(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】遠隔制御装置、遠隔制御プログラム、及び遠隔制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/56 20180101AFI20221219BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20221219BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20221219BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20221219BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20221219BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20221219BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20221219BHJP
F24F 140/60 20180101ALN20221219BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20221219BHJP
【FI】
F24F11/56
F24F11/89
F24F11/46
F24F11/63
F24F110:10
F24F110:12
F24F110:20
F24F140:60
F24F120:10
(21)【出願番号】P 2022130237
(22)【出願日】2022-08-17
【審査請求日】2022-08-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下谷 大輝
(72)【発明者】
【氏名】三宅 治良
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-027406(JP,A)
【文献】特開平10-246497(JP,A)
【文献】特開2014-115003(JP,A)
【文献】中国実用新案第201615566(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行う通信部と、
前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定する推定部と、
前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記通信部を通じた赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記推定部によって前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する制御部と、
を備える遠隔制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記空調機が設置された住宅の内外にそれぞれ取り付けられた第1温度センサと第2温度センサから温度を取得し、
前記推定部は、前記第1温度センサから取得した室内温度と前記第2温度センサから取得した室外温度との差分が予め定めた第1閾値以上ある場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記空調機が設置された住宅の内外にそれぞれ取り付けられた第1温度センサと第2温度センサから、予め定めた第1規定期間に亘って、前記第1温度センサで測定された室内温度と前記第2温度センサで測定された室外温度とを予め定めた間隔で取得し、
前記推定部は、時系列に沿った前記室内温度と前記室外温度との差分が増加し続ける場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記差分が前回得られた前記差分以下であったとしても、前記差分が予め定めた第2閾値以上ある場合には、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項3に記載の遠隔制御装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記空調機が設置された室内に取り付けられた湿度センサから前記空調機が設置された室内の湿度を更に取得し、
前記推定部は、前記差分と前記湿度センサから取得した湿度の情報を組みあわせて前記空調機の稼働状態を推定する
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の遠隔制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、時系列に沿って隣り合う各々の前記差分の変動量が予め定めた第3閾値以上である場合、前記空調機の設定温度を、前記取得部が前記第1温度センサから取得した最新の前記室内温度に設定する制御を行う
請求項4に記載の遠隔制御装置。
【請求項7】
前記推定部は、時系列に沿って隣り合う各々の前記差分の変動量が前記第3閾値未満である場合、前記空調機が一時停止しないように、前記空調機の設定温度を、前記取得部が前記第1温度センサから取得した最新の前記室内温度から前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度だけ変化させた温度に設定する制御を行う
請求項6に記載の遠隔制御装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記第1規定期間の開始時における日付を含むカレンダー情報を更に取得し、
前記推定部は、前記カレンダー情報を用いて前記空調機が暖房運転及び冷房運転の何れの運転モードで稼働しているのかを推定し、
前記制御部は、前記推定部によって前記空調機が冷房運転を行っていると推定された場合、前記空調機の設定温度を最新の前記室内温度から前記分解能に対応した温度だけ上昇させる制御を行い、前記推定部によって前記空調機が暖房運転を行っていると推定された場合、前記空調機の設定温度を最新の前記室内温度から前記分解能に対応した温度だけ低下させる制御を行う
請求項7に記載の遠隔制御装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記空調機の電源プラグが差し込まれるコンセントと前記空調機の電源プラグとの間に取り付けられた電力計から前記空調機の消費電力を取得し、
前記推定部は、前記空調機の消費電力が予め定めた第4閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項10】
前記第4閾値は、前記空調機が停止中に消費する消費電力の最大値である
請求項9に記載の遠隔制御装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記空調機の電源プラグが差し込まれるコンセントと前記空調機の電源プラグとの間に取り付けられた電力計から予め定めた第2規定期間に亘って、前記空調機の消費電力を予め定めた間隔で取得し、
前記推定部は、前記空調機の消費電力が、前記第2規定期間が開始して最初に取得した消費電力である基準消費電力より予め定めた第5閾値以上増加している場合に前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項12】
前記推定部は、前記空調機の消費電力が前記基準消費電力に対して前記第5閾値以上増加していないとしても、前記空調機の消費電力が予め定めた第6閾値を超える場合は前記空調機が稼働中であると推定する
請求項11に記載の遠隔制御装置。
【請求項13】
前記第6閾値は、前記空調機が停止中に消費する消費電力の最大値である
請求項12に記載の遠隔制御装置。
【請求項14】
前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記取得部によって稼働中の前記空調機の消費電力を取得した後、
前記制御部は、前記空調機の設定温度を、前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度だけそれぞれ上昇及び低下させる制御を行い、前記空調機の設定温度を制御する前に前記取得部によって取得された稼働中の前記空調機の消費電力より消費電力が低下するような温度の設定方向に向かって前記空調機の設定温度を更に前記分解能に対応した温度だけ変化させる処理を、前記空調機の消費電力が前記空調機の設定温度を制御する前に前記取得部によって取得された稼働中の前記空調機の消費電力よりも予め定めた第7閾値以上低下するまで、予め定めた間隔毎に行う制御を行う
請求項11に記載の遠隔制御装置。
【請求項15】
前記取得部は、前記空調機の室外機に取り付けられた振動センサから前記空調機の室外機の振動量を取得し、
前記推定部は、前記空調機の室外機の振動量が予め定めた第8閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項16】
前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された状況において、前記制御部は、前記空調機の室外機の振動量が予め定めた第9閾値以下の場合、前記取得部が前記振動センサから取得した最新の振動量より前記空調機の室外機の振動量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度を超えて変化させる制御を行うと共に、前記空調機の室外機の振動量が前記第9閾値を超える場合、前記取得部が前記振動センサから取得した最新の振動量より前記空調機の室外機の振動量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記分解能に対応した温度だけ変化させる制御を行う
請求項15に記載の遠隔制御装置。
【請求項17】
前記取得部は、前記空調機の室内機における風の吹き出し口に取り付けられた接触センサから、前記空調機の室内機における風の吹き出し口を覆うルーバーの開閉状態を取得し、
前記推定部は、前記ルーバーが開いている場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項18】
前記取得部は、前記空調機の室内機における風の吹き出し口に取り付けられた風量センサから、前記空調機の室内機における風の吹き出し口から吹き出す風量を取得し、
前記推定部は、前記風量が予め定めた第10閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項19】
前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された状況において、前記制御部は、前記吹き出し口から吹き出す風量が前記第10閾値よりも大きい第11閾値以下の場合、前記空調機の設定風量を2段階以上小さくする制御を行うと共に、前記吹き出し口から吹き出す風量が前記第11閾値を超える場合、前記空調機の設定風量を1段階小さくする制御を行う
請求項18に記載の遠隔制御装置。
【請求項20】
前記取得部は、前記空調機の室外機における風の吹き出し口に取り付けられた風量センサから、前記空調機の室外機における風の吹き出し口から吹き出す風量を取得し、
前記推定部は、前記風量が予め定めた第12閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項21】
前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された状況において、前記制御部は、前記吹き出し口から吹き出す風量が前記第12閾値よりも大きい第13閾値以下の場合、前記取得部が前記風量センサから取得した最新の風量より前記吹き出し口からの風量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度を超えて変化させる制御を行うと共に、前記吹き出し口からの風量が前記第13閾値を超える場合、前記取得部が前記風量センサから取得した最新の風量より前記吹き出し口からの風量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記分解能に対応した温度だけ変化させる制御を行う
請求項20に記載の遠隔制御装置。
【請求項22】
前記取得部は、前記センサを用いて前記空調機が設置された住宅における在宅状況を取得し、
前記推定部は、前記空調機が設置された住宅に人がいる場合に、前記空調機が稼働中であると推定する
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項23】
前記センサは、前記空調機が設置された住宅の中に取り付けられた人感センサを含む
請求項22に記載の遠隔制御装置。
【請求項24】
前記制御部は、前記推定部によって前記人感センサの測定値から前記空調機が設置された住宅に人がいないと推定される一方、前記人感センサ以外の前記センサの測定値から前記空調機が稼働中であると推定された場合には、前記空調機を停止する制御を行う
請求項23に記載の遠隔制御装置。
【請求項25】
前記センサは、前記空調機が設置された住宅を含む住宅全体の消費電力を記録するスマートメーターであり、
前記取得部は、予め定めた第3規定期間に亘って、前記スマートメーターから消費電力を予め定めた間隔で取得し、
前記推定部は、前記スマートメーターから取得した時系列に沿った消費電力の変化パターンと、予め定めた消費電力の変化パターンとを比較し、前記スマートメーターから取得した消費電力の変化パターンと前記予め定めた消費電力の変化パターンとの差分が予め定めた範囲を超える場合に、前記空調機が設置された住宅に人がいると推定する
請求項22に記載の遠隔制御装置。
【請求項26】
前記予め定めた消費電力の変化パターンが、前記空調機が設置された住宅に誰も在宅していない期間に、前記スマートメーターによって記録された消費電力の変化パターンに設定された
請求項25に記載の遠隔制御装置。
【請求項27】
前記予め定めた消費電力の変化パターンが、前記空調機が設置された住宅に在宅している人が就寝している期間に、前記スマートメーターによって記録された消費電力の変化パターンに設定された
請求項25に記載の遠隔制御装置。
【請求項28】
コンピュータに、
ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行い、
前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得し、
取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定し、
前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記単方向の赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する処理を実行させるための
遠隔制御プログラム。
【請求項29】
ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行い、
前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得し、
取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定し、
前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する処理をコンピュータが実行する
遠隔制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調機に対して赤外線方式で制御を行う遠隔制御装置、遠隔制御プログラム、及び遠隔制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信回線に接続されたスマートリモコンを用いて住宅内の空調機を遠隔制御する方法が従来から知られており、例えば特許文献1には、ユーザがスマートフォンからスマートリモコンに指示を送信すると、スマートリモコンが受信した指示に応じた制御データを空調機に送信して空調機の制御を行う空気調和システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来技術は、空調機とスマートリモコンの通信方式にEchonetLiteを用いてデータ通信を行っている。EchonetLiteでは空調機とスマートリモコンとの間で双方向にデータ通信が可能である。したがって、EchonetLite方式に対応したスマートリモコンは、空調機の電源状態や、空調機が冷房、暖房、及び除湿等のうちどのような種類の運転を行っているのかといった動作モードや、風量及び温度等の条件設定を事前に空調機から取得して、現在の空調機の稼働状態から相対的な運転指示を行うことができる。
【0005】
しかしながら、ユーザが使用している空調機のスマートリモコンが、必ずしもEchonetLite方式に対応しているとは限らない。例えば空調機のスマートリモコンが赤外線方式である場合、赤外線方式ではデータの送信方向がスマートリモコンから空調機への単方向に限定されるため、スマートリモコンは空調機の現在の稼働状態を取得することができない。換言すれば、遠隔地にいるユーザも空調機における現在の稼働状態を知ることができない。
【0006】
このように、空調機の制御に赤外線方式のスマートリモコンを用いる場合、スマートリモコンは、空調機における現在の稼働状態を把握していないユーザの指示に従って空調機の制御を行うことになる。したがって、例えば節電を目的としたデマンドレスポンス(Demand Response:DR)制御を行わなければならない状況であっても、ユーザの指示に対応した制御データをそのまま空調機に送信した場合、空調機に対して節電に反する運転を実行させてしまうことがあるといった問題が生じる。
【0007】
本開示は上記事実を鑑みてなされたものであり、空調機との間で双方向にデータ通信を行うことができない場合であっても、空調機の稼働状態に応じて空調機の遠隔制御を行うことができる遠隔制御装置、遠隔制御プログラム、及び遠隔制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1態様に係る遠隔制御装置は、ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行う通信部と、前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得する取得部と、前記取得部で取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定する推定部と、前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記通信部を通じた赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記推定部によって前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する制御部と、を備える。
【0009】
第2態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機が設置された住宅の内外にそれぞれ取り付けられた第1温度センサと第2温度センサから温度を取得し、前記推定部は、前記第1温度センサから取得した室内温度と前記第2温度センサから取得した室外温度との差分が予め定めた第1閾値以上ある場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0010】
第3態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機が設置された住宅の内外にそれぞれ取り付けられた第1温度センサと第2温度センサから、予め定めた第1規定期間に亘って、前記第1温度センサで測定された室内温度と前記第2温度センサで測定された室外温度とを予め定めた間隔で取得し、前記推定部は、時系列に沿った前記室内温度と前記室外温度との差分が増加し続ける場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0011】
第4態様に係る遠隔制御装置は、第3態様に係る遠隔制御装置において、前記推定部は、前記差分が前回得られた前記差分以下であったとしても、前記差分が予め定めた第2閾値以上ある場合には、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0012】
第5態様に係る遠隔制御装置は、第2態様~第4態様の何れかの態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機が設置された室内に取り付けられた湿度センサから前記空調機が設置された室内の湿度を更に取得し、前記推定部は、前記差分と前記湿度センサから取得した湿度の情報を組みあわせて前記空調機の稼働状態を推定する。
【0013】
第6態様に係る遠隔制御装置は、第4態様に係る遠隔制御装置において、前記制御部は、時系列に沿って隣り合う各々の前記差分の変動量が予め定めた第3閾値以上である場合、前記空調機の設定温度を、前記取得部が前記第1温度センサから取得した最新の前記室内温度に設定する制御を行う。
【0014】
第7態様に係る遠隔制御装置は、第6態様に係る遠隔制御装置において、前記推定部は、時系列に沿って隣り合う各々の前記差分の変動量が前記第3閾値未満である場合、前記空調機が一時停止しないように、前記空調機の設定温度を、前記取得部が前記第1温度センサから取得した最新の前記室内温度から前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度だけ変化させた温度に設定する制御を行う。
【0015】
第8態様に係る遠隔制御装置は、第7態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記第1規定期間の開始時における日付を含むカレンダー情報を更に取得し、前記推定部は、前記カレンダー情報を用いて前記空調機が暖房運転及び冷房運転の何れの運転モードで稼働しているのかを推定し、前記制御部は、前記推定部によって前記空調機が冷房運転を行っていると推定された場合、前記空調機の設定温度を最新の前記室内温度から前記分解能に対応した温度だけ上昇させる制御を行い、前記推定部によって前記空調機が暖房運転を行っていると推定された場合、前記空調機の設定温度を最新の前記室内温度から前記分解能に対応した温度だけ低下させる制御を行う。
【0016】
第9態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機の電源プラグが差し込まれるコンセントと前記空調機の電源プラグとの間に取り付けられた電力計から前記空調機の消費電力を取得し、前記推定部は、前記空調機の消費電力が予め定めた第4閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0017】
第10態様に係る遠隔制御装置は、第9態様に係る遠隔制御装置において、前記第4閾値は、前記空調機が停止中に消費する消費電力の最大値である。
【0018】
第11態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機の電源プラグが差し込まれるコンセントと前記空調機の電源プラグとの間に取り付けられた電力計から予め定めた第2規定期間に亘って、前記空調機の消費電力を予め定めた間隔で取得し、前記推定部は、前記空調機の消費電力が、前記第2規定期間が開始して最初に取得した消費電力である基準消費電力より予め定めた第5閾値以上増加している場合に前記空調機が稼働中であると推定する。
【0019】
第12態様に係る遠隔制御装置は、第11態様に係る遠隔制御装置において、前記推定部は、前記空調機の消費電力が前記基準消費電力に対して前記第5閾値以上増加していないとしても、前記空調機の消費電力が予め定めた第6閾値を超える場合は前記空調機が稼働中であると推定する。
【0020】
第13態様に係る遠隔制御装置は、第12態様に係る遠隔制御装置において、前記第6閾値は、前記空調機が停止中に消費する消費電力の最大値である。
【0021】
第14態様に係る遠隔制御装置は、第11態様に係る遠隔制御装置において、前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記取得部によって稼働中の前記空調機の消費電力を取得した後、前記制御部は、前記空調機の設定温度を、前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度だけそれぞれ上昇及び低下させる制御を行い、前記空調機の設定温度を制御する前に前記取得部によって取得された稼働中の前記空調機の消費電力より消費電力が低下するような温度の設定方向に向かって前記空調機の設定温度を更に前記分解能に対応した温度だけ変化させる処理を、前記空調機の消費電力が前記空調機の設定温度を制御する前に前記取得部によって取得された稼働中の前記空調機の消費電力よりも予め定めた第7閾値以上低下するまで、予め定めた間隔毎に行う制御を行う。
【0022】
第15態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機の室外機に取り付けられた振動センサから前記空調機の室外機の振動量を取得し、前記推定部は、前記空調機の室外機の振動量が予め定めた第8閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0023】
第16態様に係る遠隔制御装置は、第15態様に係る遠隔制御装置において、前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された状況において、前記制御部は、前記空調機の室外機の振動量が予め定めた第9閾値以下の場合、前記取得部が前記振動センサから取得した最新の振動量より前記空調機の室外機の振動量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度を超えて変化させる制御を行うと共に、前記空調機の室外機の振動量が前記第9閾値を超える場合、前記取得部が前記振動センサから取得した最新の振動量より前記空調機の室外機の振動量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記分解能に対応した温度だけ変化させる制御を行う。
【0024】
第17態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機の室内機における風の吹き出し口に取り付けられた接触センサから、前記空調機の室内機における風の吹き出し口を覆うルーバーの開閉状態を取得し、前記推定部は、前記ルーバーが開いている場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0025】
第18態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機の室内機における風の吹き出し口に取り付けられた風量センサから、前記空調機の室内機における風の吹き出し口から吹き出す風量を取得し、前記推定部は、前記風量が予め定めた第10閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0026】
第19態様に係る遠隔制御装置は、第18態様に係る遠隔制御装置において、前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された状況において、前記制御部は、前記吹き出し口から吹き出す風量が前記第10閾値よりも大きい第11閾値以下の場合、前記空調機の設定風量を2段階以上小さくする制御を行うと共に、前記吹き出し口から吹き出す風量が前記第11閾値を超える場合、前記空調機の設定風量を1段階小さくする制御を行う。
【0027】
第20態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記空調機の室外機における風の吹き出し口に取り付けられた風量センサから、前記空調機の室外機における風の吹き出し口から吹き出す風量を取得し、前記推定部は、前記風量が予め定めた第12閾値を超える場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0028】
第21態様に係る遠隔制御装置は、第20態様に係る遠隔制御装置において、前記推定部によって前記空調機が稼働中であると推定された状況において、前記制御部は、前記吹き出し口から吹き出す風量が前記第12閾値よりも大きい第13閾値以下の場合、前記取得部が前記風量センサから取得した最新の風量より前記吹き出し口からの風量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記空調機の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度を超えて変化させる制御を行うと共に、前記吹き出し口からの風量が前記第13閾値を超える場合、前記取得部が前記風量センサから取得した最新の風量より前記吹き出し口からの風量が増加しないように、前記空調機の設定温度を、前記分解能に対応した温度だけ変化させる制御を行う。
【0029】
第22態様に係る遠隔制御装置は、第1態様に係る遠隔制御装置において、前記取得部は、前記センサを用いて前記空調機が設置された住宅における在宅状況を取得し、前記推定部は、前記空調機が設置された住宅に人がいる場合に、前記空調機が稼働中であると推定する。
【0030】
第23態様に係る遠隔制御装置は、第22態様に係る遠隔制御装置において、前記センサは、前記空調機が設置された住宅の中に取り付けられた人感センサを含む。
【0031】
第24態様に係る遠隔制御装置は、第23態様に係る遠隔制御装置において、前記制御部は、前記推定部によって前記人感センサの測定値から前記空調機が設置された住宅に人がいないと推定される一方、前記人感センサ以外の前記センサの測定値から前記空調機が稼働中であると推定された場合には、前記空調機を停止する制御を行う。
【0032】
第25態様に係る遠隔制御装置は、第22態様に係る遠隔制御装置において、前記センサは、前記空調機が設置された住宅を含む住宅全体の消費電力を記録するスマートメーターであり、前記取得部は、予め定めた第3規定期間に亘って、前記スマートメーターから消費電力を予め定めた間隔で取得し、前記推定部は、前記スマートメーターから取得した時系列に沿った消費電力の変化パターンと、予め定めた消費電力の変化パターンとを比較し、前記スマートメーターから取得した消費電力の変化パターンと前記予め定めた消費電力の変化パターンとの差分が予め定めた範囲を超える場合に、前記空調機が設置された住宅に人がいると推定する。
【0033】
第26態様に係る遠隔制御装置は、第25態様に係る遠隔制御装置において、前記予め定めた消費電力の変化パターンが、前記空調機が設置された住宅に誰も在宅していない期間に、前記スマートメーターによって記録された消費電力の変化パターンに設定される。
【0034】
第27態様に係る遠隔制御装置は、第25態様に係る遠隔制御装置において、前記予め定めた消費電力の変化パターンが、前記空調機が設置された住宅に在宅している人が就寝している期間に、前記スマートメーターによって記録された消費電力の変化パターンに設定される。
【0035】
第28態様に係る遠隔制御プログラムは、コンピュータに、ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行い、前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得し、取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定し、前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記単方向の赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する処理を実行させるためのプログラムである。
【0036】
第29態様に係る遠隔制御方法は、ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行い、前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得し、取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定し、前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する処理をコンピュータが実行する方法である。
【発明の効果】
【0037】
第1態様、第28態様、及び第29態様によれば、空調機との間で双方向にデータ通信を行うことができない場合であっても、空調機の稼働状態に応じて空調機の遠隔制御を行うことができる、という効果を有する。
【0038】
第2態様によれば、室内と室外の温度差から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0039】
第3態様によれば、室内と室外の温度差の変化から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0040】
第4態様によれば、室内と室外の温度差の変化だけから空調機の稼働状態を推定する場合と比較して、空調機の稼働状態を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0041】
第5態様によれば、室内と室外の温度だけから空調機の稼働状態を推定する場合と比較して、空調機の稼働状態を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0042】
第6態様によれば、設定温度を最新の室内温度に設定する前と比較して、空調機の消費電力を低下させることができる、という効果を有する。
【0043】
第7態様によれば、室内温度が空調機に設定した設定温度に近づいた場合に、空調機の消費電力を低下させることができる、という効果を有する。
【0044】
第8態様によれば、室内と室外の温度差だけから空調機の動作モードを推定する場合と比較して、空調機の動作モードを精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0045】
第9態様によれば、空調機の消費電力から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0046】
第10態様によれば、空調機が停止した後にフィルタ掃除といった後処理が実行される場合であっても、空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0047】
第11態様によれば、空調機の消費電力の変化から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0048】
第12態様によれば、空調機の消費電力の変化だけから空調機の稼働状態を推定する場合と比較して、空調機の稼働状態を精度よく推定することができる、という効果を有する。
【0049】
第13態様によれば、空調機が停止した後にフィルタ掃除といった後処理が実行される場合であっても、空調機の消費電力の大きさと空調機の消費電力の変化によって空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0050】
第14態様によれば、空調機の設定温度を制御する前と比較して、空調機の消費電力を低下させることができる、という効果を有する。
【0051】
第15態様によれば、空調機の室外機の振動量から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0052】
第16態様によれば、空調機の設定温度を制御する前と比較して、空調機の室外機の振動量に基づいて空調機の消費電力を低下させることができる、という効果を有する。
【0053】
第17態様によれば、空調機の室内機の吹き出し口を覆う吹き出しパネルの開閉状態から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0054】
第18態様によれば、空調機の室内機の吹き出し口から吹き出す風量によって、空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0055】
第19態様によれば、室内機の吹き出し口から吹き出す風量の大きさを考慮することなく風量の低下度合いを一律に等しくする場合と比較して、消費電力を削減した上で室内温度が空調機の設定温度に近づきやすくなる、という効果を有する。
【0056】
第20態様によれば、空調機の室外機の吹き出し口から吹き出す風量によって、空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0057】
第21態様によれば、空調機の設定温度を制御する前と比較して、空調機の室外機の吹き出し口から吹き出す風量に基づいて空調機の消費電力を低下させることができる、という効果を有する。
【0058】
第22態様によれば、在宅状況から空調機の稼働状態を推定することができる、という効果を有する。
【0059】
第23態様によれば、人感センサの測定値から在宅状況を推定することができる、という効果を有する。
【0060】
第24態様によれば、人感センサの測定値のみから空調機の稼働状態を推定した場合における空調機の消費電力と比較して、空調機の消費電力を低下させることができる、という効果を有する。
【0061】
第25態様によれば、住宅全体の消費電力の変化から在宅状況を推定することができる、という効果を有する。
【0062】
第26態様によれば、不在時における住宅全体の消費電力の変化がわかれば在宅状況を推定することができる、という効果を有する。
【0063】
第27態様によれば、就寝中における住宅全体の消費電力の変化がわかれば在宅状況を推定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】スマートリモコンの機能構成例を示す図である。
【
図3】スマートリモコンにおける電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図4】エアコン制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】温度センサを用いた遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【
図6】電力計を用いた遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【
図7】室外機に振動センサ又は風量センサを用いた遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【
図8】室内機に変位センサ又は風量センサを用いた遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【
図9】人感センサを用いた遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【
図10】スマートメーターを用いた遠隔制御システムのシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ又は等価な構成要素、及び同じ又は等価な処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0066】
図1は、本実施形態に係る遠隔制御システム100のシステム構成例を示す図である。遠隔制御システム100は、スマートリモコン1、エアコン2、センサ3、ユーザ端末4、及びサーバ5を含み、スマートリモコン1、ユーザ端末4、及びサーバ5はインターネット6を通じて相互に接続されている。
【0067】
スマートリモコン1は、ユーザ端末4を通じてユーザから受け付けた指示に従って、エアコン2の稼働状態を制御する遠隔制御装置の一例である。本実施形態に係るスマートリモコン1は、赤外線を用いてエアコン2の稼働状態を制御する赤外線方式の遠隔制御装置である。したがって、スマートリモコン1は、ユーザの指示に対応した制御コードをエアコン2に送信することはできるが、制御コードを受信したエアコン2からの応答を受信することはできない。すなわち、スマートリモコン1は、スマートリモコン1からエアコン2に制御コードを送信するだけの単方向の赤外線通信に対応した遠隔制御装置である。
【0068】
エアコン2は、スマートリモコン1から制御コードを赤外線通信によって受信し、受信した制御コードに従ってエアコン2の稼働状態を変化させる空調機の一例である。エアコン2の稼働状態には、例えば動作モード、風量、設定温度、風向き、及び電源のオンオフ等の状態が含まれる。また、エアコン2の動作モードには、例えば冷房、暖房、除湿等のモードが含まれる。
【0069】
エアコン2は室内機2Aと室外機2Bで構成され、室内機2Aは住宅の中に設置され、室外機2Bは住宅の外に設置されている。エアコン2の電源は住宅のコンセントから供給されているものとする。なお、本実施形態に係る「住宅」は戸建てや集合住宅といった居住用途の建物の他、例えば会社、工場、倉庫、店舗、及び乗り物のように内部に人が存在し、又は立ち入る可能性のある構造物全体を指している。
【0070】
センサ3は、エアコン2が設置された住宅の内外に取り付けられる測定器の一例であり、少なくとも1つのセンサ3が住宅に取り付けられる。住宅に取り付けられるセンサ3の種類は、エアコン2の稼働状態や人の在宅状況を推定するために必要な測定対象を測定するものであればその種類に制約はない。本実施形態に係るセンサ3の種類については後ほど説明する。
【0071】
センサ3はその種類によって、例えばエアコン2が設置された住宅の中(例えば
図1の位置(A))、エアコン2の電源を供給するコンセント部分(例えば
図1の位置(B))、室内機2A(例えば
図1の位置(C))、室外機2B(例えば
図1の位置(D))、及びエアコン2が設置された住宅の外(例えば
図1の位置(E))の少なくとも1箇所以上の場所に取り付けられる。
【0072】
ユーザ端末4は、ユーザが操作する情報機器の一例であり、例えばスマートフォン、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルコンピュータが用いられる。ユーザは、ユーザ端末4を操作することで、インターネット6を介してエアコン2に対する指示をスマートリモコン1に送信する。
【0073】
サーバ5は、遠隔制御システム100で用いられる各種データを記憶するデータサーバの一例である。したがって、サーバ5には、例えばユーザによっていつどのような指示が行われたのかといったユーザの操作履歴、及びセンサ3の測定値が時系列に沿って記憶されている。
【0074】
センサ3は、インターネット6に接続するインターフェースを備えている場合、例えばセンサ3で測定した測定値を時系列に沿ってサーバ5に記録する。一方、センサ3がインターネット6に接続するインターフェースを備えていない場合、センサ3は、例えばスマートリモコン1のようにインターネット6に接続するインターフェースを備えている情報機器を介して、測定した測定値を時系列に沿ってサーバ5に記録する。この場合、センサ3とスマートリモコン1との間は、例えばWi-Fi(登録商標)、bluetooth(登録商標)、及びzigbee(登録商標)といった近距離無線通信手段、又は有線で接続すればよい。本実施形態では、センサ3がインターネット6に接続するインターフェースを備えているものとして説明を行う。
【0075】
なお、スマートリモコン1が近距離無線通信手段によってセンサ3から測定値を取得する形態に加えて、スマートリモコン1がサーバ5を介してセンサ3の測定値を取得する形態も、「センサ3から測定値を取得する」形態の一例である。
【0076】
センサ3は、センサ3毎にユーザ端末4から指示された予め定められた間隔で測定対象の測定を行い、遅滞なく、すなわち、リアルタイムで測定値をサーバ5に送信する。しかしながら、センサ3の測定タイミングはこれに限られない。例えばセンサ3は、スマートリモコン1から測定要求を受け付けた場合に測定対象の測定を行ってもよい。また、センサ3は、予め定められた間隔で測定対象の測定を行いながら、スマートリモコン1から測定要求を受け付けた場合にも測定対象の測定を行うようにしてもよい。
【0077】
なお、スマートリモコン1とインターネット6の接続は有線であっても無線であってもどちらでもよい。
【0078】
図2は、スマートリモコン1の機能構成例を示す図である。
図2に示すように、スマートリモコン1は、通信部1A、取得部1B、推定部1C、及び制御部1Dの各機能部を有する。
【0079】
通信部1Aは、制御部1Dの制御に基づいて、ユーザから受け付けた指示に対応した制御コードを、赤外線を用いてエアコン2に送信する単方向の赤外線通信を行う。また、通信部1Aは、センサ3及びサーバ5と双方向にデータ通信を行う。
【0080】
取得部1Bは通信部1Aを介して、各々のセンサ3から測定値を取得する。
【0081】
推定部1Cは、取得部1Bが取得したセンサ3の測定値からエアコン2の稼働状態を推定する。
【0082】
制御部1Dは、通信部1A、取得部1B、及び推定部1Cと連携して、エアコン2の稼働状態に応じてエアコン2に対する遠隔制御の可否を制御する。
【0083】
具体的には、制御部1Dは、推定部1Cによってエアコン2が稼働中であると推定された場合、ユーザの指示に対応した遠隔制御をエアコン2に対して行うように通信部1Aを制御する。また、制御部1Dは、推定部1Cによってエアコン2が停止中であると推定された場合、ユーザの指示に対応した遠隔制御をエアコン2に対して行わないように通信部1Aを制御する。
【0084】
図2に示した機能構成を有するスマートリモコン1は、例えばコンピュータ10を用いて構成される。
図3は、スマートリモコン1における電気系統の要部構成例を示す図である。
【0085】
コンピュータ10は、
図2に示したスマートリモコン1の各機能部の処理を担うプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)11、コンピュータ10の起動処理を行う起動プログラム(Basic Input Output System:BIOS)を記憶するROM(Read Only Memory)12、CPU11の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)13、不揮発性メモリ14、及び入出力インターフェース(I/O)15を備える。CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、及びI/O15はバス16を介して各々接続されている。
【0086】
不揮発性メモリ14は、不揮発性メモリ14に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。したがって、不揮発性メモリ14には、例えばコンピュータ10をスマートリモコン1として機能させる遠隔制御プログラムが記憶される。なお、不揮発性メモリ14は、必ずしもコンピュータ10に内蔵されている必要はなく、例えばメモリカードのようにコンピュータ10に着脱される記憶装置であってもよい。
【0087】
I/O15には、例えば通信ユニット17、入力ユニット18、及び表示ユニット19が接続される。
【0088】
通信ユニット17はインターネット6に接続され、センサ3、ユーザ端末4、及びサーバ5と通信を行う通信プロトコルを備える。また、通信ユニット17は、エアコン2と単方向の赤外線通信を行う通信プロトコルを備える。
【0089】
入力ユニット18は、ユーザの指示を受け付けてCPU11に通知する装置であり、例えば各種ボタンが含まれる。ユーザの指示をユーザ端末4から受け付ける場合、I/O15に入力ユニット18が接続されていなくてもよい。
【0090】
表示ユニット19は、CPU11によって処理された各種情報を出力する装置であり、液晶ディスプレイ、及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような表示デバイスが含まれる。CPU11によって処理された各種情報をユーザ端末4で表示する場合には、I/O15に表示ユニット19が接続されていなくてもよい。
【0091】
次に、本実施形態に係るスマートリモコン1の作用について詳細に説明する。
【0092】
図4は、ユーザ端末4からユーザの指示を受け付けた場合に、CPU11によって実行されるエアコン制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。エアコン制御処理を規定する遠隔制御プログラムは、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている。CPU11は、不揮発性メモリ14に記憶される遠隔制御プログラムを読み込み、エアコン制御処理を実行する。
【0093】
まず、ステップS10において、CPU11は、予め定めたセンサ3から測定値を取得する。
【0094】
ステップS20において、CPU11は、予め定めた推定ルールに従って、ステップS10で取得したセンサ3の測定値からエアコン2の稼働状態を推定する。参照する推定ルールは、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている。
【0095】
なお、ステップS10において測定値を取得するセンサ3の種類と、ステップS20において参照する推定ルールについてはこの後詳細に説明する。
【0096】
ステップS30において、CPU11は、ステップS20で推定したエアコン2の稼働状態が稼働中であるか否かを判定する。エアコン2が稼働中であると推定される場合にはステップS40に移行する。
【0097】
ステップS40において、CPU11は、ユーザの指示に対応した制御コードを生成し、赤外線を用いて制御コードをエアコン2に送信することによってエアコン2の制御を行う。
【0098】
一方、ステップS30の判定処理において、エアコン2は稼働中でない、すなわち、エアコン2が停止中であると推定された場合には、ステップS40の処理を実行することなく
図4に示すエアコン制御処理を終了する。
【0099】
すなわち、本実施形態に係るスマートリモコン1によれば、エアコン2が停止中の場合は、ユーザが遠隔地からエアコン2に対して指示を行ったとしても、エアコン2に対してユーザの指示に応じた制御を行わないようにする。
【0100】
例えば帰宅してからエアコン2で冷房を稼働させると暫く暑い状態が続いてしまうことから、ユーザによっては帰宅前からエアコン2を稼働させることがある。また、エアコン2の中には、例えば停止中のエアコン2の温度設定等を調整すると、それまでオフだったエアコン2の電源がオンになり、指定された設定温度で動作し始めるエアコン2も存在する。
【0101】
したがって、例えば電力会社の電力供給量がひっ迫して注意報が発令された場合、ユーザはエアコン2の稼働状態がわからないため、実際には停止中のエアコン2を稼働中であると思い込んで、節電のために遠隔地から設定温度を調整することが考えられる。この場合、従来のスマートリモコンであれば、停止中のエアコン2の電源をオンにしてしまうことがあり、この場合、逆に消費電力が増大するといった状況が発生してしまうが、本実施形態に係るスマートリモコン1によれば、エアコン2が停止中であればエアコン2の制御を行わないため、停止中のエアコン2の電源をオンにすることはない。
【0102】
次に、
図4のステップS10において測定値を取得するセンサ3の種類と、ステップS20において参照する推定ルールについて説明する。
【0103】
<A:温度センサを用いたエアコンの稼働状態の推定>
まず、センサ3として温度センサ31を用いてエアコン2の稼働状態を推定する例について説明する。
【0104】
温度センサ31は、設置された周囲の温度を測定するセンサ3である。温度センサ31における温度測定方式には、例えばサーミスタを利用したものや熱電対を利用したものなど様々な種類が存在するが、温度センサ31における温度測定方式は何れの方式であってもよい。
【0105】
温度センサ31は、
図1における位置(A)と、
図1における位置(E)にそれぞれ設置される。位置(A)に設置される温度センサ31は、エアコン2が設置された住宅の中の温度、すなわち、室内温度を測定する。位置(E)に設置される温度センサ31は、エアコン2が設置された住宅の外の温度、すなわち、室外温度を測定する。
【0106】
説明の便宜上、位置(A)に設置される温度センサ31を温度センサ31Aと表し、位置(E)に設置される温度センサ31を温度センサ31Bと表す(
図5参照)。温度センサ31Aは第1温度センサの一例であり、温度センサ31Bは第2温度センサの一例である。なお、温度センサ31A及び温度センサ31Bを区別する必要がない場合、温度センサ31と表す。
【0107】
図4のステップS10において、CPU11は、温度センサ31A及び温度センサ31Bからそれぞれの測定値を取得する。
【0108】
ステップS20において、CPU11は、温度センサ31Aから取得した室内温度と温度センサ31Bから取得した室外温度の差分を演算する。なお、差分は演算結果の絶対値で表す。
【0109】
エアコン2が稼働している場合には室内温度が変化することから、室内温度と室外温度との差分が大きくなるにつれて、エアコン2が稼働している蓋然性が高くなる。したがって、CPU11は、室内温度と室外温度との差分が予め定めた第1閾値以上ある場合に、エアコン2が稼働中であると推定し、室内温度と室外温度との差分が第1閾値未満の場合に、エアコン2が停止中であると推定する。
【0110】
第1閾値は、室内温度と室外温度との差分がこの値以上あれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。第1閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第1閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0111】
[変形例A-1]
上記では、それぞれ最新の室内温度と室外温度との差分の大きさに着目してエアコン2の稼働状態を推定したが、室内温度と室外温度との差分の変化に着目してエアコン2の稼働状態を推定してもよい。
【0112】
例えば
図4のステップS10において、CPU11は、温度センサ31A及び温度センサ31Bから、予め定めた第1規定期間に亘ってそれぞれの測定値を予め定めた間隔で取得する。
【0113】
室内温度と室外温度の取得間隔に制約はなく、例えば1分間隔であっても10分間隔であってもよいが、温度の変化には時間がかかるため、エアコン2によって室内温度が変化するのに要すると考えられる最小の間隔以上であることが好ましい。一例として、室内温度と室外温度の取得間隔は15分に設定される。また、第1規定期間は、室内温度と室外温度の測定期間であり、その期間内に室内温度と室外温度が複数回取得できる長さに設定される。一例として、第1規定期間は1時間に設定される。
【0114】
室内温度と室外温度の取得間隔及び第1規定期間は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。室内温度と室外温度の取得間隔及び第1規定期間は、ユーザによって変更可能である。
【0115】
ステップS20において、CPU11は、各々の間隔毎に温度センサ31Aから取得した室内温度と温度センサ31Bから取得した室外温度の差分を演算する。
【0116】
エアコン2が稼働中の場合、動作モードが冷房であれば、室内温度が設定温度に達するまで室内温度が低下し続け、動作モードが暖房であれば、室内温度が設定温度に達するまで室内温度が上昇し続ける。
【0117】
したがって、CPU11は、予め定めた間隔毎に演算した室内温度と室外温度との差分を時系列に並べ、時系列に沿った室内温度と室外温度との差分が増加し続ける場合にエアコン2が稼働中であると推定し、時系列に沿った室内温度と室外温度との差分が増加し続けていない場合にエアコン2が停止中であると推定する。
【0118】
[変形例A-2]
エアコン2が稼働中であっても、例えば室外温度が変化することによって、時系列に沿った室内温度と室外温度との差分が途中で減少に転じることもある。したがって、CPU11は、第1規定期間の間に室内温度と室外温度との差分が時系列に沿って隣り合う前回得られた差分以下になっていたとしても、差分が第2閾値以上ある場合には、エアコン2が稼働中であると推定してもよい。第2閾値は、室内温度と室外温度との差分がこの値以上あれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。第2閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第2閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0119】
[変形例A-3]
室内温度が変化すると室内の湿度も変化するため、室内の湿度もエアコン2の稼働状態を推定する上での参考値となる。したがって、エアコン2が設置された室内(例えば
図5の位置(A))に湿度センサ38を取り付け、ステップS10において、CPU11は、温度センサ31だけでなく湿度センサ38からも測定値を取得してもよい。この場合、ステップS20において、CPU11は、室内温度と室外温度との差分と湿度センサ38で測定された室内の湿度の情報を組み合わせてエアコン2の稼働状態を推定する。具体的には、上記で説明したようなエアコン2が稼働中であると推定するための推定ルールに加えて、室内の湿度が規定湿度以下である場合に、CPU11は、エアコン2が稼働中であると推定してもよい。
【0120】
ここまで、温度センサ31を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法について説明してきたが、例えば電力会社の電力供給量がひっ迫して注意報が発令された場合、スマートリモコン1は、ユーザからの節電指示を受け付けることがある。既に説明したように、ユーザはエアコン2の稼働状態がわからないため、この場合の節電指示は設定温度等を具体的に指定した節電指示でなく、スマートリモコン1の判断によって節電となるような制御を行って欲しいといった、スマートリモコン1に節電方法を委任した節電指示となることがある。
【0121】
したがって、以下では、ユーザから節電指示を受け付けた場合にスマートリモコン1で実行される温度センサ31を用いたエアコン2の節電制御について説明する。
【0122】
<B:温度センサを用いたエアコンの節電制御>
[変形例A-2]の方法によってエアコン2の稼働状態が稼働中であると判定された場合、
図4のステップS40において、CPU11は、室内温度と室外温度との差分を時系列に沿って並べ、時系列に沿って隣り合う室内温度と室外温度との差分間の変動量が第3閾値以上であるか否かを判定する。
【0123】
第3閾値は、室内温度と室外温度との差分の変動量の度合いを表す値であり、エアコン2が省エネ運転を行っているか否かを判定するための値である。省エネ運転とは、室内温度がエアコン2の設定温度であるとみなせる範囲(「許容範囲」という)内に入っているときのエアコン2の運転状態である。室内温度がエアコン2の設定温度の許容範囲内に入ると、エアコン2は、室内温度が許容範囲内に収まり続けるように室内温度を維持するだけでよいため、室内温度をエアコン2の設定温度の許容範囲外から許容範囲内まで変化させるのに要する消費電力よりも少ない消費電力で運転することができる。このような運転状態を「省エネ運転」という。これに対して、室内温度をエアコン2の設定温度の許容範囲外から許容範囲内まで変化させているときのエアコン2の運転状態を「移行運転」という。
【0124】
エアコン2が移行運転を行っている場合には、省エネ運転を行っている場合よりも室内温度の変動量が大きいことから、第3閾値は、時系列に沿って隣り合う室内温度と室外温度との差分間の変動量がこの値以上であれば、エアコン2が移行運転を行っているとみなすことができるような値に設定される。一例として、第3閾値は、許容範囲の幅に対応した温度に設定される。第3閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第3閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0125】
時系列に沿って隣り合う室内温度と室外温度との差分間の変動量が第3閾値以上である場合、エアコン2は省エネ運転に移行中ということになる。この場合、エアコン2の動作モードが冷房であれば、エアコン2の設定温度は時系列に沿って取得した最後の室内温度、すなわち、最新の室内温度より低い値に設定されていると推定され、エアコン2の動作モードが暖房であれば、エアコン2の設定温度は時系列に沿って取得した最新の室内温度より高い値に設定されていると推定される。
【0126】
したがって、CPU11は、時系列に沿って隣り合う室内温度と室外温度との差分間の変動量が第3閾値以上である場合、エアコン2の設定温度を最新の室内温度に設定する。これにより、エアコン2の動作モードが移行運転から省エネ運転となるため、エアコン2の消費電力が低下することになる。
【0127】
一方、時系列に沿って隣り合う室内温度と室外温度との差分間の変動量が第3閾値未満に抑えられている場合、エアコン2は移行運転よりも省エネ運転を行っている蓋然性が高い。この場合、室内温度がエアコン2の設定温度の許容範囲内で推移している状態、すなわち、室内温度が安定している状態にある。
【0128】
エアコン2の動作モードが冷房の場合で、かつ、室内温度が安定している場合に、消費電力を低下しようとしてエアコン2の設定温度を上昇させると、エアコン2が一時停止した後、再開する動作を行う。また、エアコン2の動作モードが暖房の場合で、かつ、室内温度が安定している場合に、消費電力を低下しようとしてエアコン2の設定温度を低下させた場合も、エアコン2が一時停止した後、再開する動作を行う。エアコン2の再開時には省エネ運転を継続しているときの消費電力よりも多くの電力を消費することがある。すなわち、エアコン2が省エネ運転をしている場合には、エアコン2の設定温度の変動幅をできるだけ小さくしてそのまま省エネ運転を継続させた方がエアコン2の消費電力が低下する傾向にある。
【0129】
したがって、CPU11は、エアコン2が一時停止しないように、エアコン2の設定温度を最新の室内温度から1段階だけ変化させる。ここで、設定温度の1段階とは、エアコン2の設定温度の最小変化分である分解能に対応した温度をいう。例えばエアコン2の設定温度が1℃刻みで設定可能であれば、エアコン2の設定温度を1段階だけ変化させるとは、エアコン2の設定温度を設定中の温度から+1℃、又は-1℃変化させることをいう。エアコン2の設定温度が0.5℃刻みで設定可能であれば、エアコン2の設定温度を1段階だけ変化させるとは、エアコン2の設定温度を設定中の温度から+0.5℃、又は-0.5℃変化させることをいう。
【0130】
例えば時系列に沿って取得した室内温度が低下している場合、エアコン2の動作モードは冷房であると推定されるため、CPU11は、最新の室内温度から1段階だけ上昇させた温度を新たなエアコン2の設定温度とする制御を行う。また、例えば時系列に沿って取得した室内温度が上昇している場合、エアコン2の動作モードは暖房であると推定されるため、CPU11は、最新の室内温度から1段階だけ低下させた温度を新たなエアコン2の設定温度とする制御を行う。
【0131】
なお、CPU11は、最新の室内温度から1段階だけ変化させた温度をエアコン2の新たな設定温度とする代わりに、エアコン2の現在の設定温度から1段階だけ変化させた温度をエアコン2の新たな設定温度としてもよい。
【0132】
ここでは一例として、室内温度の変化傾向からエアコン2の動作モードを推定したが、CPU11は、第1規定期間の開始時における日付を含むカレンダー情報を、例えばインターネット6に接続された外部装置から取得してもよい。日付がわかれば、エアコン2がどの季節で使用されているのかがわかるため、エアコン2の動作モードが推定される。例えばCPU11は、カレンダー情報に含まれる日付が6月1日から9月末までであれば、エアコン2が夏季に使用されていることからエアコン2の動作モードを冷房と推定する。また、CPU11は、カレンダー情報に含まれる日付が11月1日から2月末までであれば、エアコン2が冬季に使用されていることからエアコン2の動作モードを暖房と推定する。
【0133】
このようにして、CPU11は、ユーザから節電指示を受け付けた場合、温度センサ31を用いたエアコン2の節電制御を行う。
【0134】
ここまで、温度センサ31を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法とエアコン2の節電制御について説明してきたが、他の種類のセンサ3を用いてもエアコン2の稼働状態を推定すると共に、エアコン2の節電制御を行うことができる。
【0135】
そこで、次は電力計32を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法とエアコン2の節電制御について説明する。
【0136】
<C:電力計を用いたエアコンの稼働状態の推定>
電力計32は、エアコン2の消費電力を測定するセンサ3の一例である。電力計32は、エアコン2の電源プラグが差し込まれるコンセントとエアコン2の電源プラグとの間に挿入され、
図1における位置(B)に設置され、
図6に示すようなシステム構成をとる。
【0137】
図4のステップS10において、CPU11は、電力計32から消費電力を取得する。
【0138】
エアコン2が稼働中であればエアコン2は電力を消費することから、ステップS20において、CPU11は、電力計32から取得した消費電力が予め定めた第4閾値を超える場合に、エアコン2が稼働中であると推定する。
【0139】
第4閾値は、エアコン2の消費電力がこの値を超えれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。
【0140】
エアコン2は、エアコン2が停止中であっても、例えばフィルタ掃除や雑菌の繁殖を抑える後処理を行ったり、スマートリモコン1からの制御コードを受信したりするために電力を消費する。したがって、第4閾値は、エアコン2の停止中における消費電力の最大値に設定することが好ましい。第4閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第4閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0141】
[変形例C-1]
上記では、エアコン2の消費電力の大きさに着目してエアコン2の稼働状態を推定したが、消費電力の変化に着目してエアコン2の稼働状態を推定してもよい。
【0142】
例えば
図4のステップS10において、CPU11は、電力計32から予め定めた第2規定期間に亘ってエアコン2の消費電力を予め定めた間隔で取得する。
【0143】
エアコン2の消費電力の取得間隔に制約はなく、例えば1分間隔であっても10分間隔であってもよいが、消費電力の取得間隔が短すぎると消費電力の大局的な変化を把握することが困難であるため、一例として、エアコン2の消費電力の取得間隔は1分に設定される。また、第2規定期間は、エアコン2の消費電力の測定期間であり、その期間内にエアコン2の消費電力が複数回取得できる長さに設定される。一例として、第2規定期間は10分に設定される。
【0144】
エアコン2の消費電力の取得間隔及び第2規定期間は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。エアコン2の消費電力の取得間隔及び第2規定期間は、ユーザによって変更可能である。
【0145】
エアコン2の運転モードが移行運転である場合、室内温度をエアコン2の設定温度にできるだけ早く近づけようとして、エアコン2の消費電力が徐々に増加することがある。
【0146】
したがって、ステップS20において、CPU11は、第2規定期間が開始して最初に取得したエアコン2の消費電力を基準消費電力に設定し、第2規定期間において、エアコン2の消費電力が基準消費電力より予め定めた第5閾値以上増加している場合に前記空調機が稼働中であると推定する。
【0147】
第5閾値は、エアコン2の消費電力の増加量がこの値以上あれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。第5閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第5閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0148】
一方、CPU11は、第2規定期間において、基準消費電力に対するエアコン2の消費電力の増加量が第5閾値未満である場合、又は、エアコン2の消費電力が基準消費電力以下になる場合には、エアコン2が停止中であると推定する。
【0149】
[変形例C-2]
近年のエアコン2は、人工知能を利用して消費電力を細かく制御するため、エアコン2が稼働中であっても、第2規定期間におけるエアコン2の消費電力が基準消費電力以下になったり、第2規定期間におけるエアコン2の消費電力の増加量が第5閾値未満に抑えられたりすることがある。
【0150】
したがって、CPU11は、第2規定期間における基準消費電力に対するエアコン2の消費電力の増加量が第5閾値未満であったとしても、又は、第2規定期間におけるエアコン2の消費電力が基準消費電力以下であったとしても、予め定めた間隔毎に取得したエアコン2の各々の消費電力が第6閾値以上ある場合には、エアコン2が稼働中であると推定してもよい。
【0151】
第6閾値は、エアコン2の消費電力がこの値以上あれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。具体的には、第6閾値は、エアコン2の停止中における消費電力の最大値に設定することが好ましい。すなわち、第6閾値は第4閾値と同じ値に設定されるが、第4閾値と異なる値であってもよい。第6閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第6閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0152】
<D:電力計を用いたエアコンの節電制御>
次に、ユーザから節電指示を受け付けた場合にスマートリモコン1で実行される電力計32を用いたエアコン2の節電制御について説明する。
【0153】
エアコン2の稼働状態が稼働中であると判定された場合、
図4のステップS40において、CPU11は、エアコン2の消費電力を取得する。本節電制御では、ここで取得した消費電力を基準消費電力とする。
【0154】
一方、CPU11は、エアコン2が稼働中であることは把握しているが、エアコン2が冷房で動作しているのか、それとも暖房で動作しているのかといった動作モードがわからない。
【0155】
したがって、CPU11は、エアコン2の設定温度を現在の設定温度からそれぞれ1段階だけ上昇及び低下させる制御を行い、設定温度を変化させた後のエアコン2の消費電力をそれぞれ測定する。
【0156】
仮にエアコン2の動作モードが冷房であった場合、エアコン2の設定温度を1段階上昇させると基準消費電力より消費電力が低下し、エアコン2の設定温度を1段階低下させると基準消費電力より消費電力が増加する。また、仮にエアコン2の動作モードが暖房であった場合、エアコン2の設定温度を1段階上昇させると基準消費電力より消費電力が増加し、エアコン2の設定温度を1段階低下させると基準消費電力より消費電力が低下する。したがって、CPU11は、設定温度を変化させた後の消費電力が基準消費電力よりも予め定めた第7閾値以上低下するまで、基準消費電力より消費電力が低下するような温度の設定方向に向かってエアコン2の設定温度を予め定めた間隔毎に1段階ずつ変化させる。
【0157】
第7閾値は、節電指示を受け付けた場合におけるエアコン2の消費電力の削減目標値である。第7閾値は、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値であり、ユーザによって変更可能である。
【0158】
これにより、ユーザから節電指示を受け付けた場合、エアコン2の消費電力が基準消費電力に比べて第7閾値分だけ低下することになる。
【0159】
次に、振動センサ33を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法とエアコン2の節電制御について説明する。
【0160】
<E:振動センサを用いたエアコンの稼働状態の推定>
振動センサ33は、振動量を測定するセンサ3の一例である。振動センサ33は、室外機2Bと接触するように
図1の位置(D)に取り付けられ、
図7に示すようなシステム構成をとる。
【0161】
センサ3として振動センサ33を用いる場合、
図4のステップS10において、CPU11は、振動センサ33から室外機2Bの振動量を取得する。
【0162】
エアコン2が稼働中であれば、室外機2Bに含まれるコンプレッサの動作によって室外機2Bが振動することから、ステップS20において、CPU11は、振動センサ33から取得した振動量が予め定めた第8閾値を超える場合に、エアコン2が稼働中であると推定する。
【0163】
第8閾値は、エアコン2の振動量がこの値を超えれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。第8閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第8閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0164】
一方、CPU11は、振動センサ33から取得した振動量が第8閾値以下である場合に、エアコン2が停止中であると推定すればよい。
【0165】
ここでは一例として、室外機2Bに振動センサ33を取り付け、室外機2Bの振動量からエアコン2の稼働状態を推定したが、エアコン2が稼働中であれば、風の吹き出し方向を変えるために風の吹き出し口に取り付けられた方向調整器(以降、「ルーバー」という)の動きや、風の吹き出しによって室内機2Aも振動する。したがって、室内機2Aに振動センサ33を取り付け(
図1の位置(C))、CPU11は、室内機2Aの振動量が予め定めた振動量(例えば第8閾値)を超える場合に、エアコン2が稼働中であると推定してもよい。なお、室内機2Aにおいて風の上下方向を調整するルーバーは、エアコン2が稼働していない場合、風の吹き出し口を覆っている。
【0166】
<F:振動センサ33を用いたエアコンの節電制御>
次に、ユーザから節電指示を受け付けた場合にスマートリモコン1で実行される振動センサ33を用いたエアコン2の節電制御について説明する。
【0167】
室内温度がエアコン2の設定温度に近づくにつれて、室外機2Bに含まれるコンプレッサにかかる負荷が低下する。コンプレッサにかかる負荷が低下すると、コンプレッサにおける圧縮動作が緩やかになることから室外機2Bの振動量が小さくなる。すなわち、省エネ運転中における室外機2Bの振動量は、移行運転中における室外機2Bの振動量よりも小さくなる。
【0168】
したがって、エアコン2の稼働状態が稼働中であると判定された場合、
図4のステップS40において、CPU11は、振動センサ33から室外機2Bの振動量を取得する。本節電制御では、ここで取得した振動量を基準振動量とする。
【0169】
第9閾値を、エアコン2が省エネ運転を行っている場合における室外機2Bの振動量の最大値に設定すれば、基準振動量が第9閾値以下の場合、エアコン2は省エネ運転を行っていることになる。この場合、室内温度は既にエアコン2の設定温度付近になっていることから、エアコン2の設定温度の変動幅を比較的大きくとっても快適性は失われにくい。
【0170】
一方、基準振動量が第9閾値を超える場合、エアコン2は移行運転を行っていることになるため、エアコン2が省エネ運転を行っている場合と同じ変動幅でエアコン2の設定温度を変化させない方が好ましい。
【0171】
したがって、CPU11は、基準振動量が第9閾値以下の場合、設定温度を変化させた後の室外機2Bの振動量が基準振動量よりも低下するような温度の設定方向に向かってエアコン2の設定温度を2段階以上変化させる。一方、CPU11は、基準振動量が第9閾値を超える場合、設定温度を変化させた後の室外機2Bの振動量が基準振動量よりも低下するような温度の設定方向に向かってエアコン2の設定温度を1段階だけ変化させる。
【0172】
なお、CPU11は、エアコン2が稼働中であることは把握しているが、エアコン2が冷房で動作しているのか、それとも暖房で動作しているのかといった動作モードがわからない。
【0173】
したがって、CPU11は、仮にエアコン2の設定温度を現在の設定温度から上昇させる制御を行い、設定温度を上昇させた後の室外機2Bの振動量を測定して室外機2Bの振動量が基準振動量より増加すれば、設定温度を低下させる方向に設定温度を変化し、室外機2Bの振動量が基準振動量より低下すれば、設定温度を上昇させる方向に設定温度を変化させればよい。
【0174】
これにより、ユーザから節電指示を受け付けた場合、コンプレッサにかかる負荷が節電制御を行う前よりも低下するため、エアコン2の消費電力も低下することになる。
【0175】
次に、接触センサ34を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法について説明する。
【0176】
<G:接触センサを用いたエアコンの稼働状態の推定>
接触センサ34は、物体の動作状態を測定するセンサ3の一例である。接触センサ34は
図1の位置(C)、具体的には、室内機2Aの吹き出し口に取り付けられ、
図8に示すようなシステム構成をとる。
【0177】
接触センサ34は、室内機2Aが風を吹き出そうとして、それまで風の吹き出し口を覆っていたルーバーを開くとルーバーが接触するような位置に取り付けられる。すなわち、接触センサ34は、ルーバーの接触状態によりルーバーの開閉状態を測定する。例えば接触センサ34は、ルーバーが接触している場合にはオンに対応した信号を出力して、スマートリモコン1にルーバーが開状態になったことを通知し、ルーバーが接触していない場合にはオフに対応した信号を出力して、スマートリモコン1にルーバーが閉状態になったことを通知する。
【0178】
センサ3として接触センサ34を用いる場合、
図4のステップS10において、CPU11は、接触センサ34から室内機2Aのルーバーの開閉状態を取得する。
【0179】
エアコン2が稼働していれば、エアコン2は、室内機2Aの吹き出し口から風を吹き出すためにルーバーを開く動作を行う。したがって、ステップS20において、CPU11は、接触センサ34から取得したルーバーの開閉状態が開状態であれば、エアコン2が稼働中であると推定する。一方、CPU11は、接触センサ34から取得したルーバーの開閉状態が閉状態であれば、エアコン2が停止中であると推定すればよい。
【0180】
次に、風量センサ35を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法とエアコン2の節電制御について説明する。
【0181】
<H:風量センサを用いたエアコンの稼働状態の推定>
風量センサ35は、風速等から風量を測定するセンサ3の一例である。風量センサ35は
図1の位置(C)、具体的には、室内機2Aの風の吹き出し口に取り付けられ、
図8に示すようなシステム構成をとる。すなわち、風量センサ35は、室内機2Aの吹き出し口から吹き出す風の風量を測定する。以降では、室内機2Aの吹き出し口から吹き出す風の風量のことを、「室内機2Aの風量」という。
【0182】
センサ3として風量センサ35を用いる場合、
図4のステップS10において、CPU11は、風量センサ35を用いて室内機2Aの風量を取得する。
【0183】
エアコン2が稼働していれば、エアコン2は、室内機2Aの吹き出し口から風を吹き出す。したがって、ステップS20において、CPU11は、風量センサ35から取得した室内機2Aの風量が予め定めた第10閾値を超える場合に、エアコン2が稼働中であると推定する。
【0184】
第10閾値は、室内機2Aの風量がこの値を超えれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。第10閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第10閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0185】
一方、CPU11は、風量センサ35から取得した室内機2Aの風量が第10閾値以下である場合に、エアコン2が停止中であると推定すればよい。
【0186】
[変形例H-1]
上記では、室内機2Aの風の吹き出し口に風量センサ35を取り付ける例について説明したが、エアコン2が稼働中であれば、室外機2Bの吹き出し口からも風が吹き出す。したがって、風量センサ35を
図1の位置(D)、具体的には、室外機2Bの風の吹き出し口に取り付けてもエアコン2の稼働状態を推定することができる(
図7参照)。
【0187】
しかしながら、エアコン2が稼働中に室外機2Bの吹き出し口から吹き出す風量、すなわち、室外機2Bの風量と、室内機2Aの風量は異なるため、第10閾値の代わりに、第10閾値とは異なる第12閾値を用いてエアコン2の稼働状態を推定した方がよい。
【0188】
第12閾値は、室外機2Bの風量がこの値を超えれば、エアコン2が稼働しているとみなすことができるような値に設定される。第12閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第12閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0189】
CPU11は、風量センサ35から取得した室外機2Bの風量が予め定めた第12閾値を超える場合にエアコン2が稼働中であると推定し、第12閾値以下である場合にエアコン2が停止中であると推定すればよい。
【0190】
<I:風量センサを用いたエアコンの節電制御>
次に、ユーザから節電指示を受け付けた場合にスマートリモコン1で実行される風量センサ35を用いたエアコン2の節電制御について説明する。
【0191】
室内温度がエアコン2の設定温度に近づくにつれて、室内温度を緩やかに調整する必要性が生じることから、室内機2Aの風量が低下する傾向がある。したがって、省エネ運転中における室内機2Aの風量は、移行運転中における室内機2Aの風量よりも小さくなる。
【0192】
例えば第10閾値よりも大きい第11閾値を、エアコン2が省エネ運転を行っている場合における室内機2Aの風量の最大値に設定すれば、室内機2Aの風量が第10閾値を超え、かつ、第11閾値以下の場合、エアコン2は省エネ運転を行っていることになる。この場合、室内温度は既にエアコン2の設定温度付近になっていることから、室内機2Aの風量の変動幅を比較的大きくとっても快適性は失われにくい。一方、室内機2Aの風量が第11閾値を超える場合、エアコン2は移行運転を行っていることになるため、エアコン2が省エネ運転を行っている場合と同じ変動幅で室内機2Aの風量を変化させない方が好ましい。
【0193】
したがって、エアコン2の稼働状態が稼働中であると判定された場合、
図4のステップS40において、CPU11は、風量センサ35から室内機2Aの風量を取得する。取得した室内機2Aの風量が第11閾値以下の場合、エアコン2の設定風量を2段階以上小さくする制御を行う。一方、取得した室内機2Aの風量が第11閾値を超える場合、CPU11は、エアコン2の設定風量を1段階小さくする制御を行う。
【0194】
なお、第11閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第11閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0195】
室内機2Aの風量が少ないほど消費電力が低下するため、上記の節電制御を行うことで、室内の快適性をできるだけ維持したままエアコン2の消費電力を低下することができる。
【0196】
[変形例I-1]
上記では、室内機2Aの風量からエアコン2の節電制御を行う例について説明したが、室外機2Bの風量を測定することによってもエアコン2の節電制御を行うことができる。
【0197】
室内機2Aの風量と同様に、室内温度がエアコン2の設定温度に近づくにつれて、室内温度を緩やかに調整する必要性が生じることから、室外機2Bのコンプレッサの負荷が低下し、室外機2Bの風量も低下する傾向がある。
【0198】
したがって、エアコン2の稼働状態が稼働中であると判定された場合、
図4のステップS40において、CPU11は、風量センサ35から室外機2Bの風量を取得する。取得した室外機2Bの風量が、エアコン2が省エネ運転を行っている場合における室外機2Bの風量の最大値以下であれば、CPU11は、エアコン2の設定風量を2段階以上小さくする制御を行う。一方、取得した室外機2Bの風量が、エアコン2が省エネ運転を行っている場合における室外機2Bの風量の最大値を超える場合、CPU11は、エアコン2の設定風量を1段階小さくする制御を行う。
【0199】
なお、CPU11は、風量センサ35で測定した風量に基づいてエアコン2の設定温度を変化させることによって、エアコン2の節電制御を行うこともできる。
【0200】
エアコン2の稼働状態が稼働中であると判定された場合、
図4のステップS40において、CPU11は、風量センサ35から室外機2Bの風量を取得する。本節電制御では、ここで取得した風量を基準風量とする。基準風量は、風量センサ35から取得した最新の風量である。
【0201】
例えば第12閾値よりも大きい第13閾値を、エアコン2が省エネ運転を行っている場合における室外機2Bの風量の最大値に設定すれば、室外機2Bの風量が第12閾値を超え、かつ、第13閾値以下の場合、エアコン2は省エネ運転を行っていることになる。この場合、室内温度は既にエアコン2の設定温度付近になっていることから、エアコン2の設定温度の変動幅を比較的大きくとっても快適性は失われにくい。一方、室外機2Bの風量が第13閾値を超える場合、エアコン2は移行運転を行っていることになるため、エアコン2が省エネ運転を行っている場合と同じ変動幅でエアコン2の設定温度を変化させない方が好ましい。
【0202】
したがって、CPU11は、基準風量が第13閾値以下の場合、設定温度を変化させた後の室外機2Bの風量が基準風量よりも低下するような温度の設定方向に向かってエアコン2の設定温度を2段階以上変化させる。一方、CPU11は、基準風量が第13閾値を超える場合、設定温度を変化させた後の室外機2Bの風量が基準風量よりも低下するような温度の設定方向に向かってエアコン2の設定温度を1段階だけ変化させる。
【0203】
第13閾値は、エアコン2の実機による実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。第13閾値は、ユーザによって変更可能である。
【0204】
なお、CPU11は、エアコン2が稼働中であることは把握しているが、エアコン2が冷房で動作しているのか、それとも暖房で動作しているのかといった動作モードがわからない。
【0205】
したがって、CPU11は、仮にエアコン2の設定温度を現在の設定温度から上昇させる制御を行い、設定温度を上昇させた後の室外機2Bの風量を測定して室外機2Bの風量が基準風量より増加すれば、設定温度を低下させる方向に設定温度を変化し、室外機2Bの風量が基準風量より低下すれば、設定温度を上昇させる方向に設定温度を変化させればよい。
【0206】
次に、人感センサ36を用いたエアコン2の稼働状態の推定方法とエアコン2の節電制御について説明する。
【0207】
<J:人感センサを用いたエアコンの稼働状態の推定>
人感センサ36は、例えば赤外線を用いて人の有無を測定するセンサ3の一例である。人感センサ36は
図1の位置(A)、具体的には、住宅の中に取り付けられ、
図9に示すようなシステム構成をとる。
【0208】
センサ3として人感センサ36を用いる場合、
図4のステップS10において、CPU11は、人感センサ36を用いて在宅状況を取得する。
【0209】
住宅に人がいれば、エアコン2が稼働している蓋然性が高い。したがって、ステップS20において、CPU11は、住宅に人がいる場合はエアコン2が稼働中であると推定する。一方、CPU11は、住宅に人がいない場合はエアコン2が停止中であると推定する。
【0210】
なお、赤外線を用いて人を検知する人感センサ36の場合、例えば室内の温度変化によって誤検知を起こすことがあるため、人感センサ36の測定値は住宅に人がいない状態を表しているが、実際には人がいるような状況も発生し得る。
【0211】
したがって、人感センサ36の測定値からはエアコン2が停止中であると推定される一方、人感センサ36以外の他のセンサ3、例えば電力計32を用いたエアコン2の稼働状態の推定では、エアコン2が稼働中であると推定されることもある。このような場合、CPU11は、人感センサ36以外の他のセンサ3によって推定したエアコン2の稼働状態を優先する。したがって、CPU11は、エアコン2は稼働中であると推定する。
【0212】
[変形例J-1]
在宅状況は人感センサ36を用いた測定以外にも別の手法によって測定することができる。例えば住宅全体の消費電力の変化パターンによっても在宅状況を測定することができる。
【0213】
住宅全体の消費電力の変化パターンの測定にはスマートメーター37を用いる。スマートメーター37は、例えば
図1の位置(E)、すなわち、住宅の外に取り付けられ、
図10に示すような構成をとる。スマートメーター37は、予め定めた間隔に住宅全体の消費電力を測定し、測定した消費電力を時系列に沿ってサーバ5に記憶する電力計32の一例である。なお、スマートメーター37は、
図1の位置(A)、すなわち、住宅の中に取り付けられることもある。
【0214】
スマートメーター37は、例えばWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)を用いて家庭内HEMS(Home Energy Management System:図示せず)に接続し、家庭内HEMSを通じてエアコン2を含む家電製品の消費電力を収集する。
【0215】
センサ3としてスマートメーター37を用いる場合、例えば
図4のステップS10において、CPU11は、スマートメーター37から予め定めた第3規定期間に亘って住宅全体の消費電力を予め定めた間隔で取得する。
【0216】
住宅全体の消費電力の取得間隔に制約はなく、例えば1分間隔であっても10分間隔であってもよいが、消費電力の取得間隔が短すぎると住宅全体の消費電力の変化を把握することが困難であるため、一例として、スマートメーター37からの消費電力の取得間隔は5分に設定される。また、第3規定期間は、スマートメーター37を用いた消費電力の測定期間であり、その期間内に住宅全体の消費電力が複数回取得できる長さに設定される。一例として、第3規定期間は30分に設定される。
【0217】
スマートメーター37からの消費電力の取得間隔及び第3規定期間は、スマートメーター37を用いた実験やコンピュータシミュレーションによって求められ、例えば不揮発性メモリ14に予め記憶されている値である。スマートメーター37からの消費電力の取得間隔及び第3規定期間は、ユーザによって変更可能である。
【0218】
ステップS20において、CPU11は、スマートメーター37から取得した時系列に沿った消費電力の変化パターンと、予め定めた消費電力の変化パターンとを比較する。
【0219】
予め定めた消費電力の変化パターンには、例えば住宅に誰も在宅していない期間にスマートメーター37によって測定された住宅全体の消費電力の変化パターン、すなわち、不在時の消費電力の変化パターンが用いられる。住宅に人がいなければ、住宅全体の消費電力の変化パターンが不在時の消費電力の変化パターンに近づくのは言うまでもない。したがって、CPU11は、スマートメーター37から取得した時系列に沿った消費電力の変化パターンと不在時の消費電力の変化パターンとの差分が予め定めた範囲以内である場合には住宅に人がいないと推定する。一方、CPU11は、スマートメーター37から取得した時系列に沿った消費電力の変化パターンと不在時の消費電力の変化パターンとの差分が予め定めた範囲を超える場合には住宅に人がいると推定する。なお、消費電力の変化パターンの差分とは、例えば消費電力の変化パターンにおける各時刻の消費電力の差分の和によって表される。
【0220】
なお、不在時の消費電力の変化パターンの代わりに、在宅している人が就寝している期間にスマートメーター37によって測定された住宅全体の消費電力の変化パターン、すなわち、就寝中の消費電力の変化パターンを、予め定めた消費電力の変化パターンとして用いてもよい。
【0221】
在宅中であったとしても、就寝中には不要な家電製品の電源をオフにすることが多い。したがって、就寝中の消費電力の変化パターンは不在時の消費電力の変化パターンに類似する傾向が見られるため、CPU11は、スマートメーター37から取得した時系列に沿った消費電力の変化パターンと就寝中の消費電力の変化パターンとの差分によっても、在宅状況を推定することができる。
【0222】
以上、実施形態を用いて遠隔制御システム100の一態様について説明したが、開示した遠隔制御システム100の形態は一例であり、遠隔制御システム100の形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。例えば、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、
図4に示したエアコン制御処理の順序を変更してもよい。
【0223】
また、本開示では、一例としてスマートリモコン1でのエアコン制御処理をソフトウェアで実現する形態について説明した。しかしながら、
図4に示したフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はPLD(Programmable Logic Device)に実装し、ハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、エアコン制御処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0224】
このように、スマートリモコン1のCPU11を例えばASIC、FPGA、PLD、GPU(Graphics Processing Unit)、及びFPU(Floating Point Unit)といった特定の処理に特化した専用のプロセッサに置き換えてもよい。
【0225】
また、スマートリモコン1は、1つのCPU11によって実現される形態の他、複数のCPU11、又はCPU11とFPGAとの組み合わせというように、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよい。更に、エアコン制御処理は、スマートリモコン1の筐体の外部に位置する、物理的に離れた場所に存在するプロセッサとの協働によって実現されるものであってもよい。
【0226】
実施形態では、スマートリモコン1の不揮発性メモリ14に遠隔制御プログラムが記憶されている例について説明したが、遠隔制御プログラムの記憶先は不揮発性メモリ14に限定されない。本開示の遠隔制御プログラムは、コンピュータ10で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば遠隔制御プログラムをCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)及びDVD-ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)のような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、遠隔制御プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。ROM12、不揮発性メモリ14、CD-ROM、DVD-ROM、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0227】
更に、スマートリモコン1は、インターネット6を通じて外部装置から遠隔制御プログラムをダウンロードし、ダウンロードした遠隔制御プログラムを、例えば不揮発性メモリ14に記憶してもよい。この場合、スマートリモコン1のCPU11は、外部装置からダウンロードした遠隔制御プログラムを読み込んでエアコン制御処理を実行する。
【0228】
上記に示した実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0229】
(付記項1)
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行い、
前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得し、
取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定し、
前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する
遠隔制御装置。
【0230】
(付記項2)
エアコン制御処理を実行するようにコンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、
前記エアコン制御処理が、
ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いて空調機に送信する一方、前記指示に対する前記空調機からの応答は受信することができない単方向の赤外線通信を行う通信ステップと、
前記空調機が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサの測定値を取得する取得ステップと、
取得した前記センサの測定値から前記空調機の稼働状態を推定する推定ステップと、
前記空調機が稼働中であると推定された場合、前記赤外線通信によって前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行うと共に、前記空調機が停止中であると推定された場合、前記指示に対応した遠隔制御を前記空調機に対して行わないように制御する制御ステップと、
を含む非一時的記憶媒体。
【符号の説明】
【0231】
1 スマートリモコン
1A 通信部
1B 取得部
1C 推定部
1D 制御部
2 エアコン
2A 室内機
2B 室外機
3 センサ
4 ユーザ端末
5 サーバ
6 インターネット
10 コンピュータ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15 I/O
16 バス
17 通信ユニット
18 入力ユニット
19 表示ユニット
31(31A、31B) 温度センサ
32 電力計
33 振動センサ
34 変位センサ
34 接触センサ
35 風量センサ
36 人感センサ
37 スマートメーター
38 湿度センサ
100 遠隔制御システム
【要約】
【課題】空調機との間で双方向にデータ通信を行うことができない場合であっても、空調機の稼働状態に応じて空調機の遠隔制御を行う。
【解決手段】スマートリモコン1は、ユーザから受け付けた指示を、赤外線を用いてエアコン2に送信するだけの単方向の赤外線通信を行い、エアコン2が設置された住宅の内外に取り付けられた少なくとも1つのセンサ3の測定値を取得してエアコン2の稼働状態を推定し、エアコン2が稼働中であると推定された場合、指示に対応した遠隔制御をエアコン2に対して行うと共に、エアコン2が停止中であると推定された場合、指示に対応した遠隔制御をエアコン2に対して行わないように制御する。
【選択図】
図1