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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20221220BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B60C11/13 B
B60C11/03 100B
B60C11/03 100A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018184481
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020050311
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 博憲
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 公太郎
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016477(WO,A1)
【文献】特開2012-116389(JP,A)
【文献】特開2013-129409(JP,A)
【文献】特開2016-005950(JP,A)
【文献】特開2018-076001(JP,A)
【文献】特開平05-000606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/13
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、
前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれにてタイヤ幅方向外側にある外側エッジ部を定義し、前記外側エッジ部にてタイヤ幅方向の外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、
前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、
前記溝底部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L2oが、前記溝底部の前記外側エッジ部の波長λ2oに対して0.55≦L2o/λ2o≦0.65の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記溝開口部および前記溝底部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置のオフセット量φooが、前記溝開口部の前記外側エッジ部の波長λ1oに対して0.03≦φoo/λ1o≦0.45の関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記溝開口部の前記外側エッジ部のタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ1oが、前記溝底部の前記外側エッジ部のタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ2oに対してθ1o<θ2oの関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記溝開口部および前記溝底部の最大傾斜角θ1o、θ2oが、1.50≦θ2o/θ1o≦2.00の関係を有する請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記溝開口部の前記外側エッジ部の波長λ1oが、前記溝底部の前記外側エッジ部の波長λ2oに対して0.90≦λ2o/λ1o≦1.10の関係を有する請求項1~4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記溝開口部の前記外側エッジ部の振幅A1oが、前記溝底部の前記外側エッジ部の振幅A2oに対して1.00≦A2o/A1o≦2.00の関係を有する請求項1~5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記溝開口部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L1oが、前記溝底部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L2oに対して1.10≦L2o/L1o≦1.40の関係を有する請求項1~6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記溝開口部および前記溝底部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置のオフセット量φooが、前記内側最大振幅位置のオフセット量φoiに対してφoi<φooの関係を有する請求項1~7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記溝開口部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L1oが、前記外側エッジ部の波長λ1oに対して0.50≦L1o/λ1o≦0.60の関係を有する請求項1~のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置における溝壁角度α1ooが、前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置における溝壁角度α2ooに対してα2oo<α1ooの関係を有する請求項1~のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置および前記内側最大振幅位置における溝壁角度α1oo、α1oiが、α1oo<α1oiの関係を有する請求項1~10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記周方向主溝が、タイヤ幅方向の最も外側にあるショルダー主溝である請求項1~11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記周方向主溝に区画されたタイヤ幅方向外側の前記陸部が、タイヤ周方向に連続するリブであり、且つ、
前記周方向主溝に区画されたタイヤ幅方向内側の前記陸部が、複数のラグ溝を備える請求項1~12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、
前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれの中心線にて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、
前記溝開口部の前記中心線の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記中心線の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、
前記溝底部の前記中心線における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L2cが、前記溝底部の前記中心線の波長λ2cに対して0.55≦L2c/λ2c≦0.65の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項15】
タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、
前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれにてタイヤ幅方向外側にある外側エッジ部を定義し、前記外側エッジ部にてタイヤ幅方向の外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、
前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、
前記溝開口部の前記外側エッジ部の波長λ1oが、前記溝底部の前記外側エッジ部の波長λ2oに対して0.95≦λ2o/λ1o≦1.10の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項16】
タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、
前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれの中心線にて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、
前記溝開口部の前記中心線の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記中心線の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、
前記溝開口部の前記中心線の波長λ1cが、前記溝底部の前記中心線の波長λ2cに対して0.95≦λ2c/λ1c≦1.10の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項17】
タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、
前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれにてタイヤ幅方向外側にある外側エッジ部を定義し、前記外側エッジ部にてタイヤ幅方向の外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、
前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、
前記溝開口部の前記外側エッジ部のピッチ数が、前記溝底部の前記外側エッジ部のピッチ数に等しいことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項18】
タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、
前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、
前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれの中心線にて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、
前記溝開口部の前記中心線の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記中心線の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、
前記溝開口部の前記中心線のピッチ数が、前記溝底部の前記中心線のピッチ数に等しいことを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの耐ティア性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
重荷重用タイヤ、特に高い負荷荷重での走行条件下にて街中を走行するゴミ収集車用タイヤでは、走行路の縁石や突起物への乗り上げに起因してリブティアが発生するという課題がある。このような課題に関する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-8586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、タイヤの耐ティア性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれにてタイヤ幅方向外側にある外側エッジ部を定義し、前記外側エッジ部にてタイヤ幅方向の外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、前記溝底部の前記外側エッジ部における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L2oが、前記溝底部の前記外側エッジ部の波長λ2oに対して0.55≦L2o/λ2o≦0.65の関係を有することを特徴とする。
【0006】
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれの中心線にて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、前記溝開口部の前記中心線の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記中心線の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、前記溝底部の前記中心線における前記外側最大振幅位置と前記内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離L2cが、前記溝底部の前記中心線の波長λ2cに対して0.55≦L2c/λ2c≦0.65の関係を有することを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれにてタイヤ幅方向外側にある外側エッジ部を定義し、前記外側エッジ部にてタイヤ幅方向の外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、前記溝開口部の前記外側エッジ部の波長λ1oが、前記溝底部の前記外側エッジ部の波長λ2oに対して0.95≦λ2o/λ1o≦1.10の関係を有することを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれの中心線にて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、前記溝開口部の前記中心線の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記中心線の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、前記溝開口部の前記中心線の波長λ1cが、前記溝底部の前記中心線の波長λ2cに対して0.95≦λ2c/λ1c≦1.10の関係を有することを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれにてタイヤ幅方向外側にある外側エッジ部を定義し、前記外側エッジ部にてタイヤ幅方向の外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、前記溝開口部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記外側エッジ部の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、前記溝開口部の前記外側エッジ部のピッチ数が、前記溝底部の前記外側エッジ部のピッチ数に等しいことを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と、前記周方向主溝に区画された陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記周方向主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有し、前記溝開口部および前記溝底部のそれぞれの中心線にて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置および内側に凸となる内側最大振幅位置を定義し、前記溝開口部の前記中心線の前記外側最大振幅位置が、対応する前記溝底部の前記中心線の前記外側最大振幅位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置され、且つ、前記溝開口部の前記中心線のピッチ数が、前記溝底部の前記中心線のピッチ数に等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる空気入りタイヤでは、ショルダー主溝の溝底部の外側エッジ部の外側最大振幅位置が、ショルダー陸部の接地幅が最小となる位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置されるので、溝開口部および溝底部の外側最大振幅位置がタイヤ周方向の同位置にある構成と比較して、ショルダー陸部の溝壁の剛性が立体的に補強される。これにより、ショルダー陸部のティアが抑制されて、タイヤの耐ティア性能が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図2図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。
図3図3は、図2に記載した周方向主溝の溝壁構造を示す説明図である。
図4図4は、図2に記載した周方向主溝の溝壁構造を示す説明図である。
図5図5は、図2に記載した周方向主溝の溝壁構造を示す説明図である。
図6図6は、図3に記載したショルダー主溝の内側エッジ部を示す説明図である。
図7図7は、図2に記載した周方向主溝の溝壁構造を示す説明図である。
図8図8は、図3に記載したショルダー主溝を示す説明図である。
図9図9は、図7に記載したセンター主溝を示す説明図である。
図10図10は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0010】
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、ゴミ収集車に装着される重荷重用タイヤを示している。
【0011】
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
【0012】
空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
【0013】
一対のビードコア11、11は、スチールから成る1本あるいは複数本のビードワイヤを環状かつ多重に巻き廻して成り、ビード部に埋設されて左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
【0014】
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数枚のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上100[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの長手方向の傾斜角として定義される。)を有する。
【0015】
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142を積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で15[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向の傾斜角として定義される)を有し、ベルトコードの長手方向を相互に交差させて積層される(いわゆるクロスプライ構造)。
【0016】
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側からタイヤ幅方向外側に延在して、ビード部のリム嵌合面を構成する。
【0017】
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、オンロードおよびオフロードを走行可能なオールポジションタイヤのトレッド面を示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端であり、寸法記号TWは、タイヤ接地幅である。
【0018】
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21、22と、これらの周方向主溝21、22に区画された複数の陸部31、32、33とをトレッド面に備える。
【0019】
主溝は、JATMAに規定されるウェアインジケータの表示義務を有する溝であり、7.0[mm]以上の最大溝幅および12[mm]以上の最大溝深さを有する。
【0020】
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁間の距離として測定される。陸部が切欠部や面取部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。
【0021】
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離として測定される。また、溝が部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
【0022】
規定リムとは、JATMAに規定される「標準リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が規定内圧での最大負荷能力の88[%]である。
【0023】
例えば、図2の構成では、空気入りタイヤ1が、タイヤ赤道面CL上に中心点をもつ略点対称なトレッドパターンを有している。しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、例えば、タイヤ赤道面CLを中心とする左右線対称なトレッドパターンあるいは左右非対称なトレッドパターンを有しても良いし、タイヤ回転方向に方向性を有するトレッドパターンを有しても良い(図示省略)。
【0024】
また、図2の構成では、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域が2本の周方向主溝21、22をそれぞれ有している。また、これらの周方向主溝21、22が、タイヤ赤道面CLを中心として、左右対称に配置されている。また、これらの周方向主溝21、22により、5列の陸部31~33が区画されている。また、1つの陸部33が、タイヤ赤道面CL上に配置されている。
【0025】
しかし、これに限らず、3本あるいは5本以上の周方向主溝が配置されても良いし、周方向主溝がタイヤ赤道面CLを中心として左右非対称に配置されても良い(図示省略)。また、1つの周方向主溝がタイヤ赤道面CL上に配置されることにより、陸部がタイヤ赤道面CLから外れた位置に配置されても良い(図示省略)。
【0026】
また、タイヤ赤道面CLを境界とする1つの領域に配置された周方向主溝21、22のうち、タイヤ幅方向の最も外側にある周方向主溝21をショルダー主溝として定義し、タイヤ赤道面CL側にある周方向主溝22をセンター主溝として定義する。
【0027】
例えば、図2の構成では、タイヤ赤道面CLから左右のショルダー主溝21、21の溝中心線までの距離Dg1が、タイヤ接地幅TWの26[%]以上32[%]以下の範囲にある。また、タイヤ赤道面CLから左右のセンター主溝22、22の溝中心線までの距離Dg2が、タイヤ接地幅TWの8[%]以上12[%]以下の範囲にある。
【0028】
溝中心線は、溝幅の測定点の中点を接続した仮想線として定義される。主溝の溝中心線がジグザグ形状あるいは波状形状を有する場合の溝中心線までの距離は、溝中心線の左右の最大振幅位置の中点を通りタイヤ周方向に平行な直線を測定点として測定される。
【0029】
タイヤ接地幅TWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大直線距離として測定される。
【0030】
タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
【0031】
また、ショルダー主溝21に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部31をショルダー陸部として定義する。ショルダー陸部31は、タイヤ幅方向の最も外側の陸部であり、タイヤ接地端T上に位置する。また、ショルダー主溝21に区画されたタイヤ幅方向内側の陸部32をセカンド陸部として定義する。セカンド陸部32は、ショルダー主溝21を挟んでショルダー陸部31に隣り合う。また、セカンド陸部32よりもタイヤ赤道面CL側にある陸部33をセンター陸部として定義する。センター陸部33は、タイヤ赤道面CL上に配置されても良いし(図2参照)、タイヤ赤道面CLから外れた位置に配置されても良い(図示省略)。
【0032】
なお、図2のような4本の周方向主溝21、22を備える構成では、一対のショルダー陸部31、31と、一対のセカンド陸部32、32と、単一のセンター陸部33とが定義される。また、例えば、5本以上の周方向主溝を備える構成では、2列以上のセンター陸部が定義され(図示省略)、3本の周方向主溝を備える構成では、セカンド陸部がセンター陸部を兼ねる(図示省略)。
【0033】
また、図2の構成では、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1が、タイヤ接地幅TWに対して0.15≦Wb1/TW≦0.25の関係を有する。また、タイヤ赤道面CLに最も近いセンター陸部33の最大接地幅Wb3が、タイヤ接地幅TWに対して0.15≦Wb3/TW≦0.25の関係を有することが好ましく、0.18≦Wb3/TW≦0.23の関係を有することがより好ましい。また、図2のような4本の周方向主溝21、22と5列の陸部31~33とを備える構成では、セカンド陸部32の最大接地幅Wb2がショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して若干狭く、具体的には0.85≦Wb2/Wb1≦0.95の範囲にあることが好ましい。
【0034】
また、図2の構成では、すべての周方向主溝21、22が、タイヤ幅方向に振幅を有するジグザグ形状あるいは波状形状を有する。
【0035】
また、ショルダー陸部31が、タイヤ周方向に連続した踏面を有するリブであり、ラグ溝を備えていない。また、セカンド陸部32およびセンター陸部33が複数のラグ溝321、331をそれぞれ備えている。また、これらのラグ溝321、331が、陸部32、33を貫通するオープン構造を有すると共にタイヤ周方向に所定間隔で配列されている。これにより、セカンド陸部32およびセンター陸部33がラグ溝321、331によりタイヤ周方向に分断されて、ブロック列となっている。
【0036】
[ショルダー主溝の外側エッジ部]
図3図5は、図2に記載した周方向主溝の溝壁構造を示す説明図である。これらの図において、図3は、ショルダー主溝21の拡大図を示し、図4および図5は、ショルダー主溝21の溝深さ方向の断面図を示している。
【0037】
図2の構成では、図3に示すように、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有する。
【0038】
ここで、主溝の溝開口部および溝底部のそれぞれにおいて、タイヤ幅方向の外側エッジ部および内側エッジ部を定義する。また、外側エッジ部および内側エッジ部のそれぞれにおいて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置およびタイヤ幅方向内側に凸となる内側最大振幅位置を定義する。
【0039】
溝開口部のエッジ部は、溝深さ方向の断面視における溝壁とトレッドプロファイルとの交点(例えば図4参照)を接続した仮想線により定義される。エッジ部が面取部を有する構成では、溝開口部のエッジ部が溝壁の延長線とトレッドプロファイルとの交点(図示省略)が接続されて仮想線が作図される。
【0040】
溝底部のエッジ部は、溝深さ方向の断面視における最大溝深さ位置を接続した仮想線により定義される。主溝の溝底部が最大溝深さ位置でフラットな直線となる場合(例えば図4参照)には、溝底部の外側エッジ部および内側エッジ部が上記フラットな直線の両端点にてそれぞれ定義される。一方、主溝の溝底部が円弧形状あるいは漏斗形状を有する場合(図示省略)には、最大溝深さ位置が一点となり、溝底部のエッジ部が一点で定義される。このため、上記した溝底部の外側エッジ部および内側エッジ部が、同位置にある。また、主溝の最大溝深さ位置は、主溝の溝底部に形成された部分的な底上部を除外して定義される。
【0041】
図3の構成では、ショルダー主溝21の溝開口部211が、ショルダー陸部31側の外側エッジ部211oおよびセカンド陸部32側の内側エッジ部211iのそれぞれにて、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有している。さらに、ショルダー主溝21の溝底部212が、ショルダー陸部31側の外側エッジ部212oおよびセカンド陸部32側の内側エッジ部212iのそれぞれにて、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有している。
【0042】
また、図3に示すように、ショルダー主溝21の溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooが、溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。すなわち、ショルダー主溝21のショルダー陸部31側の溝壁では、溝開口部211の外側エッジ部211oのジグザグ形状と溝底部212の外側エッジ部212oのジグザグ形状とが、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置P1oo、P2ooにて相互に位相をずらして配置される。
【0043】
上記の構成では、(1)ショルダー主溝21の溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooが、ショルダー陸部31の接地幅が最小となる位置(すなわち溝開口部211の外側最大振幅位置P1oo)に対してタイヤ周方向にオフセットして配置されるので、溝開口部211および溝底部212の外側最大振幅位置P1oo、P2ooがタイヤ周方向の同位置にある構成(図示省略)と比較して、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強される。これにより、ショルダー陸部31のティアが抑制されて、タイヤの耐ティア性能が向上する。
【0044】
また、(2)ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の外側最大振幅位置P1oo、P2ooが溝深さ方向に向かってタイヤ周方向に移動するので、溝開口部211および溝底部212の外側最大振幅位置P1oo、P2ooがタイヤ周方向の同位置にある構成(図示省略)と比較して、ショルダー主溝21への異物の侵入が抑制され、また、ショルダー主溝21からの異物の排出が促進される。これにより、タイヤの耐石噛み性能が向上する。
【0045】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の外側エッジ部211o、212oにおける外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φoo(図3参照)が、溝開口部211の外側エッジ部211oの波長λ1oに対して0.03≦φoo/λ1o≦0.45の関係を有することが好ましく、0.10≦φoo/λ1o≦0.25の関係を有することがより好ましい。これにより、外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooが適正化される。
【0046】
最大振幅位置のオフセット量は、トレッド平面視における最大振幅位置のタイヤ周方向の距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
【0047】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の外側エッジ部211oの波長λ1oが、溝底部212の外側エッジ部212oの波長λ2oに対して略同一に設定される。具体的には、溝開口部211および溝底部212の波長λ1o、λ2oが0.90≦λ2o/λ1o≦1.10の範囲にある。
【0048】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の波長λ1oが、セカンド陸部32のラグ溝321のピッチ長Pa(図2参照)に対して0.90≦λ1o/Pa≦1.10の範囲にあることが好ましく、0.95≦λ1o/Pa≦1.05の範囲にあることがより好ましい。したがって、溝開口部211の波長λ1oがラグ溝321のピッチ長Paに対して略同一に設定される。なお、図3の構成では、タイヤ全周におけるセカンド陸部32のラグ溝321の総ピッチ数が、30以上60以下の範囲にある。
【0049】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の外側エッジ部211oの振幅A1oが、溝底部212の外側エッジ部212oの振幅A2oに対して1.00≦A2o/A1o≦2.00の関係を有することが好ましく、1.30≦A2o/A1o≦1.80の関係を有することがより好ましい。したがって、溝底部212のジグザグ形状の振幅A2oが溝開口部211のジグザグ形状の振幅A1o以上に設定される。なお、ショルダー主溝21の溝開口部211の振幅A1oが、ショルダー陸部31の溝開口部211の波長λ1oに対して0.10≦A1o/λ1o≦0.25の関係を有する。
【0050】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の外側エッジ部211oのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ1oが、溝底部212の外側エッジ部212oのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ2oに対してθ1o<θ2oの関係を有する。すなわち、溝底部212の最大傾斜角θ2oが溝開口部211の最大傾斜角θ1oよりも大きく、ショルダー主溝21の溝壁の傾斜角が溝開口部211から溝底部212に向かって増加する。
【0051】
エッジ部の傾斜角は、トレッド平面視にて、エッジ部のジグザグ形状あるいは波状形状の最大振幅位置を接続した仮想直線のタイヤ周方向に対する傾斜角として測定される。
【0052】
また、溝開口部211および溝底部212の最大傾斜角θ1o、θ2oが、1.50≦θ2o/θ1o≦2.00の関係を有することが好ましい。これにより、溝開口部211および溝底部212の最大傾斜角θ1o、θ2oの比θ2o/θ1oが適正化される。また、最大傾斜角θ1o、θ2oの差θ2o-θ1oが5[deg]以上であることが好ましい。
【0053】
また、図3の構成では、ショルダー主溝21の溝開口部211が、略同一長さの直線部をタイヤ周方向に接続して成るジグザグ形状を有している。また、溝開口部211の外側エッジ部211oにおける外側最大振幅位置P1ooと内側最大振幅位置P1oiとのタイヤ周方向の最大距離L1oが、外側エッジ部211oのジグザグ形状の波長λ1oに対して0.50≦L1o/λ1o≦0.60の関係を有することが好ましく、0.50≦L1o/λ1o≦0.55の関係を有することが好ましい。これにより、タイヤ新品時におけるトレッド踏面の剛性がタイヤ周方向で均一化される。
【0054】
外側最大振幅位置と内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の最大距離は、隣り合う外側最大振幅位置と、これらの外側最大振幅位置の間にある内側最大振幅位置とのタイヤ周方向の距離のうち大きい方の距離として測定される。
【0055】
一方、ショルダー主溝21の溝底部212が、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。このため、溝底部212のジグザグ形状が、溝開口部211のジグザグ形状に対して異なる屈曲形状を有している。これにより、上記した溝開口部211および溝底部212の外側エッジ部211o、212oにおける外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooが形成されている。また、溝底部212の外側エッジ部212oにおける外側最大振幅位置P2ooと内側最大振幅位置P2oiとのタイヤ周方向の最大距離L2oが、外側エッジ部212oジグザグ形状の波長λ2oに対して0.55≦L2o/λ2o≦0.65の関係を有することが好ましく、0.57≦L2o/λ2o≦0.63の関係を有することがこのましい。
【0056】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211における外側最大振幅位置P1ooと内側最大振幅位置P1oiとのタイヤ周方向の最大距離L1oが、溝底部212における外側最大振幅位置P2ooと内側最大振幅位置P2oiのタイヤ周方向の最大距離L2oに対して1.10≦L2o/L1o≦1.40の関係を有することが好ましく、1.20≦L2o/L1o≦1.30の関係を有することが好ましい。したがって、溝底部212における最大振幅位置P2oo、P2oiの最大距離L2oが溝開口部211における最大振幅位置P1oo、P1oiの最大距離L1oよりも大きく設定される。例えば、図3の構成では、上記のように、溝開口部211および溝底部212の波長λ1o、λ2oが略同一に設定され、一方で、ショルダー主溝21の溝底部212が長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有することにより、比L2o/L1oが上記の範囲内に設定されている。
【0057】
また、図3に示すように、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の外側エッジ部211o、212oにおける外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooが、内側最大振幅位置P1oi、P2oiのオフセット量φoiに対してφoi<φooの関係を有する。すなわち、溝開口部211および溝底部212のジグザグ形状の屈曲部が、タイヤ幅方向外側への外側最大振幅位置P1oo、P2ooにて大きくオフセットする一方で、タイヤ幅方向内側への内側最大振幅位置P1oi、P2oiにて位置を揃えて配置される。これにより、上記した比L2o/L1oが確保される。オフセット量φoo、φoiの差φoo-φoiは、特に限定がないが、上記した比L1o/λ1oおよびL2o/L1oなどの他の条件により制約を受ける。また、オフセット量φoiは、φoi=0であっても良い。
【0058】
また、図4において、ショルダー主溝21の溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooにおける溝壁角度α1ooが、溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooにおける溝壁角度α2ooに対してα2oo<α1ooの関係を有する。このように、上記した溝開口部211と溝底部212との外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセットに起因して、ショルダー主溝21の溝壁角度α1oo、α2ooがタイヤ周方向に向かって立体的に変化する。これにより、ショルダー主溝21への石噛みが効果的に抑制される。
【0059】
同様に、図5において、ショルダー主溝21の溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooおよび内側最大振幅位置P1oiにおける溝壁角度α1oo、α1oiが、α1oo<α1oiの関係を有する。このように、溝底部212のジグザグ形状の振幅A2oが溝開口部211のジグザグ形状の振幅A1oよりも大きいことに起因して、ショルダー主溝21の溝壁角度α1oo、α1oiがタイヤ周方向に向かって立体的に変化する。これにより、ショルダー主溝21への石噛みが効果的に抑制される。
【0060】
また、図4において、ショルダー主溝21の溝底部212の最大幅Wg2が、溝開口部211の最大幅Wg1(すなわちショルダー主溝21の溝幅)に対して0≦Wg2/Wg1≦0.60の関係を有することが好ましく、0.35≦Wg2/Wg1≦0.45の関係を有することがより好ましい。
【0061】
[ショルダー主溝の内側エッジ部]
図6は、図3に記載したショルダー主溝21の内側エッジ部を示す説明図である。同図は、ショルダー主溝21のジグザグ形状のタイヤ幅方向内側への最大振幅位置の拡大図を示している。
【0062】
図3の構成では、上記のように、ジグザグ形状を有するショルダー主溝21のタイヤ幅方向外側の溝壁にて、溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooが、溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。また、溝開口部211および溝底部212の内側最大振幅位置P1oi、P2oiがタイヤ周方向の位置を揃えて配置される。このように、ショルダー主溝21のタイヤ幅方向外側の溝壁が上記の構成を有することにより、ショルダー陸部31のティアが抑制され、また、ショルダー主溝21の石噛みが抑制される。
【0063】
また、図3の構成では、図6に示すように、ショルダー主溝21のタイヤ幅方向内側の溝壁にて、溝開口部211の内側エッジ部211iの内側最大振幅位置P1iiが、溝底部212の内側エッジ部212iの内側最大振幅位置P2iiに対してタイヤ周方向の位置を揃えて配置される。このように、ショルダー主溝21におけるタイヤ幅方向内側への屈曲位置では、溝開口部211および溝底部212の最大振幅位置P1ii、P2iiがタイヤ周方向の位置を揃えて配置される。また、溝開口部211および溝底部212の内側最大振幅位置P1ii、P2iiのオフセット量φiiは、φii=0であっても良い。
【0064】
また、図2の構成では、上記のようにセカンド陸部32がラグ溝321を備える。ラグ溝321は、細浅溝であり、セカンド陸部32をタイヤ幅方向に貫通してショルダー主溝21に開口する。また、ラグ溝321の溝幅W21(図3参照)が、ラグ溝321のピッチ長Pa(図2参照)に対して0.02≦W21/Pa≦0.10の関係を有することが好ましく、0.04≦W21/Pa≦0.06の関係を有することがより好ましい。また、ラグ溝321の溝深さH21(図5参照)が、ショルダー主溝21の溝深さHg1に対して0.10≦H21/Hg1≦0.50の関係を有することが好ましく、0.15≦H21/Hg1≦0.28の関係を有することがより好ましい。
【0065】
また、図2に示すように、ショルダー主溝21に対するラグ溝321の開口部が、主溝21、22のジグザグ形状の屈曲部に対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。また、ラグ溝321の開口部とショルダー主溝21の溝開口部211の内側最大振幅位置P1iiとのタイヤ周方向の最大距離Lp(図6参照)が、ラグ溝321のピッチ長Pa(図2参照)に対して0.03≦Lp/Pa≦0.15の範囲にあることが好ましく、0.04≦Lp/Pa≦0.08の範囲にあることがより好ましい。
【0066】
[センター主溝の溝壁構造]
図7は、図2に記載した周方向主溝の溝壁構造を示す説明図である。同図は、センター主溝22の拡大図を示している。
【0067】
図2の構成では、図3および図7の比較が示すように、ショルダー主溝21の溝壁構造がセンター主溝22の溝壁構造に対して若干相異している。しかし、これに限らず、ショルダー主溝21の溝壁構造が、センター主溝22の溝壁構造と同一構造を有しても良い。ここでは、センター主溝22の溝壁構造について、ショルダー主溝21の溝壁構造との相異点を中心に説明し、共通点については、その説明を省略する。
【0068】
図7の構成では、センター主溝22の溝開口部221が、セカンド陸部32側の外側エッジ部221oおよびセンター陸部33側の内側エッジ部221iのそれぞれにて、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有している。さらに、センター主溝22の溝底部222が、セカンド陸部32側の外側エッジ部222oおよびセンター陸部33側の内側エッジ部222iのそれぞれにて、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有している。
【0069】
また、図7の構成では、センター主溝22の溝開口部221および溝底部222のエッジ部221o、221i、222o、222iが、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。また、溝開口部221のエッジ部221o、221iの長尺部がタイヤ幅方向内側に凸となる円弧形状を有し(図中の仮想線を参照)、短尺部が直線形状を有している。また、溝底部222のエッジ部222o、222iの長尺部および短尺部の双方が直線形状を有している。
【0070】
また、センター主溝22の溝開口部221の外側エッジ部221oの外側最大振幅位置P1ooが、溝底部222の外側エッジ部222oの外側最大振幅位置P2ooに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。すなわち、センター主溝22のセカンド陸部32側の溝壁では、溝開口部221の外側エッジ部221oのジグザグ形状と溝底部222の外側エッジ部222oのジグザグ形状とが、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置P1oo、P2ooにて相互に位相をずらして配置される。
【0071】
また、センター主溝22の溝開口部221および溝底部222の外側エッジ部221o、222oにおける外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φoo(図7参照)が、溝開口部221の外側エッジ部221oの波長λ1oに対して上記したショルダー主溝21における比φoo/λ1oの条件を満たす。なお、図3におけるショルダー主溝21のオフセット量φooが図7におけるセンター主溝22のオフセット量φooよりも大きく設定されている。これにより、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強されて、ショルダー陸部31におけるティアの発生が効果的に高められている。
【0072】
また、センター主溝22の溝開口部221の外側エッジ部221oの波長λ1oが、溝底部222の外側エッジ部222oの波長λ2oに対して略同一に設定される。具体的には、溝開口部221および溝底部222の波長λ1o、λ2oが上記したショルダー主溝21における比λ2o/λ1oの条件を満たす。
【0073】
また、センター主溝22の溝開口部221の外側エッジ部221oの振幅A1oが、溝底部222の外側エッジ部222oの振幅A2oに対して上記したショルダー主溝21における比A2o/A1oの条件を満たす。なお、図3におけるショルダー主溝21の振幅A1oが図7におけるセンター主溝22の振幅A1oよりも小さく設定され、その結果としてショルダー主溝21の比A2o/A1oがセンター主溝22の比A2o/A1oよりも大きく設定されている。これにより、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強されて、ショルダー陸部31におけるティアの発生が効果的に高められている。
【0074】
また、センター主溝22の溝開口部221の外側エッジ部221oのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ1oが、溝底部222の外側エッジ部222oのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ2oに対して略同一に設定されている。具体的には、溝開口部221および溝底部222の最大傾斜角θ1o、θ2oが、1.00≦θ2o/θ1o≦1.10の関係を有する。このため、図3におけるショルダー主溝21の比θ2o/θ1oが図7におけるセンター主溝22の比θ2o/θ1oよりも大きく設定されている。これにより、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強されて、ショルダー陸部31におけるティアの発生が効果的に高められている。
【0075】
また、センター主溝22の溝開口部221の外側エッジ部221oにおける外側最大振幅位置P1ooと内側最大振幅位置P1oiとのタイヤ周方向の最大距離L1oが、外側エッジ部221oのジグザグ形状の波長λ1oに対して上記したショルダー主溝21における比L1o/λ1oの条件を満たす。ただし、図7の構成では、上記のように、センター主溝22の溝開口部221のエッジ部221o、221iが、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。このため、図7におけるセンター主溝22の比L1o/λ1oが図3におけるショルダー主溝21の比L1o/λ1oよりも大きく設定されている。これにより、センター主溝22に侵入した異物の排出性が向上する。
【0076】
また、センター主溝22の溝底部222の外側エッジ部222oにおける外側最大振幅位置P2ooと内側最大振幅位置P2oiとのタイヤ周方向の最大距離L2oが、外側エッジ部222oのジグザグ形状の波長λ2oに対して上記したショルダー主溝21における比L2o/λ2oの条件を満たす。なお、図7の構成においても、上記のように、センター主溝22の溝底部222のエッジ部222o、222iが、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。
【0077】
また、図7の構成では、図3におけるショルダー主溝21の溝壁構造との相異点として、センター主溝22の溝開口部221における外側最大振幅位置P1ooと内側最大振幅位置P1oiとのタイヤ周方向の最大距離L1oが、溝底部222における外側最大振幅位置P2ooと内側最大振幅位置P2oiのタイヤ周方向の最大距離L2oに対して略同一であり、比L2o/L1oが1.00≦L2o/L1o≦1.10の関係を有している。また、上記のように、センター主溝22の溝開口部221の外側エッジ部221oの波長λ1oが、溝底部222の外側エッジ部222oの波長λ2oに対して略同一に設定されるので、センター主溝22の外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooが内側最大振幅位置P1oi、P2oiのオフセット量φoiに対して略同一となっている。これにより、センター主溝22に侵入した異物の排出性が向上する。
【0078】
[ショルダー主溝の溝中心線]
図8は、図3に記載したショルダー主溝21を示す説明図である。同図は、図3に記載した符号および寸法記号を変更したものであり、特にショルダー主溝21の溝開口部211の中心線と溝底部212の中心線との関係を示している。
【0079】
図3における上記説明のように、ショルダー主溝21のタイヤ幅方向外側(すなわちショルダー陸部31側)の溝壁構造では、溝開口部211の外側エッジ部211oのジグザグ形状と溝底部212の外側エッジ部212oのジグザグ形状とが、タイヤ幅方向外側への最大振幅位置P1oo、P2ooにてタイヤ周方向にオフセットしている。
【0080】
図3の構成では、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212が一定の幅を有し、溝開口部211および溝底部212の外側エッジ部211o、212oおよび内側エッジ部211i、212iが略並行である。このため、上記したショルダー主溝21のタイヤ幅方向外側の溝壁構造に関する特徴が、図8に示すショルダー主溝21の溝開口部211の中心線211cと溝底部212の中心線212cとの関係においても同様に成立する。
【0081】
具体的に、図8において、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の中心線211c、212cにて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置P1co、P2coおよびタイヤ幅方向内側に凸となる内側最大振幅位置P1ci、P2ciをそれぞれ定義する。
【0082】
このとき、溝開口部211の中心線211cの外側最大振幅位置P1coが、溝底部212の中心線212cの外側最大振幅位置P2coに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。これにより、タイヤの耐ティア性能が向上し、また、タイヤの耐石噛み性能が向上する。
【0083】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の中心線211c、212cにおける外側最大振幅位置P1co、P2coのオフセット量φco(図8参照)が、溝開口部211の中心線211cの波長λ1cに対して0.03≦φco/λ1c≦0.45の関係を有することが好ましく、0.10≦φco/λ1c≦0.25の関係を有することがより好ましい。これにより、外側最大振幅位置P1co、P2coのオフセット量φcoが適正化される。
【0084】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の中心線211cの波長λ1cが、溝底部212の中心線212cの波長λ2cに対して略同一に設定される。具体的には、溝開口部211および溝底部212の波長λ1c、λ2cが0.90≦λ2c/λ1c≦1.10の範囲にある。
【0085】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の波長λ1cが、セカンド陸部32のラグ溝321のピッチ長Pa(図2参照)に対して0.90≦λ1c/Pa≦1.10の範囲にあることが好ましく、0.95≦λ1c/Pa≦1.05の範囲にあることがより好ましい。したがって、溝開口部211の波長λ1cがラグ溝321のピッチ長Paに対して略同一に設定される。
【0086】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の中心線211cの振幅A1cが、溝底部212の中心線212cの振幅A2cに対して1.00≦A2c/A1c≦2.00の関係を有することが好ましく、1.30≦A2c/A1c≦1.80の関係を有することがより好ましい。したがって、溝底部212のジグザグ形状の振幅A2cが溝開口部211のジグザグ形状の振幅A1c以上に設定される。
【0087】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211の中心線211cのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ1cが、溝底部212の中心線212cのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ2cに対してθ1c<θ2cの関係を有する。すなわち、溝底部212の最大傾斜角θ2cが溝開口部211の最大傾斜角θ1cよりも大きく、ショルダー主溝21の溝壁の傾斜角が溝開口部211から溝底部212に向かって増加する。
【0088】
また、溝開口部211および溝底部212の最大傾斜角θ1c、θ2cが、1.50≦θ2c/θ1c≦2.00の関係を有することが好ましい。これにより、溝開口部211および溝底部212の最大傾斜角θ1c、θ2cの比θ2c/θ1cが適正化される。最大傾斜角θ1c、θ2cの差θ2c-θ1cが5[deg]以上であることが好ましい。
【0089】
また、図8の構成では、ショルダー主溝21の溝開口部211の中心線211cが、略同一長さの直線部をタイヤ周方向に接続して成るジグザグ形状を有している。また、溝開口部211の中心線211cにおける外側最大振幅位置P1coと内側最大振幅位置P1ciとのタイヤ周方向の最大距離L1cが、中心線211cのジグザグ形状の波長λ1cに対して0.50≦L1c/λ1c≦0.60の関係を有することが好ましく、0.50≦L1c/λ1c≦0.55の関係を有することが好ましい。これにより、タイヤ新品時におけるトレッド踏面の剛性がタイヤ周方向で均一化される。
【0090】
一方、ショルダー主溝21の溝底部212の中心線212cが、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。このため、溝底部212のジグザグ形状が、溝開口部211のジグザグ形状に対して異なる屈曲形状を有している。これにより、上記した溝開口部211および溝底部212の中心線211c、212cにおける外側最大振幅位置P1co、P2coのオフセット量φcoが形成されている。また、溝底部212の中心線212cにおける外側最大振幅位置P2coと内側最大振幅位置P2ciとのタイヤ周方向の最大距離L2cが、中心線212cジグザグ形状の波長λ2cに対して0.55≦L2c/λ2c≦0.65の関係を有することが好ましく、0.57≦L2c/λ2c≦0.63の関係を有することがこのましい。
【0091】
また、ショルダー主溝21の溝開口部211における外側最大振幅位置P1coと内側最大振幅位置P1ciとのタイヤ周方向の最大距離L1cが、溝底部212における外側最大振幅位置P2coと内側最大振幅位置P2ciとのタイヤ周方向の最大距離L2cに対して1.10≦L2c/L1c≦1.40の関係を有することが好ましく、1.20≦L2c/L1c≦1・30の関係を有することが好ましい。したがって、溝底部212における最大振幅位置P2co、P2ciの最大距離L2cが溝開口部211における最大振幅位置P1co、P1ciの最大距離L1cよりも大きく設定される。例えば、図8の構成では、上記のように、溝開口部211および溝底部212の波長λ1c、λ2cが略同一に設定され、且つ、ショルダー主溝21の溝底部212が、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有することにより、比L2c/L1cが上記の範囲内に設定されている。
【0092】
また、図8に示すように、ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の中心線211c、212cにおける外側最大振幅位置P1co、P2coのオフセット量φcoが、内側最大振幅位置P1ci、P2ciのオフセット量φciに対してφci<φcoの関係を有する。すなわち、溝開口部211および溝底部212のジグザグ形状の屈曲部が、タイヤ幅方向外側への外側最大振幅位置P1co、P2coにて大きくオフセットする一方で、タイヤ幅方向内側への内側最大振幅位置P1ci、P2ciにて位置を揃えて配置される。これにより、上記した比L2c/L1cが確保される。オフセット量φco、φciの差φco-φciは、特に限定がないが、上記した比L1c/λ1cおよびL2c/L1cなどの他の条件により制約を受ける。また、オフセット量φciは、φci=0であっても良い。
【0093】
[センター主溝の溝中心線]
図9は、図7に記載したセンター主溝22を示す説明図である。同図は、図7に記載した符号および寸法記号を変更したものであり、特にセンター主溝22の溝開口部221の中心線と溝底部222の中心線との関係を示している。
【0094】
図2の構成では、図8および図9の比較が示すように、ショルダー主溝21の溝壁構造がセンター主溝22の溝壁構造に対して若干相異している。しかし、これに限らず、ショルダー主溝21の溝壁構造が、センター主溝22の溝壁構造と同一構造を有しても良い。ここでは、センター主溝22の溝壁構造について、ショルダー主溝21の溝壁構造との相異点を中心に説明し、共通点については、その説明を省略する。
【0095】
図7における上記説明のように、センター主溝22のタイヤ幅方向外側(すなわちセカンド陸部32側)の溝壁構造では、溝開口部221の外側エッジ部221oのジグザグ形状と溝底部222の外側エッジ部222oのジグザグ形状とが、タイヤ幅方向外側への最大振幅位置P1oo、P2ooにてタイヤ周方向にオフセットしている。
【0096】
図9の構成では、センター主溝22の溝開口部221および溝底部222が一定の幅を有し、溝開口部221および溝底部222の外側エッジ部221o、222oおよび内側エッジ部221i、222iが略並行である。このため、上記したショルダー主溝21のタイヤ幅方向外側の溝壁構造に関する特徴が、図9に示すセンター主溝22の溝開口部221の中心線221cと溝底部222の中心線222cとの関係においても同様に成立する。
【0097】
具体的に、図9において、センター主溝22の溝開口部221および溝底部222の中心線221c、222cにて、タイヤ幅方向外側に凸となる外側最大振幅位置P1co、P2coおよびタイヤ幅方向内側に凸となる内側最大振幅位置P1ci、P2ciをそれぞれ定義する。
【0098】
このとき、溝開口部221の中心線221cの外側最大振幅位置P1coが、溝底部222の中心線222cの外側最大振幅位置P2coに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。これにより、タイヤの耐ティア性能が向上し、また、タイヤの耐石噛み性能が向上する。
【0099】
また、センター主溝22の溝開口部221および溝底部222の中心線221c、222cにおける外側最大振幅位置P1co、P2coのオフセット量φco(図9参照)が、溝開口部221の中心線221cの波長λ1cに対して上記したショルダー主溝21における比φco/λ1cの条件を満たす。なお、図8におけるショルダー主溝21のオフセット量φcoが図9におけるセンター主溝22のオフセット量φcoよりも大きく設定されている。これにより、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強されて、ショルダー陸部31におけるティアの発生が効果的に高められている。
【0100】
また、センター主溝22の溝開口部221の中心線221cの波長λ1cが、溝底部222の中心線222cの波長λ2cに対して略同一に設定される。具体的には、溝開口部221および溝底部222の波長λ1c、λ2cが上記したショルダー主溝21における比λ2c/λ1cの条件を満たす。
【0101】
また、センター主溝22の溝開口部221の波長λ1cが、セカンド陸部32のラグ溝321のピッチ長Pa(図2参照)に対して上記したショルダー主溝21における比λ1c/Paの条件を満たす。
【0102】
また、センター主溝22の溝開口部221の中心線221cの振幅A1cが、溝底部222の中心線222cの振幅A2cに対して上記したショルダー主溝21における比A2c/A1cの条件を満たす。なお、図8におけるショルダー主溝21の振幅A1cが図9におけるセンター主溝22の振幅A1cよりも小さく設定され、その結果としてショルダー主溝21の比A2c/A1cがセンター主溝22の比A2c/A1cよりも大きく設定されている。これにより、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強されて、ショルダー陸部31におけるティアの発生が効果的に高められている。
【0103】
また、センター主溝22の溝開口部221の中心線221cのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ1cが、溝底部222の中心線222cのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ2cに対して略同一に設定されている。具体的には、溝開口部221および溝底部222の最大傾斜角θ1c、θ2cが、1.00[deg]≦θ2c/θ1c≦1.10[deg]の関係を有する。このため、図8におけるショルダー主溝21の比θ2c/θ1cが図9におけるセンター主溝22の比θ2c/θ1cがよりも大きく設定されている。これにより、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強されて、ショルダー陸部31におけるティアの発生が効果的に高められている。
【0104】
また、センター主溝22の溝開口部221の中心線221cにおける外側最大振幅位置P1coと内側最大振幅位置P1ciとのタイヤ周方向の最大距離L1cが、中心線221cのジグザグ形状の波長λ1cに対して上記したショルダー主溝21における比L1c/λ1cの条件を満たす。ただし、図9の構成では、上記のように、センター主溝22の溝開口部221の中心線221cが、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。このため、図9におけるセンター主溝22の比L1c/λ1cが図8におけるショルダー主溝21の比L1c/λ1cよりも大きく設定されている。これにより、センター主溝22に侵入した異物の排出性が向上する。
【0105】
また、センター主溝22の溝底部222の中心線222cにおける外側最大振幅位置P2coと内側最大振幅位置P2ciとのタイヤ周方向の最大距離L2cが、中心線222cジグザグ形状の波長λ2cに対して上記したショルダー主溝21における比L2c/λ2cの条件を満たす。なお、図9の構成においても、上記のように、センター主溝22の溝底部222の中心線222cが、長尺部と短尺部とをタイヤ周方向に交互に接続して成るジグザグ形状を有している。
【0106】
また、図9の構成では、図8におけるショルダー主溝21の溝壁構造との相異点として、センター主溝22の溝開口部221における外側最大振幅位置P1coと内側最大振幅位置P2ciとのタイヤ周方向の最大距離L1cが、溝底部222における外側最大振幅位置P2coと内側最大振幅位置P2ciのタイヤ周方向の最大距離L2cに対して略同一であり、比L2c/L1cが1.00≦L2c/L1c≦1.10の関係を有している。また、上記のように、センター主溝22の溝開口部221の波長λ1cが、溝底部222の波長λ2cに対して略同一に設定されるので、センター主溝22の外側最大振幅位置P1co、P2coのオフセット量φcoが内側最大振幅位置P1ci、P2ciのオフセット量φciに対して略同一となっている。これにより、センター主溝22に侵入した異物の排出性が向上する。
【0107】
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する周方向主溝21と、周方向主溝21に区画された陸部31、32とを備える(図2参照)。また、周方向主溝21の溝開口部211および溝底部212のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有する(図3参照)。また、溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooが、対応する溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。
【0108】
上記の構成では、(1)ショルダー主溝21の溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooが、ショルダー陸部31の接地幅が最小となる位置(すなわちショルダー主溝21の溝開口部211の外側最大振幅位置P1oo)に対してタイヤ周方向にオフセットして配置されるので、溝開口部211および溝底部212の外側最大振幅位置P1oo、P2ooがタイヤ周方向の同位置にある構成(図示省略)と比較して、ショルダー陸部31の溝壁の剛性が立体的に補強される。これにより、ショルダー陸部31のティアが抑制されて、タイヤの耐ティア性能が向上する利点がある。
【0109】
また、(2)ショルダー主溝21の溝開口部211および溝底部212の外側最大振幅位置P1oo、P2ooが溝深さ方向に向かってタイヤ周方向に移動するので、溝開口部211および溝底部212の外側最大振幅位置P1oo、P2ooがタイヤ周方向の同位置にある構成(図示省略)と比較して、ショルダー主溝21への異物の侵入が抑制され、また、ショルダー主溝21からの異物の排出が促進される。これにより、タイヤの耐石噛み性能が向上する利点がある。
【0110】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211および溝底部212の外側エッジ部211o、212oにおける外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φoo(図3参照)が、溝開口部211の外側エッジ部211oの波長λ1oに対して0.03≦φoo/λ1o≦0.45の関係を有する(図3参照)。これにより、外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooが適正化される利点がある。すなわち、上記下限により、外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセットによるタイヤの耐ティア性能および耐石噛み性能の向上作用が確保される。また、上記上限により、溝底部212の振幅A2oが確保されて耐石噛み性能の向上作用が確保される。
【0111】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ1oが、溝底部212の外側エッジ部212oのタイヤ周方向に対する最大傾斜角θ2oに対してθ1o<θ2oの関係を有する(図3参照)。かかる構成では、タイヤ周方向に対するショルダー主溝21の溝壁の傾斜角が溝開口部211から溝底部212に向かって増加するので、壁の傾斜角が一定である構成(図示省略)と比較して、タイヤの耐ティア性能および耐石噛み性能が向上する利点がある。
【0112】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211および溝底部212の最大傾斜角θ1o、θ2oが、1.50≦θ2o/θ1o≦2.00の関係を有する。これにより、最大傾斜角θ1o、θ2oの比θ2o/θ1oが適正化される利点がある。すなわち、上記下限により、溝壁の傾斜角の変化によるタイヤの耐ティア性能および耐石噛み性能の向上作用が確保される。また、上記上限により、溝壁の傾斜角の変化が過大となることに起因する負荷の一極集中が抑制される。
【0113】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oの波長λ1oが、溝底部212の外側エッジ部212oの波長λ2oに対して0.90≦λ2o/λ1o≦1.10の関係を有する(図3参照)。これにより、溝底部212の波長λ2oが溝開口部211の波長λ1oに対して略同一に設定される。
【0114】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oの振幅A1oが、溝底部212の外側エッジ部212oの振幅A2oに対して1.00≦A2o/A1o≦2.00の関係を有する(図3参照)。かかる構成では、溝底部212のジグザグ形状の振幅A2oが溝開口部211のジグザグ形状の振幅A1o以上に設定されるので、上記したショルダー主溝21の立体的な溝壁構造を効率的に形成できる利点がある。
【0115】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oにおける外側最大振幅位置P1ooと内側最大振幅位置P2oiとのタイヤ周方向の最大距離L1oが、溝底部212の外側エッジ部212oにおける外側最大振幅位置P2ooと内側最大振幅位置P2oiとのタイヤ周方向の最大距離L2oに対して1.10≦L2o/L1o≦1.40の関係を有する(図3参照)。これにより、上記したショルダー主溝21の立体的な溝壁構造を効率的に形成できる利点がある。
【0116】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211および溝底部212の外側エッジ部211o、212oにおける外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooが、内側最大振幅位置P1oi、P2oiのオフセット量φoiに対してφoi<φooの関係を有する(図3参照)。これにより、上記した外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooを効率的に形成できる利点がある。
【0117】
また、この空気入りタイヤ1では、溝底部212の外側エッジ部212oにおける外側最大振幅位置P2ooと内側最大振幅位置P2oiとのタイヤ周方向の最大距離L2oが、外側エッジ部212oの波長λ2oに対して0.55≦L2o/λ2o≦0.65の関係を有する(図3参照)。これにより、上記した外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセット量φooを効率的に形成できる利点がある。
【0118】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oにおける外側最大振幅位置P1ooと内側最大振幅位置P1oiとのタイヤ周方向の最大距離L1oが、外側エッジ部211oの波長λ1oに対して0.50≦L1o/λ1o≦0.60の関係を有する(図3参照)。これにより、タイヤ新品時におけるトレッド踏面の剛性がタイヤ周方向で均一化される利点がある。
【0119】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooにおける溝壁角度α1ooが、溝底部212の外側エッジ部212oの外側最大振幅位置P2ooにおける溝壁角度α2ooに対してα2oo<α1ooの関係を有する(図4参照)。かかる構成では、上記した溝開口部211と溝底部212との外側最大振幅位置P1oo、P2ooのオフセットに起因して、ショルダー主溝21の溝壁角度α1oo、α2ooがタイヤ周方向に向かって立体的に変化する。これにより、ショルダー主溝21への石噛みが効果的に抑制される利点がある。
【0120】
また、この空気入りタイヤ1では、溝開口部211の外側エッジ部211oの外側最大振幅位置P1ooおよび内側最大振幅位置P1oiにおける溝壁角度α1oo、α1oiが、α1oo<α1oiの関係を有する(図5参照)。これにより、ショルダー主溝21の溝壁角度α1oo、α1oiがタイヤ周方向に向かって立体的に変化するので、ショルダー主溝21への石噛みが効果的に抑制される利点がある。
【0121】
また、この空気入りタイヤ1では、上記の条件を満たす周方向主溝が、タイヤ幅方向の最も外側にあるショルダー主溝21である(図2参照)。陸部のティアはショルダー陸部31で発生し易いため、ショルダー陸部31を区画するショルダー主溝21が上記の条件を満たすことにより、タイヤの耐ティア性能が効果的に向上する利点がある。
【0122】
また、この空気入りタイヤ1では、周方向主溝21に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部31が、タイヤ周方向に連続するリブであり、且つ、周方向主溝21に区画されたタイヤ幅方向内側の陸部32が、複数のラグ溝321を備える(図2参照)。
【0123】
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する周方向主溝21と、周方向主溝21に区画された陸部31、32とを備える(図2参照)。また、周方向主溝21の溝開口部211および溝底部212のそれぞれが、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状あるいは波状形状を有する(図8参照)。また、溝開口部211の中心線211cの外側最大振幅位置P1coが、対応する溝底部212の中心線212cの外側最大振幅位置P2coに対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。これにより、タイヤの耐ティア性能が向上し、また、タイヤの耐石噛み性能が向上する利点がある。
【実施例
【0124】
図10は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
【0125】
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)耐ティア性能および(2)耐石噛み性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ315/80R22.5の試験タイヤがJATMAの規定リムに組み付けられ、この試験タイヤにJATMAの規定内圧および規定荷重が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である2-DD(フロントローダー)のドライブ軸に装着される。
【0126】
(1)耐ティア性能に関する評価では、試験車両が旋回走行しつつ高さ200[mm]の縁石に20回乗り上げた後に、ショルダー陸部におけるティアの発生が観察される。そして、この観察結果に基づいて、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この数値は、大きいほど好ましい。
【0127】
(2)耐石噛み性能に関する評価では、試験車両が一般舗装路を2万[km]走行した後に主溝に噛み込んだ異物の個数がカウントされる。そして、この結果に基づいて、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この数値は、大きいほど好ましい。
【0128】
実施例1~11の試験タイヤは、図1および図2の構成を備え、周方向主溝21、22の溝開口部のジグザグ形状と溝底部のジグザグ形状とがタイヤ周方向にオフセットして配置される。また、すべての周方向主溝21、22が図3に示す構造を有し、溝開口部211および溝底部212のジグザグ形状の屈曲部にて、タイヤ幅方向外側の最大振幅位置P1oo、P2ooがタイヤ周方向にオフセットし、タイヤ幅方向内側の最大振幅位置P1ii、P2iiを揃えている。また、タイヤ接地幅TWが275[mm]であり、周方向主溝21、22の距離Dg1、Dg2がDg1=80[mm]、Dg2=29[mm]である。また、周方向主溝21、22の溝開口部211、221のジグザグ形状の波長λ1oがλ1o=77[mm]であり、振幅A1oが=13[mm]である。
【0129】
従来例の試験タイヤは、実施例1の試験タイヤにおいて、すべての周方向主溝21、22における溝開口部のジグザグ形状と溝底部のジグザグ形状とがタイヤ幅方向外側および内側の双方の最大振幅位置をタイヤ周方向に揃えて配置されている。
【0130】
試験結果が示すように、実施例の試験タイヤでは、タイヤの耐ティア性能および耐石噛み性能が向上することがわかる。
【符号の説明】
【0131】
1 空気入りタイヤ;11 ビードコア;12 ビードフィラー;13 カーカス層;14 ベルト層;141、142 交差ベルト;15 トレッドゴム;16 サイドウォールゴム;17 リムクッションゴム;21 ショルダー主溝;211 溝開口部;212 溝底部;22 センター主溝;31 ショルダー陸部;32 セカンド陸部;321 ラグ溝;33 センター陸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10