(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】テーブル装置
(51)【国際特許分類】
G12B 5/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
G12B5/00 T
(21)【出願番号】P 2018151865
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉持 尚史
(72)【発明者】
【氏名】古川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 澄雄
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3205635(JP,U)
【文献】再公表特許第2008/075616(JP,A1)
【文献】特開平11-63163(JP,A)
【文献】特開2008-198739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G12B 5/00
B23Q 1/00 - 1/76
G03F 7/20 - 7/24
H01L 21/68
F16C 29/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面側の第1空間と、前記第2面側の第2空間とを区切る板状部材と、
前記板状部材の前記第1面と対向する第1基板と、
前記板状部材を介して前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1空間に設けられ、前記第1基板を移動させる移動機構と、
前記第2基板と前記第2面との間に設けられ、前記第2基板を移動可能に支持する支持部と、を備え、
前記第1基板において、前記第1面と対向する面には、第1極性が前記第1面と対向する第1引力発生部と、前記第1極性とは異なる第2極性が前記第1面と対向する第2引力発生部とが
2つずつ設けられ、
前記第2基板において、前記第2面と対向する面には、前記板状部材を介して前記第2極性が前記第1引力発生部と対向する第3引力発生部と、前記板状部材を介して前記第1極性が前記第2引力発生部と対向する第4引力発生部
とが
2つずつ設けられ
、
一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とを結んで得られる四角形において、対向する辺の中点を結んだ仮想線同士の交点を第1対称点とした場合、一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部とは、前記第1対称点に対して点対称に配置され、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とは、前記第1対称点に対して点対称に配置されており、
一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とを結んで得られる四角形において、対向する辺の中点を結んだ仮想線同士の交点を第2対称点とした場合、一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部とは、前記第2対称点に対して点対称に配置され、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とは、前記第2対称点に対して点対称に配置されている、
テーブル装置。
【請求項2】
前記第1引力発生部と、前記第2引力発生部と、前記第3引力発生部と、前記第4引力発生部とは、それぞれ、磁石である、
請求項1に記載のテーブル装置。
【請求項3】
前記第1基板及び前記第2基板は、矩形形状であり、
一方の前記第1引力発生部及び他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部及び他方の前記第2引力発生部とは、それぞれ、前記第1基板において、対向する各辺の中点を結んだ線上に線対称となるように配置され、
一方の前記第3引力発生部及び他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部及び他方の前記第4引力発生部とは、それぞれ、前記第2基板において、対向する各辺の中点を結んだ線上に線対称となるように配置されている、
請求項
1または2に記載のテーブル装置。
【請求項4】
前記第1基板及び前記第2基板は、矩形形状であり、
一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部とは、前記第1基板において、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とに対し、対向する各辺の中点を結んだ線に対し非線対称に配置され、
一方の前記第1引力発生部及び他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部及び他方の前記第2引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置され、
一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部とは、前記第2基板において、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とに対し、対向する各辺の中点を結んだ線に対し非線対称に配置され、
一方の前記第3引力発生部及び他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部及び他方の前記第4引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置されている、
請求項
1または2に記載のテーブル装置。
【請求項5】
前記第1基板及び前記第2基板は、矩形形状であり、
一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部とは、前記第1基板において、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とに対して、対向する各辺の中点を結んだ線に対し線対称に配置され、
一方の前記第1引力発生部及び他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部及び他方の前記第2引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置され、
一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部とは、前記第2基板において、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とに対し、対向する各辺の中点を結んだ線に対し線対称に配置され、
一方の前記第3引力発生部及び他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部及び他方の前記第4引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置されている、
請求項
1または2に記載のテーブル装置。
【請求項6】
前記第1引力発生部と、前記第2引力発生部と、前記第3引力発生部と、前記第4引力発生部は、それぞれ、耐食層で覆われている、
請求項1から
5のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記第2基板に固定されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に、回転可能に設けられたボールと、を有する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【請求項8】
前記板状部材及び前記第2基板は、耐熱材料である、
請求項1から
7のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置、工作機械又は半導体製造装置には、真空雰囲気や特殊ガス雰囲気のプロセス室内で、テーブルをスライド移動させて位置決めするテーブル装置が用いられる。特許文献1には、ステージと、ステージの両サイドに設けられた固定子移動ユニットと、ステージと連結された移動型固定子とを有するステージ装置が開示されている。
【0003】
特許文献1では、固定子移動ユニットにコイルが配置され、移動型固定子に磁石が配置される。コイルと磁石との間に発生する引力により、固定子移動ユニットの移動に伴って移動型固定子及びステージが移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テーブル装置は、真空雰囲気や、特殊ガス雰囲気のプロセス室内や、クリーン環境等で用いられる場合がある。特許文献1において、例えば、移動機構などが設けられる第1空間と、対象物の検査を行う第2空間とが板状部材などで区切られている場合、第2空間にスライドを設置する際に、第1空間のテーブルの位置を目視することができない問題が発生する。この場合、第2空間にテーブルを正しい向きで配置したとしても、第1空間のテーブルと、第2空間のテーブルとの位置関係がずれるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、第2空間のテーブルが、第1空間のテーブルに対して正しい位置に取り付けられているか否かを容易に判断することのできるテーブル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るテーブル装置は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面側の第1空間と、前記第2面側の第2空間とを区切る板状部材と、前記板状部材の前記第1面と対向する第1基板と、前記板状部材を介して前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1空間に設けられ、前記第1基板を移動させる移動機構と、前記第2基板と前記第2面との間に設けられ、前記第2基板を移動可能に支持する支持部と、を備え、前記第1基板において、前記第1面と対向する面には、第1極性が前記第1面と対向する第1引力発生部と、前記第1極性とは異なる第2極性が前記第1面と対向する第2引力発生部とが設けられ、前記第2基板において、前記第2面と対向する面には、前記板状部材を介して前記第2極性が前記第1引力発生部と対向する第3引力発生部と、前記板状部材を介して前記第1極性が前記第2引力発生部と対向する第4引力発生部が設けられている。
【0008】
これにより、第1基板の引力発生部と、第2基板の引力発生部とが対向して正しく配置されていない場合、第2空間のテーブルが、本来の姿勢とは異なった姿勢で設置されることとなる。したがって、作業者などは、第2空間のテーブルが正しく取り付けられていないことを容易に把握することができる。
【0009】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1引力発生部と、前記第2引力発生部と、前記第3引力発生部と、前記第4引力発生部とは、それぞれ、磁石である。これにより、第1引力発生部から第4引力発生部を動作させるための駆動回路や配線などを設ける必要がなく、第1基板及び第2基板の構成を簡便にできる。
【0010】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1引力発生部と、前記第2引力発生部と、前記第3引力発生部と、前記第4引力発生部とは、2つずつ設けられており、一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とを結んで得られる四角形において、対向する辺の中点を結んだ仮想線同士の交点を第1対称点として場合、一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部とは、前記第1対称点に対して点対称に配置され、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とは、前記第1対称点に対して点対称に配置されており、一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とを結んで得られる四角形において、対向する辺の中点を結んだ仮想線同士の交点を第2対称点として場合、一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部とは、前記第2対称点に対して点対称に配置され、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とは、前記第2対称点に対して点対称に配置されている。これにより、第1基板及び第2基板のヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0011】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板及び前記第2基板は、矩形形状であり、一方の前記第1引力発生部及び他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部及び他方の前記第2引力発生部とは、それぞれ、前記第1基板において、対向する各辺の中点を結んだ線上に線対称となるように配置され、一方の前記第3引力発生部及び他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部及び他方の前記第4引力発生部とは、それぞれ、前記第2基板において、対向する各辺の中点を結んだ線上に線対称となるように配置されている。これにより、第1基板及び第2基板のヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0012】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板及び前記第2基板は、矩形形状であり、一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部とは、前記第1基板において、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とに対し、対向する各辺の中点を結んだ線に対し非線対称に配置され、一方の前記第1引力発生部及び他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部及び他方の前記第2引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置され、一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部とは、前記第2基板において、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とに対し、対向する各辺の中点を結んだ線に対し非線対称に配置され、一方の前記第3引力発生部及び他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部及び他方の前記第4引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置されている。これにより、第1基板及び第2基板のヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0013】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1基板及び前記第2基板は、矩形形状であり、一方の前記第1引力発生部と、他方の前記第1引力発生部とは、前記第1基板において、一方の前記第2引力発生部と、他方の前記第2引力発生部とに対して、対向する各辺の中点を結んだ線に対し線対称に配置され、一方の前記第1引力発生部及び他方の前記第1引力発生部と、一方の前記第2引力発生部及び他方の前記第2引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置され、一方の前記第3引力発生部と、他方の前記第3引力発生部とは、前記第2基板において、一方の前記第4引力発生部と、他方の前記第4引力発生部とに対し、対向する各辺の中点を結んだ線に対し線対称に配置され、一方の前記第3引力発生部及び他方の前記第3引力発生部と、一方の前記第4引力発生部及び他方の前記第4引力発生部とは、それぞれ、前記各辺の中点を結んだ線の交点を対称点として点対称に配置されている。これにより、第1基板及び第2基板のヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0014】
テーブル装置の望ましい態様として、前記第1引力発生部と、前記第2引力発生部と、前記第3引力発生部と、前記第4引力発生部は、それぞれ、耐食層で覆われている。これにより、耐食性を確保し、腐食性を有するガスを使用するガス滅菌を行うことができるので、テーブル装置を滅菌環境で使用することができる。
【0015】
テーブル装置の望ましい態様として、前記支持部は、前記第2基板に固定されたハウジングと、前記ハウジングの内部に、回転可能に設けられたボールと、を有する。これにより、ボールの回転により、第2基板は、第1基板の移動に伴って第2空間を移動する。また、支持部の構成が簡便であり、第2基板の構成も簡便にできる。
【0016】
テーブル装置の望ましい態様として、前記板状部材及び前記第2基板は、耐熱材料である。これによれば、板状部材及び第2基板に、高温蒸気滅菌や乾熱滅菌などにより容易に滅菌処理を施すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1空間のテーブルが、第2空間のテーブルに対して正しい位置に取り付けられているか否かを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の各実施形態に係るテーブル装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る第1基板の平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る第2基板の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態に係る引力発生部を配置する場所を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態に係る第1基板と、第2基板との姿勢がずれた様子の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の各実施形態に係る第2移動機構の一例を示す側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る第1基板の平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態に係る第2基板の平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る引力発生部を配置する場所を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る第1基板と、第2基板との姿勢がずれた様子の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施形態に係る第1基板の平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態に係る第2基板の平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施形態に係る引力発生部を配置する方法を説明するための図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3実施形態に係る第1基板と、第2基板との姿勢がずれた様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
図1は、本発明の各実施形態に係るテーブル装置の斜視図である。
図2は、
図1におけるA-A断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る第1基板の平面図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る第2実施形態に係る第2基板の平面図である。
【0021】
[第1実施形態]
図1に示すように、テーブル装置1は、筐体2と、第1テーブル3と、第2テーブル4と、第1移動機構6と、第2移動機構7とを含む。第1テーブル3、第1移動機構6及び第2移動機構7は、筐体2の内側の第1空間Pに設けられる。第2テーブル4は、筐体2の外側の第2空間Rに設けられる。第2空間Rは、特定の環境を維持し、操作対象物の位置決めや、加工、検査等を行うための空間である。第2空間Rは、作業に適した特定の環境を維持できる空間であればよい。第2空間Rは、真空、減圧、ガス置換(減圧又は陽圧)、温度の異なる空間、クリーン環境、異物環境等の様々な環境に適用可能である。例えば、テーブル装置1は、細胞等のサンプルの採取や各種検査等を行うバイオ用途に用いられる。この場合、第2空間Rはクリーン環境であり、第2空間R内の第2テーブル4は、高温蒸気滅菌や乾熱滅菌などにより滅菌処理が施される。
【0022】
筐体2は、板状部材21を含む。板状部材21は、筐体2の側面に対して垂直な方向に延出する板状の部材であり、筐体2と一体に設けられる。第1空間Pと第2空間Rとは板状部材21によって区切られている。本実施形態では、板状部材21は非磁性体であり、非磁性ステンレス等が用いられる。非磁性ステンレスとして、合金オーステナイト系ステンレス(例えばSUS316等)が挙げられる。
【0023】
なお、本実施形態において、水平面内の一方向をX方向とし、水平面内においてX方向と交差する方向をY方向とし、X方向及びY方向のそれぞれと交差する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。板状部材21は、X方向とY方向とが成す平面と平行となっている。
【0024】
図2に示すように、板状部材21は、第1面21aと、第1面21aと反対側の第2面21bとを有する。第1空間Pは、第1面21a側の空間である。第2空間Rは、第2面21b側の空間である。板状部材21によって、第1空間Pと第2空間Rとが分離されている。板状部材21は、第1空間Pと第2空間Rとを連通する孔部等が設けられていない連続した板状の部材である。板状部材21には、少なくとも第1テーブル3及び第2テーブル4の可動範囲と重なる領域で連続しており、孔部等が設けられていない。これにより、第1移動機構6及び第2移動機構7の動作により発生する異物を含む気体が、第1空間Pから第2空間Rに流入することを抑制できる。したがって、第2空間Rの環境を維持することができる。
【0025】
第1テーブル3は、第1基板31と、第1引力発生部32と、第1支持部34と、を含む。第1基板31は、第1主面31aと、第1主面31aと反対側の第2主面31bとを有する板状の部材である。第1基板31の第1主面31aは、板状部材21の第1面21aと離隔して対向する。第1基板31の第2主面31bは、第2移動機構7の連結部77と連結される。第1基板31は、第1移動機構6及び第2移動機構7の動作により、板状部材21の第1面21aと平行な面内を移動する。
【0026】
第1引力発生部32と、第1支持部34とは、第1基板31の第1主面31aに設けられる。言い換えると、第1引力発生部32と、第1支持部34とは、第1基板31と板状部材21との間に設けられる。本実施形態において、第1引力発生部32は、例えば、磁石であり、例えば耐熱ネオジム磁石やコバルト磁石を用いることができる。耐熱ネオジム磁石の耐熱温度は、150℃程度である。コバルト磁石の耐熱温度は200℃程度である。第1引力発生部32は、S極が第1主面31aに接している。具体的には後述するが、
図3に示すように、第1主面31aには、第1引力発生部32の他に、N極が第1主面31aに接している第2引力発生部33が配置されている。
【0027】
第1支持部34は、ハウジング341と、ボール342とを含む。ハウジング341は第1基板31に固定される。ボール342は、ハウジング341の凹部内に回転可能に設けられている。ボール342は、板状部材21の第1面21aと接している。第1支持部34は、例えば、ボールローラであり、ボール342の回転により、第1基板31は、板状部材21の第1面21aに沿って自由に移動可能になっている。第1支持部34が設けられているため、第1引力発生部32が板状部材21に接触することを抑制でき、第1基板31がスムーズに移動できる。
【0028】
図3に示すように、第1基板31は、平面視で矩形状である。なお、
図3は、第1基板31の第1主面31a側から見たときの平面図である。第1基板31は、第1側面31c、第2側面31d、第3側面31e及び第4側面31fを有する。第1側面31c、第2側面31d、第3側面31e及び第4側面31fは、第1主面31aと第2主面31bとの間の面である。第1側面31cは、第2側面31dと対向する。第3側面31eは、第1側面31cと第2側面31dとの間の面であり、第4側面31fと対向する。
【0029】
第1支持部34は、第1基板31の第1主面31aの4隅のそれぞれに設けられる。第1基板31の第1主面31aには、2つの第1引力発生部321、322と、2つの第2引力発生部331、332とが設けられる。この場合、第1引力発生部321、322はS極が第1主面31aに接しており、第2引力発生部331、332はN極が第1主面31aに接している。ここで、第3側面31eのX方向の中点と、第4側面31fのX方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B1とする。第1側面31cのY方向の中点と、第2側面31dのY方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B2とする。第1引力発生部321、322は、仮想線B1と重なる位置であって、第1主面31aの外縁に設けられる。また、第2引力発生部331、332は、仮想線B2と重なる位置であって、第1主面31aの外縁に設けられる。なお、各引力発生部の引力と、板状部材21の剛性とが適切に設定されていれば、第1支持部34は、必ずしも設ける必要はない。
【0030】
図2に示すように、第2テーブル4は、第2基板41と、第3引力発生部42と、第2支持部44と、を含む。第2基板41は、第3主面41aと、第3主面41aと反対側の第4主面41bとを有する板状の部材である。第2基板41の第4主面41bは、板状部材21の第2面21bと離隔して対向する。つまり、第2基板41は、板状部材21を介して第1基板31と対向する。第2基板41の第3主面41aは、操作対象物が載置される面である。
【0031】
第3引力発生部42と、第2支持部44とは、第2基板41の第4主面41bに設けられる。言い換えると、第3引力発生部42と、第2支持部44とは、第2基板41と板状部材21との間に設けられる。本実施形態において、第3引力発生部42は、磁石であり、例えば耐熱ネオジム磁石やコバルト磁石を用いることができる。耐熱ネオジム磁石の耐熱温度は、150℃程度である。コバルト磁石の耐熱温度は200℃程度である。第3引力発生部42は、N極が第4主面41bに接している。具体的には後述するが、
図4に示すように、第4主面41bには、第3引力発生部42の他に、S極が第4主面41bに接している第4引力発生部43が配置されている。
【0032】
第3引力発生部42は、板状部材21を介して第1引力発生部32と対向する。すなわち、第3引力発生部42は、Z方向から見たときに、第1引力発生部32と重なる位置に配置される。第3引力発生部42は第1引力発生部32と異なる極が対向するように配置される。
図2に示す例では、第3引力発生部42のS極と、第1引力発生部32のN極が対向する。これにより、第1引力発生部32と第3引力発生部42との間には、引力F1が発生する。すなわち、第2基板41には、第1基板31に向かう方向の引力F1が作用する。これにより、第2基板41は、第1基板31の移動に追従して、板状部材21の第2面21bに沿って移動可能となっている。また、
図3及び
図4から明らかなように、第4引力発生部43は、板状部材を介して第2引力発生部33と対向する。すなわち、第4引力発生部43は、Z方向から見たときに、第2引力発生部33と重なる位置に配置される。これにより、第2引力発生部33と第4引力発生部43との間には、引力が発生する。
【0033】
第2支持部44は、ハウジング441と、ボール442とを含む。第2支持部44は、第1支持部34と同様の構成であり、例えば、ボールローラである。第2支持部44は、第2基板41を、板状部材21の第1面21aに沿って自由に移動可能に支持する。また、第2支持部44が設けられているため、第3引力発生部42が板状部材21に接触することを抑制できる。このため、第2基板41は、第1基板31の移動に追従してスムーズに移動できる。
【0034】
図4に示すように、第2基板41は、平面視で矩形状である。なお、
図4は、第2基板41の第4主面41b側から見たときの平面図であり、
図2から明らかなように、第2テーブル4が取り付けられたときは、
図4をひっくり返した状態で
図3に示す第1基板31と対向する。第2基板41は、第5側面41c、第6側面41d、第7側面41e及び第8側面41fを有する。第5側面41c、第6側面41d、第7側面41e及び第8側面41fは、第3主面41aと第4主面41bとの間の面である。第5側面41cは、第6側面41dと対向する。第7側面41eは、第5側面41cと第6側面41dとの間の面であり、第8側面41fと対向する。
【0035】
第2支持部44の配置は、
図3に示す第1支持部34の配置と同様である。すなわち、第2支持部44は、第2基板41の第4主面41bの4隅のそれぞれに設けられる。これにより、4つの第2支持部44は、それぞれ、第1支持部34と重なる位置に設けられる。
【0036】
第2基板41の第4主面41bには、2つの第3引力発生部421、422と、2つの第4引力発生部431、432とが設けられる。この場合、第3引力発生部421、422はN極が第4主面41bに接しており、第4引力発生部431、432はS極が第4主面41bに接している。ここで、第7側面41eのX方向の中点と、第8側面41fのX方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B3とする。第5側面41cのY方向の中点と、第6側面41dのY方向の中点とを結ぶ仮想線を仮想線B4とする。第3引力発生部421、422は、仮想線B3と重なる位置であって、第4主面41bの外縁に設けられる。また、第4引力発生部431、432は、仮想線B4と重なる位置であって、第4主面41bの外縁に設けられる。すなわち、第3引力発生部421、422は、それぞれ、
図3に図示の第1引力発生部321、322と重なる位置に設けられる。そして、第4引力発生部431、432は、それぞれ、
図3に図示の第2引力発生部331、332と重なる位置に設けられる。
【0037】
図5を用いて、第1テーブル3に各引力発生部を配置する方法を、より具体的に説明する。
図5は、第1テーブル3に各引力発生部を配置する方法を説明するための図である。なお、第2テーブル4に各引力発生部を配置する方法については、第1テーブル3の場合と同様なので、説明は省略する。
【0038】
図5に示すように、第2引力発生部331と、第1引力発生部321とを結ぶ仮想線の中点をP1とする。第1引力発生部321と、第2引力発生部332とを結ぶ仮想線の交点をP2とする。第2引力発生部332と、第1引力発生部322とを結ぶ仮想線の中点をP3とする。第1引力発生部322と、第2引力発生部331とを結ぶ仮想線の中点をP4とする。そして、点P1と点P3とを結ぶ仮想線と、点P2と点P4とを結ぶ仮想線との交点を対称点S1とする。
【0039】
この場合、第1実施形態では、第1引力発生部321と、第1引力発生部322とを、対称点S1に対し、点対称となるように配置する。また、第1実施形態では、第2引力発生部331と、第2引力発生部332とは、対称点S1に対し、点対称となるように配置する。
【0040】
第1実施形態では、上述のとおり各引力発生部を配置することによって、第1テーブル3及び第2テーブル4のヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0041】
図6は、第2テーブル4が正しく設置されなかった場合の様子の一例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態では、第2テーブル4が正しく設置されなかった場合、例えば、第2引力発生部331と、第4引力発生部431が重なっていても、第3引力発生部422と、第1引力発生部321とが重なっている。この場合、第2テーブル4は、正常に取り付けられた場合とは、異なる姿勢で取り付けられることとなる。これにより、本実施形態では、作業者などは、第2テーブル4が正しく設置されていないことを、目視のみで容易に把握することができる。
【0042】
再び
図1を参照する。筐体2のうち、少なくとも板状部材21は、耐熱性及び耐食性に優れた材料が用いられる。これにより、板状部材21も容易に滅菌処理を施すことができる。第2テーブル4及び筐体2は、テーブル装置1から容易に取り外すことができる。このため、第2テーブル4及び筐体2を、テーブル装置1から取り外して高温蒸気滅菌装置や乾熱滅菌装置に入れることで滅菌を行うことができる。この場合、板状部材21を含む筐体2の全体に耐熱性及び耐食性に優れた材料が用いられる。また、第1空間Pと第2空間Rとが筐体2によって分離されているため、例えばガスを注入して第2空間Rのみ滅菌することができる。
【0043】
図1に示す第1移動機構6及び第2移動機構7は、XYステージである。第1移動機構6と第2移動機構7とは、同様の構成を有する。以下の説明については、第2移動機構7を例に挙げる。第2移動機構7の説明は、第1移動機構6の説明にも適用できる。
【0044】
図7は、第2移動機構7の構成の一例を示す側面図である。
図7に示すように、第2移動機構7は、モータ71と、ボールねじ73と、ナット76と、筐体74とを含むボールねじ機構である。第2移動機構7は、モータ71から伝達された回転駆動力を、ボールねじ73の軸方向に沿った方向の運動に変換して第1基板31に伝達する駆動伝達部である。
【0045】
ボールねじ73と、ナット76とは、筐体74の内部に組み込まれる。ボールねじ73は、ナット76を貫通する。ボールねじ73は、筐体74に回転可能に支持されており、ボールねじ73の一端側は、シャフト72を介してモータ71と連結される。これにより、モータ71の出力が、ボールねじ73に伝達され、ボールねじ73が回転可能になっている。
【0046】
ナット76は、ガイドレール75に沿った方向に移動可能に設けられる。また、ナット76は、ガイドレール75に組み込まれることにより、回転が規制される。これにより、ナット76は、ボールねじ73の回転により軸方向に移動する。ナット76は、ボールねじ73の回転方向に応じて移動方向が切り換えられる。
【0047】
連結部77は、ナット76と第1基板31とを連結する部材であり、ナット76の移動とともに軸方向に移動可能となっている。連結部77の厚さや平面形状を適宜変更することで、第1基板31の平面形状や高さ位置を変更する場合であっても、第1基板31とナット76とを良好に連結できる。
【0048】
以上のような構成により、第2移動機構7は、モータ71の回転駆動がボールねじ73に伝達されると、ナット76とともに第1基板31が軸方向に移動する。
図1に示すように、第1移動機構6には第2移動機構7が移動可能に固定されている。第1移動機構6の動作により、第2移動機構7及び第1テーブル3はX方向に移動可能となっている。第2移動機構7の動作により、第1テーブル3はY方向に移動可能となっている。このようにして、第1テーブル3は、板状部材21と平行な平面を移動できる。
【0049】
第1移動機構6及び第2移動機構7の構成はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。第1移動機構6及び第2移動機構7は、第1基板31を含む第1テーブル3を移動させることができる構成であればよい。第1移動機構6及び第2移動機構7としては、この他、種々の移動機構を用いることができ、例えば、リニアモータを用いる移動機構等も用いることができる。
【0050】
[第2実施形態]
図8と、
図9とを用いて、本発明の第2実施形態に係る各引力発生部の配置について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る第1基板の平面図である。
図9は、本発明の第2実施形態に係る第2基板の平面図である。なお、第2実施形態の各引力発生部配置以外の構造は、第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0051】
図8に示すように、第2実施形態では、第1テーブル3Aの第1基板31Aにおいて、仮想線B1と、仮想線B2との交点を対称点S2とする。この場合、第2実施形態では、第1引力発生部321Aと、第1引力発生部322Aとは、対称点S2に対し、点対称に配置される。第1引力発生部321Aと、第2引力発生部331Aとは、仮想線B2に対し、非線対称に配置される。第1引力発生部321Aと、第2引力発生部332Aとは、仮想線B1に対し、非線対称に配置される。
【0052】
第1引力発生部322Aと、第2引力発生部331Aとは、仮想線B1に対し、非線対称に配置される。第1引力発生部322Aと、第2引力発生部332Aとは、仮想線B2に対し、非線対称に配置される。
【0053】
第2引力発生部331Aと、第2引力発生部332Aとは、対称点S2に対し、点対称に配置される。すなわち、第2実施形態では、各引力発生部は、第2引力発生部331A、第1引力発生部321A、第2引力発生部332A、第1引力発生部322A、第2引力発生部331Aの順に結ぶ線が平行四辺形となるように配置される。
【0054】
図9に示すように、第2テーブル4Aの第2基板41Aにおいて、第2実施形態では、仮想線B3と、仮想線B4との交点を対称点S3とする。この場合、第2実施形態では、第3引力発生部421Aと、第3引力発生部422Aとは、対称点S3に対し、点対称に配置される。第3引力発生部421Aと、第4引力発生部431Aとは、仮想線B4に対し、非線対称に配置される。第3引力発生部421Aと、第4引力発生部432Aとは、仮想線B3に対し、非線対称に配置される。
【0055】
第3引力発生部422Aと、第4引力発生部431Aとは、仮想線B3に対し、非線対称に配置される。第3引力発生部422Aと、第4引力発生部432Aとは、仮想線B4に対し、非線対称に配置される。
【0056】
第4引力発生部431Aと、第4引力発生部432Aとは、対称点S3に対し、点対称に配置される。すなわち、第2実施形態では、第4引力発生部431A、第3引力発生部421A、第4引力発生部432A、第3引力発生部422A、第4引力発生部431Aの順に結ぶ線が平行四辺形となるように配置する。
【0057】
図10を用いて、第1テーブル3Aに各引力発生部を配置する方法を、より具体的に説明する。
図10は、第1テーブル3Aに各引力発生部を配置する方法を説明するための図である。なお、第2テーブル4Aに各引力発生部を配置する方法については、第1テーブル3Aの場合と同様なので、説明は省略する。
【0058】
図10に示すように、第2引力発生部331Aと、第1引力発生部321Aとを結ぶ仮想線の中点をP1とする。第1引力発生部321Aと、第2引力発生部332Aとを結ぶ仮想線の交点をP2とする。第2引力発生部332Aと、第1引力発生部322Aとを結ぶ仮想線の中点をP3とする。第1引力発生部322Aと、第2引力発生部331Aとを結ぶ仮想線の中点をP4とする。そして、点P1と点P3とを結ぶ仮想線と、点P2と点P4とを結ぶ仮想線との交点を対称点S4とする。
【0059】
この場合、第2実施形態では、第1引力発生部321Aと、第1引力発生部322Aとを、対称点S4に対し、点対称となるように配置する。また、第2実施形態では、第2引力発生部331Aと、第2引力発生部332Aとを、対称点S4に対し、点対称となるように配置する。
【0060】
第2実施形態では、上述のとおり各引力発生部を配置することによって、第1テーブル3A及び第2テーブル4Aのヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0061】
図11は、第2テーブル4Aが正しく設置されなかった場合の様子の一例を示す図である。
図11に示すように、第2実施形態では、例えば、第1引力発生部321Aと、第3引力発生部421Aとが正しく重なっていたとしても、第2テーブル4Aが正常に取り付けられた場合とは、異なる姿勢で取り付けられることがある。これにより、本実施形態では、作業者などは、第2テーブル4Aが正しく設置されていないことを、目視のみで容易に把握することができる。
【0062】
[第3実施形態]
図12と、
図13とを用いて、本発明の第3実施形態に係る各引力発生部の配置について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態に係る第1基板の平面図である。
図13は、本発明の第3実施形態に係る第2基板の平面図である。なお、第3実施形態の各引力発生部配置以外の構造は、第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0063】
図12に示すように、第1テーブル3Bの第1基板31Bにおいて、第3実施形態では、仮想線B1と、仮想線B2との交点を対称点S5とする。
【0064】
第3実施形態では、第1引力発生部321Bと、第1引力発生部322Bとは、対称点S5に対し、点対称に配置される。第1引力発生部321Bと、第2引力発生部331Bとは、仮想線B2に対し、線対称に配置される。第1引力発生部321Bと、第2引力発生部332Bとは、仮想線B1に対し、線対称に配置される。
【0065】
第1引力発生部322Bと、第2引力発生部331Bとは、仮想線B1に対し、線対称となるように配置される。第1引力発生部322Bと、第2引力発生部332Bとは、仮想線B2に対し、線対称となるように配置される。
【0066】
第2引力発生部331Bと、第2引力発生部332Bとは、対称点S5に対し、点対称に配置される。
【0067】
図13に示すように、第2テーブル4Bの第2基板41Bにおいて、第3実施形態では、仮想線B3と、仮想線B4との交点を対称点S6とする。
【0068】
第3実施形態では、第3引力発生部421Bと、第3引力発生部422Bとは、対称点S6に対し、点対称に配置される。第3引力発生部421Bと、第4引力発生部431Bとは、仮想線B4に対し、線対称に配置される。第3引力発生部421Bと、第4引力発生部432Bとは、仮想線B3に対し、線対称に配置される。
【0069】
第3引力発生部422Bと、第4引力発生部431Bとは、仮想線B3に対し、線対称に配置される。第3引力発生部422Bと、第4引力発生部432Bとは仮想線B4に対し、線対称に配置される。
【0070】
第4引力発生部431Bと、第4引力発生部432Bとは、対称点S6に対し、点対称に配置される。
【0071】
図14を用いて、第1テーブル3Bに各引力発生部を配置する方法を、より具体的に説明する。
図14は、第1テーブル3Bに各引力発生部を配置する方法を説明するための図である。なお、第2テーブル4Bに各引力発生部を配置する方法については、第1テーブル3Bの場合と同様なので、説明は省略する。
【0072】
図14に示すように、第2引力発生部331Bと、第1引力発生部321Bとを結ぶ仮想線の中点をP1とする。第1引力発生部321Bと、第2引力発生部332Bとを結ぶ仮想線の交点をP2とする。第2引力発生部332Bと、第1引力発生部322Bとを結ぶ仮想線の中点をP3とする。第1引力発生部322Bと、第2引力発生部331Bとを結ぶ仮想線の中点をP4とする。そして、点P1と点P3とを結ぶ仮想線と、点P2と点P4とを結ぶ仮想線との交点を対称点S7とする。
【0073】
この場合、第3実施形態では、第1引力発生部321Bと、第1引力発生部322Bとを、対称点S7に対し、点対称となるように配置する。また、第3実施形態では、第2引力発生部331Bと、第2引力発生部332Bとを、対称点S7に対し、点対称となるように配置する。
【0074】
第3実施形態では、上述のように各引力発生部を配置することによって、第1テーブル3B及び第2テーブル4Bのヨーイング方向のモーメント剛性を確保することができる。
【0075】
図15は、第2テーブル4Bが正しく設置されなかった場合の様子の一例を示す図である。
図15に示すように、本実施形態では、例えば、第1引力発生部321Bと、第3引力発生部421Bとが正しく重なっていたとしても、第2テーブル4Bが正常に取り付けられた場合とは、異なる姿勢で取り付けられることがある。これにより、本実施形態では、作業者などは、第2テーブル4Bが正しく設置されていないことを、目視のみで容易に把握することができる。
【0076】
上述の本発明の各実施形態では、各引力発生部には、腐食を防止するために耐食層で覆われていることが好ましい。例えば、各引力発生部は、フッ素でコーティングされていることが好ましい。また、各実施形態の第1支持部34及び第2支持部44は、例えば、ステンレス製の材料から構成されており、その表面にはフッ素油焼付け膜を形成する処理が施されていることが好ましい。その他の部材には、オーステナイト系のステンレス(SUS304、SUS316など)を用いることが好ましい。これにより、耐食性を確保し、腐食性を有するガスを使用するガス滅菌処理を施すことができる。したがって、各実施形態において、テーブル装置1を滅菌環境で使用することができる。各実施形態において、耐食性とは、例えば、生理食塩水や、腐食性を有するガスへの耐性を示す。耐食性の強さは、テーブル装置1を使用する目的に応じて、適宜設定可能である。テーブル装置1を構成する各部材に耐食性を付与するために、PEEK(Poly Ether Ether Ketone:ポリエーテルエーテルケトン)や、フッ素樹脂などの高い耐食性を有する樹脂を使用してもよい。また、各部材は、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)などの鋼にフッ素油焼付け膜を形成する処理を施した構成としてもよい。
【0077】
また、上述したとおり、本発明の各実施形態では、各引力発生部は磁石である。このため、各引力発生部を駆動させるための駆動回路や配線を設ける必要がなく、第1基板31及び第2基板41の構成を簡便にできる。つまり、第2空間Rには、第2基板41を移動させるための移動機構、駆動回路、配線等を設ける必要がない。また、各引力発生部に耐熱ネオジム磁石を用いる場合には、耐熱温度は150℃程度ある。そして、第2基板41と、第3引力発生部421と、422と、第4引力発生部431、432と、第2支持部44とに耐熱性に優れた材料が用いられる。このため、テーブル装置1を、例えば、バイオ用途などのクリーン環境で使用する場合、第2テーブル4を高温蒸気滅菌や乾熱滅菌などにより容易に滅菌処理を施すことができる。
【0078】
なお、各実施形態において、各引力発生部は磁石であるが、これに限定されない。例えば、各引力発生部は、コイルとヨークとを含む構成であってもよい。この場合、コイルに流れる電流を変化させることで、各引力発生部とそれに対抗する引力発生部との間に引力を発生させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 テーブル装置
2 筐体
21 板状部材
21a 第1面
21b 第2面
3,3A,3B 第1テーブル
31,31A,31B 第1基板
31a 第1主面
31b 第2主面
32,321,322,321A,322A,321B,322B 第1引力発生部
33,331,332,331A,332A,331B,332B 第2引力発生部
34 第1支持部
4,4A 4B 第2テーブル
41,41A,41B 第2基板
41a 第3主面
41b 第4主面
42,421,422,421A,422A,421B,422B 第3引力発生部
43,431,432,431A,432A,431B,432B 第4引力発生部
44 第2支持部
6 第1移動機構
7 第2移動機構
77 連結部
P 第1空間
R 第2空間