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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】読取り装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20221220BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20221220BHJP
   H04N 1/191 20060101ALI20221220BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20221220BHJP
   G06T 3/60 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/10
H04N1/191
H04N1/387 800
G06T3/60 715
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018166346
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020039093
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 朋洋
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-284190(JP,A)
【文献】特開2010-251875(JP,A)
【文献】特開平09-139798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 - 1/207
G06T 1/00
H04N 1/387
G06T 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取り部と、
前記原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、前記原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、
傾き補正を行うと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、を備え
前記判断部は、前記原稿画像の傾き補正の基準となる基準方向に対する傾き量である原稿傾き量と、前記原稿画像の辺である辺画像の前記基準方向に対する傾き量である辺傾き量と、の差に相当する傾き差が傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、n以上(nは1以上の整数)のときに、前記原稿画像の傾き補正を行うと判断し、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときに、前記原稿画像の傾き補正を行わないと判断し、
前記判断部は、前記傾き差閾値として、前記原稿の外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比に対して、単調増加する値を用いることを特徴とする読取り装置。
【請求項2】
前記判断部は、nの値として、n=3またはn=4を用い、
前記判断部は、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときでも、向かい合う2つの長辺と向かい合う2つの短辺とから成る前記辺画像のうち、向かい合う2つの長辺において前記傾き差が前記傾き差閾値より小さければ、前記原稿画像の傾き補正を行うことを特徴とする請求項に記載の読取り装置。
【請求項3】
原稿を読み取る読取り部と、
前記原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、前記原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、
傾き補正を行うと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、を備え
前記判断部は、前記原稿画像の傾き補正の基準となる基準方向に対する傾き量である原稿傾き量と、前記原稿画像の辺である辺画像の前記基準方向に対する傾き量である辺傾き量と、の差に相当する傾き差が傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、n以上(nは1以上の整数)のときに、前記原稿画像の傾き補正を行うと判断し、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときに、前記原稿画像の傾き補正を行わないと判断し、
前記判断部は、nの値として、n=3またはn=4を用い、
前記判断部は、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときでも、向かい合う2つの長辺と向かい合う2つの短辺とから成る前記辺画像のうち、向かい合う2つの長辺において前記傾き差が前記傾き差閾値より小さければ、前記原稿画像の傾き補正を行うことを特徴とする読取り装置。
【請求項4】
コンピューターを、
読取り部により原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、前記原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、
傾き補正を行うと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、として機能させるプログラムであって、
前記判断部は、前記原稿画像の傾き補正の基準となる基準方向に対する傾き量である原稿傾き量と、前記原稿画像の辺である辺画像の前記基準方向に対する傾き量である辺傾き量と、の差に相当する傾き差が傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、n以上(nは1以上の整数)のときに、前記原稿画像の傾き補正を行うと判断し、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときに、前記原稿画像の傾き補正を行わないと判断し、
前記判断部は、前記傾き差閾値として、前記原稿の外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比に対して、単調増加する値を用いることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
コンピューターを、
読取り部により原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、前記原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、
傾き補正を行うと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、前記原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、として機能させるプログラムであって、
前記判断部は、前記原稿画像の傾き補正の基準となる基準方向に対する傾き量である原稿傾き量と、前記原稿画像の辺である辺画像の前記基準方向に対する傾き量である辺傾き量と、の差に相当する傾き差が傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、n以上(nは1以上の整数)のときに、前記原稿画像の傾き補正を行うと判断し、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときに、前記原稿画像の傾き補正を行わないと判断し、
前記判断部は、nの値として、n=3またはn=4を用い、
前記判断部は、前記傾き差が前記傾き差閾値より小さくなる前記辺画像の数が、nより少ないときでも、向かい合う2つの長辺と向かい合う2つの短辺とから成る前記辺画像のうち、向かい合う2つの長辺において前記傾き差が前記傾き差閾値より小さければ、前記原稿画像の傾き補正を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
原稿を読み取る読取り部と、
前記原稿から読み取られた原稿画像に基づいて、出力画像を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、第1原稿が読み取られたときに、前記出力画像として、前記第1原稿から読み取られた第1原稿画像の傾きを補正した第1出力画像を出力し、前記第1原稿と対応する頂点の角度がいずれも一致し且つ前記第1原稿とは形状が異なり、前記原稿の外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比が前記第1原稿よりも小さい第2原稿が読み取られたときに、前記出力画像として、前記第2原稿から読み取られた第2原稿画像の傾きを補正しない第2出力画像を出力することを特徴とする読取り装置。
【請求項7】
前記第1原稿の最小外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比よりも、前記第2原稿の最小外接矩形の前記原稿長短比が小さい場合に、前記制御部は、前記第1出力画像と前記第2出力画像とを出力する、ことを特徴とする請求項6に記載の読取り装置。
【請求項8】
前記第1原稿及び前記第2原稿はともに、凸四角形であり、
前記第1原稿の対向する2つの辺は、それぞれが対応する前記第2原稿の辺よりも長い、ことを特徴とする請求項6に記載の読取り装置。
【請求項9】
コンピューターを、
読取り部により原稿から読み取られた原稿画像に基づいて、出力画像を出力する制御部、として機能させるプログラムであって、
前記制御部は、第1原稿が読み取られたときに、前記出力画像として、前記第1原稿から読み取られた第1原稿画像の傾きを補正した第1出力画像を出力し、前記第1原稿と対応する頂点の角度がいずれも一致し且つ前記第1原稿とは形状が異なり、前記原稿の外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比が前記第1原稿よりも小さい第2原稿が読み取られたときに、前記出力画像として、前記第2原稿から読み取られた第2原稿画像の傾きを補正しない第2出力画像を出力することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取る読取り装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、原稿から読み取った原稿画像領域の前端、左端および右端の傾き角度が略一致することを条件に、回転補正処理を実行する画像読取装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-192678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転補正を行ってほしい原稿が特許文献1の条件を満たさずに回転補正されないことがあるなど、回転補正処理を実行するかどうかの条件について、更なる改良が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の読取り装置は、原稿を読み取る読取り部と、原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、傾き補正を行うと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、を備えた。
【0006】
本発明のプログラムは、コンピューターを、読取り部により原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、傾き補正を行うと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、として機能させる。
【0007】
本発明の読取り装置は、原稿を読み取る読取り部と、原稿から読み取られた原稿画像に基づいて、出力画像を出力する制御部と、を備え、制御部は、第1原稿が読み取られたときに、出力画像として、第1原稿から読み取られた第1原稿画像の傾きを補正した第1出力画像を出力し、第1原稿と対応する頂点の角度がいずれも一致し且つ第1原稿とは形状が異なる第2原稿が読み取られたときに、出力画像として、第2原稿から読み取られた第2原稿画像の傾きを補正しない第2出力画像を出力する。
【0008】
本発明のプログラムは、コンピューターを、読取り部により原稿から読み取られた原稿画像に基づいて、出力画像を出力する制御部、として機能させるプログラムであって、制御部は、第1原稿が読み取られたときに、出力画像として、第1原稿から読み取られた第1原稿画像の傾きを補正した第1出力画像を出力し、第1原稿と対応する頂点の角度がいずれも一致し且つ第1原稿とは形状が異なる第2原稿が読み取られたときに、出力画像として、第2原稿から読み取られた第2原稿画像の傾きを補正しない第2出力画像を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る読取り装置の外観斜視図である。
図2】読取り装置の内部構造を示す図である。
図3】読取り装置の制御構成を示すブロック図である。
図4】長原稿、長々原稿および非長原稿を示す図である。
図5】原稿画像をxy座標上に表した図である。
図6】辺傾き量が原稿傾き量と同じ画像辺の数と、原稿の形状とに応じて、傾き補正を行うか否かを示す図である。
図7】傾き補正に関する制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8】原稿画像から抽出されたサンプリング座標を示す図である。
図9】第1原稿が読み取られた場合には傾き補正が行われ、第2原稿が読み取られた場合には傾き補正が行われないことを示す図である。
図10】第1原稿および第2原稿の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、読取り装置の一実施形態について説明する。
図1および図2に示すように、読取り装置1は、本体ケース3と、開閉カバー5とを備えている。本体ケース3は、略直方体状に形成されている。開閉カバー5は、開閉カバー5の端部を支点として回転可能に本体ケース3に取り付けられており、本体ケース3の上面に設けられた載置部7を開閉する。
【0011】
載置部7には、ユーザーにより原稿Dが載置される。載置部7は、フラットベッド型のものであり、例えば、透光性のガラス板によって構成されている。
【0012】
本体ケース3の上面には、載置部7のほか、タッチパネル9と、操作ボタン11と、カバー検出部15とが設けられている。タッチパネル9は、各種画面を表示すると共に、ユーザーからの各種操作を受け付ける。操作ボタン11には、例えば、電源ボタン、メニューボタンなどが含まれる。カバー検出部15は、開閉カバー5の開閉状態に応じて異なる検出信号を出力する。
【0013】
本体ケース3内には、キャリッジ17と、キャリッジモーター19とが設けられている。キャリッジ17は、所定の副走査方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ17には、読取り部21が搭載されている。キャリッジモーター19は、キャリッジ17を副走査方向に往復移動させる駆動源である。読取り部21は、原稿Dを走査することにより、原稿Dを読み取る。読取り部21は、光源23と、イメージセンサー25とを備えている。光源23は、原稿Dに対して光を照射する。イメージセンサー25は、原稿Dからの反射光を受光することにより、副走査方向に直交する主走査方向に沿って画像を1ラインずつ読み取り、読取り信号を出力する。
【0014】
開閉カバー5には、ADF27(Auto Document Feeder)が設けられている。ADF27は、セットトレイ31と、搬送経路33と、排出トレイ35と、搬送モーター37とを備えている。セットトレイ31には、ユーザーにより原稿Dがセットされる。セットトレイ31には、セットトレイ31上の原稿Dを検出する原稿検出部39が設けられている。搬送経路33には、供給ローラー41と、複数の搬送ローラー対43とが設けられている。供給ローラー41は、セットトレイ31にセットされた原稿Dを、搬送経路33に供給する。搬送ローラー対43は、供給ローラー41によって供給された原稿Dを、排出トレイ35に向けて搬送する。搬送モーター37は、供給ローラー41および搬送ローラー対43の駆動源である。ADF27は、複数枚の原稿Dがセットトレイ31にセットされたときには、複数枚の原稿Dを、1枚ずつ、自動的に搬送する。
【0015】
このように構成された読取り装置1は、ADF27により搬送される原稿Dを読み取る搬送読取りモードと、載置部7に載置された原稿Dを読み取る載置読取りモードとを実行可能である。すなわち、読取り装置1は、原稿検出部39により、ADF27のセットトレイ31に原稿Dがセットされていることが検出されたときには、搬送読取りモードを実行し、セットトレイ31に原稿Dがセットされていないことが検出されたときには、載置読取りモードを実行する。
【0016】
図3に基づいて、読取り装置1の制御構成について説明する。読取り装置1は、制御部49を備えている。制御部49は、CPU51(Central Processing Unit)と、制御用記憶部53と、AFE55(Analog Front End)と、データ処理部57と、画像用記憶部59と、インターフェース61とを備えている。制御部49は、コンピューターの一例である。なお、CPU51に代えて、或いはCPU51と協働させてASICなどを用いても良い。これら、CPUやASICは通常、プロセッサーと呼ばれる。
【0017】
CPU51は、読取り装置1全体を統括的に制御する。制御用記憶部53には、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、データや演算結果等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などが含まれる。AFE55は、イメージセンサー25から出力された、アナログ信号である読取り信号を、デジタル信号に変換する。データ処理部57は、AFE55から出力されたデジタル信号に対して各種補正を行い、原稿Dの画像データを生成する。画像データは、RGBデータであるが、これに限定されず、例えば、CMYデータでもよい。画像用記憶部59は、生成された画像データを記憶する。画像用記憶部59としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などを用いることができる。インターフェース61は、画像データを外部装置101に出力する。なお、外部装置101としては、例えば、パソコン、サーバー装置などを用いることができる。
【0018】
図4に基づいて、長原稿Da、長々原稿Dbおよび非長原稿Dcについて説明する。原稿Dは、原稿Dから読み取られた原稿画像63の同傾外接矩形である外接画像67(図5参照)の、短辺の長さQに対する長辺の長さPの比である原稿長短比r(=P/Q)に応じて、長原稿Da、長々原稿Dbおよび非長原稿Dcに分類される。ここで、原稿画像63の同傾外接矩形とは、原稿画像63の外接矩形のうち、傾き量が後述する原稿傾き量Eと一致する外接矩形を意味する。また、原稿画像63の外接矩形とは、頂点及び辺の全ての点が原稿画像63の外側又は周上にある矩形のうち、一辺を少しでも内側に平行移動させれば、その辺のいずれかの点が原稿画像63の内側に位置することになる矩形を意味する。
【0019】
長原稿Daとは、原稿長短比rが第1原稿閾値r1以上且つ第2原稿閾値r2より小さい原稿Dをいう。長原稿Daとしては、例えば、A4判やB5判等の定形紙、伝票用紙などを挙げることができる。長々原稿Dbとは、原稿長短比rが第2原稿閾値r2以上の原稿Dをいう。長々原稿Dbとしては、例えば、レシートやクーポン券のように、ロール紙から切り取られた紙片などを挙げることができる。非長原稿Dcとは、原稿長短比rが第1原稿閾値r1より小さい原稿Dをいう。非長原稿Dcとしては、ラベル、シール、型抜き印刷物などを挙げることができる。
【0020】
第1原稿閾値r1は、1より大きい値であれば特に限定されないが、例えば、r1=1.29であり、この値は、定形用紙のなかで原稿長短比rが最小となるレターサイズの原稿長短比rに相当する。第2原稿閾値r2は、第1原稿閾値r1より大きい値であれば特に限定されないが、例えば、r2=2である。なお、上述のように原稿Dは、同傾外接矩形を用いて分類を行う。長原稿Da、長々原稿Dbおよび非長原稿Dcは、いずれも、その形状は矩形に限定されず、例えば、平行四辺形、台形、円形、星形などでもよい。
【0021】
次に、元々は長方形状だが右辺の折れた原稿Dから読み取られた原稿画像63を例に説明する。図5は、画像データに含まれる原稿画像63を、xy座標上に表したものであり、x方向が主走査方向に対応し、y方向が副走査方向に対応する。原稿画像63には、原稿Dの上辺に対応する上辺画像65t、原稿Dの下辺に対応する下辺画像65b、原稿Dの左辺に対応する左辺画像65l、および原稿Dの右辺に対応する右辺画像65rが含まれる。なお、図5では、折れた右辺が原稿画像63において仮想的に2点鎖線で示されている。
【0022】
ユーザーにより原稿Dが載置部7或いはセットトレイ31に対して傾いた状態でセットされると、原稿Dから読み取られた原稿画像63が、x方向およびy方向に対して傾くことになる。原稿画像63がx方向およびy方向に対して傾いている場合、原稿画像63の傾き補正、すなわち、原稿画像63の傾き量である原稿傾き量Eに基づいて、原稿画像63を回転させる画像処理を行うことが好ましい。ここで、原稿傾き量Eは、x方向およびy方向を基準とした傾き量である。また、上述したように、原稿画像63の同傾外接矩形である外接画像67は、原稿画像63に外接する矩形であるとともに、上辺や下辺のx方向に対する傾き量、或いは外接画像67の左辺や右辺のy方向に対する傾き量が原稿傾き量Eと同じである矩形の画像を意味する。
【0023】
もっとも、図5に示した原稿画像63のように、原稿Dの辺が折れていたり破れていたりすると、辺画像65の傾き量である辺傾き量Cが、原稿画像63の傾き量である原稿傾き量Eと異なることになる。なお、上辺画像65t或いは下辺画像65bの辺傾き量Cは、基準方向の一例であるx方向に対する傾き量を意味し、左辺画像65l或いは右辺画像65rの辺傾き量Cは、基準方向の一例であるy方向に対する傾き量を意味する。
【0024】
そして、辺画像65の4辺のうちの3辺以上について、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと異なっていると、読取り装置1が、傾き補正を行う際に誤って、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと異なる辺画像65を基準に原稿傾き量Eを求めるおそれがあるため、求められた原稿傾き量Eが、信頼性の低いものとなってしまう。
【0025】
そこで、読取り装置1は、図6に示すように、辺画像65の4辺のうち、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ辺画像65の数が4または3である場合には、傾き補正を行うが、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ辺画像65の数が1以下である場合には、傾き補正を行わないようになっている。そして、読取り装置1は、長々原稿Dbについては、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ辺画像65の数が2以下である場合にも、向かい合う2つの長辺と向かい合う2つの短辺から成る辺画像65のうち、向かい合う2つの長辺において辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ場合には、傾き補正を行う。これは、長々原稿Dbについては、原稿画像63の外接画像67の長辺の長さが短辺の長さに対して圧倒的に支配的であることから、長辺の辺画像65を基準として原稿傾き量Eが求められるため、2つの長辺の辺画像65において辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じであれば、求められた原稿傾き量Eが、信頼性の高いものとなるからである。
【0026】
本願において辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じであるとは、厳密に一致しているものに限らず、ユーザーに気にされない程度の違いは許容するものである。具体的には、読取り装置1は、詳細は後述するが、各辺画像65の辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じか否かを、辺傾き量Cと原稿傾き量Eとの差に相当する傾き差Vが、傾き差閾値Vthよりも小さいか否か、により判断している。
【0027】
ここで、原稿Dが長原稿Da或いは長々原稿Dbである場合には、傾き差閾値Vthは比較的大きな値であることが好ましい。これは、長原稿Da或いは長々原稿Dbは、上述したように、定形用紙、伝票用紙、ロール紙の紙片などであり、ユーザーにより粗雑に扱われることがあるため、辺が折れたり破れたりすることが少なくない。このため、傾き差閾値Vthが小さな値であると、例えば長方形状の長原稿Daが読み取られた場合に、長原稿Daの辺が僅かに折れたり破れたりしているだけでも、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ辺画像65の数が2以下であると判断されてしまい、傾き補正が行われないおそれがあるためである。
【0028】
これに対し、原稿Dが非長原稿Dcである場合には、傾き差閾値Vthは比較的小さな値であることが好ましい。これは、非長原稿Dcは、上述したように、ラベル、シール、型抜き印刷物などであり、形状が元々矩形でないものも多い。このため、傾き差閾値Vthが大きな値であると、例えば平行四辺形状の非長原稿Dcが傾くことなくセットされた場合にも、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ辺画像65の数が4であると判断され、ユーザーの意に反して傾き補正が行われてしまうおそれがあるからである。また、非長原稿Dcは、ラベル、シール、型抜き印刷物などであり、ユーザーにより比較的丁寧に扱われるため、辺が折れたり破れたりすることが少ない。このため、傾き差閾値Vthが小さな値であっても、例えば正方形状の非長原稿Dcが読み取られた場合には、辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じ辺画像65の数が4であると判断され、傾き補正が行われるからである。
【0029】
そこで、読取り装置1は、詳細は後述するが、傾き差閾値Vthとして、原稿長短比rに対して、単調増加する値を用いている。なお、単調増加とは、広義単調増加、すなわち、原稿長短比rが増加すると傾き差閾値Vthが増加するか変動しないことを意味するが、狭義単調増加、すなわち、原稿長短比rが増加すると傾き差閾値Vthが増加する構成でもよい。
【0030】
図8を参照しつつ、図7を参照して、制御部49が実行する傾き補正に関する制御処理の一連の流れについて説明する。なお、以下の制御処理は、制御用記憶部53に記憶された制御プログラムをCPU51が実行することにより実現されるが、ハードウェアのみにより実現される構成でもよい。
【0031】
制御部49は、ステップS01において、原稿Dから得られた画像データの各画素のRGB値を、輝度Yに変換する。制御部49は、例えば、式(1)に基づいて、RGB値を輝度Yに変換する。
Y=0.30×R+0.59×G+0.11×B (1)
【0032】
制御部49は、ステップS02において、原稿画像63のエッジを検出する。このエッジの検出は周知の手法を使っても良いが、本実施形態では、制御部49は、注目画素の輝度Yと、注目画素の上下左右に隣接する各画素の輝度Yとの差である輝度差ΔYを算出する。続いて、制御部49は、注目画素の上下左右に隣接する4画素のうち、輝度差ΔYが輝度差閾値ΔYth以上となる画素が、1つでも存在する場合には、注目画素をエッジ画素と判定し、1つも存在しない場合には、注目画素を非エッジ画素と判定する。
【0033】
制御部49は、ステップS03において、原稿傾き量Eと、外接画像67の幅Lおよび高さM(図5参照)を算出する。まず、制御部49は、図8に示すように、上下方向つまりx方向に延びる画素列ごとに、原稿画像63の上端から下端にエッジ画素を探索し、最初に発見したエッジ画素の座標を、上辺画像65tのサンプリング座標69として記録し、これを繰り返し行うことで、上辺画像65tのサンプリング座標群71tを求める。制御部49は、同様にして、下辺画像65bのサンプリング座標群71b、左辺画像65lのサンプリング座標群71l、および右辺画像65rのサンプリング座標群71rを求める。続いて、制御部49は、上辺画像65tについて、サンプリング座標群71tを構成する複数のサンプリング座標69のなかの2点のサンプリング座標69の全組合せに対し、各組2点のサンプリング座標69のx方向の変化量(Δx1)とy方向の変化量(Δy1)とに基づいて、複数の2点間傾き量Kを求める。制御部49は、同様にして、下辺画像65b、左辺画像65lおよび右辺画像65rについても、それぞれ複数の2点間傾き量Kを求める。なお、上辺画像65tの2点間傾き量Kおよび下辺画像65bの2点間傾き量Kは、(Δy1/Δx1)により与えられ、左辺画像65lの2点間傾き量Kおよび右辺画像65rの2点間傾き量Kは、(Δx1/Δy1)により与えられる。制御部49は、辺画像65ごとに求めた複数の2点間傾き量Kを、4辺分併せて昇順に並び替え、その中央値を、原稿傾き量Eとする。
【0034】
続いて、制御部49は、原稿傾き量Eと各辺のサンプリング座標群71とに基づいて、原稿傾き量Eと一致する傾き量をもち各辺のサンプリング座標群71に外接する矩形である外接画像67の座標を求める。続いて、制御部49は、外接画像67の座標と、原稿傾き量Eとに基づいて、外接画像67の幅Lと、外接画像67の高さMとを求める。すなわち、制御部49は、原稿傾き量Eに基づいて外接画像67の座標を補正し、外接画像67の各辺がX方向またはY方向と並行になるようにする。そして、補正後の外接画像67のx方向の長さを幅Lとし、y方向の長さを高さMとする。
【0035】
制御部49は、ステップS04において、各辺画像65について、辺傾き量Cと原稿傾き量Eとの差に相当する傾き差Vを算出する。まず、制御部49は、上辺画像65tのサンプリング座標群71tを、原稿傾き量Eで補正し、補正したサンプリング座標群71tを構成する複数のサンプリング座標69の各y座標を、昇順に並び替える。続いて、制御部49は、y座標が所定の順位にある2点のサンプリング座標69について、x方向の変化量(Δx2)とy方向の変化量(Δy2)とに基づいて、上辺画像65tの傾き差Vtを求める。このように、y座標が所定の順位にある2点のサンプリング座標69に基づいて傾き差Vtを求めることで、例えばミシン目のように、原稿Dの辺に形成された凹凸部の影響を受けることなく、傾き差Vtを求めることができる。制御部49は、同様にして、下辺画像65bの傾き差Vb、左辺画像65lの傾き差Vl、および右辺画像65rの傾き差Vrを求める。なお、2点間傾き量Kと同様に、上辺画像65tの傾き差Vtおよび下辺画像65bの傾き差Vbは、(Δy2/Δx2)により与えられ、左辺画像65lの傾き差Vlおよび右辺画像65rの傾き差Vrは、(Δx2/Δy2)により与えられる。
【0036】
制御部49は、ステップS05において、傾き差閾値Vthを算出する。まず、制御部49は、ステップS05で求めた、外接画像67の幅Lと高さMとを比較し、長い方の長さをP、短い方の長さをQとする。続いて、制御部49は、原稿長短比rを、式(2)に基づいて算出する。
r=P/Q (2)
【0037】
続いて、制御部49は、式(3)および式(4)に基づいて、傾き差閾値Vthを算出する。
r≧r1の場合、Vth=Vthmax (3)
r<r1の場合、Vth=w×Vthmax+(1-w)×Vthmin (4)
【0038】
式(3)および式(4)において、最大傾き差閾値Vthmaxおよび最小傾き差閾値Vthminの値は、Vthmax>Vthminであれば特に限定されないが、例えば、以下の値を取り得る。
thmax=0.1 または 0.121
thmin=0.03 または 0.029
この最大傾き差閾値Vthmaxの値は、A6判の短辺の長さ(105mm)と、原稿Dにおける一般的な余白の寸法(12.7mm)とに基づいて定められたものである。また、最小傾き差閾値Vthminの値は、A6判の短辺の長さ(105mm)と、原稿画像63の切出し精度(3mm)とに基づいて定められたものである。
【0039】
また、式(4)における重み係数wは、式(5)により与えられる。
w=(r-rmin)/(r1-rmin) (5)
ここで、rminの値は、特に限定されないが、例えば、rmin=1である。
【0040】
制御部49は、ステップS06において、次のように、原稿画像63の傾き補正を行うか否かを判断する。
r≧r2の場合には、条件1ないし条件4のうち、満足する条件の数が3以上である場合には、傾き補正を行い、満足する条件の数が1以下である場合には、傾き補正を行わない。満足する条件の数が2である場合には、外接画像67の幅Lを長辺とするときには、条件1および条件2を満足すれば、傾き補正を行い、外接画像67の高さMを長辺とするときには、条件3および条件4を満足すれば、傾き補正を行う。そのほかの場合には、傾き補正を行わない。
r<r2の場合には、条件1ないし条件4のうち、満足する条件の数が3以上である場合には、傾き補正を行い、満足する条件の数が2以下である場合には、傾き補正を行わない。
条件1:Vt≦Vth
条件2:Vb≦Vth
条件3:Vl≦Vth
条件4:Vr≦Vth
このように、制御部49は、各辺画像65の辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じであるか否かを、条件1ないし条件4の各条件を満足するか否かにより判断する。
【0041】
制御部49は、ステップS06において、原稿画像63の傾き補正を行うと判断した場合、ステップS07に進み、ステップS03で求めた原稿傾き量Eを用いて、原稿画像63の傾き補正を行い、ステップS08に進む。一方、制御部49は、ステップS06において、原稿画像63の傾き補正を行わないと判断した場合、原稿画像63の傾き補正を行うことなく、ステップS08に進む。制御部49は、ステップS08にて、ゴミ除去などの画像処理を行い、原稿画像63を出力した後、制御処理を終了する。
【0042】
以上のように、原稿長短比rが第1原稿閾値r1より大きい場合、すなわち、原稿Dが長原稿Da或いは長々原稿Dbである場合には、傾き差閾値Vthとして最大傾き差閾値Vthmaxが用いられる。これにより、各辺画像65の傾き差Vが、傾き差閾値Vthより小さくなりやすくなるため、条件1ないし条件4の各条件を満足する、すなわち辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じであると判断され、原稿画像63の傾き補正が行われやすくなる。したがって、長原稿Da或いは長々原稿Dbが僅かに折れていたり破れていたりする場合にも、原稿画像63の傾き補正を行うことができる。
【0043】
一方、原稿長短比rが第1原稿閾値r1より小さい場合、すなわち、原稿Dが非長原稿Dcである場合には、傾き差閾値Vthとして最大傾き差閾値Vthmaxより小さい値が用いられる。これにより、各辺画像65の辺傾き量Cが、傾き差閾値Vthより大きくなりやすくなるため、条件1ないし条件4の各条件を満足しない、すなわち辺傾き量Cが原稿傾き量Eと同じではないと判断され、原稿画像63の傾き補正が行われにくくなる。したがって、非長原稿Dcが傾くことなくセットされた場合に、ユーザーの意に反して傾き補正が行われてしまうことを抑制することができる。
【0044】
また、原稿長短比rが第2原稿閾値r2より大きい場合、すなわち、原稿Dが長々原稿Dbである場合には、4条件のうち2条件しか満足しない場合にも、向かい合う2つの長辺について、傾き差Vが傾き差閾値Vthより小さければ、原稿画像63の傾き補正が行われる。したがって、例えば長々原稿Dbがレシートであり、向かい合う2つの短辺が大きく折れていたり、ロール紙から切り離された辺が汚く破れていたりする場合にも、原稿画像63の傾き補正を行うことができる。
【0045】
上述の実施の形態においては、対応する頂点の角度がいずれも一致している四角形であっても、自動で傾き補正する場合と自動で傾き補正しない場合とが分かれることがある。具体的には、例として、図9に基づいて、読取り装置1が、第1原稿D1と、第2原稿D2とをそれぞれ読み取った場合に、出力する原稿画像63について説明する。第1原稿D1は、長原稿Daであり、制御部49により、図7に示したステップS06において、r<r2であり、条件1、条件2および条件3を満足し条件4は満足しない、と判断される形状を有している。このため、読取り装置1は、第1原稿D1を読み取った場合には、第1原稿D1から読み取られた第1原稿画像に対して傾き補正を行った第1出力画像73を出力する。
【0046】
一方、第2原稿D2は、非長原稿Dcであり、第1原稿D1と対応する頂点の角度がいずれも一致している。もっとも、上述したように、非長原稿Dcの場合、長原稿Daの場合より傾き差閾値Vthとして小さな値が用いられるため、第2原稿D2は、制御部49により、ステップS06において、r<r2であり、条件1および条件2を満足し条件3および条件4は満足しない、と判断される形状を有している。このため、読取り装置1は、第2原稿D2を読み取った場合には、第2原稿D2から読み取られた第2原稿画像に対して傾き補正を行わない第2出力画像75を出力する。
【0047】
図10は、第1原稿D1および第2原稿D2の他の例を示す。第1原稿D1は、長々原稿Dbであり、制御部49により、ステップS06において、r≧r2であり、外接画像67の幅Lを長辺とするときに条件1および条件2を満足し条件3および条件4は満足しない、と判断される形状を有している。のため、読取り装置1は、第1原稿D1を読み取った場合には、第1原稿D1から読み取られた第1原稿画像に対して傾き補正を行った第1出力画像73を出力する。
【0048】
一方、第2原稿D2は、長原稿Daであり、第1原稿D1と対応する頂点の角度がいずれも一致している。第2原稿D2は、制御部49により、ステップS06において、r<r2であり、条件1および条件2を満足し条件3および条件4は満足しない、と判断される形状を有している。このため、読取り装置1は、第2原稿D2を読み取った場合には、第2原稿D2から読み取られた第2原稿画像に対して傾き補正を行わない第2出力画像75を出力する。なお、図9図10の例ではともに、第1原稿D1と、第2原稿D2とはともに凸四角形であり、図の上下の辺が第1原稿D1の方が第2原稿D2よりも長いものとしている。
【0049】
(その他の変形例)
読取り装置1は、上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。
【0050】
制御部49は、外接画像67として、原稿画像63の同傾外接矩形を用いずに、代わりに、原稿画像63の外接矩形のうち、最も面積が小さい外接矩形である最小外接矩形など、ほかの外接矩形を用いるようにしてもよい。
【0051】
制御部49は、原稿長短比rを、傾き差閾値Vthを求める要素として用いたが、この構成に限定されるものではない。例えば、制御部49は、原稿長短比rが所定の値より大きい場合には、傾き差Vが傾き差閾値Vthより小さくなる辺画像65の数に応じて、原稿画像63の傾き補正を行うが、原稿長短比rが所定の値より小さい場合には、傾き差Vが傾き差閾値Vthより小さくなる辺画像65の数にかかわらず、原稿画像63の傾き補正を行わない構成でもよい。
【0052】
制御部49は、傾き差Vが傾き差閾値Vthより小さくなる辺画像65の数が、3以上のときに、原稿画像63の傾き補正を行うと判断するが、その判断基準となる数は、3に限定されず、1以上の整数であればよい。また、制御部49は、傾き差Vが傾き差閾値Vthより小さくなる辺画像65の数が、3などの所定の数以下のときに、原稿画像63の傾き補正を行うと判断してもよい。
【0053】
読取り部21は、原稿Dを走査することにより原稿Dを読み取る構成に限定されず、例えば、カメラを読取り部21として機能させてもよい。
【0054】
読取り部21は、原稿画像63に基づいて、原稿長短比rを取得する構成に限定されず、例えば、タッチパネル9から入力された原稿Dのサイズに基づいて、原稿長短比rを取得する構成でもよい。
【0055】
制御部49は、傾き補正を行わなかった場合に、ユーザーに手動で回転角度を指定させ、ユーザーに指定された回転角度で回転させる手動傾き補正を行うようにしてもよい。
【0056】
制御部49は、読み取った画像を縮小してデータ量を減少させた解析用画像を用いてS01からS06までの処理を行い、読み取った画像に対して傾き補正を行うか否かを判断してもよい。
【0057】
制御部49は、読み取った画像に対して複数の画像処理を行うに当たり、傾き補正を行う順番は限定されない。傾き補正を行うかどうかの判断と、傾き補正を行う場合の傾き補正とは、連続して行う必要は無く、判断を行った後に別の画像処理を行い、その後に傾き補正を行う、というようにしてもよい。
【0058】
読取り装置1は、読取り機能だけでなく、コピー機能、ファクシミリ機能などを兼ね備えた構成でもよい。すなわち、「読取り装置」は、読取り機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備えた複合機を含む概念である。そして、出力とは、画像データとしての外部装置への出力だけでなく、表示機構を用いた表示出力や印刷機構を用いた印刷出力を含む概念である。
【0059】
制御プログラムがインストールされた情報処理装置が備えるコンピューターを、読取り装置1の制御部49と同様に機能させてもよい。情報処理装置としては、例えば、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などを用いることができる。この場合、情報処理装置は、読取り部を備えている必要はなく、他の装置により原稿Dから読み取られた原稿画像63を取得すればよい。
【0060】
制御プログラムを、コンピューターで読取り可能な記録媒体(CD-ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供してもよい。
【0061】
上記した実施形態や変形例を、それぞれ組み合わせた構成でもよい。
【0062】
(付記)
以下、読取り装置およびプログラムについて付記する。
【0063】
読取り装置は、原稿を読み取る読取り部と、原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、傾き補正を行うと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、を備えた。
【0064】
プログラムは、コンピューターを、読取り部により原稿から読み取られた原稿画像の外接矩形の形状に基づいて、原稿画像の傾き補正を行うか否かを判断する判断部と、傾き補正を行うと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行った画像を出力し、傾き補正を行わないと判断した場合には、原稿画像に対して傾き補正を行わない画像を出力する出力部と、として機能させる。
【0065】
この構成によれば、原稿から読み取られた原稿画像が矩形でない場合に、原稿画像の外接矩形の形状に応じて、原稿画像の傾き補正を行うことができる。
【0066】
この場合、判断部は、原稿画像の傾き補正の基準となる基準方向に対する傾き量である原稿傾き量と、原稿画像の辺である辺画像の基準方向に対する傾き量である辺傾き量と、の差に相当する傾き差が傾き差閾値より小さくなる辺画像の数が、n以上(nは1以上の整数)のときに、原稿画像の傾き補正を行うと判断し、傾き差が傾き差閾値より小さくなる辺画像の数が、nより少ないときに、原稿画像の傾き補正を行わないと判断することが好ましい。
【0067】
この構成によれば、辺傾き量が原稿傾き量と異なる辺画像を基準として、原稿傾き量が求められることを抑制することができる。
【0068】
この場合、判断部は、傾き差閾値として、原稿の外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比に対して、単調増加する値を用いることが好ましい。
【0069】
この構成によれば、原稿長短比が大きい原稿については、原稿が僅かに折れていたり破れていたりする場合にも、原稿画像の傾き補正を行うことができる。これに対し、原稿長短比が小さい原稿については、原稿が傾くことなくセットされた場合に、誤って傾き補正が行われてしまうことを抑制することができる。
【0070】
この場合、判断部は、nの値として、n=3またはn=4を用い、判断部は、傾き差が傾き差閾値より小さくなる辺画像の数が、nより少ないときでも、向かい2つの長辺と向かい合う2つの短辺とから成る辺画像のうち、向かい合う2つの長辺において傾き差が傾き差閾値より小さければ、原稿画像の傾き補正を行うことが好ましい。
【0071】
この構成によれば、向かい合う2つの短辺が大きく折れていたり破れていたりする場合にも、原稿画像の傾き補正を行うことができる。
【0072】
読取り装置は、原稿を読み取る読取り部と、原稿から読み取られた原稿画像に基づいて、出力画像を出力する制御部と、を備え、制御部は、第1原稿が読み取られたときに、出力画像として、第1原稿から読み取られた第1原稿画像の傾きを補正した第1出力画像を出力し、第1原稿と対応する頂点の角度がいずれも一致し且つ第1原稿とは形状が異なる第2原稿が読み取られたときに、出力画像として、第2原稿から読み取られた第2原稿画像の傾きを補正しない第2出力画像を出力する。
【0073】
プログラムは、コンピューターを、読取り部により原稿から読み取られた原稿画像に基づいて、出力画像を出力する制御部、として機能させるプログラムであって、制御部は、第1原稿が読み取られたときに、出力画像として、第1原稿から読み取られた第1原稿画像の傾きを補正した第1出力画像を出力し、第1原稿と対応する頂点の角度がいずれも一致し且つ第1原稿とは形状が異なる第2原稿が読み取られたときに、出力画像として、第2原稿から読み取られた第2原稿画像の傾きを補正しない第2出力画像を出力する。
【0074】
この構成によれば、読取り装置は、第1原稿を読み取った場合には、傾き補正が行われた第1出力画像を出力し、第2原稿を読み取った場合には、傾き補正が行われていない第2出力画像を出力するように、切り替えることができる。
【0075】
この場合、第1原稿の最小外接矩形の短辺の長さに対する長辺の長さの比である原稿長短比よりも、第2原稿の最小外接矩形の原稿長短比が小さい場合に、制御部は、第1出力画像と第2出力画像とを出力する、ことが好ましい。
【0076】
この構成によれば、原稿長短比が大きい第1原稿を読み取った場合には、傾き補正が行われた第1出力画像を出力し、原稿長短比が小さい第2原稿を読み取った場合には、傾き補正が行われていない第2出力画像を出力する。
【0077】
この場合、第1原稿及び第2原稿はともに、凸四角形であり、第1原稿の対向する2つの辺は、それぞれが対応する第2原稿の辺よりも長い、ことが好ましい。
【0078】
この構成によれば、対向する2つの辺が長い第1原稿を読み取った場合には、傾き補正が行われた第1出力画像を出力し、対向する2つの辺が短い第2原稿を読み取った場合には、傾き補正が行われていない第2出力画像を出力する。
【符号の説明】
【0079】
63…原稿画像、65b…下辺画像、65l…左辺画像、65r…右辺画像、65t…上辺画像、67…外接画像、C…辺傾き量、E…原稿傾き量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10