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特許7196385膜のマーカベースの直接完全性試験システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】膜のマーカベースの直接完全性試験システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 65/10 20060101AFI20221220BHJP
   B01D 71/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B01D65/10
B01D71/00
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019547700
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 IB2018000302
(87)【国際公開番号】W WO2018162981
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/468,280
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】317006661
【氏名又は名称】1934612 オンタリオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、アンソニー、エル.
(72)【発明者】
【氏名】バターズ、ブライアン、イー.
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-505824(JP,A)
【文献】特開2012-192365(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105032196(CN,A)
【文献】特開2000-266660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法であって、
(a)ループのフィード流体に少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子を含む少なくとも1つのマーカを投与して投与されたフィード流体を生成する段階であって、前記ループは、
排出ストリームを含み、少なくとも1つの膜モジュールへの前記投与されたフィード流体の流れを調整するよう構成されたポンプと、
前記少なくとも1つの膜を含み、前記投与されたフィード流体を濾過して少なくとも1つの濾過されたマーカを含む濾液及びマーカ再利用ストリームのうちの少なくとも一方を生成するように構成され、前記少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の前記方法の最中において、約100リットル/m/hから約2,000リットル/m/hの流束で動作するように構成される前記少なくとも1つの膜モジュールと、
前記マーカ再利用ストリームから前記投与されたフィード流体をサンプリングするとともに前記少なくとも1つの膜モジュールから前記濾液をサンプリングして、流体中のマーカの粒子濃度を測定する手段と
を含む、生成する段階と、
(b)前記少なくとも1つの膜モジュールを介して少なくとも1回前記投与されたフィード流体を循環させて、前記濾液を生成する段階と、
(c)前記粒子濃度を測定する手段により、前記濾液の中の前記少なくとも1つの濾過されたマーカの濾液粒子濃度を測定して濾液濃度測定値を生成するとともに前記投与されたフィード流体中の少なくとも1つのマーカのフィード粒子濃度を測定してフィード濃度測定値を生成する段階と、
(d)前記濾液濃測定値及び前記フィード濃度測定値に基づいて算出される除去効率が閾値レベルを超えた場合、前記少なくとも1つの膜を交換する段階と
を備える、少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのセラミック膜を含む、請求項1に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセラミック膜は、TiO、ZrO、SiO、MnO、SiC、CuO、MgOおよびAlからなる群から選択される、請求項2に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項4】
ループの前記フィード流体に前記少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子を含む前記少なくとも1つのマーカを投与する段階は、約6.5ログ粒子数の前記少なくとも1つのマーカを濃縮する段階を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項5】
前記少なくとも固体の1つのチャレンジ粒子は、TiOである、請求項1から4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項6】
前記TiOは、P25 TiOである、請求項5に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子の約35質量%は、約2μmから約3μmの粒子サイズを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項8】
前記濾液濃測定値及び前記フィード濃度測定値からログ除去値を計算する段階をさらに備え、前記ログ除去値は、約3未満である、請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法であって、
(a)浄水化システムの少なくとも一部からループを分離する段階であって、前記ループは、
フィード流体と、
排出ストリームを含み、少なくとも1つの膜モジュールへの投与されたフィード流体の流れを調整するよう構成されたポンプと、
前記少なくとも1つの膜を含み、前記投与されたフィード流体を濾過して濾液及びマーカ再利用ストリームのうちの少なくとも一方を生成するように構成され、前記少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の前記方法の最中において、約100リットル/m/hから約2,000リットル/m/hの流束で動作するように構成される前記少なくとも1つの膜モジュールと、
膜モジュール排出ストリームと、
前記マーカ再利用ストリームから前記投与されたフィード流体をサンプリングするとともに前記少なくとも1つの膜モジュールから前記濾液をサンプリングして、流体中のマーカの粒子濃度を測定する手段と
を含む、分離する段階と、
(b)前記フィード流体に少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子を含む少なくとも1つのマーカを投与して前記投与されたフィード流体を生成する段階と、
(c)前記少なくとも1つの膜モジュールを介して少なくとも1回前記投与されたフィード流体を循環させ、濾過された少なくとも1つのマーカを含む濾液を生成する段階と、
(d)前記粒子濃度を測定する手段により、前記濾液の中の前記少なくとも1つの濾過されたマーカの濾液粒子濃度を測定して濾液濃度測定値を生成するとともに前記投与されたフィード流体中の少なくとも1つのマーカのフィード粒子濃度を測定してフィード濃度測定値を生成する段階と、
(e)前記濾液濃度測定値及び前記フィード濃度測定値に基づいて算出される除去効率が閾値レベルを超えた場合、前記少なくとも1つの膜を交換する段階と
を備える、少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのセラミック膜を含む、請求項9に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセラミック膜は、TiO、ZrO、SiO、MnO、SiC、CuO、MgOおよびAlからなる群から選択される、請求項10に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのマーカーの濃度は、約6.5ログ粒子数である、請求項9から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子は、TiOである、請求項9に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項14】
前記TiOは、P25 TiOである、請求項13に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子の約35質量%は、約2μmから約3μmの粒子サイズを有する、請求項9から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項16】
前記濾液濃度測定値及び前記フィード濃度測定値からログ除去値を計算する段階をさらに備え、前記ログ除去値は、約3未満である、請求項9から15のいずれか一項に記載の少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験システムであって、
(a)少なくとも1つのマーカを有する投与されたフィード流体であって、前記少なくとも1つのマーカは少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子を含む、投与されたフィード流体と、
(b)排出ストリームを含み、少なくとも1つの膜モジュールへの前記投与されたフィード流体の流れを調整するよう構成されたポンプと、
前記少なくとも1つの膜を含み、前記投与されたフィード流体を濾過して濾液及びマーカ再利用ストリームのうちの少なくとも一方を生成するように構成され、前記少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法の最中において、約100リットル/m/hから約2,000リットル/m/hの流束で動作するように構成される前記少なくとも1つの膜モジュールと、
を有するループと、
(c)前記マーカ再利用ストリームから前記投与されたフィード流体をサンプリングするとともに前記少なくとも1つの膜モジュールから前記濾液をサンプリングして流体中のマーカの粒子濃度を測定することで、それぞれ濾液濃度測定値及びフィード濃度測定値を生成する粒子計数器と
を備え、
マーカベースの直接完全性膜試験システムは、前記粒子計数器を用いて前記濾液濃度測定値及び前記フィード濃度測定値を測定し、前記濾液濃度測定値及び前記フィード濃度測定値に基づいて算出される除去効率が閾値レベルを超えた場合、前記少なくとも1つの膜を交換するように構成される、
システム。
【請求項18】
(d)前記ポンプに流体連通する反応タンクと、
(e)流入流体を受け入れるように構成され、前記反応タンクに流体連通する流入口と、
(f)流入液濁度測定装置と、
(g)前記膜モジュールに流体連通する出口ストリームと、
(h)前記出口ストリームに流体連通する浸透水濁度測定装置と
をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子は、TiOである、請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
前記TiOは、P25 TiOである、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの固体のチャレンジ粒子の約35質量%は、約2μmから約3μmの粒子サイズを有する、請求項17から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのセラミック膜を含む、請求項17から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのセラミック膜は、TiO、ZrO、SiO、MnO、SiC、CuO、MgOおよびAlからなる群から選択される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ポンプは容積型ポンプである、請求項17から23のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、いくつかの実施形態において、膜のマーカベースの直接完全性試験のためのシステム及び方法に関する。膜のマーカベースの直接完全性試験は、これに限定されないが、膜(例えば、セラミック膜)のチャレンジ試験、直接完全性試験およびそれらの組み合わせを含む。
【背景技術】
【0002】
例えば、長期第2強化地表水処理規則(LT2ESWTまたはLT2)などといった規制指導に具体化されているように、浄化された水に対する関心により、地表水および/または地表水の影響を受ける井戸から寄生虫(例えば、クリプトスポリジウム、ジアルジア)を除菌/除去することが必要となるかもしれない。LT2の要件は、寄生虫除去のために使用されてよい膜に対して膜の完全性を保証するための検証方法を概説する。膜は、望ましくは、3μmより大きい裂け目がないものであってよく、これにより膜は、直径が典型的には約4μmから約6μmのクリプトスポリジウムオーシストを継続的に濾過する。 LT2の指導にしたがって、チャレンジ試験が膜システムの5つの別個の膜上で実行されて、寄生虫若しくは代用生物または同様のサイズ、形状および表面電荷のマーカのログ除去値(LRV)を定量化してよい。これらの非破壊チャレンジ試験は、膜の完全性において3μmより大きい裂け目がないことを確実にするために、毎日膜システムに対して実行されなければならない。 チャレンジ試験は、典型的には、膜システムをシャットダウンする必要があり、生産性(例えば、濾過された水)の低下および費用(例えば、追加メンテナンス)の増大をもたらすが、「バブル崩壊」方法などの直接完全性試験(DIT)は、膜システムの動作中に使用されてよい。しかしながら、バブル崩壊方法が多孔率の小さいいくつかの膜に対して動作し得る一方、この方法は、気圧降下にかかる時間が非常に短く、3μm以上の膜の裂け目を測定するために必要な高精度の測定を成し遂げることができないため、セラミック膜に対して動作しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、マーカベースの直接完全性試験の方法および膜の方法を向上する必要が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、(a)ループのフィード流体に少なくとも1つのチャレンジ粒子を有する少なくとも1つのマーカを投与する段階であって、上記ループは、上記フィード流体と、排出ストリームを有するポンプと、少なくとも1つの膜および膜モジュール排出ストリームを有し、上記排出ストリームに流体連通する膜モジュールと、上記膜モジュール排出ストリームおよび上記ポンプに流体連通するマーカ再利用ストリームと、粒子濃度を測定する手段とを備える、投与する段階と、(b)上記膜モジュールを介して少なくとも1回上記フィード流体を循環させ、濾過された少なくとも1つのマーカを有する濾液を生成する段階と、(c)上記濾液の中の上記濾過された少なくとも1つの濾過されたマーカの濾液粒子濃度を測定し、濾液濃度測定値を生成する段階と、(d)上記少なくとも1つの膜に裂け目が存在するかを濾液濃度測定値から判定する段階とを備える、少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法に関する。
【0005】
いくつかの実施形態において、本開示は、(a)浄水化システムの少なくとも一部からループを分離する段階であって、上記ループは、フィード流体と、排出ストリームを有するポンプと、上記少なくとも1つの膜および膜モジュール排出ストリームを有し、上記排出ストリームと流体連通する膜モジュールと、上記膜モジュール排出ストリームおよび上記ポンプと流体連通するマーカ再利用ストリームと、粒子濃度を測定する手段とを備える、分離する段階と、(b)上記フィード流体に少なくとも1つのチャレンジ粒子を有する少なくとも1つのマーカを投与する段階と、(c)上記膜モジュールを介して少なくとも1回上記フィード流体を循環させ、濾過された少なくとも1つのマーカを有する濾液を生成する段階と、(d)上記濾液の中の上記濾過された少なくとも1つのマーカの濾液粒子濃度を測定し、濾液濃度測定値を生成する段階と、(e)上記少なくとも1つの膜に裂け目があるかを上記濾液濃度測定値から判定する段階とを備える少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのセラミック膜を備えてよい。少なくとも1つのセラミック膜は、TiO、ZrO、SiO、MnO、SiC、CuO、MgOおよびAlからなる群から選択されてよい。ループのフィード流体に少なくとも1つのチャレンジ粒子を有する少なくとも1つのマーカを投与する段階は、約6.5ログ粒子数の上記少なくとも1つのマーカを濃縮することを備えてよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子の約35質量%は、約2μMから約3μMまでの間の粒子を含む。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、TiOであり、TiOは、P25 TiOであってよい。少なくとも1つの膜モジュールは、約100リットル/m/hから約2,000リットル/m/hの流束で、膜のマーカベースの直接完全性試験の方法において動作するように構成されてよい。少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験の方法は、上記濾液濃度測定値からログ除去値を計算する段階を備えてよく、上記ログ除去値は、約3μm未満である。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験システムは、(a)少なくとも1つのマーカを有するフィード流体であって、上記少なくとも1つのマーカは少なくとも1つのチャレンジ粒子を有する、フィード流体と、(b)排出ストリームを有するポンプと、上記少なくとも1つの膜および膜モジュール排出ストリームを有し、上記排出ストリームに流体連通する膜モジュールと、上記膜モジュール排出ストリームおよび上記ポンプに流体連通するマーカ再利用ストリームとを有するループと、(c)粒子計数器とを備えてよく、マーカベースの直接完全性膜試験システムは、ログ除去値を測定するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態において、マーカベースの直接完全性膜システムは、上記ポンプに流体連通するハイソリッド型接触反応タンクと、流入流体を受け入れるように構成され、上記ハイソリッド型接触反応タンクに流体連通する流入口と、流入液濁度測定装置と、上記膜モジュールに流体連通する出口ストリームと、上記出口ストリームに流体連通する浸透水濁度測定装置とを備えてよい。システムは、容積型ポンプを備えてよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、粒子濃度を測定する手段は、粒子計数器を備えてよい。粒子を測定する手段は、濁度測定装置を備えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のいくつかの実施形態は、本開示および添付の図面をある程度参照することによって理解されてよい。
図1】本開示の特定の実施例に係るクリプトスポリジウムの電子顕微鏡像を示す。
図2】本開示の特定の実施例に係るマーカベースの膜直接完全性試験システムを示す。
図3】本開示の特定の実施例に係る粒子計数システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、いくつかの実施形態において、膜のマーカベースの直接完全性試験のシステム及び方法に関する。膜は、浄水化プロセスおよび/または流体濾過プロセスに使用されてよい。ここで、フィード流体は、膜に当接してよく、これにより濾液および残余分を形成する。膜孔径および分離駆動力などの様々なファクタが、分離パターンを規定してよい。均質な膜孔径および/または分離駆動力により、望ましくは寄生虫(例えば、クリプトスポリジウム)およびバクテリア(例えば、糞便性大腸菌)などの汚染物質を濾過してよいように、膜の完全性を維持しなければならない。マーカベースの膜直接完全性試験の方法およびそれらのシステムは、非破壊方式で膜の完全性を解析してよい。完全性に関する所望の閾値を有する膜は、継続して使用されてよいのに対して、完全性に関する所望の閾値を有さない膜は、汚染物質が確実にかつ望ましく濾過されるように取り替えられてよい。
【0012】
マーカベースの膜直接完全性試験のシステム及び方法は、チャレンジ試験、直接完全性試験およびそれらの組み合わせを備える。マーカベースの膜直接完全性試験は、別個のチャレンジ試験および/または直接完全性試験の代わりに実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験の実行は、システムをシャットダウンする必要がなくてよい。例えば、マーカベースの膜直接完全性試験は、システムの動作(すなわち、流体の濾過および/または精製)中に、最大体積でおよび/または最大スピード容量で実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験は、システムが動作していない間に実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験のシステムまたは方法は、セラミック膜を含む任意の種類の膜に対して実行されてよい。
【0013】
(マーカベースの膜直接完全性試験の方法)
いくつかの実施形態によれば、マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、少なくとも1つの膜のマーカベースの直接完全性試験を備える。方法は、ループのフィード流体に少なくとも1つのマーカを投与する段階と、膜モジュールを介して少なくとも1回フィード流体を循環させて、濾過された少なくとも1つのマーカを有する濾液を生成する段階と、濾液中の濾過された少なくとも1つのマーカの濾液粒子濃度を測定し、濾液濃度測定値を生成する段階と、フィード流体中の少なくとも1つのマーカのフィード粒子濃度を測定し、フィード濃度測定値を生成する段階と、濾液濃度測定値およびフィード濃度測定値からログ除去値を計算する段階とを備えてよい。
【0014】
ループのフィード流体に少なくとも1つのマーカを投与する段階は、少なくとも1つのマーカのログ粒子数が約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5または約9に達するようにフィード流体に投与する段階を備えてよい。ログ粒子数は、粒子計数器によって測定および算出されてよい。粒子計数器は、フィード流体をサンプリングしてログ粒子数を測定および計算してよい。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、ループは、フィード流体と、排出ストリームを有するポンプと、少なくとも1つの膜および膜モジュール排出口を有する膜モジュールとを備えてよい。ループはまた、膜モジュール排出ストリームおよびポンプと流体連通するマーカ再利用ストリームを備えてよい。ループはまた、粒子濃度を測定する手段を備えてよい。ループは、閉ループおよび/または開ループであってよい。
【0016】
膜モジュールを介して少なくとも1回フィード流体を循環させる段階は、ループを介して少なくとも1回フィード流体を循環させる段階を備えてよい。循環させる段階は、連続的な循環および/または単発の循環を備えてよい。単発の循環は、時間的および/または容積的な循環を備えてよい。
【0017】
マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、浄水化システムに対して実行されてよい。いくつかの実施形態において、浄水化を停止させて(すなわち、能動的な流体浄化を中断させて)、マーカベースの膜直接完全性試験を実行してよい。浄水化を継続して能動的に行って(すなわち、能動的な流体浄化を継続して行って)、マーカベースの膜直接完全性試験を実行してよい。マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、少なくとも1つの膜モジュールが、マーカベースの膜直接完全性試験の方法において、約100リットル/m/hから約2,000リットル/m/hまでの流束で動作すべく構成されるように、実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、少なくとも1つの膜モジュールが約100リットル/m/h、約200リットル/m/h、約400リットル/m/h、約600リットル/m/h、約800リットル/m/h、約1,000リットル/m/h、約1,200リットル/m/h、約1,400リットル/m/h、約1,600リットル/m/h、約1,800リットル/m/hまたは約2,000リットル/m/hの流束で動作すべく構成されるように、実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、少なくとも1つの膜モジュールが、マーカベースの膜直接完全性試験の方法中に、約2,000リットル/m/h以下の流束で動作すべく構成されるように、実行されてよい。
【0018】
マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、少なくとも1つの膜に対して実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、複数の膜に対して少なくとも1回は連続して実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、複数の膜に対して並行して実行されてよい。マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、複数の膜に対して、連続しておよび/若しくは並行して、またはそれらの組み合わせで実行されてよい。
【0019】
マーカベースの膜直接完全性試験の方法は、浄水化システムの少なくとも一部からループを分離する段階を備えてよい。ループを分離する段階は、任意の種類のバルブ(例えば、シャットオフバルブ)、シール、ハッチの分離および/または物理的な分離を備えてよい。バルブは、ストップバルブ、ストレートバルブ、ゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、ディスクバルブ、チョークバルブ、チェックバルブ、グローブバルブ、ピンチバルブ、温度式膨張バルブ、サンプリングバルブ、ピストンバルブ、ダイアフラムバルブ、およびそれらの組み合わせを備えてよい。ループは、浄水化システムの少なくとも一部から永久的におよび/または一時的に分離されてよい。
【0020】
(除去効率および膜の完全性)
いくつかの実施形態において、マーカベースの膜直接完全性試験システムの方法は、除去効率を備えてよい。除去効率は、膜の完全性に反比例してよい。所望の除去効率を有する膜は、所望の除去効率未満の除去効率を有する膜よりも、膜の完全性が低くてよい。除去効率は、ログ除去値(LRV)として表されてよい。LRVは、LRV=log(C)-log(C)で算出されてよい。ここで、Cは少なくとも1つのチャレンジ粒子のフィード濃度であってよく、Cは少なくとも1つのチャレンジ粒子の濾液濃度であってよい。Cは、少なくとも1つのチャレンジ粒子の投与濃度であってよい。投与濃度は、様々な体積における様々な濃度についての試験を通じて開発された式(例えば、キャリブレーション曲線)を用いて算出されてよい。チャレンジ粒子が濾液中に検出されない場合、用語Cは、LRVを計算するための検出限界に等しくなるように設定されてよい。LRVは、チャレンジ試験において評価される膜モジュールごとに算出されてよい。膜モジュールは、少なくとも1つの膜を含んでよい。本開示の恩恵を受ける当業者は、膜が望ましくない開口(例えば、断裂、微細孔またはその他の穴)を備えるとき、裂け目を有すると言ってよく、望ましくない開口とは、膜の作用するマトリクスを横切るものであり、それを超えると膜に存在することができない最大の開口よりも大きい(例えば、実質的に大きい)ものであるということを理解するであろう。裂け目は、所望の閾値サイズより大きい粒子の動きを制限するという膜の機能を損なわせる可能性がある。
【0021】
いくつかの実施形態において、裂け目の存在は、濾過された粒子(例えば、マーカ)の濾液粒子濃度を測定することによって判定されてよい。裂け目は、チャレンジ粒子が流体の体積中に粒子濃度の閾値以上で存在するかを評価すること、またはLRV若しくはそれらの組み合わせによって判定されてよい。裂け目は、流体の体積から測定される濾過された粒子が存在するか存在しないかということから、経験的に判定されてよい。裂け目はまた、算出値に基づいて設定されてよい。様々なサイズおよび形状を有する粒子の閾値があるということは、様々なサイズの裂け目が存在することを示してよい。例えば、第1の粒子または第1の汚染物質の閾値があるということは、約3μmの裂け目であることを示してよく、第2の粒子または第2の汚染物質の閾値があるということは、約4μmの裂け目であることを示してよい。いくつかの実施形態において、チャレンジ粒子が第1の濃度以上で存在することは、3μmの裂け目であることを示してよく、チャレンジ粒子が第2の濃度以上で存在することは、4μmの裂け目であることを示してよい。チャレンジ粒子は、汚染物質を備えてよく、または汚染物質の代用であってよい。明示されているように、裂け目は粒子または汚染物質のサイズによって判定されるファクタであってよいが、組成、多孔性、充填性、寸法およびメッシュを含むフィルタ特性に依存してもよい。流体の濾過された粒子濃度を測定することによって裂け目を判定することは、粒子計数器が使用されるか、濁度測定装置が使用されるかまたはそれらの組み合わせが使用されるか等、使用される測定器具に影響されてもよい。例えば、粒子計数器または濁度測定装置は、様々な感度および検出範囲についてチューニングされてよい。これらによって、濾過された流体の体積から濾過された粒子濃度を測定することを通じて、裂け目検出におけるばらつきを定めてよい。
【0022】
(マーカベースの膜直接完全性試験システム)
いくつかの実施形態によれば、マーカベースの直接完全性膜試験システムは、ログ除去値を測定するように構成されてよい。マーカベースの直接完全性膜試験システムは、少なくとも1つのマーカを有するフィード流体を備えてよい。少なくとも1つのマーカは、少なくとも1つのチャレンジ粒子を有する。マーカベースの直接完全性膜試験システムは、排出ストリームを有するポンプと、少なくとも1つの膜および膜モジュール排出ストリームを有し、排出ストリームと流体連通する膜モジュールと、膜モジュール排出ストリームおよびポンプに流体連通するマーカ再利用ストリームと、粒子計数器とを有するループを備えてよい。膜モジュールは、少なくとも1つの膜を有してよい。少なくとも1つの膜は、セラミック膜であってよい。
【0023】
マーカベースの直接完全性膜試験システムは、ポンプに流体連通するハイソリッド型接触反応タンクと、流入流体を受け入れるように構成される流入口とを備えてよく、流入口はハイソリッド型接触反応タンクに流体連通する。マーカベースの直接完全性膜試験システムは、流入液濁度測定装置と、膜モジュールに流体連通する出口ストリームと、出口ストリームに流体連通する浸透水濁度測定装置とを備えてよい。
【0024】
(チャレンジ粒子)
いくつかの実施形態において、マーカベースの膜直接完全性試験システムは、少なくとも1つのチャレンジ粒子(すなわち、マーカ)を備えてよい。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのチャレンジ粒子は、寄生虫(例えば、クリプトスポリジウムおよびジアルジア)および大腸菌群(例えば、糞便性大腸菌)の代用として機能してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、ほぼ球面形状(例えば、クリプトスポリジウムに類似する形状)を有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、クリプトスポリジウムに類似する同等の粒子サイズを有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、クリプトスポリジウムに類似し得る中性の粒子表面電荷を有してもよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、糞便性大腸菌の代用であるように構成されてよい。ここで糞便性大腸菌は、約1μmから約4μmまでのサイズ範囲を有する。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、クリプトスポリジウムの代用であるように構成されてよい。ここでクリプトスポリジウムは、約3μmから約7μmまでのサイズ範囲を有する。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、ジアルジアの代用であるように構成されてよい。ここでジアルジアは、約7μmから約15μmまでのサイズ範囲を有する。少なくとも1つのチャレンジ粒子はマーカであってよい。少なくとも1つのマーカは、予備混合溶液において作製され、別個のタンクにためられてよい。ループのフィード流体に少なくとも1つのマーカを投与する段階は、容積型ポンプによって行われてよい。容積型ポンプは、特定の体積および/または質量の少なくとも1つのマーカを投与するように構成されてよい。
【0025】
少なくとも1つのチャレンジ粒子は、約0.5μmから約7μmまでの粒子サイズを有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、約7μm未満、約6μm未満、約5.5μm未満、約5μm未満、約4.5μm未満、約4μm未満、約3.5μm未満、約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、または約0.5μm未満の粒子サイズを有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、約7μm、約6μm、約5.5μm、約5μm、約4.5μm、約4μm、約3.5μm、約3μm、約2.5μm、約2μm、約1.5μm、約1μm、または約0.5μmの粒子サイズを有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、約0.5μmから約7μmまで、約1μmから約6μmまで、約2μmから約4μmまで、約2.5μmから約3.5μmまで、約0.5μmから約7μmまで、約0.5μmから約6μmまで、約0.5μmから約5μmまで、約0.5μmから約4μmまで、約0.5μmから約3μmまで、約0.5μmから約2μmまで、または約0.5μmから約1μmまでの粒子サイズを有してよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのチャレンジ粒子は中性の表面電荷を有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、中性のpH(すなわち、pH=約7)において中性の表面電荷を有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5または約9のpHにおいて、中性の表面電荷を有してよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、約3.9から約8.2のpHにおいて、中性の表面電荷を有してよい。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのチャレンジ粒子は、TiO、ZrO、SiO、MnO、SiC、CuO、MgOおよびAlからなる群から選択されてよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、TiOであってよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子は、ナノ粒子タイプP25 TiOであってよい。ナノ粒子タイプP25 TiOは、約2μmおよび約3μmの間の粒子が約27~約36質量%であってよい。ナノ粒子タイプP25 TiOは、約2μmおよび約3μmの間の粒子が約25~約40質量%であってよい。ナノ粒子タイプP25 TiO2は、約2μmから約3μmの粒子が約35.8質量%であってよい。少なくとも1つの製造用膜は、上記少なくとも1つの膜を供給する前にマーカベースの膜直接完全性試験にかけられてよく、少なくとも1つの膜の完全性は、オペレーション中に毎日検証されてよい。少なくとも1つのチャレンジ粒子(例えば、マーカ)の費用構造は、1日当たり約0.40ドル/1日当たり数百万ガロン)をマーカベースの膜直接完全性試験のために含んでよい。TiOの単一電荷は、複数の膜および/または膜モジュールの連続したプロセス上で使用されてよい。TiOの単一電荷は、2つの膜および/または膜モジュールを含む連続したプロセス上で使用されてよい。
【0028】
(粒子計数器)
いくつかの実施形態において、マーカベースの膜直接完全性試験システムは、粒子計数器を備えてよい。粒子計数器は、流体の体積内の粒子のサイズおよびカウントを間接的にまたは直接的に測定してよい。例えば、粒子計数器は、流体の粒子濃度を間接的にまたは直接的に測定してよい。粒子計数器は、粒子(例えば、チャレンジ粒子)濃度を測定する手段を定めてよい。いくつかの実施形態において、粒子計数器は、流体に含まれるチャレンジ粒子の濃度を測定してよい。粒子計数器は、流体の汚染物質(例えば、ジアルジアおよびクリプトスポリジウム)の除去のために測定するように構成されてもよい。粒子計数器は、システムが動作している間(例えば、能動的に流体を濾過している間)、システムから流体をサンプリングしてよい。粒子計数器は、複数の膜および/または膜モジュールのためのマーカベースの膜直接完全性試験を実行するために使用されてよい。いくつかの実施形態において、浸透流体中の空気泡が粒子として測定される場合、粒子計数器によって偽陰性が確認されてよい。粒子計数器は、フィード流体および/または濾液流体をサンプリングして、ログ粒子数を測定および計算してよい。粒子計数器は、浄水化システムが動作している間および/または浄水化システムが動作していないときに、フィード流体および/または濾液流体をサンプリングしてよい。
【0029】
(濁度測定装置)
マーカベースの膜直接完全性試験システムは、濁度測定装置(すなわち、濁度メータ)を備えてよい。濁度測定装置は、各粒子によって引き起こされ得る流体の混濁または曇り(すなわち、濁度)を測定してよい。濁度は、比濁法濁度ユニット(NTU)内で測定されてよい。濁度測定装置は、流入流体および浸透流体の濁度を測定するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、濁度測定装置は、流体の体積内の粒子の数を直接的または間接的に測定してよい。濁度測定装置は、流体の粒子濃度を測定する手段を定めてよい。濁度測定装置は、少なくとも1つのマーカの濃度を測定するために使用されてよい。少なくとも1つのマーカの濁度と濃度との間の直接的な相関は、確立されていてよい。
【0030】
(膜モジュール)
本開示は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの膜と、内側膜モジュールキャビティと、内側膜モジュールキャビティに流体連通する膜モジュール排出口とを備える膜モジュールに関する。膜モジュールは、ポンプ排出ストリームを介してポンプから流体を受け入れてよい。膜モジュールは、マーカ再利用ストリームを有してよい。膜モジュールは、任意の所望の形状を有してよい。いくつかの実施形態において、膜モジュールは、中央長軸を画定するほぼシリンダ形状とその長さにわたるキャビティとを有してよい。例えば、中央の膜モジュールの軸に垂直であるすべての部分まで、ほぼ円環形状をとってよい。膜モジュールは、中が空洞の、ほぼシリンダ形状を有してよく、いくつかの実施形態によれば、第1の端と第2の端とを有してよい。各端は、セラミック要素境界面を受け入れる大きさおよび/または形状を有した穴を画定してよい。
【0031】
膜モジュールは、任意の所望の寸法を有してよい。いくつかの実施形態によれば、膜モジュールは、長さが約10cmから約5m、約50cmから約5m、約1mから約3mおよび/またはそれらの組み合わせであってよい。長手方向の軸に対して垂直に見たときの断面は、最長寸法(例えば、対角線または直径)が直径約2cmから約30cm、直径約2cmから約20cm、直径約5cmから約20cm、直径約5cmから約15cm、直径約10cmから約45cm、および/またはそれらの組み合わせであってよい。膜モジュールは、クロスフロー濾過(すなわち、接線濾過)および/または全量濾過のために構成されてよい。膜モジュールは、アウトサイドイン濾過および/またはインサイドアウト濾過ができるように構成されてよい。
【0032】
(セラミック膜)
セラミック要素(要素ともいう)は、いくつかの実施形態によれば、任意の所望のサイズ、形状または組成のフィルタを備えてよい。例えば、セラミック要素は、ほぼ管状のフィルタ(例えば、セラミックフィルタ)を備えてよい。セラミック要素は、任意の所望のフィルタまたはフィルタ材料を含んでよい。例えば、セラミック要素は、一または複数の有機ポリマおよび/または一または複数セラミック材料を有するフィルタを備えてよい。例としてフィルタ(例えば、セラミック膜)は、マイクロ濾過フィルタ、限外濾過フィルタ、ナノ濾過フィルタ、抗菌フィルタ、メンテナンスフリーフィルタおよびそれらの組み合わせを含んでよい。フィルタは、抗菌剤を備えてよい。例えば、セラミックフィルタは、銀(例えば、含浸された非溶出の銀)を備えてよい。いくつかの実施形態において、セラミック要素は、フィルタ(例えば、要素がイオンを吸着するもの)を除いてよい。セラミック膜は、クロスフロー濾過(すなわち、接線濾過)および/または全量濾過を通じて濾過してよい。セラミック膜は、アウトサイドイン濾過および/またはインサイドアウト濾過のために構成されてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、セラミックフィルタは、耐久性があってよい(例えば、有機ポリマフィルタよりも耐久性が高くてよい)。例えば、セラミックフィルタは、機械的ダメージ、溶剤、および/または微生物に対して耐性があってよい。例として、性能および/または耐性の測定基準は、一または複数の汚染物質に対して行われる濾過の度合い、導電率、使用寿命および/またはそれらの組み合わせであってよい。所望の性能および/または耐性は、チャレンジが存在する場合と存在しない場合で比較したときの割合、別の膜との相対的な割合、または閾値若しくはターゲット値に対する割合(例えば、百分率)で表してよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、セラミック膜は、セラミック要素およびフィルタ層を備えてよい。例えば、セラミック膜は、より小さい微細孔を有する濾過層(例えば、膜)と、より大きな微細孔を有する土台となる基盤または基板とを備えてよい。セラミック膜は、チャネルの内部だけにあるフィルタ層と、端面をシーリングするエポキシコーティングとを含んでよい。いくつかの実施形態によれば、代わりに濾過層が内面、端面および/または外表面を覆ってよい。例えば、濾過層は、要素の表面と向かい合う汚染媒質を画定し、汚染媒質と同一の領域を占め、および/または汚染媒質を覆ってよい。セラミック濾過層は、内面(例えば、チャネル)に沿って並んでよく、要素の面を取り囲んでよく、(各端で)要素の外側を下る経路の部分に及んでよい。基盤は表面に向かい合う浸透水を画定して、浸透水と同一の領域を占めて、および/または浸透水を覆ってよい。
【0035】
細長いセラミック要素は、任意の所望の規則的または規則的でないジオメトリ形状を有する断面(例えば、中央の長軸に垂直な部分)を有してよい。例えば、要素の断面は、ほぼ円、ほぼ楕円、ほぼ多角形(例えば、六角形)および/またはそれらの組み合わせから選択された形状を有してよい。細長い要素は、要素の長さに沿って一または複数のチャネルを有し、その軸にほぼ並行な中央の軸を有してよい。
【0036】
セラミック要素は、任意の所望の寸法を有してよい。いくつかの実施形態によれば、細長い要素は、長さが約10cmから約5m、約50cmから約5m、約1から約3m、および/またはそれらの組み合わせであってよい。長手方向の軸(例えば、「直径」)に対して垂直に見たときの断面は、直径約2cmから約30cm、直径約2cmから約20cm、直径約5cmから約20cm、直径約5cmから約15cm、直径約10cmから約45cm、および/またはそれらの組み合わせを有してよい。要素は、一または複数の縦チャネルを備えてよい。例えば、要素は、7行に配置された約37チャネルがあり、各行は4~7チャネルあってよい。要素は、5行に配置された約19チャネルがあり、各行は、3~5チャネルであってよい。各チャネルは、独立して任意の所望の形状および/または寸法を有してよい。いくつかの実施形態において、チャネルは、半径が約1mmから約15cm、約2mmから約10cm、約5mmから約5cm、約1cmから約5cm、および/またはそれらの組み合わせのほぼ円形状を有してよい。
【0037】
セラミック要素(例えば、基板)は、最大約100%(w/w)の炭化ケイ素を備えてよい。炭化ケイ素(SiC)は、半導体材料、すなわち導電性が絶縁体と金属との間に位置する材料である。ドーパントを加えることで半導体の電気コンダクタンスが変化してよい。SiCについて、導電性を増大させるドーパントは、例えばホウ素、アルミニウムおよび窒素を含んでよい。
【0038】
セラミック要素は、いくつかの実施形態において、存在する固体(例えば、溶存固形分、懸濁固形分)のサイズに関連して、流体を選択に濾過するように構成されてよい。例えば、セラミック要素は、サイズベースで汚染物質(例えば、粒子)の分離、除外および/または除去をするために設計された微細孔を有する膜を含んでよい。いくつかの実施形態によれば、セラミック要素は、電荷に関連して汚染物質を分離、除外および/または除去するように構成されてよい。例えば、セラミック要素は、流体中の帯電した汚染物質(例えば、汚染媒質、浄化工程前に製造される浸透水)の数を低減させるように構成されてよい。セラミック要素は、極性および/または帯電した構成要素をもうひとつ備えてよい。セラミック要素は、いくつかの実施形態において、電流の印加時に帯電する可能性がある一または複数の構成要素を備えてよい。帯電した汚染物質は、いくつかの実施形態によれば、流体が要素を継続的に通るとき、逆の電荷を帯びた基板材料に吸着されることによって、分離、除外および/または除去されてよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、マーカベースの膜直接完全性試験システムは、インサイドアウトスタイルの膜を備えてよい。マーカベースの膜直接完全性試験システムはまた、膜プレートを備えてよい。
【0040】
(ハイソリッド型接触反応タンク)
いくつかの実施形態において、マーカベースの膜直接完全性試験システムは、ハイソリッド型接触反応タンクを備えてよい。いくつかの実施形態によれば、ハイソリッド型接触反応タンクは、いくつかの実施形態において流入口とセラミック要素境界面とを備えてよい。ハイソリッド型接触反応タンクは、内部キャビティを備えてよい。内部キャビティは、任意の所望のサイズおよび/または任意の所望の形状を有してよい。例えば、キャビティは、丸みを帯びてよく、および/または、ほぼドーム形状を有してよい。ハイソリッド型接触反応タンクは、外周および/または円周を有してよい。いくつかの実施形態において、外周および/または円周は、ハイソリッド型接触反応タンクフランジとして構成されてよく、および/またはハイソリッド型接触反応タンクフランジを画定してよい。ハイソリッド型接触反応タンクフランジは、浸透チャンバ(例えば、類似または嵌合するフランジを備える浸透チャンバ)に係合するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、ハイソリッド型接触反応タンクフランジは、ガスケット、Oリングまたはその他のシールのためのチャネルを備えてよい。ハイソリッド型接触反応タンクチャネルは、いくつかの実施形態において、フランジの1つの面に、並びに/または外周および/若しくは円周に実質的に平行になるように位置付けられてよい。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、ハイソリッド型接触反応タンクは、一または複数の流入口および/または一または複数の排出口を有してよい。例えば、ハイソリッド型接触反応タンクは、一または複数の排出口を含むセラミック要素境界面を有してよい。各排出口は、例えば実質的に液密シールを有するセラミック要素に係合するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、排出口は、任意の所望の形状(例えば、シリンダ状、円錐形状、円錐台形状)を有してよい。全てのハイソリッド型接触反応タンクの排出口は、ハイソリッド型接触反応タンクチャネルの境界および/または内部に位置付けられてよい。
【0042】
ハイソリッド型接触反応タンクおよび/または濃縮チャンバは、任意の所望の寸法を有してよい。いくつかの実施形態によれば、ハイソリッド型接触反応タンクは、長さが約100cmから約1,000cmであってよい。チャンバの長手方向の軸に対して垂直に見たときの断面は、最長寸法(例えば、対角線または直径)が直径約100cmから約600cmであってよい。
【0043】
(ポンプ)
いくつかの実施形態によれば、マーカベースの膜直接完全性試験システムは、ポンプを備えてよい。ポンプは、濃縮タンクと濾過ユニットとの間に配されてよい。ポンプは、濃縮タンクの出口ストリームに流体連通してよい。ポンプは、濃縮タンクから濾過ユニットへの濃縮流体の流量を調節して、濾過ユニットを介して所望のクロスフローを生成し、濃縮タンクの中を十分に混合するように構成されてよい。
【0044】
本明細書の記載から逸脱することなく、様々な種類のポンプが使用されてよい。いくつかの実施形態において、ポンプは、ターボ分子、遠心ポンプ、真空ポンプ、横軸ポンプまたはスクリューポンプであってよい。
【0045】
(流入口)
いくつかの実施形態において、マーカベースの膜直接完全性試験システムは、流入口を備えてよい。いくつかの実施形態において、流入口は、管、チューブまたはストリームを備えてよい。流入口、管またはチューブは、特定の材料を備えてよく、特定の長さまたは直径を有してよい。流入口は、流入流体を受け入れるように構成されてよい。流入流体は、特定の流量またはその中の汚染された流体の流量を有してよい。管の特定の材料、長さおよび直径といった寸法および仕様並びに流量は、本明細書の記載から逸脱することなく変形してよい。
【0046】
(特定の実施例)
図1は、本開示の特定の実施例に係るクリプトスポリジウムの電子顕微鏡像を示す。図1は、球面(例えば、球、楕円体)形状およびクリプトスポリジウムの相対なサイズを示す。ここで、クリプトスポリジウムオーシストは、直径が約4μmから約6μmであってよい。チャレンジ粒子は、クリプトスポリジウムの代用として機能してよく、クリプトスポリジウムに類似する球面構造およびサイズを有してよい。チャレンジ粒子は、粒子サイズまたは直径が約1μmから約2μmであってよく、これはクリプトスポリジウムの直径よりも小さい直径であってよい。
【0047】
図2に、マーカベースの膜直接完全性試験システムの特定の実施例を示す。図2は、本開示の特定の実施例に係るマーカベースの膜直接完全性試験システム200を示す。膜のマーカベースの直接完全性試験のためのシステム200は、流入口202と、ハイソリッド型接触反応タンク216と、ハイソリッド型接触反応タンク再利用ストリーム224と、流入液濁度測定装置212と、浸透水濁度測定装置228と、ポンプ220(例えば、ターボ分子ポンプ)と、膜モジュール218と、マーカ再利用ストリーム208と、粒子計数器206と、ポンプ排出ストリーム222と、再利用ストリーム226と、膜モジュール排出ストリーム210と、出口ストリーム204とを備えてよい。システム200は、汚染物質を除去するために構成されてよい。システム200は、DITのマーカベースの方法のために構成されてよい。システム200に少なくとも1つのマーカを投与するために、正圧ポンプが構成されてよい。
【0048】
流入口202は、ハイソリッド型接触反応タンク216および流入液濁度測定装置212に流体連通してよい。ハイソリッド型接触反応タンク216は、流入口202から流体を受け入れてよい。ハイソリッド型接触反応タンク216は、約200ガロンのタンクを備えてよく、直径が約6ft(すなわち、1.8288m)であってよい。
【0049】
ハイソリッド型接触反応タンク216は、ポンプ220と流体連通してよい。ここでポンプ220は、膜モジュール218に流体連通するポンプ排出ストリーム204に流体を放出させ、および/またはポンプ排出ストリーム204への流体の流れを調節するように構成されてよい。膜モジュール218は、ポンプ220およびハイソリッド型接触反応タンク再利用ストリーム224に流体連通するマーカ再利用ストリームを備えてよい。膜モジュールは、少なくとも1つのセラミック膜を備えてよい。膜モジュールはまた、排出口204および再利用ストリーム226と流体連通する膜モジュール排出ストリーム210を備えてよい。粒子計数器206は、再利用ストリーム226に流体連通してよく、粒子計数器206は、再利用ストリーム226から流体をサンプリングしてよい。粒子計数器206は、膜モジュール排出ストリーム210に流体連通してよい。浸透水濁度測定装置228は、排出口204に流体連通してよく、浸透水濁度測定装置228は、排出口204から流体をサンプリングしてよい。ポンプ220は、再利用ストリームおよび/またはマーカ再利用ストリーム208から流体を受け入れてよい。マーカ再利用ストリーム208は、ハイソリッド型接触反応タンク再利用ストリーム216から流体を受け取ってよい。
【0050】
図3に、マーカベースの膜直接完全性試験システムの特定の実施例を示す。図3は、本開示の特定の実施例に係る粒子計数器305のセットアップを示す。粒子計数器305は、流入口335と、第1のドレイン330と、メッシュスクリーン325(例えば、80メッシュスクリーン)と、流れ変換器310と、粒子センサ345と、牧杖315と、エア抜きバキューム破砕機320と、第2のドレイン340とを備えてよい。粒子計数器305は、第1のドレイン330に流体連通する第1の流入口335と、メッシュ325とを備えてよい。メッシュ325は、流れ変換器310および粒子センサ345と流体連通してよい。粒子センサ345は、牧杖315に流体連通してよい。牧杖315は、エア抜きバキューム破砕機320および第2のドレイン340に流体連通してよい。
【0051】
本開示の恩恵を受ける当業者が理解するであろうように、本明細書に含まれる記載から逸脱することなく、膜のマーカベースの直接完全性試験のための他の均等または代替の組成、装置、方法およびシステムを見て取ることができる。従って、示され、記載されるような本開示の実施方式は、ただの例示として解釈されるべきである。
【0052】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形状、サイズ、数および/または部分の配置について様々な変更を行ってよい。例えば、流入口、穴、フィルタ、ガスケット、バルブ、ポンプおよび/または排出口の位置および数は変更されてよい。いくつかの実施形態において、フィルタ、シール、ガスケットおよび/または濾過アセンブリは、交換可能であってよい。互換性によって、(例えば、使用されるフィルタの微細孔サイズおよび/または種類を変更または選択することで)汚染物質のサイズおよび/または種類のカスタム調整をすることができてよい。加えて、装置および/またはシステムのサイズは、(例えば、高スループットの商用または市営の流体濾過のアプリケーションに使用されるために)スケールアップまたは(例えば、低スループットの家庭用または研究用のアプリケーションに使用されるために)スケールダウンされ、専門家のニーズおよび/または要望に適合させてよい。開示される各方法および各方法の段階は、いくつかの実施形態によれば、任意の他の開示される方法または方法の段階に関連して、任意の順序で実行されされてよい。ここで、動詞「よい」は、任意のおよび/または許された条件を伝えることを意図しているが、それを使用しても、別段明示しない限り、任意の操作性の欠如を示唆する意図ではないことを表す。当業者は、本開示の組成、装置および/またはシステムを作って使用する方法において、様々な変更を行ってもよい。例えば、組成、装置および/またはシステムは、(例えば、衛生、感染性、安全性、毒性、バイオメトリック、およびその他の考慮に関して)動物および/または人間に適するように作られおよび/または使用されてよい。記載されていない要素、組成、装置、システム、方法および方法の段階は、希望または要求に応じて、含まれてもよく、除外されてもよい。
【0053】
また、ここで範囲が提供されている場合、開示されるエンドポイントは、特定の実施形態によって希望または要求に応じてまさにその値および/または近似値としてみなされてよい。エンドポイントがおおよそである場合、柔軟性の程度は、範囲の大きさの順に比例して変化してよい。例えば、一方では、約5から約50の範囲のコンテキストにおける約50の範囲エンドポイントは、50.5を含んでよいが、52.5または55は含まれなくてよい。他方、約0.5から約50の範囲のコンテキストにおける約50の範囲エンドポイントは、55を含んでよいが、60または75を含まなくてよい。加えて、いくつかの実施形態において、範囲エンドポイントを組み合わせて調和させることが望ましい場合がある。また、いくつかの実施形態において、(例えば、例、表および/または図面の一または複数に)開示される各図は、範囲(例えば、示される値+/-約10%、示される値+/-約50%、示される値+/-約100%)および/または範囲エンドポイントの基礎を形成してよい。前者に関しては、例、表および/または図面に示される50の値は、例えば、約45から約55、約25から約100および/または約0から約100の範囲の基礎を形成してよい。開示される百分率は、別段明示がない限り、重量パーセントである。
【0054】
膜のマーカベースの直接完全性試験のための装置および/またはシステムの全部または一部は、使い捨て、実用向き、交換可能および/または取り替え可能に配置されるように構成されてよい。自明な変更および改良のほかに、これら均等物および代替物は、本開示の範囲に含まれることが意図されている。従って、上述の開示は、例示的であることを意図しているが、添付の特許請求の範囲によって示された開示の範囲を限定するものとは意図されていない。
【0055】
発明の名称、要約、背景技術および見出しが規定に従って、および/または読み手の簡便のために提供される。それらは、従来技術の範囲および内容に関する自認を含んでおらず、すべての開示された実施形態に適用できる限定を含んでいない。
【0056】
(例)
本開示のいくつかの特定の実施例は、本明細書において提供される一または複数の例によって示されてよい。
【0057】
(例1:マーカベースの直接完全性試験システム)
マーカベースの直接完全性試験システムは、表1に示されるように構成されてよい。マーカベースの直接完全性試験システムは、試験および研究用の作業のためにセットアップされてよい。マーカベースの直接完全性試験システムは、フルスケールユニットとしてデザインされ、構築されてよい。 表1.マーカベースの直接完全性試験システムの仕様
【表1】
【0058】
(例2:マーカのサイズおよび分布)
粒子計数器へのフィードによって、膜の濃縮側において、ループポンプのダウンストリームおよび膜モジュールのアップストリームが結合してよい。基準線または初期カウントは、(TiOが加えられる前に)取得される。初期カウントは、これまでの試験から残留したTiOからなる。
【0059】
100mlあたり約130,000カウントの基準線カウントが(TiOが加えられていない)膜の濃縮側において取得された後、TiOは、フィードタンクにバッチ式で加えられ(表2)、試験方法ごとに混合させられる。上述の表において示されるように、2.1ppmのTiOから、2μm以上3μm未満の5.71ログ粒子の総粒子数を作り出した。また、2および3ミクロンの間の粒子の百分率は、35.8%から27.3%の範囲であった。 表2.粒子数/100mL対TiO濃度
【表2】
TiOの別のバッチで試験を繰り返した。試験データを表3に示す。
表3.粒子数/100mL対TiO濃度
【表3】
【0060】
TiOの負荷が増加するとともに、2~3ミクロンの範囲の粒子の百分率が、1.25ppmを超えた濃度で減少した。粒子計数器メーカからは、1,000,000カウント/100mLより大きい濃度で実際に存在するカウントよりも低いカウントとなる粒子のシャドウイングが起こることがあるとの助言を受けた。(すなわち、センサの上部範囲である)
【0061】
6.5ログ粒子/100mlを実現するために要求されるTiO量を計算するために、このエラーを軽減すべく、1.25ppmを超えないようにTiOの最小量を加えた結果を使用する(曲線が折れ曲がる前の結果を使用する)。所望のTiO濃度が次のように算出されてよい。所与の濃度についての平均TiO粒子量を求めるトレンドライン式は:Y(2~3ミクロンの粒子)=276,558×X(所望のTiO濃度)
【0062】
6.5ログチャレンジのために必要な粒子数は:6.5ログ粒子=3,162,278粒子従って、必要なマーカ濃度は:3,162,278粒子/276,558=11.43ppm(所望のTiO濃度)6.5ログ粒子/100mlを実現するために、我々は膜の濃縮側に11.43ppmのTiOパウダーを加えなければならない。控えめに、その値は12ppmに切り上げられるであろう。従って12グラムのTiOが水1000リットルあたり必要となってよい。
【0063】
(例3:マーカ濃度)
マーカベースの直接完全性試験を実行するための所与のシステムにおいて必要となるTiO量を計算するために、以下の式が使用されてよい:
((12グラムのTiO)/(1000リットル))×ループの水量(リットル)
【0064】
表4は、様々な水量に対して、6.5ログ粒子/100mlを実現するために加えられる必要があるTiO量を示す。 表4.ループの体積ごとに加えられるTiO
【表4】
図1
図2
図3