(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】改良されたフィルタを有するスティック型真空掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 5/24 20060101AFI20221220BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A47L5/24 A
A47L9/00 B
A47L9/00 Z
(21)【出願番号】P 2019510452
(86)(22)【出願日】2016-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2016074053
(87)【国際公開番号】W WO2018065068
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2019-09-03
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】516124465
【氏名又は名称】アクチエボラゲット エレクトロルックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レフラー、ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】シャラー、メーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】アグレン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ミエファルク、ハカン
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】田合 弘幸
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-64613(JP,A)
【文献】特表2017-537743(JP,A)
【文献】実開昭57-194447(JP,U)
【文献】特開2015-202410(JP,A)
【文献】実開昭55-156639(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/24
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち型真空掃除機と、スティックとを備えるスティック型真空掃除機であって、前記スティックに設けられた空気入口と前記スティックに設けられた空気出口との間に空気経路が形成され、前記手持ち型真空掃除機を前記スティックにドッキングさせると、前記空気経路は、前記手持ち型真空掃除機の空気出口を、前記スティックに設けられた前記空気出口と接続し、フィルタが、前記空気経路内、および前記スティックに設けられた前記空気出口の外側の少なくとも一方に設けられ、前記フィルタは、前記スティックに着脱可能に保持され、
前記手持ち型真空掃除機の前記空気出口と前記スティックの前記空気入口とを気密封止する封止部材が設けられる、スティック型真空掃除機。
【請求項2】
前記スティックの前記空気入口に、または前記手持ち型真空掃除機の前記空気出口に、あるいは、前記スティックの前記空気入口、および前記手持ち型真空掃除機の前記空気出口の両方に、
前記封止
部材が設けられる、請求項1に記載のスティック型真空掃除機。
【請求項3】
解放機構が、前記スティックから前記フィルタを解放するために設けられる、請求項1または2に記載のスティック型真空掃除機。
【請求項4】
前記フィルタが、ひだのあるフィルタ媒体を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のスティック型真空掃除機。
【請求項5】
前記フィルタが、前記空気経路内、および前記スティックに設けられた前記空気出口の外側の両方に設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載のスティック型真空掃除機。
【請求項6】
スティック型真空掃除機のスティックであって、
手持ち型真空掃除機をドッキングするドッキング構造と、
一端における空気入口および他端における空気出口との間の空気経路であって、前記手持ち型真空掃除機を前記スティックにドッキングさせると、前記空気経路は、前記手持ち型真空掃除機の空気出口を、前記他端における前記空気出口と接続する、空気経路と、
前記空気経路内および前記スティックに設けられた前記空気出口の外側の少なくとも一方に設けられるフィルタであって、前記フィルタは前記スティックに着脱可能に保持される、フィルタと、を備える、スティックであって、
前記ドッキング構造は、前記スティックの前記空気入口に設けられた封止
部材を有する、
スティック。
【請求項7】
解放機構が、前記スティックから前記フィルタを解放するために設けられる、請求項6に記載のスティック。
【請求項8】
前記フィルタが、ひだのあるフィルタ媒体を備える、請求項6または7に記載のスティック。
【請求項9】
前記フィルタが、前記空気経路内、および前記スティックに設けられた前記空気出口の外側の両方に設けられる、請求項6~8のいずれか一項に記載のスティック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空掃除機に関する。特に、本発明はスティック型真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
主電源によって動くだけでなく電池でも動く手持ち型真空掃除機は、以前から知られており(たとえば、米国特許第4967443号明細書参照)、小さい面をすばやく掃除するために使用されている。このような真空掃除機は、簡単に利用でき、使いやすい設計であることが重要である。これらの真空掃除機は通常、集塵容器をフィルタとともに、ファンユニットを含む真空掃除機ハウジングの残りの部分から取り外すことができるように設計されている。
【0003】
下部がノズルを支持するシャフト部と組み合わせて、上で説明されたタイプの手持ち型真空掃除機を使用することも以前から知られている。このタイプの手持ち型真空掃除機は、スティック型真空掃除機または2in1スティック型真空掃除機と呼ぶことができる(たとえば、国際公開第2004/069021号パンフレット参照)。シャフト部には管接続が設けられ、それにより、含塵空気は、ノズルから、シャフト部に取り外し可能に固定される手持ち型真空掃除機の空気入口へ送られる。これは、簡単な方法で組み合わせたスティック型真空掃除機が、床を掃除するために使用することができることを意味する。換言すれば、手持ち型スティック型真空掃除機は、スティックへのドッキング、およびスティックからのドッキング解除が可能であり、手持ち型真空掃除機をスティックにドッキングさせたときに床掃除を可能とする。別の従来のスティック型真空掃除機は、国際公開第2008/088278号パンフレットで説明されている。
【0004】
従来のスティック型真空掃除機では、厳密に空間が要求される。これは、スティック型真空掃除機に大きな空間を必要とする構成要素を提供する可能性を減少させ、従来の真空掃除機と比較して、いくつかの態様においては性能を悪化させるが、それは、いくつかの従来の構成要素を、省略しなければならない、または手持ち型真空掃除機のあまり効率的ではない構成要素と入れ替えなければならないことがあるためである。真空掃除機の性能の改善は、絶え間なく求められている。よって、改良されたスティック型真空掃除機が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改良された真空掃除機を提供することが、本発明の目的である。特に、改良されたスティック型真空掃除機を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、添付の特許請求の範囲に記載されるようなスティック型真空掃除機によって達成される。
【0007】
1つの実施形態によると、スティックへのドッキングに適した手持ち型真空掃除機を備えるスティック型真空掃除機が提供される。手持ち型真空掃除機をスティックにドッキングさせると、手持ち型真空掃除機の空気出口を、スティックに設けられた空気出口と接続する空気経路が形成される。フィルタは空気経路に設けられる。これによって、スティック型真空掃除機は、手持ち型真空掃除機をスティックにドッキングさせたドッキングモードであるとき、少なくとも、手持ち型真空掃除機をドッキングモードで操作しているとき、改良されたフィルタリングを提供できることが実現される。フィルタは、代案または補助として、スティックからの空気出口においてスティックの外側に設けることができる。
【0008】
1つの実施形態によると、スティックの空気入口に、または手持ち型真空掃除機からの空気出口に、気密封止が設けられる。気密封止は、スティックの空気入口、および空気出口の両方に設けることもできる。
【0009】
1つの実施形態によると、解放機構は、スティックからフィルタを解放するために設けられる。
【0010】
1つの実施形態によると、フィルタは、ひだのあるフィルタ媒体を備える。
【0011】
本発明は、上記によるスティック型真空掃除機のためのスティックにも及ぶ。
【0012】
ここで本発明は、一例として、添付図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】先行技術によるスティック型真空掃除機を示す。
【
図3a】本発明の1つの実施形態による、スティック型真空掃除機およびその部品を示す。
【
図3b】本発明の1つの実施形態による、スティック型真空掃除機およびその部品を示す。
【
図3c】本発明の1つの実施形態による、スティック型真空掃除機およびその部品を示す。
【
図4a】スティック型真空掃除機のための手持ち型真空掃除機の異なる実施形態を示す。
【
図4b】スティック型真空掃除機のための手持ち型真空掃除機の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を、本発明の特定の実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、以下により詳しく説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるように解釈すべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になるように、および本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。以下の記載において、類似の要素には類似の符号が付されている。
【0015】
図1は、先行技術による従来のスティック型真空掃除機10を概略的に示す。示されたスティック型真空掃除機10は、細長いシャフト部を備える。細長いシャフト部は、スティックと呼ぶことができる。スティックには、手持ち型真空掃除機11が、取り外し可能に配置される。したがって、それによって、手持ち型真空掃除機11は、スティックへのドッキング、およびスティックからのドッキング解除が可能である。スティックの下(前)端は、スティックに回動可能に固定できる床ノズル12を支持する。ノズル12は、細長い吸込口を有し、吸込口は、流路15を介して、従来の態様で手持ち型真空掃除機11に接続される。スティックの上(後)部は、ハンドル16として成形することができ、通常、手持ち型真空掃除機11をスティックにドッキングさせたときに、手持ち型真空掃除機11に電気回路(詳細には示されていない)を介して接続される操作ノブ17を有する。
【0016】
図1に示されるもののようなスティック型真空掃除機と関連する問題は、手持ち型真空掃除機11の内部に装置を設けるための厳密な空間制限があることである。これは、通常、手持ち型真空掃除機の寸法および重量に関して、扱いにくく、操作が難しくならないように厳密な要件があるためである。結果として、従来の真空掃除機では普通に見られるいくつかの要素が、手持ち型真空掃除機11では通常、省略されている、または非常に小さく作られている。たとえば、排出空気のフィルタリングの改善のための空間を手持ち型真空掃除機に設けることが実現されている。
【0017】
少なくとも部分的にこの問題を解決または軽減するために、手持ち型真空掃除機11の空気出口からの出口から、スティックからの空気出口までの空気通路の中で、フィルタをスティックに配置することができる。これによって、スティック型真空掃除機は、手持ち型真空掃除機がスティックにドッキングされているドッキングモードであるときに、改良されたフィルタリングを提供できることが実現される。フィルタは、代案または補助として、スティックからの空気出口においてスティックの外側に設けることができる。
【0018】
図2に、スティック型真空掃除機10の側面からの断面図が示される。
図2では、スティック型真空掃除機10のスティック13にフィルタ30が設けられている。フィルタ30は、スティック13の手持ち型真空掃除機11からの空気経路に配置することができる。したがって、フィルタ30は、手持ち型真空掃除機11の空気出口21から、スティック13からの空気出口22までの空気経路に配置することができる。空気経路は、
図2において、矢印28によって示される。使用時、手持ち型真空掃除機11のモータ14は、空気流路15を介してノズル12から空気を吸い込み、空気出口21を介して手持ち型真空掃除機11の外へと空気を排出する。手持ち型真空掃除機11がスティック13にドッキングされている場合、空気流は、空気経路を介して、スティック13の空気出口22まで続く。
【0019】
効率的なフィルタリングを行うために、スティックの空気入口、または手持ち型真空掃除機からの空気出口21、またはその両方に気密封止を設けることができる。
【0020】
さらに、
図2では、フィルタ30は、空気出口21を空気出口22と直接接続しているように示されている。しかしながら、手持ち型真空掃除機から、スティックに設けられた空気出口に排出空気を導く空気経路28をスティック内部に設けることも想定される。そのような空気経路28は、任意の好適な方法で設計することができる。さらに、フィルタ30は、代案または補助として、スティックからの空気出口22においてスティックの外側に設けることができる。このような実施形態において、フィルタは簡単にアクセスすることができるが、スティックの外形寸法は通常、いくぶん増大する。
【0021】
図3aに、1つの実施形態によるスティック型真空掃除機10の詳細な断面図が示される。
図3aでは、スティック13は、フィルタ30のための第1の解放機構31を備える。解放機構31は、所定の位置にフィルタを保持し、使用者が操作すると、フィルタ30を解放するように適応されている。解放機構31は任意の従来の設計とすることができる。さらに、フィルタ30は、所定の位置にフィルタ32を保持する、解放機構31と反対側のフック32に取り付けることができる。スティック13は、スティック13から手持ち型真空掃除機11を解放するための第2の解放機構17をさらに備えることができる。
【0022】
手持ち型真空掃除機11は、空気流路15でスティック13に封止を形成するために、手持ち型真空掃除機11の前端に設けられる第1の封止部材25を備えることができる。さらに、第2の封止部材26は、手持ち型真空掃除機11から空気出口21で封止を形成するために、真空掃除機の後端に設けることができる。封止部材25および26は、スティック13に、または手持ち型真空掃除機11に、またはスティック13および手持ち型真空掃除機11の両方に設けることができる。
図3aで分かるように、手持ち型真空掃除機は、集められた塵を保持するためのダストカップ16も備える。ダストカップ16に収容される場合、通常、サイクロン分離器などの分離器があり、通常、いくつかのフィルタもある。
【0023】
図3bに、手持ち型真空掃除機11がドッキング解除されてスティック型真空掃除機から取り外された、スティック13が示される。
図3bの実施形態において、封止部材25および26は、スティック13に設けられる。気密封止が手持ち型真空掃除機上に設けられる場合、手持ち型真空掃除機の気密封止と協働するのに適した表面を、スティック13上に設けることができる。
【0024】
封止部材25および26は、U字形封止、または場合によっては、V字形封止とすることができる。そのような封止は、スティックに気密接続を提供する。別の実施形態によると、封止は、リップシーリングである。
【0025】
図3cに、ドッキング解除されて、スティック型真空掃除機から取り外された手持ち型真空掃除機11が示される。
図3cで分かるように、手持ち型真空掃除機11は、カバー37を備えることができる。カバー37は、出口21に配置される。
【0026】
手持ち型真空掃除機11がスティック13なしで使用されるとき、手持ち型真空掃除機11上の空気出口21は好ましくは、広く開いていない。使用者が、使用者の手で手持ち型真空掃除機11の内部にアクセスできないように、穿孔カバー/グリル37があってもよい。この穿孔カバー/グリル37は、固定することも、または代わりに、手持ち型真空掃除機をスティックにドッキングさせたとき、損失を低減するために、空気経路から完全にまたは部分的に取り外すこともできる。1つの実施形態によると、カバー37はばね付勢とすることができ、スティック13にドッキングさせたとき、空気経路を開くために、スティック13上の細部によって押し込むことができ、ドッキング解除したとき、所定の位置に戻すことができる。
【0027】
図4aに、手持ち型真空掃除機11をスティック13にドッキングさせたときに開くように枢動可能であるカバー37を備える手持ち型真空掃除機11が示される。
【0028】
図4bに、手持ち型真空掃除機11をスティック13にドッキングさせたときに開くように押されることが可能なカバー37を備える手持ち型真空掃除機11が示される。
【0029】
図5に、手持ち型真空掃除機11のためのフィルタ30が示される。フィルタ30は、フレーム42、特に、プラスチックまたはゴムのフレーム42上に取り付けられたフィルタ媒体41を備えることができる。フレーム42は、長方形、卵形、円形などの任意の好適な形状を有することができる。フィルタ媒体41はひだをつけることができる。フィルタ媒体は、発泡体、複合フィルタ、漸進層フィルタなどによって形成することができる。
【0030】
フィルタ30は、保守管理または交換のために、使用者がスティック13から取り外すことができる。1つの実施形態によると、フィルタ30は、
図3aに示されるように、一方側に係止機構かつ他方側にフックを提供することによって、スティック13から取り外される。使用者は、フィルタ30を引っ掛け、機構31がフィルタ30をつかむまで、それを押し込む。代替的な実施形態において、フィルタ30は、フィルタ30にアクセスするために取り外し可能であるカバーの背後に固定することができる。
【0031】
本発明は、ごく少数の実施形態に関して上で説明された。しかしながら、当業者であれば容易に分かるように、付属の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲内において、上で開示されたもの以外の実施形態も同様に可能である。