(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】CO2供給装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/02 20060101AFI20221220BHJP
A01G 9/18 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A01G7/02
A01G9/18
(21)【出願番号】P 2018194929
(22)【出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】廣安 勝
(72)【発明者】
【氏名】木戸脇 彰
(72)【発明者】
【氏名】山路 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和則
(72)【発明者】
【氏名】好田 達彦
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-067848(JP,U)
【文献】特開2008-190796(JP,A)
【文献】特開平08-042846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/02
A01G 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培室内にCO
2を供給するCO
2供給装置において、
液体の燃料を加熱して気化させる気化部と、
前記気化部の周囲に配置された複数の炎孔と、気化した燃料と燃焼用空気とが混合された混合気が前記炎孔へと流れる流路とを有し、前記炎孔からの混合気の噴出により前記炎孔に炎を形成させる燃焼部と、
前記気化部および前記燃焼部に燃焼用空気を供給する空気供給部と、
前記燃焼部での燃焼により発生したCO
2を含む燃焼ガスを前記栽培室内に供給するためのガス供給部と、
前記気化部の温度を検出する気化部温度センサおよび前記燃焼部の温度を検出する燃焼部温度センサのうち、少なくとも一方の温度センサと、
前記燃焼部および前記空気供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記少なくとも一方の温度センサによる検出温度が第1規定温度を超えたことに基づいて、前記燃焼部での燃焼を停止さ
せ、
前記少なくとも一方の温度センサによる検出温度が前記第1規定温度よりも低い第2規定温度を超えたことに基づいて、燃焼用空気の供給量が増加するように前記空気供給部を制御する、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のCO
2供給装置において、
前記気化部温度センサおよび前記燃焼部温度センサを備え、
前記制御部は、前記気化部温度センサによる検出温度が第1気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が第1燃焼部規定温度を超える場合に、前記燃焼部での燃焼を停止させる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項3】
栽培室内にCO
2
を供給するCO
2
供給装置において、
液体の燃料を加熱して気化させる気化部と、
前記気化部の周囲に配置された複数の炎孔と、気化した燃料と燃焼用空気とが混合された混合気が前記炎孔へと流れる流路とを有し、前記炎孔からの混合気の噴出により前記炎孔に炎を形成させる燃焼部と、
前記気化部および前記燃焼部に燃焼用空気を供給する空気供給部と、
前記燃焼部での燃焼により発生したCO
2
を含む燃焼ガスを前記栽培室内に供給するためのガス供給部と、
前記気化部の温度を検出する気化部温度センサと、
前記燃焼部の温度を検出する燃焼部温度センサと、
前記燃焼部および前記空気供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記気化部温度センサによる検出温度が第1気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が第1燃焼部規定温度を超える場合に、前記燃焼部での燃焼を停止さ
せ、
前記気化部温度センサによる検出温度が前記第1気化部規定温度より低い第2気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が前記第1燃焼部規定温度より低い第2燃焼部規定温度を超える場合に、燃焼用空気の供給量が増加するように前記空気供給部を制御する、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項4】
請求項
1または2に記載のCO
2供給装置において、
報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記少なくとも一方の温度センサによる検出温度が前記第1規定温度を超えたことに基づいて、前記報知部に異常報知を行わせる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項5】
請求項
3に記載のCO
2供給装置において、
報知部をさらに備え、
前記制御部は、
前記気化部温度センサによる検出温度が第1気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が第1燃焼部規定温度を超えるかしたことに基づいて、前記報知部に異常報知を行わせる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、ビニールハウス等の栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室、ビニールハウス等の栽培室内で栽培される植物(農作物)の生育を促進させるために、燃焼器の燃焼により発生したCO2を含む燃焼ガスを、栽培室内に供給するようにしたCO2供給装置が知られている。たとえば、このようなCO2供給装置の一例が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のCO2供給装置では、何らかの原因により燃焼器で燃焼不良(不完全燃焼)が生じた場合に、この状態が続いてしまうと、栽培室内に黒煙が供給され、植物に煤が付着してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、栽培室内で煤の発生が起こりにくいCO2供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置に関する。本態様に係るCO2供給装置は、液体の燃料を加熱して気化させる気化部と、前記気化部の周囲に配置された複数の炎孔と、気化した燃料と燃焼用空気とが混合された混合気が前記炎孔へと流れる流路とを有し、前記炎孔からの混合気の噴出により前記炎孔に炎を形成させる燃焼部と、前記気化部および前記燃焼部に燃焼用空気を供給する空気供給部と、前記燃焼部での燃焼により発生したCO2を含む燃焼ガスを前記栽培室内に供給するためのガス供給部と、前記気化部の温度を検出する気化部温度センサおよび前記燃焼部の温度を検出する燃焼部温度センサのうち、少なくとも一方の温度センサと、前記燃焼部および前記空気供給部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記少なくとも一方の温度センサによる検出温度が第1規定温度を超えたことに基づいて、前記燃焼部での燃焼を停止させ、前記少なくとも一方の温度センサによる検出温度が前記第1規定温度よりも低い第2規定温度を超えたことに基づいて、燃焼用空気の供給量が増加するように前記空気供給部を制御する。
【0007】
空気供給部による燃焼用空気の供給量が減少することにより燃焼不良が生じやすくなる状況下では、気化部および燃焼部の温度が上昇しやすくなる。
【0008】
上記の構成によれば、気化部の温度を検出する気化部温度センサおよび燃焼部の温度を検出する燃焼部温度センサのうち、少なくとも一方の温度センサが備えられ、その温度センサの検出温度が第1規定温度を超えたことに基づいて、燃焼部での燃焼が停止される。よって、燃焼不良のまま燃焼部での燃焼が継続されることを防止でき、栽培室内での煤の発生を起こりにくくすることができる。
【0010】
上記の構成によれば、燃焼用空気の供給量が減少してくることにより、少なくとも一方の温度センサによる検出温度が第2規定温度を超えると、燃焼用空気の供給量が増加するよう空気供給部が動作する、これにより、燃焼用空気の不足が解消されるので、燃焼不良の発生を未然に防止することが可能となる。
【0011】
本態様に係るCO2供給装置において、前記気化部温度センサおよび前記燃焼部温度センサを備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記気化部温度センサによる検出温度が第1気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が第1燃焼部規定温度を超える場合に、前記燃焼部での燃焼を停止させる。
【0012】
上記の構成によれば、気化部と燃焼部の双方の温度について、これら温度がそれぞれ第1気化部規定温度および第1燃焼部規定温度を超えたかの監視が行われるので、燃焼不良が生じ得る状態となったときに燃焼部での燃焼が停止される精度を高めることができる。よって、燃焼不良のまま燃焼部での燃焼が継続されることを防止する効果が高まる。
【0013】
本発明の第2の態様は、栽培室内にCO
2
を供給するCO
2
供給装置に関する。本態様に係るCO
2
供給装置は、液体の燃料を加熱して気化させる気化部と、前記気化部の周囲に配置された複数の炎孔と、気化した燃料と燃焼用空気とが混合された混合気が前記炎孔へと流れる流路とを有し、前記炎孔からの混合気の噴出により前記炎孔に炎を形成させる燃焼部と、前記気化部および前記燃焼部に燃焼用空気を供給する空気供給部と、前記燃焼部での燃焼により発生したCO
2
を含む燃焼ガスを前記栽培室内に供給するためのガス供給部と、前記気化部の温度を検出する気化部温度センサと、前記燃焼部の温度を検出する燃焼部温度センサと、前記燃焼部および前記空気供給部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記気化部温度センサによる検出温度が第1気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が第1燃焼部規定温度を超える場合に、前記燃焼部での燃焼を停止させ、前記気化部温度センサによる検出温度が前記第1気化部規定温度より低い第2気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が前記第1燃焼部規定温度より低い第2燃焼部規定温度を超える場合に、燃焼用空気の供給量が増加するように前記空気供給部を制御する。
【0014】
上記の構成によれば、気化部と燃焼部の双方の温度について、これら温度がそれぞれ第1気化部規定温度および第1燃焼部規定温度を超えたかの監視が行われるので、燃焼不良が生じ得る状態となったときに燃焼部での燃焼が停止される精度を高めることができる。よって、燃焼不良のまま燃焼部での燃焼が継続されることを防止する効果が高まる。
さらに、気化部と燃焼部の双方の温度について、これら温度がそれぞれ第2気化部規定温度および第2燃焼部規定温度を超えたかの監視が行われるので、燃焼用空気の供給量が減少したときにその供給量が増加される精度を高めることができる。よって、燃焼不良の発生を未然に防止する効果が高まる。
【0015】
第1の態様に係るCO2供給装置において、報知部をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記少なくとも一方の温度センサによる検出温度が前記第1規定温度を超えたことに基づいて、前記報知部に異常報知を行わせる。
第2の態様に係るCO
2
供給装置において、報知部をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記気化部温度センサによる検出温度が第1気化部規定温度を超えるか前記燃焼部温度センサによる検出温度が第1燃焼部規定温度を超えるかしたことに基づいて、前記報知部に異常報知を行わせる。
【0016】
上記の構成によれば、ユーザは、異常の発生によって燃焼部での燃焼が停止したことを把握できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、栽培室内で煤の発生が起こりにくいCO2供給装置を提供することができる。
【0018】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、CO
2供給装置が設置された栽培室を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、CO
2供給装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る、中央位置で切断された燃焼装置の縦断面図である。
図3(b)は、実施の形態に係る、流通孔の位置で切断された燃焼器の縦断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、燃焼装置を下方向から見た図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、熱源機の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、熱源機側でのCO
2供給運転に係る制御処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る、燃焼不良の状態が継続することを防止するための制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施の形態において、ダクトユニット12が、特許請求の範囲に記載の「ガス供給部」に対応する。また、燃焼ファン420が、特許請求の範囲に記載の「空気供給部」に対応する。さらに、気化器440が、特許請求の範囲に記載の「気化部」に対応する。さらに、燃焼器450が、特許請求の範囲に記載の「燃焼部」に対応する。さらに、気化器温度センサ520が、特許請求の範囲に記載の「気化部温度センサ」に対応する。さらに、燃焼器温度センサ530が、特許請求の範囲に記載の「燃焼部温度センサ」に対応する。さらに、操作表示部603が、特許請求の範囲に記載の「報知部」に対応する。さらに、気化器異常温度が、特許請求の範囲に記載の「第1規定温度」および「第1気化部規定温度」に対応する。さらに、燃焼器異常温度が、特許請求の範囲に記載の「第1規定温度」および「第1燃焼部規定温度」に対応する。さらに、気化器上限温度が、特許請求の範囲に記載の「第2規定温度」および「第2気化部規定温度」に対応する。さらに、燃焼器上限温度が、特許請求の範囲に記載の「第2規定温度」および「第2燃焼部規定温度」に対応する。
【0022】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0023】
図1は、CO
2供給装置1が設置された栽培室2を模式的に示す図である。
【0024】
CO
2供給装置1は、温室、ビニールハウス等の栽培室2に設置され、栽培室2内で育成される農作物等の植物にCO
2(二酸化炭素)を供給し、植物の光合成を促進させる。CO
2供給装置1は、燃焼式の熱源機10と、空冷式の放熱機20とを備える。熱源機10は栽培室2内に設置され、放熱機20は栽培室2の外、即ち屋外に設置される。熱源機10は、植物の近傍へと延びる供給ダクト212を有し、この供給ダクト212により、植物の近くにCO
2が導かれる。なお、
図1の例では、栽培室2は、植物が栽培される部屋と熱源機10が設置される部屋とに区切られていない。しかしながら、栽培室2は、上記2つの部屋に区切られていてもよい。この場合、熱源機10が設置された部屋から植物が栽培される部屋へと供給ダクト212が延びることになる。
【0025】
【0026】
熱源機10は、熱源機本体11と、ダクトユニット12とを含む。
【0027】
熱源機本体11には、筐体100内に缶体101が配置される。缶体101内には、燃焼装置102と熱交換器103が収容される。燃焼装置102には、供給管104が接続される。供給管104は、缶体101および筐体100の外に出て、液体の燃料、たとえば灯油が貯留された燃料タンク(図示せず)に繋がる。供給管104には、供給ポンプ105が設けられる。燃焼装置102は、燃焼ファンと燃焼器とが一体化された構成を有する。
【0028】
熱交換器103は、燃焼装置102の後段(下方)に設けられる。熱交換器103には、往き管106と戻り管107が接続される。往き管106と戻り管107は、缶体101および筐体100の外に出て放熱機20側へと延びる。戻り管107には、循環ポンプ108が設けられる。
【0029】
缶体101には、その上端の給気口101aに、外部に繋がる給気ダクト109が接続される。給気ダクト109には、給気フィルタ(図示しない)を設けることができる。また、缶体101には、その下端の排気口101bに排気ダクト110が連結される。排気ダクト110は、筐体100内の下部で折り返された後に上方へと延び、その排気口110aが筐体100の上面から突出する。
【0030】
ダクトユニット12は、ダクトフード211と供給ダクト212を含む。ダクトフード211は、熱源機本体11の筐体100の上部に被せられる。ダクトフード211の上端部に供給ダクト212が連結される。供給ダクト212は、その途中部位に供給ファン213を備える。供給ファン213は、ファン214と、ファン214を回転させる供給ファンモータ215とを含む。また、供給ダクト212には、栽培室2内の植物に対応する位置に複数の放出口216が形成される。供給ダクト212の放出口216と離れた位置には、植物の周囲のCO2濃度を検出するためのCO2濃度センサ217が配置される。
【0031】
放熱機20は、筐体300内に、熱交換器301と、熱交換器301を冷却するための冷却ファン302を備える。熱交換器301には、熱源機10側から延びる往き管106と戻り管107が接続される。冷却ファン302は、ケーシング303と、ケーシング303内に配置されるファン304と、ファン304を回転させる冷却ファンモータ305とを含む。
【0032】
CO2供給装置1は、CO2供給運転を行う。CO2供給運転では、熱源機10において、燃焼装置102が動作する。即ち、燃焼装置102では、燃焼ファンの動作により給気ダクト109を通じて外部から燃焼用空気が取り込まれ、燃料タンクから供給管104を通じて供給された燃料により燃焼器が燃焼する。これにより、CO2を含む高温の燃焼ガスが発生する。
【0033】
燃焼ガスは、缶体101内を下方へ流れ、熱交換器103を通過する。循環ポンプ108が動作し、熱交換器103と、往き管106と、放熱機20側の熱交換器301と、戻り管107との間で水が循環する。熱交換器103を通過する燃焼ガスと熱交換器103内を流れる水との間で熱交換が行われ、燃焼ガスが冷却される。冷却された燃焼ガスは、排気ダクト110内を流れて、排気口110aからダクトフード211内へ排出される。
【0034】
ダクトフード211内へ排出された燃焼ガスは、供給ダクト212に流入し、放出口216から植物の周囲に放出される。これにより、燃焼ガスに含まれるCO2が植物に供給される。この際、供給ダクト212で供給ファン213が動作するため、ダクトフード211内に排出された燃焼ガスが供給ダクト212内に取り込まれやすくなり、放出口216から放出されやすくなる。
【0035】
なお、栽培室2には、複数の畝が設けられ、各畝に植物が植えられ得る。よって、各畝の植物にCO2が行き渡るよう、供給ダクト212は、複数のダクトに分岐し、分岐したダクトが各畝に配置されるとよい。この場合、供給ファン213は、供給ダクト212における分岐位置よりも上流側(ダクトフード211側)に設けられ、分岐したダクトに放出口216が形成される。
【0036】
放熱機20では、燃焼ガスとの熱交換で温まり往き管106を流れてきた水が熱交換器301へ流入する。冷却ファン302が動作し、冷却風が熱交換器301に送られる。熱交換器301内を流れる水と冷却風との間で熱交換が行われ、水が冷却される。冷却された水は、戻り管107を通って熱源機10へと戻る。
【0037】
このように、CO2供給装置1では、熱源機10内で冷却された燃焼ガス、即ち、CO2が栽培室2内に放出されるため、栽培室2内が高温になりにくい。
【0038】
次に、熱源機10に設けられた燃焼装置102の詳細な構成について説明する。
【0039】
図3(a)は、中央位置で切断された燃焼装置102の縦断面図である。
図3(b)は、流通孔467の位置で切断された燃焼器450の縦断面図である。
図4は、燃焼装置102を下方向から見た図である。
【0040】
燃焼装置102は、箱体410と、燃焼ファン420と、ダンパ装置430と、気化器440と、燃焼器450とを含む。燃焼ファン420は、燃焼空気を、一次空気として気化器440へ供給し、二次空気として燃焼器450へ供給する。ダンパ装置430は、気化器440へ供給される一次空気と、燃焼器450へ供給される二次空気の比率を調整する。気化器440は、液体の燃料を加熱して気化させる。気化器440では、気化した燃料と一次空気とが混合されて混合気となる。燃焼器450は、複数(多数)の炎孔482を有し、各炎孔482からの混合気の噴出により炎孔482に炎を形成させる。燃焼器450に供給された二次空気が、燃焼器450での燃焼に利用される。
【0041】
燃焼装置102は、
図4(a)のような、燃焼ファン420が上側となり燃焼器450が下側となる向きで缶体101に設置される。燃焼器450からは下向きに炎が形成される。また、燃焼装置102は、上下方向から見たときに、ほぼ長方形状を有する。以下、便宜上、燃焼装置102は、燃焼ファン420側が上側であり、短手方向が前後方向であり、長手方向が左右方向であるとして説明する。
【0042】
箱体410は、ほぼ直方体形状を有し、下面が開口する。
【0043】
燃焼ファン420は、遠心ファンであり、ケーシング421と、ファン422と、燃焼ファンモータ423とを含む。ケーシング421は、箱体410の天面に配置される。箱体410の天面は、ケーシング421の底面として共用される。ケーシング421には、天面の中央部に吸込口424が形成され、底面の外周部に吐出口425が形成される。ファン422は、ケーシング421内に配置される。燃焼ファンモータ423は、箱体410内において、天面の中央部に取り付けられる。燃焼ファンモータ423の第1モータ軸426が、箱体410の天面を貫通してファン422に接続される。燃焼ファンモータ423は、ファン422を回転させる。
【0044】
ダンパ装置430は、固定板431と、可動板432と、ダンパモータ433と、駆動レバー434とを含む。固定板431は、箱体410の平面形状と同じ長方形状に形成され、燃焼ファンモータ423の下方位置において、箱体410の内側全体を塞ぐ。固定板431の中央領域には、放射状に延びる複数の細長い孔が、一次空気を通す第1流通孔435として形成される。また、固定板431の外側領域には、複数の円形の孔が、二次空気を通す第2流通孔436として形成される。可動板432は、円盤状を有し、固定板431の中央領域に重ねられる。可動板432は、固定板431の中央に設けられたボス部431aにより回動自在に支持される。可動板432には、固定板431の第1流通孔435に対応する複数の流通孔437が放射状に形成される。ダンパモータ433は、箱体410の外側に取り付けられ、そのモータ軸433aが、箱体410の内部に臨む。駆動レバー434は、その基端部がモータ軸433aに連結され、その先端部のヘッド部434aが、可動板432から立ち上がる一対の押圧片431b(
図3(a)では一方のみが図示されている)の間に入り込む。ダンパモータ433の正逆回転により駆動レバー434のヘッド部434aが左右に揺れると、両側の押圧片431bが押されて、可動板432が左右方向に回動する。可動板432が回動すると、流通孔437の位置が移動して流通孔437と第1流通孔435との重なり量、即ち、第1流通孔435の開口量が変化する。これにより、第1流通孔435を通る一次空気の量が変化し、これに伴って、第2流通孔436を通る二次空気の量も変化するため、結果として、気化器440へ供給される一次空気と、燃焼器450へ供給される二次空気の比率が変化する。
【0045】
燃焼器450は、箱体410内において、ダンパ装置430の下方に配置される。燃焼器450は、炎孔ベース460と、カバー部材470と、炎孔部材480とを含む。
【0046】
炎孔ベース460は、アルミダイカスト等の金属材料により形成され、上下に薄い長方形の箱状を有し、上面が開口する。炎孔ベース460の底面には、外周縁に全周に亘って、底面を取り囲む周壁461が形成される。炎孔ベース460の中央部には、ほぼ円筒状を有する一次空気の取込口部462が、炎孔ベース460の底面よりも下方に突出するように形成される。炎孔ベース460の底面には、取込口部462の周囲に円環状の流入口463が形成される。流入口463の縁部と取込口部462は、複数のリブ462aにより連結される。炎孔ベース460の内部には、左右方向に延びる複数の溝部が、混合気の流路464として、前後方向に並ぶように形成される。各流路464は、流入口463に繋がる。炎孔ベース460の底面には、流路464に、細長い流出口465が形成される。流出口465は、流路464の長さに応じた長さを有する。
【0047】
図3(b)に示すように、前後に隣接する2つの流路464の間には、島状の壁部466が形成される。隣接する2つの流路464は、壁部466がない部分において前後方向に連通する。各壁部466の内部には、長円形を有する複数の二次空気の流通孔467が形成される。
【0048】
カバー部材470は、金属材料により、箱体410の平面形状と同じ長方形状に形成される。カバー部材470は、炎孔ベース460の上面を覆うとともに、ダンパ装置430の下方位置において、箱体410の内側全体を塞ぐ。カバー部材470には、中央部に、炎孔ベース460の取込口部462と整合する円形の接続口471が形成される。接続口471には、接続管490の下端が接続される。接続管490の上端は、ダンパ装置430の固定板431に、第1流通孔435を覆うように接続される。また、カバー部材470には、炎孔ベース460の流通孔467と整合する流入孔472が形成される。さらに、カバー部材470には、炎孔ベース460よりも外側の領域に、全周に亘って複数の円形の流通孔473が形成される。
【0049】
炎孔部材480は、金属材料により形成され、長方形の板状を有し、炎孔ベース460の底面に装着される。炎孔部材480には、炎孔ベース460の流出口465に対応する位置に、流出口465を覆う炎孔部481が設けられる。各炎孔部481には、複数の炎孔482が形成される。複数の炎孔482は、炎孔部481の短手方向(前後方向)に互い違いとなるように炎孔部481の長手方向(左右方向)に並ぶ(
図4参照)。また、炎孔部材480には、炎孔ベース460の流通孔467に対応する位置に、流通孔467の長手方向(左右方向)に並ぶように複数の流出孔483が形成される。
【0050】
気化器440は、気化器本体441と、気化ヒータ442と、拡散羽根443とを含む。気化器本体441は、アルミダイカスト等の金属材料により形成され、有底の円筒状を有する。気化ヒータ442は、ほぼ環状に形成され、気化器本体441の底部に埋め込まれる。拡散羽根443は、気化器本体441内に配置される。燃焼ファンモータ423の第2モータ軸427が、ダンパ装置430の固定板431を貫通して下方へ延び、拡散羽根443に接続される。燃焼ファンモータ423は、拡散羽根443を回転させるモータとしての機能も有する。気化器440、即ち、気化器本体441は、取込口部462および流入口463を下方から覆うように、炎孔ベース460の底面に装着される。燃焼器450は、気化器440の周囲に複数の炎孔482が配置されることになる。供給管104に繋がる燃料パイプ500が、接続管490を貫通し、接続管490内および取込口部462内を通って拡散羽根443の内部へと延びる。
【0051】
燃焼装置102には、燃焼器450に点火するためのイグナイタ510が設けられる。イグナイタ510は、点火トランス511と、電極棒512とを含み、電極棒512の先端が、燃焼器450の一部の炎孔482に近接する。また、燃焼装置102には、気化器温度センサ520および燃焼器温度センサ530が設けられる。気化器温度センサ520は、気化器本体441に接触し、気化器本体441、即ち気化器440の温度を検出する。燃焼器温度センサ530は、炎孔ベース460に接触し、炎孔ベース460、即ち燃焼器450の温度を検出する。
【0052】
【0053】
熱源機10は、
図2ないし
図4で説明した構成の他、制御部601と、記憶部602と、操作表示部603と、燃焼ファン駆動部604と、ダンパ駆動部605と、供給ポンプ駆動部606と、ヒータ駆動部607と、イグナイタ駆動部608と、循環ポンプ駆動部609と、供給ファン駆動部610とを備える。
【0054】
制御部601は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部601には、気化器温度センサ520および燃焼器温度センサ530で検出された温度に基づく温度信号が入力され、CO2濃度センサ217で検出されたCO2濃度に基づく濃度信号が入力される。制御部601は、記憶部602に記憶されたプログラムに従って、操作表示部603、燃焼ファン駆動部604、ダンパ駆動部605、供給ポンプ駆動部606、ヒータ駆動部607、イグナイタ駆動部608、循環ポンプ駆動部609、供給ファン駆動部610を制御する。記憶部602は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部601の制御プログラムを記憶し、また、制御部601の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0055】
操作表示部603は、各種情報を表示する液晶パネル等の表示部と、操作入力を受け付ける操作ボタン等の操作部を備える。操作入力には、CO2供給運転の開始操作、終了操作などが含まれる。なお、操作表示部603は、タッチパネルであってもよい。
【0056】
燃焼ファン駆動部604は、制御部601からの制御信号に従って、燃焼ファンモータ423を駆動する。供給ポンプ駆動部606は、制御部601からの制御信号に従って、供給ポンプ105を駆動する。ヒータ駆動部607は、制御部601からの制御信号に従って、気化ヒータ442を駆動する。イグナイタ駆動部608は、制御部601からの制御信号に従って、イグナイタ510を駆動する。循環ポンプ駆動部609は、制御部601からの制御信号に従って、循環ポンプ108を駆動する。供給ファン駆動部610は、制御部601からの制御信号に従って、供給ファンモータ215を駆動する。
【0057】
図6は、熱源機10側でのCO
2供給運転に係る制御処理を示すフローチャートである。
【0058】
操作表示部603での運転開始操作によりCO2供給運転が開始される。
【0059】
図6を参照して、制御部601は、気化ヒータ442を作動させる(S101)。これにより、気化器本体441が加熱される。制御部601は、気化器温度センサ520により検出された温度(以下、「気化器温度」という)が燃焼開始温度に到達したか否かを判定する(S102)。燃焼開始温度は、気化器440により燃料を適正に気化できる温度(たとえば、250℃程度)であり、予め実験等により定められる。気化器温度が燃焼開始温度に到達すると(S102:YES)、制御部601は、燃焼ファンモータ423および供給ポンプ105を作動させる(S103)。
【0060】
ケーシング421内でファン422が回転し、吸込口424から吸い込まれた空気が、燃焼用空気として吐出口425から箱体410内に吐き出される。燃焼用空気の一部が、一次空気として、第1流通孔435、接続管490および取込口部462を通って気化器本体441内に流入する。気化器本体441内では、拡散羽根443が回転するとともに、回転する拡散羽根443内に燃料パイプ500から液体の燃料が供給される。燃料は、拡散羽根443で細かく砕かれつつ拡散され、気化器本体441の内壁面に付着し、内壁面で加熱されて気化する。気化した燃料は、一次空気と混合されて混合気となる。混合気は、流入口463から各流路464に流入し、各流路464内を流れて各流出口465から流出し、各炎孔482から噴出する。また、箱体410内に取り込まれた燃焼用空気の残りは、二次空気として、第2流通孔436を介して下方へ排出される。そして、二次空気の一部は、燃焼器450の流入孔472、流通孔467を通り、流出孔483から放出される。また、残りの二次空気は、流通孔473を介して燃焼器450の外側へ放出される。
【0061】
制御部601は、イグナイタ510を作動させる(S104)。各炎孔482から噴出する燃料に着火し、各炎孔482に下向きに炎が形成される。こうして、流出孔483から放出された二次空気を利用し、燃焼器450が燃焼する。
【0062】
次に、制御部601は、循環ポンプ108および供給ファンモータ215を作動させる(S105)。上述の通り、燃焼器450の燃焼により発生したCO2を含む燃焼ガスが熱交換器103で冷却された後に供給ダクト212から栽培室2内に放出され、栽培室2内の植物にCO2が供給される。放熱機20側では、冷却ファン302が動作し、冷却された循環水が熱交換器103へ戻される。
【0063】
なお、燃焼器450では気化器440の周囲に複数の炎孔482が配置されており、燃焼器450が燃焼すると、各炎孔482からの炎の熱(燃焼熱)で気化器440が加熱される。よって、気化ヒータ442で加熱しなくても気化器440(気化器本体441)が気化に適正な温度を維持できるようになると、気化ヒータ442が停止する。
【0064】
CO2供給運転中、制御部601は、操作表示部603で運転終了操作が行われたか否かを監視する(S106)。そして、運転終了操作がなされれば(S106:YES)、制御部601は、燃焼ファンモータ423、供給ポンプ105、循環ポンプ108および供給ファンモータ215を停止させる(S107)。これにより、CO2供給運転が終了する。
【0065】
さて、CO2供給運転中に、何らかの原因により燃焼装置102(燃焼器450)で燃焼不良(不完全燃焼)が生じ得ることが想定される。このような燃焼不良の状態が続いた場合には、栽培室2内に黒煙が供給され、植物に煤が付着してしまう虞がある。そこで、本実施の形態では、CO2供給運転が行われている間、燃焼不良の状態が継続することを防止するための制御処理が行われる。
【0066】
図7は、燃焼不良の状態が継続することを防止するための制御処理を示すフローチャートである。
【0067】
図7を参照して、CO
2供給運転中、制御部601は、気化器温度センサ520により検出された気化器温度が気化器異常温度を超えたか否か、および、燃焼器温度センサ530により検出された温度(以下、「燃焼器温度」という)が燃焼器異常温度を超えたか否かを監視する(S201、S202)。燃焼不良は、燃焼ファン420による燃焼用空気の供給量が減少して、燃焼器450への二次空気の供給量が減少すると発生し得る。二次空気が、流通孔467を通過するとき、燃焼器450には二次空気による冷却効果がもたらされる。よって、二次空気の不足により燃焼不良が発生する状況下では、二次空気による冷却効果も低下するので、燃焼器450(炎孔ベース460)の温度が上昇する。また、二次空気の不足した状態で燃焼器450が燃焼する場合には、正常な場合と比べて、各炎孔482で形成される炎が長くなる状態となり、長く延びた炎によって気化器440が加熱されやすくなる。よって、気化器440(気化器本体441)の温度が上昇する。燃焼不良が発生し得ると予想される気化器440(気化器本体441)の温度および燃焼器450(炎孔ベース460)の温度が、実験等により求められ、それぞれ、気化器異常温度および燃焼器異常温度に設定される。たとえば、気化器異常温度および燃焼器異常温度は、400℃程度の温度に設定される。
【0068】
気化器温度が気化器異常温度より高い状態が所定時間(たとえば、3秒程度)継続すると、制御部601は、気化器温度が気化器異常温度を超えたと判定する。また、燃焼器温度が燃焼器異常温度より高い状態が所定時間(たとえば、3秒程度)継続すると、制御部601は、燃焼器温度が燃焼器異常温度を超えたと判定する。
【0069】
制御部601は、気化器温度が気化器異常温度を超えたと判定するか(S201:YES)、燃焼器温度が燃焼器異常温度を超えたと判定すると(S202:YES)、燃焼ファンモータ423、供給ポンプ105、循環ポンプ108および供給ファンモータ215を停止させる(S203)。これにより、燃焼器450での燃焼が停止するとともに、CO2供給運転が停止する。その後、制御部601は、異常報知を行う(S204)。たとえば、制御部601は、操作表示部603にエラーコードを表示させる。制御部601は、スピーカ(図示せず)からアラート音を出力させてもよい。
【0070】
一方、制御部601は、気化器温度が気化器異常温度を超えておらず、燃焼器温度も燃焼器異常温度を超えていないとき(S201:NO→S202:NO)、気化器温度が気化器上限温度を超えたか否か、および、燃焼器温度が燃焼器上限温度を超えたか否かを監視する(S205、S206)。気化器上限温度は、気化器異常温度よりも低く燃焼開始温度よりも高い温度に設定され得る。また、燃焼器上限温度は、燃焼器異常温度よりも低い温度に設定され得る。たとえば、気化器上限温度および燃焼器上限温度は、300℃程度の温度に設定され得る。気化器温度が気化器上限温度を超えた場合、あるいは、燃焼器温度が燃焼器上限温度を超えた場合、燃焼用空気、即ち二次空気の供給量が減少してきており、このままでは燃焼不良が生じやすいと見做すことができる。
【0071】
気化器温度が気化器上限温度より高い状態が所定時間(たとえば、3秒程度)継続すると、制御部601は、気化器温度が気化器上限温度を超えたと判定する。また、燃焼器温度が燃焼器上限温度より高い状態が所定時間(たとえば、3秒程度)継続すると、制御部601は、燃焼器温度が燃焼器上限温度を超えたと判定する。気化器温度が気化器上限温度を超えたと判定するか(S205:YES)、燃焼器温度が燃焼器上限温度を超えたと判定すると(S206:YES)、制御部601は、燃焼ファンモータ423の回転数を増加させる(S207)。たとえば、制御部601は、一度に所定の割合(たとえば、10%)だけ、燃焼ファンモータ423の回転数を増加させる。これにより、燃焼ファン420による燃焼用空気の供給量が増加して、燃焼器450への二次空気の供給量が増加する。これにより、燃焼器450の燃焼不良が未然に防止され得る。
【0072】
なお、燃焼ファンモータ423の回転数が上限の回転数に達した場合は、それ以上の回転数の増加は行われない。よって、燃焼ファンモータ423が上限の回転数にある状態において燃焼用空気の不足が生じた場合は、気化器温度が気化器異常温度を超えた状態となるか、燃焼器温度が燃焼器異常温度を超えた状態となることとなる。
【0073】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0074】
燃焼ファン420による燃焼用空気(二次空気)の供給量が減少することにより燃焼不良が生じやすくなる状況下では、気化器440が燃焼器450の炎で加熱されやすくなり、燃焼器450が燃焼用空気で冷却されにくくなるので、気化器440および燃焼器450の温度が上昇しやすくなる。本実施の形態のCO2供給装置1では、気化器440の温度を検出する気化器温度センサ520と燃焼器450の温度を検出する燃焼器温度センサ530とが設けられ、気化器440の温度が、燃焼不良が生じ得ると予想される気化器異常温度を超えるか、燃焼器450の温度が、燃焼不良が生じ得ると予想される燃焼器異常温度を超えると、燃焼器450での燃焼が停止される。よって、燃焼不良のままCO2供給運転が継続されることを防止でき、栽培室2内での煤の発生を起こりにくくすることができる。
【0075】
特に、本実施の形態のCO2供給装置1では、気化器440と燃焼器450の双方の温度について、これら温度がそれぞれ気化器異常温度および燃焼器異常温度を超えたかの監視が行われるので、燃焼不良が生じ得る状態となったときに燃焼器450での燃焼が停止される精度を高めることができる。よって、燃焼不良のままCO2供給運転が継続されることを防止する効果が高まる。
【0076】
また、本実施の形態のCO2供給装置1では、気化器440の温度が、気化器異常温度よりも低い気化器上限温度を超えるか、燃焼器450の温度が、燃焼器異常温度よりも低い燃焼器上限温度を超えると、燃焼ファンモータ423の回転数が増加されて燃焼ファン420による燃焼用空気の供給量が増加される。これにより、燃焼用空気(二次空気)の不足が解消されるので、燃焼不良の発生を未然に防止することが可能となる。
【0077】
特に、本実施の形態のCO2供給装置1では、気化器440と燃焼器450の双方の温度について、これら温度がそれぞれ気化器上限温度および燃焼器上限温度を超えたかの監視が行われるので、燃焼用空気の供給量が減少したときにその供給量が増加される精度を高めることができる。よって、燃焼不良の発生を未然に防止する効果が高まる。
【0078】
さらに、本実施の形態のCO2供給装置1では、気化器440の温度が気化器異常温度を超えるか、燃焼器450の温度が燃焼器異常温度を超えるかすることにより燃焼器450での燃焼が停止されると、異常報知が行われるので、ユーザは、異常の発生によってCO2供給運転が停止したことを把握できる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0080】
たとえば、上記実施の形態では、CO2供給装置1に、気化器440の温度を検出する気化器温度センサ520と燃焼器450の温度を検出する燃焼器温度センサ530の双方が設けられ、気化器440の温度が気化器異常温度を超えるか、燃焼器450の温度が燃焼器異常温度を超えると、燃焼器450での燃焼が停止された。さらに、気化器440の温度が気化器上限温度を超えるか、燃焼器450の温度が燃焼器上限温度を超えると、燃焼用空気の供給量が増加された。しかしながら、CO2供給装置1に気化器温度センサ520のみが設けられ、気化器440の温度が気化器異常温度を超えると、燃焼器450での燃焼が停止されるようにされ、気化器440の温度が気化器上限温度を超えると、燃焼用空気の供給量が増加されるようにしてもよい。さらに、CO2供給装置1に燃焼器温度センサ530のみが設けられ、燃焼器450の温度が燃焼器異常温度を超えると、燃焼器450での燃焼が停止され、燃焼器450の温度が燃焼器上限温度を超えると、燃焼用空気の供給量が増加されるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、缶体101には、上端に燃焼用空気が給気される給気口101aが設けられるとともに、下端に燃焼ガスが排気される排気口101bが設けられ、上側に燃焼装置102が配置されるとともに、下側に熱交換器103が配置された。このため、燃焼器450は、下側に向けて炎が形成される構成とされた。しかしながら、缶体101には、下端に燃焼用空気が給気される給気口101aが設けられるとともに、上端に燃焼ガスが排気される排気口101bが設けられ、下側に燃焼装置102が配置されるとともに、上側に熱交換器103が配置されてもよい。この場合、燃焼器450は、上側に向けて炎が形成される構成とされる。
【0082】
さらに、上記実施の形態において、栽培室2内、特に、CO2供給装置1の周囲に、CO(一酸化炭素)の濃度を検出するCO濃度センサが配置され、CO濃度センサによる検出濃度が所定の濃度を超えると、制御部601が燃焼器450での燃焼を停止させてCO2供給運転を停止させるようにしてもよい。
【0083】
さらに、上記実施の形態では、供給ダクト212に供給ファン213が設けられた。しかしながら、供給ダクト212による供給経路が短く燃焼ガスが円滑に流れる場合などには、供給ファン213が設けられなくてもよい。
【0084】
さらに、上記実施の形態では、2つの熱交換器103、301の間で循環する液体として水が用いられた。しかしながら、水以外の液体、たとえば、不凍液が用いられてもよい。
【0085】
さらに、上記実施の形態では、供給ファン駆動部610が、熱源機10に設けられた。しかしながら、供給ファン駆動部610が、熱源機10ではなく、熱源機10の制御部601と通信可能に接続されたコントローラ(図示せず)に設けられてもよい。この場合、制御部601によりCO2供給運転が実行されるときに、コントローラが供給ファン駆動部610により供給ファン213を回転させる。
【0086】
さらに、上記実施の形態では、CO2濃度センサ217が熱源機10の制御部601に接続された。しかしながら、CO2濃度センサ217が、制御部601ではなく、制御部601と通信可能に接続されたコントローラ(図示せず)に接続されてもよい。この場合、コントローラは、CO2濃度センサ217による検出濃度に基づいて、制御部601にCO2供給運転の開始信号や停止信号を出力する。なお、供給ファン駆動部610がコントローラ(図示せず)に設けられている場合、コントローラは、開始信号および停止信号の出力と併せて、供給ファン213を回転および停止させる。
【0087】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 CO2供給装置
2 栽培室
12 ダクトユニット(供給部)
102 燃焼装置
420 燃焼ファン(空気供給部)
440 気化器(気化部)
450 燃焼器(燃焼部)
464 流路
482 炎孔
520 気化器温度センサ(気化部温度センサ)
530 燃焼器温度センサ(燃焼部温度センサ)
601 制御部
603 操作表示部(報知部)