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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】液体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B41J2/175 303
B41J2/175 121
B41J2/175 119
B41J2/175 133
B41J2/175 153
B41J2/175 167
B41J2/175 305
B41J2/175 175
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018185954
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020055154
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112687(JP,A)
【文献】特開2017-065124(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01944168(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、
カートリッジが装着される装着ケースと、
上記タンクと連通されたヘッドと、
液面センサと、
報知機と、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記カートリッジは、
液体を貯留する第1液室を有しており、
上記タンクは、
上記液体を貯留する第2液室と、
上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、
上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有しており、
上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有しており、
上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有しており、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、
上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、
上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有しており、
上記コントローラは、
上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、
上記第1信号を受信したことに基づいて、上記報知機に第1報知を報知させ、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、
上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記第1報知を解除し、
上記ヘッドを通じて液体を排出させる排出指示を受け付け、
上記第1信号を受信した後に受け付けた、上記排出指示によって排出が指示された液体の量に相当する値でカウント値を決定し、
上記カウント値が閾値に到達したかを判定し、
上記カウント値が上記閾値に到達したと判定したことに基づいて、上記報知機に上記第1報知を報知させる液体排出装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記第1信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を禁止し、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出の禁止を解除する請求項に記載の液体排出装置。
【請求項3】
タンクと、
カートリッジが装着される装着ケースと、
上記タンクと連通されたヘッドと、
液面センサと、
報知機と、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記カートリッジは、
液体を貯留する第1液室を有しており、
上記タンクは、
上記液体を貯留する第2液室と、
上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、
上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有しており、
上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有しており、
上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有しており、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、
上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、
上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有しており、
上記コントローラは、
上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、
上記第1信号を受信したことに基づいて、上記報知機に第1報知を報知させ、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、
上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記第1報知を解除し、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定してからの経過時間が所定時間を越えたと判定する前に上記液面センサから上記第2信号を受信しなかったことに基づいて、上記報知機に第2報知を報知させ液体排出装置。
【請求項4】
タンクと、
カートリッジが装着される装着ケースと、
上記タンクと連通されたヘッドと、
液面センサと、
報知機と、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記カートリッジは、
液体を貯留する第1液室を有しており、
上記タンクは、
上記液体を貯留する第2液室と、
上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、
上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有しており、
上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有しており、
上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有しており、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、
上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、
上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有しており、
上記コントローラは、
上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、
上記第1信号を受信したことに基づいて、上記報知機に第1報知を報知させ、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、
上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記第1報知を解除し、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定したことに基づいて、上記報知機に第3報知を報知させ、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定してからの経過時間が所定時間を越えたと判定する前に上記液面センサから上記第2信号を受信しなかったことに基づいて、上記報知機に第4報知を報知させ液体排出装置。
【請求項5】
インタフェースを更に備え、
上記コントローラは、
上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定したことに基づいて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリに記憶されたカートリッジ情報を上記インタフェースを通じて読み出し、
上記カートリッジ情報が示す上記カートリッジの種類が異なることに基づいて、又は、
上記カートリッジ情報が示す上記第1液室に貯留された液体の粘度が異なることに基づいて、又は、
上記カートリッジ情報が示す上記第1液室の液面高さが異なることに基づいて、
異なる所定時間を用いて上記経過時間を判定する請求項3又は4に記載の液体排出装置。
【請求項6】
温度センサを更に備え、
上記コントローラは、
上記温度センサが周囲の温度に基づいて出力する信号を受信し、
上記温度センサから受信する信号が異なることに基づいて、異なる所定時間を用いて上記経過時間を判定する請求項3から5のいずれかに記載の液体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を排出する液体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着脱可能なメインタンクと、装着されたメインタンクから供給されたインクを貯留するサブタンクと、サブタンクに貯留されたインクを吐出して画像を記録する画像記録ユニットとを備えるインクジェットプリンタが知られている(例えば、特許文献1)。また、メインタンク及びサブタンクの内部空間は、大気に開放されている。そのため、メインタンクをインクジェットプリンタに装着すると、メインタンクの内部空間の水頭及びサブタンクの内部空間の水頭の差(以下、「水頭差」と表記する。)によって、メインタンク及びサブタンクの液面が同一高さに揃うようにインクが移動する。そして、インクジェットプリンタは、残量検出センサで検出したインクの残量が閾値未満になったことに応じて、ディスプレイにメインタンクの交換を表示したり、画像記録ユニットによるインクの吐出を禁止したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-213162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この画像記録ユニットがインクを吐出すると、メインタンク及びサブタンクがそれぞれ貯留する液量が変化する。例えば、カートリッジが貯留するインク量がゼロ付近になれば、カートリッジの交換が必要であることをユーザに知らせることが望ましい。他方、サブタンクが貯留するインク量がゼロ付近になれば、サブタンクから画像記録ユニットへ空気が進入しないように、ユーザに知らせたり、画像記録を禁止したりすることが望ましい。したがって、メインタンク及びサブタンクのそれぞれのインク量は、把握されることが望ましい。
【0005】
メインタンクが交換されると、メインタンクからサブタンクへインクが流出するので、サブタンクのインク残量は増加する筈である。そこで、メインタンクが交換されたことに応じて、ディスプレイにおけるエンプティの表示を消去したり、インクの吐出の禁止を解除したりすることが考えられる。しかしながら、残量検出センサが出力する信号が変化するまでは、サブタンクにインクが流入しているか否かを実際に確認することは不可能である。例えば、交換されたメインタンクに貯留されていたインクが僅かな量である場合は、そのインクがサブタンクへ流入すると、メインタンクからサブタンクへのインクの流入は停止する。そうすると、メインタンクが交換されたことに応じてエンプティの表示を消去していた場合、表示を消去したにもかかわらず実際にはエンプティ状態が継続してしまう。また、メインタンクが交換されたことに応じてインクの吐出の禁止を解除していた場合、画像記録を実行することにより、サブタンクから画像記録ユニットに至るインクの流路に空気が進入する、所謂エアインが生じたりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1液室及び第2液室それぞれに貯留された液体の量を個別に把握することが可能な液体排出装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、カートリッジが交換されてから、タンクの第2液室内に確実に液体が流入したことが確認された後に、報知機の作動を解除、又は、印刷の禁止を解除することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る液体排出装置は、タンクと、上記カートリッジが装着される装着ケースと、タンクと連通されたヘッドと、液面センサと、メモリと、コントローラと、を備える。上記カートリッジは、液体を貯留する第1液室を有している。上記タンクは、上記液体を貯留する第2液室と、上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有している。上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有している。上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有している。上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有している。上記コントローラは、上記ヘッドを通じて液体を排出させる第1排出指示を受け付け、受け付けた上記第1排出指示で排出が指示された液体の量に相当する値で第1カウント値を更新し、上記第1液室に貯留されている液体量Vcと上記第2液室に貯留されている液体量Vsとの和である総液体量Vtから、上記第1カウント値を減じて上記総液体量Vtを算出し、算出した総液体量Vtに基づいて、上記液体量Vc及び上記液体量Vsを決定し、上記第2液室内の液面の位置が所定位置以上であることに応じて上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置未満であることに応じて上記液面センサが出力する第2信号を、上記第1信号の受信後に、上記液面センサから受信したことを条件として、上記総液体量Vt又は上記液体量Vsを固定値Aと決定し、上記第1信号の受信後に上記第2信号を上記液面センサから受信した後に、上記ヘッドを通じて液体を排出させる第2排出指示を受け付け、上記第2排出指示を受け付けたことを条件として、上記第2排出指示で排出が指示された液体の量に相当する値で第2カウント値を更新し、上記固定値Aに決定された上記総液体量Vt又は上記液体量Vsから上記第2カウント値を減じて上記総液体量Vt又は上記液体量Vsを算出する。
【0009】
上記構成によれば、総液体量Vtから、第1液室の液体量Vc及び第2液室の液体量Vsを求めることができる。また、液面センサが第2信号を出力したことに応じて、総液体量Vt又は液体量Vsを固定値Aと決定して、総液体量Vt又は液体量Vsを補正することができる。
【0010】
(2) 好ましくは、上記コントローラは、上記第1信号の受信後に上記第2信号を上記液面センサから受信したことに応じて、上記メモリに記憶されている液体量Vcをゼロに更新する。
【0011】
上記構成によれば、第1液室から第2液室へ液体が供給されなくなった後の液体量Vcをゼロに決定することができる。
【0012】
(3) 好ましくは、上記所定位置は、上記カートリッジが上記装着ケースに装着された状態で、上記気体流路の上記第3開口を含んで水平方向に延びる仮想線以下の位置である。
【0013】
上記構成によれば、第1液室から第2液室へ液体が供給されなくなったタイミングと、その後の液体量Vsと、を決定することができる。
【0014】
(4) 好ましくは、上記液体排出装置は、報知機を更に備えており、上記コントローラは、上記液体量Vcがゼロになってから、上記総液体量Vt又は上記液体量Vsがゼロになるまでの間に、上記報知機を作動する。
【0015】
上記構成によれば、カートリッジの交換が必要であることをユーザに知らせることができる。
【0016】
(5) 好ましくは、上記液体排出装置は、インターフェースを更に備えており、上記コントローラは、決定した上記液体量Vcを、上記カートリッジが備えるカートリッジメモリに、上記インターフェースを通じて記憶させる。
【0017】
上記構成によれば、液体が消費されたカートリッジが装着ケースから取り出されても、当該カートリッジの第1液室の液体量Vcをカートリッジメモリから読み出すことができる。
【0018】
(6) 好ましくは、上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたかを判定し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したことに応じて、上記カートリッジメモリに記憶された上記液体量Vcを読み出し、上記カートリッジメモリから読み出した上記液体量Vcと、上記カートリッジが装着された判定する前に上記メモリに記憶された上記総液体量Vt又は上記液体量Vsとに基づいて上記総液体量Vtを算出し、算出した上記総液体量Vtを上記メモリに記憶させる。
【0019】
上記構成によれば、液体が消費されたカートリッジが装着ケースに装着されても、当該カートリッジの第1液室の液体量Vcをカートリッジメモリから読み出して、総液体量Vtを算出することができる。
【0020】
(7) 好ましくは、上記コントローラは、上記液体量Vcがゼロとなったことに応じて、上記インターフェースを通じて上記カートリッジメモリに使用済み情報を記憶させる。
【0021】
上記構成によれば、液体を貯留しないカートリッジであることを、カートリッジメモリの使用済み情報に基づいて判定することができる。
【0022】
(8) 好ましくは、上記メモリは、演算式を記憶し、上記コントローラは、上記総液体量Vt及び上記演算式から、上記液体量Vc及び上記液体量Vsの少なくともいずれか一方を算出する。
【0023】
上記構成によれば、演算式を用いて、総液体量Vtから、第1液室の液体量Vc又は第2液室の液体量Vsを算出することができる。
【0024】
(9) 本発明に係る液体排出装置は、タンクと、カートリッジが装着される装着ケースと、上記タンクと連通されたヘッドと、液面センサと、報知機と、コントローラと、を備える。上記カートリッジは、液体を貯留する第1液室を有している。上記タンクは、上記液体を貯留する第2液室と、上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有している。上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有している。上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有している。上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有している。上記コントローラは、上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記第1信号を受信したことに基づいて、上記報知機に第1報知を報知させ、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記第1報知を解除する。
【0025】
上記構成によれば、カートリッジが装着された後に液面センサから第2信号を受信したことに基づいて第1報知が解除されるので、タンクに液体が確実に流入したことが確認された後に、第1報知を解除することができる。従って、例えば、タンクに液体が流入していないのにエンプティ報知が解除される事態を防止することができる。
【0026】
(10) 好ましくは、上記コントローラは、上記ヘッドを通じて液体を排出させる排出指示を受け付け、上記第1信号を受信した後に受け付けた、上記排出指示によって排出が指示された液体の量に相当する値でカウント値を決定し、上記カウント値が閾値に到達したかを判定し、上記カウント値が上記閾値に到達したと判定したことに基づいて、上記報知機に上記第1報知を報知させる。
【0027】
(11) 好ましくは、上記コントローラは、上記第1信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を禁止し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出の禁止を解除する。
【0028】
上記構成によれば、カートリッジが装着された後に液面センサから第2信号を受信したことに基づいて、液体の排出の禁止が解除されるので、タンクに液体が確実に流入したことが確認された後に、液体の排出の禁止を解除することができる。従って、タンクからヘッドに至る液体の流路に空気が進入する、所謂エアインの発生を抑制することができる。
【0029】
(12) 好ましくは、上記コントローラは、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定してからの経過時間が所定時間を越えたと判定する前に上記液面センサから上記第2信号を受信しなかったことに基づいて、上記報知機に第2報知を報知させる。
【0030】
上記構成によれば、所定時間内にタンクに液体が流入しないときに、報知機に第2報知を行わせることができる。これにより、例えば、交換されたカートリッジに貯留された液体が少なく、タンクに十分な量のインクが流入しなかった場合に、タンクにインクが流入していないことをユーザに対して報知することができる。
【0031】
(13) 好ましくは、上記コントローラは、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定したことに基づいて、上記報知機に第3報知を報知させ、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定してからの経過時間が所定時間を越えたと判定する前に上記液面センサから上記第2信号を受信しなかったことに基づいて、上記報知機に第4報知を報知させる。
【0032】
上記構成によれば、カートリッジが装着されたときに報知機に第3報知を行わせ、所定時間内にタンクに液体が流入しないときに、報知機に第4報知を行わせることができる。これにより、例えば、カートリッジ装着時にユーザに流入中を報知した後、交換されたカートリッジに貯留された液体が少なく、タンクに十分な量のインクが流入しなかった場合に、サブタンクにインクが流入していないことをユーザに対して報知することができる。
【0033】
(14) 好ましくは、上記液体排出装置は、インタフェースを更に備え、上記コントローラは、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定したことに基づいて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリに記憶されたカートリッジ情報を上記インタフェースを通じて読み出し、上記カートリッジ情報が示す上記カートリッジの種類が異なることに基づいて、又は、上記カートリッジ情報が示す上記第1液室に貯留された液体の粘度が異なることに基づいて、又は、上記カートリッジ情報が示す上記第1液室の液面高さが異なることに基づいて、異なる所定時間を用いて上記経過時間を判定する。
【0034】
カートリッジからタンクへ液体が流入するのに要する時間は、カートリッジからタンクへの液体の流入速度によって変化しうる。流入速度は、カートリッジの第1液室の断面積や、第1液室の液面高さ、液体の粘度によって変化しうる。上記構成によれば、装着されたカートリッジのカートリッジメモリから読み出したカートリッジ情報に基づいて、経過時間の判定に異なる所定時間が用いられる。従って、タンクに液体が流入しない場合の報知を適切なタイミングで行うことができる。
【0035】
(15) 好ましくは、上記液体排出装置は、温度センサを更に備え、上記コントローラは、上記温度センサが周囲の温度に基づいて出力する信号を受信し、上記温度センサから受信する信号が異なることに基づいて、異なる所定時間を用いて上記経過時間を判定する。
【0036】
温度が変化すると、液体の粘度が変化し、カートリッジからタンクへの液体の流入速度が変化するので、カートリッジからタンクへ液体が流入するのに要する時間が変化する。上記構成によれば、温度センサが出力する信号に基づいて、経過時間の判定に異なる所定時間が用いられる。従って、タンクに液体が流入しない場合の報知を適切なタイミングで行うことができる。
【0037】
(16) 本発明に係る液体排出装置は、タンクと、カートリッジが装着される装着ケースと、上記タンクと連通されたヘッドと、液面センサと、コントローラと、を備える。上記カートリッジは、液体を貯留する第1液室を有している。上記タンクは、上記液体を貯留する第2液室と、上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有している。上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有している。上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有している。上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有している。上記コントローラは、上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記第1信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を禁止し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を許可する。
【0038】
上記構成によれば、カートリッジが装着された後に液面センサから第2信号を受信したことに基づいて液体の排出が許可されるので、タンクに液体が確実に流入したことが確認された後に、液体の排出を許可することができる。従って、サブタンクからヘッドに至る液体の流路に空気が進入する、所謂エアインの発生を抑制することができる。
【0039】
(17) 好ましくは、上記液体排出装置は、報知機を更に備え、上記コントローラは、上記第1信号を受信したことに基づいて、上記報知機に第1報知を報知させ、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記第1報知を解除する。
【0040】
上記構成によれば、カートリッジが装着された後に液面センサから第2信号を受信したことに基づいて第1報知が解除されるので、タンクに液体が確実に流入したことが確認された後に、第1報知を解除することができる。従って、例えば、タンクに液体が流入していないのにエンプティ報知が解除される事態を防止することができる。
【0041】
(18) 好ましくは、上記コントローラは、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を禁止する。
【0042】
(19) 本発明に係る液体排出装置は、カートリッジと、タンクと、上記カートリッジが装着される装着ケースと、上記タンクと連通されたヘッドと、液面センサと、報知機と、コントローラと、を備える。上記カートリッジは、液体を貯留する第1液室を有している。上記タンクは、上記液体を貯留する第2液室と、上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有している。上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有している。上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有している。上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有している。上記コントローラは、上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記第1信号を受信したことに基づいて、上記報知機に第1報知を報知させ、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記第1報知を解除する。
【0043】
上記構成によれば、カートリッジが装着された後に液面センサから第2信号を受信したことに基づいて第1報知が解除されるので、タンクに液体が確実に流入したことが確認された後に、第1報知を解除することができる。従って、例えば、タンクに液体が流入していないのにエンプティ報知が解除される事態を防止することができる。
【0044】
(20) 本発明に係る液体排出装置は、カートリッジと、タンクと、上記カートリッジが装着される装着ケースと、上記タンクと連通されたヘッドと、液面センサと、コントローラと、を備える。上記カートリッジは、液体を貯留する第1液室を有している。上記タンクは、上記液体を貯留する第2液室と、上記第2液室と連通する液体流路及び気体流路と、上記第2液室を外部と連通する大気連通路と、を有している。上記液体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、を有している。上記気体流路は、上記第2液室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、を有している。上記カートリッジが上記装着ケースに装着されて、上記カートリッジの上記第1液室と、上記タンクの上記液体流路の上記第2開口及び上記気体流路の上記第4開口と、が連通する状態で接続される装着状態において、上記第1液室は、上記第2開口よりも上方に位置する部分を有しており、上記第2液室は、上記第3開口よりも下方に位置する部分を有している。上記コントローラは、上記第2液室内の液面の位置が所定位置未満である場合に上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記第1信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を禁止し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたか否かを判定し、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置以上である場合に上記液面センサが出力する第2信号を受信し、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたと判定した後に、上記液面センサから上記第2信号を受信したことに基づいて、上記ヘッドを通じた液体の排出を許可する。
【0045】
上記構成によれば、カートリッジが装着された後に液面センサから第2信号を受信したことに基づいて液体の排出が許可されるので、タンクに液体が確実に流入したことが確認された後に、液体の排出を許可することができる。従って、サブタンクからヘッドに至る液体の流路に空気が進入する、所謂エアインの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、第1液室及び第2液室それぞれに貯留された液体の量を個別に把握することができる。
【0047】
また、本発明によれば、カートリッジが交換されてから、タンクの第2液室内に確実に液体が流入したことが確認された後に、報知機の作動を解除、又は、印刷の禁止を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、第1実施形態に係る複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー48が閉塞位置にある状態、(B)はカバー48が開放位置にある状態を示す。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、キャリッジ23及びインク供給装置15の配置を示す平面図である。
図4図4は、インク供給装置15を左前方から視た斜視図である。
図5図5は、図4のV-V矢視断面図である。
図6図6は、インクカートリッジ50が取り外された状態における図4のV-V矢視断面図である。
図7図7は、サブタンク100の周辺部を示す図4のV-V矢視断面図である。
図8図8は、図4のVIII-VIII矢視断面図である。
図9図9は、図4のIX-IX矢視断面図である。
図10図10は、サブタンク100の周辺部を示す図4のIX-IX矢視断面図である。
図11図11は、サブタンク100及びバッファタンク90の左前方から視た斜視図である。
図12図12(A)は、図10のXIIA-XIIA矢視断面図であり、図12(B)は、図11のXIIB-XIIB矢視断面図である。
図13図13は、複合機10のブロック図である。
図14図14は、画像記録処理のフローチャートである。
図15図15は、カウント処理のフローチャートである。
図16図16は、サブタンク100及びインクカートリッジ50が連通された状態の模式図であって、カートリッジエンプティ状態を示す。
図17図17は、第2実施形態に係る複合機10のブロック図である。
図18図18は、第2実施形態に係る画像記録処理のフローチャートである。
図19図19は、第2実施形態に係るカウント処理のフローチャートである。
図20図20(A)は、S_Empty報知画面を示す図であり、図20(B)は、インク流入中画面を示す図であり、図20(C)は、C_Empty報知画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10及び複合機10に取り付けられたインクカートリッジ50が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0050】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る複合機10及びインク供給装置15が説明される。
【0051】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(液体排出装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、プリンタ部11、スキャナ部12、及び操作パネル22を有している。プリンタ部11は、複合機10の下部に位置し、インクジェット記録方式で用紙28(図2参照)に画像を記録する。スキャナ部12は、スキャン機能を有する装置であり、プリンタ部11の上方に位置する。プリンタ部11は、前方に開口する開口13を有する筐体14と、筐体14の内部において開口13の右方に位置するインク供給装置15と、を備えている。
【0052】
操作パネル22は、スキャナ部12の前方に位置している。操作パネル22は、プリンタ部11による画像記録やスキャナ部12による画像読取りを複合機10に実行させるために、ユーザが操作するものである。操作パネル22は、ディスプレイ17を有する。ディスプレイ17は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、各種情報を表示する表示面を備える。ディスプレイ17は、報知機の一例である。但し、報知機の具体例はディスプレイ17に限定されず、スピーカ、LEDランプ、或いはこれらの組み合わせでもよい。操作パネル22は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ230に出力する。操作パネル22は、例えば、押ボタンを有していてもよいし、ディスプレイに重畳されたタッチセンサを有していてもよい。
【0053】
図2に示されるように、筐体14の内部には、給送部16と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ対45と、記録部24と、排出ローラ対46と、プラテン42と、が配置されている。
【0054】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿って筐体14に対して挿抜可能である。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ20は、積層された複数の用紙28を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に前後方向8に沿って挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ対46によって排出された用紙28を支持する。
【0055】
[給送部16]
給送部16は、給送トレイ20に支持された用紙28を搬送経路38へ給送する。図2に示されるように、給送部16は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、不図示の給送用モータから駆動が伝達される。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0056】
以下、用紙28の搬送に関わる給送ローラ25、搬送ローラ34、及び排出ローラ36が、用紙28を搬送向き38Aに搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。
【0057】
[搬送経路38]
図2に示されるように、搬送経路38は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19などによって形成される空間を指す。搬送経路38は、給送トレイ20の後端部から後方に延びる経路である。搬送経路38は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。図2及び図3に示されるように、搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間における搬送経路38は、左右方向9における複合機10の概ね中央に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路38における用紙28の搬送向き38Aは、図2において矢印で示されている。
【0058】
[搬送ローラ対45]
図2に示されるように、搬送ローラ対45は、記録部24より搬送向き38Aの上流に位置する。搬送ローラ対45は、互いに対向する搬送ローラ34及びピンチローラ35を有する。搬送ローラ34は、不図示の搬送用モータから駆動伝達されて正回転又は逆回転する。ピンチローラ35は、搬送ローラ34の回転に伴って連れ回る。用紙28は、正回転する搬送ローラ34及びピンチローラ35に挟持されて搬送向き38Aに搬送される。
【0059】
[排出ローラ対46]
図2に示されるように、排出ローラ対46は、記録部24より搬送向き38Aの下流に配置されている。排出ローラ対46は、互いに対向する排出ローラ36及び拍車37を有する。排出ローラ36は、不図示の搬送用モータから駆動伝達されて正回転又は逆回転する。拍車37は、排出ローラ36の回転に伴って連れ回る。用紙28は、正回転する排出ローラ36及び拍車37に挟持されて搬送向き38Aに搬送される。
【0060】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き38Aにおける搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間に位置する。記録部24は、搬送経路38を挟んでプラテン42と上下方向7に対向している。記録部24は、キャリッジ23と、キャリッジ23に搭載された記録ヘッド39とを備えている。
【0061】
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間しており、各々が左右方向9に延びるガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、不図示のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、不図示のキャリッジ駆動用モータから駆動伝達されて回動する。キャリッジ23は、ベルト機構の回動に伴って、ガイドレール43,44により案内されて左右方向9に往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路38の幅38Bよりも右方及び左方にまで及ぶ。
【0062】
記録ヘッド39と、インク供給装置15に設けられた4つのサブタンク100とは、4本のインクチューブ32によって接続されている。記録ヘッド39は、フレキシブルフラットケーブル33によって、不図示の制御基板と接続されている。
【0063】
4つのサブタンク100は、マゼンタサブタンク100M、シアンサブタンク100C、イエローサブタンク100Y、及びブラックサブタンク100Bである。マゼンタサブタンク100M、シアンサブタンク100C、イエローサブタンク100Y、及びブラックサブタンク100Bは、本明細書において特に区別する必要がない場合、サブタンク100と総称される。
【0064】
4本のインクチューブ32は、イエローインクチューブ32Y、シアンインクチューブ32C、マゼンタインクチューブ32M、及びブラックインクチューブ32Bからなっている。イエローインクチューブ32Y、シアンインクチューブ32C、マゼンタインクチューブ32M、及びブラックインクチューブ32Bは、本明細書において特に区別する必要がない場合、インクチューブ32と総称される。4本のインクチューブ32は、一体に束ねられている。
【0065】
フレキシブルフラットケーブル33は、制御部が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0066】
図2に示されるように、記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙28に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙28に画像が記録される。また、これにより、4つのサブタンク100に貯留されたインクが消費される。
【0067】
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、搬送経路38における搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路38を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ対45によって搬送される用紙28を下方から支持する。
【0068】
[カバー48]
図1(B)に示されるように、筐体14の右前部には、開口47が形成されている。筐体14にはインク供給装置15が収納されており、インク供給装置15の前面が開口47から露出している。筐体14には、開口47を開閉可能なカバー48が取り付けられている。カバー48の下端部は、開口47の下方において、左右方向9の軸周りに回転可能に筐体14に支持されている。カバー48は、開口47を閉鎖する閉鎖位置(図1(A)に示される位置)と、開口47を開放する開放位置(図1(B)に示される位置)との間を、回転可能である。
【0069】
図1(A)に示されるように、カバー48は、透光部49を有している。透光部49は、カバー48の外側から内部の構成を視認可能な透光性を有する。カバー48が閉鎖位置にあるときに、透光部49から、インク供給装置15に取り付けられたインクカートリッジ50の前面が視認可能である。
【0070】
[カバーセンサ88]
複合機10は、カバーセンサ88(図13参照)を有する。カバーセンサ88は、例えば、カバー48が接離するスイッチ等の機械式センサであってもよいし、カバー48の位置によって光が遮断或いは透過される光学式センサであってもよい。カバーセンサ88は、カバー48の位置に応じた信号をコントローラ230に出力する。より詳細には、カバーセンサ88は、カバー48が閉鎖位置に位置していることに応じて、ローレベル信号をコントローラ230へ出力する。一方、カバーセンサ88は、カバー48が閉鎖位置と異なる位置に位置していることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ230へ出力する。換言すれば、カバーセンサ88は、カバー48が開放位置に位置していることに応じて、ハイレベル信号をコントローラ230へ出力する。
【0071】
[インク供給装置15]
図4に示されるように、インク供給装置15は、4つのインクカートリッジ50と、装着ケース71と、4つのサブタンク100と、大気連通部70(図5図11参照)と、を備えている。
【0072】
[インクカートリッジ50]
図1図3に示されるように、4つのインクカートリッジ50(カートリッジの一例)は、マゼンタインクカートリッジ50M、シアンインクカートリッジ50C、イエローインクカートリッジ50Y、及びブラックインクカートリッジ50Bからなっている。マゼンタインクカートリッジ50M、シアンインクカートリッジ50C、イエローインクカートリッジ50Y、及びブラックインクカートリッジ50Bは、本明細書において特に区別される必要がない場合、インクカートリッジ50と総称される。
【0073】
図4は、4つのインクカートリッジ50のうち、左右方向9の最も左側に位置するマゼンタインクカートリッジ50Mのみが装着ケース71に収納された状態を示している。
【0074】
図5図6に示されるように、インクカートリッジ50は、カートリッジ本体51と、ジョイント受部52と、を備えている。カートリッジ本体51は、インク(液体の一例)を貯留する第1貯留室53(第1液室の一例)を有する。
【0075】
カートリッジ本体51は、概ね直方体状の箱形状を有している。カートリッジ本体51は、上下方向7及び前後方向8から視て概ね長方形状である。カートリッジ本体51は、カートリッジ本体51の前端部に下方に突出する凸部65を有している。カートリッジ本体51は、上壁54、サブ下壁55、右壁56(図4参照)、左壁57(図4参照)、後壁58、前壁59、下壁60を有している。下壁60は、カートリッジ本体51の前部かつ下端部に位置しており、サブ下壁55よりも下方に位置している。サブ下壁55は、下壁60よりも後方に位置している。カートリッジ本体51は、凸部65において、後方(水平方向の一例)に開口する連通口61を有している。連通口61は、サブ下壁55、下壁60、右壁56、及び左壁57によって画定された開口である。
【0076】
上壁54には、前後方向8の中央部に上方に突出する当接部64が設けられている。当接部64は、装着ケース71のロックレバー79(後述)と当接する部分である。
【0077】
当接部64の上面にはICチップ66(カートリッジメモリの一例)が位置している。ICチップ66には、ICチップ66が形成されている。また、ICチップ66は、不図示のメモリを備える。ICチップ66は、ICチップ66の上記メモリと電気的に接続されている。ICチップ66は、ICチップ66の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、インクカートリッジ50が装着ケース71に装着された状態において、ICチップ66は、接点152と電気的に導通する。コントローラ230は、接点152及びICチップ66を通じてICチップ66のメモリから情報を読み出し、接点152及びICチップ66を通じてICチップ66のメモリに情報を書き込むことができる。
【0078】
ICチップ66のメモリは、インク量Vcと、インクカートリッジ50の個体を識別するための識別情報などを記憶する。なお、インクカートリッジ50が新品であるICチップ66のメモリには、インク量Vcとして初期インク量Vc0が記憶されている。この初期インク量Vc0は、インクカートリッジ50に貯留可能なインクの最大量を示す最大液体量の一例である。換言すれば、初期インク量Vc0は、新品のインクカートリッジ50に貯留されているインクの量を示す。以下、ICチップ66のメモリに記憶されている情報を総称して、「CTG情報」と表記することがある。また、「新品」とは、いわゆる未使用品であり、製造されて販売されているインクカートリッジ50から、インクカートリッジ50内のインクが一度も外部へ流出していない状態を示す。
【0079】
ICチップ66のメモリの記憶領域は、例えば、コントローラ230によって情報が上書きされない領域と、コントローラ230によって情報が上書き可能な領域とを有する。例えば、識別情報は上書きされない領域に記憶され、インク量Vcは上書き可能な領域に記憶される。
【0080】
第1貯留室53の底面を画定するサブ下壁55の上面は、前後方向8に沿って凸部65に向かって下方に傾斜している。
【0081】
ジョイント受部52は、カートリッジ本体51において連通口61を囲む部分から後方に延びる円筒形状を有している。ジョイント受部52は、サブタンク100のジョイント102(後述)が挿入される部分である。
【0082】
図5は、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着された装着状態を示している。図6は、インクカートリッジ50がサブタンク100から分離された分離状態を示している。装着状態については以下で詳しく説明される。
【0083】
ジョイント受部52には、連通口61を閉鎖可能な栓部材62と、栓部材62を後方に付勢するバネ63と、が設けられている。図6に示されるように、インクカートリッジ50に外力が加わらない状態では、栓部材62は、連通口61を閉鎖する位置にある。バネ63は、栓部材62と前壁59との間において前後方向8に沿って延びており、前後方向8に圧縮可能である。図5に示されるように、ジョイント102によって、バネ63の弾性力よりも大きな前向きの外力が栓部材62に加えられると、栓部材62が前方に移動して連通口61から離れる。
【0084】
[装着ケース71]
装着ケース71は、前方が開放された直方体状の箱形状である。装着ケース71は、上壁72、下壁73、右壁74、左壁75、後壁76、及び3つの仕切壁77を有している。上壁72、下壁73、右壁74、左壁75、及び後壁76により、前方が開放された内部空間78が画定されている。3つの仕切壁77は、右壁74及び左壁75と平行な壁であり、内部空間78を、4つの空間に区画している。区画された4つの空間のそれぞれに、4つのインクカートリッジ50のそれぞれが収納される。
【0085】
[ロックレバー79]
図4図5図6に示されるように、装着ケース71には、インクカートリッジ50を内部空間78内に保持するロックレバー79が設けられている。ロックレバー79は、前後方向に延びた板状部材である。ロックレバー79の中央部は、上壁72に、左右方向9の軸周りに回転可能に設けられている。ロックレバー79は、後方に傾いたロック位置と、前方に傾いたアンロック位置との間で回転する。ロックレバー79は、外力が加わらない状態では、自重により後方に傾いてロック位置となる。ロック位置において、ロックレバー79の後端部は、内部空間78にあるインクカートリッジ50の当接部64の前面と当接し、インクカートリッジ50が前後方向8の前方へ移動することを規制する。ロック位置のロックレバー79の前端部がユーザの指等によって下方に押圧されると、ロックレバー79はロック位置からアンロック位置に回転する。アンロック位置において、ロックレバー79の後端部は、当接部64の前面より上方に位置する。アンロック位置のロックレバー79は、前後方向8の前方へ移動するインクカートリッジ50の当接部64と当接しないので、装着ケース71からインクカートリッジ50が取り外し可能となる。
【0086】
[接点152]
接点152(インターフェースの一例)は、装着ケース71の上壁72に位置している。接点152は、上壁72から装着ケース71の内部空間78へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース71にインクカートリッジ50が装着された状態において、インクカートリッジ50の後述するICチップ66に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ230に電気的に接続されている。
【0087】
[装着センサ154]
装着センサ154は、装着ケース71の上壁72に位置している。装着センサ154は、インクカートリッジ50が装着ケース71に装着されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ154は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース71にインクカートリッジ50が装着された状態において、インクカートリッジ50の図示しない被検知部が、装着センサ154の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ154の発光部及び受光部は、装着ケース71に装着されたインクカートリッジ50の被検知部を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
【0088】
装着センサ154は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(図中では、「装着信号」と表記する。)を出力する。装着センサ154は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ230へ出力する。一方、装着センサ154は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ230へ出力する。ハイレベル信号は第3信号の一例であり、ローレベル信号は第4信号の一例である。
【0089】
[サブタンク100]
図4から図11には、サブタンク100(タンクの一例)が示されている。サブタンク100は、装着ケース71の下壁73の下方に位置している。
【0090】
図7に示されるように、サブタンク100は、タンク本体101と、ジョイント102と、を備えている。タンク本体101の内部に、インクを貯留する第2貯留室105(第2液室の一例)が形成されている。サブタンク100は、第2貯留室105と連通する液体流路103及び気体流路104を備えている。液体流路103及び気体流路104は、タンク本体101の内部及びジョイント102の内部に形成されている。また、サブタンク100は、第2貯留室105を外部に連通する大気連通口106(図9図10図12(A)参照)を備えている。
【0091】
[液体流路103及び気体流路104]
図7に示されるように、液体流路103及び気体流路104は並列に位置している。
【0092】
液体流路103は、第1開口131と、第2開口132と、鉛直部分133と、水平部分134と、を有している。第1開口131は、液体流路103の一端側(後端側)に形成され且つ第2貯留室105に連通する開口である。第1開口131は、上下方向7に沿って開口している。第2開口132は、液体流路103の一端側とは反対の他端側(前端側)に形成され且つ外部に開口する開口である。第2開口132は、前後方向8に沿って開口している。第2開口132は、インクカートリッジ50の装着状態において、インクカートリッジ50の第1貯留室53内に位置する。鉛直部分133は、液体流路103において第1開口131から上方に延びる部分である。水平部分134は、液体流路103において第2開口132から後方に延びる部分である。鉛直部分133の上端部は水平部分134の後端部に接続されている。
【0093】
気体流路104は、第3開口141と、第4開口142と、鉛直部分143と、水平部分144と、を有している。第3開口141は、気体流路104の一端側(後端側)に形成され且つ第2貯留室105に連通する開口である。第3開口141は、上下方向7に沿って開口している。第4開口142は、気体流路104の一端側とは反対の他端側(前端側)に形成され且つ外部に開口する開口である。第4開口142は、前後方向8に沿って開口している。第4開口142は、インクカートリッジ50の装着状態において、インクカートリッジ50の第1貯留室53に連通する。鉛直部分143は、気体流路104において第3開口141から上方に延びる部分である。水平部分144は、気体流路104において第4開口142から後方に延びる部分である。鉛直部分143の上端部は水平部分144の後端部に接続されている。
【0094】
[タンク本体101]
タンク本体101は、概ね直方体状の外壁を有している。タンク本体101は、上下方向7から視て概ねT字形状(図9図10参照)であり、前後方向8から視て概ね長方形状(図8参照)であり、左右方向9から視てL字形状(図4から図7参照)である。
【0095】
図4から図11に示されるように、タンク本体101の外壁は、後側上壁107、屈曲上壁130、前側上壁108、下壁109、2つの後側側壁110、2つの前側屈曲側壁111、後壁112、及び前壁113を有している。後側上壁107は、後端から水平面に対して上方に傾斜しながら前方に延びる壁である。屈曲上壁130は、後側上壁107の前端から延びる壁であって、前方から上方に向けて屈曲している。前側上壁108は、屈曲上壁130の上端から、水平面と平行に前方に延びている。下壁109は、水平面と平行に前後方向8に延びている。下壁109は、上下方向7から視てT字形状を有している。後側側壁110は、後側上壁107と下壁109とを上下方向7に接続している。後側側壁110は、左右方向9から視て概ね長方形である。図9に示されるように、後側側壁110は、隣り合う異なるインクのタンク本体101において共用されている。前側屈曲側壁111は、屈曲上壁130及び前側上壁108と、下壁109とを上下方向7に接続している。前側屈曲側壁111は、左右方向9から視て概ね長方形であり、上下方向7から視て隅部が弧を描くL字形状である。後壁112は、下壁109の後端部から上方に延びており、左右に位置する2つの後側側壁110と、後側上壁107とに接続されている。前壁113は、下壁109の前端部から上方に延びており、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111に接続されている。
【0096】
図7図11に示されるように、下壁109には、第2貯留室105に連通する連通口129が形成されている。連通口129には、インクチューブ32の一端部が接続されており、インクチューブ32を介して、第2貯留室105と記録ヘッド39とが連通接続されている。
【0097】
タンク本体101の前端部かつ上部には、前後方向8に延びる円筒形状の内筒部114が設けられている。内筒部114の内部は、前壁113、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111、及び前側上壁108によって形成された開口に連通している。内筒部114には、ジョイント102の後端部が取り付け可能である。内筒部114にジョイント102が取り付けられた装着状態では、内筒部114の内部とジョイント102の内部が連通する。
【0098】
[幅広部150及び幅狭部151]
図10に示されるように、タンク本体101は、前後方向8に沿って並ぶ幅広部150及び幅狭部151を有している。幅広部150は、タンク本体101において前後方向8の後部に位置し、2つの後側側壁110及び後壁112を含む部分である。幅狭部151は、タンク本体101において前後方向8の前端部(第1方向の一端部の一例)に位置し、2つの前側屈曲側壁111及び前壁113を含む部分である。幅狭部151の左右方向9(第1方向に直交する第2方向の一例)における幅は、幅広部150の左右方向9における幅よりも小さい。第2貯留室105は、幅広部150及び幅狭部151に亘って形成されている。
【0099】
図8に示されるように、幅広部150の左右方向9における幅は、インクカートリッジ50の左右方向9における幅に、概ね等しい。したがって、幅狭部151の左右方向9における幅は、インクカートリッジ50の左右方向9における幅よりも小さい。
【0100】
[鉛直壁115及び水平壁116]
図7図11に示されるように、タンク本体101は、タンク本体101の前部且つ上部に、鉛直壁115及び水平壁116を備えている。
【0101】
鉛直壁115は、上下方向7に延びる壁であり、前後方向8において前壁113と屈曲上壁130との間に位置している。鉛直壁115は、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111を接続しており、前壁113、前側上壁108、2つの前側屈曲側壁111に画定される空間を前後に区画している。鉛直壁115の下端位置が、液体流路103の第1開口131の上下方向7における位置であり、且つ、気体流路104の第3開口141の上下方向7における位置である。鉛直壁115の下端位置は、後側上壁107の前端の下端位置に等しい。つまり、第2貯留室105の上面は、鉛直壁115の下端位置を通り水平面と平行な仮想平面と、後側上壁107の下面とによって画定されている。
【0102】
水平壁116は、鉛直壁115の上端から前方に延びる壁である。水平壁116は、内筒部114の内部まで延びている。水平壁116は、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111を接続し、且つ、内筒部114の内面を左右方向9において接続している。水平壁116は、前側上壁108、2つの前側屈曲側壁111によって画定される空間と、内筒部114によって画定される空間とを、上下に区画している。
【0103】
図10に示されるように、液体流路103の鉛直部分133は、鉛直壁115、前壁113、及び2つの前側屈曲側壁111によって形成されている。液体流路103の鉛直部分133において上下方向7と直交する断面の形状は、矩形である。液体流路103の鉛直部分133は、第2貯留室105を区画する2つの前側屈曲側壁111と面一に連続している。したがって、液体流路103の鉛直部分133の左右方向9における幅は、幅狭部151によって画定される第2貯留室105の左右方向9における幅と、同じである。
【0104】
図10に示されるように、気体流路104の鉛直部分143は、屈曲上壁130、鉛直壁115、及び2つの前側屈曲側壁111によって形成されている。気体流路104の鉛直部分133において上下方向7と直交する断面の形状は、矩形である。気体流路104の鉛直部分133は、第2貯留室105を区画する2つの前側屈曲側壁111と面一に連続している。したがって、気体流路104の鉛直部分143の左右方向9における幅は、幅狭部151によって画定される第2貯留室105の左右方向9における幅と、同じである。
【0105】
図10に示されるように、気体流路104の第3開口141の前後方向8(水平方向の一例)に沿った長さ149は、液体流路103の第1開口131の前後方向8(水平方向の一例)に沿った長さ148よりも、長い。気体流路104の第3開口141の左右方向9に沿った長さは、液体流路103の第1開口131の左右方向9に沿った長さに、等しい。そのため、気体流路104の第3開口141の開口面積は、液体流路103の第1開口131の開口面積よりも大きい。
【0106】
図7に示されるように、気体流路104の鉛直部分143において、気体流路104の開口面積は、気体流路104の第3開口141に近づくにつれて拡大している。液体流路103の鉛直部分133では、液体流路103の開口面積は、上下方向7において一定である。
【0107】
図7に示されるように、タンク本体101内における液体流路103の水平部分134は、前側上壁108、水平壁116、2つの前側屈曲側壁111、及び内筒部114によって形成されている。タンク本体101内における気体流路104の水平部分144は、水平壁116、2つの前側屈曲側壁111、及び内筒部114によって形成されている。
【0108】
[第1リブ117]
図7図11に示されるように、タンク本体101は、鉛直壁115と連続する第1リブ117を備えている。第1リブ117は、前側屈曲側壁111から突出しており、鉛直壁115から下方に延びている。第1リブ117と下壁109との間は離間している。左右に位置する2つの前側屈曲側壁111のそれぞれに第1リブ117が設けられており、1つの第2貯留室105内には、2つの第1リブ117が左右方向9に離れて位置している。
【0109】
[液面センサ155]
図7に示されるように、液面センサ155は、タンク本体101の第2貯留室105の液面が所定位置B以上であるか否かを検出するためのセンサである。所定位置Bは、気体流路104の第3開口141を通過して水平方向に延びる仮想線Lより下方の位置である。液面センサ155は、タンク本体101の後壁121の所定位置Bにインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、第2貯留室105の所定位置Bにおけるインクの液面を光学的に検出するためのセンサである。
【0110】
液面センサ155は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。液面センサ155は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる信号(図中では、「液面信号」と表記する。)を出力する。本実施形態では、タンク本体101の第2貯留室105の液面が所定位置B以上であれば、液面センサ155は、ローレベル信号を出力する。タンク本体101の第2貯留室105の液面が所定位置B未満であれば、液面センサ155は、ハイレベル信号を出力する。ローレベル信号が第1信号の一例である。ハイレベル信号が第2信号の一例である。
【0111】
[ジョイント102]
図4から図9図11に示されるように、ジョイント102は、ジョイント本体118、内壁119、栓部材120(図6図7参照)、及びバネ121(図6図7参照)を備えている。
【0112】
[ジョイント本体118]
図7に示されるように、ジョイント本体118は、ジョイント本体118は、後端部に位置する外筒部122と、前端部に位置する先端部123と、外筒部122及び先端部123を接続する本体部124と、を備えている。外筒部122は、円筒形状を有しており、前後方向8に延びている。外筒部122は、タンク本体101の内筒部114に嵌め込まれている。これにより、ジョイント本体118がタンク本体101に固定されている。先端部123は、前後方向8の軸を軸芯とする円板形状を有している。本体部124は、円筒形状を有しており、前後方向8に延びている。本体部124の前端部には、上方及び下方にそれぞれ開口する上開口部125及び下開口部126が形成されている。
【0113】
[仕切壁127及び第2リブ128]
図7図8に示されるように、内壁119は、ジョイント本体118の内部に位置している。内壁119は、先端部123から後方に外筒部122を超えて延びている。内壁119は、仕切壁127と、第2リブ128とを備えている。図8に示されるように、内壁119は、前後方向8から視てT字形状を有している。仕切壁127の後端面は、タンク本体101内の水平壁116の前端面に接触している。仕切壁127及び水平壁116により、ジョイント本体118とタンク本体101との接続部分の内部空間が、液体流路103及び気体流路104に区画されている。
【0114】
仕切壁127は、ジョイント本体118の内部において左右方向9に拡がる壁である。仕切壁127は、先端部123から後方に延びている。ジョイント本体118の内部空間は、仕切壁127によって上部と下部とに区画されている。
【0115】
第2リブ128は、仕切壁127の左右方向9の中央部から下方に突出している。第2リブ128は、先端部123から後方に延びている。第2リブ128とジョイント本体118の内面との間には隙間がある。
【0116】
ジョイント102内における液体流路103の水平部分134は、ジョイント本体118の内面及び内壁119の下面によって形成されている。ジョイント102内における液体流路103の水平部分134の断面は、略半円形状である。より正確には、水平部分134の断面は、半円形状の上側部分が第2リブ128によって左右に分割されており、半円形状の下側部分が左右に分割されずに繋がっている。ジョイント102内における気体流路104の水平部分144は、ジョイント本体118の内面及び内壁119の上面によって形成されている。ジョイント102内における気体流路104の水平部分144の断面は、半円形状である。
【0117】
[栓部材120及びバネ121]
栓部材120は、円筒状の部材であり、ジョイント本体118の本体部124の外側に位置している。栓部材120は、本体部124に沿って前後方向8に移動可能である。バネ121は、前端部が栓部材120の後端部に固定されており、後端部が大気連通部70のバッファタンク90及びジョイント本体118の外筒部122に当接している。バネ121は、栓部材120を前方に付勢する。外力が加えられない状態では、栓部材120は、ジョイント本体118の前端部に位置しており、上開口部125及び下開口部126を閉鎖している。バネ121の弾性力よりも大きな後向きの外力が栓部材120に加えられると、栓部材120は後方に移動して、上開口部125及び下開口部126が開放される。インクカートリッジ50の装着時には、栓部材120にインクカートリッジ50のジョイント受部52が当接する。インクカートリッジ50の装着時に加えられる外力により、ジョイント受部52に当接する栓部材120が後方に移動する。
【0118】
[インクカートリッジ50の装着状態]
図5図7に示されるように、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着された装着状態では、サブタンク100のジョイント本体118が、前後方向8に沿ってインクカートリッジ50のジョイント受部52内に挿入され、さらに連通口61内に挿入されている。この装着状態では、インクカートリッジ50の第1貯留室53に、サブタンク100の液体流路103の第2開口132及び気体流路104の第4開口142が進入している。図4図5に示されるように、インクカートリッジ50は、前後方向8に沿ってサブタンク100に分離及び装着可能である。
【0119】
[インクカートリッジ50及びサブタンク100のレイアウト]
インクカートリッジ50及びサブタンク100のレイアウトが説明される。レイアウトは、インクカートリッジ50が装着ケース71に装着され、インクカートリッジ50及びサブタンク100が図5に示される使用姿勢であるとして説明がなされる。
【0120】
図5に示されるように、インクカートリッジ50の凸部65は、上下方向7において、ジョイント102と略同じ位置にあるが、インクカートリッジ50の凸部65より上方の部分は、ジョイント102よりも上方にある。そのため、インクカートリッジ50の第1貯留室53の大部分は、第2開口132よりも上方に位置している。また、サブタンク100の上部、すなわち屈曲上壁130付近から上方の部分は、ジョイント102と略同じ位置にあるが、サブタンク100の屈曲上壁130付近より下方の部分は、ジョイント102よりも下方にある。そのため、サブタンク100の第2貯留室105の大部分は、第3開口141ジョイント102よりも下方にある。
【0121】
第1貯留室53の凸部65より上方の部分は、液体流路103の水平部分134及び気体流路104の水平部分144よりも上方に位置している。第2貯留室105は、液体流路103の水平部分134及び気体流路104の水平部分144よりも下方に位置している。第1貯留室53の下側部分と、第2貯留室105の上側部分とは、前後方向8の同軸上に並んでいる。第1貯留室53の容積は、第2貯留室105の容積よりも大きい。
【0122】
気体流路104の水平部分144は、液体流路103の水平部分134よりも上方に位置している。
【0123】
図7に示されるように、第1貯留室53の連通口61から後方に向けて、液体流路103の第1開口131、気体流路104の第3開口141、及び大気連通口106が順に位置している。第1貯留室53の連通口61の上下方向7の位置が、第1貯留室53と液体流路103とが連通する上下方向7の位置に相当し、その上下方向7の位置において連通口61から後方に向かう方向が、第1貯留室53から遠ざかる方向である。
【0124】
[大気連通部70]
図5図11図12に示されるように、大気連通部70は、バッファタンク90と、連通流路145と、大気連通路147と、を備えている。
【0125】
[バッファタンク90]
図5図11に示されるように、バッファタンク90は、装着ケース71の下方且つサブタンク100の上方に位置している。
【0126】
図5図11に示されるように、バッファタンク90は、上壁91、下壁92、2つの側壁93、3つの仕切壁94、後壁95、及び突出壁96を備えている。上壁91は、水平面に対して傾斜した面に沿って拡がる壁である。下壁92は、後方から水平面と平行に延びながら、前方に向かうにつれて上方に屈曲する壁である。下壁92の前端部は上壁91の前端部に接続している。2つの側壁93は、上壁91及び下壁92の左右方向9の両端部をそれぞれ上下方向7に接続する壁である。3つの仕切壁94は、2つの側壁93と左右方向9に並列に配置された壁である。後壁95は、上壁91及び下壁92の後端部を接続する壁である。突出壁96は、上壁91の後端部から上方に延びる壁である。後壁95と突出壁96との間には、前後方向8に隙間が形成されている。
【0127】
バッファタンク90の上壁91の上方には、装着ケース71の下壁73が位置している。バッファタンク90の上壁91は、装着ケース71の下壁73を支持している。したがって、バッファタンク90の上壁91は、装着ケース71に収納されたインクカートリッジ50を、装着ケース71の下壁73を介して支持可能である。
【0128】
[バッファ室97]
上壁91、下壁92、2つの側壁93、後壁95によって画定される内部空間は、3つの仕切壁94により4つのバッファ室97として区画されている。4つのバッファ室97は、それぞれ4つのサブタンク100に連通接続されている。4つのバッファ室97は、気液置換により第1貯留室53内のインクが第2貯留室105に供給されるに伴って第1貯留室53に送られる空気を、貯留可能な空間である。4つのバッファ室97は、記録部24よりも上方に位置している。
【0129】
図5に示されるように、第1貯留室53の下方にバッファ室97が位置し、バッファ室97の下方に第2貯留室105が位置している。凸部65内に形成された第1貯留室53の一部及びバッファ室97の一部は、前後方向8(水平方向の一例)の同軸上に並んでいる。さらに、凸部65の一部、ジョイント102の一部、及びバッファタンク90の一部が、前後方向8(水平方向の一例)の同軸上に並んでいる。また、第1貯留室53の一部及びバッファ室97の一部は、上下方向7の同軸上に並んでいる。
【0130】
[連通流路145]
図12(A)に示されるように、バッファタンク90の下壁92は、バッファ室97に連通する開口部98を有している。インク供給装置15は、タンク本体101の大気連通口106とバッファタンク90の開口部98とを接続する接続管99を備えている。接続管99は、円筒形状である。接続管99の内面によって、第2貯留室105とバッファ室97とを接続する連通流路145が形成されている。連通流路145は、上下方向7に延びている。
【0131】
[大気連通路147]
図12(B)に示されるように、上壁91の後端部には、バッファ室97毎に開口部146が形成されている。上壁91は、突出壁96の後方に4つの開口部146を有している。上壁91の下面は、前後方向8(水平方向の一例)に沿って開口部98と反対(後方)に向かって上方に傾斜している。開口部146は、上壁91の下面が上下方向7の最も高い位置において、上壁91に開口している。ここで、後壁95の前面と突出壁96の後面とによって、上下方向7に延びる大気連通路147が形成されている。大気連通路147は、開口部146を介してバッファ室97から上方に延びており、複合機10の筐体14の外部に連通している。
【0132】
[本実施形態の動作]
まず、空のサブタンク100にインクカートリッジ50が初めて装着された初期導入時におけるインク及び空気の流れが説明される。
【0133】
図6に示される初期導入前の状態(前状態)では、インクカートリッジ50はサブタンク100から分離されている。前状態では、インクカートリッジ50の連通口61は栓部材62によって閉鎖されており、第1貯留室53がインクカートリッジ50によって密閉されている。そのため、第1貯留室53に満たされたインクは、外部に漏れることはない。一方、前状態では、サブタンク100の上開口部125及び下開口部126(図7参照)は、栓部材120によって閉鎖されている。そのため、第2貯留室105に連通する液体流路103の第2開口132及び気体流路104の第2開口が、外部に対して閉じられている。第2貯留室105は、液体流路103及び気体流路104の他に外部に連通する部位として、大気連通口106(図7参照)及び連通口129(図7参照)を有している。大気連通口106は、バッファ室97を介して複合機10の外気と連通している。連通口129は、インクチューブ32を介して記録ヘッド39に連通しているが、記録ヘッド39の休止状態ではインクは連通口129から流出することはない。ここで、第2貯留室105には、インクが満たされておらず、第2貯留室105は空の状態である。
【0134】
図5図7に示されるように、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着されると、連通口61を閉鎖する栓部材62がバネ63の付勢力に逆らって前方に退避し、且つ、上開口部125及び下開口部126を閉鎖する栓部材120がバネ121の付勢力に逆らって後方に退避する。この結果、第1貯留室53が液体流路103及び気体流路104を介して第2貯留室105に連通する。そうすると、インクカートリッジ50の第1貯留室53内のインクが、液体流路103を介して自然落下して、サブタンク100の第2貯留室105内に導入される。大気連通口106が外気に開放されているため、第2貯留室105内に導入されたインクの量と同じ体積の空気が、大気連通口106及び気体流路104を介して第1貯留室53に導入される。このように、第1貯留室53内のインクが空気に置換されること(気液置換)により、第1貯留室53内のインクが第2貯留室105に供給される。
【0135】
気液置換の進行により、第2貯留室105のインクの液面は上昇する。インクの液面が上昇して鉛直壁115の下端位置に到達すると、気体流路104の第3開口141が閉じられる。そうすると、気液置換ができなくなるので、第1貯留室53から第2貯留室105へのインクの供給が停止される。このようにして、初期導入時におけるインクの供給が行われる。
【0136】
次に、インクカートリッジ50の装着状態においてプリンタ部11による記録動作が実行された場合のインク及び空気の流れが説明される。
【0137】
記録動作の実行時に記録ヘッド39からインクが吐出されると、第2貯留室105内のインクが連通口129から記録ヘッド39へと吸引される。インクの減少に伴って第2貯留室105内のインクの液面が下降するので、閉じられていた気体流路104の第3開口141が開放される。気体流路104の第3開口141が開放されると、上述したように、気液置換が実行されて、第1貯留室53から第2貯留室105にインクが供給される。記録ヘッド39でのインクの消費を補うように、第1貯留室53から第2貯留室105にインクが供給され、第2貯留室105内のインクの液面の高さは、気体流路104の第3開口141の位置に保たれる。
【0138】
第1貯留室53内のインクが空になった場合、空になったインクカートリッジ50を、インクに満たされた別のインクカートリッジ50に交換することにより、複合機10は継続的に記録動作を実行できる。
【0139】
[コントローラ230]
コントローラ230は、図6に示されるように、CPU231、ROM232、RAM233、EEPROM234、及びASIC235を備えている。ROM232には、CPU231が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM233は、CPU231が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM234には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。ROM232、RAM233、及びEEPROM234は、装置メモリの一例である。
【0140】
ASIC235は、給送ローラ25、搬送ローラ34、排出ローラ36、及び記録ヘッド39を動作させるためのものである。コントローラ230は、ASIC235を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ25、搬送ローラ34、及び排出ローラ36を回転させる。また、コントローラ230は、ASIC235を通じて記録ヘッド39の駆動素子に駆動信号を出力することによって、記録ヘッド39にノズル40を通じてインクを吐出させる。ASIC235は、ノズル40を通じて吐出すべきインクの量に応じて、複数種類の駆動信号を出力可能である。
【0141】
また、ASIC235には、ディスプレイ17と、操作パネル22とが接続されている。
【0142】
さらに、ASIC235には、接点152と、カバーセンサ88と、カバーセンサ154と、液面センサ155とが電気的に接続されている。コントローラ230は、装着ケース71に装着されたインクカートリッジ50のICチップ66のメモリに、接点152を通じてアクセスする。コントローラ230は、カバー48の位置をカバーセンサ88を通じて検出する。また、コントローラ230は、装着センサ154の検出信号に基づいて、装着ケース71に装着されたインクカートリッジ50を検出する。さらに、コントローラ230は、第2貯留室105内のインクの液面が所定位置B以上か否かを液面センサ155を通じて検出する。
【0143】
ROM232には、液面センサ155がハイレベル信号を出力したときに、サブタンク100の第2貯留室105に貯留されている所定インク量Vsc(固定値Aの一例)、及びインクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されている所定インク量Vccが記憶されている。所定インク量Vccは、本実施形態ではゼロである。
【0144】
EEPROM234は、装着ケース71に装着される4つのインクカートリッジ50それぞれに対応付けて、換言すれば、インクカートリッジ50と連通されるサブタンク100それぞれに対応付けて、各種情報を記憶している。各種情報とは、例えば、液体量の一例であるインク量Vc、Vsと、容積Vthと、C_Emptyフラグと、S_Emptyフラグと、カウント値SNと、カウント値TNと、閾値Nthと、を含む。
【0145】
なお、インク量Vc及び識別情報は、インクカートリッジ50が装着ケース71に装着された状態で、接点152を通じてICチップ66のメモリからコントローラ230によって読み出される情報である。容積Vthは、EEPROM234に代えて、ROM232に記憶されていてもよい。
【0146】
インク量Vcは、インクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されているインクの量を示す。インク量Vsは、サブタンク100の第2貯留室105に貯留されているインクの量を示す。インク量Vc、Vsは、例えば、容積Vthによって算出される。インクカートリッジ50の第1貯留室53内にサブタンク100へ流出可能なインクがあるとき、サブタンク100の第2貯留室105内のインクの液面は、気体流路104の第3開口141を含む仮想線Lの位置となる。この状態が平衡状態と称される。つまり、平衡状態では、第1貯留室53と第2貯留室105との間でのインクの移動が停止する。平衡状態におけるインク量Vsは、第2貯留室105の仮想線L未満の容積Vthである。したがって、インクの総量Vtが算出されると、インク量Vs及びインク量Vcが求められる。つまり、総量Vtが容積Vth以上であれば、インク量Vsは容積Vthであり、インク量Vcは総量Vtから容積Vthを差し引いた量である。総量Vtが容積Vth未満であれば、インク量Vsは総量Vtと同等であり、インク量Vcはゼロである。また、容積Vthが用いられずに、総量Vt毎に対応づけられたテーブルによってインク量Vc、Vsが求められてもよい。
【0147】
カウント値SNは、液面センサ155から出力される信号がローレベル信号からハイレベル信号に変化した後に、記録ヘッド39に排出を指示したインク排出量Dh(すなわち、駆動信号で示されるインク量)に相当する値で、閾値Nthに近づく向きに更新される値である。カウント値SNは、初期値を“0”としてカウントアップされる値である。また、閾値Nthは、連通口129の上端付近と所定位置Bとの間の第2貯留室105の容積に相当する。但し、カウント値SNは、この容積に相当する値を初期値として、カウントダウンされる値でもよい。この場合の閾値Nthは、0となる。カウント値SNは、第2カウント値の一例である。
【0148】
カウント値TNは、カバーセンサ88から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化した後に、記録ヘッド39に排出を指示したインク排出量Dh(すなわち、駆動信号で示されるインク量)に相当する値であり、初期値を“0”としてカウントアップされる値である。また、カウント値TNは、初期値をインクの総量Vtに相当する値として、カウントダウンされる値でもよい。カウント値TNは、第1カウント値の一例である。
【0149】
C_Emptyフラグは、インクカートリッジ50がカートリッジエンプティ状態か否かを示す情報である。C_Emptyフラグには、カートリッジエンプティ状態であることに対応する値“ON”、或いはカートリッジエンプティ状態でないことに対応する値“OFF”が設定される。カートリッジエンプティ状態とは、インクカートリッジ50(より詳細には、第1貯留室53)にインクが実質的に貯留されていない状態である。換言すれば、カートリッジエンプティ状態とは、連通された第1貯留室53から第2貯留室105にインクが移動しない状態である。さらに換言すれば、カートリッジエンプティ状態とは、当該インクカートリッジ50に連通されたサブタンク100の液面が所定位置B未満の状態である。
【0150】
S_Emptyフラグは、サブタンク100がインクエンプティ状態か否かを示す情報である。S_Emptyフラグには、インクエンプティ状態であることに対応する値“ON”、或いはインクエンプティ状態でないことに対応する値“OFF”が設定される。インクエンプティ状態とは、例えば、サブタンク100(より詳細には、第2貯留室105)に貯留されたインクの液面が連通口129の上端付近の位置に達した状態である。換言すれば、インクエンプティ状態とは、カウント値SN1が閾値Nth1以上の状態である。インクエンプティ状態になった後に記録ヘッド39によるインクの吐出を継続すると、サブタンク100内のインクの液面が連通口129の上端よりも下がってしまい、サブタンク100から記録ヘッド39までのインク流路又は記録ヘッド39内に空気が混入してしまう(所謂、エアイン)可能性がある。その結果、ノズル40内がインクで満たされず、インクの不吐出が発生するおそれがある。
【0151】
[複合機10の動作]
図14図15を参照して、本実施形態に係る複合機10の動作を説明する。図14図15に示される各処理は、コントローラ230のCPU231によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM232に記憶されているプログラムをCPU231が読み出して実行してもよいし、コントローラ230に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。また、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0152】
[画像記録処理]
コントローラ230は、複合機10に記録指示が入力されたことに応じて、図14に示される画像記録処理を実行する。記録指示は、画像データで示される画像をシートに記録する記録処理を複合機10に実行させるための第1排出指示及び第2排出指示の一例である。記録指示の取得先は特に限定されないが、例えば、記録指示に対応するユーザ操作を操作パネル22を通じて受け付けてもよいし、不図示の通信インタフェースを通じて外部装置から受信してもよい。
【0153】
まず、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグそれぞれの設定値を判断する(S11)。そして、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていると判断したことに応じて(S11:ON)、S_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S12)。S_Empty報知画面は、対応するサブタンク100がインクエンプティ状態になって、記録ヘッド39を通じたインクの排出ができないことを、ユーザに報知するための画面である。S_Empty報知画面は、例えば、インクエンプティ状態のサブタンク100に貯留されているインクの色及びインク量Vc、Vsを示す情報を含んでもよい。なお、ステップS12において、コントローラ230は、4つのC_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていると判断したことに応じて、C_Empty報知画面を、S_Empty報知画面と合わせてディスプレイ17に表示させてもよい。
【0154】
また、コントローラ230は、“ON”が設定されたS_Emptyフラグに対応するインクカートリッジ50それぞれに対して、S13~S19の処理を実行する。すなわち、S13~S19の処理は、4つのインクカートリッジ50のうち、対応するS_Emptyフラグに“ON”が設定されたインクカートリッジ50それぞれに対して実行される。インクカートリッジ50毎のS13~S19の処理は共通するので、1つのインクカートリッジ50に対応するS13~S19の処理のみを説明する。
【0155】
まず、コントローラ230は、装着センサ154が出力する信号を取得する(S13)。次に、コントローラ230は、装着センサ154から取得した信号がハイレベル信号及びローレベル信号のどちらであるかを判断する(S14)。そして、コントローラ230は、装着センサ154が出力する信号が、ローレベル信号からハイレベル信号に変化し、再びハイレベル信号からローレベル信号に変化するまで(S14:No)、所定の時間間隔でS13、S14の処理を繰り返し実行する。換言すれば、コントローラ230は、インクカートリッジ50が装着ケース71から抜き出され、新たにインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されるまで、S13、S14の処理を繰り返し実行する。
【0156】
そして、コントローラ230は、装着センサ154からローレベル信号を取得し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したことに応じて(S14:Yes)、S15に示す処理を実行する。つまり、コントローラ230は、接点152を通じてインクカートリッジ50のICチップ66から、識別情報及びインク量Vcを読み出して、EEPROM234に記憶させる(S15)。このとき、コントローラ230は、EEPROM234が記憶するインク量Vcを、ICチップ66から読み出したインク量Vcで更新する。
【0157】
また、コントローラ230は、カートリッジ交換後の総量Vtを算出する(S16)。詳細には、コントローラ230は、EEPROM234に記憶されているカートリッジ交換前のカウント値SNと、ROM232に記憶されているインク量Vscと、に基づいてカートリッジ交換前のインク量Vsを算出して(Vs=Vsc-SN)、EEPROM234に記憶させる。なお、カートリッジ交換前のインク量Vsは、カートリッジ交換前の総量Vtに等しい。そして、算出したインク量Vsと、交換後のインクカートリッジ50のICチップ66のメモリから読み出したインク量Vcと、に基づいて、カートリッジ交換後の総量Vtを算出する。つまり、インクカートリッジ50が交換されると、インクカートリッジ50が交換される直前のサブタンク100の第2貯留室105に貯留されているインクのインク量Vs(=Vsc-SN)に、新しいインクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されているインク量Vcが加わることとなる。したがって、コントローラ230は、交換されたインクカートリッジ50のICチップ66から読み出したインク量Vcと、EEPROM234に記憶されているカートリッジ交換前のインク量Vsと、の和を総量Vtとして算出する(Vt=Vs+Vc)。
【0158】
そして、コントローラ230は、算出した総量Vtと、EEPROM234から読み出した容積Vthに基づいて、第2貯留室105のインクの液面が仮想線Lに到達したときのインク量Vc及びインク量Vsを算出する(S16)。カートリッジが交換されると、新たなインクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されているインクが、液体流路103を通じてサブタンク100の第2貯留室105に流入する。その結果、第1貯留室53のインク量Vcは減少し、また、第2貯留室105のインク量Vsは増加する。そして、サブタンク100の第2貯留室105のインクの液面が仮想線Lに到達して、平衡状態になる。
【0159】
コントローラ230は、算出した総量Vtが容積Vth以上であるかを判定する。例えば、新品のインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されると、総量Vtは容積Vth以上である。コントローラ230は、総量Vtが容積Vth以上であれば、容積Vthをインク量Vsに決定する。そして、コントローラ230は、算出したインク量VcをEEPROM234に記憶させる(S17)。このとき、コントローラ230は、EEPROM234が記憶するインク量Vsを、決定したインク量Vsにて更新する。また、コントローラ230は、算出したインク量Vcを接点152を通じてICチップ66のメモリに記憶させる(S17)。このとき、コントローラ230は、ICチップ66のメモリが記憶するインク量Vcを、算出したインク量Vcにて更新する。
【0160】
続いて、コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号が、ハイレベル信号からローレベル信号へ変化したかを判定する(S18)。新たなインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されると、インクカートリッジ50の第1貯留室53からサブタンク100の第2貯留室105へインクが流入する。そして、第2貯留室105のインクの液面が所定位置Bに到達すると、液面センサ155が出力する信号がハイレベル信号からローレベル信号へ変化する。コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号がハイレベル信号のままであれば(S18:No)、ローレベル信号を受信するまでS18の判定を繰り返す。つまり、コントローラ230は、第2貯留室105のインクの液面が所定位置Bまで上昇するまで待機する。
【0161】
コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号が、ハイレベル信号からローレベル信号へ変化したと判定したことに応じて(S18:Yes)、S_Emptyフラグ及びC_Emptyフラグをそれぞれ”OFF”とする。また、コントローラ230は、S_Empty報知画面及びC_Empty報知画面のいずれか表示されている方をディスプレイ17から消去する(S19)。また、コントローラ230は、算出したインク量Vc及びインク量Vsをディスプレイ17に表示する。なお、コントローラ230は、算出した総量Vtをディスプレイ17に表示してもよい。総量Vt、インク量Vc,Vsの表示は、数値で表示されてもよいし、バーインデックスなどの画像によって表示されてもよい。また、必ずしもインク量Vc及びインク量Vsの双方が表示される必要はなく、少なくとも一部が、例えば、インク量Vcのみが表示されてもよい。そして、コントローラ230は、S11以降の処理を再び実行する。
【0162】
コントローラ230は、すべてのインクカートリッジ50にそれぞれ対応するすべてのS_Emptyフラグが”ON”でなければ、すなわち”OFF”であれば、現時点で4つの液面センサ155それぞれから出力されている信号を取得する(S20)。さらにS20において、コントローラ230は、液面センサ155から取得した信号がハイレベル信号及びローレベル信号のどちらかを示す情報を、RAM233に記憶させる。
【0163】
そして、コントローラ230は、記録指示に含まれる画像データで示される画像を1つのシートに記録する(S21)。より詳細には、コントローラ230は、給送トレイ20上のシートを給送ローラ25及び搬送ローラ34に搬送させ、記録ヘッド39にインクを吐出させ、画像が記録されたシートを排出ローラ36に排出トレイ21へ排出させる。すなわち、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されているときに記録ヘッド39を通じたインクの排出を許可する。一方、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されているときに記録ヘッド39を通じたインクの排出を禁止する。
【0164】
次に、コントローラ230は、記録指示に従って1つのシートに画像を記録したことに応じて、現時点で4つの液面センサ155それぞれから出力されている信号を取得する(S22)。さらに、S20と同様に、コントローラ230は、液面センサ155から取得した信号がハイレベル信号及びローレベル信号のどちらかを示す情報を、RAM233に記憶させる(S22)。そして、コントローラ230は、カウント処理を実行する(S23)。カウント処理は、S20、S22で液面センサ155から取得した信号に基づいて、カウント値TN、SN、C_Emptyフラグ、及びS_Emptyフラグを更新する処理である。カウント処理の詳細は、図8を参照して後述する。
【0165】
次に、コントローラ230は、記録指示で示された全ての画像を1つのシートに記録するまで(S24:Yes)、S11~S24の処理を繰り返し実行する。そして、コントローラ230は、記録指示で示される全ての画像を1つのシートに記録したことに応じて(S24:No)、4つのS_Emptyフラグそれぞれの設定値及び4つのC_Emptyフラグそれぞれの設定値を判断する(S25、S26)。
【0166】
コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていることに応じて(S25:ON)、S_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S27)。また、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されており、且つ4つのC_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていることに応じて(S25:OFF&S26:ON)、C_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S28)。S25、S26の処理は、報知機を作動させることの一例である。
【0167】
S27で表示されるS_Empty報知画面は、S12と同様であってもよい。また、C_Empty報知画面は、”ON”が設定されたC_Emptyフラグに対応するインクカートリッジ50がカートリッジエンプティ状態になったことを、ユーザに報知するための画面である。C_Empty報知画面は、例えば、カートリッジエンプティ状態のインクカートリッジ50に貯留されているインクの色及びインク量Vc、Vsを示す情報を含んでもよい。一方、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグ及び4つのC_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されていることに応じて(S26:OFF)、画像記録処理を終了する。
【0168】
なお、排出指示の具体例は記録指示に限定されず、パージなどのノズル40のメンテナンスを指示するメンテナンス指示等であってもよい。コントローラ230は、例えば操作パネル22を通じてメンテナンス指示を取得したことに応じて、図14と同様の処理を実行する。メンテナンス指示を取得した場合の前述の処理との相違点は、以下の通りである。まず、コントローラ230は、S21において、不図示のメンテナンス機構を駆動させて、ノズル40を通じてインクを排出させる。また、コントローラ230は、カウント処理を実行した後にS24の処理を実行することなく、S24以降の処理を実行する。
【0169】
[カウント処理]
次に図15を参照して、S23でコントローラ230が実行するカウント処理の詳細を説明する。なお、コントローラ230は、4つのインクカートリッジ50のそれぞれに対して、カウント処理を独立して実行する。インクカートリッジ50毎のカウント処理は共通するので、1つのインクカートリッジ50に対応するカウント処理のみを説明する。
【0170】
まず、コントローラ230は、S20、S22でRAM233に記憶させた液面センサ155の信号を示す情報を比較する(S31)。すなわち、コントローラ230は、カウント処理(S23)を実行する直前のS21の処理を実行する前と後とで、4つの液面センサ155それぞれの信号が変化したか否かを判断する。
【0171】
コントローラ230は、S20、S22でRAM233に記憶させた情報が共にローレベル信号を示す(すなわち、S21の処理の前後で液面センサ155の出力が変化していない)ことに応じて(S31:L→L)、カウント値TNを更新する(S32)。すなわち、コントローラ230は、直前のS21で排出を指示したインク量に相当する値で、カウント値TNをカウントアップする。
【0172】
また、コントローラ230は、現在の総量Vtを算出する(S33)。まず、コントローラ230は、カートリッジ交換後にEEPROM234に記憶されたインク量Vc及びインク量Vsの和であるカートリッジ交換後の総量Vtを算出する。そして、コントローラ230は、算出した総量Vtから、カウント値TNに相当するインク量を差し引いた値として、現在の総量Vtを算出する(Vt=Vt-TN)。そして、コントローラ230は、算出された現在の総量Vtと、容積Vthに基づいてインク量Vc、Vsを求める(S33)。
【0173】
コントローラ230は、算出した現在の総量Vtが容積Vth以上であるかを判定する。コントローラ230は、現在の総量Vtが容積Vth以上であれば、容積Vthをインク量Vsと決定する。他方、コントローラ230は、現在の総量Vtが容積Vth未満であれば、現在の総量Vtをインク量Vsとして決定する。
【0174】
続いて、コントローラ230は、算出したインク量Vc及びインク量Vsの双方と、算出した総量Vtと、のいずれか一方をディスプレイ17に表示する(S34)。また、コントローラ230は、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されたインク量Vcを、算出したインク量Vcで更新する(S35)。
【0175】
また、コントローラ230は、S20でRAM233に記憶させた情報がローレベル信号を示し、S22でRAM233に記憶させた情報がハイレベル信号を示す(すなわち、S21の処理の前後で液面センサ155の出力が変化したことに応じて(S31:L→H)、C_Emptyフラグに“ON”を代入する(S36)。液面センサ155の出力がローレベル信号からハイレベル信号に変化するのは、図16に示されるように、S21の処理中に第2貯留室105の液面が所定位置Bに達したことに対応する。そして、これ以降は、インクカートリッジ50とサブタンク100との間でインクが移動しない。
【0176】
また、コントローラ230は、ROM232から所定インク量Vcc(=0)を読み出して、インク量Vcを所定インク量Vccとする(S37)。同様に、コントローラ230は、ROM232から所定インク量Vsc(所定位置B未満の第2貯留室105の容積に相当する。)を読み出して、インク量Vsを所定インク量Vscとする(S37)。残量更新処理で算出されるインク量Vc、Vsは誤差を含むので、コントローラ230は、液面センサ155の出力がローレベル信号からハイレベル信号に変化したタイミングで、インク量Vcを所定インク量Vccとし、また、インク量Vsを所定インク量Vscとして、累積した誤差をリセットする。また、コントローラ230は、現在の総量Vtを、インク量Vsと同じ値(Vt=Vsc)として算出する(S37)。インク量Vcがゼロになることによって、総量Vtは、インク量Vsと同じ値となる。
【0177】
そして、コントローラ230は、現在のインク量Vc及びインク量Vsの双方と、現在の総量Vtと、のいずれか一方をディスプレイ17に表示する。また、コントローラ230は、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されたインク量Vcを、前述したインク量Vc(=0)で上書きする(S39)。ICチップ66のメモリに記憶されるインク量Vc=0の情報は、使用済み情報の一例である。
【0178】
なお、液面センサ155の出力が変化するのは、S21の処理の途中である。よって、S37で読み出された所定インク量Vscは、正確には、液面センサ155の出力が変化した瞬間にサブタンク100に貯留されているインクの量ではなく、液面センサ155の出力が変化する直前のインクの量を示していることとなる。しかしながら、これらのインク量の差は僅かなので、S37で読み出された所定インク量Vscが、液面センサ155の出力が変化した時点のインク量Vsとして近似的に扱われる。
【0179】
また、コントローラ230は、EEPROM234に記憶されたカウント値SNを、直前のS21で排出を指示したインク量に相当する値でカウントアップする(S40)。換言すれば、コントローラ230は、液面センサ155の出力がローレベル信号からハイレベル信号に変化したことに応じて、カウント値SNの更新を開始する。また、コントローラ230は、EEPROM234に記憶されたカウント値TNを、直前のS21で排出を指示したインク量に相当する値でカウントアップする。
【0180】
そして、コントローラ230は、インク量Vsを算出する(S41)。算出されるインク量Vsは、ROM232に記憶された所定インク量Vscから、EEPROM234に記憶されたカウント値SNに相当するインク量を差し引いた値である。なお、前述したように、液面センサ155の出力がハイレベル信号になった後は、インク量Vsは、現在の総量Vtと同じ値である。また、インク量Vcはゼロである。
【0181】
そして、コントローラ230は、算出した現在のインク量Vc及びインク量Vsの双方と、算出した現在の総量Vtと、のいずれか一方をディスプレイ17に表示する(S42)。なお、液面センサ155の出力がハイレベル信号になった後は、インク量Vcはゼロなので、コントローラ230は、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されたインク量Vcを更新する必要はない。
【0182】
次に、コントローラ230は、S40で更新したカウント値SNと、閾値Nthとを比較する(S43)。そして、コントローラ230は、S40で更新したカウント値SNが閾値Nth未満だと判断したことに応じて(S43:No)、カウント処理を終了する。一方、コントローラ230は、S40で更新したカウント値SNが閾値Nth以上だと判断したことに応じて(S43:Yes)、S_Emptyフラグに“ON”を代入する(S44)。そして、コントローラ230は、S_Emptyフラグに“ON”が設定されていることに応じて記録ヘッド39を通じたインクの排出を禁止して、カウント処理を終了する。
【0183】
また、コントローラ230は、S20、S22でRAM233に記憶させた情報が共にハイレベル信号を示すことに応じて(S31:H→H)、EEPROM234に記憶されているカウント値SNを読み出す。そして、コントローラ230は、読み出したカウント値SNを、直前のS21で排出を指示したインク量に相当する値でカウントアップして、再びEEPROM234に記憶させる。すなわち、コントローラ230は、カウント値SNを更新する(S40)。また、コントローラ230は、カウント値TNも更新する。次に、コントローラ230は、S40で更新したカウント値SNを用いて、前述したS41からS44の処理を実行する。
【0184】
[第1実施形態の作用効果]
第1実施形態によれば、容積Vthを用いて、現在の総量Vtからインク量Vc、Vsを求めることができる。また、液面センサ155がハイレベル信号を出力したことに応じて、総量Vtを所定インク量Vscに更新して、総量Vtを補正することができる。そして、補正された総量Vtから、インク量Vc,Vsを決定することができる。また、インクカートリッジ50の第1貯留室53からサブタンク100の第2貯留室105へインクが供給されなくなったタイミングと、その後のインク量Vsを決定することができる。なお、所定インク量Vscに更新される値は総量Vtではなく、インク量Vsであってもよい。液面センサ155がハイレベル信号を出力したときには、第1貯留室53から第2貯留室105へはインクが移動せず、総量Vtはインク量Vsと同じ値となるからである。
【0185】
また、コントローラ230が、カートリッジの交換が必要である旨を示すC_Empty報知画面をディスプレイ17に表示するので、インクカートリッジ50の交換が必要であることをユーザに知らせることができる。
【0186】
また、インク量VcがICチップ66のメモリに記憶されているので、インクが消費されたインクカートリッジ50が装着ケース71から取り出されても、取り出されたインクカートリッジ50の第1貯留室53のインク量VcをICチップ66から読み出すことができる。そして、インクが消費されたインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されると、ICチップ66からインク量Vcが読み出されて、総量Vtを算出される。
【0187】
また、ICチップ66のメモリには、インク量Vc=0が記憶されるので、インクを貯留しないインクカートリッジ50であることを判定できる。
【0188】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態が説明される。第2実施形態における複合機10の構成は、図17に示されるように、複合機10が温度センサ89を有しており、コントローラ230が温度センサ89が出力する信号を受信する他は、第1実施形態と同様なので、ここでは詳細な説明が省略される。以下、第2実施形態における複合機10の動作が説明される。
【0189】
[画像記録処理]
コントローラ230は、複合機10に記録指示が入力されたことに応じて、図18に示される画像記録処理を実行する。記録指示は、画像データで示される画像をシートに記録する記録処理を複合機10に実行させるための排出指示の一例である。記録指示の取得方法は特に限定されないが、例えば、記録指示に対応するユーザ操作を操作パネル22を通じて受け付けてもよいし、不図示の通信インタフェースを通じて外部装置から受信してもよい。
【0190】
まず、コントローラ230は、4つのインクカートリッジ50それぞれのS_Emptyフラグの設定値を判定する(S51)。そして、コントローラ230は、4つのインクカートリッジ50それぞれのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていると判定したことに応じて(S51:ON)、S_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S52)。S_Empty報知画面は、対応するサブタンク100がインクエンプティ状態になって、記録ヘッド39を通じたインクの排出ができないことを、ユーザに報知するための画面である。S_Empty報知画面は、例えば、インクエンプティ状態のサブタンク100に貯留されているインクの色及びインク量Vc、Vsを示す情報を含んでもよい。なお、ステップS52において、コントローラ230は、4つのインクカートリッジ50のC_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていると判定したことに応じて、C_Empty報知画面を、S_Empty報知画面と合わせてディスプレイ17に表示させてもよい。S52にてS_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させることは、報知機に第1報知を報知させることの一例である。
【0191】
図20(A)に、S_Empty報知画面の例を示す。図示例のS_Empty報知画面は、オブジェクト251と、オブジェクト252と、オブジェクト253とを有する。オブジェクト251は、インクカートリッジ50の交換を促す旨を示し、「インクカートリッジを交換してください」との文字列を有する。オブジェクト252は、交換の対象となるインクカートリッジ50の種類を示し、図示例では、マゼンタを示す「M」の文字を有する。オブジェクト253は、空の状態のインクカートリッジ50を示す。
【0192】
また、コントローラ230は、“ON”が設定されたS_Emptyフラグに対応するインクカートリッジ50それぞれに対して、S53~S62の処理を実行する。すなわち、S53~S62の処理は、4つのインクカートリッジ50のうち、対応するS_Emptyフラグに“ON”が設定されたインクカートリッジ50それぞれに対して実行される。インクカートリッジ50毎のS53~S62の処理は共通するので、1つのインクカートリッジ50に対応するS53~S59の処理のみを説明する。
【0193】
まず、コントローラ230は、装着センサ154が出力する信号を受信する(S53)。次に、コントローラ230は、装着センサ154から受信した信号がハイレベル信号からローレベル信号へ変化したかを判定する(S54)。そして、コントローラ230は、装着センサ154が出力する信号が、ローレベル信号からハイレベル信号に変化し、再びハイレベル信号からローレベル信号に変化するまで、所定の時間間隔でS53、S54の処理を繰り返し実行する(S54:No)。換言すれば、コントローラ230は、インクカートリッジ50が装着ケース71から抜き出され、新たにインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されるまで、S53、S54の処理を繰り返し実行する。
【0194】
そして、コントローラ230は、装着センサ154からローレベル信号を受信し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことに応じて(S54:Yes)、接点152を通じてインクカートリッジ50のICチップ66から、識別情報、種類情報及びインク量Vcを読み出して、EEPROM234に記憶させる(S55)。このとき、コントローラ230は、EEPROM234が記憶するインク量Vcを、ICチップ66から読み出したインク量Vcで更新する。
【0195】
次に、コントローラ230は、S_Empty報知画面をディスプレイ17から消去して、インク流入中画面をディスプレイ17に表示させる(S56)。インク流入中画面は、インクカートリッジ50からサブタンク100へインクが流入中であることをユーザに報知するための画面である。インク流入中画面をディスプレイ17に表示させることは、報知機に第3報知を報知させることの一例である。
【0196】
図20(B)に、インク流入中画面の例を示す。図示例のインク流入中画面は、オブジェクト254と、オブジェクト255とを有する。オブジェクト254は、インクカートリッジ50からサブタンク100へインクが流入中である旨を示し、「カートリッジ(1)のインクを本体内(2)に移しています」との文字列を有する。オブジェクト255は、複合機10内における簡略化したインクカートリッジ50及びサブタンク100を示す。
【0197】
続いて、コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号が、ハイレベル信号からローレベル信号へ変化したかを判定する(S57)。新たなインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されると、インクカートリッジ50の第1貯留室53からサブタンク100の第2貯留室105へインクが流入する。そして、第2貯留室105のインクの液面が所定位置Bに到達すると、液面センサ155が出力する信号がハイレベル信号からローレベル信号へ変化する。コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号がハイレベル信号のままであれば(S57:No)、経過時間Tについて判定する処理を実行する(S58)。
【0198】
コントローラ230は、S55でインクカートリッジ50のICチップ66から読み出した種類情報に基づいて、ROM232から所定時間STを選択して読み出し、RAM233に記憶させる。続いて、コントローラ230は、温度センサ89から信号を受信して、受信した信号が示す温度tと、ROM232に記憶されている温度補正情報とに基づいて、RAM233に記憶させた所定時間STを補正する。詳しくは、コントローラ230は、温度補正情報(Δ=p×t+q、p及びqは定数)に基づいて補正量Δを算出し、所定時間STに補正量Δを加えて補正後の所定時間STを算出し、RAM233に記憶させる。
【0199】
次に、コントローラ230は、装着センサ154からローレベル信号を受信し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信してから(S54:Yes)現在までの経過時間Tを決定する。例えば、コントローラ230は、装着センサ154からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信した時刻をRAM233に記憶させ、当該時刻と現在時刻とに基づいて経過時間Tを決定する。なお、経過時間Tは、装着センサ154からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信したときにタイマをスタートさせ、当該タイマが示す時間に基づいて決定されてもよい。
【0200】
コントローラ230は、決定した経過時間Tが所定時間STを越えたかを判定する(S58)。コントローラ230は、経過時間Tが所定時間STを越えていないと判定すると(S58:No)、ローレベル信号を受信するか、又は所定時間STを越えるまで、S57及びS58の判定を繰り返す。つまり、コントローラ230は、第2貯留室105のインクの液面が所定位置Bまで上昇するか、又はインクカートリッジ50が装着されてから所定時間STが経過するまで待機する。
【0201】
コントローラ230は、決定した経過時間Tが所定時間STを越えたと判定すると(S58:Yes)、インク流入中画面をディスプレイ17から消去して、S_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S59)。S59で表示されるS_Empty報知画面は、S52と同様であってもよいし、異なる画面であってもよい。そしてコントローラ230は、S51以降の処理を再び実行する。S59にてS_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させることは、報知機に第4報知を報知させることの一例である。
【0202】
コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号が、ハイレベル信号からローレベル信号へ変化したと判定したことに応じて(S57:Yes)、カートリッジ交換後の総量Vtを算出する(S60)。詳細には、コントローラ230は、EEPROM234に記憶されているカートリッジ交換前のカウント値SNと、ROM232に記憶されているインク量Vscと、に基づいてカートリッジ交換前のインク量Vsを算出して(Vs=Vsc-SN)、EEPROM234に記憶させる。なお、カートリッジ交換前のインク量Vsは、カートリッジ交換前の総量Vtに等しい。そして、算出したインク量Vsと、交換後のインクカートリッジ50のICチップ66のメモリから読み出したインク量Vcと、に基づいて、カートリッジ交換後の総量Vtを算出する(Vt=Vs+Vc)。そして、インクカートリッジ50が交換されると、インクカートリッジ50が交換される直前のサブタンク100の第2貯留室105に貯留されているインクのインク量Vs(=Vsc-SN)に、新しいインクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されているインク量Vcの一部が加わることとなる。
【0203】
そして、コントローラ230は、算出した総量Vtと、EEPROM234から読み出した容積Vthに基づいて、第1貯留室53から第2貯留室105へのインクの移動が終了したときのインク量Vc及びインク量Vsを算出する(S60)。カートリッジが交換されると、新たなインクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されているインクが、液体流路103を通じてサブタンク100の第2貯留室105に流入する。その結果、第1貯留室53のインク量Vcは減少し、また、第2貯留室105のインク量Vsは増加する。そして、サブタンク100の第2貯留室105のインクの液面が仮想線Lに到達して、平衡状態となる。
【0204】
コントローラ230は、算出した総量Vtが容積Vth以上であるかを判定する。例えば、新品のインクカートリッジ50が装着ケース71に装着されると、総量Vtは容積Vth以上である。コントローラ230は、総量Vtが容積Vth以上であれば、容積Vthをインク量Vsとして決定する。そして、コントローラ230は、算出したインク量VcをEEPROM234に記憶させる(S61)。このとき、コントローラ230は、EEPROM234が記憶するインク量Vsを、算出したインク量Vsにて更新する。また、コントローラ230は、算出したインク量Vcを接点152を通じてICチップ66のメモリに記憶させる(S61)。このとき、コントローラ230は、ICチップ66のメモリが記憶するインク量Vcを、算出したインク量Vcにて更新する。
【0205】
続いて、コントローラ230は、S_Emptyフラグ及びC_Emptyフラグをそれぞれ”OFF”とする。また、コントローラ230は、表示されているS_Empty報知画面やC_Empty報知画面をディスプレイ17から消去する(S62)。また、コントローラ230は、算出したインク量Vc及びインク量Vsをディスプレイ17に表示する。なお、コントローラ230は、算出した総量Vtをディスプレイ17に表示してもよい。総量Vt、インク量Vc,Vsの表示は、数値で表示されてもよいし、バーインデックスなどの画像によって表示されてもよい。また、必ずしもインク量Vc及びインク量Vsの双方が表示される必要はなく、少なくとも一部が、例えば、インク量Vcのみが表示されてもよい。そして、コントローラ230は、S51以降の処理を再び実行する。
【0206】
コントローラ230は、すべてのインクカートリッジ50にそれぞれ対応するすべてのS_Emptyフラグが”ON”でなければ、すなわち全て”OFF”であれば(S51:OFF)、現時点で4つの液面センサ155それぞれから出力されている信号を受信する(S63)。さらにS63において、コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号がハイレベル信号及びローレベル信号のどちらかを示す情報を、RAM233に記憶させる。
【0207】
そして、コントローラ230は、記録指示に含まれる画像データで示される画像を1つのシートに記録する(S64)。より詳細には、コントローラ230は、給送トレイ20上のシートを給送ローラ25及び搬送ローラ34に搬送させ、記録ヘッド39にインクを吐出させ、画像が記録されたシートを排出ローラ36に排出トレイ21へ排出させる。すなわち、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されているときに(S51:OFF)、S64の処理を実行する。つまり、記録ヘッド39を通じたインクの排出を許可する。一方、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されているときには(S51:ON)、S24の処理を実行しない。つまり、4つのサブタンク100全てについて記録ヘッド39を通じたインクの排出を禁止する。
【0208】
次に、コントローラ230は、記録指示に従って1つのシートに画像を記録したことに応じて、現時点で4つの液面センサ155それぞれから出力されている信号を受信する(S65)。さらに、S63と同様に、コントローラ230は、液面センサ155から受信した信号がハイレベル信号及びローレベル信号のどちらかを示す情報を、RAM233に記憶させる(S65)。そして、コントローラ230は、カウント処理を実行する(S66)。カウント処理は、S63、S65で液面センサ155から受信した信号に基づいて、カウント値TN、SN、C_Emptyフラグ、及びS_Emptyフラグを更新する処理である。カウント処理の詳細は、図19を参照して後述する。
【0209】
次に、コントローラ230は、記録指示で示された全ての画像をシートに記録し、次ページが無い状態となるまで(S67:Yes)、S51~S67の処理を繰り返し実行する。そして、コントローラ230は、記録指示で示される全ての画像をシートに記録し、次ページが無い状態となったことに応じて(S67:No)、4つのS_Emptyフラグそれぞれの設定値及び4つのC_Emptyフラグそれぞれの設定値を判定する(S68、S69)。
【0210】
コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていることに応じて(S68:ON)、S_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S70)。また、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されており、且つ4つのC_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されていることに応じて(S68:OFF&S69:ON)、C_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させる(S71)。S68、S69の処理は、報知機に第1報知を報知させることの一例である。
【0211】
S70で表示されるS_Empty報知画面は、S52と同様であってもよい。また、C_Empty報知画面は、”ON”が設定されたC_Emptyフラグに対応するインクカートリッジ50がカートリッジエンプティ状態になったことを、ユーザに報知するための画面である。C_Empty報知画面は、例えば、カートリッジエンプティ状態のインクカートリッジ50に貯留されているインクの色及びインク量Vc、Vsを示す情報を含んでもよい。
【0212】
図20(C)に、C_Empty報知画面の例を示す。図示例のC_Empty報知画面は、図30(A)のS_Empty報知画面と同様にオブジェクト251、オブジェクト252、及びオブジェクト253とを有し、更にオブジェクト256を有する。オブジェクト256は、「本体内のインクで引き続き印刷できます」との文字列を有し、継続して印刷を行えることをユーザに認識させる。
【0213】
一方、コントローラ230は、4つのS_Emptyフラグ及び4つのC_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されていることに応じて(S69:OFF)、画像記録処理を終了する。
【0214】
なお、排出指示の具体例は記録指示に限定されず、パージなどのノズル40のメンテナンスを指示するメンテナンス指示等であってもよい。コントローラ230は、例えば操作パネル22を通じてメンテナンス指示を受信したことに応じて、図18と同様の処理を実行する。メンテナンス指示を受信した場合の前述の処理との相違点は、以下の通りである。まず、コントローラ230は、S64において、不図示のメンテナンス機構を駆動させて、ノズル40を通じてインクを排出させる。また、コントローラ230は、カウント処理を実行した後にS67の処理を実行することなく、S67以降の処理を実行する。
【0215】
[カウント処理]
次に図19を参照して、S66でコントローラ230が実行するカウント処理の詳細を説明する。なお、コントローラ230は、4つのインクカートリッジ50のそれぞれに対して、カウント処理を独立して実行する。インクカートリッジ50毎のカウント処理は共通するので、1つのインクカートリッジ50に対応するカウント処理のみを説明する。
【0216】
まず、コントローラ230は、S63、S65でRAM233に記憶させた液面センサ155の信号を示す情報を比較する(S81)。すなわち、コントローラ230は、カウント処理(S66)を実行する直前のS64の処理を実行する前と後とで、4つの液面センサ155それぞれの出力信号が変化したか否かを判定する。
【0217】
コントローラ230は、S63、S65でRAM233に記憶させた情報が共にローレベル信号を示す(すなわち、S64の処理の前後で液面センサ155の出力信号が変化していない)ことに応じて(S81:L→L)、カウント値TNを更新する(S82)。すなわち、コントローラ230は、直前のS64で排出を指示したインク量に相当する値で、カウント値TNをカウントアップする。
【0218】
また、コントローラ230は、現在の総量Vtを算出する(S83)。まず、コントローラ230は、カートリッジ交換後にEEPROM234に記憶されたインク量Vc及びインク量Vsの和であるカートリッジ交換後の総量Vtを算出する。そして、コントローラ230は、算出した総量Vtから、カウント値TNに相当するインク量を差し引いた値として、現在の総量Vtを算出する(Vt=Vt-TN)。そして、コントローラ230は、算出された現在の総量Vtと、容積Vthに基づいてインク量Vc、Vsを求める(S83)。
【0219】
コントローラ230は、算出した現在の総量Vtが容積Vth以上であるかを判定する。コントローラ230は、現在の総量Vtが容積Vth以上であれば、容積Vthをインク量Vsとして決定する。他方、コントローラ230は、現在の総量Vtが容積Vth未満であれば、現在の総量Vtをインク量Vsとする。
【0220】
続いて、コントローラ230は、算出したインク量Vc及びインク量Vsの双方と、算出した総量Vtと、のいずれか一方をディスプレイ17に表示する(S84)。また、コントローラ230は、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されたインク量Vcを、算出したインク量Vcで更新する(S85)。
【0221】
また、コントローラ230は、S63でRAM233に記憶させた情報がローレベル信号を示し、S65でRAM233に記憶させた情報がハイレベル信号を示す(すなわち、S64の処理の前後で液面センサ155の出力信号が変化したことに応じて(S81:L→H)、C_Emptyフラグに“ON”を設定する(S86)。液面センサ155の出力がローレベル信号からハイレベル信号に変化するのは、S64の処理中に第2貯留室105の液面が所定位置Bに達したことに対応する。そして、これ以降は、インクカートリッジ50とサブタンク100との間でインクが移動しない。
【0222】
また、コントローラ230は、ROM232から所定インク量Vcc(=0)を読み出して、インク量Vcを所定インク量Vccとする(S87)。同様に、コントローラ230は、ROM232から所定インク量Vsc(所定位置B未満の第2貯留室105の容積に相当する。)を読み出して、インク量Vsを所定インク量Vscとする(S87)。カウント処理で算出されるインク量Vc、Vsは誤差を含むので、コントローラ230は、液面センサ155の出力がローレベル信号からハイレベル信号に変化したタイミングで、インク量Vcを所定インク量Vccとし、また、インク量Vsを所定インク量Vscとして、累積した誤差をリセットする。また、コントローラ230は、現在の総量Vtを、インク量Vsと同じ値(Vt=Vsc)として算出する(S87)。インク量Vcがゼロになることによって、総量Vtは、インク量Vsと同じ値となる。
【0223】
そして、コントローラ230は、現在のインク量Vc及びインク量Vsの双方と、現在の総量Vtと、のいずれか一方をディスプレイ17に表示する。また、コントローラ230は、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されたインク量Vcを、前述したインク量Vc(=0)で上書きする(S89)。
【0224】
なお、液面センサ155の出力信号が変化するのは、S64の処理の途中である。よって、S87で読み出された所定インク量Vscは、正確には、液面センサ155の出力信号が変化した瞬間にサブタンク100に貯留されているインクの量ではなく、液面センサ155の出力信号が変化する直前のインクの量を示していることとなる。しかしながら、これらのインク量の差は僅かなので、S87で読み出された所定インク量Vscが、液面センサ155の出力信号が変化した時点のインク量Vsとして近似的に扱われる。
【0225】
また、コントローラ230は、EEPROM234に記憶されたカウント値SNを、直前のS64で排出を指示したインク量に相当する値で更新する(S90)。換言すれば、コントローラ230は、液面センサ155の出力がローレベル信号からハイレベル信号に変化したことに応じて、カウント値SNの更新を開始してカウントアップする。また、コントローラ230は、EEPROM234に記憶されたカウント値TNを、直前のS64で排出を指示したインク量に相当する値でカウントアップする。
【0226】
そして、コントローラ230は、インク量Vsを算出する(S91)。算出されるインク量Vsは、ROM232に記憶された所定インク量Vscから、EEPROM234に記憶されたカウント値SNに相当するインク量を差し引いた値である。なお、前述したように、液面センサ155の出力がハイレベル信号になった後は、インク量Vsは、現在の総量Vtと同じ値である。また、インク量Vcはゼロである。
【0227】
そして、コントローラ230は、算出した現在のインク量Vc及びインク量Vsの双方と、算出した現在の総量Vtと、のいずれか一方をディスプレイ17に表示する(S92)。なお、液面センサ155の出力がハイレベル信号になった後は、インク量Vcはゼロなので、コントローラ230は、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されたインク量Vcを更新する必要はない。
【0228】
次に、コントローラ230は、S90で更新したカウント値SNと、閾値Nthとを比較する(S93)。そして、コントローラ230は、S90で更新したカウント値SNが閾値Nth未満だと判定したことに応じて(S93:No)、カウント処理を終了する。一方、コントローラ230は、S90で更新したカウント値SNが閾値Nth以上だと判定したことに応じて(S93:Yes)、S_Emptyフラグに“ON”を設定する(S94)。そして、コントローラ230は、S_Emptyフラグに“ON”が設定されていることに応じて記録ヘッド39を通じたインクの排出を禁止して、カウント処理を終了する。
【0229】
また、コントローラ230は、S63、S65でRAM233に記憶させた情報が共にハイレベル信号を示すことに応じて(S91:H→H)、EEPROM234に記憶されているカウント値SNを読み出す。そして、コントローラ230は、読み出したカウント値SNを、直前のS64で排出を指示したインク量に相当する値でカウントアップして、再びEEPROM234に記憶させる。すなわち、コントローラ230は、カウント値SNを更新する(S90)。また、コントローラ230は、カウント値TNも更新する。次に、コントローラ230は、S90で更新したカウント値SNを用いて、前述したS91からS94の処理を実行する。
【0230】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態によれば、装着センサ154からローレベル信号を受信した後、所定時間STが経過する前に液面センサ155からローレベル信号を受信したことに基づいて、S_Empty報知画面をディスプレイ17から消去することができる。
【0231】
また、装着センサ154からローレベル信号を受信したことに基づいて、インク流入中画面がディスプレイ17に表示され、経過時間Tが所定時間STを越えたことに基づいて、再びS_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させることができる。また、コントローラ230が、装着されたインクカートリッジ50の種類情報、及び温度センサ89からの信号に基づいて、異なる所定時間STを用いて経過時間Tの判定を行うので、インクカートリッジ50からサブタンク100へのインク流入が進んでいないことの判定を適切に行うことができる。
【0232】
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態では、装着センサ154からローレベル信号を受信したことに基づいて、インク流入中画面がディスプレイ17に表示された。インク流入中画面の表示を省略し、S_Empty報知画面の表示を継続してもよい。また、インク流入中画面の表示に変えて、S_Empty報知画面の消去を行ってもよい。インク流入中画面の表示を行わず、S_Empty報知画面の表示の継続又は消去を行った場合でも、インクカートリッジ50の装着からの経過時間Tが所定時間STを越えたときに(S58:Yes)、コントローラ230が、S_Empty報知画面をディスプレイ17に表示させると好ましい。この場合の、S_Empty報知画面のディスプレイ17への表示は、報知機に第2報知を報知させることの一例である。
【0233】
第2実施形態では、コントローラ230が、4つのS_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定されているときに、記録ヘッド39を通じたインクの排出を許可する例が説明された。従って、4つのS_Emptyフラグの全てに“OFF”が設定された状態で、C_Empty報知画面が表示され、ユーザがインクカートリッジ50を交換するときは、記録ヘッド39を通じたインクの排出が許可された状態である。ここで、インクカートリッジ50が交換されたとき、すなわち、装着センサ154からローレベル信号を受信し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことに応じて、コントローラ230が、記録ヘッド39を通じたインクの排出を禁止してもよい。そして、インクカートリッジ50からサブタンク100へインクが流入し、液面センサ155からローレベル信号を受信したことに応じて、コントローラ230が、記録ヘッド39を通じたインクの排出を許可してもよい。
【0234】
第2実施形態では、コントローラ230が、温度センサ89が検出した温度tに基づいて所定時間STを補正する(S58)例が説明された。温度が高いほどインクの粘度は低下し、インクカートリッジ50からサブタンク100へのインクの流入速度が大きくなる。流入速度が大きくなると、同じ体積のインクが流入するのに要する時間は短くなる。従って、温度tが高くなるほど、所定時間STが小さくなるように、所定時間STが補正されると好ましい。
【0235】
また、所定時間STは、インクの粘度に基づいて補正されてもよい。インクの粘度が高いほど、インクカートリッジ50からサブタンク100へのインクの流入速度が小さくなる。従って、インクの粘度が高くなるほど、所定時間STが大きくなるように、所定時間STが補正されると好ましい。例えば、コントローラ230が、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されているインクの粘度を示す情報に基づいて、RAM233に記憶させた所定時間STを補正してもよい(S58)。
【0236】
また、所定時間STは、インクカートリッジ50の第1貯留室53に貯留されたインクの液面高さに基づいて補正されてもよい。当該液面高さが高いほど、インクカートリッジ50からサブタンク100へのインクの流入速度が大きくなる。従って、液面高さが高くなるほど、所定時間STが小さくなるように、所定時間STが補正されると好ましい。例えば、コントローラ230が、インクカートリッジ50のICチップ66のメモリに記憶されている、第1貯留室53に貯留されたインクの液面高さを示す情報に基づいて、RAM233に記憶させた所定時間STを補正してもよい(S58)。
【0237】
[その他の変形例]
上記各実施形態では、コントローラ230は、装着センサ154からローレベル信号を受信し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことに応じて(S14:Yes)、S15に示す処理を実行した。コントローラ230がS15に示す処理を実行するのは、装着ケース71内にインクカートリッジ50が存在しない装着ケース71内に、インクカートリッジ50が装着されたことを契機としている。つまり、コントローラ230は、装着ケース71内にインクカートリッジ50が装着されたと判定したことに応じて、S15に示す処理を実行すればよい。なお、コントローラ230が、装着センサ154からローレベル信号を受信し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を受信し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を受信したことは、コントローラ230が、装着ケース71内にカートリッジが装着されたと判定したことの一例である。コントローラ230が、装着ケース71内にインクカートリッジ50が装着されたと判定する、他の例を以下に説明する。
【0238】
例えば、コントローラ230が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ230は、ICチップ66のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM234に記憶された交換前のインクカートリッジ50の識別情報と比較する。ICチップ66のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM234に記憶された識別情報とが異なると判定したことに応じて、コントローラ230は、S35に示す処理を実行してもよい。つまり、「コントローラ230は、ICチップ66のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM234に記憶された交換前のインクカートリッジ50の識別情報と比較する。その結果、ICチップ66のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM234に記憶された識別情報とが異なると判定した」ことが、コントローラ230が、装着ケース71内にインクカートリッジ50が装着されたと判定することの一例である。
【0239】
また、例えば、コントローラ230が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ230は、ディスプレイ17を通じてユーザに、装着ケース71内に新たなインクカートリッジ50の装着をしたか、を示す確認画面を表示させる。コントローラ230は、ディスプレイ17に確認画面を表示させている一方で、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信する。受信した当該入力が、装着ケース71内に新たなインクカートリッジ50の装着した、ことに対応していることに応じて、コントローラ230は、S35に示す処理を実行する。つまり、「コントローラ230が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ230は、ディスプレイ17を通じてユーザに、装着ケース71内に新たなインクカートリッジ50の装着をしたか、を示す確認画面を表示させる。コントローラ230は、ディスプレイ17に確認画面を表示させている一方で、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信する。受信した当該入力が、装着ケース71内に新たなインクカートリッジ50の装着した、ことに対応している」ことが、コントローラ230が、装着ケース71内にインクカートリッジ50が装着されたと判定することの一例である。
【0240】
また、上記各実施形態では、液面センサ155は、第2貯留室105の後壁112にインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、第2貯留室105におけるインクの液面を光学的に検出するためのセンサであるが、第2貯留室105におけるインクの液面が検出できれば、液面センサ155の構成は特に限定されない。例えば、第2貯留室105内に設けられて、第2貯留室105の液面が境界位置B未満であるか否かにより回動するアクチュエータの被検出部が、検出位置に位置しているか否かを液面センサ155が検出する構成であってもよい。また、第2貯留室105のインクの液面が電極によって検出される構成であってもよい。また、液面センサ155は、サブタンク100の第2貯留室105の液面によって異なる信号を出力するものに代えて、インクカートリッジ50の第1貯留室53の液面によって異なる信号を出力するものであってもよい。
【0241】
また、上記各実施形態では、4つのS_Emptyフラグの少なくとも1つに“ON”が設定されているときに、4つのサブタンク100全てについて記録ヘッド39を通じたインクの排出を禁止する例が説明された。S_Emptyフラグに“ON”が設定されているサブタンク100についてのみ、記録ヘッド39を通じたインクの排出が禁止されてもよい。また、マゼンタ、シアン、及びイエローに係るS_Emptyフラグの少なくとも一つに“ON”が設定され、ブラックに係るS_Emptyフラグに“OFF”が設定されている場合に、マゼンタ、シアン、及びイエローのインクの排出が禁止され、ブラックのインクの排出が許可されてもよい。
【0242】
また、ICチップ66は、接点152と接触して導通されるが、これにかえて、NFC(near field communication)やRFID(radio frequency identification)のような電波を用いて非接触でデータを読み書きする情報媒体とインタフェースとが採用されてもよい。
【0243】
また、上記実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、液体は、例えば、画像記録時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液でもよいし、記録ヘッド39を洗浄するための水でもよい。
【符号の説明】
【0244】
10・・・複合機(液体排出装置)
17・・・ディスプレイ(報知機)
39・・・記録ヘッド
53・・・第1貯留室(第1液室)
71・・・装着ケース
89・・・温度センサ
100・・・サブタンク
103・・・液体流路
104・・・気体流路
105・・・第2貯留室(第2液室)
106・・・大気連通口
131・・・第1開口
132・・・第2開口
141・・・第3開口
142・・・第4開口
147・・・大気連通路
152・・・接点(インタフェース)
155・・・液面センサ
230・・・コントローラ
234・・・EEPROM(メモリ)
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