時計、37…記録部、38…通信部、40…集計サーバ、41…集計部、42…蓄積部、43…EC属性付与部、44…視聴行動分析部、45…レコメンド部、100…放送側の広告枠取引システム、200…IP配信側の広告枠取引システム。
【要約】
【課題】視聴者の属性又は嗜好の確からしさを超えてこれを広く一般化して用いることができるストリーム視聴解析システム、ストリーム視聴解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ストリーム視聴解析システムは、視聴者のインターネット関連サービスIDに基づく該インターネット関連サービスの利用履歴から該視聴者のEC属性を付与するEC属性付与部43と、EC属性付与部43により付与されたEC属性が共通する視聴者の母集団を作成し、該母集団についての視聴行動を分析する視聴行動分析部44と、視聴行動分析部44の分析結果に基づくレコメンドを行うレコメンド部45とを備える。
【選択図】
図2