(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】データ処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20221220BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20221220BHJP
H04L 51/07 20220101ALI20221220BHJP
【FI】
G06F21/62 318
G06Q10/10
H04L51/07
(21)【出願番号】P 2018186630
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】宮前 英司
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045384(JP,A)
【文献】特開2008-083885(JP,A)
【文献】特表2016-540325(JP,A)
【文献】特表2014-514677(JP,A)
【文献】特開2006-285359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06Q 10/10
H04L 51/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送手からユーザグループへ送信されるメッセージを監視する監視手段と、
前記メッセージがファイルへのリンクを含む場合に、前記メッセージ中からリンクされる前記ファイルへのアクセス権を有
し、且つ前記ユーザグループの参加者を含むアクセス権グループを抽出する抽出手段と、
前記ユーザグループ中に、前記メッセージ中からリンクされる前記ファイルへのアクセス権を有しない受手がいる場合に、前記抽出手段が抽出したアクセス権グループの参加者に前記受手を加えるように、前記アクセス権グループの情報を更新する更新手段と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記更新手段は、前記抽出手段が抽出したアクセス権グループが一つであった場合に、当該アクセス権グループの参加者に前記受手を加えるように、前記アクセス権グループの情報を更新する、
を有する請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記抽出手段が抽出したアクセス権グループが複数あった場合に、前記受手を参加者として加えるアクセス権グループの選択を促す通知をする通知手段をさらに有する請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記ファイルへのアクセス権を有しない受手と、抽出された複数のアクセス権グループのそれぞれとの関連性の高さをさらに通知する請求項3記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記送手からメッセージが送信されたユーザグループへの参加者が参加している人数が多いアクセス権グループほど、前記ファイルへのアクセス権を有しない前記受手との関連性が高いとみなされる請求項4記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記通知手段は、前記送手に通知をする請求項3から5いずれか記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記通知手段は、メッセージが送信されたユーザグループの参加者に通知する請求項3から5いずれか記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記通知手段は、メッセージが送信されたユーザグループの管理者に通知する請求項3から5いずれか記載のデータ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワークを介して共有される知識情報を管理するコンピュータの知識情報管理方法において、課題の解決を目的とする業務を遂行するために、前記ネットワークを介して当該業務の関係者によって取り交わされる一連の発言データを管理し、前記一連の発言データの内容を含む会話ストリームを蓄積するとともに、前記課題の発生から結論に至るまでの課程で前記業務の遂行上必要となるオブジェクトを、必要とされたときの状態で逐次蓄積し、関連付け要求に応答して、蓄積された会話ストリーム中の任意の会話ストリームと、蓄積されたオブジェクト中の任意のオブジェクトとを関連付け、関連情報取得要求に応答して、関連付けられた前記任意の会話ストリームと前記任意のオブジェクトとに関する情報を出力する、手順を有することを特徴とする知識情報管理方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、コミュニティに属するメンバが通信端末装置を用いて行う会話を仲介する会話仲介サーバから、会話ログを取得して、各メンバの発言を監視する会話監視手段と、上記会話監視手段によって、特定のメンバによる会話の中で、特定のキーワードが発言されたことが検知された場合に、検知された上記特定のメンバおよび上記特定のキーワードに対応付けて指定された、上記コミュニティに関わる事象を示す状況情報を収集する状況情報収集手段と、上記状況情報収集手段によって収集された状況情報が示す、上記コミュニティに関わる事象に合致する発言メッセージを上記会話仲介サーバに出力する発言手段とを備えていることを特徴とする発言処理装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、ネットワーク上に設けられた仮想的なコミュニティにおいて交換されるメッセージを管理するコンピュータを、コミュニティへの各書込みメッセージの発信者及び発信日時情報を少なくとも含む履歴情報を履歴情報記憶手段に記録するメッセージ履歴管理手段、前記履歴情報記憶手段に蓄積されている履歴情報を読み出し、各コミュニティ参加者のメッセージ書込みタイミングを解析することによって各コミュニティ参加者のコミュニティに対する貢献度を算出する貢献度算出処理手段、として機能させるコミュニティ参加者の貢献度評価用プログラムが記載されている。
【0005】
特許文献4には、電子メールメッセージが所定の文書またはサイトへのリンクを含んでいるかを検知する検知ステップと、前記電子メールメッセージが送信される個々のアドレスを抽出する抽出ステップと、この抽出ステップで抽出されたアドレスのユーザアカウントがなければユーザアカウントを新規生成し、すでにあれば利用する生成ステップと、少なくとも1以上のユーザアカウントを含む各アドレスに対し行なうアクセスの権限を設定する設定ステップと、前記文書へのリンクを備えた電子メールメッセージを1以上の前記各アドレスに転送する転送ステップを備えたことを特徴とする文書アクセス方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-297883号公報
【文献】特開2014-81782号公報
【文献】特開2006-323738号公報
【文献】特開2005-4763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メッセージ中からリンクされるファイルへのアクセス権限がない受手にメッセージが送信されることがあり、このような場合には、ファイルへのアクセス権がない受手にファイルへのアクセス権を付与することを要する。
【0008】
本発明は、メッセージを監視せず、メッセージ中から抽出されたリンクに関する情報から、ファイルへのアクセス権を有しないメッセージの受手を参加者として加えるユーザグループを抽出しない場合と比較して、メッセージの受手へのメッセージからリンクされたファイルへのアクセス権の付与を簡便にすることができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は、
送手からユーザグループへ送信されるメッセージを監視する監視手段と、
前記メッセージがファイルへのリンクを含む場合に、前記メッセージ中からリンクされる前記ファイルへのアクセス権を有するアクセス権グループを抽出する抽出手段と、
前記ユーザグループ中に、前記メッセージ中からリンクされる前記ファイルへのアクセス権を有しない受手がいる場合に、前記抽出手段が抽出したアクセス権グループの参加者に前記受手を加えるように、前記アクセス権グループの情報を更新する更新手段と、
を有するデータ処理装置である。
【0010】
請求項2に係る本発明は、前記更新手段は、前記抽出手段が抽出したアクセス権グループが一つであった場合に、当該アクセス権グループの参加者に前記受手を加えるように、前記アクセス権グループの情報を更新する、を有する請求項1記載のデータ処理装置である。
【0011】
請求項3に係る本発明は、前記抽出手段が抽出したアクセス権グループが複数あった場合に、前記受手を参加者として加えるアクセス権グループの選択を促す通知をする通知手段をさらに有する請求項1記載のデータ処理装置である。
【0012】
請求項4に係る本発明は、前記通知手段は、前記ファイルへのアクセス権を有しない受手と、抽出された複数のアクセス権グループのそれぞれとの関連性の高さをさらに通知する請求項3記載のデータ処理装置である。
【0013】
請求項5に係る本発明は、前記送手からメッセージが送信されたユーザグループへの参加者が参加している人数が多いアクセス権グループほど、前記ファイルへのアクセス権を有しない前記受手との関連性が高いとみなされる請求項4記載のデータ処理装置である。
【0014】
請求項6に係る本発明は、前記通知手段は、前記送手に通知をする請求項3から5いずれか記載のデータ処理装置である。
【0015】
請求項7に係る本発明は、前記通知手段は、メッセージが送信されたユーザグループの参加者に通知する請求項3から5いずれか記載のデータ処理装置である。
【0016】
請求項8に係る本発明は、前記通知手段は、メッセージが送信されたユーザグループの管理者に通知する請求項3から5いずれか記載のデータ処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る本発明によれば、メッセージを監視せず、メッセージ中からリンクされるファイルへのアクセス権を有するアクセス権グループを抽出せず、ファイルへのアクセス権を有しない受手がいる場合に、抽出されたユーザグループの参加者に、アクセス権を有しない受け手を加えるようにアクセス権グループの情報を更新しない場合比較して、メッセージからリンクされたファイルへのアクセス権の付与を簡便にすることができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、メッセージの送手やアクセス権グループへの参加者が操作をしなくても、アクセス権グループの更新がなされるようにすることができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、受手を、複数のアクセス権グループの中の選択されたアクセス権グループに参加者として加えることができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、アクセス権を有しない受手と、抽出された複数のアクセス権グループとの関連性を表示しない場合と比較して、受手を参加者として加えるユーザグループの選択を促された操作者のユーザグループの選択を容易にすることができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、メッセージが送信されたユーザグループの参加者が参加している人数を用いずに、ファイルへのアクセス権を有しない受手と受手を参加者として加えるアクセス権グループとの関連性を決める場合と比較して、表示する関連性の高さを正確にすることができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、メッセージが送られたユーザグループへの参加者の全員等の複数の人に通知がなされる場合と比較して、受手を参加者として加えるアクセス権グループを選択する者が明確になり、選択をするように促されたものの、アクセス権グループの選択がなさずに放置されるとの事態を生じにくくすることができる。
【0023】
請求項7に係る本発明によれば、メッセージが送信されたユーザグループの参加者の間で協議して、アクセス権を有しない受手を参加者として加えるアクセス権グループを選択することができる。
【0024】
請求項8に係る本発明によれば、ファイルへのアクセス権を有しない受手について、ユーザグループの他の参加者よりも多くの情報を有することが期待できるユーザグループの管理者に、メッセージの受手を参加者として加えるアクセス権グループの選択を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】コミュニケーション監視部によるコミュニケーションの監視と、監視情報保管部による監視対象情報の保管とを示すフローチャートである。
【
図3】分析判定通知部による分析判定通知機能を示すフローチャートである。
【
図4】分析判定通知部によるリンク判定のサブ処理を示すフローチャートである。
【
図5】更新処理部でのデータの更新処理を示すフローチャートである。
【
図6】ユーザグループ情報管理部で管理されているユーザグループの例を示す図表である。
【
図7】ユーザグループを並べ替えた結果を示す図表である。
【
図8】コミュニケーションツール部への通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る情報処理システムの一実施形態である情報処理システム10を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム10は、ユーザグループ情報管理部110を有する。
【0027】
ユーザグループ情報管理部110は、ユーザグループ管理手段の一例であって、後述するコミュニケーションツール部120と後述するファイル管理システム部130とのユーザの情報や、ユーザグループの情報を一元的に管理する。ユーザグループ情報管理部110としては、例えば、マイクロソフト社のActive Directoryや、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバを用いることができる。
【0028】
ここで、ユーザとは、情報処理システム10の利用者であり、例えば、コミュニケーションツール部120を用いるメッセージの送手と受手とを含み、例えば、ファイル管理システム部130に文書を保存したり、ファイル管理システム部130に保存された文書を利用したりする者を含む。また、ユーザの情報には、例えば、ユーザの名前や、ユーザのメールアドレスや、ユーザが所属する組織等を含む。
【0029】
また、ユーザグループとはユーザの集合体であり、ユーザが複数である場合もあれば、ユーザが単数である場合もある。また、ユーザグループに関する情報の一例としては、例えば、そのユーザグループに参加しているユーザの名前や人数を挙げることができる。また、ユーザグループに関する情報の他の例としては、例えば、それぞれのグループのファイル管理システム部130が管理するファイルへのアクセス権等を挙げることができる。また、ユーザグループに関する情報として、そのユーザグループへの参加者のファイル管理システム部130が管理するファイルへのアクセス権を管理するユーザグループを、以下、アクセス権グループを称することがある。
【0030】
上述のようにユーザグループの情報を管理することで、例えば、同じグループに参加しているユーザに対して同じアクセス権を付与する等の処理が可能になり、情報処理システム10の管理が簡便になり、ユーザの管理が簡便になる。
【0031】
また、ユーザグループ情報管理部110が管理する情報は、コミュニケーションツール部120から参照され、ファイル管理システム部130から参照され、後述する分析判定通知部160から参照される。また、ユーザグループ情報管理部110が管理する情報は、後述する更新処理部170によって更新される。
【0032】
情報処理システム10は、コミュニケーションツール部120をさらに有する。コミュニケーションツール部120は、コミュニケーション手段の一例であって、ユーザグループ情報管理部110と連携し、例えば、一のユーザである送手から他のユーザである受手へのメッセージの送信を可能とし、複数のユーザ間のコミュニケーションを可能とする。ここで、コミュニケーションツール部120の一例としては、例えば、メッセージの一例である電子メールを送受信するメールサーバを挙げることができる。また、コミュニケーションツール部120で送受信されるメッセージは、電子メールに限らず、例えば、チャットやインスタントメッセージ等であってもよい。
【0033】
コミュニケーションツール部120を用いて送受信されるメッセージは、ファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクを含む場合がある。このような場合であって、メッセージの受手がリンクされているファイルへのアクセス権を有しない場合には、メッセージの受手がリンクされているファイルにアクセスができないとの不都合が生じる。
【0034】
コミュニケーションツール部120は、後述する更新処理部170に、ユーザグループ情報管理部110が管理するユーザグループの情報を更新するように指示することがある。また、コミュニケーションツール部120は、更新処理部170から、ユーザグループの情報の更新結果の通知を受け取ることがある。
【0035】
情報処理システム10は、ファイル管理システム部130をさらに有する。ファイル管理システム部130は、ファイル管理手段の一例であって、ユーザグループ情報管理部110と連携して、例えば文書ファイル等のファイルを管理する。より具体的には、ファイル管理システム部130は、ユーザグループ情報管理部110が管理する各ユーザグループの(各アクセス券グループの)ファイルへのアクセス権を参照し、ファイルへのアクセス権に応じて、各ユーザユーザグループに参加するユーザが、ファルの登録、ファイルの閲覧、ファイルの管理等を行えるようにする。ファイル管理システム部130としては、例えば、富士ゼロックス社のDocuShare等を用いることができる。
【0036】
情報処理システム10は、データ処理装置100を有し、データ処理装置100は、コミュニケーション監視部140と、監視情報保管部150と、分析判定通知部160と、更新処理部170とを有する。
【0037】
コミュニケーション監視部140は、コミュニケーションツール部120において送手から受手に送信されるメッセージを定期的に監視し、メッセージの内容から監視対象となるか否かを判別して、監視対象となる情報を抽出する。ここで、メッセージを監視の対象とするか否かの判別は、例えば、メッセージ内にファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクが含まれているか否かを基準として、例えば、メッセージ内にファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクが含まれている場合に、コミュニケーション監視部140は、メッセージを監視対象であると判別する。以下、コミュニケーション監視部140の監視対象となる情報を、管理対象情報と称することがある。
【0038】
監視情報保管部150は、コミュニケーション監視部140が抽出した管理対象情報を保管して管理する。監視情報保管部150が保管して管理する情報としては、例えば、メッセージの送信日時、メッセージの送手、メッセージの受手が参加しているユーザグループ、メッセージの送手が参加しているユーザグループ等を挙げることができる。また、メッセージ内に、ファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクが含まれている場合には、ファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクを、監視情報保管部150が管理する情報として挙げることができる。
【0039】
分析判定通知部160は、抽出手段の一例であって、更新手段の一例であって、通知手段の一例であり、監視情報保管部150に保管され、監視情報保管部150で管理された管理対象情報を分析して、メッセージ中からリンクされるフィルへのアクセス権をメッセージの受手が有しない場合に、ユーザグループ情報管理部110が管理する全てのユーザグループを抽出し、監視情報保管部150で管理されている情報から、更新するべきユーザグループを判定する。ここで、ユーザグループの更新とは、より具体的には、ユーザグループの参加者に、メッセージの受手を追加することを指す。
【0040】
そして、分析判定通知部160は、判定したユーザグループを更新するように、すなわち、判定したユーザグループの参加者にメッセージの受手を加えるよう更新処理部170に指示をする(更新指示)。また、分析判定通知部160が更新処理部170にユーザグループの更新をするよう指示をすることに代えて、分析判定通知部160が、コミュニケーションツール部120に、ユーザグループの更新を推奨する通知をするように指示するようにしてもよい(推奨処理通知)。このあと、コミュニケーションツール部120が、更新処理部170にユーザグループの更新をするよう指示をしてもよい。
【0041】
更新処理部170は、更新手段の一例であって、分析判定通知部160からの指示か、コミュニケーションツール部120からの指示に基づいて、ユーザグループ情報管理部110が管理しているユーザグループの情報を更新する。すなわち、メッセージからリンクされているファイルにアクセス権を有するアクセス権グループの参加者に、メッセージ内からリンクされているファイルにアクセス権を有しないメッセージの受手を追加する。また、更新処理部170は、ユーザグループを更新した場合に、更新の結果をコミュニケーションツール部120に通知する。
【0042】
図2は、コミュニケーション監視部140によるコミュニケーションの監視と、監視情報保管部150による監視対象情報の保管とを示すフローチャートである。
図2に示すように、コミュニケーションの監視が開始されると、最初のステップであるステップS10において、コミュニケーション監視部140は、コミュニケーションツール部120でのコミュニケーションが監視対象であるか否かを監視する。そして、コミュニケーションが監視対象ではないとの判別がなされた場合には、コミュニケーション監視部140は、コミュニケーションの監視を終了する。一方、コミュニケーションが判別対象であるとの判別がなされた場合には、ステップS12に進む。
【0043】
ステップS12では、コミュニケーション監視部140で監視対象と判別されたコミュニケーションの情報が、監視対象情報として監視情報保管部150に保管される。より具体的には、メッセージ内に、ファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクが含まれていた場合に、メッセージに関する情報として、メッセージの日時と、メッセージの送手の名前と、メッセージの受手の名前と、メッセージの送手が参加しているユーザグループ名と、メッセージの受手が参加しているユーザグループ名と、メッセージに含まれるファイルへのリンクとが監視情報保管部150に格納される。
【0044】
図3は、分析判定通知部160による分析判定通知機能を説明するフローチャートである。
図3に示すように、分析判定通知部160は、ステップS20において、定期的に監視情報保管部150から監視対象情報を取得する。
【0045】
次のステップであるステップS22では、分析判定通知部160は、ステップS20で取得した監視対象情報を分析し、ファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクがメッセージ中に含まれているか否かを判別する。そして、ファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクがメッセージ中に含まれていないとの判別がなされた場合、分析判定通知部160は、分析を終了する。一方、メッセージ中に、ファイル管理システム部130か管理するファイルへのリンクが含まれているとの判別がなされた場合、ステップS100のリンク判定サブ処理に進む。
【0046】
図4は、ステップS100のリンク判定サブ処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS102で、分析判定通知部160は、メッセージの中からリンクされたファイルであって、ファイル管理システム部130に管理されたファイルへのアクセス権をメッセージの受手が有するか否かを判別する。そして、メッセージの受手がファイルへのアクセス権を有するとの判別がなされた場合は、判定サブ処理を終了する。一方、メッセージの受手が、ファイルへのアクセス権を有しないとの判別がされた場合は、ステップS104に進む。
【0047】
ステップS104では、分析判定通知部160は、メッセージからリンクされたファイルであって、ファイル管理システム部130に管理されたファイルへのアクセス権を有するアクセス権グループを、ユーザグループ情報管理部110から取得し、取得したアクセス権グループの中から、メッセージの送手が参加しているアクセス権グループを抽出する。
【0048】
次のステップであるステップS106では、分析判定通知部160は、メッセージの送手が参加しているアクセス権グループとしてステップS104で抽出されたアクセス権グループの数が1つであるか、2つ以上であるかを判別する。そして、メッセージの受手が参加しているアクセス権グループの数が1つであるとの判別がなされた場合は、ステップS200に進む。一方、メッセージの受手がメンバーとして参加しているアクセス権グループの数が2つ以上であるとの判別がなされた場合は、ステップS108に進む。
【0049】
ステップS200では、分析判定通知部160は、リンク先のファイルへのアクセス権がないメッセージの受手をメッセージの送手がメンバーとして参加している一つのアクセス権グループに参加者として追加するように、更新処理部170にデータの更新を指示する。尚、更新処理部170でのデータの更新の詳細は後述する。
【0050】
ステップS108では、分析判定通知部160は、メッセージの受手であるユーザグループへの参加者が参加している人数が多いアクセス権グループ程、メッセージの受手との関連性が高いと判断し、ステップS104で抽出したアクセス権グループを、メッセージの受手であるユーザグループへの参加者が参加している人数が多い順に並べ替えた新たなリストを作成し、作成されたアクセス権グループのリストを一時的に保存する。
【0051】
次のステップであるステップS110では、分析判定通知部160は、ステップS108で作成されたアクセス権グループのリストを、メッセージの受手をメンバーとして加えるアクセス権グループの候補として、更新処理部170を介して、コミュニケーションツール部120に通知する。
【0052】
ここで、通知においては、メッセージの受手を追加する候補となるアクセス権グループのリストと併せて、受手を追加するアクセス権グループを選択し、選択したアクセス権グループに受手を参加させるためのインターフェイスも通知される。以上のようにして、ステップS100のリンク判定サブ処理が終了する。
【0053】
ステップS102は、上述の説明に替えて、ステップS106の後でステップS200の前に行ってもよいし、ステップS108の後で、ステップS110の前に行っもよい。また、ステップS110で通知処理をすることで、リンク判定サブ処理が終了しているが、通知を受けた参加者からの指示により、ステップS200の更新処理が実行されることがある。
【0054】
図5は、ステップS200における分析判定通知部160での指示による更新処理部170でのデータの更新を示すフローチャートである。
図5に示すように、更新処理が開始されると、ステップS202において、メッセージ中からリンクされたファイルへのアクセス権を有するアクセス権グループに、メッセージの参加者を参加させるように、ユーザグループ情報管理部110が管理するアクセス権ループの情報を更新処理部170が更新する。
【0055】
次のステップであるステップS204では、ステップS202でのアクセス権グループ情報の更新が成功したいか否かが判別される。そして、更新が成功した場合には、ステップS206に進み、更新が失敗した場合には、ステップS208に進む。
【0056】
ステップS206では、例えばコミュニケーションツール部120が、例えばメッセージの送手と受手とにユーザグループ情報の更新が成功したことを通知する。
【0057】
ステップS208では、例えばコミュニケーションツール部120が、例えばメッセージの送手と受手とに、ユーザグループの更新が失敗したことを通知する。
【0058】
次に、情報処理システム10による情報処理の具体例を説明する。この具体例は、新製品Xを開発するプロジェクトである「新製品プロジェクトX」に関するものである。そして、新製品プロジェクトXでは、メンバー相互の連絡手段として、コミュニケーションツール部120にインストールされた新製品X用のコラボレーションシステム(以下、コラボシステムXと称する)を用いている。また、新製品プロジェクトXでは、例えば文書ファイル等のファイルの管理に、ファイル管理システム部130を利用している。また、
図6は、この具体例で、ユーザグループ情報管理部110で管理されているユーザグループを示す図表である。
【0059】
図6に示すように、ユーザグループ情報管理部110は、6個のグループを管理している。最初のグループである「Xコラボグループ」には、新製品Xの開発者が参加していて、具体的な参加者は、ユーザ1、ユーザ2、ユーザ3、ユーザ4、ユーザ5及びユーザ6であり、それぞれの参加者は、アクセス権限として、コラボシステムXの参照権と、コラボシステムXへの書込権とを有している。
【0060】
次のユーザグループである「Xコラボ管理グループ」は、新製品Xの開発者であり、コラボシステムXの管理者である者が参加していて、具体的な参加者はユーザ1と、ユーザ2とである。また、それぞれの参加者は、アクセス権限として、コラボシステムXの参照権と、コラボシステムXへの書込権とを有し、さらにはコラボシステムXの管理権を有している。
【0061】
また、次のユーザグループである「Yコラボグループ」は、新製品Xに先立ち開発された製品である製品Yに関与した者が参加していて、具体的な参加者はユーザ10、ユーザ11であり、それぞれの参加者は、コミュニケーションツール部120にインストールされた製品Y用のコラボレーションシステム(以下、コラボシステムYと称する)の参照権と、コラボシステムYへの書込権とを有している。また、Xコラボグループと同様に、Yコラボグループも、文書ファイル等のファイルの管理にファイル管理システム部130を利用している。
【0062】
また、次のグループである「X文書参照グループ」は、アクセス権グループであって、例えば、製品Yの開発者等の新製品Xの開発には携わっていないものの、新製品Xに関する文書を参照する必要がある者が参加していて、具体的な参加者はユーザ10、ユーザ11であり、それぞれの参加者は、ファイル管理システム部130に管理されている新製品Xに関する文書(以下、X文書と称することがある)の参照権を有している。
【0063】
また、次のグループである「X文書管理者グループ」は、アクセス権グループであって、新製品Xに関する文書を管理する管理者が参加していて、具体的な参加者はユーザ1であり、参加者であるユーザ1は、アクセス権として、X文書の参照権と、X文書への書込権とを有し、さらにはX文書の管理権を有している。
【0064】
また、次のグループである「X文書一般グループ」は、アクセス権グループであって、新製品Xの開発メンバーが参加していて、具体的な参加者はユーザ2、ユーザ3、ユーザ4、ユーザ5であり、それぞれの参加者は、X文書の参照権と、X文書への書込権とを有している。
【0065】
ここで、ユーザ6は、新製品Xの開発に新たに加わったメンバーであり、既に「Xコラボグループ」に参加している。このため、上述のように、コラボシステムXの参照権と書込権とを有している。しかしながら、ユーザ6は、「X文書一般グループ」に、現状においては参加していない。このため、ユーザ6は、新製品Xの開発メンバーであるものの、ファイル管理システム部130が管理する新製品Xに関するファイルについて、参照権も、書込権も有しない。
【0066】
以上で説明をした状態において、ユーザ2が、例えば新製品Xに関するファイルであるファイルAをファイル管理システム部130に保存した上で、コラボシステムXを用いて、例えば、「資料格納のお知らせ」とのタイトルのメッセージであって、ファイルAへのリンクを含むメッセージをXコラボグループの参加者に送信したとする。この場合、Xコラボグループの参加者であるユーザ1、ユーザ3、ユーザ4、ユーザ5及びユーザ6は、ユーザ2からのメッセージを受信可能である。
【0067】
そして、X文書管理者グループの参加者であるユーザ1と、X文書一般グループの参加者であるユーザ3、ユーザ4及びユーザ5は、ファイルAの参照権を有するため、ファイルAを参照可能である。一方、ユーザ6は、X文書管理者グループにも、X文書一般グループにも参加していないため、ファイルAを参照することができない。以下、上述のユーザ2によるメッセージを端緒として、ユーザ6がファイルAを参照できるようにする情報処理システム10による処理を説明する。
【0068】
ユーザ2がメッセージを送信すると、コミュニケーション監視部140の監視対象となり、メッセージ中にファイルAへのリンクが含まれているため、ユーザ2が送信したメッセージは、その送信情報が監視情報保管部150に格納される。
【0069】
次に、分析判定通知部160が、監視情報保管部150から、ユーザ2が送信したメッセージに関する情報を取り出し、ファイルAへのリンクがファイル管理システム部130が管理するファイルへのリンクであるため、リンク判定予備処理(ステップS100、
図4を参照)をする。すなわち、メッセージの受手の一人であるユーザ6にファイルAへのアクセス権がないため、分析判定通知部160は、ファイルAへのアクセス権を有するアクセス権グループの全てであるX文書参照グループ、X文書管理者グループ及びX文書一般グループを取得し、それぞれのアクセス権グループへの参加者の一覧を取得する。
【0070】
尚、メッセージの受手であるユーザ3、ユーザ4及びユーザ5については、これらのユーザが、X文書一般グループへの参加者であることからユーザグループの一覧を取得する処理を行わない。また、メッセージの受手であるユーザ1については、X文書管理者グループへの参加者であることからユーザグループを取得する処理は行わない。
【0071】
次に、監視情報保管部150は、ユーザ6に関し、抽出したアクセス権グループの数が複数であるため、抽出したアクセス権グループを、ユーザ2がメッセージを送信したグループであるXコラボグループへの参加人数順に並べ替える。
【0072】
図7は、Xコラボグループへの参加者順にアクセス権グループを並べ替えた結果を示す図表である。
図7に示すように、Xコラボグループへの参加人数は、X文書一般グループが4人(ユーザ2、ユーザ3、ユーザ4、ユーザ5の4人)であり、X文書管理者グループが1人(ユーザ1の1人)であり、X文書参照グループは0人である。この結果から、分析判定通知部160は、Xコラボグループへの参加者数が0人であるX文書参照グループを対象外と判別する。また、Xコラボグループへの参加者が多いアクセス権グループほど関連性が高いとの基準から、分析判定通知部160は、X文書一般グループがユーザ6に最も関連性が高いと判断し、X文書管理者グループが2番めにユーザ6と関連性が高いと判断する。
【0073】
次に、分析判定通知部160は、ユーザ6と関連性が高い順に並べ替えられたアクセス権グループのリストを、ユーザ6を追加するアクセス権グループの候補として、コミュニケーションツール部120にインストールされているコラボシステムXに通知する。コラボシステムXになされた通知は、例えば、XコラボシステムXの参照権を有する参加者の全員が参照可能であり、例えば、Xコラボグループへの書込権を有する参加者が操作可能である。
【0074】
図8には、分析判定通知部160からコラボシステムXへの通知の一例である通知300が示されている。
図8に示すように、通知300には、ユーザ6を追加するアクセス権グループの候補とともに、「○月○日にユーザ2から送信されたメッセージ「資料格納のお知らせ」に含まれる文書管理先リンク「ファイルA」へのユーザ6のアクセス権がありません」との説明が表示される。また、通知300には、「このコラボと関連性が高いグループは以下の通りです。ユーザ6を追加する場合は、対象のグループのユーザ追加ボタンを押してください」とのユーザグループへの参加者へのユーザ6の追加を促す表示がなされる。
【0075】
また、通知300には、ユーザ6を、アクセス権グループであるX文書一般グループに追加するユーザインターフェイスの一例である操作ボタン312が表示され、ユーザ6を、アクセス権グループであるX文書管理者グループに追加するインターフェイスの一例である操作ボタン314が表示される。
【0076】
ここで、通知を見た参加者が、X文書一般グループに対応する操作ボタン312を押すと、X文書一般グループにユーザ6を参加させるように、ユーザグループ情報管理部110が管理するアクセス権ループの情報を更新処理部170が更新する。
【符号の説明】
【0077】
10・・・情報処理システム
100・・・データ処理装置
110・・・ユーザグループ情報管理部
120・・・コミュニケーションツール部
130・・・ファイル管理システム部
140・・・コミュニケーション監視部
150・・・監視情報保管部
160・・・分析判定通知部
170・・・更新処理部