(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びフラッシング方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20221220BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20221220BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20221220BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J2/17
B41J2/175 303
B41J2/21
B41J2/165 207
(21)【出願番号】P 2018134216
(22)【出願日】2018-07-17
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】横田 洋志
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261098(JP,A)
【文献】特開2005-028636(JP,A)
【文献】特開2001-322299(JP,A)
【文献】特開2007-160657(JP,A)
【文献】特開2002-192747(JP,A)
【文献】特開2005-280174(JP,A)
【文献】特開2015-212031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシングが可能なインクジェット記録装置において、
複数色のインクを吐出する吐出部と、
前記インクの残量値を算出する残量算出部と、
前記吐出部から吐出する前記インクを決定する吐出制御部と
を備え、
前記吐出制御部は、
前記吐出部をフラッシングする場合、前記残量算出部の算出結果に基づいて、第1インクの残量値が閾値より大きいか否かを判定し、
前記第1インクの残量値が前記閾値より大きい場合、前記第1インクを吐出することを決定し、
前記第1インクの残量値が前記閾値より大きくない場合、前記第1インクに代えて第2インクを吐出することを決定し、
前記吐出制御部が前記第2インクを吐出することを決定した場合、前記残量算出部は、前記第2インクの残量値が前記閾値より大きいか否かを判定し、
前記吐出制御部は、
前記第2インクの残量値が前記閾値より大きい場合、前記吐出部から前記第2インクを吐出し、
前記第2インクの残量値が前記閾値より大きくない場合、前記第1インクの残量値と前記第2インクの残量値とを比較し、残量値が大きいインクを吐出し、
前記第2インクは、前記第1インクと輝度情報が一致する、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第1インクは単色のインクであり、前記第2インクは単色のインクである、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1インクは単色のインクであり、前記第2インクは複数色のインクである、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記吐出制御部は、前記第1インクの残量値と前記第2インクの残量値とを比較し、残量値が大きいインクを吐出する場合、前記吐出部のフラッシングで吐出される前記インクの吐出量を第1吐出量から第2吐出量に変更し、
前記第2吐出量は、前記第1吐出量と異なる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
吐出部を備えるインクジェット記録装置のフラッシング方法であって、
複数色のインクを吐出する第1工程と、
前記インクの残量値を算出する第2工程と、
前記吐出部から吐出する前記インクを決定する第3工程と
第1インクの残量値を算出する第4工程と、
前記第4工程の算出結果に基づいて、前記第1インクの残量値が閾値より大きいか否かを判定する第5工程と、
前記第1インクの残量値が前記閾値より大きい場合、前記第1インクを吐出することを決定する第6工程と、
前記第1インクの残量値が前記閾値より大きくない場合、前記第1インクに代えて第2インクを吐出することを決定する第7工程と、
前記第2インクを吐出することを決定した場合、前記第2インクの残量値が前記閾値より大きいか否かを判定する第8工程と、
前記第2インクの残量値が前記閾値より大きい場合、前記吐出部から前記第2インクを吐出する第9工程と、
前記第2インクの残量値が前記閾値より大きくない場合、前記第1インクの残量値と前記第2インクの残量値とを比較し、残量値が大きいインクを吐出する第10工程と
を包含し、
前記第2インクは、前記第1インクと輝度情報が一致する、フラッシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びフラッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラインヘッドのノズルの目詰まりを防止することが可能なインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置として、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、複数のラインヘッドと、制御装置とを備える。複数のラインヘッドの各々は、異なる色のインクを吐出する。複数のラインヘッドの各々は、ノズルを備える。制御装置は、ラインヘッドのノズルからインクを吐出させてフラッシングする。特許文献1に記載のインクジェット記録装置によれば、例えば、前回の印刷処理から所定時間経過後に、ラインヘッドのノズルからインクを吐出させてフラッシングできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、フラッシングは、インクの残量が少ない状態であっても実行されるため、インク切れが発生しやすい。したがって、インク切れの発生を抑制することが困難であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシング処理中において、インク切れの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフラッシングが可能なインクジェット記録装置は、吐出部と、残量算出部と、吐出制御部とを備える。前記吐出部は、複数色のインクを吐出する。前記残量算出部は、前記インクの残量値を算出する。前記吐出制御部は、前記吐出部から吐出する前記インクを決定する。前記残量算出部は、第1インクの残量値を算出する。前記吐出制御部は、前記残量算出部の算出結果に基づいて、前記第1インクに代えて第2インクを吐出することを決定する。前記第2インクは、前記第1インクと輝度情報が一致する。
【0007】
本発明に係る吐出部を備えるインクジェット記録装置のフラッシング方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、第5工程とを備える。前記第1工程は、複数色のインクを吐出する。前記第2工程は、前記インクの残量値を算出する。前記第3工程は、前記吐出部から吐出する前記インクを決定する。前記第4工程は、前記第1インクの残量値を算出する。前記第5工程は、前記第4工程の算出結果に基づいて、前記第1インクに代えて第2インクを吐出することを決定する。前記第2インクは、前記第1インクと輝度情報が一致する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フラッシング処理中において、インク切れの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置の構成を示す図である。
【
図3】インクジェット記録装置の制御部を示すブロック図である。
【
図4】フラッシング処理のフローチャートを示す図である。
【
図5】実施形態1に係る判定処理のフローチャートを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る判定処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
(実施形態1)
まず、
図1を参照して、インクジェット記録装置1の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、操作パネル2、用紙収容部5、搬送ユニット6、記録部7、インク供給装置90、排出装置8、記憶部9、及び制御部100を備える。
【0013】
操作パネル2は、インクジェット記録装置1に対するユーザーからのジョブの指示を受け付ける。操作パネル2は、通知部及び複数の操作キーを含む。操作パネル2は、ユーザーからの指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す信号を制御部100へ送信する。通知部は、例えば、液晶ディスプレーまたは有機ELディスプレー(Organic Electro Luminescence Display)を含む。
【0014】
用紙収容部5は、カセット51を有する。具体的には、用紙収容部5は、用紙Pを収容する複数のカセット51を有する。カセット51から給紙された用紙Pは、搬送ユニット6へ搬送される。
【0015】
搬送ユニット6は、記録部7の下方を通過するように用紙Pを搬送する。また、搬送ユニット6は、記録部7の下方を通過した用紙Pを排出装置8に搬送する。
【0016】
記録部7は、インクを吐出して用紙Pに画像を形成する。記録部7は、ヘッドハウジング71と4つのラインヘッド72とを含む。ヘッドハウジング71は、4つのラインヘッド72を支持する。
【0017】
インク供給装置90は、記録部7にインクを供給する。インク供給装置90は、インクタンク91を備える。インクタンク91はインクを収容する。インクタンク91のインクは、画像の記録で吐出されるインクとフラッシングで吐出されるインクとを含む。インクタンク91は、インクの色種ごとに設けられている。具体的には、インクタンク91は、イエロー色のインクを貯留するインクタンク91Yと、マゼンタ色のインクを貯留するインクタンク91Mと、シアン色のインクを貯留するインクタンク91Cと、ブラック色のインクを貯留するインクタンク91Kとを含む。
【0018】
排出装置8は、排出トレイ81を含む。排出装置8は、本体筐体の外部へ用紙Pを排出する。本体筐体の外部へ排出された用紙Pは、排出トレイ81に載置される。
【0019】
記憶部9は、データを記憶する。記憶部9は、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成される。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)及び/またはSSD(Solid State Drive)によって構成される。半導体メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を構成する。記憶部9は、制御プログラムを記憶する。
【0020】
記憶部9は、閾値を記憶する。閾値は、例えば、インクタンク91に収容可能な最大のインク量の10%である。
【0021】
記憶部9は、吐出量データを記憶する。吐出量データは、1画素あたりのインクの吐出量を示すデータとフラッシングの動作で吐出するインクの吐出量を示すデータとを含む。フラッシングの動作で吐出するインクの吐出量を示すデータは、第1吐出量を示すデータと第2吐出量を示すデータとを含む。第1吐出量は、インクタンク91のインクの残量値が閾値よりも大きい場合にフラッシングで吐出されるインク量である。第2吐出量は、インクタンク91のインクの残量値が閾値よりも大きくない場合にフラッシングで吐出されるインク量である。第2吐出量は、第1吐出量よりも少ない。第2吐出量は、吐出量が「0mL」となる場合を含む。また、記憶部9は、画像の記録で吐出されたインク量とフラッシングで吐出されたインク量とを記憶する。
【0022】
記憶部9は、インクの輝度情報を記憶する。輝度情報は、高輝度と、中輝度と、低輝度とを含む。インクの輝度情報は、インクをYUV形式に変換した際の輝度信号の値によって決定される。YUV形式とは、輝度信号と色差信号とを使って表現される色空間である。輝度信号の値には、0から255までの値が含まれる。高輝度のインクは、例えば、輝度信号の値が200以上の値を示すインクである。中輝度のインクは、例えば、輝度信号の値が50以上から200未満まで値を示すインクである。低輝度のインクは、例えば、輝度信号の値が50未満の値を示すインクである。例えば、イエロー色のインクの輝度情報は、高輝度である。マゼンタ色のインクの輝度情報は、中輝度である。シアン色のインクの輝度情報は、中輝度である。ブラック色のインクの輝度情報は、低輝度である。マゼンタ色のインクとシアン色のインクとを含む複数色のインクの輝度情報は、低輝度である。ブラック色のインクとマゼンタ色のインクとを含む複数色のインクの輝度情報は、低輝度である。ブラック色のインクとシアン色のインクとを含む複数色のインクの輝度情報は、低輝度である。
【0023】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。制御部100は、制御プログラムを実行することにより、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。また、制御部100は、画像形成処理用の集積回路を備える。画像形成処理用の集積回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。
【0024】
次に、
図1と
図2とを参照して、記録部7の構成について更に説明する。
図2は、4つのラインヘッド72の底面を示す図である。4つのラインヘッド72の各々は、吐出部73を有する。
図2に示すように、記録部7は、4つのラインヘッド72に加えて、複数の吐出部73と、複数のノズル74とを更に有する。
【0025】
図1と
図2とに示すように、イエロー色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Yと示している。マゼンダ色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Mと示している。シアン色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Cと示している。ブラック色のインクを吐出するラインヘッド72をラインヘッド72Kと示している。
【0026】
複数のラインヘッド72の各々には、複数の吐出部73が配置される。吐出部73の各々は、千鳥状に配置される。複数の吐出部73は、イエロー色に対応する吐出部73Yと、マゼンタ色に対応する吐出部73Mと、シアン色に対応する吐出部73Cと、ブラック色に対応する吐出部73Kとを有する。
【0027】
複数の吐出部73の各々には、複数のノズル74が配置される。複数のノズル74の各々は、用紙Pに向かってインクを吐出する。具体的には、複数のノズル74の各々は、制御部100によって用紙Pに設定された着滴位置に向かってインクを吐出する。
【0028】
複数のノズル74は、イエロー色に対応するノズル74Yと、マゼンタ色に対応するノズル74Mと、シアン色に対応するノズル74Cと、ブラック色に対応するノズル74Kとを含む。ノズル74Yは、ラインヘッド72Yの吐出部73Yに配置される。ノズル74Mは、ラインヘッド72Mの吐出部73Mに配置される。ノズル74Cは、ラインヘッド72Cの吐出部73Cに配置される。ノズル74Kは、ラインヘッド72Kの吐出部73Kに配置される。
【0029】
ラインヘッド72Yは、イエロー色のインクタンク91Yに接続される。ノズル74Yは、イエロー色のインクを吐出する。ラインヘッド72Mは、マゼンタ色のインクタンク91Mに接続される。ノズル74Mは、マゼンタ色のインクを吐出する。ラインヘッド72Cは、シアン色のインクタンク91Cに接続される。ノズル74Cは、シアン色のインクを吐出する。ラインヘッド72Kは、ブラック色のインクタンク91Kに接続される。ノズル74Kは、ブラック色のインクを吐出する。
【0030】
ノズル74の各々には、例えば、ピエゾ方式のようなインクの吐出方式を適用することができる。ピエゾ方式では、ピエゾ素子を用いてインクが吐出される。詳しくは、ピエゾ方式では、所定の波形のパルスがピエゾ素子に入力されることによって、パルスに対応するようにピエゾ素子が変形する。この結果、ピエゾ素子の変形による圧力がノズル74内のインクに伝達し、インクが振動する。この結果、ノズル74からインクが吐出される。
【0031】
次に、
図3を参照して、制御部100について更に説明する。
図3は、インクジェット記録装置1の制御部100を示すブロック図である。
図3に示すように制御部100は、制御プログラムを実行することにより、吐出制御部110、及び残量算出部120として機能する。
【0032】
吐出制御部110は、着滴位置を決定する。着滴位置は、インクが吐出される画素の位置である。具体的には、吐出制御部110は、制御プログラムに基づいて、着滴位置を決定する。着滴位置は、複数決定される。
【0033】
吐出制御部110は、着滴位置に吐出するインクを決定する。具体的には、吐出制御部110は、着滴位置に対応するノズル74のピエゾ素子を決定する。なお、吐出制御部110は、着滴位置毎に吐出するインクを決定する。
【0034】
吐出制御部110は、ピエゾ素子を制御する。吐出制御部110がピエゾ素子を制御した場合、第1情報が記憶部9に記憶される。第1情報は、ピエゾ素子の識別情報と、ピエゾ素子を制御した時間を示す情報とを含む。
【0035】
吐出制御部110は、ピエゾ素子を制御することで、決定された着滴位置にインクを吐出できる。例えば、決定された着滴位置にシアン色のインクを吐出する場合、吐出制御部110は、着滴位置に対応するノズル74Cのピエゾ素子を制御する。この結果、吐出制御部110は、着滴位置にシアン色のインクを吐出できる。
【0036】
吐出制御部110は、ノズル74をフラッシングできる。フラッシングをする場合、吐出制御部110は、ノズル74からインクを吐出する。インクを吐出する位置は、着滴位置である。フラッシングは、記録部7が画像を形成している途中で実行される。例えば、記録部7が画像を形成している途中で、吐出制御部110によって決定された着滴位置にフラッシングをおこなう。フラッシング動作によって、ノズル74内のインクの粘度を正常値にすることができる。
【0037】
残量算出部120は、インクタンク91に収容されているインクの残量値を算出する。インクの残量値は、インクタンク91に収容可能な最大のインク量から記録部7が消費したインク量を引くことで算出される。残量算出部120は、消費したインク量をカウントしている。消費したインク量のカウントは、インクタンク91Yと、インクタンク91Mと、インクタンク91Cと、インクタンク91Kとのそれぞれに対して行われる。消費したインク量には、画像の形成で使用したインク量とフラッシングで使用したインク量とを含む。
【0038】
次に、
図1~
図3を参照して、吐出制御部110が実行するフラッシング処理を説明する。フラッシングを実行する場合、吐出制御部110は、フラッシングを行うノズル74を決定する。ノズル74は、所定時間以内にインクが吐出されていないノズル74である。所定時間は、例えば、約30分である。吐出制御部110は、インクが所定時間以内にノズル74から吐出されたか否かを判定する。具体的には、吐出制御部110は、記憶部9から第1情報を取得する。更に具体的には、吐出制御部110は、第1情報に基づいて、所定時間以内にノズル74からインクが吐出されたか否かを判定する。この結果、インクが所定時間以内に吐出されていないノズル74を判定できる。既に説明したように、第1情報は、ピエゾ素子の識別情報と、ピエゾ素子を制御した時間を示す情報とを示す。なお、吐出制御部110は、吐出部73Yと、吐出部73Mと、吐出部73Cと、吐出部73Kとのノズル74の各々に対して、所定時間以内にノズル74からインクが吐出されたか否かを判定する。
【0039】
吐出制御部110は、判定結果に基づいて、フラッシングを行うノズル74を決定する。この結果、フラッシングを行うノズル74を決定できる。ノズル74は、第1ノズル74と第2ノズル74とを含む。第1ノズル74は、第1インクを吐出するノズル74である。第1インクは、着滴位置に吐出されるインクである。第2ノズル74は、第2インクを吐出するノズル74である。第2インクは、第1インクに代えて着滴位置に吐出されるインクである。第2インクは、第1インクと輝度情報が一致するインクである。
【0040】
また、所定時間以内にインクが吐出されたノズル74もフラッシング対象となることがある。所定時間以内にノズル74からインクが吐出された場合、吐出制御部110は、第2吐出量の第1インクを吐出するように、吐出部73を制御する。この結果、ノズル74が所定時間以内にフラッシングを行った場合には、ノズル74が吐出するインク量が少なくなる。したがって、インクを効率的に使用できる。
【0041】
また、吐出制御部110は着滴位置に吐出するインクを決定できる。具体的には、吐出制御部110は、第1インクに代えて第2インクを吐出することを決定できる。
【0042】
第1インクに代えて第2インクを吐出する場合、残量算出部120は、フラッシングの対象となるノズル74を決定した後、第1インクの残量値を算出する。この結果、第1インクが貯留されているインクタンク91の残量値が算出される。吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、第1インクの残量値が閾値より大きいか否かを判定する。この結果、第1インクがインク切れとなるか否かを判定できる。
【0043】
第1インクの残量値が閾値より大きくない場合、吐出制御部110は、第2インクを吐出することを決定する。このため、残量値の少ない第1インクの代わりに第2インクを用いてフラッシングすることを決定できる。この結果、インク切れの発生を抑制できる。
【0044】
画像を形成している途中でフラッシングによってインク切れが発生した場合、画像の形成が停止される。しかし、残量値の少ない第1インクの代わりに第2インクを用いてフラッシングすることを決定できるため、インク切れの発生を抑制でき、画像の形成が停止されることを抑制できる。
【0045】
なお、第1インクの残量値が閾値より大きい場合、吐出制御部110は、第1インクを第1吐出量で吐出するように、吐出部73を制御する。この結果、ノズル74のフラッシングを行うことができる。
【0046】
また、第1インクに代えて第2インクを吐出する場合、吐出制御部110は、記憶部9からインクの輝度情報を取得する。吐出制御部110は、記憶部9に記憶されたインクの輝度情報が第1インクの輝度情報と一致するか否かを判定する。吐出制御部110は、第1インクの輝度情報に基づいて、第2インクを決定する。第2インクと第1インクとは輝度情報が一致するため、用紙Pに吐出した第1インクの輝度と用紙Pに吐出した第2インクの輝度との差が小さい。このため、インクの色を変更してもユーザーに与える違和感を抑制できる。
【0047】
ある画素に対して色を変更してフラッシングを行う場合、第1インクの輝度と大きく異なる輝度の第2インクをフラッシングに使用すると、フラッシングを行った画素が目立つ。このため、ユーザーに与える違和感が大きくなる。しかし、第1インクの輝度と第2インクの輝度との差が小さい場合、インクの色を変更してもユーザーに与える違和感を抑制できる。この結果、色の変更によってユーザーに与える違和感を抑制できる。
【0048】
例えば、第1インクがシアン色のインクである場合、残量算出部120は、シアン色のインクの残量値を算出する。次に、吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、シアン色のインクの残量値が閾値より大きいか否かを判定する。シアン色のインクの残量値が閾値より大きくない場合、吐出制御部110は、第2インクを吐出することを決定する。次に、吐出制御部110は、記憶部9からインクの輝度情報を取得する。吐出制御部110は、記憶部9に記憶されたインクの輝度情報がシアン色のインクの輝度情報と一致するか否かを判定する。シアン色のインクの輝度情報は、中輝度である。吐出制御部110は、第1インクの輝度情報に基づいて、第2インクを決定する。第2インクは、例えば、マゼンタ色のインクである。マゼンタ色のインクの輝度情報は、中輝度である。吐出制御部110は、第1インクであるシアン色のインクに代えて第2インクであるマゼンタ色のインクを吐出することを決定する。
【0049】
なお、第1インクの輝度情報と一致する第2インクがインクジェット記録装置の中にない場合、吐出制御部110は、第1インクを吐出するように、吐出部73を制御する。この場合、吐出制御部110は、第2吐出量の第1インクを吐出するように、吐出部73を制御する。この結果、インク切れの発生を抑制できる。
【0050】
例えば、第1インクがイエロー色のインクである場合、吐出制御部110は、イエロー色のインクの輝度情報と一致する第2インクがないと判定する。本実形態では、輝度情報が高輝度となるインクに対応するインクが無いためである。吐出制御部110は、第2吐出量の第1インクを吐出するように、吐出部73を制御する。なお、高輝度のインクは、吐出量を「0mL」としてもよい。用紙Pが白色の場合、着滴位置の輝度と高輝度のインクとの輝度の差が小さい。このため、高輝度のインクを着滴位置に吐出しなくてもユーザーに違和感を与えにくい。この結果、ユーザーに与える違和感を抑制できる。
【0051】
また、第1インクに代えて第2インクを吐出することを決定したが、第2インクの残量値が閾値よりも大きくない場合がある。このため、吐出制御部110は、第2インクの残量値が閾値より大きいか否かを判定する。具体的には、第2インクを吐出することを決定した場合、吐出制御部110は、第2インクの残量値が閾値より大きいか否かを判定する。
【0052】
第2インクの残量値が閾値より大きくない場合、吐出制御部110は、第1インクの残量値と第2インクの残量値とを比較する。吐出制御部110は、比較結果に基づいて、残量値の大きいインクを第2吐出量で吐出する。例えば、第1インクの残量値が第2インクの残量値より大きい場合、吐出制御部110は、第2吐出量の第1インクを吐出する。この結果、インクを効果的に使用できる。
【0053】
第2インクの残量値が閾値より大きい場合、吐出制御部110は、第1吐出量の第2インクを吐出するように、吐出部73を制御する。この結果、残量値の少ない第1インクの代わりに第2インクを用いてフラッシングできる。したがって、インク切れの発生を抑制できる。
【0054】
図3と
図4とを参照して、インクジェット記録装置1のフラッシング処理を説明する。
図4は、フラッシング処理のフローチャートを示す図である。
【0055】
ステップS1:吐出制御部110は、インクが所定時間以内にノズル74から吐出されたか否かを判定する。インクが所定時間以内にノズル74から吐出されない場合(ステップS1において、No)、処理は、ステップS9に進む。インクが所定時間以内にノズル74から吐出された場合(ステップS1において、Yes)、処理は、ステップS3に進む。
【0056】
ステップS3:吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、第1インクの残量値が閾値より大きいか否か判定する。第1インクの残量値が閾値より大きい場合(ステップS3において、Yes)、処理は、ステップS11に進む。第1インクの残量値が閾値より大きくない場合(ステップS3において、No)、処理は、ステップS5に進む。
【0057】
ステップS5:吐出制御部110は、記憶部9に記憶されたインクの輝度情報が第1インクの輝度情報と一致するか否かを判定する。記憶部9に記憶されたインクの輝度情報が第1インクの輝度情報と一致しない場合(ステップS5において、No)、処理は、ステップS9に進む。記憶部9に記憶されたインクの輝度情報が第1インクの輝度情報と一致する場合(ステップS5において、Yes)、処理は、ステップS7に進む。
【0058】
ステップS7:吐出制御部110は、判定処理を実行する。処理は、終了する。判定処理については、
図5と
図6を参照して後述する。
【0059】
ステップS9:吐出制御部110は、吐出部73が第2吐出量の第1インクを吐出するように、吐出部73を制御する。処理は、終了する。
【0060】
ステップS11:吐出制御部110は、吐出部73が第1吐出量の第1インクを吐出するように、吐出部73を制御する。処理は、終了する。
【0061】
次に、
図4と
図5とを参照して判定処理を説明する。
図5は、吐出制御部110の判定処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、判定処理は、ステップS71~ステップS77を含む。
【0062】
ステップS71:吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、第2インクの残量値が閾値より大きいか否かを判定する。第2インクの残量値が閾値より大きくない場合(ステップS71において、No)、処理は、ステップS75に進む。第2インクの残量値が閾値より大きい場合(ステップS71において、Yes)、処理は、ステップS73に進む。
【0063】
ステップS73:吐出制御部110は、吐出部73が第1吐出量の第2インクを吐出するように、吐出部73を制御する。処理は、
図4に示すフローチャートに戻る。
【0064】
ステップS75:吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、第1インクの残量値と第2インクの残量値とを比較する。処理は、ステップS77に進む。
【0065】
ステップS77:吐出制御部110は、比較結果に基づいて、残量値の大きいインクを第2吐出量で吐出するように、吐出部73を制御する。
図4に示すフローチャートに戻る。
【0066】
(実施形態2)
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置1について説明する。実施形態2に係るインクジェット記録装置1は、フラッシング処理が実施形態1に係るインクジェット記録装置1と異なる。
【0067】
フラッシングによって吐出されるインクは、輝度情報によって複数色のインクとなる場合がある。例えば、第1インクが単色のインクであり、第2インクが複数色のインクである。
【0068】
残量算出部120は、第1インクの残量値を算出する。第1インクの残量値が閾値より大きくない場合、吐出制御部110は、第2インクを吐出することを決定する。吐出制御部110は、記憶部9からインクの輝度情報を取得する。吐出制御部110は、記憶部9に記憶されたインクの輝度情報が第1インクの輝度情報と一致するか否かを判定する。吐出制御部110は、第1インクの輝度情報に基づいて、第2インクを決定する。第2インクと第1インクとは、輝度情報が一致するインクである。例えば、第1インクは、ブラック色のインクである。ブラック色のインクの輝度情報は、低輝度である。吐出制御部110は、第1インクの輝度情報に基づいて、第2インクを決定する。第2インクは、例えば、シアン色のインクとマゼンタ色のインクとの2色のインクである。2色のインクの輝度情報は、低輝度である。この結果、吐出制御部110は、ブラック色のインクに代えて2色のインクを吐出することを決定できる。
【0069】
複数色のインクを吐出する場合、残量算出部120は、複数色のインクの各々の残量値を算出する。吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、複数色のインクの各々の残量値が閾値より大きいか否かを判定する。複数色のインクの各々の残量値が閾値よりも大きい場合、複数色のインクの各々が第1吐出量のインクを吐出する。この結果、インクを効果的に使用できる。
【0070】
複数色のインクの各々の残量値が閾値より大きくない場合、吐出制御部110は、第1インクと複数色のインクの各々の残量値とを比較する。吐出制御部110は、比較結果に基づいて、残量値の大きいインクを第2吐出量で吐出する。この結果、インク切れの発生を抑制できる。
【0071】
また、複数色のインクの内の1つの残量値が閾値より大きくない場合がある。複数のインクの内の1つ残量値が閾値より大きくない場合、吐出制御部110は、複数色のインクの内の閾値よりも大きい残量値のインクと第1インクとを第2吐出量で吐出する。この結果、インク切れの発生を抑制し、インクを効果的に使用できる。
【0072】
次に、
図4と
図6を参照して判定処理を説明する。
図6は、本発明の実施形態2に係る吐出制御部110の判定処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、判定処理は、ステップS701~ステップS711を含む。
【0073】
ステップS701:吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、複数色のインクの各々の残量値が閾値より大きいか否かを判定する。複数色のインクの各々の残量値が閾値より大きい場合(ステップS701において、Yes)、処理は、ステップS707に進む。複数色のインクの各々の残量値が閾値より大きくない場合(ステップS701において、No)、処理は、ステップS703に進む。
【0074】
ステップS703:吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、複数色のインクの内の1つの残量値が閾値より大きいか否かを判定する。複数色のインクの内の1つの残量値が閾値より大きくない場合(ステップS703において、No)、処理は、ステップS709に進む。複数色のインクの内の1つの残量値が閾値より大きい場合(ステップS703において、Yes)、処理は、ステップS705に進む。
【0075】
ステップS705:吐出制御部110は、吐出部73が第2吐出量の第1インクと第2吐出量の第2インクとを吐出するように、吐出部73を制御する。第2インクは、複数色のインクの内であって、閾値よりも大きい残量値のインクである。処理は、
図4に示すフローチャートに戻る。
【0076】
ステップS707:吐出制御部110は、吐出部73が第1吐出量の第2インクを吐出するように、吐出部73を制御する。処理は、戻る。
【0077】
ステップS709:吐出制御部110は、残量算出部120の算出結果に基づいて、第1インクの残量値と第2インクの残量値とを比較する。処理は、ステップS711に進む。
【0078】
ステップS711:吐出制御部110は、第2吐出量のインクを残量値の大きいインクから吐出するように、吐出部73を制御する。処理は、
図4に示すフローチャートに戻る。
【0079】
以上、図面(
図1~
図6)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 インクジェット記録装置
73 吐出部
110 吐出制御部
120 残量算出部
P 用紙