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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20221220BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C08L67/02
C08L83/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018177175
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2019167517
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2018057076
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】曽山 誠
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/101291(WO,A1)
【文献】特開2012-72351(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094901(WO,A1)
【文献】特開平9-25398(JP,A)
【文献】特開2008-195859(JP,A)
【文献】特開2004-263158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L67/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルと、該ポリエステルに対し0.1質量%以上、6質量%以下の範囲の式(1)で表されるポリシロキサン化合物と、を配合し、該式(1)で表されるポリシロキサン化合物は数平均分子量が900以上120000以下である樹脂組成物であって、前記ポリエステルが、テレフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸ジメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから選ばれる少なくとも1種以上のジオールと、の反応物である熱可塑性ポリエステルである樹脂組成物。
【化1】
(式中、R3、R4、R5、R6、R7は炭素数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基又は-(CH2α-NH-C65(αは1~8の整数)を表し、それぞれ同一若しくは異なっていてもよく、ハロゲン原子で全部若しくは一部が置換されていてもよく、R8、R9は2価の有機基を表し、m、pはそれぞれm≧0、p>0の数値を表す。)
【請求項2】
さらに、前記ポリエステルに対し0.01質量%以上、6質量%以下の範囲の式(2)で表されるスルホン酸塩を配合してなる、請求項に記載の樹脂組成物。
10-SO3+ (2)
(式中、R10は炭素数1~40のアルキル基、炭素数6~40のアラルキル基、又は炭素数6~40のアリール基を表し、M+は金属イオン又は有機オニウムイオンを表す。)
【請求項3】
前記ポリエステルと前記ポリシロキサン化合物とが化学結合又は水素結合により相互作用している、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物により成形された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関し、詳しくは、ポリエステル及びポリシロキサンが配合された樹脂組成物であり、その成形品に、防塵性及び皮脂汚れなどの洗浄性が改良され、さらに高度な耐衝撃性を付与する樹脂組成物及びその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、優れた耐熱性、機械的特性、電気的特性などにより、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電気・電子機器、自動車分野、建築分野など様々な分野において幅広く利用されている。ポリエステルは表面固有抵抗が大きく、その成形品は、接触や摩擦などで誘起された静電気により、表面への埃の付着が生じる。そのため、不特定多数の人が触れるATMやPOS端末などの電子機器等では、埃の付着のしにくさ、また皮脂汚れなどの洗浄性が求められる。これらの要望に対応するため、ポリエステルが本来有する機械的特性等を維持した上で、帯電防止性や皮脂汚れ等の洗浄性を付与することが望まれている。すなわち、良好な帯電防止性と洗浄性と共に、耐衝撃性に優れた成形品が得られる樹脂組成物が求められている。
【0003】
ポリエステルの改質を図るため、ポリエステルにポリシロキサン化合物を配合してポリシロキサン変性ポリエステルとすることが知られている。例えば、直鎖状ポリエステル樹脂と特定のポリシロキサン化合物とを反応させ、耐摩耗性を付与したポリシロキサン変性ポリエステル(特許文献1)、ポリシロキサン構造を主鎖中に導入し、成形品の強度低下等を抑制したポリエステル樹脂組成物(特許文献2、3)、ポリエステル単位からなるセグメントと反応性基含有オルガノポリシロキサンのセグメントを含み、成形性等に優れるシリコン変性ポリエステル(特許文献4)、ポリ乳酸系樹脂と有機ポリシロキサンとを含有し、耐衝撃性等を有するポリ乳酸系樹脂組成物(特許文献5-7)等が挙げられる。
【0004】
一方、ポリエステル成形品の汚れの付着を防止する方法として、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸ホスホニウム塩等のイオン性界面活性剤を配合し、帯電を防止する方法が知られている。このようなイオン性界面活性剤による帯電防止性能は、界面活性剤を添加した樹脂組成物の成形品から界面活性剤の一部が表面に析出することにより発現される。しかしながら、ポリエステルにポリシロキサン化合物など表面張力の低い化合物が添加された樹脂組成物の成形品においては、成形品の表面に析出した界面活性剤の上にポリシロキサン化合物が析出するため、帯電防止性能が著しく低下してしまう。ポリシロキサン構造を有するポリエステルを含む樹脂組成物から得られる成形品において、ブリードアウトが抑制され、耐衝撃性と共に、帯電防止機能を備え、さらに、防塵性、洗浄性を有することが求められている。
【0005】
ところで、ポリシロキサン変性ポリエステルを製造するには、一般に、(1)ポリシロキサン化合物とポリエステルとを、直接、混練する方法や、(2)ポリエステルを重縮合反応にて得る際に、反応性官能基を有するポリシロキサン化合物を反応成分の一つとして反応系に加え、生成するポリエステルにポリシロキサン化合物を化学的に結合させることにより、ポリシロキサン変性ポリエステルを製造する方法等が用いられている。
【0006】
しかしながら、前記(1)の方法にあっては、簡便な方法であるが、得られるポリシロキサン変性ポリエステルが単にポリエステルとポリシロキサン化合物のブレンド体であったり、ポリシロキサン化合物とポリエステルが反応しても、ポリエステル化合物の極一部が化学的に反応するに過ぎず、未反応のポリシロキサン化合物が多量に混在したりする。そのため、得られるポリシロキサン変性ポリエステルを成形品としたとき、ポリシロキサン化合物が成形品の表面に滲み出す、所謂ブリードアウトと呼ばれる現象を惹起するという問題を有している。さらに、上述のように、界面活性剤の成形品の表面への析出が妨げられ、帯電防止性能が著しく低下することになる。また、前記(2)の方法においても、ポリエステルの重縮合に際してポリシロキサン化合物の反応性に問題があり、目的とするポリシロキサン変性ポリエステルが得られ難い等の問題を有している。そのため、目的とする改質効果を有するポリシロキサン変性ポリエステルを得ようと、ポリエステルを成形する単量体に対するポリシロキサン化合物の使用割合を増加させると、得られるポリエステルの重合度が低下し、以て、ポリエステルの特性が損なわれるという問題も有している。
【0007】
本発明者らは、難燃性や耐衝撃性等の機械的強度を備え、耐ブリード性を付与したポリシロキサン変性ポリ乳酸系組成物(特許文献8、9)やポリカーボネート樹脂組成物(特許文献10)を既に開示している。しかしながら、これらの樹脂組成物では、帯電防止性を備え、防塵性や洗浄性を有する樹脂成形品を得られるに至るものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平09-316185号公報
【文献】特開平10-95902号公報
【文献】特開平10-100168号公報
【文献】特開平03-205426号公報
【文献】特開平11-116786号公報
【文献】特開2004-352908号公報
【文献】特開2007-262200号公報
【文献】特許第5573833号公報
【文献】特開2012-072351号公報
【文献】特開2004-035726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ポリエステルを含む樹脂の成形品において、埃等の付着の抑制すなわち防塵性や、付着した皮脂などの洗浄性を有し、耐衝撃性を向上させることができる樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、ポリエステルの耐衝撃性、防塵性、洗浄性、難燃性などの改良について鋭意検討した。その結果、特定の構造を有するシロキサン化合物について、分子量、分子構造を選択使用し、さらに、任意に、特定のスルホン酸塩をポリエステルに溶融混練することにより、ブリードアウトを抑制し、帯電防止性能を備えることにより、防塵性や皮脂などの洗浄性に優れ、耐衝撃性が著しく向上した成形品が得られることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
すなわち、本発明は、ポリエステルと、該ポリエステルに対し0.1質量%以上、6質量%以下の範囲の式(1)で表されるポリシロキサン化合物と、を配合し、該式(1)で表されるポリシロキサン化合物は数平均分子量が900以上120000以下である樹脂組成物に関する。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R3、R4、R5、R6、R7は炭素数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基又は-(CH2α-NH-C65(αは1~8の整数)を表し、それぞれ同一若しくは異なっていてもよく、ハロゲン原子で全部若しくは一部が置換されていてもよく、R8、R9は2価の有機基を表し、m、pはそれぞれm≧0、p>0の数値を表す。)
【0014】
また本発明は、上記樹脂組成物により成形された成形品に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の樹脂組成物によれば、ポリエステルが、極性の高い式(1)で表されるポリシロキサン化合物に作用し、該ポリエステルとポリシロキサン化合物が効率的に化学結合又は水素結合により相互作用するため、樹脂組成物を有利に得ることができる。このため、本発明の樹脂組成物の成形品において、ポリシロキサン化合物の成形品表面への析出が抑制されるため、ポリエステル及び/又はスルホン酸塩による帯電防止性能が維持され、ポリエステルが本来有する耐衝撃性などの機械的特性を損なわず、ポリシロキサン構造にて与えられる各種の優れた特性を備え、優れた防汚性及び皮脂などの洗浄性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態の樹脂組成物は、ポリエステルと、該ポリエステルに対し0.1質量%以上、6質量%以下の範囲の式(1)で表されるポリシロキサン化合物と、を配合し、該式(1)で表されるポリシロキサン化合物は数平均分子量が900以上120000以下である樹脂組成物である。
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、R3、R4、R5、R6、R7は炭素数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基又は-(CH2α-NH-C65(αは1~8の整数)を表し、それぞれ同一若しくは異なっていてもよく、ハロゲン原子で全部若しくは一部が置換されていてもよく、R8、R9は2価の有機基を表し、m、pはそれぞれm≧0、p>0の数値を表す。)
【0019】
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、前記ポリエステルに対し0.01質量%以上、6質量%以下の範囲の式(2)で表されるスルホン酸塩を配合してなるものであってもよい。
10-SO3+ (2)
(式中、R10は炭素数1~40のアルキル基、炭素数6~40のアラルキル基、又は炭素数6~40のアリール基、M+は金属イオン又は有機オニウムイオンを表す。)
【0020】
上記ポリエステルとしては、通常の熱可塑性ポリエステルが用いられ、特に制限されるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート、ポリカーボネート等の芳香族ポリエステル;ポリエステルの構成成分と他の酸成分及び/又はグリコール成分(例えばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタール酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ダイマー酸のような酸成分、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコールアルキレンオキシド付加体のようなグリコール成分)を共重合したポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;芳香族ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル/ポリラクトンブロック共重合体、ポリアリレートなどの広義のポリエステルを挙げることができる。これらのうち、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0021】
また、かかる熱可塑性ポリエステルは、単独又は複数樹脂のブレンド(例えば、ポリ乳酸とポリカーボネートのブレンドなど)、若しくはそれらの共重合体(例えば、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールとの共重合体など)であってもよい。特に、融点が170℃~300℃のものが耐熱性を有する特性を示すため、好ましい。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できるが、ハロゲン原子で置換されていないものが、燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。
【0022】
ポリエステルの数平均分子量は1.5万以上、100万以下が好ましく、より好ましくは1.5万以上、20万以下、さらに好ましくは1.5万以上、10万以下である。かかる平均分子量を有するポリエステルは、製造に際し分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用して、分子量の調整を図ることができる。このような分子量を有するポリエステルは、耐衝撃性等優れた機械的特性を有する。
【0023】
尚、ポリエステルとして、下記の熱可塑性ポリエステルを用いた場合には、表面抵抗率が低く、帯電防止機能に優れるため、式(2)で表されるスルホン酸塩の使用量に依らず、あるいは、式(2)で表されるスルホン酸塩を併用しなくとも十分な防塵性を有する。したがって、該熱可塑性ポリエステルを式(1)で示されるポリシロキサン化合物と溶融混練することで、防汚性に優れた樹脂組成物となる。そのような熱可塑性ポリエステルとしては、ジカルボン酸のモノマーとして、テレフタル酸(TPA)やイソフタル酸(IPA)及びテレフタル酸ジメチル(DMT)などのジカルボン酸誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上のジカルボン酸と、ジオールのモノマーとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)から選ばれた少なくとも1種以上のジオールと、を原料として得られる熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
【0024】
式(1)で表されるポリシロキサン化合物は、ポリシロキサン構造の側鎖の少なくとも一部にジアミノ基を含む側鎖を有する。ここで、ジアミノ基を含む側鎖とは、側鎖の末端のアミノ基(-NH2)及び側鎖の主鎖中にイミノ基(-NH-)を含むものである。
【0025】
式(1)中、R3、R4、R5、R6及びR7は、炭素数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基又は-(CH2α-NH-C65(αは1~8の整数)を表し、それぞれ同一若しくは異なっていてもよく、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で全部若しくは一部が置換されていてもよい。アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基及びアルキルアリール基は、炭素数18以下のものであればよい。-(CH2α-NH-C65においては、αは1~8の整数であればよい。これらの中でも、R3、R4、R5、R6及びR7は、メチル基又はフェニル基であることが好ましい。
【0026】
8及びR9は、式(1)で表されるポリシロキサン化合物のジアミノ基を含む側鎖を構成する2価の有機基であればよく、具体的には、アルケニル基等を挙げることができる。
【0027】
pはp>0の数値を表し、ジアミノ基との関連において、適宜選択される。mはm≧0の数値を表す。p及びmは、ポリシロキサン化合物の分子量との関連において、適宜選択される。
【0028】
式(1)で表されるポリシロキサン化合物は、ポリエステルに対し0.1質量%以上、6質量%以下の範囲で配合される。該ポリシロキサン化合物の配合量は、ポリエステルに対し0.5質量%以上、6質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、5.5質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
式(1)で表されるポリシロキサン化合物は、数平均分子量が900以上120000以下である。数平均分子量は、好ましくは900以上、30000以下、さらに好ましくは、900以上、8000以下である。このような数平均分子量を有することにより、該ポリシロキサン化合物がポリエステルに効率よく結合し、また水素結合を介して相互作用を有することができ、成形品に防塵性、洗浄性を付与することができる。すなわち、本実施形態の樹脂組成物において、ポリエステルとポリシロキサン化合物とは、化学結合又は水素結合により相互作用していることが好ましい。
【0030】
式(2)で表されるスルホン酸塩において、R10は、炭素数1~40のアルキル基、炭素数6~40のアラルキル基、又は炭素数6~40のアリール基を表す。炭素数1~40のアルキル基としては、例えばドデシル基、デシル基、ブチル基、エチル基などを挙げることができ、特にドデシル基、デシル基が好ましい。炭素数6~40のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基を挙げることができ、特にベンジル基が好ましい。炭素数6~40のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ドデシルフェニル基等を挙げることができ、特にドデシルフェニル基が好ましい。これらアルキル基、アラルキル基及びアリール基は、その水素原子の一部がフッ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよく、アラルキル基及びアリール基はヘテロ原子を含んでいてもよい。スルホン酸成分として、具体的に、ドデシルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸等を挙げることができる。
【0031】
式(2)中、M+における金属イオンの金属成分としては、カリウム、ナトリウム、セシウム、及びルビジウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属を挙げることができ、有機オニウムイオンのオニウム成分としては、ホスホニウム、アンモニウム等が挙げられる。これらのうち、ナトリウム、カリウム、ホスホニウム、及びアンモニウムが好ましく、特に、ナトリウムが好ましい。これらは単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
【0032】
本実施形態の樹脂組成物が式(2)で表されるスルホン酸塩を含む場合、該スルホン酸塩は、前記ポリエステルに対し0.01質量%以上、6質量%以下の範囲で配合される。該スルホン酸塩の配合量は、ポリエステルに対し0.1質量%以上、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、4質量%以下であることがより好ましい。
【0033】
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記式(1)で表されるポリシロキサン化合物の他、ジアミノ基を有しないポリシロキサン化合物や、その他の樹脂が配合されていてもよい。また、各種の熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、蛍光増白剤、充填材、離型剤、軟化材、帯電防止剤、ドリップ防止剤等の添加剤、衝撃性改良材、他のポリマー等が配合されていてもよい。
【0034】
熱安定剤としては、例えば硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素リチウム等の硫酸水素金属塩及び硫酸アルミニウム等の硫酸金属塩等を挙げることができる。これらの熱安定剤は、ポリエステル100質量%に対して、0質量%以上0.5質量%以下の範囲で用いられる。
【0035】
充填材としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレー粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉、ホウ酸アルミニウムウィスカー等を挙げることができる。
【0036】
衝撃性改良材としては、例えばアクリル系エラストマー、ポリカーボネートエラストマー、コアシェル型のメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン系ゴム等を挙げることができる。
【0037】
ドリップ防止剤としては、例えば、樹脂中で繊維構造(フィブリル状構造)を形成する繊維形成型含フッ素ポリマーを挙げることができる。このような繊維形成型含フッ素ポリマーを配合することにより、燃焼時のドリップ現象を抑制することができる。繊維形成型含フッ素ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のテトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
【0038】
他のポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体とこれらのアクリルゴム変性物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン系ゴム(EPDM)・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリプロピレン、さらにポリエステルとアロイ化して通常使用されるポリマーを挙げることができる。
【0039】
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、ポリエステルと、式(1)で表されるポリシロキサン化合物と、必要に応じて、式(2)で表されるスルホン酸塩及び繊維形成型の含フッ素ポリマーを溶融し、剪断作用を加えて混合攪拌する方法を挙げることができる。ポリエステルをその溶融温度以上に加熱する方法としては、まず、シリンダー温度を溶融温度以上の温度、例えば、250℃以上に設定した押出機にポリエステルを供給する。ポリエステルを溶融状態にした後、押出機に式(1)で表されるポリシロキサン化合物と、任意に、式(2)で表されるスルホン酸塩を所定量供給する。そして、スクリューを所定速度で回転させて反応物に剪断力を負荷して混練して、樹脂組成物を製造することができる。ポリエステルが溶融状態であることから、ポリシロキサン化合物が効率よく結合したグラフト重合体や、ポリシロキサン化合物とポリエステルとが水素結合により相互作用した状態が得られる。
【0040】
本実施形態の成形品は、上記樹脂組成物を成形して得られるものであれば、制限されるものではなく、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電化機器などの電気・電子機器、自動車分野、建築分野の分野に適用される。成形品としては、特に、不特定多数の人が操作し得る電子機器、例えば、ATM端末やPOS端末、複合複写機、サーバー、スマートフォン端末、タブレット端末等の部品を好適に挙げることができる。これらの部品において、優れた耐衝撃性等機械的強度を備えると共に、優れた防塵性、洗浄性を有し、難燃性に優れるものである。
【0041】
これらの成形品は、例えば、射出成形法、射出・圧縮成形法等を用いて製造することができる。
【実施例
【0042】
本発明の樹脂組成物を具体的に説明する。実施例及び比較例において用いた材料は以下の通りである。
【0043】
<1.ポリエステル>
・PLA:ポリ乳酸系化合物(ネイチャーワークス社製、商品名:INGEO3251D、融点:170℃、数平均分子量:20000)
・コポリエステル:イーストマン・ケミカル社製、商品名:Tritan TX1501HF、数平均分子量:25000
<2.式(2)で表されるスルホン酸塩>
・B:スルホン酸塩(富士フイルム和光純薬工業(株)製、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
<3.式(1)で表されるアミノ基含有ポリシロキサン化合物>
・C1:側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:FZ-3705、粘度(25℃):230mm2/s、アミノ当量:4000g/mol、数平均分子量8000)
【0044】
尚、アミノ基含有ポリシロキサン化合物は、シリコーンハンドブック(日刊工業新聞社発行、p.165)等の記載に従って製造できる。具体的に、側鎖にアミノ基を有するアミノ基含有ポリシロキサン化合物は、アミノアルキルメチルジメトキシシランの加水分解により得られたシロキサンオリゴマーと環状シロキサン及び塩基性触媒を用いて合成する。また、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンと環状シロキサン及び塩基性触媒を用いることにより、両末端にアミノ基を有するポリシロキサン化合物が得られる。さらに、シロキサン化合物成分の分子量及びシロキサン化合物を構成するM単位、D単位の割合に応じて、適量のジオルガノジクロロシランの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して部分的に縮合したシロキサン化合物を形成し、さらに、トリオルガノモノクロロシランを添加して反応させ、重合終了後、溶媒を蒸留等で分離してポリシロキサン化合物を得る。
【0045】
<4.比較例に係るポリシロキサン化合物>
・C2:側鎖モノアミノ型ポリシロキサン化合物(信越化学工業(株)製、商品名:KF-865、粘度(25℃):110mm2/s、アミノ当量:5000g/mol、数平均分子量:4000)
・D:エポキシ基含有ポリシロキサン化合物(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:SF-8411、粘度(25℃):8000mm2/s、エポキシ当量:3000g/mol)
・E:ポリジメチルシロキサン化合物(信越化学工業(株)製、商品名:KF96、粘度(25℃):200mm2/s)
【0046】
[実施例1]
ポリ乳酸系化合物(PLA)と、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)とを、シリンダー温度が200℃に設定された連続混練押出機((株)KCK製、商品名:KCK80X2-35VVEX(7))に、ポリ乳酸系化合物(PLA)はホッパー口から、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)はベント口から、それぞれ供給した。この際、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)を樹脂組成物(総量)の質量に対し3.0質量%となる割合で、また、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)を樹脂組成物(総量)の質量に対し1.0質量%となる割合で、かつ1時間当たりの供給量の合計が6kgとなるように供給した。そして、スクリューを32rpmで回転させて、これらの材料を溶融剪断下において混練した後、押出機のダイス口からストランド状に押出し、それを水中で冷却し、ペレット状に切断した。得られた樹脂組成物を、80℃で5時間乾燥した後、20tの射出成形機(東芝機械(株)製、商品名:EC20P-0.4A)を用いて、シリンダー温度:200℃、金型設定温度:70℃の条件で成形し、試験片を調製した。
【0047】
得られた試験片について、以下に示す方法で、シャルピー衝撃強度の測定、表面抵抗率及び洗浄性の測定、ブリード状況の観察を行って、その性状を調べた。結果を表1に示す。
【0048】
(シャルピー衝撃強度)
シャルピー衝撃強度は、試験片(10mm×80mm×4.0mm)に切りかき(ノッチ)を付け、ISO179に準じて測定した。
【0049】
(表面抵抗率)
表面抵抗率は、試験片(70mm×70mm×2.0mm)について、ASTM D257に準じて測定した。
【0050】
(洗浄性)
洗浄性の測定は、試験片(70mm×70mm×2.0mm)を用い、JIS L1919C法を参考にし、下記のように測定した。試験片中央に、人工汚垢として赤色の染料で着色したオレイン酸30mg又は人工皮脂(以下に組成を示す)10mgを直径約40mmの円形に可能な限り均一に塗布した。水をスプレーで噴霧したタオルを用いて、試験片表面の人工汚垢に対して1回又は3回、拭取り操作を行った。拭取り操作後、試験片表面に残留する人工汚垢を直径20mmの円盤表面に取り付けたテッシュペーパーで拭き取り、テッシュペーパーの白色度を色差計で測定し、下記の式により除去率を算出した。
【0051】
・人工皮脂の組成:トリオレイン23%、パラフィンワックス21%、モノオレイン6%、スクアレン10%、オレイン酸9%、ステアリン酸9%、リノール酸9%、パルミチン酸9%、コレステロール2%、流動パラフィン2%
・除去率(%)=(A-B)/(テッシュの白色度-B)×100
A:人口汚垢のタオルでの拭取り操作後、試験片に残留する人口汚垢の拭取り操作を行ったテッシュペーパーの白色度
B:人口汚垢のタオルでの拭取り操作を行わず、試験片上の人口汚垢の拭取り操作を行ったテッシュペーパーの白色度
【0052】
(ブリード)
ブリード状況は、試験片を100℃の熱風循環式オーブンで100時間加熱後、試験片の表面を肉眼及び顕微鏡で観察し、試験片表面への滲み出し具合を、以下の基準で評価した。
○:表面の滲み出しが全くないもの
△:表面への滲み出しがわずかなもの
×:表面への滲み出しが著しいもの
【0053】
[実施例2、3、比較例1~6]
ポリ乳酸系化合物(PLA)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)、側鎖モノアミノ型ポリシロキサン化合物(C2)、エポキシ基含有ポリシロキサン化合物(D)、及びポリジメチルシロキサン化合物(E)を、それぞれ表1及び表2に示す配合量で配合したこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、評価を行い、その性状を調べた。結果を表1及び表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例1~3の結果から、ポリ乳酸系化合物(PLA)に、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)3.0質量%と側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)1.0~5.0質量%を配合した樹脂組成物は、高い衝撃強度を有し、かつ、表面抵抗率が1014Ω以下であり防塵性に優れ、かつ皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が85%以上と洗浄性に優れることが分かった。
【0056】
一方、比較例1の結果から、ポリ乳酸系化合物(PLA)のみからなる樹脂組成物は、衝撃強度が低く、表面抵抗率が1017Ω以上であり防塵性に劣ることが分かった。また、皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が45%以上65%未満と洗浄性にも劣ることが分かった。また、比較例2の結果から、ポリ乳酸系化合物(PLA)及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)のみを含む樹脂組成物は、表面抵抗率が1014Ω以下であり防塵性に優れ、かつ皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が65%以上と比較的洗浄性に優れるものの、耐衝撃性は大幅に劣ることが分かった。さらに、比較例3の結果から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)3.0質量%と側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)7.0質量%を配合した樹脂組成物は、衝撃強度が高いものの、表面抵抗率が1016Ω以上であり防塵性に劣ることが分かった。また、皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が65%未満であり洗浄性に劣る上、ブリードが発生することが分かった。
【0057】
【表2】
【0058】
比較例4の結果から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)3.0質量%と側鎖モノアミノ型ポリシロキサン化合物(C2)3.0質量%を含む樹脂組成物は、耐衝撃性に優れるものの、表面抵抗率が1016Ω以上と防塵性に劣り、かつ皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が50~61%と洗浄性に劣る上、ブリードが発生することが分かった。また、比較例5及び6の結果から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)3.0質量%と、エポキシ基含有ポリシロキサン化合物(D)3.0質量%、又はポリジメチルシロキサン化合物(E)3.0質量%を含む樹脂組成物は、耐衝撃性に優れるものの、表面抵抗率が1016Ω以上と防塵性に劣り、かつ皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が47~64%と洗浄性に劣る上、ブリードが発生することが分かった。
【0059】
[実施例4]
コポリエステル(イーストマン・ケミカル社製、商品名:Tritan TX1501HF)と、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)とを、シリンダー温度が270℃に設定された連続混練押出機((株)KCK製、商品名:KCK80X2-35VVEX(7))に、コポリエステルはホッパー口から、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)はベント口から、それぞれ供給した。この際、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)を樹脂組成物(総量)の質量に対し1.0質量%となる割合で、かつ1時間当たりの供給量の合計が6kgとなるように供給した。そして、スクリューを32rpmで回転させて、これらの材料を溶融剪断下において混練した後、押出機のダイス口からストランド状に押出し、それを水中で冷却し、ペレット状に切断した。得られた樹脂組成物を、80℃で5時間乾燥した後、20tの射出成形機(東芝機械(株)製、商品名:EC20P-0.4A)を用いて、シリンダー温度:280℃、金型設定温度:60℃の条件で成形し、試験片を調製した。得られた試験片について、実施例1と同様に評価を行い、その性状を調べた。結果を表3に示す。
【0060】
[実施例5~7、比較例7~8]
コポリエステル(イーストマン・ケミカル社製、商品名:Tritan TX1501HF)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)及び側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)を、それぞれ表3に示す配合量で配合したこと以外は、実施例4と同様にして試験片を作製し、評価を行い、その性状を調べた。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
実施例4、5及び7の結果から、コポリエステル(Tritan TX1501HF)に、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)を1.0~5.0質量%配合した樹脂組成物は、高い衝撃強度を有し、かつ、表面抵抗率が1014Ω以下であり防塵性に優れ、かつ皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が80%以上と洗浄性に優れることが分かった。また、実施例6の結果から、コポリエステルに、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(B)3.0質量%と側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)3.0質量%を配合した樹脂組成物は、高い衝撃強度を有し、かつ、表面抵抗率が1014Ω以下であり防塵性に優れ、かつ皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が80%以上と洗浄性に優れることが分かった。
【0063】
一方、比較例7の結果から、コポリエステル(Tritan TX1501HF)のみからなる樹脂組成物は、衝撃強度が高く、かつ、表面抵抗率が1014Ω以下であり防塵性に優れるものの、皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が40%以上65%未満と洗浄性に劣ることが分かった。また、比較例8の結果から、側鎖ジアミノ型ポリシロキサン化合物(C1)を7.0質量%配合した樹脂組成物は、衝撃強度が高く、かつ、表面抵抗率が1014Ω以下であり防塵性に優れるものの、皮脂の主成分であるオレイン酸や人工皮脂の水拭きによる除去率が50%未満と洗浄性に劣る上、ブリードが発生することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電化機器などの電気・電子機器、車両分野、建築分野など様々な分野に適用され、特に、不特定多数の人が操作し得る電子機器、例えば、ATM端末やPOS端末、複合複写機、サーバー、スマートフォン端末、タブレット端末等の部品に好適である。