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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】積層体及び包装材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221220BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20221220BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221220BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20221220BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20221220BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/36
B32B27/00 H
B65D65/40 D
B65D30/02
B65D30/16 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018135131
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020011444
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】田中 大介
(72)【発明者】
【氏名】武士田 満
(72)【発明者】
【氏名】西山 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】小瀬 貴久
(72)【発明者】
【氏名】山添 博紀
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-176951(JP,A)
【文献】特開2000-053823(JP,A)
【文献】特開平08-269270(JP,A)
【文献】特開2001-261050(JP,A)
【文献】特開2006-137010(JP,A)
【文献】特開2017-218216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D30/00-33/38
65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、厚さ50μm以上80μm以下のフィルムからなるヒートシール層とを備え、
前記ヒートシール層が、LDPE及びC4-LLDPEを含み、
前記ヒートシール層における前記LDPEの含有量が、10質量%以上25質量%以下であり、前記C4-LLDPEの含有量が、75質量%以上90質量%以下であり、
包装材料のガセット部作製用である
ことを特徴とする、積層体。
【請求項2】
前記基材が、ポリエステル系樹脂から構成されるフィルムである、請求項1記載の積層体。
【請求項3】
胴部と、側部とを備え、
前記側部が、請求項1又は2に記載の積層体から作製されるガセット部であることを特徴とする、包装材料。
【請求項4】
前記胴部が、請求項1又は2に記載の積層体から作製される、請求項に記載の包装材料。
【請求項5】
胴部と、側部と、底部を備え、
前記側部及び前記底部の少なくとも一方が、請求項1又は2に記載の積層体から作製されるガセット部であることを特徴とする、包装材料。
【請求項6】
前記胴部及び前記底部が、請求項1又は2に記載の積層体から作製される、請求項に記載の包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層体及び包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容量の増大を目的として、容器の側部や底部に、ガセット部を設けることが行われている。
【0003】
特許文献1や特許文献2等において開示されるように、ガセット部を備える包装材料は、図1に示すように、帯状に連結された、ガセット部10を備える包装材料11を、カット部12でカットし、ガセット部10を開くことにより作製される。
なお、本発明において、斜線部分は、ヒートシールされていることを意味する。
【0004】
通常、該カット工程は、包装材料を構成する胴部と、ガセット部である側部及び/又は底部とをヒートシールする工程の後行われるが、該ヒートシール工程において加えられる熱及びカット工程において加えられる圧力により、ガセット部が溶着してしまい、該ガセット部を開くことができないという不具合を生じてしまうおそれがあった。
【0005】
また、通常、このような包装材料には、内容物を充填し、包装体としたときに、落下等による衝撃が加えられた場合であっても、破袋しない、高い強度を有していることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-181974号公報
【文献】特開2011-161665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
驚くべきことに、本発明者らは、基材と、厚さ30μm以上90μm以下であり、5重量%以上30重量%以下のLDPE、及びLLDPEを含むヒートシール層とを備える積層体によれば、上記問題を解決できるとの知見を得た。
従って、本発明の解決しようとする課題は、ヒートシール工程及びカット工程を備える、従来公知のガセット部を備える包装材料の製造工程において、ガセット部における溶着を防止することができると共に、高い強度を有する、積層体を提供することである。
また、本発明の解決しようする課題は、該積層体を用いて形成されるガセット部を備える包装材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層体は、基材と、厚さ30μm以上90μm以下のヒートシール層とを備え、
ヒートシール層が、LDPE及びLLDPEを含み、
ヒートシール層におけるLDPEの含有量が、5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
【0009】
上記態様においては、ヒートシール層が、前記LLDPEとして、C4-LLDPE及びC6-LLDPEの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0010】
上記態様においては、ヒートシール層におけるLLDPEの含有量が、70質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の包装材料は、胴部と、側部とを備え、
側部が、上記積層体から作製されるガセット部であることを特徴とする。
【0012】
上記態様においては、胴部が、上記積層体から作製されることが好ましい。
【0013】
本発明の包装材料は、胴部と、側部と、底部とを備え、
側部及び底部の少なくとも一方が、上記積層体から作製されるガセット部であることを特徴とする。
【0014】
上記態様においては、胴部、側部及び底部が全て、上記積層体から作製されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、包装材料の製造工程において、溶着するおそれのないガセット部を作製することのできると共に、高い強度を有する積層体を提供することができる。
また、該積層体を用いて形成されるガセット部を備える包装材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、従来公知である、ガセット部を備える包装材料の作製方法を説明するための概略図である。
図2図2は、本発明の積層体の一実施形態を表す模式断面図である。
図3図3は、本発明の包装材料の一実施形態を表す斜視図である。
図4図4は、本発明の包装材料の一実施形態を表す斜視図である。
図5図5は、本発明の包装材料の作製方法の一実施形態を説明するための概略図である。
図6図6は、本発明の包装材料の作製方法の一実施形態を説明するための概略図である。
図7図7は、本発明の包装体の一実施形態を表す斜視図である。
図8図8は、本発明の包装体の一実施形態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(積層体)
本発明の積層体20は、図2に示すように、基材21と、ヒートシール層22とを備える。
また、一実施形態において、本発明の積層体は、基材と、ヒートシール層との間に、バリア層を備えていてもよい(図示せず)。
【0018】
(基材)
基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体及びテレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル、ナイロン6及びナイロン6,6等のポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール及びポリビニルピロリドン(PVP)等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド及びポリエーテルイミド等のイミド樹脂、スチレン樹脂、並びにセロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)等のセルロース樹脂等の樹脂材料から構成されるフィルム(以下、単に「樹脂フィルム」という。)を使用することができる。
上記した樹脂の中でも、包装材料としたときの強度及び開封容易性という観点から、PET等のポリエステル系樹脂及びナイロン6等のポリアミド系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を包含することを意味する。
また、樹脂フィルムは、無延伸のものであっても、一軸延伸のものであっても、二軸延伸のものであってもよいが、包装材料の機械的強度という観点からは、二軸延伸のものであることが好ましい。
【0019】
また、基材として、上記した樹脂フィルムの積層体を使用してもよく、例えば、PETフィルムと、ポリアミド系樹脂フィルムとを、従来公知の接着剤を介して積層したものが挙げられる。
【0020】
基材は、蒸着膜を備えていてもよく、これにより、本発明の積層体のガスバリア性を向上させることができる。
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物又は無機酸化物を含む蒸着膜を使用することができる。
【0021】
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1.5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~2、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
【0022】
本発明において、上記のような無機物又は無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物又は無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50~2000Å位、好ましくは、100~1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
【0023】
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0024】
また、隣接する層の接着性を向上させるために、基材の表面に対し、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、又はフレーム処理等の表面活性化処理を行うことが好ましい。
【0025】
また、基材は、その表面に、文字、柄、記号等の画像が形成されていてもよい。画像の経時的な劣化を防止することができるため、基材のヒートシール層を積層する側に画像を形成することが好ましい。
画像の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の従来公知の印刷法を挙げることができる。
また、画像形成に使用する着色剤についても特に限定されるものではなく、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(あるいは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を用いることができる。
【0026】
基材の厚さは、5μm以上60μm以下であることが好ましく、6μm以上40μm以下であることがより好ましい。基材の厚さを上記数値範囲内とすることにより、包装材料の開封容易性及び強度をより向上することができる。
【0027】
上記した樹脂フィルムは、インフレーション法やTダイ法等の従来公知の方法により作製したものであってもよく、市販されるものであってもよい。
【0028】
(ヒートシール層)
本発明の積層体が備えるヒートシール層は、厚さが、30μm以上90μm以下であることを特徴とする。ガセット溶着防止性及び強度という観点からは、該厚さは、40μm以上85μm以下であることが好ましく、50μm以上80μm以下であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明の積層体が備えるヒートシール層は、5重量%以上30重量%以下のLDPE、及びLLDPEを含むことを特徴とする。
ガセット溶着防止性及び強度という観点からは、LDPEの含有量は、10質量%以上25質量以下であることが好ましく、15質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、LDPE及びLLDPEの密度は0.931g/cm未満とする。
【0030】
LLDPEとしては、エチレンと、炭素数が4個のα-オレフィンとの共重合体であるC4-LLDPE、エチレンと、炭素数が6個のα-オレフィンとの共重合体であるC6-LLDPE及びエチレンと、炭素数が8個のα-オレフィンとの共重合体であるC8-LLDPE等が挙げられる。
包装材料の強度という観点からは、C4-LLDPE及びC6-LLDPEが好ましく、C4-LLDPEがより好ましい。
【0031】
ヒートシール層におけるLLDPEの含有量は、70質量%以上95質量%以下であることが好ましく、75質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。ヒートシール層におけるLLDPEの含有量を上記数値範囲内とすることにより、ガセット溶着防止性及び強度をより向上できる。
【0032】
本発明の特性を損なわない範囲において、ヒートシール層は、LDPE及びLLDPE以外の樹脂材料を含んでいてもよい。
【0033】
ヒートシール層は、スリップ剤を含むことが好ましい。シール層がスリップ剤を含むことにより、積層体の加工容易性を向上することができる。
スリップ剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、べへニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等が挙げられる。
【0034】
ヒートシール層におけるスリップ剤の含有量は、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。ヒートシール層におけるスリップ剤の含有量を上記数値範囲内とすることにより、積層体の加工容易性をより向上することができる。
【0035】
また、ヒートシール層は、本発明の特性を損なわない範囲において、ワックス、充填材、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、顔料及び染料等の着色剤並びに蛍光発色材料等の添加材を含んでいてもよい。
【0036】
一実施形態において、ヒートシール層は、上記した材料を含む樹脂組成物を、加熱溶融し、製膜することにより作製したヒートシール層形成用フィルムを、従来公知の接着剤を介して基材と貼り合わせることにより形成することができる。
【0037】
(その他の層)
本発明の積層体は、基材と、ヒートシール層との間に、その他の層を備えていてもよい。
本発明の積層体は、その他の層として、ガスバリア層を備えていてもよく、例えば、アルミニウムやマグネシウム等の金属箔や、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂等のガスバリア性樹脂を含む樹脂層等が挙げられる。
【0038】
(包装材料)
一実施形態において、本発明の包装材料30は、図3に示すように、側部31と胴部32を備え、側部31が、上記積層体から作製されるガセット部であることを特徴とする。
好ましくは、胴部32も上記積層体から作製される。これにより、ガセット溶着防止性及び強度をより向上できる。
【0039】
他の実施形態において、本発明の包装材料40は、図4に示すように、胴部41と、側部42と、底部43とを備え、側部42及び底部43の少なくとも一方が上記積層体から作製されるガセット部であることを特徴とする。
好ましくは、胴部41、側部42及び底部43全てが上記積層体から作製される。これにより、ガセット溶着防止性及び強度をより向上できる。
【0040】
本実施形態の包装材料としては、側部のみガセット部であるサイドガセットパウチ、スパウト付きパウチ、底部のみガセット部であるスタンディングパウチ、及び側部及び底部がガセット部である角底パウチのいずれであってもよい。
【0041】
以下、図3に示す本発明の包装材料の製造方法の一実施形態について説明する。なお、胴部及び側部を、上記本発明の積層体を用いて作製した場合について説明する。
【0042】
まず、図5(a)に示すように、2枚の胴部形成用積層体50及び51とをヒートシール層が向かい合うように搬送すると共に、ヒートシール層が外側となった、V字状の側部形成用積層体52を挿入し、図5(c)に示すように、これらをヒートシールし、ガセット部である側部を形成する(図5(b)参照)と共に、2枚の胴部形成用積層体50及び51の一辺についてもヒートシールする。これにより、帯状に連結された包装材料53を得ることができる。
該帯状の包装材料53を、カット部54でカットすることにより、本発明の包装材料を作製することができる。
従来の積層体では、該カット工程により、ガセット部である側部や底部を構成する積層体が備えるヒートシール層が溶着し、ガセット部が開かなくなってしまっていたが、本発明の積層体を用いた場合、該溶着を防止することができる。
【0043】
以下、図4に示す本発明の包装材料の製造方法の一実施形態について説明する。なお、胴部、側部及び底部を、上記本発明の積層体を用いて作製した場合について説明する。
【0044】
まず、図6(a)に示すように、2枚の胴部形成用積層体60及び61とをヒートシール層が向かい合うように搬送すると共に、ヒートシール層が外側となった、V字状の側部形成用積層体62を挿入し、図6(c)に示すように、これらをヒートシールし、ガセット部である側部を形成する(図6(b)参照)。
次いで、胴部形成用積層体60及び61との間に、ヒートシール層が外側となった、V字状の底部形成用積層体63を挿入し、これらをヒートシールし、ガセット部である底部を形成する(図6(d)参照)。これにより、帯状に連結された包装材料44を得ることができる。
該帯状の包装材料64を、カット部65でカットすることにより、本発明の包装材料を作製することができる。
従来の積層体では、該カット工程により、ガセット部である側部や底部を構成する積層体が備えるヒートシール層が溶着し、ガセット部が開かなくなってしまっていたが、本発明の積層体を用いた場合、該溶着を防止することができる。
【0045】
上記ヒートシール工程の際における加熱温度は、特に限定されるものではなく、例えば、150℃以上250℃以下とすることができる。
【0046】
本発明の包装材料は、従来公知の製袋機を用いて作製することもでき、例えば、トタニ技研工業社製のBH-60DG-F等が挙げられる。
【0047】
(包装体)
本発明の包装体は、上記包装材料に内容物が充填されたものである。内容物は、特に限定されるものではなく、液体、粉体及びゲル体であってもよい。また、食品であっても、非食品であってもよい。
内容物の重量についても特に限定されるものではないが、本発明の包装体によれば、150g以上の重量を有する内容物を充填し、衝撃を与えた場合であっても破袋しない高い強度を有する。
【0048】
一実施形態において、包装体70は、図7に示すように、ジッパ71やレーザー光線等により形成される切り取り部72を備えていてもよい。
また、一実施形態において、図8に示すように、包装体80は、注出口81及び該注出口81に装着するキャップ82を備える。
【実施例
【0049】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがある場合を除き配合量、配合比は全て質量基準である。
【0050】
実施例1
基材として、厚さ12μmのPETフィルムを用意した。
基材の一方の面に、接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-4)を介して、厚さ7μmのアルミニウム箔を積層した。
【0051】
また、インフレーション法により、C4-LLDPE(プライムポリマー社製、ネオゼックス2511F、密度:0.924)と、LDPE(日本ポリエチレン社製、LF441MD1、密度:0.924)と、スリップ剤(住友化学社製、EMB-10)と、を78:20:2の割合で含む樹脂組成物Aを、インフレーション法により、製膜し、厚さ80μmのヒートシール層形成用フィルムを作製した。
該ヒートシール層形成用フィルムを、上記接着剤を介して、アルミニウム箔上に積層し、本発明の積層体を得た。
【0052】
実施例2
樹脂組成物Aを、C6-LLDPE(プライムポリマー社製、ウルトゼックス2520F、密度:0.922)と、LDPEと、スリップ剤と、を78:20:2の割合で含む樹脂組成物Bに変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の積層体を作製した。
【0053】
比較例1
ヒートシール層形成用フィルムの厚さを100μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
【0054】
比較例2
樹脂組成物Aを、C6-LLDPEと、スリップ剤と、を98:2の割合で含む樹脂組成物aに変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の積層体を作製した。
【0055】
比較例3
樹脂組成物Aを、C4-LLDPEと、LDPEと、スリップ剤と、を58:40:2の割合で含む樹脂組成物bに変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の積層体を作製した。
【0056】
<<ガセット溶着防止性試験>>
上記実施例及び比較例において得られた積層体を胴部、側部及び底部として用い、製袋機(トタニ技研工業社製、商品名BH-60DG-F)により、図3に示すように、開口部を有し、側部及び底部がガセット部である包装材料(角底パウチ)を作製した。
包装材料のガセット部を開く際に、溶着の発生の有無を確認し、溶着が発生していない場合を○、溶着が発生していた場合を×として、その結果を表1にまとめた。
【0057】
<<強度試験>>
上記のようにして作製した包装材料の開口部から、水200gを充填し、ヒートシールし、包装体とし、これを100cmの高さから、包装体の胴部を地面と水平にした状態で、硬い床に10回自由落下させた。該試験を10袋ずつ行い、破損の有無を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて、強度を評価した。評価結果を表1にまとめた。
なお、ガセット部が溶着し、開かなかった比較例1及び2については、該試験は行わなかった。
○:10袋全てにおいて破損が確認できなかった
×:10袋中1袋以上において破損が確認され、実用上問題があった。
【0058】
【表1】
【符号の説明】
【0059】
10:ガセット部、11:包装材料、12:カット部、20:積層体、21:基材、22:ヒートシール層、30:包装材料、31:側部、32:胴部、40:包装材料、41:胴部、42:側部、43:底部、50及び51:胴部形成用積層体、52:側部形成用積層体、53:包装材料、54:カット部、60及び61:胴部形成用積層体、62:側部形成用積層体、63:底部形成用積層体、64:包装材料、65:カット部、70:包装体、71:ジッパ、72:切り取り部、80:包装体、81:注出口、82:キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8