(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ランスパイプ
(51)【国際特許分類】
C21C 7/072 20060101AFI20221220BHJP
F27D 1/14 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C21C7/072 A
F27D1/14 Z
(21)【出願番号】P 2018091734
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】松島 隆朗
(72)【発明者】
【氏名】柳 憲治
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-332443(JP,A)
【文献】特開2007-277609(JP,A)
【文献】実開平07-024961(JP,U)
【文献】特開2004-169938(JP,A)
【文献】実開平02-147798(JP,U)
【文献】特開平10-153390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 7/00- 7/10
F27D 1/00- 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス及び溶湯処理剤のうちで少なくとも一方を金属溶湯に供給する通路を内側にもつ金属管と、前記金属管の軸方向に離間するとともに前記金属管の外周面に接合して固定された複数のスタッドと、を有する芯金と、
複数の前記スタッドに支持されて前記芯金の外周面を覆っている耐火物と、
を有するランスパイプにおいて、
それぞれの前記スタッドは、それぞれ異なる一以上の線材からなり、前記金属管の外周面に接合される二以上の脚部と、前記金属管の外周面に接することなく二以上の前記脚部の間を結ぶ
一つの連結部と、
を有し、
前記連結部は、前記金属管の外周面から最も離れた頂点部位が角部を持たない曲線状に形成されていることを特徴とするランスパイプ。
【請求項2】
ガス及び溶湯処理剤のうちで少なくとも一方を金属溶湯に供給する通路を内側にもつ金属管と、前記金属管の軸方向に離間するとともに前記金属管の外周面に接合して固定された複数のスタッドと、を有する芯金と、
複数の前記スタッドに支持されて前記芯金の外周面を覆っている耐火物と、
を有するランスパイプにおいて、
それぞれの前記スタッドは、それぞれ異なる一以上の線材からなり、前記金属管の外周面に接合される二以上の脚部と、前記金属管の外周面に接することなく二以上の前記脚部の間を結ぶ連結部と、
を有し、
前記連結部は、前記金属管の外周面から最も離れた頂点部位が角部を持たない曲線状に形成されて
おり、
前記スタッドは、途中で交差して接触または接合される二以上の線材を有し、
それぞれの前記線材は、一方側端部が前記金属管の外周面に接合される前記脚部であり、他方側端部が解放されていることを特徴とするランスパイプ。
【請求項3】
ガス及び溶湯処理剤のうちで少なくとも一方を金属溶湯に供給する通路を内側にもつ金属管と、前記金属管の軸方向に離間するとともに前記金属管の外周面に接合して固定された複数のスタッドと、を有する芯金と、
複数の前記スタッドに支持されて前記芯金の外周面を覆っている耐火物と、
を有するランスパイプにおいて、
それぞれの前記スタッドは、それぞれ異なる一以上の線材からなり、前記金属管の外周面に接合される二以上の脚部と、前記金属管の外周面に接することなく二以上の前記脚部の間を結ぶ連結部と、
を有し、
前記連結部は、前記金属管の外周面から最も離れた頂点部位が角部を持たない曲線状に形成されて
おり、
前記スタッドは、環状部と、一以上の前記線材とを有し、
一以上の前記線材は、一方側端部が前記金属管の外周面に接合される前記脚部であり、
他方側端部が前記環状部に接合されていることを特徴とするランスパイプ。
【請求項4】
前記スタッドについて前記金属管の外周面から径方向外側の高さをAとし、前記耐火物について前記金属管の外周面から径方向の厚みをBとするとき、Aは0.20B≦A≦0.70Bの範囲内である請求項1から3のいずれか一項に記載のランスパイプ。
【請求項5】
複数の前記スタッドのうちで一以上の前記スタッドは、前記金属管の周方向に角度をずらして配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載のランスパイプ。
【請求項6】
前記ランスパイプの直径が150mm以下であり、前記耐火物について前記金属管の外周面から径方向外側の厚みをBとし、前記ランスパイプの外径をCとするとき、Bは0.10C≦B≦0.40Cの範囲内である請求項1から5のいずれか一項に記載のランスパイプ。
【請求項7】
前記ランスパイプの直径が150mm以下であり、前記スタッドの直径は2~12mmの範囲内である請求項1から6のいずれか一項に記載のランスパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑や溶鋼等の金属溶湯の処理を行うため、ガスや粉体等の溶湯処理剤を金属溶湯に吹き込むことに用いられるランスパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
ランスパイプは、製鉄・製鋼工程などにおいて、金属溶湯に含まれる非金属成分の除去処理、成分調整、撹拌等を目的として、ガスや粉体等の溶湯処理剤を金属溶湯に吹き込むために用いられる。このランスパイプは、主にスタッドが外周面から突出して設けられた金属管(以下では「芯金」と呼ぶ。)と、芯金の外周面を覆うように設置された耐火物とによって構成される。金属管は、鋼等の金属(耐熱性金属)で形成される軸心に内部通路を形成する筒状を有する。耐火物は、一般的に不定形耐火物が用いられる。スタッドは、耐火物が金属管(芯金)から脱落することを防止するものであり、略V字形状や略Y字形状に形成されたもの、腕部と返し部をもつ形状に成形されたもの(特許文献1参照。)が知られている。
ランスパイプは、その下端を金属溶湯に浸漬し、上端の開口部をフランジ等によって配管と接続し、配管から溶湯処理剤を供給し、金属管の内部通路を介して溶湯処理剤が下端の開口部から金属溶湯に吹き込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のランスパイプでは、その下端を金属溶湯に浸漬して使用しているときに、金属溶湯からの熱が伝達したスタッド自身が熱膨張する。スタッドが熱膨張すると、スタッドを囲包する耐火物に、スタッドを起点とした亀裂が発生し、ランスパイプが損傷する。
【0005】
また、従来のランスパイプでは、スタッドのそれぞれが、径方向外方が開いた状態で、金属管の外周面に一箇所の溶接箇所で溶接して設けられている。例えば、略V字形状のスタッドは、略V字状の折れ曲がった屈曲部で、金属管の外周面に溶接されている。このような構成では、スタッドが金属管に固定される溶接箇所(スタッドと金属管との接続箇所)が1箇所であり、スタッドの熱が金属管に伝わりにくかった。すなわち、金属管による冷却性が低くなっている。
【0006】
さらに、従来のランスパイプでは、径方向外方が開いた状態で金属管の外周面にスタッドが設けられており、スタッドを起点にした亀裂が進展しやすかった。特に、スタッドを起点として発生した亀裂は、耐火物を径方向外方に向かって進展し、耐火物の外表面まで亀裂が到達する。さらに、耐火物の亀裂は、耐火物の全周にわたって進展し、耐火物が金属管(芯金)から剥離して脱落する。
【0007】
本開示はこのような点に鑑みてなしたものであり、従来と比べてスタッドが芯金からの冷却効果を得られやすく、かつ、耐火物に亀裂などの損傷を抑制できるランスパイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、ガス及び溶湯処理剤のうちで少なくとも一方を金属溶湯に供給する通路を内側にもつ金属管と、前記金属管の軸方向に離間するとともに前記金属管の外周面に接合して固定された複数のスタッドと、を有する芯金と、複数の前記スタッドに支持されて前記芯金の外周面を覆っている耐火物と、を有するランスパイプにおいて、それぞれの前記スタッドは、それぞれ異なる一以上の線材からなり、前記金属管の外周面に接合される二以上の脚部と、前記金属管の外周面に接することなく二以上の前記脚部の間を結ぶ一つの連結部と、を有し、前記連結部は、前記金属管の外周面から最も離れた頂点部位が角部を持たない曲線状に形成されていることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、ガス及び溶湯処理剤のうちで少なくとも一方を金属溶湯に供給する通路を内側にもつ金属管と、前記金属管の軸方向に離間するとともに前記金属管の外周面に接合して固定された複数のスタッドと、を有する芯金と、複数の前記スタッドに支持されて前記芯金の外周面を覆っている耐火物と、を有するランスパイプにおいて、それぞれの前記スタッドは、それぞれ異なる一以上の線材からなり、前記金属管の外周面に接合される二以上の脚部と、前記金属管の外周面に接することなく二以上の前記脚部の間を結ぶ連結部と、を有し、前記連結部は、前記金属管の外周面から最も離れた頂点部位が角部を持たない曲線状に形成されており、前記スタッドは、途中で交差して接触または接合される二以上の線材を有し、それぞれの前記線材は、一方側端部が前記金属管の外周面に接合される前記脚部であり、他方側端部が解放されていることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、ガス及び溶湯処理剤のうちで少なくとも一方を金属溶湯に供給する通路を内側にもつ金属管と、前記金属管の軸方向に離間するとともに前記金属管の外周面に接合して固定された複数のスタッドと、を有する芯金と、複数の前記スタッドに支持されて前記芯金の外周面を覆っている耐火物と、を有するランスパイプにおいて、それぞれの前記スタッドは、それぞれ異なる一以上の線材からなり、前記金属管の外周面に接合される二以上の脚部と、前記金属管の外周面に接することなく二以上の前記脚部の間を結ぶ連結部と、を有し、前記連結部は、前記金属管の外周面から最も離れた頂点部位が角部を持たない曲線状に形成されており、前記スタッドは、環状部と、一以上の前記線材とを有し、一以上の前記線材は、一方側端部が前記金属管の外周面に接合される前記脚部であり、他方側端部が前記環状部に接合されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、それぞれのスタッドが二以上の脚部を有するので、金属管から脚部を通じて冷却効果を得られ易くなり、熱膨張が抑制される。スタッドの熱膨張が抑制されるのに伴って、耐火物に発生する損傷も抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1のランスパイプの構成例を示した縦断面図である。
【
図3】
図1に示すIII-III線から見た一部断面を含む芯金の平面図である。
【
図4】
図3に示す矢印IV方向から見た芯金の部分斜視図である。
【
図5】実施の形態1のスタッドの脚部と金属管の一部を拡大して示した断面図である。
【
図6】実施の形態2の芯金を示した一部断面を含む平面図である。
【
図7】実施の形態2の芯金を部分的に示した側面図である。
【
図8】実施の形態2の芯金の変形例を部分的に示した側面図である。
【
図9】実施の形態3の芯金を示した一部断面を含む平面図である。
【
図10】実施の形態3のスタッドを拡大して示した一部断面を含む平面図である。
【
図11】比較例のランスパイプの芯金を示した一部断面を含む平面図である。
【
図12】芯金の第1変形例を部分的に示した側面図である。
【
図13】芯金の第2変形例を部分的に示した一部断面を含む平面図である。
【
図14】芯金の第3変形例を部分的に示した一部断面を含む平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示しているとは限らない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。単位は、符号と区別するためにカギ括弧で括る。例えば、長さの単位であるミリメートルは”[mm]”と表記する。接合を行うのは、ガス溶接,アーク溶接,レーザービーム溶接などの融接でもよく、抵抗溶接や鍛接などの圧接でもよい。スタッドを構成する二の脚部の相互間で金属管の外周面上を結ぶ線と、径方向に突出するスタッドの構成部とが閉曲線になる場合を「クローズ形状」と呼ぶことにする。
【0012】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は
図1~
図5を参照しながら説明する。
図1に示すランスパイプ1は、例えば溶銑予備処理に用いられるパイプであって、芯金6と耐火物3とを有する。
【0013】
芯金6は、金属管4と、複数のスタッド5とを有する。金属管4の外径は任意に設定してよく、30~110[mm]が好ましく、50~90[mm]がより好ましい。本明細書において、外径は直径に相当する。
【0014】
金属管4は、耐熱性金属(例えば鋼や合金鋼など)によって、筒状のパイプをなすように成形され、内側に通路2を有する。金属管4は、軸方向に垂直な面での断面形状(内周面,外周面,全体としての形状のいずれも)が、円形状をなす。金属管4は、均一な厚さを有する。
通路2は、ガス及び溶湯処理剤を金属溶湯に供給するときに、溶湯処理剤が通過する部位である。本形態の通路2は、第1通路2aと、複数の第2通路2bとを有する。第1通路2aは、ランスパイプ1の中心部を通る通路である。複数の第2通路2bは、ランスパイプ1の先端部(
図1では下側端部)で第1通路2aから枝分かれする通路である。第2通路2bの数は1以上で任意に設定でき、本形態では4とする。複数の第2通路2bは、周方向で等間隔をなすように設けることが好ましい。
【0015】
複数のスタッド5は、それぞれが金属管4の外周面4aに接合して固定されている。
図1に示すように、複数のスタッド5は外周面4aにおいて軸方向(
図1では上下方向)に離間して設けられている。スタッド5の数は、耐火物3を支持できれば、特に限定されない。スタッド5の構成例については後述する。
【0016】
耐火物3は、芯金6の外側(具体的には金属管4の外周面4a及びスタッド5)を覆っており、複数のスタッド5によって支持されている。耐火物3は、不定形耐火物(キャスタブル)により形成される。耐火物3は、芯金6の外周に流動性を持たせた状態で配置し、芯金6の外周面を覆う状態で固化(固定化)して形成することができる。
耐火物3を構成する材料は、耐熱性や耐溶損性などを有すれば、特に限定されない。例えば、アルミナ・シリカ質材、ハイアルミナ質材、アルミナ・マグネシア質材、アルミナ・マグネシア・カーボン質材、アルミナ・スピネル質材、アルミナ・スピネル・カーボン質材、アルミナ・カーボン質材、アルミナ・炭化珪素・カーボン質材などが該当する。
耐火物3の厚さは、後述する条件を満たせば、処理する溶融金属の材質や量などの条件に応じて適宜決定することができる。
【0017】
本形態のランスパイプ1は、溶融金属の種類や温度、溶融金属に供給されるガスや溶湯処理剤の種類などによって使用条件が異なるため、形状寸法を一義的に決定できるものではない。
本形態のランスパイプ1は、
図1に示すランスパイプ1の長さLが1000~10000[mm]の範囲内であることが好ましい。
図2に示す厚みBは、耐火物3について外周面4aから径方向の厚みであり、外径Cの大きさに応じて任意に設定してよく、15~60[mm]が好ましく、20~50[mm]がより好ましい。
図2に示す耐火物3の外径Cは、ランスパイプ1の外径でもあり、150[mm]以下が好ましい。ランスパイプ1の外径C(直径)が150[mm]以下であるとき、厚みBと外径Cとの関係は、0.10C≦B≦0.40Cの範囲内であることが好ましい。
本形態のランスパイプ1の形状寸法の具体例としては、厚みB:20[mm],外径C:100[mm](B=0.2C)、厚みB:30[mm],外径C:100[mm](B=0.3C)、厚みB:20[mm],外径C:125[mm](B=0.16C)を挙げることができる。
【0018】
なお、上記の形状寸法は、本形態のランスパイプ1の好ましい形状寸法及びその具体例を示すものであり、この範囲以外の形状寸法であってもよい。例えば、外径Cは任意に設定してよく、150[mm]を超える大きさとしてもよい。例えば、650[mm]程度としてもよい。外径Cを650[mm]程度とした場合、厚みBは65~260[mm]の範囲内で実用上問題が生じない大きさとすることが好ましい。
【0019】
スタッド5の構成例について、
図3~
図5を参照しながら説明する。
図3,
図4に示す複数のスタッド5は、それぞれが一の線材(すなわち短尺で短径の棒状の耐熱性金属材)からなり、脚部5aと連結部5bとを有する。脚部5aは、径方向に突出するように脚部5aが外周面4aに接合されて固定される部位である。連結部5bは、金属管4の外周面4aに接することなく二の脚部5aの間を結ぶ部位である。
【0020】
本形態のスタッド5は、連結部5bが予めΛ字状(略逆V字状)に成形され、かつ、外周面4aから最も離れた頂点部位5cが曲線状に成形されている。言い換えると、連結部5bがアーチ状に成形されているので、スタッド5と外周面4aとはクローズ形状である。
図4に示すスタッド5(具体的には連結部5b)の外径Rは任意に設定してよく、2~12[mm]の範囲内が好ましく、3~9[mm]の範囲内がより好ましい。
【0021】
外周面4aに固定された状態のスタッド5は、
図3に示すように外周面4aから径方向外側に高さAを有する。スタッド5の高さAは、厚みBとの関係で設定するとよい。すなわち、高さAは0.20B≦A≦0.70Bの範囲内が好ましく、0.30B≦A≦0.50Bの範囲内がより好ましい。
【0022】
複数のスタッド5は、
図3に示すように複数列に分けられ、各列は金属管4の周方向に角度θ1ずつずらして配置される。角度θ1は任意に設定してよく、
図3の例では90度である。複数のスタッド5は、ランスパイプ1において耐火物3を等方的に支持するように配置されるのが好ましい。
【0023】
複数のスタッド5は、
図4に示すように金属管4の軸方向に間隔Dで離間して設けられている。間隔Dは任意に設定してよく、等間隔でも不等間隔でもよい。一例として、耐火物3の材料がアルミナ・シリカ質材を含み、ランスパイプ1の長さLが5000[mm]のときは、間隔Dは100~400[mm]の範囲内が好ましい。
【0024】
図5には、スタッド5の脚部5aの構成例を示す。
図5の例では、脚部5aは金属管4の外周面4aに接合して固定される。接合する際に溶加材を用いる場合は、スタッド5の融点よりも低く、かつ、可能な限り融点が高い材料の溶加材が望ましい。脚部5aは、外周面4aから離れるにつれて細くなるように接合されるのが望ましい。溶加材を用いて接合する場合も同様である。こうすれば、スタッド5は外周面4aに近いほど太くなるので、ランスパイプ1を金属溶湯に浸漬して使用しているときに、芯金6からの冷却効果を得られ易くなる。
【0025】
本形態のランスパイプ1は、その製造方法が限定されることなく、従来公知の製造方法を用いて製造してもよい。一例として、以下に示す芯金製造工程,キャスタブル投入工程,加熱工程を有する製造方法によって、ランスパイプ1を製造することができる。
【0026】
(芯金製造工程)
まず、線状の耐熱性金属材を加工機で加工して、複数のスタッド5を準備する。そして、複数のスタッド5をそれぞれ金属管4の外周面4aに接合して固定することによって、芯金6が製造できる。
【0027】
(キャスタブル投入工程)
次に、ランスパイプ1の耐火物3の外周形状を成形できる成形型を用意する。この成形型の内部の所定の位置に芯金6を配置する。芯金6が配置された成形型の内部に耐火物材料を投入し、固化させる。耐火物3の材料は、流動性を持った状態で、成形型の内部に流し込まれる。耐火物3の材料は、成形型の内部に投入にあたって、水と調整剤等を混合したキャスタブルとして調製し、調製されたキャスタブルを成形型の内部に流し込んでもよい。成形型の内部に流し込まれた耐火物3の材料は、適宜加振して緻密化することができる。
【0028】
(加熱工程)
そして、所定の条件に従って加熱を行い乾燥することで、芯金6の外周面が隙間なく耐火物3で覆われるランスパイプ1を製造することができる。
加熱条件は、耐火物3の材料を乾燥して耐火物3とすることができる条件であれば、例えば温度,時間,工程等のうちで一以上を含む条件が該当する。必要に応じて、耐火物3の材料を焼成する条件を含んでいてもよい。
【0029】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各作用効果を得ることができる。
【0030】
(1)ランスパイプ1は、一の線材からなる複数のスタッド5が、それぞれ金属管4の外周面4aに接合される二の脚部5aと、金属管4の外周面4aに接することなく二の脚部5aの間を結ぶ連結部5bとを有する。この構成によれば、二の脚部5aは金属管4の外周面4aに接合されるので、ランスパイプ1の使用時などで芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、スタッド5の熱膨張が抑制される。スタッド5の熱膨張が抑制されるため、耐火物3に発生する損傷が抑制される。
【0031】
(2)連結部5bは、金属管4の外周面4aから最も離れた頂点部位5cが曲線状に成形されている。この構成によれば、頂点部位5cが角部を持たない曲線状であるので、頂点部位5cを起点とした耐火物3の亀裂が生じにくくなる。
【0032】
(3)スタッド5について金属管4の外周面4aから径方向外側の高さをAとし、耐火物3について金属管4の外周面4aから径方向の厚みをBとするとき、Aは0.20B≦A≦0.70Bの範囲内である。スタッド5の高さを当該範囲内にすることで、耐火物3を支持して、かつスタッド5へ金属溶湯からの熱負荷が加わりにくくなる。
【0033】
(4)複数のスタッド5のうちで一以上のスタッド5は、金属管4の周方向に角度θ1をずらして配置されている。この構成によれば、スタッド5が耐火物3を全体的に支持するように角度をずらして配置されるので、耐火物3に発生する損傷がさらに抑制される。特に耐火物3を等方的に支持する角度θ1(
図3では90度)のときは、耐火物3に発生する損傷を最小限に抑制できる。
【0034】
(5)ランスパイプ1の外径Cが150[mm]以下であるとき、耐火物3について金属管4の外周面4aから径方向外側の厚みをBとし、ランスパイプ1の外径をCとするとき、Bは0.10C≦B≦0.40Cの範囲内である。耐火物3の厚みBを当該範囲内にすることで、最小限の厚みBを確保しつつ芯金6へ金属溶湯からの熱負荷が加わりにくくなる。この効果は、外径Cが150[mm]以下のランスパイプ1において、特に有用である。
【0035】
(6)ランスパイプ1の外径Cが150[mm]以下であるとき、スタッド5の直径は2~12[mm]の範囲内である。この構成によれば、スタッド5の太さはランスパイプ1の直径よりも数十分の1程度に細い。太さが細くなるにつれてスタッド5は熱膨張による変形の影響が小さくなる。この効果は、外径Cが150[mm]以下のランスパイプ1において、特に有用である。
【0036】
ランスパイプ1では、脚部5aが、金属管4の外周面4aから離れるにつれて細くなることが好ましい。この構成によれば、スタッド5は外周面4aに近いほど太くなるので、芯金6からの冷却効果を得られ易くなる。
【0037】
上述した実施の形態1では、スタッド5の外径Rを一定としたが、脚部5aの外径Raが連結部5bの外径Rbや頂点部位5cの外径Rcよりも大きくすることが好ましい。すなわち、Ra>Rb≧Rcとなるように外径が変化するスタッド5を用いてもよい。このようなスタッド5を用いると、さらに芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、熱膨張が抑制される。
【0038】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は
図6~
図8を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1と相違する点を説明する。
【0039】
ランスパイプ1は、芯金6と耐火物3とを有する点で実施の形態1と同じである。
図6,
図7に示す複数のスタッド7は、実施の形態1に示す複数のスタッド5に代えて備えられる。そのため、芯金6は金属管4と複数のスタッド7とを有する点で実施の形態1と相違する。なお、
図6に示すスタッド7について金属管4の外周面4aから径方向外側の高さAと、耐火物3について金属管4の外周面4aから径方向の厚みBと、耐火物3の外径Cは、いずれも実施の形態1と同じである。
【0040】
本形態のスタッド7は、予め短尺で棒状の耐熱性金属材が円弧状に成形され、途中で交差して接合される二の線材7bを有する。それぞれの線材7bは、実施の形態1と同様の外径Rを有し、脚部7aと接合部7cとを有する。脚部7aは、線材7bの一方側端部が金属管4の外周面4aに接合される部位である。接合部7cは、二の線材7bどうしが途中で交差して接合される部位である。線材7bの他方側端部は、実施の形態1とは異なり、外周面4aに接することなく解放されている。二の線材7bは途中で交差して接合されているので、二の線材7bと外周面4aとはクローズ形状である。
【0041】
スタッド7は、二の線材7bの交差角が角度θ2で交差するように設けられる。角度θ2は0度<θ2<180度の範囲内であり、60度≦θ2≦120度の範囲内が好ましい。なお、一例として
図7に示す角度θ2は90度である。
【0042】
複数のスタッド7は、実施の形態1に示すスタッド5と同様に、耐火物3を支持する機能を有する。すなわち、スタッド7は脚部7aによって金属管4の外周面4aに固定され、径方向に突出する線材7bが耐火物3を支持する。
【0043】
本形態のランスパイプ1は、その製造方法が限定されることなく、実施の形態1と同様の製造方法で製造することもできる。ただし、実施の形態1とは芯金6を製造する芯金製造工程が相違する。具体的には、複数のスタッド5の代わりに、複数のスタッド7をそれぞれ金属管4の外周面4aに接合して固定する。
【0044】
上述した実施の形態2によれば、実施の形態1の作用効果である(3)~(6)と同様の作用効果を得ることができるとともに、次の作用効果を得ることができる。なお、スタッド5はスタッド7に読み替え、連結部5bは線材7bに読み替える。
【0045】
(7)ランスパイプ1は、複数のスタッド7を有する。スタッド7は、金属管4の外周面4aに接合される脚部7aと、脚部7aから径方向に突出するように延びる線材7bとを有する。この構成によれば、脚部7aは金属管4の外周面4aに接合されるので、ランスパイプ1の使用時などで芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、スタッド7の熱膨張が抑制される。スタッド7の熱膨張が抑制されるため、耐火物3に発生する損傷が抑制される。スタッド7と外周面4aとはクローズ形状を成形するので、耐火物3を確実に支持する。
【0046】
(8)スタッド7(具体的には線材7b)の全体が円弧状に成形されているので、金属管4の外周面4aから最も離れた部位も曲線状になる。この構成によれば、最も離れた部位が角部を持たない曲線状であるので、この最も離れた部位を起点とした耐火物3の亀裂が生じにくくなる。
【0047】
上述した実施の形態2では、二の線材7bでスタッド7を構成したが、三以上の線材7bでスタッド7を構成してもよい。例えば、三の線材7bでスタッド7を構成し、三の線材7bが交差するように外周面4aに脚部7aを固定する。隣り合う線材7b相互間の交差角を角度θ2とした例を
図8に示す。角度θ2の範囲は実施の形態1と同様である。なお、一例として
図8に示す角度θ2は120度である。
【0048】
また、スタッド7の線材7bは外径Rを一定としたが、脚部7aの外径Rdが線材7bの外径Reよりも大きくすることが好ましい。すなわち、Rd>Reとなるように外径が変化するスタッド7を用いてもよい。このようなスタッド7を用いると、さらに芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、熱膨張が抑制される。したがって、耐火物3を冷却して損傷をさらに抑制できる。
【0049】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は
図9,
図10を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1,2で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1,2と相違する点を説明する。
【0050】
ランスパイプ1は、芯金6と耐火物3とを有する点で実施の形態1と同じである。
図9,
図10に示す複数のスタッド8は、実施の形態1に示す複数のスタッド5に代えて備えられる。そのため、芯金6は金属管4と複数のスタッド8とを有する点で実施の形態1と相違する。なお、
図9に示すスタッド8について金属管4の外周面4aから径方向外側の高さAと、耐火物3について金属管4の外周面4aから径方向の厚みBと、耐火物3の外径Cは、いずれも実施の形態1と同じである。
【0051】
スタッド8は、予め短尺で棒状の耐熱性金属材を用いて、円形状に成形されている環状部8dと、一以上の線材8bとを有する。円形状には楕円形状を含むものとする。線材8bは、一方側端部に設けられて金属管4の外周面4aに接合される脚部8aと、他方側端部に設けられて環状部8dに接合される接合部8cとを有する。本形態の線材8bは、実施の形態1の連結部5bに相当する。線材8bの数は一以上で任意に設定してよく、本形態では2とする。線材8bおよび環状部8dは、実施の形態1と同様の外径Rを有する。環状部8dは、一以上の線材8bが接合される接合部8cのほか、金属管4の外周面4aに接合される脚部8eを有する。
【0052】
複数のスタッド8は、実施の形態1に示すスタッド5と同様に、耐火物3を支持する機能を有する。すなわち、スタッド8は脚部8a,8eによって金属管4の外周面4aに固定され、径方向に突出する線材8bおよび環状部8dが耐火物3を支持する。
【0053】
本形態のランスパイプ1は、その製造方法が限定されることなく、実施の形態1と同様の製造方法で製造することもできる。ただし、実施の形態1とは芯金6を製造する芯金製造工程が相違する。具体的には、複数のスタッド5の代わりに、複数のスタッド8をそれぞれ金属管4の外周面4aに接合して固定する。
【0054】
上述した実施の形態3によれば、実施の形態1の作用効果である(3)~(6)と同様の作用効果を得ることができるとともに、次の作用効果を得ることができる。なお、スタッド5はスタッド8に読み替え、連結部5bは線材8bおよび環状部8dに読み替える。
【0055】
(9)ランスパイプ1は、複数のスタッド8を有する。スタッド8は、環状部8dと、二の線材8bとを有する。線材8bは、一方側端部が金属管4の外周面4aに接合される脚部8aであり、他方側端部が環状部8dに接合されている。環状部8dは、金属管4の外周面4aに脚部8eで接合される。この構成によれば、三の脚部8a,8eが金属管4の外周面4aに接合されるので、芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、熱膨張が抑制される。
【0056】
(10)スタッド8は径方向に突出する環状部8dが円形状に形成されているので、金属管4の外周面4aから最も離れた部位も曲線状になる。この構成によれば、最も離れた部位が角部を持たない曲線状であるので、頂点部位を起点とした耐火物3の亀裂が生じにくくなる。
【0057】
上述した実施の形態3では、環状部8dに加えて、二の線材8bでスタッド8を構成したが、三以上の線材8bでスタッド8を構成してもよい。図示を省略するが、例えば
図10に示す環状部8dの少なくとも一方の接合部8cに対して、二以上の線材8bを接合する構成が該当する。環状部8dの接合部8c以外の部位に対して二以上の線材8bを接合する構成としてもよい。接合部8cと、接合部8c以外の部位とで合わせて二以上の線材8bを接合する構成としてもよい。線材8bの数が増えるにつれて脚部8aの数も増えるので、芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、熱膨張がより抑制される。
【0058】
また、スタッド8の線材8bは外径Rを一定としたが、脚部8aの外径Rdが線材8bの外径Reよりも大きくすることが好ましい。すなわち、Rd>Reとなるように外径が変化するスタッド8を用いてもよい。このようなスタッド8を用いると、さらに芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、熱膨張が抑制される。したがって、耐火物3を冷却して損傷をさらに抑制できる。
【0059】
〔比較形態〕
比較形態は、スタッド5に代えて、V字状に成形されたスタッド11を用いること以外は、実施の形態1のランスパイプ1と同様の構成である。比較形態のランスパイプ1は、
図3に対応した一部断面を含む平面図で
図11に示す。比較形態におけるV字状のスタッド11は、両側の端部11aがそれぞれ径方向外方に延びており、中央部で折り曲げられている折曲部11bが金属管4の外周面4aに接合して固定されている。比較形態のスタッド11は、折曲部11bが実施の形態1の脚部5aに相当し、端部11aを含む線状部分が実施の形態1の連結部5bに相当する。比較形態のランスパイプ1は、従来公知の構成をもつランスパイプであって、従来公知の製造方法で製造することができる。
【0060】
〔評価〕
本発明のランスパイプ1の評価として、実施の形態1と比較形態とにそれぞれ示すランスパイプ1を実際の溶銑処理設備に設置し、溶銑に不活性ガスと処理剤を吹き込む処理を行い、処理後のランスパイプ1を目視で確認して評価した。
【0061】
ほぼ同一の条件で処理を行ったところ、比較形態のランスパイプ1には、耐火物3の外周面に、周方向に延びる亀裂が確認された。また、当該亀裂に起因して発生したと思われる耐火物3の剥離も確認された。これに対して、実施の形態1のランスパイプ1に対して同じ処理を行っても、損傷(すなわち亀裂,剥離等)は確認されなかった。
【0062】
その後、実施の形態1のランスパイプ1を用いた処理を続行した。結果として、実施の形態1のランスパイプ1は、比較形態のランスパイプ1と比べて、耐火物3に損傷が発生するまでの処理回数(チャージ回数とも呼ぶ)が2倍になった。
【0063】
つまり、実施の形態1のランスパイプ1は、従来のランスパイプと比べて、耐熱衝撃性にすぐれた長寿命のランスパイプとなっている。実施の形態1のランスパイプ1が上述した効果を発揮する理由は、以下のように推測される。
【0064】
比較形態のランスパイプ1に発生した亀裂は、V字状に成形されたスタッド11が熱膨張を生じたことに起因すると考えられる。具体的には、不活性ガスを吹き込むために比較形態のランスパイプ1を金属溶湯に浸漬すると、耐火物3を介してV字状のスタッド11に金属溶湯の高熱が伝導する。高熱が伝導されるとV字状のスタッド11が熱膨張し、耐火物3に損傷(特に亀裂)が生じ易くなる。
【0065】
これに対して、実施の形態1のランスパイプ1は、耐火物3を芯金6に固定するためのスタッド5が二の脚部5aの相互間で径方向に突出する連結部5bを有する。すなわち、二の脚部5aが金属管4の外周面4aに接合して固定されるので、ランスパイプ1の使用時などで芯金6からの冷却効果を得られ易くなり、スタッド5の熱膨張が抑制される。スタッド5の熱膨張が抑制されるため、耐火物3に発生する損傷が抑制される。
【0066】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1~3に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0067】
上述した実施の形態1では、
図3,
図4に示すように、一箇所について一のスタッド5を金属管4の外周面4aに接合して固定する構成とした。この形態に代えて、
図12に示すように、一箇所について複数(
図12では2)のスタッド9を交差させて金属管4の外周面4aに接合して固定する構成(第1変形例)としてもよい。
図12に示す構成例では、交差する部位が接合された接合部9cを有するが、接触するか否かを問わず交差する構成としてもよい。いずれにせよ、実施の形態1のスタッド5と同様の作用を有するので、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
上述した実施の形態1~3に示す複数のスタッド5,7,8は、それぞれ
図3,
図6,
図9に示すように複数列(具体的には4列)に分けられ、各列は金属管4の周方向に角度θ1ずつずらして配置される構成とした。これらの形態に代えて、
図13に示すようにスタッド5の各列が金属管4の周方向に角度θ3ずつずらして配置される構成(第2変形例)としてもよい。スタッド5が耐火物3を全体的に支持するように角度をずらして配置されるので、耐火物3に発生する損傷がさらに抑制される。
【0069】
上述した実施の形態1~3に示す金属管4は、それぞれ
図3,
図6,
図9に示すように円筒状に成形される構成とした。これらの形態に代えて、
図14に示す金属管4のように、外周面4aに複数の補強リブ10を設ける構成(第3変形例)としてもよい。補強リブ10は、
図1に示す金属管4の軸方向に沿って設けられる。スタッド5の脚部5aの相互間を通るように設けるとよい。
図14は、実施の形態1のランスパイプ1に適用した例である。図示を省略するが、実施の形態2,3のランスパイプ1に適用することもできる。補強リブ10を設けることによって、金属管4の断面係数が上がり、金属管4の変形を抑えることができる。このため、芯金6の曲がりに起因する耐火物3の亀裂の発生を抑えることができる。
【0070】
上述した実施の形態1~3に示すランスパイプ1は、
図1に示すように、芯金6が直線状に伸びている直管タイプで構成した。この形態に代えて、芯金6が途中(特に
図1の下側である先端部)で曲げられる曲管タイプで構成してもよい。側面から見てJ字状に曲げられるランスパイプ1は「Jランス」と呼ばれ、L字状に曲げられるランスパイプ1は「Lランス」と呼ばれる。ランスパイプ1の外形が相違するに過ぎないので、実施の形態1~3と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…ランスパイプ、2…通路、2a…第1通路、2b…第2通路、3…耐火物、4…金属管、4a…外周面、5,7,8,9,11…スタッド、5a,7a,8a,8e,9a…脚部、5b,9b…連結部、5c…頂点部位、6…芯金、7b,8b…線材、7c,8c…接合部、8d…環状部、10…補強リブ、11a…端部、11b…折曲部、A…高さ、B…厚み、C…外径、D…間隔、L…長さ、R…外径、θ1,θ2,θ3…角度