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特許7196464繊維強化熱可塑性樹脂基材およびそれを用いた成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】繊維強化熱可塑性樹脂基材およびそれを用いた成形品
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
C08J5/04 CEZ
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018157280
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2020029534
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】越 政之
(72)【発明者】
【氏名】大内山 直也
(72)【発明者】
【氏名】大目 裕千
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-117865(JP,A)
【文献】特開2016-188290(JP,A)
【文献】特開2010-274560(JP,A)
【文献】特開2011-162767(JP,A)
【文献】国際公開第2013/008720(WO,A1)
【文献】特開平11-245945(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061597(WO,A1)
【文献】特開2016-147964(JP,A)
【文献】国際公開第2018/124215(WO,A1)
【文献】特開2012-246442(JP,A)
【文献】特表2014-529536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29B 11/16;15/08-15/14
C08J 5/04-5/10;5/24
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸した繊維強化熱可塑性樹脂基材であって、前記強化繊維に含浸させた熱可塑性樹脂(A)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂(B)からなる表層が形成され、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方が、構造周期が0.001~10μmの両相連続構造、または粒子径0.001~10μmの島相と海相からなる海島構造を形成するポリマーアロイである繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項2】
熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)のいずれか一方がポリマーアロイであり、もう一方が前記ポリマーアロイと同種の熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂(B)がポリマーアロイである請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、液晶ポリマー(LCP)から選ばれる少なくとも2種以上の樹脂を組合せたポリマーアロイを含む請求項1~3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂(A)がポリマーアロイである請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項6】
熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン樹脂(PEKK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)から選ばれる樹脂を含む請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項7】
前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1~のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
【請求項8】
ボイド率が2%以下である、請求項1~のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂基材およびそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
連続した強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させてなる繊維強化熱可塑性樹脂基材は、比強度、比剛性に優れ、軽量化効果が高い上に、耐熱性、耐薬品性が高いため、航空機、自動車等の輸送機器や、スポーツ、電気・電子部品などの各種用途へ好ましく用いられている。近年、軽量化に対する需要の高まりにより、航空機、自動車用途を中心に、金属部品から樹脂部品への代替や、部品の小型化、モジュール化が進みつつあることから、より成形性および機械特性に優れる材料開発が求められている。
【0003】
例えば、成形性および機械特性に優れた構造材用複合材料として、特許文献1にはプリプレグの内層部は、直鎖状または分岐状の高分子構造を有する、融点のより高い熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂と、強化繊維から構成し、表面部位には融点のより低い熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂プリプレグが提案されている。この熱可塑性樹脂プリプレグは、プリプレグの内層部は、直鎖状または分岐状の高分子構造を有する、融点のより高い熱可塑性樹脂と強化繊維からなるため、成形後には、通常のFRP(繊維強化プラスチック)と同等の高い機械特性を発現でき、表層部は低融点の熱可塑性樹脂から構成されるため、プリプレグ同士を重ね合わせて積層したプレス成形や、プリプレグをインサートした射出成形、射出プレス成形等において、基材間の優れた接着性が得られるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2013-008720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、表層に低融点の熱可塑性樹脂が使われており、接着性は向上するものの層間の強度は変わらず、また、耐熱性の低下が懸念される。
【0006】
そこで本発明の課題は、連続した強化繊維に熱可塑性樹脂(A)を含浸した繊維強化熱可塑性樹脂の表面に熱可塑性樹脂(B)が形成される繊維強化熱可塑性樹脂基材に関して、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が強固に接着し、高い機械特性、接着性および耐熱性を有する繊維強化熱可塑性樹脂基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、主として、以下の構成を有する。
[1]連続した強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸した繊維強化熱可塑性樹脂基材であって、前記強化繊維に含浸させた熱可塑性樹脂(A)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂(B)からなる表層が形成され、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方が、構造周期が0.001~10μmの両相連続構造、または粒子径0.001~10μmの島相と海相からなる海島構造を形成するポリマーアロイである繊維強化熱可塑性樹脂基材。
[2]熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)のいずれか一方がポリマーアロイであり、もう一方が前記ポリマーアロイと同種の熱可塑性樹脂を含む[1]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
[3]前記熱可塑性樹脂(B)がポリマーアロイである[1]または[2]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
[4]前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)から選ばれる少なくとも2種以上の樹脂を組合せたポリマーアロイを含む[1]~[3]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
[5]前記熱可塑性樹脂(A)がポリマーアロイである[1]または[2]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
[6]熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)から選ばれる樹脂を含む[1]~[5]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
]前記強化繊維が炭素繊維である、[1]~[]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材。
]ボイド率が2%以下である、[1]~[]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂基材
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が強固に一体化した高い機械特性、接着性および耐熱性に優れる繊維強化熱可塑性樹脂基材が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明について、実施形態とともに詳細に説明する。
【0010】
本発明に係る繊維強化熱可塑樹脂基材は、連続した強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸した繊維強化熱可塑性樹脂基材であって、強化繊維に含浸させた熱可塑性樹脂(A)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂(B)からなる表層が形成され、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方がポリマーアロイである繊維強化熱可塑性樹脂基材である。
【0011】
本発明において、連続した強化繊維とは、繊維強化熱可塑熱可塑性樹脂基材中で当該強化繊維が途切れのないものをいう。本発明における強化繊維の形態および配列としては、例えば、一方向に引き揃えられたもの、織物(クロス)、編み物、組み紐、トウ等が挙げられる。中でも、特定方向の機械特性を効率よく高められることから、強化繊維が一方向に配列してなることが好ましい。
【0012】
強化繊維の種類としては特に限定されず、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、無機繊維が例示される。これらを2種以上用いてもよい。強化繊維に炭素繊維を用いることで、軽量でありながら高い機械特性を有する繊維強化熱可塑熱可塑性樹脂基材が得られる。
【0013】
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石油タールや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、ビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とするセルロース系炭素繊維、炭化水素などを原料とする気相成長系炭素繊維、これらの黒鉛化繊維などが挙げられる。これら炭素繊維のうち、強度と弾性率のバランスに優れる点で、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。
【0014】
金属繊維としては、例えば、鉄、金、銀、銅、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属からなる繊維が挙げられる。
【0015】
有機繊維としては、例えば、アラミド、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンなどの有機材料からなる繊維が挙げられる。アラミド繊維としては、例えば、強度や弾性率に優れるパラ系アラミド繊維と、難燃性、長期耐熱性に優れるメタ系アラミド繊維が挙げられる。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維などが挙げられ、メタ系アラミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維などが挙げられる。アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維に比べて弾性率の高いパラ系アラミド繊維が好ましく用いられる。
【0016】
無機繊維としては、例えば、ガラス、バサルト、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機材料からなる繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス繊維(電気用)、Cガラス繊維(耐食用)、Sガラス繊維、Tガラス繊維(高強度、高弾性率)などが挙げられる。バサルト繊維は、鉱物である玄武岩を繊維化した物で、耐熱性の非常に高い繊維である。玄武岩は、一般的に、鉄の化合物であるFeOまたはFeOを9~25重量%、チタンの化合物であるTiOまたはTiOを1~6重量%含有するが、溶融状態でこれらの成分を増量して繊維化することも可能である。
【0017】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、補強材としての役目を期待されることが多いため、高い機械特性を発現することが望ましく、高い機械特性を発現するためには、強化繊維として炭素繊維を含むことが好ましい。
【0018】
繊維強化熱可塑性樹脂基材において、強化繊維は、通常、多数本の単繊維を束ねた強化繊維束を1本または複数本並べて構成される。1本または複数本の強化繊維束を並べたときの強化繊維の総フィラメント数(単繊維の本数)は、1,000~2,000,000本が好ましい。生産性の観点からは、強化繊維の総フィラメント数は、1,000~1,000,000本がより好ましく、1,000~600,000本がさらに好ましく、1,000~300,000本が特に好ましい。強化繊維の総フィラメント数の上限は、分散性や取り扱い性とのバランスも考慮して、生産性と分散性、取り扱い性を良好に保てるように決められればよい。
【0019】
1本の強化繊維束は、好ましくは平均直径5~10μmである強化繊維の単繊維を1,000~50,000本束ねて構成されたものである。
【0020】
本発明に使用される熱可塑性樹脂(A)としては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリアリーレンエーテルケトン(PAEK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑エラストマー等やこれらの共重合体、変性体、および2種以上ブレンドした樹脂などであってもよい。前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)としては、例えば、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテエーテルルケトンエーテルケトン(PEEKEK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、及びポリエーテルジフェニルエーテルケトン(PEDEK)等やこれらの共重合体、変性体、および2種以上ブレンドした樹脂などであってもよい。とりわけ、機械特性および耐熱性の観点からポリマーアロイがポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)から選ばれる樹脂が好ましく、前記樹脂を2種以上組合せたポリマーアロイがさらに好ましい。
【0021】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、連続した強化繊維に前述の熱可塑性樹脂が含浸した繊維強化熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂(B)からなる表面層を形成することが重要である。
【0022】
本発明に使用される熱可塑性樹脂(B)としては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑エラストマー等やこれらの共重合体、変性体、および2種以上ブレンドした樹脂などであってもよい。前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)としては、例えば、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテエーテルルケトンエーテルケトン(PEEKEK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、及びポリエーテルジフェニルエーテルケトン(PEDEK)等やこれらの共重合体、変性体、および2種以上ブレンドした樹脂などであってもよい。とりわけ、機械特性および耐熱性の観点からポリマーアロイがポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)から選ばれる樹脂が好ましく、前記樹脂を2種以上組合せたポリマーアロイがさらに好ましい。
【0023】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)のいずれか一方がポリマーアロイである必要がある。熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)のいずれか一方をポリマーアロイとすることにより、含浸性、機械特性、接着性を改善できる。例えば、熱可塑性樹脂(A)を高い機械特性を有するが高粘度の熱可塑性樹脂と低粘度の熱可塑性樹脂からなるポリマーアロイとすることで、高い機械特性と含浸性を両立できる。また、熱可塑性樹脂(B)を靭性の高い樹脂を組み合わせたポリマーアロイとすることで、繊維強化熱可塑性樹脂基材を積層した際の層間強度が向上する。含浸性と機械特性が両立できることから、熱可塑性樹脂(B)がポリマーアロイであることが好ましく、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の両方がポリマーアロイであることがさらに好ましい。
【0024】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、熱可塑性樹脂(A)または熱可塑性樹脂(B)のいずれか一方がポリマーアロイである場合、もう一方がポリマーアロイと同種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ポリマーアロイと同種の熱可塑性樹脂を含むことにより、接着面で互いに溶融し、一体化することから強固な接着が可能となる。
【0025】
本発明の熱可塑性樹脂(A)または熱可塑性樹脂(B)を構成するポリマーアロイは、繊維強化熱可塑性樹脂基材中で、前記ポリマーアロイが、構造周期0.001~10μmの両相連続構造、または前記ポリマーアロイが粒子径0.001~10μmの島相と海相からなる海島構造を形成することが好ましい。0.001μm~10μmの範囲の両相連続構造、または粒子径0.001~1μmの範囲の島相と海相からなる海島構造に制御することにより、高い機械特性および耐熱性を発現できる。0.01μm~5μmの範囲の両相連続構造、または粒子径0.01~5μmの範囲の島相と海相からなる海島構造を形成することがより好ましく、0.1μm~1μmの範囲の両相連続構造、または粒子径0.05~1μmの範囲がさらに好ましい。
【0026】
またこれらの両相連続構造、もしくは分散構造を確認するためには、規則的な周期構造が確認されることが重要である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、小角X線散乱装置または光散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が必要である。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λm(nm)は、両相連続構造の場合、構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ(nm)、散乱極大を与える散乱角θm(deg°)を用いて次式
Λm=(λ/2)/sin(θm/2)により計算することができる。
【0027】
また、両相連続構造における構造周期または分散構造における粒子間距離のサイズが上記の範囲にあっても、一部構造的に粗大な部分などがあると、例えば衝撃を受けた際そこを起点として破壊が進行するなど、本来のポリマーアロイの特性が得られないことがある。したがって、ポリマーアロイの両相連続構造における構造周期または分散構造における粒子間距離の均一性が重要となる。この均一性は、上述のポリマーアロイの小角X線散乱測定または、光散乱測定により評価することが可能である。小角X線散乱測定と光散乱測定では、分析可能な相分離構造サイズが異なるので、分析するポリマーアロイの相分離構造サイズに応じて適宜使い分ける必要がある。小角X線散乱測定および光散乱測定は両相連続構造における構造周期または分散構造における粒子間距離のサイズに加え、その分布に関する情報が得られる。具体的には、それら測定で得られるスペクトルにおける散乱極大のピーク位置、すなわち散乱角θm(deg°)が両相連続構造における構造周期または分散構造おける粒子間距離のサイズに対応し、そのピークの拡がり方が、構造の均一性に対応する。優れた機械特性等の物理特性を得るためには、構造均一性が高い方が好ましく、本発明におけるポリマーアロイは小角X線散乱測定または光散乱測定により得られた散乱スペクトルが極大値を有することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、前述の熱可塑樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)に、必要に応じて、さらに、充填材、各種添加剤などを含有してもよい。
【0029】
充填材としては、一般に樹脂用フィラーとして用いられる任意のものを用いることができ、繊維強化熱可塑熱可塑性樹脂基材やそれを用いた成形品の強度、剛性、耐熱性、寸法安定性をより向上させることができる。充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状無機充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、タルク、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、アルミノシリケート、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどの非繊維状無機充填材などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これら充填材は中空であってもよい。また、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理されていてもよい。また、モンモリロナイトとして、有機アンモニウム塩で層間イオンをカチオン交換した有機化モンモリロナイトを用いてもよい。なお、繊維状充填材は、不連続繊維からなるものであれば、連続繊維からなる強化繊維の補強効果を損なうことなく機能を付与できる。
【0030】
各種添加剤としては、例えば、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、可塑剤(p-オキシ安息香酸オクチル、N-ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
【0031】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、連続した強化繊維に熱可塑性樹脂(A)を含浸させ、熱可塑性樹脂(B)からなる表面層を形成することにより得ることができる。
【0032】
熱可塑性樹脂(A)の含浸方法としては、例えば、フィルム状の熱可塑性樹脂を溶融し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させるフィルム法、繊維状の熱可塑性樹脂と強化繊維束とを混紡した後、繊維状の熱可塑性樹脂を溶融し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させるコミングル法、粉末状の熱可塑性樹脂を強化繊維束における繊維の隙間に分散させた後、粉末状の熱可塑性樹脂を溶融し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる粉末法、溶融した熱可塑性樹脂中に強化繊維束を浸し、加圧することで強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる引き抜き法が挙げられる。様々な厚み、繊維体積含有率など多品種の繊維強化熱可塑性樹脂基材を作製できることから、引き抜き法が好ましい。
【0033】
熱可塑性樹脂(B)の形成方法としては、例えば、フィルムもしくは不織布状の熱可塑性樹脂を繊維強化熱可塑性樹脂表面に積層し加熱、加圧することで繊維強化熱可塑性樹脂に接着させるフィルム法、溶融した樹脂を繊維強化熱可塑性樹脂基材の表面にエアを用いて吹き付けるスプレーコーティング法、Tダイより熱可塑性樹脂を繊維強化熱可塑性樹脂基材の表面上にカーテン状に押し出して基材表面に接着させるカーティンコーティング法、熱可塑性樹脂が貯留した含浸ダイ中を繊維強化熱可塑性樹脂基材を通過させ、含浸ダイ出口のスリット形状のノズルより引取り、熱可塑性樹脂を表面に接着させるギャップコーティング法があげられる。樹脂が均一に付着でき、低圧で繊維のアライメントを乱さずにコーティングできることからギャップコーティング法が好ましい。
【0034】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材の厚さとしては、1~100μmが好ましい。厚さが1μm以上であれば、繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂基材を用いて得られる成形品の強度を向上させることができる。10μm以上がより好ましい。一方、厚さが100μm以下であれば、強化繊維に熱可塑性樹脂基材をより含浸させやすい。70μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
【0035】
また、本発明に係る繊維強化熱可塑性基材では、繊維強化熱可塑性樹脂基材全体100体積%中、強化繊維を30体積%以上70体積%以下含有する。強化繊維を30体積%以上含有することにより、繊維強化熱可塑性樹脂基材を用いて得られる成形品の強度をより向上させることができる。40体積%以上がより好ましく、50体積%以上がさらに好ましい。一方、強化繊維を70体積%以下含有することにより、強化繊維に熱可塑性樹脂をより含浸させやすい。65体積%以下がより好ましく、60体積%以下がさらに好ましい。
【0036】
なお、繊維強化熱可塑性樹脂基材の強化繊維体積含有率Vfは、繊維強化熱可塑性樹脂基材の質量W0(g)を測定したのち、該繊維強化熱可塑性樹脂基材を空気中500℃で30分間加熱して熱可塑性樹脂成分を焼き飛ばし、残った強化繊維の質量W1(g)を測定し、式(3)により算出した。
Vf(体積%)=(W1/ρf)/{W1/ρf+(W0-W1)/ρ1}×100・・・(3)
ρf:強化繊維の密度(g/cm
ρr:熱可塑性樹脂の密度(g/cm
【0037】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材の表面を形成する熱可塑性樹脂(B)の厚みは0.01mm~0.3mmの範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)の厚みが0.01mm以上であることにより、層間強度が改善できる。熱可塑性樹脂(B)の厚みは0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がさらに好ましい。熱可塑性樹脂(B)の厚みが0.3mm以下であることにより、熱可塑性樹脂(A)が含浸した繊維強化熱可塑性樹脂基材の機械特性を損なわない。熱可塑性樹脂(B)の厚みは0.25mm以下が好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。
【0038】
本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材は、熱可塑性樹脂(A)が完全に含浸されていても良いし、内部に空隙が残存した半含浸の状態であっても良い。繊維強化熱可塑性樹脂基材の機械特性を高めるために、繊維強化熱可塑性樹脂基材に含まれるボイドの含有率(ボイド率)が2%以下であることが好ましい。ボイド率が2%以下であることにより、強化繊維の機械特性を損なうことなく、繊維強化熱可塑性樹脂基材の機械特性を発現することができる。ボイド率としては、1.5%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
【0039】
本発明における繊維強化熱可塑性樹脂基材のボイド率は、繊維強化熱可塑性樹脂基材の厚み方向断面を以下のように観察して求めた。繊維強化熱可塑性樹脂基材をエポキシ樹脂で包埋したサンプルを用意し、繊維強化熱可塑性樹脂基材の厚み方向断面が良好に観察できるようになるまで、前記サンプルを研磨した。研磨したサンプルを、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VHX-9500(コントローラー部)/VHZ-100R(測定部)((株)キーエンス製)を使用して、拡大倍率400倍で撮影した。撮影範囲は、繊維強化熱可塑性樹脂基材の厚み×幅500μmの範囲とした。撮影画像において、基材の断面積および空隙(ボイド)となっている部位の面積を求め、式(4)により含浸率を算出した。
ボイド率(%)=(ボイドが占める部位の総面積)/(繊維強化熱可塑性樹脂基材の総面積)×100・・・(4)
【0040】
本発明においては、本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材を、任意の構成で1枚以上積層後、必要に応じて熱および/または圧力を付与しながら成形することにより成形品が得られる。
【0041】
熱および/または圧力を付与する方法としては、例えば、任意の構成で積層した繊維強化熱可塑性樹脂基材を型内もしくはプレス板上に設置した後、型もしくはプレス板を閉じて加圧するプレス成形法、任意の構成で積層した成形材料をオートクレーブ内に投入して加圧・加熱するオートクレーブ成形法、任意の構成で積層した成形材料をフィルムなどで包み込み、内部を減圧にして大気圧で加圧しながらオーブン中で加熱するバッギング成形法、任意の構成で積層した繊維強化熱可塑性樹脂基材に張力をかけながらテープを巻き付け、オーブン内で加熱するラッピングテープ法、任意の構成で積層した繊維強化熱可塑性樹脂基材を型内に設置し、同じく型内に設置した中子内に気体や液体などを注入して加圧する内圧成形法等が挙げられる。とりわけ、得られる成形品内のボイドが少なく、外観品位にも優れる成形品が得られることから、金型を用いてプレスする成形方法が好ましく用いられる。
【0042】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂基材またはその成形品は、インサート成形、アウトサート成形などの一体化成形や、加熱による矯正処置、熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの生産性に優れた接着工法や接着剤を用いた一体化を行うことができ、複合体を得ることができる。
【0043】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂基材またはその成形品と一体化される成形用基材またはその成形品には特に制限はなく、例えば、樹脂材料またはその成形品、金属材料またはその成形品、無機材料またはその成形品などが挙げられる。なかでも、樹脂材料またはその成形品もしくは金属材料またはその成形品が本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂基材の補強効果を効果的に発現することができる。樹脂材料またはその成形品は繊維強化熱可塑性樹脂基材との接着強度の点で好ましく、繊維長が5~100mmの強化繊維マットにマトリックス樹脂を含浸してなる繊維強化樹脂が成形性と機械特性の点からより好ましい。金属材料またはその成形品としては、高張力鋼やアルミニウム合金、チタン合金およびマグネシウム合金等が使用可能であり、金属層や金属部材、金属部品に要求される特性に応じて選択すればよい。
【0044】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂基材と一体化される成形材料またはその成形品のマトリックス樹脂は、繊維強化熱可塑性樹脂基材またはその成形品と同種の樹脂であってもよいし、異種の樹脂であってもよい。接着強度をより高めるためには、同種の樹脂であることが好ましい。異種の樹脂である場合は、界面に樹脂層を設けるとより好適である。
【0045】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂基材またはその成形品は、その優れた特性を活かし、航空機部品、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。本発明における繊維強化熱可塑性樹脂基材またはその成形品は、とりわけ、安定した機械特性が要求される航空機エンジン周辺部品、航空機用部品の外装部品、自動車ボディー部品としての車両骨格、自動車エンジン周辺部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、自動車内装部品、自動車外装部品、吸排気系部品、エンジン冷却水系部品や、自動車電装部品、電気・電子部品用途に特に好ましく用いられる。
【0046】
具体的には、本発明における繊維強化熱可塑性樹脂基材またはその成形品は、ファンブレードなどの航空機エンジン周辺部品、ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機関連部品、各種シート、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジなどの自動車ボディー部品、エンジンカバー、エアインテークパイプ、タイミングベルトカバー、インテークマニホールド、フィラーキャップ、スロットルボディ、クーリングファンなどの自動車エンジン周辺部品、クーリングファン、ラジエータータンクのトップおよびベース、シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、排ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの自動車外装部品、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、ターボチャージャ、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディなどの吸排気系部品、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オルタネーター、及びデリバリーパイプなどのエンジン冷却水系部品、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、電気・電子部品としては、例えば、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、抵抗器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、スイッチ、ナイフスイッチ、多極ロッド、モーターケース、テレビハウジング、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、ICやLED対応ハウジング、コンデンサー座板、ヒューズホルダー、各種ギヤー、各種ケース、キャビネットなどの電気部品、コネクタ、SMT対応のコネクタ、カードコネクタ、ジャック、コイル、コイルボビン、センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレー、リレーケース、リフレクタ、小型スイッチ、電源部品、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップシャーシ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、SiパワーモジュールやSiCパワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などの電子部品などに好ましく用いられる。