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特許7196382更新道路を識別する方法、装置、デバイス及びコンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】更新道路を識別する方法、装置、デバイス及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221220BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221220BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06T7/00 640
G06T7/00 350C
G01C21/26 A
G09B29/00 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021137229
(22)【出願日】2021-08-25
(65)【公開番号】P2022040067
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】202010889015.3
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホァン、ジジョウ
(72)【発明者】
【氏名】シア、デグオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイフェン
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067656(JP,A)
【文献】特開2005-258728(JP,A)
【文献】特表2020-520493(JP,A)
【文献】特開2019-095569(JP,A)
【文献】特開2016-180980(JP,A)
【文献】特開2007-041294(JP,A)
【文献】特開2019-144193(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111121797(CN,A)
【文献】齋藤俊太, 外2名,Convolutional Neural Networkを用いた航空画像からの建物・道路検出,第22回 画像センシングシンポジウム,2016年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01C 21/26
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新道路を識別する方法であって、
最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得ることと、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングすることと、
直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得することと、
前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別することと、を含
前記更新道路は、新規道路を含み、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングすることは、
候補新規道路の座標位置に基づいて道路網データに前記候補新規道路を追加し、前記候補新規道路と前記道路網データにおける既存道路との連通関係を追加して更新後の検証すべき道路網データを作成すること、を含む、
方法。
【請求項2】
前記最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得ることは、
直近の所定時間帯における衛星画像を取得して、取得された衛星画像から道路エリアを抽出することと、
抽出された道路エリアと、前記直近の所定時間帯よりも前の時間帯における衛星画像から抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得ることと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得された衛星画像から道路エリアを抽出することは、
前記取得された衛星画像を予め訓練された道路識別モデルに入力することと、
前記道路識別モデルにより画素の分類に基づいて得られた道路エリアを取得することと、を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記道路識別モデルは、
履歴衛星画像を道路網における道路情報と関連付けて訓練データを得て、あるいは、履歴衛星画像について人工的に道路エリアを標識して訓練データを得て、
ディープニューラルネットワークによる画素分類の結果と、訓練データにおける対応する画素が道路エリアに属するか否かの情報とが一致することを訓練目標として、前記訓練データを用いて前記ディープニューラルネットワークを訓練して前記道路識別モデルを得ることにより、事前に訓練された、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記候補新規道路と前記道路網データにおける既存道路との連通関係を追加することは、
前記道路網データにおける既存道路と交差するように、前記候補新規道路を道路方向に延長することと、
交差点と前記候補新規道路の端点との間の距離が所定の距離閾値以下である場合に、前記道路網データに前記交差点と端点との間の延長道路を追加するとともに、前記候補新規道路と前記既存道路との連通関係を追加することと、を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記更新道路は、消滅道路を含み、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングすることは、
候補消滅道路の座標位置に基づいて、道路網データから前記候補消滅道路を削除して更新後の検証すべき道路網データを作成すること、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得することは、
直近の所定時間帯におけるユーザ軌跡を取得することと、
前記候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の数が所定の数閾値以上であるユーザ軌跡、あるいは、前記候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の割合が所定の割合閾値以上であるユーザ軌跡を、前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡として決定して前記ユーザ軌跡集合を作成することと、を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別することは、
前記ユーザ軌跡集合と更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果が、前記ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データとのマッチング結果よりも優れていれば、前記候補更新道路が実際更新道路であると識別すること、を含む、
請求項又はに記載の方法。
【請求項9】
更新道路を識別する方法であって、
最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得ることと、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングすることと、
直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得することと、
前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別することと、を含み、
前記更新道路は、消滅道路を含み、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングすることは、
候補消滅道路の座標位置に基づいて、道路網データから前記候補消滅道路を削除して更新後の検証すべき道路網データを作成すること、を含み、
前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別することは、
前記ユーザ軌跡集合と更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果が、前記ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データとのマッチング結果よりも優れていれば、前記候補更新道路が実際更新道路であると識別すること、を含む、
方法。
【請求項10】
前記ユーザ軌跡集合と更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果の決定方法は、前記ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡について、隠れマルコフモデルによりユーザ軌跡と前記検証すべき道路網データとのマッチング確率をそれぞれ決定し、前記ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡と更新後の検証すべき道路網データとの平均マッチング確率を決定することを含み、
前記ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データとのマッチング結果の決定方法は、前記ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡について、隠れマルコフモデルによりユーザ軌跡と更新前の道路網データとのマッチング確率をそれぞれ決定し、前記ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡と更新前の道路網データとの平均マッチング確率を決定することを含む、
請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ユーザ軌跡と道路網データとのマッチング確率を決定することは、
ユーザ軌跡における各軌跡点と道路網データにおける各道路との距離に基づいて前記ユーザ軌跡の観測確率行列を決定することと、
ユーザ軌跡が道路網データにおける道路上にマッピングされた隣接する2つの点の距離と、ユーザ軌跡における当該隣接する2つの点の距離との差に基づいて前記ユーザ軌跡の遷移確率行列を決定することと、
前記ユーザ軌跡の観測確率行列と遷移確率行列とを用いてビタビ計算を行って前記ユーザ軌跡と道路網データとのマッチング確率を求めることと、を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記実際更新道路に実際新規道路が含まれる場合に、
前記ビタビ計算を行う過程において、前記検証すべき道路網データにおける前記ユーザ軌跡の最適マッチング道路シーケンスをさらに取得することと、
前記最適マッチング道路シーケンスにおける出現回数が所定の回数閾値以上である前記実際新規道路の後続道路を決定し、前記実際新規道路と当該後続道路との実際連通関係を決定することと、
前記更新前の道路網データに前記実際新規道路と前記実際連通関係を追加して更新後の道路網データを得ることと、をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記実際更新道路に実際消滅道路が含まれる場合に、
前記更新前の道路網データから、前記実際消滅道路及び前記実際消滅道路の連通関係を削除することを、さらに含む、
請求項8または9に記載の方法。
【請求項14】
更新道路を識別する装置であって、
最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得る道路抽出モジュールと、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングする道路網統合モジュールと、
直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得する軌跡取得モジュールと、
前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別する道路識別モジュールと、を備え、
前記更新道路は、新規道路を含み、
前記道路網統合モジュールは、具体的に、候補新規道路の座標位置に基づいて、道路網データに前記候補新規道路を追加し、前記候補新規道路と前記道路網データにおける既存道路との連通関係を追加して、更新後の検証すべき道路網データを形成する、
装置。
【請求項15】
前記道路抽出モジュールは、
直近の所定時間帯における衛星画像を取得する画像取得サブモジュールと、
前記画像取得サブモジュールにより取得された衛星画像から道路エリアを抽出する道路抽出サブモジュールと、
前記道路抽出サブモジュールにより抽出された道路エリアと、前記直近の所定時間帯よりも前の時間帯における衛星画像から抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得る比較サブモジュールと、を備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記道路抽出サブモジュールは、具体的に、
前記画像取得サブモジュールにより取得された衛星画像を予め訓練された道路識別モデルに入力し、
前記道路識別モデルにより画素の分類に基づいて得られた道路エリアを取得する、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
履歴衛星画像を道路網における道路情報と関連付けて訓練データを得て、あるいは、履歴衛星画像について人工的に道路エリアに標識して訓練データを得て、ディープニューラルネットワークによる画素分類の結果と、訓練データにおける対応する画素が道路エリアに属するか否かの情報とが一致することを訓練目標として、前記訓練データを用いて前記ディープニューラルネットワークを訓練して前記道路識別モデルを得る、モデル訓練モジュールをさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記道路網統合モジュールは、前記候補新規道路と前記道路網データにおける既存道路との連通関係を追加する際に、具体的に、
前記道路網データにおける既存道路と交差するように、前記候補新規道路を道路方向に延長し、
交差点と前記候補新規道路の端点との間の距離が所定の距離閾値以下である場合に、前記道路網データに前記交差点と端点との間の延長道路を追加するとともに、前記候補新規道路と前記既存道路との連通関係を追加する、
請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記更新道路は、消滅道路を含み、
前記道路網統合モジュールは、具体的に、候補消滅道路の座標位置に基づいて、道路網データから前記候補消滅道路を削除して更新後の検証すべき道路網データを作成する、
請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記軌跡取得モジュールは、具体的に、
直近の所定時間帯におけるユーザ軌跡を取得し、
前記候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の数が所定の数閾値以上であるユーザ軌跡、あるいは、前記候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の割合が所定の割合閾値以上であるユーザ軌跡を、前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡として決定して前記ユーザ軌跡集合を作成する、
請求項1419のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
更新道路を識別する装置であって、
最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得る道路抽出モジュールと、
前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングする道路網統合モジュールと、
直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得する軌跡取得モジュールと、
前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別する道路識別モジュールと、を備え、
前記軌跡取得モジュールは、具体的に、
直近の所定時間帯におけるユーザ軌跡を取得し、
前記候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の数が所定の数閾値以上であるユーザ軌跡、あるいは、前記候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の割合が所定の割合閾値以上であるユーザ軌跡を、前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡として決定して前記ユーザ軌跡集合を作成する、
装置。
【請求項22】
前記道路識別モジュールは、
前記ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡について、隠れマルコフモデルにより、ユーザ軌跡と更新前の道路網データとのマッチング確率及び更新後の検証すべき道路網データとのマッチング確率をそれぞれ決定する道路網マッチングサブモジュールと、
前記ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡は、更新後の検証すべき道路網データとの平均マッチング確率が更新前の道路網データとの平均マッチング確率よりも大きい場合に、前記候補更新道路が実際更新道路であると識別する道路識別サブモジュールと、を備える、
請求項14、19又は21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記道路網マッチングサブモジュールは、具体的に、
ユーザ軌跡における各軌跡点と道路網データにおける各道路との距離に基づいてユーザ軌跡の観測確率行列を決定し、
ユーザ軌跡が道路網データにおける道路上にマッピングされた隣接する2つの点の距離と、ユーザ軌跡における当該隣接する2つの点の距離との差に基づいてユーザ軌跡の遷移確率行列を決定し、
前記ユーザ軌跡の観測確率行列と遷移確率行列とを用いてビタビ計算を行って前記ユーザ軌跡と道路網データとのマッチング確率を求める、
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記実際更新道路に実際新規道路が含まれる場合に、前記道路網マッチングサブモジュールは、前記ビタビ計算を行う過程において、前記検証すべき道路網データにおける前記ユーザ軌跡の最適マッチング道路シーケンスをさらに取得し、
前記最適マッチング道路シーケンスにおける出現回数が所定の回数閾値以上である前記実際新規道路の後続道路を決定し、前記実際新規道路と当該後続道路との実際連通関係を決定し、前記更新前の道路網データに前記実際新規道路と前記実際連通関係を追加して更新後の道路網データを得る道路網更新モジュールをさらに備える、
請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記実際更新道路に実際消滅道路が含まれる場合に、前記装置は、
前記更新前の道路網データから、前記実際消滅道路及び前記実際消滅道路の連通関係を削除する道路網更新モジュールをさらに備える、
請求項22に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されたメモリと、を備え、
前記メモリに前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させる電子デバイス。
【請求項27】
コンピュータに請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータコマンドが記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
コンピュータに請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコンピュータ技術分野に関し、特にビッグデータ技術分野における更新道路を識別する方法、装置、デバイス及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション電子地図において、道路により構成される道路網データはナビゲーションルート計画の基礎データである。道路網データの正確度はナビゲーションルート計画の正確性と合理性に大きく影響し、ひいてはユーザの実際のナビゲーション体験に影響を与える。例えば、新規の道路がすぐに発見されて道路網データに更新されないと、もともと当該道路を通過し得るより短い経路がユーザに推薦されず、ユーザが回り道をすることになる。そのため、道路データの変化をより全面的かつ正確的に発見し、変化を道路網データに更新する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
これに鑑み、本開示は、更新道路を識別する方法、装置、デバイス、及びコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0004】
第1の態様では、本開示は、最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得ることと、前記候補更新道路の座標位置に基づいて前記候補更新道路を道路網データにマッピングすることと、直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得することと、前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別することとを含む更新道路を識別する方法を提供する。
【0005】
第2の態様では、本開示は、最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得る道路抽出モジュールと、前記候補更新道路の座標位置に基づいて、前記候補更新道路を道路網データにマッピングする道路網統合モジュールと、直近の所定時間帯における前記候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得する軌跡取得モジュールと、前記ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、前記候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別する道路識別モジュールと、を備える更新道路を識別する装置を提供する。
【0006】
第3の態様では、本開示は、少なくとも1つのプロセッサ、前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されたメモリとを備え、前記メモリに前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドが記憶されており、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに上述の方法を実行させる電子デバイスを提供する。
【0007】
第4の態様では、本開示は、コンピュータに上記の方法を実行させるためのコンピュータコマンドが記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0008】
上記の選択可能な方法が有する他の効果は、以下で具体的な実施形態と合わせて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面は、本開示をより良く理解するためのものであり、本開示を限定しない。
図1】本開示の実施形態を適用し得る例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。
図2】本開示の実施形態二により提供される主要な方法のフローチャートである。
図3】本開示の実施形態二により提供される道路エリアを抽出する概略図である。
図4】本開示の実施形態二により提供される、候補新規道路を道路網データにマッピングする概略図である。
図5】本開示の実施形態二により提供された候補新規道路と既存道路との連通関係の実例図である。
図6】本開示の実施形態三により提供される更新道路を識別するための装置構成図である。
図7】本開示の実施形態を実現するための電子デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本開示の例示的な実施例を説明する。理解を容易にするために、本開示の実施例の様々な詳細が含まれており、それらは単なる例示と見なされるべきである。従って、当業者は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な変更及び修正を行うことができることを認識するはずである。同様に、簡明のために、以下の説明では、よく知られた機能と構造の説明は省略される。
【0011】
実施形態一
図1は、本開示の実施形態が適用され得る例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。図1に示すように、当該システムアーキテクチャは、端末装置101、102、ネットワーク103、及びサーバ104を含むことができる。ネットワーク103は、端末装置101、102とサーバ104との間に通信リンクの媒体を提供する。ネットワーク103は、有線、無線通信リンク、又は光ファイバケーブルなどの様々な接続タイプを含むことができる。
【0012】
ユーザは、端末装置101、102を用いて、ネットワーク103を介してサーバ104とインタラクションすることができる。端末装置101、102には、地図型アプリケーション、音声対話型アプリケーション、Webブラウザアプリケーション、通信型アプリケーションなど、様々なアプリケーションをインストールすることができる。
【0013】
端末装置101及び102は、地図型アプリケーションをサポート及び表示することができる様々な電子デバイスであって良く、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイスなどを含むが、これらに限定されない。本開示により提供されるデバイスは、上述したサーバ104内に設定され、動作することができる。これは、複数のソフトウェア又はソフトウェアモジュール(例えば、分散サービスを提供するために)として実現されてもよく、単一のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実現されてもよいが、ここでは特に限定されない。
【0014】
例えば、更新道路を識別する装置は、上述のサーバ104内に設定されて動作し、サーバ104は、各端末装置(101、102を含む)が地図型アプリケーションを使用する際にアップロードされたユーザ軌跡データを事前に収集してメンテナンスし、道路網データベース105とインタラクションして道路網データを取得して更新することができ、さらに衛星画像ライブラリ106とインタラクションして衛星画像を取得することもできる。本開示の実施形態では、サーバ104は、上述した衛星画像、ユーザ軌跡データ、道路網データを利用して更新道路の識別を行い、道路網データを即時に更新することができる。道路網データの更新により、地図型アプリケーションのサーバ側は各端末装置に地図型サービス、例えばルート検索サービス、ナビゲーションサービスなどをより良く提供することができる。
【0015】
上記の方式に加えて、更新道路を識別する装置を演算能力の高いコンピュータシステム上に設置して動作させることも可能である。
【0016】
サーバ104は、単一のサーバであっても良く、複数のサーバからなるサーバ群であってもよい。理解すべきなのは、図1における端末装置、ネットワーク、及びサーバの数は、単なる例示的なものである。実現の必要に応じて、任意の数の端末装置、ネットワーク、及びサーバを有することができる。
【0017】
実施形態二
図2は、本開示の実施形態二により提供される主要な方法のフローチャートである。この方法は、図2に示されたように、以下のステップを含むことができる。
【0018】
201では、最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと、履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得る。
【0019】
本ステップでは、衛星画像に基づく道路抽出を実現する。本開示における道路の更新は、定期的に、又は特別なイベントに基づいてトリガされることができる。これに鑑み、履歴時間を時間帯に分割することができる。直近の所定時間帯における衛星画像を最新衛星画像と見なし、直近の所定時間帯よりも前の時間帯における衛星画像を履歴衛星画像と見なすことができる。時間帯の長さを制御することにより、道路発見メカニズムの即時性を調整することができる。したがって、このステップは、具体的に次のステップを用いて実現して良い。
【0020】
S11において、直近の所定時間帯における衛星画像を取得し、取得された衛星画像から道路エリアを抽出する。
【0021】
S12において、直近の所定時間帯よりも前の時間帯における衛星画像を取得し、取得された衛星画像から道路エリアを抽出する。
【0022】
以上のステップS11、S12のいずれにおいても、衛星が撮影した地球上の座標情報付き画像ファイルである衛星画像からの道路エリアの抽出に関する。本開示の実施形態において衛星画像から道路エリアを抽出する方法は、取得された衛星画像を予め訓練された道路識別モデルに入力し、道路識別モデルが画素の分類に基づいて得られた道路エリアを取得することができる。
【0023】
つまり、道路エリアの抽出を画素粒度のバイナリ語義分割問題としてモデル化し、即ち道路識別モデルにより衛星画像における画素を分類し、各画素が道路エリアに属するか否かを判定する。
【0024】
道路識別モデルを事前に訓練する際には、履歴衛星画像と道路網における道路情報とを関連付けて訓練データを得ることができ、すなわち、訓練データには履歴衛星画像及び履歴衛星画像における道路エリア情報が含まれる。履歴衛星画像について人工的に道路エリアに標識して訓練データを得ることも可能である。そして、訓練データを用いてディープニューラルネットワークを訓練して道路識別モデルを得る。ここで、採用されるディープニューラルネットワークは、U-Net又はDeep Residual(ディープ残差) U-Netなどであってもよい。U-Netは、全畳み込みネットワークを用いて語義分割を行うアルゴリズムの1つであり、圧縮経路と拡張経路の対称U型構造を用いることからこの名がついた。道路識別モデルの訓練に用いた訓練目標は、ディープニューラルネットワークによる画素分類の結果が訓練データにおける対応する画素が道路エリアに属するか否かの情報と一致すること、すなわち、ディープニューラルネットワークによる履歴衛星画像中の各画素の分類結果が訓練データにおける期待と一致することである。
【0025】
もちろん、上述した画素分類による道路エリア抽出方式以外にも、他の方式により衛星画像から道路エリアを抽出しても良い。
【0026】
各段階の衛星画像に対して抽出した道路エリア情報は保存しておき、履歴衛星画像とする場合には、それに対応する道路エリア情報を直接取得して利用すればよい。
【0027】
S13において、抽出された道路エリアを比較して候補更新道路を得る。
【0028】
最新衛星画像から抽出した道路エリアと履歴衛星画像から抽出した道路エリアとを比較する。注意すべきなのは、比較する際には同じ地理エリアに対応する部分を比較する必要がある。最新衛星画像には存在するが、履歴衛星画像には存在しない道路エリアについては、新規道路である可能性があると考える。最新衛星画像には存在しないが、履歴衛星画像に存在する道路エリアについては、消滅道路である可能性があると考えられる。
【0029】
図3に示すように、最新衛星画像から道路識別モデルにより道路エリアを抽出し、抽出した道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出した道路エリアとを比較した結果、最新衛星画像に履歴衛星画像にない道路が1つあれば、その道路を候補新規道路として決定する。
【0030】
衛星画像に基づいて、更新道路を即時で全面的に発見することができる。しかし、衛星画像が雲霧や木陰などに遮られているため、得られる更新道路は必ずしも正確ではない可能性がある。従って、本ステップで衛星画像を用いて得られる更新道路は、後続でユーザ軌跡識別に基づいてさらに決定する必要があるため、本ステップで得られる更新道路を候補更新道路と呼ぶ。
【0031】
202では、候補更新道路の座標位置に基づいて、候補更新道路を道路網データにマッピングする。
【0032】
後続でユーザ軌跡に基づいて候補更新道路が実際に更新されたばかりの道路であるか否かを識別することは、更新前の道路網データと更新後の道路網データとのマッチング確率を比較することにより行われるため、本ステップでは実際には更新道路を用いて道路網データを先に更新することを仮定するが、この更新道路網データは必ずしも正確ではなく、最終的に実際に更新された道路網データであるとは限らないので、本ステップで更新された道路網データを検証すべき道路網データと呼ぶ。
【0033】
具体的には、新規道路については、候補新規道路の座標位置に基づいて、道路網データに候補新規道路を追加し(図中では道路網統合と呼ぶ)、候補新規道路と道路網データ(既存の道路網データ、すなわち以前に決定された実道路網データ)における既存道路との連通関係(図中では連通関連と呼ぶ)を追加し、図4に示すような更新後の検証すべき道路網データを作成することができる。
【0034】
ここで、候補新規道路と道路網データにおける既存道路との連通関係を追加する場合には、まず道路網データにおける既存道路と交差するように候補新規道路を道路方向に延長する、という実現可能な方法を提供する。たとえば図5に示すように、候補新規道路はrnとすると、rnの方向に沿って延長した後に道路r6と交差する。
【0035】
交点と候補新規道路rnの端点との距離(すなわち、延長区間の長さ)が所定の第1距離閾値以下である場合には、道路網データにおいて、交点と端点との間の延長道路(点状区間)を増加させ、候補新規道路rnと既存道路r6との連通関係を増加させる。
【0036】
消滅道路については、候補消滅道路の座標位置に基づいて、道路網データから消滅道路を削除して更新後の検証すべき道路網データを作成することができる。 このとき、道路網データ中に候補消滅道路と同一方向であり、且つ候補消滅道路からの座標位置距離が所定の第2距離閾値未満である道路網データが存在するか否かを判断することができ、肯定の場合に道路網データにおける候補消滅道路に対応する既存道路とみなして道路網データから削除し、更新後の検証すべき道路網データを作成する。
【0037】
203では、直近の所定時間帯における候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得する。
【0038】
最初に、直近の所定時間帯におけるユーザ軌跡を取得する。ここで、ユーザ軌跡は、例えば、運転軌跡、レーシング軌跡、歩行軌跡などを含むことができる。これらのユーザ軌跡は、ユーザがアップロードした後に地図型アプリケーションのデータベースに保存することができ、本ステップでは地図型アプリケーションのデータベースから直接取得する。
【0039】
各ユーザ軌跡は、時間的に半順序関係を有するn個の隣接軌跡点からなるシーケンスである。たとえば、ユーザ軌跡Tは、軌跡点シーケンス< p1, p2,…, pn >で構成される。ここで、軌跡点piは二元集合<li,ti>であり、liは空間情報、一般に地理座標情報であり、tiは時間情報である。
【0040】
ユーザ軌跡は様々な測位方法で得られる可能性があり、測位精度が不正確であるという問題があるため、ここで候補更新道路に対して拡張エリアを定義する。候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の数が所定数閾値以上であるユーザ軌跡、又は候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の割合が所定割合閾値以上であるユーザ軌跡を、候補更新道路に対応するユーザ軌跡として決定してユーザ軌跡集合を構成する。
【0041】
ここで、上記拡張エリアは、候補更新道路rnの中心線を基準として左右の所定距離Δd内に構成されるエリアとして定義可能であり、図5に示すようにRnと標記される。1つのユーザ軌跡Tkが次の条件のいずれかを満たす場合、それをrnのユーザ軌跡集合Crnに追加する。
【0042】
条件1:
【0043】
条件2:
【0044】
ここで、
は、ユーザ軌跡Tkにおける軌跡点が拡張エリアRnに入る数であり、
は、ユーザ軌跡Tkにおける軌跡点の数である。
及び
は事前に設定された閾値であり、経験値又は実験値を使用しても良く、次の方法で決定しても良い。
【0045】
ここで、
は候補更新道路rnの長さである。Dは平均軌跡点間隔距離であり、すべてのユーザ軌跡の軌跡点間隔距離に基づいて統計されて良い。
【0046】
ここで、
はユーザ軌跡Tkの長さである。
【0047】
204では、ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別する。
【0048】
本ステップでは、ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データ及び更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果をそれぞれ決定し、ユーザ軌跡集合と更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果が、ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データとのマッチング結果よりも優れていれば、候補更新道路が実際更新道路であると識別する。
【0049】
ユーザ軌跡集合Crnにおける各ユーザ軌跡Tkについて、HMM(Hidden Markov Model)により、ユーザ軌跡Tkが更新前の道路網データ
とのマッチング確率、及び更新後の検証すべき道路網データ
とのマッチング確率をそれぞれ決定し、それぞれ

として表す。


【0050】
ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡と、更新後の検証すべき道路網データとの平均マッチング確率が、更新前の道路網データとの平均マッチング確率よりも大きい場合に、候補更新道路が実際更新道路であると識別する。すなわち、候補軌跡集合Crnが次の条件を満たす場合には、候補更新道路rnが実際更新道路であると識別する。

【0051】
ここで、


は候補軌跡集合Crnにおけるユーザ軌跡の数である。
【0052】
ここで、ユーザ軌跡と道路網データとのマッチング確率を決定する際には、ユーザ軌跡における各軌跡点と道路網データにおける各道路との距離に基づいて、ユーザ軌跡の観測確率行列を決定し、次にユーザ軌跡が道路網データにおける道路上にマッピングされた隣接する2つの点の距離とユーザ軌跡における当該隣接する2つの点の距離との差に基づいて、ユーザ軌跡の遷移確率行列を決定し、ユーザ軌跡の観測確率行列と遷移確率行列を利用してビタビ計算を行ってユーザ軌跡と道路網データとのマッチング確率を求めることができる。
【0053】
ユーザ軌跡Tkと更新後の検証すべき道路網データ
とのマッチング確率
を例にすると、ユーザ軌跡Tkにおける各軌跡点と道路網データ
における各道路との距離に基づいて、その軌跡点と各道路との観測確率を求めることができ、距離が小さいほど大きな観測確率に対応する。ユーザ軌跡Tkにn個の軌跡点が存在し、道路網データ
にm本の道路が存在する場合、得られたユーザ軌跡Tkの観測確率行列Aはn×mの疎行列である。
【0054】
ユーザ軌跡Tkについては、隣接軌跡点pi-1とpi、軌跡点pi-1の各道路へのマッピングとpiの各道路へのマッピングとの遷移確率をそれぞれ計算することができる。軌跡点pi-1とpiが各道路へマッピングした距離と、軌跡点pi-1とpiの距離との差が小さいほど、対応する遷移確率が大きくなる。m×mの疎行列である遷移確率行列Bが得られる。
【0055】
そして、観測確率行列Aと遷移確率行列Bを用いてビタビ計算を行う。ビタビ計算の過程は、実際には道路網データにおいて各道路に基づいてマッチングを行い、最適マッチング道路シーケンスを求める過程である。ビタビアルゴリズムは既存のアルゴリズムであり、ここでは詳述しない。すなわち、ビタビ計算により、ユーザ軌跡Tkと道路網データ
とのビタビ確率であるマッチング確率に加えて、ユーザ軌跡Tkの道路網データ
における最適マッチング道路シーケンスを得ることができる。
【0056】
ユーザ軌跡Tkと更新前の道路網データ
とのマッチング確率の計算過程は同様であるため、ここでは言及しない。
【0057】
ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡と、更新後の検証すべき道路網データとの平均マッチング確率は、更新前の道路網データとの平均マッチング確率以下である場合に、候補更新道路が実際更新道路ではないと識別し、その候補更新道路に対する処理を終了し、更新前の道路網データを道路網データとして採用し、すなわち当該候補更新道路の道路網データを追加しない。
【0058】
以上の内容からわかるように、衛星画像に基づいて候補更新道路を発見した後、道路網データ更新の前後で、候補更新道路に対応するユーザ軌跡が道路網データにマッチングする確率の変化により、候補更新道路が実際更新道路であるか否かを確認することにより、更新道路の識別の正確度を向上させた。
【0059】
205では、実際更新道路を用いて、上記更新前の道路網データを更新して実際の道路網データを得る。
【0060】
1つの実現方法として、新規道路について、上記の過程で新規道路が更新後の道路網データとよりマッチングしていると判定された場合には、先のステップ202で候補更新道路を道路網データにマッピングして追加した連通関係が正しい、即ち実際連通関係であることを示し、それを更新前の道路網データに追加して実際の道路網データを得る。
【0061】
好適な実現方法としては、新規道路について、最適マッチング道路シーケンスにおいて所定回数閾値以上の出現回数を有する実際新規道路の後続道路を決定し、実際新規道路と当該後続道路との実際連通関係を決定することができる。更新前の道路網データに実際新規道路と上記の実際連通関係を追加して実際の道路網データを得る。
【0062】
たとえば、図5でrnが実際新規道路であると決定し、rnがa本のユーザ軌跡に対応するとすると、ビタビ計算による道路網マッチング過程において、a個の最適マッチング道路シーケンスが得られる。このa個の最適マッチング道路シーケンスの中で、rnの後続道路はr6前方向、r6後方向を含む。前方向と後方向とは、それぞれ道路r6の2方向であり、r6前方向の出現回数が所定回数閾値以上であり、r6後方向の出現回数が所定回数閾値未満である場合には、rnが道路r6と前方向に連通関係があり、後方向に連通関係がないことを示す。以上の内容からわかるように、ユーザ軌跡に基づく実際連通関係の識別方式の方がより正確である。
【0063】
消滅道路については、更新前の道路網データから、実際消滅道路及び実際消滅道路の連通関係を削除することができる。
【0064】
道路網データとマッチングする道路シーケンスに基づいて、更新道路が道路網における既存道路と連通関係があるか否かを判定することにより、道路の連通関係の識別をより正確にすることができる。
【0065】
実施形態三
図6は、本開示の実施形態三により提供される更新道路を識別する装置構成図である。当該装置は、サーバ側のアプリケーションにあってもよく、サーバ側のアプリケーションにおけるプラグイン又はソフトウェア開発キット(Software Development Kit、SDK)のような機能ユニットであってもよく、コンピュータ装置にあってもよく、本開示の実施形態で特に限定されていない。図6に示すように、当該装置は、道路抽出モジュール00、道路網統合モジュール10、軌跡取得モジュール20、及び道路識別モジュール30を含んでよく、さらにモデル訓練モジュール40、及び道路網更新モジュール50を含んでも良い。各モジュールの主な機能は次のとおりである。
【0066】
道路抽出モジュール00は、最新衛星画像に基づいて抽出された道路エリアと履歴衛星画像に基づいて抽出された道路エリアとを対比して候補更新道路を得る。
【0067】
道路網統合モジュール10は、候補更新道路の座標位置に基づいて、候補更新道路を道路網データにマッピングする。
【0068】
軌跡取得モジュール20は、直近の所定時間帯における候補更新道路に対応するユーザ軌跡集合を取得する。
【0069】
道路識別モジュール30は、ユーザ軌跡集合と道路網データとのマッチング結果に基づいて、候補更新道路が実際更新道路であるか否かを識別する。
【0070】
ここで、道路抽出モジュール00は、具体的に、画像取得サブモジュール01、道路抽出サブモジュール02、及び比較サブモジュール03を含むことができる。
【0071】
画像取得サブモジュール01は、直近の所定時間帯における衛星画像を取得する。このうち、衛星画像は衛星画像ライブラリから取得することができる。
【0072】
道路抽出サブモジュール02は、画像取得サブモジュール01により取得された衛星画像から道路エリアを抽出する。
【0073】
具体的には、道路抽出サブモジュール02は、画像取得サブモジュール01により取得された衛星画像を、予め訓練された道路識別モデルに入力し、道路識別モデルが画素の分類に基づいて得られた道路エリアを取得する。
【0074】
上記道路識別モデルは、モデル訓練モジュール40により予め訓練された。具体的には、モデル訓練モジュール40は、履歴衛星画像を道路網における道路情報に関連付けて訓練データを得、又は履歴衛星画像について人工的に道路エリアに標識して訓練データを得、訓練データを用いてディープニューラルネットワークを訓練して道路識別モデルを得る。訓練目標は、ディープニューラルネットワークによる画素分類の結果と、訓練データにおける対応する画素が道路エリアに属するか否かの情報とが一致することである。
【0075】
ここで、採用されるディープニューラルネットワークは、U-Net又はDeep Residual U-Netなどであってよい。
【0076】
比較サブモジュール03は、道路抽出サブモジュール02により抽出された道路エリアと、直近の所定時間帯よりも前の時間帯における衛星画像から抽出された道路エリアとを比較して候補更新道路を得る。
【0077】
ここで、更新道路は、新規道路又は消滅道路を含んで良い。
【0078】
道路網統合モジュール10は、更新道路が新規道路である場合には、候補新規道路の座標位置に基づいて、候補新規道路を道路網データに追加するとともに、候補新規道路と道路網データにおける既存道路との連通関係を追加して更新後の検証すべき道路網データを作成する。
【0079】
好ましい実施形態として、道路網統合モジュール10は、道路網データにおける既存道路と候補新規道路との連通関係を増加させる際に、道路網データにおける既存道路と交差するように候補新規道路を道路方向に延長してよい。交差点と候補新規道路の端点との間の距離が所定の距離閾値以下である場合には、交差点と端点との間の延長道路を道路網データに追加し、候補新規道路と既存道路との連通関係を追加する。
【0080】
道路網統合モジュール10は、更新道路が消滅道路であれば、候補消滅道路の座標位置に基づいて、道路網データから候補消滅道路を削除して更新後の検証すべき道路網データを作成する。
【0081】
好適な実施形態として、上記軌跡取得モジュール20は、直近の所定時間帯におけるユーザ軌跡を取得し、候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の数が所定数閾値以上であるユーザ軌跡、又は候補更新道路の拡張エリアに入る軌跡点の割合が所定割合閾値以上であるユーザ軌跡を、候補更新道路に対応するユーザ軌跡として決定してユーザ軌跡集合を作成することができる。
【0082】
道路識別モジュール30は、ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データ及び更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果をそれぞれ確定し、ユーザ軌跡集合と更新後の検証すべき道路網データとのマッチング結果が、ユーザ軌跡集合と更新前の道路網データとのマッチング結果よりも優れていれば、候補更新道路が実際更新道路であると識別する。
【0083】
さらに、道路識別モジュール30は、具体的に、道路網マッチングサブモジュール31及び道路識別サブモジュール32を含んで良い。
【0084】
ここで、道路網マッチングサブモジュール31は、ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡について、隠れマルコフモデルにより、ユーザ軌跡と更新前の道路網データとのマッチング確率、及び更新後の検証すべき道路網データとのマッチング確率とをそれぞれ確定する。
【0085】
具体的には、道路網マッチングサブモジュール31は、ユーザ軌跡における各軌跡点と道路網データにおける各道路との距離に基づいて、ユーザ軌跡の観測確率行列を決定し、ユーザ軌跡が道路網データにおける道路上にマッピングした隣接する2つの点の距離と、ユーザ軌跡における当該隣接する2つの点の距離との差に基づいてユーザ軌跡の遷移確率行列を決定し、ユーザ軌跡の観測確率行列と遷移確率行列とを用いてビタビ計算を行ってユーザ軌跡と道路網データとのマッチング確率を求めることができる。
【0086】
道路識別サブモジュール32は、ユーザ軌跡集合における各ユーザ軌跡が更新後の検証すべき道路網データとの平均マッチング確率が更新前の道路網データとの平均マッチング確率よりも大きい場合に、候補更新道路が実際更新道路であると識別する。
【0087】
特に、道路網マッチングサブモジュール31は、実際更新道路に実際新規道路が含まれる場合に、ビタビ計算を行う過程で、さらに検証すべきの道路網データにおけるユーザ軌跡の最適マッチング道路シーケンスを求める。
【0088】
好適な実施形態として、道路網更新モジュール50は、前記最適マッチング道路シーケンスのうち、出現回数が所定回数閾値以上である前記実際新規道路の後続道路を決定し、前記実際新規道路と当該後続道路との実際連通関係を決定し、更新前の道路網データに実際新規道路と実際連通関係を追加して更新後の道路網データを得る。
【0089】
道路網更新モジュール50は、実際更新道路に実際消滅道路が含まれる場合には、更新前の道路網データから実際消滅道路及び実際消滅道路の連通関係を削除する。
【0090】
本開示の実施形態によれば、本開示はさらに、電子デバイス及び可読記憶媒体を提供する。
【0091】
図7は、本開示の実施形態に係る更新道路を識別する方法のための電子デバイスのブロック図である。電子デバイスは、様々な形式のデジタルコンピュータ、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、PDA、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及び他の適切なコンピュータであることが意図される。電子デバイスは、様々な形式のモバイル装置、例えば、PDA、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及び他の類似するコンピューティング装置を示してもよい。本文で示された構成要素、それらの接続及び関係、ならびにそれらの機能は例示にすぎなく、本明細書において説明及び/又は請求される本開示の実現を限定することが意図されない。
【0092】
図7に示すように、この電子デバイスは、一つ又は複数のプロセッサ701、メモリ702、及び各構成要素に接続するための高速インターフェース及び低速インターフェースを含むインターフェースを備える。各構成要素は、異なるバスで相互接続され、そして、共通マザーボードに、又は必要に応じて、他の態様で実装されてもよい。プロセッサは、電子デバイス内で実行されるコマンドを処理してもよく、メモリに記憶される又はメモリ上で外部入力/出力装置(例えば、インターフェースに結合される表示装置)にグラフィカルユーザインターフェースのグラフィカル情報を表示するコマンドを含む。他の実施形態において、必要な場合に、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが、複数のメモリとともに用いられてもよい。同様に、複数の電子デバイスが接続されてもよく、それぞれのデバイスが必要な操作の一部を提供する(例えば、サーババンク、ブレードサーバの集まり、又はマルチプロセッサシステムとする)。図7において、一つのプロセッサ701を例とする。
【0093】
メモリ702は、本開示で提供される非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。なお、前記メモリには、少なくとも1つのプロセッサが本願に提供された更新道路を識別する方法を実行するように、前記少なくとも1つのプロセッサに実行可能なコマンドが記憶されている。本開示の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、本願に提供された更新道路を識別する方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータコマンドを記憶している。
【0094】
メモリ702は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体として、非一時的ソフトウェアプログラム、非一時的コンピュータ実行可能なプログラム、モジュール、例えば、本開示の実施例における更新道路を識別する方法に対応するプログラムコマンド/モジュールを記憶するために用いられる。プロセッサ701は、メモリ702に記憶されている非一時的ソフトウェアプログラム、コマンド及びモジュールを実行することで、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち、上記の方法実施例における更新道路を識別する方法を実現する。
【0095】
メモリ702は、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでもよく、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも一つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶してもよく、データ記憶領域は当該電子デバイスの使用により作成されたデータなどを記憶してもよい。また、メモリ702は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、さらに非一時的メモリ、例えば、少なくとも一つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、又は他の非一時的固体記憶装置を含んでもよい。幾つかの実施例において、メモリ702は、プロセッサ701に対して遠隔設置されたメモリを選択的に含んでもよく、これらのリモートメモリは、ネットワークを介して当該電子デバイスに接続されてもよい。上記のネットワークの実例には、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
当該電子デバイスは、さらに、入力装置703と出力装置704とを備えても良い。プロセッサ701、メモリ702、入力装置703及び出力装置704は、バス又は他の手段により接続されても良く、図7においてバスによる接続を例とする。
【0097】
入力装置703は、入力された数字又はキャラクタ情報を受信し、電子デバイスのユーザ設定及び機能制御に関連するキー信号入力を生成でき、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパッド、ポインティングスティック、一つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置である。出力装置704は、表示装置、補助照明装置(例えば、LED)、触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含むことができる。当該表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、及びプラズマディスプレイを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、表示装置はタッチパネルであってもよい。
【0098】
本明細書に説明されるシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、専用ASIC(専用集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの様々な実施形態は、記憶システム、少なくとも一つの入力装置、及び少なくとも一つの出力装置からデータ及びコマンドを受信し、当該記憶システム、当該少なくとも一つの入力装置、及び当該少なくとも一つの出力装置にデータ及びコマンドを送信するようにつなげられた、特殊用途でもよく一般用途でもよい少なくとも一つのプログラマブルプロセッサを含む、プログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な一つ又は複数のコンピュータプログラムにおける実行を含んでもよい。
【0099】
これらのコンピューティングプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又は、コードとも称される)は、プログラマブルプロセッサの機械命令を含み、高水準のプロセス及び/又はオブジェクト向けプログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実行されることができる。本明細書で用いられる「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械可読信号としての機械命令を受け取る機械可読媒体を含むプログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するのに用いられる任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブル論理デバイス)を指す。「機械可読信号」という用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために用いられる任意の信号を指す。
【0100】
ユーザとのインタラクティブを提供するために、本明細書に説明されるシステムと技術は、ユーザに対して情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)、ユーザがコンピュータに入力を与えることができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスや、トラックボール)を有するコンピュータ上に実施されることが可能である。その他の種類の装置は、さらに、ユーザとのインタラクションを提供するために使用されることが可能であり、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態のセンシングフィードバック(例えば、視覚的なフィードバック、聴覚的なフィードバック、又は触覚的なフィードバック)であり得、ユーザからの入力は、任意の形態で(音響、音声又は触覚による入力を含む)受信され得る。
【0101】
本明細書に説明されるシステムと技術は、バックエンド構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとする)、又はミドルウェア構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータであり、ユーザは、当該グラフィカルユーザインターフェースもしくは当該ウェブブラウザを通じて本明細書で説明されるシステムと技術の実施形態とインタラクションすることができる)、そのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組合せを含むコンピューティングシステムに実施されることが可能である。システムの構成要素は、任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互に接続されることが可能である。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、インターネットワークを含む。
【0102】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含み得る。クライアントとサーバは、一般的に互いから遠く離れており、通常は、通信ネットワークを通じてインタラクトする。クライアントとサーバとの関係は、相応するコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0103】
以上で示された様々な形式のフローを使用して、ステップを並べ替え、追加、又は削除できることを理解されたい。例えば、本開示に説明される各ステップは、並列の順序又は順次的な順序で実施されてもよいし、又は異なる順序で実行されてもよく、本開示で開示された技術案の望ましい結果が達成できる限り、ここで制限されない。
【0104】
前記の具体的な実施形態は本開示の保護範囲に対する制限を構成しない。設計要件及び他の要因に従って、様々な修正、組み合わせ、部分的組み合わせ及び置換を行うことができることを当業者は理解するべきである。本開示の精神及び原則の範囲内で行われる修正、同等の置換、改善は、何れも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7