(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
G03G21/00
G03G21/00 314
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2018208518
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝又 啓揮
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-154109(JP,A)
【文献】特開2011-215577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、
前記電圧印加部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記印加電圧の波形が、三角波である
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記実行部は、
前記印加電圧の三角波の周期が変わる度に、少なくとも一度は前記回転部材の回転速度を変化させる
ことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材の表面の付着物を除去する、清掃モードを実行する清掃モード実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、サービスコールを実行するサービスコール実行部を備える
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記付着物検出モードにおいて、前記像担持体の軸方向に形成されたトナー像の濃度を検知する検知部を備える
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させ、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材の回転速度を上昇させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面のトナーを除去するクリーニングブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面に滑剤を塗布する滑剤塗付ブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部と、
前記回転部材に接触する固形滑剤と、を備え、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材に対する前記固形滑剤の押圧力を上昇させる
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部を備え、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材によって前記像担持体の表面に滑剤を塗布させる、滑剤塗布モードを実行する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、
前記電圧印加部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部及び前記回転部材の表面の付着物を除去するための清掃モードを実行する清掃モード実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させ、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に前記回転部材の表面の付着物を除去する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項16】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させ、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材の回転速度を上昇させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項17】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面のトナーを除去するクリーニングブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項18】
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面に滑剤を塗布する滑剤塗付ブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、トナー像が形成される感光体などの像担持体の表面にクリーニングブラシやクリーニングブレード等を摺接させることにより、像担持体の表面上に付着した残留トナー等の付着物を除去する技術が知られている。
【0003】
また、クリーニングブラシ等により像担持体をクリーニングする際に、トナーの像担持体への付着力を低下させてクリーニング性能を上げるために、潤滑剤を塗布して像担持体に付着させる技術が用いられている。潤滑剤の塗布には、例えば、固形滑剤と、像担持体の表面及び固形滑剤に当接しながら回転する滑剤塗布ブラシと、が用いられている。滑剤塗布ブラシは、回転することで固形滑剤から削り取った潤滑剤を像担持体表面に均一に塗布する役割を持つ。
また、滑剤塗布ブラシは像担持体表面を擦過することにより、クリーニングブラシとしても機能する。これにより、感光体の回転方向下流側に配置されたクリーニングブレードに到達する残留トナーの量を減少させ、クリーニングブレードによるクリーニング性能をさらに向上させることができる。
【0004】
クリーニングブラシや滑剤塗布ブラシの表面にトナーや外添剤などが付着して汚染されると、汚染された部分におけるクリーニング性が低下して用紙に形成された画像にトナー汚れが発生したり、滑剤塗布ムラや研磨ムラ等に起因して画像にノイズが発生したりする。
このような問題に対して、特許文献1には、クリーニングブラシに流れる電流値の変化を検知し、これに基づいてクリーニングブラシへの付着物の有無を判断する技術が記載されている。クリーニングブラシの汚染を検出した場合、清掃を行うことで画像への影響を抑えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クリーニングブラシや滑剤塗布ブラシの軸方向の一部に部分的な汚染が生じた場合、画像スジなど、用紙の主走査方向の一部にのみノイズが発生することになる。
特許文献1に記載の方法では、クリーニングブラシの全体的な汚れの程度については判断できるものの、クリーニングブラシの軸方向における部分的な汚染の有無について判断することはできないため、全体としては汚染の程度が低くても、部分的な汚染により画像ノイズが発生してしまう。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、感光体に接触して回転する回転部材の軸方向における汚染を正確に検知することが可能な画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記電圧印加部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記印加電圧の波形が、三角波である
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記実行部は、
前記印加電圧の三角波の周期が変わる度に、少なくとも一度は前記回転部材の回転速度
を変化させる
ことを特徴とする。
請求項5に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材の表面の付着物を除去する、清掃モードを実行する清掃モード実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、サービスコールを実行
するサービスコール実行部を備える
ことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記付着物検出モードにおいて、前記像担持体の軸方向に形成されたトナー像の濃度を検知する検知部を備える
ことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させ、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材の回転速度を上昇させる
ことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面のトナーを除去するクリーニングブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の画像形成装置は、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面に滑剤を塗布する滑剤塗付ブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部と、を備え、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部と、
前記回転部材に接触する固形滑剤と、を備え、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材に対する前記固形滑剤の押圧力を上昇させる
ことを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、
前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部を備え、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材によって前記像担持体の表面に滑剤を塗布させる、滑剤塗布モードを実行する
ことを特徴とする。
【0022】
請求項13に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記電圧印加部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
請求項14に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記像担持体を回転させ、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部に、前記像担持体が少なくとも一周する間に変化する電圧を印加させ、前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
請求項15に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部及び前記回転部材の表面の付着物を除去するための清掃モードを実行する清掃モード実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させ、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に前記回転部材の表面の付着物を除去する
ことを特徴とする。
請求項16に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転する導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記画像形成部による画像形成条件を変更する変更部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させ、
前記変更部は、前記回転部材の表面の付着物の量が所定の量以上である場合に、前記回転部材の回転速度を上昇させる
ことを特徴とする。
請求項17に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面のトナーを除去するクリーニングブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
請求項18に記載のプログラムは、
用紙に転写するトナー像を担持する像担持体と、現像バイアスを印加して前記像担持体にトナー像を現像する現像部と、前記像担持体に接触しながら回転して前記像担持体の表面に滑剤を塗布する滑剤塗付ブラシである導電性の回転部材と、前記回転部材に電圧を印加する電圧印加部と、を備える画像形成部と、を有する画像形成装置のコンピューターを、
前記回転部材の表面の付着物を検出するための付着物検出モードを実行する実行部として機能させるためのプログラムであって、
前記実行部は、前記付着物検出モードにおいて、
前記現像バイアスが、前記像担持体の表面上の、前記電圧印加部により基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在する部分に当接する領域における表面電位と、前記像担持体の表面上の、前記基準電圧が印加された場合における前記回転部材の表面の付着物が存在しない部分に当接する領域における表面電位の間の値となるように、前記現像部及び/又は前記電圧印加部による印加電圧を制御するとともに、前記現像部によって前記像担持体にトナー像を現像させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、感光体に接触して回転する部材の軸方向における汚染を正確に検知することが可能な画像形成装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像形成部の概略構成を示す図である。
【
図5】滑剤塗布ブラシの汚れに起因したトナー現像のメカニズムを説明する図である。
【
図6】滑剤塗布ブラシへの印加電圧とトナー現像との関係を説明する図である。
【
図7】現像バイアスとトナー現像との関係を説明する図である。
【
図8】第1実施形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】汚れレベル算出処理における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】周方向に発生した汚れとトナー現像との関係を説明する図である。
【
図11】第2実施形態に係る画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図12】第2実施形態に係る画像形成部の概略構成を示す図である。
【
図13】第2実施形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
[画像形成装置の構成]
本実施形態に係る画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置であり、
図1~
図3に示すように、自動原稿搬送部2と、スキャナー部3と、画像形成部4と、給紙部5と、記憶部6と、操作表示部7と、制御部10と、インラインセンサーSと、等を備えて構成されている。
【0027】
自動原稿搬送部2は、原稿Dを載置する載置トレイ、原稿Dを搬送する機構及び搬送ローラー等を備えて構成され、原稿Dを所定の搬送路に搬送する。
スキャナー部3は、光源や反射鏡等の光学系を備えて構成され、所定の搬送路を搬送された原稿D又はプラテンガラスに載置された原稿Dに光源を照射し、反射光を受光する。また、スキャナー部3は、受光した反射光を電気信号に変換して制御部10に出力する。
【0028】
画像形成部4は、イエロー作像部Yと、マゼンタ作像部Mと、シアン作像部Cと、ブラック作像部Kと、中間転写ベルトTと、定着部Fと、を備えて構成されている。
各作像部YMCKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を感光体41に形成し、感光体41に形成されたYMCK各色のトナー像を中間転写ベルトTに一次転写する。
【0029】
図3は、画像形成部4の概略構成を示す図である。各作像部は、図中A方向に回転駆動されるドラム状の感光体41(像担持体)と、この感光体41の表面を一様に帯電させる帯電装置42と、この帯電装置42により帯電された感光体41の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置43と、この露光装置43により形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて可視像化する現像装置44(現像部)と、感光体41上に形成されたトナー像を用紙に転写させる一次転写ローラー45と、転写領域を通過した感光体41上のトナーを除去するクリーニング部47と、感光体41上の潜像の消去を行うイレーサー48と、を備え、感光体41上に形成されたトナー像を図中B方向に移動する中間転写ベルトTに一次転写する。中間転写ベルトTに転写されたトナー像は、二次転写ローラー46によって用紙に転写され、その後定着部Fに搬送され、用紙上に定着される。また、各作像部YMCKには、一次転写ローラー45と感光体ドラムとの間の転写領域に対して、中間転写ベルトTの回転方向Bの下流側に、インラインセンサーSが中間転写ベルトT上のトナー像を読み取り可能に配置されている。
なお、各作像部YMCKの構成及び動作は何れも同様であるため、以下、イエロー作像部Yを例に挙げて、画像形成部4が行う一連の画像形成動作について説明する。
【0030】
感光体41は、ドラム状の金属基体の外周面に有機光導電体を含有させた樹脂からなる感光層が形成された有機感光体により構成され、図中Aの方向に回転駆動される。感光層を構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、感光体41は、アルミニウム管などの導電性の素管の上に、下引き層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)の順に配置された層構造を有する。
【0031】
帯電装置42は、帯電チャージャーを用いて感光体41をマイナス極性で一定の電位に帯電させる。
【0032】
露光装置43は、制御部10からの画像データDyに基づいて感光体41の非画像領域を露光して露光した部分の電荷を除去し、感光体41の画像領域に静電潜像を形成する。
【0033】
現像装置44は、感光体41と現像領域を介して対向するように配置された現像スリーブ44aを備える。現像スリーブ44aには、例えば、帯電装置42の帯電極性と同極性、即ちマイナス極性の直流電圧に、交流電圧が重畳された現像バイアスが印加され、これにより感光体41に形成された静電潜像上に現像剤を供給し、感光体41にイエローのトナー像を形成する。なお、現像剤は、トナー及びトナーを帯電するためのキャリアを含む。トナーは特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができる。例えば、バインダー樹脂中に、着色剤や必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用することができる。トナー粒径は、特に限定されるものではないが、3~15μm程度が好ましい。
なお、現像装置44に印加される現像バイアスは、制御部10によって制御されている。
【0034】
一次転写ローラー45は、感光体41に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルトTに一次転写する。なお、他の作像部MCKも同様に、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を中間転写ベルトTに一次転写する。これにより、中間転写ベルトT上にYMCK各色のカラーのトナー像が形成される。
【0035】
中間転写ベルトTは、複数のローラーに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラーの回転に伴って図中Bの方向に回転駆動される。この中間転写ベルトTは、一次転写ローラー45により、対向するそれぞれの感光体41に圧着される。一次転写ローラー45のそれぞれには、印加された電圧に応じた転写電流が流れる。これにより、各感光体41の表面に現像された各トナー像は、それぞれ各一次転写ローラー45により順次中間転写ベルトTに一次転写される。
【0036】
二次転写ローラー46は、中間転写ベルトTに押圧されて従動回転することで、当該中間転写ベルトTに転写されて形成されたYMCK各色のトナー像を給紙部5の給紙トレイ51~53から搬送されてきた用紙Pに二次転写する。詳細には、二次転写ローラー46は、中間転写ベルトTを介して二次転写対向ローラー461に当接して配置され、二次転写ローラー46と二次転写対向ローラー461との間で形成される転写ニップを用紙Pが通過することにより、中間転写ベルトT上のトナー像が、用紙Pに二次転写される。
【0037】
転写領域で中間転写ベルトT上に転写されずに感光体41上に残ったトナーはクリーニング部47に搬送され、クリーニング部47により回収される。
また、クリーニング部47により表面のトナーが回収された感光体41は、再び帯電装置42により帯電され、次の静電潜像が形成されトナー像を形成することを繰り返す。
【0038】
図4は、クリーニング部47の構成を示す概略図である。
クリーニング部47は、クリーニングブレード47aと、クリーニングブレード47aの略下側に設けられた回収スクリュー47bと、クリーニングブレード47aに対して感光体41の回転方向における下流側に設けられた滑剤塗布ブラシ47cと、滑剤塗布ブラシ47cに電圧を印加するための電圧印加部47d(
図2参照)と、滑剤塗布ブラシ47cに対して潤滑剤を供給するための固形滑剤47eと、固形滑剤47eを滑剤塗布ブラシ47cに対して押圧保持する押圧部47fと、滑剤塗布ブラシ47cに対して感光体41の回転方向における下流側に設けられた固定化ブレード47gと、を備えている。
【0039】
クリーニングブレード47aは、例えば、ポリウレタンゴムなどの弾性体を平板状に加工したものであって、その先端が感光体41に摺擦するように設置され、感光体41の表面に残留する未転写のトナー等の付着物を掻き取って除去するものである。
【0040】
回収スクリュー47bは、一方向に回転しており、クリーニングブレード47aで掻き取られて落下したトナーを、図示しない廃トナーボックスまで搬送する。
【0041】
滑剤塗布ブラシ47cは、感光体41にその先端部が接触可能な位置に配置されたロール状のブラシ部材であり、回転部材として機能する。滑剤塗布ブラシ47cは、表面に例えばポリエステルやナイロン等の導電性の部材からなるブラシ毛を有し、ブラシ毛が固形滑剤47eと感光体41の両方に当接するように設置される。滑剤塗布ブラシ47cは、制御部10の制御により、感光体41との接点において、表面が感光体41の表面の進行方向と逆方向に進行する、カウンター回転を行い、感光体41よりも遅い線速度となるように回転する。
また、滑剤塗布ブラシ47cは、電圧印加部47dによって電圧を印加されている。なお、電圧印加部47dによる印加電圧は、制御部10によって制御されている。
【0042】
固形滑剤47eは、例えば、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸の粉体の潤滑剤を溶融整形して固形化したものである。固形滑剤47eは、滑剤塗布ブラシ47cの先端部が接触可能な位置に配置され、滑剤塗布ブラシ47cの回転によって先端部から削り取られる。削り取られた潤滑剤はそのまま感光体41まで搬送されて感光体41表面に供給される。
【0043】
押圧部47fは、例えば、固形滑剤47eを滑剤塗布ブラシ47cの方向に向けて付勢する圧縮バネを備え、固形滑剤47eを滑剤塗布ブラシ47cに対して押圧保持している。
【0044】
固定化ブレード47gは、クリーニングブレード47aと同様に、例えば、ポリウレタンゴムなどの弾性体を平板状に加工したものが用いられる。また、固定化ブレード47gは、感光体41の表面を引きずる方向に当接し、その先端が感光体41に摺擦するように設置されている。この固定化ブレード47gは、感光体41表面に供給された潤滑剤の粉を引き伸ばし、感光体41表面に成膜させて皮膜を形成するためのものである。ステアリン酸亜鉛で形成された潤滑剤層は離型性が高く摩擦係数が小さいことが特徴であるので、転写性およびクリーニング性がよく、また、感光体41の減耗も抑制されて長寿命化を図ることができる。
【0045】
イレーサー48は、LED等の露光手段であって、一次転写ローラー45に対して感光体41の回転方向上流側に設けられ、転写前の感光体41の表面を除電する。これにより、感光体41の表面の画像部と非画像部の電位差を小さくさせる。
【0046】
画像形成部4は、YMCK各色のトナー像が二次転写された用紙Pを定着部Fにより加熱及び加圧し、その後所定の搬送路に通して機外に排出する。
以上が画像形成部4による一連の画像形成動作である。
【0047】
インラインセンサーSは、中間転写ベルトTを主走査方向に読み取り可能なセンサーであって、中間転写ベルトT上に形成されたトナー像をCCD等のイメージセンサーを用いて通紙中に読み取る。インラインセンサーSは、上記したように各作像部の近傍に合計4つ設けられており、各作像部について読み取ったデータは、逐次、制御部10に伝達される。
なお、インラインセンサーSは、検知部として機能する。
【0048】
給紙部5は、複数の給紙トレイ51~53を備えて構成され、各給紙トレイ51~53に種類の異なる複数の用紙Pを収容する。給紙部5は、所定の搬送路により収容される用紙Pを画像形成部4に給紙する。
【0049】
記憶部6は、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリーなどにより構成され、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部10から読み書き可能に記憶する。
【0050】
操作表示部7は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD)で構成され、表示部71及び操作部72として機能する。
表示部71は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、各機能の動作状況等の表示を行う。また、ユーザーによるタッチ操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
操作部72は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。ユーザーは、操作表示部7を操作して、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定及び用紙設定等の画像形成に関する設定、用紙搬送指示、並びに装置の停止操作などを行うことができる。
【0051】
制御部10は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUはROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、展開された各種プログラムと協働して、自動原稿搬送部2、スキャナー部3、画像形成部4、給紙部5、記憶部6、操作表示部7、インラインセンサーS等の画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する(
図2参照)。例えば、制御部10は、スキャナー部3からの電気信号を入力して各種画像処理を行い、画像処理により生成されたYMCK各色の画像データDy、Dm、Dc、Dkを画像形成部4に出力する。また、制御部10は、画像形成部4の動作を制御して、後述するように滑剤塗布ブラシ48cへの付着物の検出を行う。
なお、制御部10は、実行部、変更部、清掃モード実行部、サービスコール実行部として機能する。
【0052】
[付着物検出モード]
以下、本実施形態に係る付着物検出モードについて、図面を参照しながら説明する。付着物検出モードとは、滑剤塗布ブラシ47cの表面上の付着物の検出するために、画像形成装置1が実行する動作を指す。
なお、以下の説明において「汚れ」とは、滑剤塗布ブラシ47cの表面のトナーや感光体41に塗布されずに残った潤滑剤などの付着物を指す。
【0053】
図5は、滑剤塗布ブラシ47cの汚れに起因してトナーが現像されるメカニズムについて説明する図である。
図5(A)に示すように、画像形成時においては、電圧印加部47dにより滑剤塗布ブラシ47cに一定の印加電圧(基準電圧)が印加される。この時、滑剤塗布ブラシ47cの電荷が感光体41に移動する。例えば、電圧印加部47dによって-500Vの電圧が印加されているとしたとき、滑剤塗布ブラシ47cから感光体41にマイナス電荷が移動する。
【0054】
ここで、
図5(B)に示すように、滑剤塗布ブラシ47cの領域r2に部分的な汚れが発生すると、領域r2の抵抗が上昇する。これにより、感光体41に移動する電荷が減少し、感光体41の表面電位が低下する。
【0055】
感光体41に滑剤塗布ブラシ47cから電荷が移動した状態で、感光体41が現像スリーブ44aと接触するとき、感光体の表面電位をV0、現像バイアスをVdcとすると、V0>Vdcのときにはトナーは現像されないが、V0<Vdcのときにはトナーが現像される。したがって、
図5(C)に示すように、滑剤塗布ブラシ47c上の汚れが発生していない部分r1に当接する感光体41の表面の領域R1における電位がV0>Vdcであっても、滑剤塗布ブラシ47c上の汚れが発生した部分r2に当接する領域R2の電位が低下してV0<Vdcとなると、トナーが現像される。
【0056】
図6は、滑剤塗布ブラシ47cの印加電圧とトナー現像との関係を説明する図である。
本実施形態に係る付着物検出モードにおいては、イレーサー48及び帯電装置42の動作を停止させた状態で、滑剤塗布ブラシ47cに印加する電圧Vbrushを、低電位から徐々に上昇させ、所定の値まで上げたところで初期値に戻すことを繰り返す三角波制御を行う。例えば、Vbrushの初期値を-300Vとしたとき、感光体41の表面電位は、これに追従して-100Vから徐々に上昇する。
【0057】
感光体41表面上の、滑剤塗布ブラシ47c上の汚れが発生していない部分に当接する領域をR1とし、R1の表面電位をV0=V1とすると、
図6(A)に示すように、V1が現像バイアスVdcを下回るときにはトナーが現像されるが、感光体41の表面電位が上昇してV1がVdcを上回ったタイミング(t=t1)で、感光体41上にトナーが現像されなくなる。
【0058】
一方で、感光体41表面上の、滑剤塗布ブラシ47c上の汚れが発生している部分に当接する領域をR2とし、R2の表面電位をV0=V2とすると、
図6(B)に示すように、V2の上昇はR1におけるV1の上昇に比べて上昇が遅い。したがって、V2がVdcを上回ってトナーが現像されなくなるタイミング(t=t2)は、t1に比べて遅くなる。
【0059】
図6(C)は、感光体41の表面に現像されたトナー像を示す図である。図中Cの方向にトナーが現像されるとすると、領域R2には領域R1に比べて下流側までトナーが現像されることとなる。
【0060】
また、現像バイアスを三角波制御することによっても同様の結果を得ることができる。
図7は、本実施形態に係る付着物検出モードにおける現像バイアス制御を説明する図である。同様にイレーサー48及び帯電装置42の動作を停止させた状態で、現像バイアスVdcを、高電位から徐々に下降させ、所定の値まで下げたところで初期値に戻すことを繰り返す三角波制御を行う。例えば、Vdcの初期値を-700Vとし、Vbrushを-500Vの定電圧としたとき、感光体41の表面電位はVbrushに追従した値となる。
【0061】
図7(A)に示すように、領域R1の表面電位をV0=V1とすると、領域R1においては、現像バイアスVdcが感光体41の表面電位V1を上回るときにはトナーが現像されるが、現像バイアスが下降してVdcがV1を下回ったタイミング(t=t1)で感光体41上にトナーが現像されなくなる。
一方で、
図7(B)に示すように、領域R2の表面電位をV0=V2とすると、領域R2においては感光体41の表面電位V2がV1よりも低電位となる。したがって、現像バイアスVdcがV2を下回るタイミング(t=t2)は、t1よりも遅くなる。
これにより、
図7(C)に示すように、領域R2には領域R1に比べて図中Cの方向の下流側までトナーが現像されることとなる。
【0062】
したがって、本実施形態に係る付着物検出モードにおいては、現像バイアスVdcが、滑剤塗布ブラシ47cに基準電圧を印加したときの領域R1における感光体41の表面電位V1と、領域R2における感光体41の表面電位V2との間になるように、現像バイアスVdc又は電圧印加部47dによる印加電圧Vbrushを制御するとともに、現像装置44によってトナー像を現像させる。このとき現像されるトナー像を解析することにより、滑剤塗布ブラシ47cの汚れの付着状態を予測することができる。
なお、以下の説明では、現像バイアスVdcの値が上記した範囲の値となるように、現像バイアスVdcと電圧印加部47dによる印加電圧Vbrushのいずれかのみを制御する例を説明するが、現像バイアスVdcと印加電圧Vbrushの両方を制御するものとしてもよい。
【0063】
以下、
図8のフローチャートを用いて画像形成装置1の動作を説明する。なお、
図8に示す処理は、制御部10と記憶部6に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0064】
まず、制御部10は、付着物検出モードを行うタイミングであるか否かを判断する(ステップS101)。付着物検出モードを行うタイミングとは、例えば、あらかじめ設定された距離だけ画像形成を実行したタイミングなどの、滑剤塗布ブラシ47c上に汚れが発生していると考えられる時点や、画像形成動作の終了時などとし、定期的に付着物検出モードを実行するものとしてもよい。あるいは、部分ガバレッジの連続印字後など、滑剤塗布ブラシ47c上に局所的な汚れが発生したと考えられる時点で付着物検出モードを実行するものとしてもよい。
制御部10は、付着物検出モードを行うタイミングであると判断すると(ステップS101:YES)、ステップS102に移行するが、そうではないと判断すると(ステップS101:NO)、ステップS101の処理を繰り返す。
【0065】
ステップS102では、付着物検出モードを実行する。
図9は、付着物検出モードにおける画像形成装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図9に示す処理は、制御部10と記憶部6に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0066】
まず、制御部10は、滑剤塗布ブラシ47cの印加電圧Vbrush又は現像バイアスVdcのいずれかの三角波制御を開始する(ステップS1021)。
続いて、制御部10は、感光体41及び滑剤塗布ブラシ47cの回転を開始する(ステップS1022)。
【0067】
次に、制御部10は、Vbrush又はVdcの三角波の一周期分経過したか否かを判断する(ステップS1023)。制御部10は、経過していないと判断すると(ステップS1023:NO)、ステップS1023の処理を繰り返すが、経過したと判断すると(ステップS1023:YES)、ステップS1024に移行する。
【0068】
ステップS1024では、制御部10は、滑剤塗布ブラシ47cの回転速度を変更する。
これについて、
図10を用いて説明する。滑剤塗布ブラシ47cの周方向の一部に汚れが発生しているとき、これに対応する感光体41の表面上の領域をR2とし、その他の領域をR1とする。現像バイアスVdcを三角波制御するとき、Vdcが下降して領域R1の表面電位V1に達したとき、領域R1が現像スリーブ44aに当接していれば、
図10に示すt1のタイミングでトナーが現像されなくなるが、領域R2が当接している場合には、Vdcが領域R2の表面電位V2に達するt2のタイミングまで、トナーが現像され続ける。即ち、三角波の一周期の間に領域R2が現像スリーブ44aに当接するか否かによって、トナーが現像されなくなるタイミングにずれが生じ、正確な汚れレベル算出が難しくなる。したがって、三角波の一周期ごとに、少なくとも一回は滑剤塗布ブラシ47cの回転速度を変更して、各回転速度においてトナーが現像されなくなるタイミングを特定し、その平均値を算出することで、周方向の汚れレベルのばらつきの影響を抑えて汚れレベルの算出の精度を向上させることができる。
【0069】
続いて、制御部10は、感光体41が一回転したか否かを判断する(ステップS1025)。
帯電装置42及びイレーサー48の動作を停止しているため、感光体41が二周目に入ると、前周の残電位の影響が出るため、感光体41の一回転分のみを汚れレベルの算出対象とする。なお、イレーサー48や、プレクリーニングチャージャーなどのクリーニング前に感光体41の表面電位を消去又は均一化可能な装置を有する場合は、これらを動作させることで、感光体41の二周目以降も三角波制御を繰り返すことが可能となる。
制御部10は、感光体41が一周したと判断すると(ステップS1025:YES)、ステップS1026に移行するが、一周していないと判断すると(ステップS1025:NO)、ステップS1023に戻る。
【0070】
ステップS1026では、制御部10は、インラインセンサーSを制御して、中間転写ベルトT上のトナーを主走査方向に読み取る。即ち、インラインセンサーSは、
図6(C)又は
図7(C)に示したような感光体41に形成されたトナー像が、中間転写ベルトTに転写された像を読み取る。
【0071】
続いて、制御部10は、汚れレベルを算出する(ステップS1027)。なお、「汚れレベル」とは、滑剤塗布ブラシ47cの表面の汚れの付着の程度を指し、具体的には次のようにして汚れレベルを算出する。
まず、インラインセンサーSによって読み取った画像データに対して、二値化の画像処理を施し、ベタ/シロ画像に変換する。
次いで、滑剤塗布ブラシ47cの局所的な汚れの状態を特定する場合、
図6(C)及び
図7(C)に示した矢印Cの方向において、三角波周期の開始時点から、滑剤塗布ブラシ47cの軸方向(
図6(C)及び
図7(C)に示した矢印Cの方向に垂直な方向)の特定の位置においてベタからシロに変化するまでの時間(あるいは、距離)を測定する。これを軸方向の全域にわたって行うことで、測定された時間又は距離を、軸方向の各位置における汚れの状態を示す指標、即ち局所的な汚れレベルとすることができる。
一方で、滑剤塗布ブラシ47cの全体的な汚れの程度を特定する場合には、三角波周期の開始時点から、滑剤塗布ブラシ47cの軸方向の各位置において測定されたベタからシロに変化するまでの時間(あるいは、距離)の平均値を算出する。即ち、この平均時間又は平均距離が大きいほど、感光体41の表面電位が全体的に低下しており、滑剤塗布ブラシ47cの全体的な汚れのレベルが高いといえるため、測定された時間又は距離を、滑剤塗布ブラシ47cの使用による全体的な汚れの状態を示す指標、即ち全体的な汚れレベルとすることができる。
なお、ステップS1027においては、三角波の各周期において汚れレベルを算出し、その平均値を汚れレベルを出力するものとする。
【0072】
汚れレベルを算出すると付着物検出モードを終了し、
図8のフローチャートに戻り、制御部10は、汚れレベルが所定の値以上であるか否かを判断する(ステップS103)。
局所的な汚れレベルを算出した場合、ステップS1027において軸方向の各位置について測定された時間(又は距離)の最大値と最小値の差が、予め設定されている所定の値以上である場合に、局所的に汚れが発生していると判断することができる。
全体的な汚れレベルを算出した場合、ステップS1027において測定された汚れレベルを、滑剤塗布ブラシ47cの使用開始時点において予め測定された汚れレベルの初期値(使用開始時点における滑剤塗布ブラシ47cの軸方向の各位置において測定されたベタからシロに変化するまでの時間又は距離の平均値)と比較して、初期値との差が所定の値以上であるときに、全体的に汚れが発生していると判断することができる。
制御部10は、汚れレベルが所定の値以上ではないと判断すると(ステップS103:NO)、制御を終了するが、所定の値以上であると判断すると(ステップS103:YES)、ステップS104、ステップS107、ステップS108及びステップS109のいずれかに移行する。
【0073】
ステップS104においては、制御部10は、変更部として機能し、画像形成条件を変更する。具体的には、滑剤塗布ブラシ47cの回転速度を上昇させる(ステップS105)。滑剤塗布ブラシ47cに汚れが発生していると、滑剤塗布ブラシ47cが滑剤を掻き取る量が減少する結果、塗布量が減少する。したがって、回転速度を上昇させることで塗布量を増加させることができる。あるいは、制御部10は、固形滑剤47eの押圧力を上昇させる(ステップS106)。これによっても、滑剤の塗布量を増加させることができる。
なお、画像形成条件の変更として、ステップS105及びステップS106の両方を行うものとしてもよい。
【0074】
ステップS107においては、制御部10は、清掃モード実行部として機能し、滑剤塗布ブラシ47cの清掃モードを実行する。具体的には、滑剤塗布ブラシ47cの表面の汚れを回収するためのブレードを当接させて、滑剤塗布ブラシ47cを感光体41及び固形滑剤47eから離間させた状態で回転させることで、汚れを掻き取る方法が挙げられる。
【0075】
ステップS108においては、制御部10は、滑剤塗布モード実行部として機能し、滑剤塗布モードを実行する。具体的には、感光体41及び滑剤塗布ブラシ47cのみを回転させ、その他の各部の装置を停止させることで、感光体41に滑剤を塗布する。
【0076】
ステップS109においては、制御部10は、サービスコール実行部として機能し、サービスコールを実行する。サービスコールの実行とは、例えば、表示部71にサービスコールを行う必要がある旨を表示させ、ユーザーにサービスコールを行うことを促す方法や、画像形成装置1がネットワークを介してサービスマンに報知する方法などが挙げられる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、本実施形態に係る付着物検出モードにおいては、現像バイアスVdcが、滑剤塗布ブラシ47cに基準電圧を印加したときの領域R1における感光体41の表面電位V1と、領域R2における感光体41の表面電位V2との間になるように、現像バイアスVdc及び/又は電圧印加部47dによる印加電圧Vbrushを制御するとともに、現像装置44によってトナー像を現像させる。したがって、このとき現像されるトナー像を解析することにより、滑剤塗布ブラシ47cの汚れの付着状態を予測することができるため、滑剤塗布ブラシ47cの軸方向における汚染を正確に検知することが可能となる。
【0078】
また、付着物検出モードにおいては、感光体41が一周する間に現像バイアスVdc又は電圧印加部47dによる印加電圧Vbrushを変化させて印加させるため、予め領域R1における感光体41の表面電位V1と、領域R2における感光体41の表面電位V2とを求めておく必要なく、上記した制御を実施することができる。
【0079】
また、現像バイアスVdc又は電圧印加部47dによる印加電圧Vbrushを三角波制御するため、繰り返し計測された汚れレベルの平均値を用いて滑剤塗布ブラシ47cへの汚れの付着状態を判断することができ、高精度である。
【0080】
また、三角波の周期が変わる度に、少なくとも一度は滑剤塗布ブラシ47cの回転速度を変化させるため、滑剤塗布ブラシ47cの周方向における汚れのムラに起因するノイズを抑え、高精度で汚れレベルを判断することができる。
【0081】
また、インラインセンサーSによって、付着物検出モードにおいて感光体41に形成されたトナー像の濃度を検知する。したがって、滑剤塗布ブラシ47cの軸方向における汚れのムラを正確に検知することができる。
【0082】
また、汚れレベルが所定の値以上である場合に、画像形成条件の変更、清掃モード、滑剤塗布モード及びサービスコールのいずれかを実施する。滑剤塗布ブラシ47cに汚れが発生した場合において、画像ノイズの発生を未然に防ぐことができる。
【0083】
<第2実施形態>
以下、本発明の画像形成装置に係る第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
第1実施形態においては、滑剤塗布機能及び感光体41表面のクリーニング機能を有する滑剤塗布ブラシ47cの汚れレベルを判別するものとしたが、第2実施形態においては、感光体41表面のクリーニング機能を有するクリーニングブラシの汚れレベルを判別する。
【0085】
図11に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能的構成を示す。
図12に、本実施形態に係る画像形成装置1の画像形成部4の近傍の概略構成を示す。
図11及び
図12に示すように、クリーニング部47は、クリーニングブレード47aと、回収スクリュー47bと、クリーニングブラシ47hと、電圧印加部47iと、を備えている。
【0086】
クリーニングブラシ47hは、感光体41にその先端部が接触可能な位置に配置されたロール状のブラシ部材であり、表面に例えばポリエステルやナイロン等の導電性の部材からなるブラシ毛を有し、ブラシ毛が感光体41に当接するように設置される。クリーニングブラシ47hは、制御部10の制御により、感光体41との接点において、表面が感光体41の表面の進行方向と逆方向に進行する、カウンター回転を行い、感光体41上の未転写トナー等の付着物を除去する。
また、クリーニングブラシ47hは、電圧印加部47i(
図11参照)によって電圧を印加されている。なお、電圧印加部47iによる印加電圧は、制御部10によって制御されている。
なお、クリーニングブラシ47hは、回転部材として機能する。
【0087】
なお、第2実施形態においては、トナーに滑剤が外添されている。あるいは、クリーニングブラシとは別に、滑剤を感光体41に塗布する機構を設けるものとしてもよい。
【0088】
以下、
図13のフローチャートを用いて画像形成装置1の動作を説明する。なお、
図13に示す処理は、制御部10と記憶部6に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0089】
まず、制御部10は、付着物検出モードを行うタイミングであるか否かを判断する(ステップS201)。制御部10は、付着物検出モードを行うタイミングであると判断すると(ステップS201:YES)、ステップS202に移行するが、そうではないと判断すると(ステップS201:NO)、ステップS201の処理を繰り返す。
ステップS202における付着物検出モードは、ステップS102と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
ステップS203では、制御部10は、汚れレベルが所定の値以上であるか否かを判断し、所定の値以上であると判断すると(ステップS203:YES)、ステップS204、ステップS206及びステップS207のいずれかに移行するが、所定の値以上ではないと判断すると(ステップS203:NO)、制御を終了する。
【0091】
ステップS204では、制御部10は、変更部として機能し、画像形成条件を変更する。具体的には、クリーニングブラシ47hの回転速度を上昇させる(ステップS205)。これにより、クリーニングブラシ47hによる感光体41の表面のクリーニング性を向上させることができる。
ステップS206では、制御部10は、清掃モード実行部として機能し、クリーニングブラシ47hの清掃モードを実行する。具体的には、クリーニングブラシ47hの表面の汚れを回収するためのブレードを当接させて、クリーニングブラシ47hを感光体41及から離間させた状態で回転させることで、汚れを掻き取る方法が挙げられる。
ステップS207では、制御部10は、サービスコール実行部として機能し、サービスコールを実行する。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、クリーニングブラシ47hの軸方向における汚染を正確に検知することが可能である。
また、汚れレベルが所定の値以上である場合に、画像形成条件の変更、清掃モード及びサービスコールのいずれかを実施する。クリーニングブラシ47hに汚れが発生した場合において、画像ノイズの発生を未然に防ぐことができる。
【0093】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、上記の実施形態は本発明の好適な例であり、これに限定されない。
【0094】
上記実施形態においては、滑剤塗布ブラシ47c若しくはクリーニングブラシ47hに印加する電圧又は現像バイアスを三角波制御する方法について記載したが、これに限定されない。
例えば、領域R1における感光体41の表面電位V1及び領域R2における感光体41の表面電位V2を予め測定しておき、現像バイアスがV1とV2の間の値になるように、滑剤塗布ブラシ47c若しくはクリーニングブラシ47hに印加する電圧又は現像バイアスを一定の値に制御するものとしてもよい。
【0095】
上記実施形態においては、検知部としてのインラインセンサーSは、中間転写ベルトTの主走査方向におけるトナー像を読み取るものとしたが、これに限定されない。感光体41の軸方向におけるトナー像を検知可能であればよく、感光体41上のトナー像を直接読み取る構成としてもよいし、画像形成装置1の下流に接続された後処理装置において、用紙に形成された画像を読み取るものとしてもよい。
あるいは、インラインセンサーSを備えず、出力された用紙に形成された画像を、ユーザーが目視によって判断するものとしてもよい。
【0096】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0097】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
4 画像形成部
41 感光体(像担持体)
42 帯電装置
43 露光装置
44 現像装置(現像部)
45 一次転写ローラー
46 二次転写ローラー
47 クリーニング部
47c 滑剤塗布ブラシ(回転部材)
47d 電圧印加部
47e 固形滑剤
47h クリーニングブラシ(回転部材)
47i 電圧印加部
10 制御部(実行部、変更部、滑剤塗布モード実行部、清掃モード実行部、サービスコール実行部)
E 排紙トレイ
S インラインセンサー(検知部)
T 中間転写ベルト