(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20221220BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H11/00 G
(21)【出願番号】P 2018160132
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 嘉典
(72)【発明者】
【氏名】女鹿田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 勝久
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-060092(JP,A)
【文献】特開2015-174285(JP,A)
【文献】特開2017-222504(JP,A)
【文献】特開平02-023128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 7/00-7/20
B65H 11/00-11/02
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
複数の用紙が載置される手差しトレーと、
用紙を前記手差しトレーから搬送する用紙搬送部と、
前記手差しトレーに設けられた、前記手差しトレー上に載置された用紙の搬送方向の長さを検出する用紙長検出部と、
前記画像形成装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記用紙搬送部による用紙の搬送中に、前記用紙長検出部の検出結果が変化すると、後続用紙の搬送開始を予め定められた時間遅延させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙搬送部に配置され、前記手差しトレーにセットされた用紙の有無を検出するエンプティ検出部をさらに備え、
前記遅延により、前記エンプティ検出部が用紙の有無を検出するよりも後に後続用紙の搬送が開始される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
使用者に情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記用紙長検出部の検出結果に基づいて、給紙動作途中に前記手差しトレーの用紙が無くなったと判定した場合、前記エンプティ検出部の検出結果に関わらず、前記表示部に用紙切れの情報を表示する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
使用者に情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、給紙動作途中に前記用紙長検出部の検出結果が変化し、かつ、前記エンプティ検出部が用紙切れを検出した場合、前記表示部に用紙切れの情報を表示する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙の搬送方向に対する横幅を検出する用紙幅検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記用紙長検出部と前記用紙幅検出部との各検出結果に基づいて用紙サイズを判定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記用紙長検出部と前記用紙幅検出部の検出結果に基づいて、前記予め定められた時間を調整する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
使用者からの入力を受け付ける操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部により用紙サイズが入力された場合は、前記用紙長検出部及び前記用紙幅検出部の各検出結果に関わらず、入力された用紙サイズに基づいて、前記予め定められた時間を調整する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記用紙長検出部は、前記手差しトレーにセットされる用紙の下側に配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記用紙長検出部は、透過型センサーと前記透過型センサーの遮光パーツとを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙を検出するステップと、
前記手差しトレーからローラーを介して用紙を搬送するステップと、
前記ローラーを介して搬送される用紙の後続用紙の有無を検知するステップと、
前記ローラーを介した用紙の搬送中に、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙の搬送方向の長さが検出できなくなった場合、前記ローラーの後続用紙を搬送するための駆動を予め定められた時間遅延させるステップとを含む、
画像形成装置における制御方法。
【請求項11】
後続用紙の有無の検出の後に前記ローラーの駆動を再開するステップをさらに含む、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記ローラーを介した用紙の搬送中に、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙の搬送方向の長さが検出できなくなった場合、後続用紙の有無の検出によらず、用紙切れの情報を表示するステップをさらに含む、請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記ローラーを介した用紙の搬送中に、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙の搬送方向の長さが検出できなくなり、かつ、後続用紙切れが検出された場合、用紙切れの情報を表示するステップをさらに含む、請求項11に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、より特定的には、画像形成装置における用紙の搬送制御に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複合機等の画像形成装置の種類として、現像用にトナーを使用するものがある。これらのトナーを使用する画像形成装置は、被転写媒体である用紙に対し、感光体を用いて直接的または間接的に現像用のトナーの転写を行い、さらに、定着ローラーで用紙に転写されたトナーを定着させることが一般的である。
【0003】
近年、画像形成装置の清音化、高速化や多くのメディアへの対応が進むことにより、給紙部からの給紙の高い信頼性が求められるようになっている。また、利便性を上げるために、給紙が中断した場合における、使用者への給紙の中断原因の正確な提示も求められている。すなわち、用紙切れや紙詰まり等の原因を使用者に提示することで、給紙の中断原因を特定し、容易に正常な状態に復旧可能にすることが望ましい。
【0004】
例えば、特開2002-60092号公報(特許文献1)は、「複数枚の用紙を積載収容する用紙収容手段と、この用紙収容手段から用紙を給紙開始信号に基づいて1枚ずつ送り出して給紙先に給紙する給紙機構と、この給紙機構により用紙収容手段から送り出される用紙の通過の有無を検知する紙詰まり検知手段と、用紙収容手段に収容されている最上の用紙面に揺動可能に触れる揺動部材の変動により当該収容手段内の用紙の有無を検知する紙なし検知手段と、所要の情報を表示する表示手段と、給紙機構、紙詰まり検知手段および紙なし検知手段を制御するとともにその各検知手段からの検知情報に基づいて紙詰まり又は紙なしであるかを判断して表示手段にその判断結果を表示させる制御手段とを有する給紙装置を前提とし、制御手段は、紙詰まり検知手段からの検知情報により紙詰まりであると判断した後、その判断結果の表示手段への表示を所定時間が経過するまで保留し、その保留中において紙なし検知手段からの検知情報により紙なしであると判断した場合にはその判断結果の表示手段への表示を優先して実行するように設定されている」給紙装置を開示している(段落[0009])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術によると、給紙カセット等の、紙無し検知センサーを給紙機構からある程度上流に配置できる構成に限っては、紙切れを紙詰まりと誤検出してしまうことをある程度防ぐことが可能となる。
【0007】
しかし、手差しトレーのような構成においては、前記手差しトレー上に載置された用紙の搬送方向の長さを検出するセンサー(以下、「FD(Feed Dimension)検出センサー」という)、および、トレーに用紙が積載されているか否かを検出するセンサー(以下、「エンプティ検出センサー」という)の両方を設置する必要があり、構成上、エンプティ検出センサーは給紙機構の付近に配置する必要がある。そのため、給紙間隔が短くなる高速給紙が求められる用途においては、搬送される用紙と後続用紙との間隔が非常に短いため、エンプティ検出センサーの検出が間に合わずに、用紙切れを紙詰まりと誤検出してしまうことがある。したがって、手差しトレーにも適用可能な紙詰まりの誤検出防止の技術が必要とされている。
【0008】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、手差しトレー等の給紙機構において、用紙切れを紙詰まりと誤検出することを防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある局面に従う画像形成装置は、複数の用紙が載置される手差しトレーと、用紙を手差しトレーから搬送する用紙搬送部と、手差しトレーに設けられた、前記手差しトレー上に載置された用紙の搬送方向の長さを検出する用紙長検出部と、画像形成装置を制御する制御部とを備える。制御部は、用紙搬送部による用紙の搬送中に、用紙長検出部の検出結果が変化すると、後続用紙の搬送開始を予め定められた時間遅延させる。
【0010】
ある局面において、画像形成装置は、用紙の搬送経路に沿って配置され、手差しトレーにセットされた用紙の有無を検出するエンプティ検出部をさらに備える。後続用紙の搬送開始の遅延により、エンプティ検出部が用紙の有無を検出するよりも後に後続用紙の搬送が開始される。
【0011】
ある局面において、画像形成装置は、使用者に情報を表示する表示部をさらに備える。制御部は、用紙長検出部の検出結果に基づいて、給紙動作途中に手差しトレーの用紙が無くなったと判定した場合、エンプティ検出部の検出結果に関わらず、表示部に用紙切れの情報を表示する。
【0012】
ある局面において、画像形成装置は、使用者に情報を表示する表示部をさらに備える。制御部は、給紙動作途中に用紙長検出部の検出結果が変化し、かつ、エンプティ検出部が用紙切れを検出した場合、表示部に用紙切れの情報を表示する。
【0013】
ある局面において、画像形成装置は、用紙の搬送方向に対する横幅を検出する用紙幅検出部をさらに備える。制御部は、用紙長検出部と用紙幅検出部との各検出結果に基づいて用紙サイズを判定する。
【0014】
ある局面において、制御部は、用紙長検出部と用紙幅検出部のそれぞれの検出結果に基づいて、予め定められた時間を調整する。
【0015】
ある局面において、画像形成装置は、使用者からの入力を受け付ける操作部をさらに備える。制御部は、操作部により用紙サイズが入力された場合は、用紙長検出部及び用紙幅検出部の各検出結果に関わらず、入力された用紙サイズに基づいて、予め定められた時間を調整する。
【0016】
ある局面において、用紙長検出部は、手差しトレーにセットされる用紙の下側に配置される。
【0017】
ある局面において、用紙長検出部は、透過型センサーと、透過型センサーの遮光パーツとを含む。
【0018】
他の実施の形態に従うと、画像形成装置における制御方法が提供される。この制御方法は、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙を検出するステップと、手差しトレーからローラーを介して用紙を搬送するステップと、ローラーを介して搬送される用紙の後続用紙の有無を検知するステップと、ローラーを介した用紙の搬送中に、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙の搬送方向の長さが検出できなくなった場合、ローラーの後続用紙を搬送するための駆動を予め定められた時間遅延させるステップとを含む。
【0019】
ある局面において、当該制御方法は、遅延により、後続用紙の有無の検出が行われる後にローラーの駆動が再開されるステップをさらに含む。
【0020】
ある局面において、当該制御方法は、ローラーを介した用紙の搬送中に、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙の搬送方向の長さが検出できなくなった場合、後続用紙の有無の検出によらず、用紙切れの情報を表示するステップをさらに含む。
【0021】
ある局面において、当該制御方法は、ローラーを介した用紙の搬送中に、手差しトレー上の搬送可能な位置に載置された用紙の搬送方向の長さが検出できなくなり、かつ、後続用紙切れが検出された場合に用紙切れの情報を表示するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0022】
本技術によれば、手差しトレー等の給紙機構において、用紙切れを紙詰まりと誤検出することを防止することが可能である。
【0023】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す構成図である。
【
図2】本実施の形態に従う画像形成装置100の手差しトレー101の一構成例を示す構成図である。
【
図3】本実施の形態に従う画像形成装置100のFD検出センサー201の一構成例を示す構成図である。
【
図4】用紙の各搬送段階におけるセンサーおよびローラーの動作を示す図である。
【
図5】
図4の段階Aにおける用紙の搬送状況を示す図である。
【
図6】
図4の段階Bにおける用紙の搬送状況を示す図である。
【
図7】
図4の段階Cにおける用紙の搬送状況を示す図である。
【
図8】
図4の段階Dにおける用紙の搬送状況を示す図である。
【
図9】
図4の段階Eにおける用紙の搬送状況を示す図である。
【
図10】
図4の段階Fにおける用紙の搬送状況を示す図である。
【
図11】本実施の形態に従う搬送遅延制御を示すフローチャートである。
【
図12】本実施の形態に従う用紙切れと紙詰まりの誤判断を防止する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0026】
[第1の実施の形態]
<A.画像形成装置100の装置構成>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置100の装置構成について説明する。典型例として、複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)として実装されるカラー画像形成装置である画像形成装置100について説明するが、本実施の形態に係る技術思想は、カラー画像形成装置に限定されるわけではなく、モノクロ画像形成装置にも適用可能である。
【0027】
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。
図1を参照して、画像形成装置100は、手差しトレー101と、給紙カセット102と、給紙ローラー103と、レジストローラー104と、イメージングユニット105と、中間転写ベルト106と、転写ローラー107と、定着部108と、排出トレー109と、制御部110とを含む。
【0028】
イメージングユニット105は、感光体と、帯電部と、露光部と、現像部とを備える。イメージングユニット105は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれのトナー像を生成するための複数のイメージングユニットを含む。
【0029】
本実施の形態に従う画像形成装置100は、一例として、それぞれのイメージングユニット105が生成したトナー像を、中間転写ベルト106を介して被転写部材に転写する構成を採用する。なお、
図1では、トナー像を中間転写ベルト106に一旦転写した後、被転写部材に転写する構成について例示するが、感光体上のトナー像を被転写部材に直接転写する構成が採用されてもよい。
【0030】
用紙は手差しトレー101もしくは給紙カセット102のいずれかに載置される。給紙ローラー103は手差しトレー101もしくは給紙カセット102に載置された用紙を1枚ずつ、用紙搬送経路に搬送する。レジストローラー104は、給紙ローラー103によって搬送された用紙をさらに下流に搬送する。転写ローラー107は、搬送されてきた用紙に中間転写ベルト106上の転写像を転写する。定着部108は、用紙の表面に転写されたトナーを溶かして用紙に定着させる。定着処理まで完了した用紙は排出トレー109に排出される。制御部110は、画像形成装置100の全体の動作を制御する。
【0031】
<B.手差しトレー101の構成>
図2は、本実施の形態に従う画像形成装置100の手差しトレー101の一構成例を示す図である。
図2を参照して、手差しトレー101は、FD検出センサー201と、用紙幅検出センサー202と、押上げ板203と、エンプティ検出センサー204と、重送防止部材205とを備える。
【0032】
FD検出センサー201は、用紙の下側に来るように手差しトレー101に配置され、用紙の重みで沈み込むように構成された突起部分を含む。突起部分は、手差しトレー上に載置された用紙の重みで沈み込む。用紙幅検出センサー202は、挟み込んだ用紙の横幅を検出する。制御部110は、用紙幅検出センサー202およびFD検出センサー201のそれぞれの検出結果から、A4、A3などの規格の用紙サイズを自動判別する。また、FD検出センサー201は用紙が適切な位置に置かれているか否かも検出する。
【0033】
押上げ板203は、支点Zを中心に回転し、手差しトレー101に載置された用紙の先端を給紙ローラー103に触れる位置まで押し上げる。エンプティ検出センサー204は、手差しトレー101上の用紙の有無を検出する。重送防止部材205は、複数の用紙が同時に給紙ローラーによって搬送されることを防止するためのものである。
【0034】
<C.FD検出センサー201の構成>
図3は、本実施の形態に従う画像形成装置100のFD検出センサー201の一構成例を示す図である。
図3を参照して、FD検出センサー201は、透過型センサー301と、遮光パーツ302とを備える。また、FD検出センサー201は、手差しトレー101の内部に設けられている。
【0035】
用紙が手差しトレー101に載置されていない場合には、ねじりコイルばねは、遮光パーツ302の突起部分を穴303から手差しトレー101の上側に持ち上げている。この状態では、遮光パーツ302が透過型センサー301の光を遮るので、FD検出センサー201への入力はOFFになる。
【0036】
他方、手差しトレー101に用紙が載置されている場合には、用紙の重みで遮光パーツ302の突起部分が沈み込む。それにより、遮光パーツ302の透過型センサー301の光をさえぎっていた部分が持ち上がるため、FD検出センサー201への入力はONになる。
【0037】
なお、FD検出センサー201の構成は、
図3の内容に限られるものではなく、透過型センサー以外でも用紙が載置されたことを検出できるものであればよい。また、手差しトレー101に用紙が載置されてない場合に、FD検出センサー201の入力がONになり、手差しトレー101に用紙が載置されている場合に、FD検出センサー201の入力がOFFなるようにしてもよい。
【0038】
<D.用紙の搬送制御>
図4は、用紙の各搬送段階における各センサーおよび各ローラーの動作を示した図である。以下、
図5~
図10を参照して、
図4の各搬送段階における画像形成装置100の各部の動作について説明する。なお、制御部110が、各種センサーの入力読込と、各種ローラーの回転制御を行う。
【0039】
図5は、画像形成装置100の手差しトレー101および手差しトレー101の周辺部品の配置例を示した図であり、また、手差しトレー101からの連続給紙における
図4の段階Aにおける用紙の搬送状況を示す図である。レジストローラー104は、給紙ローラー103によって搬送された用紙を、転写ローラー107に向けて搬送する。また、用紙501、用紙502および用紙503は、それぞれ画像形成装置100の内部または手差しトレー101の上に位置している。
【0040】
図4の段階Aの1次搬送開始401の位置において、レジストローラー104は、用紙501を搬送している。また、用紙502の先端は、給紙ローラー103の位置にある。この状態では、制御部110は、エンプティ検出センサー204からの入力を基に手差しトレー101に用紙が有ると判定する。また、FD検出センサー201は、用紙の重みで押し下げられており、制御部110は、FD検出センサー201の入力を基に手差しトレー101の搬送可能な位置に用紙が有ると判定する。
【0041】
制御部110は、給紙ローラー103の回転を開始させて、用紙502を搬送する。制御部110は、用紙502の先端がレジストローラー104の位置に達するまで用紙502を搬送した後に給紙ローラー103の回転を停止させる。
【0042】
図6は、
図4の段階Bにおける用紙の搬送状況を示す図である。
図4の段階Bにおいて、制御部110は、用紙502の先端がレジストローラー104に到達する前に、レジストローラー104による用紙501の搬送を終える。次に、制御部110は、レジストローラー104の回転を停止させ、その少し後に、給紙ローラー103の回転を停止させる。こうすることにより、用紙502の先端が、レジストローラー104の位置に到達しても、レジストローラー104は用紙502をすぐには搬送しないため、用紙501と用紙502との間に適切な間隔が設けられる。本実施の形態において、適切な間隔とは、例えば、1つのローラーで2枚の用紙を同時に搬送しない程度の間隔である。段階AからBまでのように、給紙ローラー103が、手差しトレー101に載置された用紙の先端をレジストローラー104の位置まで搬送することを、後述する2次搬送と区別するために1次搬送と呼ぶ。
【0043】
図7は、
図4の段階Cにおける用紙の搬送状況を示す図である。
図4の段階Cの2次搬送開始402の位置において、制御部110は、給紙ローラー103およびレジストローラー104の両方の回転を開始させる。こうすることにより、用紙502の先端は、レジストローラー104の位置よりもさらに先に搬送される。給紙ローラー103が用紙502を搬送し終わると、制御部110は、給紙ローラー103の回転を停止させる。給紙ローラー103の回転停止後も、制御部110は、次の1次搬送開始のためにレジストローラー104を回転させ続ける。段階Cのように、レジストローラー104が、用紙の先端をレジストローラー104よりさらに先に搬送することを2次搬送と呼ぶ。
【0044】
図8は、
図4の段階Dにおける用紙の搬送状況を示す図である。
図4の段階Dの1次搬送開始403の位置において、制御部110は、給紙ローラー103を回転させて、手差しトレー101上の最後の1枚である用紙503を搬送する。用紙503が搬送されることにより、FD検出センサー201の突起部分が持ち上がる。FD検出センサー201の突起部分が持ち上がり、FD検出センサー201の入力がOFFになると、制御部110は、FD検出センサー201の入力を基に、手差しトレー101の搬送可能な位置に用紙が無いと判定する。より正確には、制御部110は、現在搬送中の用紙503の後続の用紙が存在せず、用紙503が最終用紙であると判定する。
【0045】
図9は、
図4の段階Eにおける用紙の搬送状況を示す図である。制御部110は、
図4の段階Eにおいて、段階Bと同様に、用紙503の先端がレジストローラー104に到達する前に、レジストローラー104による用紙501の搬送を終える。その後に、制御部110は、レジストローラー104の回転を停止させ、その少し後に、給紙ローラー103の回転を停止させる。
【0046】
図10は、
図4の段階Fにおける用紙の搬送状況を示す図である。制御部110は、
図4の2次搬送開始404の位置において、給紙ローラー103およびレジストローラー104の両方の回転を開始させる。こうすることにより、制御部110は、給紙ローラー103およびレジストローラー104により、用紙503の先端をレジストローラー104の位置よりもさらに先に搬送する。給紙ローラー103が用紙502を搬送し終わると、制御部110は、給紙ローラー103の回転を停止させる。制御部110は、レジストローラー104を次の1次搬送開始のために回転させ続ける。
【0047】
本来であれば、制御部110は、1次搬送遅延制御405の位置で、給紙ローラー103の回転を開始させる。ただし、1次搬送遅延制御405の位置より前に、制御部110が、エンプティ検出センサー204の入力に基づいて用紙が無いと判定した場合、制御部110は、給紙ローラー103の回転を開始せずに搬送処理を停止する。
【0048】
しかし、搬送される用紙の間隔は非常に短いことがあり、エンプティ検出センサー204による検出が遅れることがある。その場合、制御部110は、搬送処理を停止せずに、給紙ローラー103の回転を開始させる。その場合、搬送されるはずの用紙は手差しトレー101上に存在しないため、一定時間を過ぎても、用紙はレジストローラー104の位置に搬送されてこないことになる。
【0049】
給紙ローラー103の回転が始まってから一定時間過ぎても、用紙の先端がレジストローラー104の位置に搬送されてこない場合は、制御部110は、紙詰まりが発生したと誤判定し、画像形成装置100液晶モニターなどに、紙詰まりが発生したことを知らせる情報を表示する。
【0050】
このエンプティ検出センサー204の検出遅れによる誤判定を防止するために、本実施の形態においては、制御部110は、FD検出センサー201により後続の用紙が無いと判断した場合には、
図4の位置Xのように、一定時間(例えば、エンプティ検出センサー204の検出処理が完了するのに十分な時間)、給紙ローラー103の回転開始を遅延させる。こうすることで、制御部110が給紙ローラー103の回転を開始させる前に、エンプティ検出センサー204は用紙の有無の検出を完了することができる。その結果、制御部110は、紙詰まりの判定の前に、エンプティ検出センサー204の入力に基づく用紙切れの判定を完了することができ、用紙切れを紙詰まりであると誤判定することをなくすことができる。なお、制御部110は、FD検出センサー201および用紙幅検出センサー202によって判別した各用紙サイズに合わせて遅延時間を変化させてもよい。また、FD検出センサー201および用紙幅検出センサー202によりサイズが自動判別できない用紙については、制御部110は、使用者の操作ボタンやタッチパネルの操作内容に従い、用紙サイズを判定して遅延時間を設定してもよい。
【0051】
<E.搬送遅延制御のフローチャート>
図11は、本実施の形態に従う搬送遅延制御を示すフローチャートである。
図11を参照して、用紙切れと紙詰まりの誤判定を防止するための搬送遅延制御の流れの一例を説明する。
【0052】
ステップS1105において、制御部110は、給紙開始信号を検出すると(ステップS1105においてYES)、ステップS1110に制御を移す。給紙開始信号は、例えば、使用者が画像形成装置100の操作ボタンやタッチパネルを操作することにより発生する。制御部110は、給紙開始信号を検出しない場合(ステップS1105においてNO)、ステップS1105を繰り返して給紙開始信号を待ち続ける。または、制御部110は、給紙開始信号を待ち続ける代わりに処理を終了してもよい。
【0053】
ステップS1110において、制御部110は、エンプティ検出センサー204の入力に基づき、手差しトレー101に用紙が載置されているか否かを判定する。制御部110は、エンプティ検出センサー204による用紙無しの検知がなく、手差しトレー101に用紙が載置されていると判定した場合は(ステップS1110においてNO)、ステップS1115に制御を移す。制御部110は、エンプティ検出センサー204による用紙無しの検知が発生し、手差しトレー101に用紙が載置されていないと判定した場合は(ステップS1110においてYES)、ステップS1140に制御を移す。
【0054】
ステップS1115において、制御部110は、1次搬送制御のために、給紙ローラー103の回転を開始させる。制御部110は、搬送される用紙の先端がレジストローラー104の位置に到達したら、給紙ローラー103の回転を停止させる。
【0055】
ステップS1120において、制御部110は、FD検出センサー201の入力に基づき、用紙が手差しトレー101の搬送可能な位置にあるか否かを判定する。判定は、FD検出センサー201の入力とエンプティ検出センサー204の入力とに基づいて行われてもよい。なお、制御部110は、ステップS1115の処理が完了するのを待たずに、ステップS1120の処理を実行してもよい。用紙の重みでFD検出センサー201の突起部分が押し下げられたままの場合は、FD検出センサー201の信号に変化は発生しないため、制御部110は、用紙が搬送可能な位置にあると判定する。他方、最終用紙が搬送され、FD検出センサー201の突起部分が持ち上がった場合は、FD検出センサー201の信号に変化が発生するため、制御部110は、後続の用紙が搬送可能な位置にないと判定する。制御部110は、用紙が手差しトレー101の搬送可能な位置にあると判定すると(ステップS1120においてNO)、ステップS1130に制御を移す。制御部110は、用紙が手差しトレー101の搬送可能な位置にないと判定すると(ステップS1120においてYES)、ステップS1125に制御を移す。
【0056】
ステップS1130において、制御部110は、2次搬送のため、給紙ローラー103と、レジストローラー104とを回転させ、ステップS1115において搬送した用紙を転写ローラー107に向けて搬送する。
【0057】
ステップS1125において、制御部110は、プログラム上でフラグを立てる等の1次搬送の開始時間の遅延設定を行った後に、ステップS1130に制御を移す。本実施の形態において遅延設定とは、1次搬送の開始時間を本来の時間より遅らせる設定のことをいう。例えば、制御部110は、2次搬送後にエンプティ検出センサー204による検出処理が完了するのに十分な時間だけ、次回の1次搬送の開始時間を遅延させる。ステップS1135において、制御部110は、1次搬送の開始時間の遅延設定が行われている場合のみ、1次搬送の遅延処理を行う。制御部110が1次搬送の遅延処理を行った場合、次回の1次搬送の開始タイミングが、通常より遅くなるため、2次搬送後にエンプティ検出センサー204による検出処理の遅れが発生しても、1次搬送が先に開始されることはない。
【0058】
ステップS1115から1135までの処理で用紙の1次搬送と2次搬送とが完了する。その後は、指定された枚数の用紙の搬送が完了するまで、制御部110は、ステップS1110から処理を繰り返す。
【0059】
ステップS1140において、制御部110は、画像形成装置100の操作ボタンによる入力等に基づいて、指定された枚数の用紙の搬送処理が完了したかを判定する。制御部110は、指定された枚数の用紙の搬送処理が完了していると判定した場合は(ステップS1140においてYES)、処理を終了する。制御部110は、指定された枚数の用紙の搬送処理が完了していないと判定した場合は(ステップS1140においてNO)、ステップS1145に制御を移す。
【0060】
ステップS1145において、制御部110は、用紙が切れたことを知らせる情報を画像形成装置100の液晶画面等に表示する。ステップS1150において、制御部110は、給紙動作を一時停止する。ステップS1155において、制御部110は、用紙が補充されるまで待機する。制御部110は、エンプティ検出センサー204およびFD検出センサー201により、用紙が新しく載置されたことを検出すると、ステップS1105に制御を移す。
【0061】
以上詳述したように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、手差しトレー等の給紙機構においても、用紙切れを紙詰まりと誤検出することを防止し、使用者に対して正しい情報を表示することができ、利便性を高めることができる。
【0062】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置100のハードウェアは、第1の実施の形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、当該ハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0063】
図12は、本実施の形態に従う紙詰まりと用紙切れの誤判断を防止する処理を示すフローチャートである。
図12を参照して、用紙切れと紙詰まりの誤判定を防止するための処理の流れを説明する。なお、
図11のフローチャートに示される処理と同じ処理には同一の符号が付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0064】
ステップS1205において、制御部110は、FD検出センサー201の入力が変化したことを検知すると(ステップS1205において、YES)、制御部110は、ステップS1140に制御を移す。本実施の形態によれば、FD検出センサー201の入力が変化した場合において、制御部110は1次給紙の遅延処理設定を行わずに用紙切れ判定の処理を行う点で、実施例1とは異なる。
【0065】
本実施の形態によれば、制御部110は、1次給紙が開始した後にFD検出センサー201の入力が変化した場合において、用紙がなくなったと判定している。FD検出センサー201は、規格に従った用紙の搬送方向の長さに合せた位置に配置されており、最後の用紙の1次搬送が始まると、用紙によって押し下げられていた突起部分が直ぐに持ち上がり、入力値が変化する。そのため、制御部110は、エンプティ検出センサー204の代わりにFD検出センサー201を使用し、FD検出センサー201の入力が変化した時点で用紙がなくなっていると判定すれば、より簡単に紙詰まりと用紙切れの誤判断を防止することができる。
【0066】
ただし、本実施の形態が適用できるのは、A4等の規格に従ったサイズの用紙に対してであり、はがきサイズや規格に従わないサイズの用紙については、第1の実施の形態を使用する方が望ましい。
【0067】
なお、別の局面において、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせて使用し、A4等の規格に従ったサイズの用紙にのみ第2の実施の形態に従う処理を行い、それ以外の用紙については第1の実施の形態に従う処理を適用してもよい。
【0068】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
100 画像形成装置、101 手差しトレー、102 給紙カセット、103 給紙ローラー、104 レジストローラー、105 イメージングユニット、106 中間転写ベルト、107 転写ローラー、108 定着部、109 排出トレー、110 制御部、201 FD検出センサー、202 用紙幅検出センサー、203 押上げ板、204 エンプティ検出センサー、205 重送防止部材、301 透過型センサー、302 遮光パーツ、303 穴、402,404 2次搬送開始、405 次搬送遅延制御、501,502,503 用紙。