IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図1
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図2
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図3
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図4
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図5
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図6
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図7
  • 特許-光路シフトデバイスおよび画像表示装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】光路シフトデバイスおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20221220BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221220BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20221220BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G02B26/08 D
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N5/74 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018214424
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020085924
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0370575(US,A1)
【文献】特開2015-194721(JP,A)
【文献】特開2016-180832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08
G03B 21/14
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の板形状を有し、入射光が入射する光学部材と、
前記光学部材を保持する保持枠と、
前記保持枠を揺動可能な状態で支持する支持部と、
前記保持枠を揺動させるアクチュエーターと、を備え、
前記光学部材は、互いに対向する第1角部および第2角部と、前記第1角部と前記第2
角部とを結ぶ対角線に交差する方向において互いに対向する第3角部および第4角部と、
を有し、
前記保持枠は、前記第1角部に対向する位置に配置される第1軸部と、前記第2角部に
対向する位置に配置される第2軸部とを有し、
前記保持枠は、前記第1軸部および前記第2軸部によって前記支持部に接続され、
前記アクチュエーターは、前記第3角部に対向する位置に配置され
前記アクチュエーターは、互いに対向する永久磁石とコイルとを有し、
前記コイルを保持するコイル保持板を有し、前記コイルは前記コイル保持板を介して前
記支持板に固定され、
前記永久磁石を保持する磁石保持板を有し、前記永久磁石は前記磁石保持板を介して前
記保持枠に固定され、
前記コイル保持板は、前記コイルが固定されるベース部と、前記ベース部から突出する
第1突出部および第2突出部と、を有し、
前記第1突出部と前記第2突出部とに挟まれる領域に前記永久磁石が配置されることを
特徴とする光路シフトデバイス。
【請求項2】
前記保持枠の揺動軸は、前記対角線に沿う方向に延びることを特徴とする請求項1に記
載の光路シフトデバイス。
【請求項3】
前記永久磁石の第1対向面と、前記コイルの第2対向面とが対向し、
前記第1対向面および前記第2対向面は、前記光学部材の表面に対して交差する向きで
配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の光路シフトデバイス。
【請求項4】
前記第1対向面と前記第2対向面とは平行であり、
前記アクチュエーターは、前記永久磁石を前記第2対向面に沿う方向に移動させること
により、前記保持枠を揺動させることを特徴とする請求項3に記載の光路シフトデバイス
【請求項5】
前記第1対向面および前記第2対向面は、前記保持枠の揺動軸と平行であることを特徴
とする請求項3または4に記載の光路シフトデバイス。
【請求項6】
前記保持枠は、前記第2角部と前記第3角部との間を結ぶ第1枠部と、前記第1枠部に
対向し前記第4角部と前記第1角部との間を結ぶ第2枠部と、前記第3角部と前記第1角
部との間を結ぶ第3枠部と、前記第3枠部に対向し前記第2角部と前記第4角部との間を
結ぶ第4枠部と、を有し、
前記保持枠は、前記第3角部側の前記第1枠部から延在し、前記アクチュータに接続さ
れる腕部を有することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の光路シフトデバ
イス。
【請求項7】
矩形の板形状を有し、入射光が入射する光学部材と、
前記光学部材を保持する保持枠と、
前記保持枠を揺動可能な状態で支持する支持部と、
前記保持枠を揺動させるアクチュエーターと、を備え、
前記光学部材は、互いに対向する第1角部および第2角部と、前記第1角部と前記第2
角部とを結ぶ対角線に交差する方向において互いに対向する第3角部および第4角部と、
を有し、
前記保持枠は、前記第1角部に対向する位置に配置され、前記対角線上に延在する第1
軸部と、前記第2角部に対向する位置に配置され、前記対角線上に延在する第2軸部とを
有し、
前記保持枠は、前記第1軸部および前記第2軸部によって前記支持部に接続され、
前記アクチュエーターは、前記第3角部に対向する位置に配置され、
前記保持枠は、前記第2角部と前記第3角部との間を結ぶ第1枠部と、前記第1枠部に
対向し前記第4角部と前記第1角部との間を結ぶ第2枠部と、前記第3角部と前記第1角
部との間を結ぶ第3枠部と、前記第3枠部に対向し前記第2角部と前記第4角部との間を
結ぶ第4枠部と、を有し、
前記保持枠は、前記第3角部側の前記第1枠部から延在し、前記アクチュータに接続さ
れる腕部を有し、
前記アクチュエーターは、互いに対向する永久磁石とコイルとを有し、
前記コイルを保持するコイル保持板を有し、前記コイルは前記コイル保持板を介して前
記支持板に固定され、
前記永久磁石を保持する磁石保持板を有し、前記永久磁石は前記磁石保持板を介して前
記保持枠に固定され、
前記コイル保持板は、前記コイルが固定されるベース部と、前記ベース部から突出する
第1突出部および第2突出部と、を有し、
前記第1突出部と前記第2突出部とに挟まれる領域に前記永久磁石が配置されることを
特徴とする光路シフトデバイス。
【請求項8】
前記光学部材は、前記入射光を透過する透光性基板であり、
前記保持枠が揺動することによって、前記光学部材への前記入射光の入射角度を変化さ
せて前記入射光の光路をずらすことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の光
路シフトデバイス。
【請求項9】
映像光の光路に配置された請求項1からの何れか一項に記載の光路シフトデバイスを
備え、前記アクチュエーターを駆動して前記映像光の光路を変化させることを特徴とする
画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光路シフトデバイスおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液晶パネル等の光変調装置から出射された映像光の光路をずらす光路シフトデバイスを備えた画像表示装置が開示される。特許文献1の画像表示装置では、光路シフトデバイスは、投射される画像の解像度を光変調装置の解像度よりも高くするために用いられる。特許文献1の光路シフトデバイス(光学デバイス)は、ガラス板、およびガラス板を保持する保持部材を備えた可動部と、可動部を支持する支持部と、可動部と支持部とを接続する1対の軸部と、可動部を揺動させる駆動機構とを有する。特許文献1の光路シフトデバイスは、一対の軸部を通る揺動軸を中心として保持部材を揺動させてガラス板の姿勢を変化させることにより、ガラス板に入射した映像光を屈折させ、光路をずらすことができる。
【0003】
特許文献1の光路シフトデバイスでは、可動部を揺動させる駆動機構として、コイルおよび永久磁石を備えた振動アクチュエーターが用いられる。振動アクチュエーターは、枠状の保持部材の縁に固定された永久磁石と、永久磁石に対してガラス板の法線方向の両側から対向する一対のコイルを備える。永久磁石とコイルは、可動体が揺動した際に衝突しない程度の離間距離で配置される。振動アクチュエーターは、可動部を挟むように2箇所に配置される。各振動アクチュエーターは、一対のコイルに交番電圧を印加することにより、コイルから発生する磁界によって永久磁石を移動させ、可動体を揺動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-142863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラス板を揺動させて光路をずらす光路シフトデバイスは、画像表示装置等へ組み込んで使用されるため、小型化および薄型化の要望がある。このため、コイルと永久磁石とを対向させた振動アクチュエーターを有する光路シフトデバイスにおいても、必要な駆動力を維持しながらさらなる小型化、薄型化を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光路シフトデバイスは、矩形の板形状を有し、入射光が入射する光学部材と、前記光学部材を保持する保持枠と、前記保持枠を揺動可能な状態で支持する支持部と、前記保持枠を揺動させるアクチュエーターと、を備え、前記光学部材は、互いに対向する第1角部および第2角部と、前記第1角部と前記第2角部とを結ぶ対角線に交差する方向において互いに対向する第3角部および第4角部と、を有し、前記保持枠は、前記第1角部に対向する位置に設けられた第1軸部と、前記第2角部に対向する位置に設けられた第2軸部とを有し、前記保持枠は前記第1軸部および前記第2軸部によって前記支持部に接続され、前記アクチュエーターは、前記第3角部に対向する位置に配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像表示装置は、映像光の光路に配置された上記の光路シフトデバイスを備え、前記アクチュエーターを駆動して前記映像光の光路を変化させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像表示装置の一例であるプロジェクターの光学的な構成を示す説明図である。
図2】映像光の光路シフトによる画像表示位置のシフトを示す説明図である。
図3図1のプロジェクターの電気的な構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る光路シフトデバイスの斜視図である。
図5図4の光路シフトデバイスの平面図である。
図6図4の光路シフトデバイスをアクチュエーターの位置(図5のA-A位置)で切断した断面図およびその部分拡大図である。
図7図4の光路シフトデバイスを磁気センサーの位置(図5のB-B位置)で切断した断面図およびその部分拡大図である。
図8】アクチュエーターの平面図(図5の領域Cの拡大図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。本明細書において、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、X軸方向の一方側を+X方向、他方側を-X方向とする。また、Y軸方向の一方側を+Y方向、他方側を-Y方向とし、Z軸方向の一方側を+Z方向、他方側を-Z方向とする。
【0010】
<プロジェクター(画像表示装置)>
図1は、本実施形態に係る画像表示装置の一例であるプロジェクターの光学的な構成を示す説明図である。図1に示すプロジェクター1は、LCD方式のプロジェクターである。プロジェクター1は、外部から入力される映像信号に基づき、スクリーン101に映像を表示する装置である。プロジェクター1は、光源102と、ミラー104a、104b、104cと、ダイクロイックミラー106a、106bと、液晶表示素子108R、108G、108Bと、ダイクロイックプリズム110と、光路シフトデバイス2と、投射光学系112とを備える。
【0011】
光源102としては、例えば、ハロゲンランプ、水銀ランプ、発光ダイオード(LED)、レーザー光源等が挙げられる。また、光源102としては、白色光が出射するものが用いられる。光源102から出射された光は、例えば、ダイクロイックミラー106aによって赤色光(R)とその他の光とに分離される。赤色光は、ミラー104aで反射された後、液晶表示素子108Rに入射し、その他の光は、ダイクロイックミラー106bによってさらに緑色光(G)と青色光(B)とに分離される。緑色光は、液晶表示素子108Gに入射し、青色光は、ミラー104b、104cで反射された後、液晶表示素子108Bに入射する。
【0012】
液晶表示素子108R、108G、108Bは、それぞれ、空間光変調器として用いられる。これらの液晶表示素子108R、108G、108Bは、それぞれR、G、Bの原色に対応する透過型の空間光変調器であり、例えば縦1080行、横1920列のマトリクス状に配列した画素を備える。各画素では、入射光に対する透過光の光量が調整され、各液晶表示素子108R、108G、108Bにおいて全画素の光量分布が協調制御される。このような液晶表示素子108R、108G、108Bによってそれぞれ空間的に変調された光は、ダイクロイックプリズム110で合成され、ダイクロイックプリズム110からフルカラーの映像光LLが出射される。そして、出射された映像光LLは、投射光学系112によって拡大されてスクリーン101に投射される。
【0013】
光路シフトデバイス2は、ダイクロイックプリズム110と投射光学系112との間に配置される。プロジェクター1は、光路シフトデバイス2によって映像光LLの光路をシフトさせること(所謂「画素ずらし」を行うこと)により、液晶表示素子108R、108G、108Bの解像度よりも高い解像度の画像をスクリーン101に表示する。例えば、液晶表示素子108R、108G、108Bがフルハイビジョンであれば、4Kの画像を表示する。
【0014】
ここで、光路シフトによる高解像度化の原理について図2を用いて簡単に説明する。図2は、映像光の光路シフトによる画像表示位置のシフトを示す説明図である。後述するように、光路シフトデバイス2は、映像光LLを透過させる透光性基板であるガラス板30を有しており、このガラス板30の姿勢を変更することで、屈折を利用して映像光LLの光路をシフトさせる。プロジェクター1は、このような光路のシフトを利用して、映像光LLの光路を一方側にシフトさせた場合の画像表示位置P1と、映像光LLの光路を他方側にシフトさせた場合の画像表示位置P2とに交互に画像を表示する。画像表示位置P1、P2は、スクリーン101上で画素Pxの対角方向Fに半画素分(すなわち、画素Pxの半分)ずれた位置である。このような画素ずらしを行うことにより、見かけ上の画素が増加し、スクリーン101に投影される画像を高解像度化することができる。なお、画像表示位置P1、P2のずれ量としては、半画素分に限定されず、例えば、画素Pxの1/4であってもよいし、3/4であってもよい。
【0015】
図3は、図1のプロジェクター1の電気的な構成を示すブロック図である。プロジェクター1は、制御回路120と、駆動信号処理回路121と、画像信号処理回路122を備える。制御回路120は、液晶表示素子108R、108G、108Bに対するデータ信号の書き込み動作、光路シフトデバイス2における光路シフト動作、画像信号処理回路122におけるデータ信号の発生動作等を制御する。駆動信号処理回路121は、画像信号処理回路122が出力する同期信号SAに基づいて光路シフトデバイス2を駆動する駆動信号DSを供給する。
【0016】
画像信号処理回路122は、図示しない外部装置から供給される画像信号VidをR、G、Bの3原色ごとに分離するとともに、それぞれの液晶表示素子108R、108G、108Bの動作に適したデータ信号Rv、Gv、Bvに変換する。そして、変換されたデータ信号Rv、Gv、Bvは、それぞれ液晶表示素子108R、108G、108Bに供給され、それに基づいて液晶表示素子108R、108G、108Bが動作する。
【0017】
<光路シフトデバイス>
図4は、本実施形態に係る光路シフトデバイス2の斜視図である。光路シフトデバイス2は、図1のプロジェクター1において映像光LLの光路をシフトさせるために用いられる。図5は、図4の光路シフトデバイス2の平面図である。光路シフトデバイス2は、矩形の可動部3と、可動部3を囲む枠状の支持部4と、可動部3と支持部4とを連結する第1軸部5aおよび第2軸部5bと、第1軸部5aおよび第2軸部5bを通る揺動軸Jを中心として可動部3を揺動させるアクチュエーター6と、可動部3の位置を検出する磁気センサー7と、磁気センサー7の温度を検出するサーミスター8(図5図7参照)を備える。
【0018】
可動部3は、光透過性を有し、映像光LLが入射する光学部材であるガラス板30と、ガラス板30を保持する保持枠31を備える。可動部3が、ガラス板30に対する映像光LLの入射角度が0°である位置(以下、基準位置という)にあるとき、ガラス板30の法線方向はZ軸方向と一致する。光路シフトデバイス2は、例えば、+Z側がダイクロイックプリズム110側、-Z側が投射光学系112側を向くようにプロジェクター1内に配置される。なお、光路シフトデバイス2のZ軸方向の向きは、この反対であってもよい。
【0019】
保持枠31は、X軸と略平行に延びる第1枠部32および第2枠部33と、Y軸と略平行に延びる第3枠部34および第4枠部35とを備えた矩形枠状の部材である。保持枠31は、第1枠部32、第2枠部33、第3枠部34、第4枠部35に囲まれた矩形の開口部36を備える。ガラス板30は開口部36に配置され、第1枠部32、第2枠部33、第3枠部34、第4枠部35によってガラス板30の外周端部が保持される。本実施形態では、保持枠31は、ステンレスなどの金属板からなる。
【0020】
図6は、図4の光路シフトデバイス2をアクチュエーター6の位置(図5のA-A位置)で切断した断面図およびその部分拡大図である。図7は、図4の光路シフトデバイス2を磁気センサー7の位置(図5のB-B位置)で切断した断面図およびその部分拡大図である。図6図7に示すように、第1枠部32、第2枠部33、第3枠部34、第4枠部35は、それぞれ、ガラス板30の外周端部の+Z側の表面を覆う前板部311と、前板部311の外周側の端部から-Z方向へ屈曲して延びる側板部312と、側板部312の-Z方向の端部からガラス板30の端面に向けて突出する爪部313を備える。ガラス板30は、接着剤および爪部313によって保持枠31に固定される。保持枠31は、金属板を屈曲させた曲げ構造の部材であるため、板厚が薄い金属板を用いた構造でありながら、必要な強度を確保できる。
【0021】
ガラス板30は、互いに対向する第1角部30Aおよび第2角部30Bと、第1角部30Aと第2角部30Bとを結ぶ対角線に交差する方向において互いに対向する第3角部30Cおよび第4角部30Dを備える。第1軸部5aおよび第2軸部5bは、ガラス板30の第1角部30Aと第2角部30Bとを結ぶ対角線上に配置される。第1軸部5aおよび第2軸部5bを通る揺動軸Jは、第1角部30Aと第2角部30Bとを結ぶ対角線に沿う方向に延びている。
【0022】
第1軸部5aおよび第2軸部5bは、保持枠31の角部と繋がっている。本実施形態では、第1軸部5a、第2軸部5b、および保持枠31は一体に形成されている。
【0023】
第1軸部5aは、ガラス板30の中心から見て+X方向と+Y方向の中間の角度位置に配置される。また、第2軸部5bは、ガラス板30の中心から見て-X方向と-Y方向の中間の角度位置に配置される。第1軸部5aおよび第2軸部5bを通る揺動軸Jは、XY面と略平行な面内に位置し、且つ、X軸およびY軸に対して45°傾斜する。第1軸部5aおよび第2軸部5bは、ガラス板30の中心に対して点対称に配置されるため、可動部3の揺動バランスが良好である。なお、揺動軸JのX軸およびY軸に対する傾斜角度は、45°に限定されない。
【0024】
支持部4は、保持枠31が配置される矩形の開口部40を備える。開口部40の内周縁における揺動軸J上の2箇所の角部には、第1軸部5aが配置される第1凹部41、および、第2軸部5bが配置される第2凹部42が設けられている。第1軸部5aは、保持枠31とは反対側の先端が第1凹部41の縁と重なっており、支持部4にねじ止めされている。同様に、第2軸部5bは、保持枠31とは反対側の先端が第2凹部42の縁と重なっており、支持部4にねじ止めされている。支持部4は、第1軸部5aおよび第2軸部5bを通る揺動軸Jを中心として、保持枠31を揺動可能な状態で支持する。
【0025】
映像光LLは、例えば、ガラス板30に対してZ軸方向に入射する。可動部3が揺動軸Jを中心として揺動すると、ガラス板30に対する映像光LLの入射角度が変化する。ガラス板30に対する映像光LLの入射角度が0°から傾くことで、入射した映像光LLを屈折させつつ透過させる。従って、目的とする入射角度になるように、ガラス板30の姿勢を変化させることにより、映像光LLの偏向方向や偏向量を制御できる。なお、このようなガラス板30の大きさは、ダイクロイックプリズム110から出射する映像光LLを透過させるように適宜設定される。また、ガラス板30は、実質的に無色透明であることが好ましい。また、ガラス板30の映像光LLの入射面および出射面には反射防止膜が形成されていてもよい。
【0026】
ガラス板30の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスのような各種ガラス材料を用いることができる。また、本実施形態では、光学部材としてガラス板30を用いるが、光学部材は、光透過性を有し、映像光LLを屈折させる材料で構成されたものであればよい。すなわち、ガラスの他にも、例えば、水晶、サファイアのような各種結晶材料、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂のような各種樹脂材料等で構成されたものであってもよい。ただし、光学部材としては、本実施形態のようにガラス板30を用いた場合には、光学部材の剛性を特に大きくできる。従って、光学部材において映像光LLの光路をずらす際の光路のシフト量のばらつきを抑制できる。
【0027】
保持枠31、支持部4、第1軸部5aおよび第2軸部5bは、ステンレスまたは樹脂により形成されるため、環境温度の影響を低減させることができる。従って、小型で、共振周波数が低い光路シフトデバイス2を得ることができる。例えば、共振周波数が60kHz程度の光路シフトデバイス2を得ることができる。
【0028】
図4図5に示すように、アクチュエーター6は、ガラス板30の第3角部30Cに対向する位置に配置される。上記のように、第1軸部5aと第2軸部5bは、ガラス板30の第1角部30Aと第2角部30Bに対向する位置に配置されるため、アクチュエーター6は、可動部3において揺動軸Jから最も離間した部位に配置される。アクチュエーター6は、互いに対向する永久磁石61とコイル62とを備える。
【0029】
図4図5に示すように、支持部4には、ガラス板30の第3角部30Cに対向する位置に第3凹部43が設けられている。第3凹部43には、アクチュエーター6が配置される。第3凹部43は、開口部40の角部に設けられ、+X方向および-Y方向に対して45°傾斜した方向に凹んでいる。支持部4は、第3凹部43を囲む第1縁部431、第2縁部432、および第3縁部433を備える。第3縁部433は、第3凹部43の開口部40とは反対側を囲んでおり、第1縁部431および第2縁部432は、第3縁部433の両端から開口部40の側へ延びている。第1縁部431および第2縁部432は、+X方向と-Y方向に対して45°傾斜した方向に略平行に延びている。
【0030】
保持枠31は、第1枠部32の第3角部30C側の部分から第3凹部43の側へ延びる腕部37と、腕部37の先端に設けられた駆動用磁石取付部38を備える。腕部37は、第1枠部32から+X方向および-Y方向に対して45°傾斜した方向へ突出する。駆動用磁石取付部38は、腕部37の先端から-Z方向へ略直角に屈曲して延びている。駆動用磁石取付部38は、揺動軸JおよびZ軸方向と略平行に延びる板状部であり、揺動軸Jに沿う方向の幅が腕部37より大きい。
【0031】
アクチュエーター6は、永久磁石61が保持枠31に保持され、コイル62が支持部4に保持される。アクチュエーター6は、永久磁石61が固定される磁石保持板63を備える。磁石保持板63は平板状であり、駆動用磁石取付部38に固定される。永久磁石61は、磁石保持板63を介して保持枠31に固定される。また、アクチュエーター6は、コイル62を保持するコイル保持板64を備えており、コイル保持板64を介してコイル62が支持部4に固定される。
【0032】
コイル保持板64は、コイル62が固定される板状のベース部641と、ベース部641から突出する第1突出部642および第2突出部643を備える。第1突出部642および第2突出部643は、ベース部641におけるコイル62が固定される部分の両側に設けられ、コイル62が固定される面と直交する方向に延びている。コイル保持板64は、ベース部641に固定されるコイル62と、磁石保持板63を介して駆動用磁石取付部38に固定される永久磁石61とが所定のギャップで対向する位置に配置される。図4図5図8に示すように、第3凹部43の両側では、第1突出部642が第1縁部431にねじ止めされ、第2突出部643が第2縁部432にねじ止めされる。ベース部641は、駆動用磁石取付部38と略平行になるように第3凹部43に配置される。
【0033】
永久磁石61は、S極とN極が設けられた第1対向面610を備える。永久磁石61としては、例えば、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等を用いることができる。本実施形態では、永久磁石61はネオジム磁石である。ネオジム磁石は、小型の磁石でありながら必要な磁力を確保できるため、アクチュエーター6の小型化、軽量化を図ることができる。コイル62は、第1対向面610と対向する第2対向面620を備える。第1対向面610と第2対向面620は、平行である。なお、ここでいう「平行」とは、完全に平行でなくても良く、多少平行からずれていてもアクチュエーター6の機能を発揮できる程度のずれであれば良い。また、永久磁石61とコイル62は、第1対向面610および第2対向面620がガラス板30の表面に対して交差する向きで配置される。
【0034】
図8は、アクチュエーター6の平面図(図5の領域Cの拡大図)である。図8に示すように、アクチュエーター6は、コイル保持板64の第1突出部642および第2突出部643が永久磁石61およびコイル62の両側に配置されており、永久磁石61およびコイル62は、第1突出部642および第2突出部643によって挟まれる領域に配置される。また、永久磁石61に対してコイル62とは反対側に磁石保持板63が配置され、コイル62に対して永久磁石61とは反対側にベース部641が配置される。磁石保持板63およびコイル保持板64は、鉄などの金属からなり、バックヨークとして機能する。従って、永久磁石61およびコイル62の周りには、磁石保持板63の両端から第1突出部642および第2突出部643へ向かい、ベース部641へ向かう閉じた磁路H1、H2が形成される。従って、永久磁石61から出る磁束を外部に漏れにくくすることができる。よって、漏れ磁束を少なくすることができ、磁気効率を上げることができる。
【0035】
本実施形態では、コイル62は長円形状の空芯コイルである。図7に示すように、コイル62は、揺動軸Jと略平行に延びる2本の有効辺621、622を備える。有効辺621、622の間にはコイル62の中心孔623が設けられる。ベース部641には、プレス加工により、駆動用磁石取付部38の側へ突出する凸部644が形成されている。コイル62は、中心孔623に凸部644を配置することにより、ベース部641に対して位置決めされる。
【0036】
永久磁石61は、コイル62と対向する第1対向面610に磁極が形成されており、第1対向面610には、S極とN極がZ方向に並んでいる。ガラス板30の法線方向がZ軸方向と平行になる(すなわち、ガラス板30への映像光LLの入射角度が0°になる)基準位置に可動部3が位置するとき、アクチュエーター6は、永久磁石61のS極とN極の一方が有効辺621と対向し、他方が有効辺622と対向する。
【0037】
コイル62に通電すると、有効辺621、622には逆向きの電流が流れるため、永久磁石61は、第2対向面620に沿う方向へ移動する。本実施形態では、永久磁石61のS極とN極がZ方向に配列され、有効辺621、622はZ方向に並んでいる。従って、アクチュエーター6は、永久磁石61をZ軸方向へ移動させることができる。これにより、永久磁石61が固定された保持枠31の角部をZ軸方向に移動させることができ、揺動軸Jを中心として可動部3を揺動させることができる。
【0038】
<磁気センサー>
図4図5に示すように、磁気センサー7は、アクチュエーター6と第2軸部5bとの間に配置される。図7に示すように、磁気センサー7は、センサー基板71と、ホールセンサー72と、磁石73を備える。ホールセンサー72は、センサー基板71に搭載され、センサー基板71を介して支持部4に固定される。一方、磁石73は保持枠31に固定される。ホールセンサー72と磁石73は、可動部3が揺動する際、磁石73とホールセンサー72との距離が変化する位置に配置される。保持枠31は、第1枠部32における側板部312の-Z方向の端部から-Y方向へ屈曲して延びるセンサー磁石取付部39を備える。センサー基板71に固定されるホールセンサー72と、センサー磁石取付部39に固定される磁石73は、Z軸方向に対向する。
【0039】
ホールセンサー72は、磁石73が発生させる磁界の強度に応じた電圧を出力する。従って、磁気センサー7は、非接触で磁石73とホールセンサー72との距離を計測可能である。光路シフトデバイス2では、可動部3が揺動する際、磁石73とホールセンサー72との距離が変化するように磁気センサー7が配置される。従って、ホールセンサー72の出力に基づき、磁石73が搭載された保持枠31のZ軸方向の変位を非接触で計測可能である。
【0040】
サーミスター8は、磁気センサー7の温度を検出する温度検出部である。サーミスター8は、ホールセンサー72の隣に配置され、ホールセンサー72と同様にセンサー基板71に搭載される。従って、サーミスター8は、センサー基板71を介して支持部4に固定される。ホールセンサー72およびサーミスター8の出力は、駆動信号処理回路121へ入力される。
【0041】
<アクチュエーターの駆動制御>
光路シフトデバイス2は、駆動信号処理回路121からアクチュエーター6へ供給される駆動信号DSにより、可動部3を所定の周波数で揺動(振動)させる光路シフト動作を行う。アクチュエーター6では、駆動信号DSに基づいてコイル62に電流が流れる。その結果、可動部3は、駆動信号DSに応じた振幅および周波数で揺動(振動)する。これにより、プロジェクター1では、映像光LLの光路が一定の振幅で変化し、画像表示位置P1、P2に交互に画像が表示される。
【0042】
駆動信号処理回路121は、光路シフト動作を行う際、磁気センサー7の出力から求められる可動部3(保持枠31)の振幅値に基づいてアクチュエーター6へ入力される駆動信号DSを制御することにより、可動部3を一定の振幅で振動させるフィードバック制御を行う。これにより、映像光LLの光路を一定の振幅で変化させて、画像表示位置P1、P2に交互に画像を表示する。また、フィードバック制御においては、サーミスター8の出力に基づいて磁気センサー7の出力から求めた振幅値を補正する。
【0043】
<本形態の主な作用効果>
以上のように、本実施形態の光路シフトデバイス2は、矩形の板形状を有し、入射光が入射するガラス板30と、ガラス板30を保持する保持枠31と、保持枠31を揺動可能な状態で支持する支持部4と、保持枠31を揺動させるアクチュエーター6と、を備える。ガラス板30は、互いに対向する第1角部30Aおよび第2角部30Bと、第1角部30Aと第2角部30Bとを結ぶ対角線に交差する方向において互いに対向する第3角部30Cおよび第4角部30Dと、を有する。保持枠31は、第1角部30Aに対向する位置に配置される第1軸部5aと、第2角部30Bに対向する位置に配置される第2軸部5bとを有する。保持枠31は、第1軸部5aおよび第2軸部5bによって支持部4に接続され、アクチュエーター6は、第3角部30Cに対向する位置に配置される。
【0044】
このように、保持枠31を揺動させるアクチュエーター6を第3角部30Cに配置することにより、揺動軸Jから遠い位置で可動部3に駆動力を加えることができる。従って、駆動力が小さいアクチュエーター6であっても、可動部3を大きなトルクで回転させることができる。よって、アクチュエーター6の小型化および軽量化を図ることができ、光路シフトデバイス2の小型化および軽量化を図ることができる。
【0045】
本実施形態では、保持枠31の揺動軸Jは、ガラス板30の第1角部30Aと第2角部30Bとを結ぶ対角線に沿う方向に延びている。このように、揺動軸Jが対角線の方向に延びていれば、第3角部30Cに配置されるアクチュエーター6と揺動軸Jとの距離を最大化できるので、可動部3に加わるトルクを大きくすることができる。従って、駆動力が小さいアクチュエーター6であっても、可動部3を大きなトルクで回転させることができる。よって、アクチュエーター6の小型化および軽量化を図ることができ、光路シフトデバイス2の小型化および軽量化を図ることができる。
【0046】
本実施形態では、アクチュエーター6は、互いに対向する永久磁石61とコイル62とを有し、永久磁石61は、保持枠31に保持され、コイル62は、支持部4に保持される。このように、永久磁石61とコイル62とを対向させてコイル62への通電によって永久磁石61を移動させるアクチュエーターを用いることにより、アクチュエーター6を小型で簡素な構成にすることができる。また、可動側でなく固定側にコイル62を配置するので、可動側に配線を引き回す必要がなく、コイル62への配線の接続が容易である。
【0047】
本実施形態では、永久磁石61の第1対向面610とコイル62の第2対向面620とが対向し、第1対向面610および第2対向面620は、ガラス板30の表面に対して交差する向きで配置される。このようにすると、保持枠31が揺動する際に第1対向面610と第2対向面620とのギャップが変化しないか、あるいは、ギャップの変化が小さいので、永久磁石61とコイル62との干渉を避けるために第1対向面610と第2対向面620とのギャップを広くする必要がない。従って、第1対向面610と第2対向面620とのギャップを小さくすることができるので、必要な駆動力を得るための永久磁石61のサイズを小さくすることができ、部品コストを下げることができる。例えば、永久磁石61としてネオジム磁石などの高価な磁石を用いる場合には、磁石の小型化を図ることにより、部品コストを下げることができる。また、部品サイズを小さくすることにより、アクチュエーター6の小型化および軽量化を図ることができる。
【0048】
本実施形態では、第1対向面610と第2対向面620が平行である。また、アクチュエーター6は、永久磁石61とコイル62を第1対向面610および第2対向面620に沿う方向に相対移動させることにより、保持枠31を揺動させる。このように、アクチュエーター6の駆動方向(永久磁石61の振動方向)が、第2対向面620に沿う方向であれば、保持枠31が揺動する際、第1対向面610と第2対向面620とのギャップが変化しない。従って、永久磁石61がコイル62に近づいた際にコイル62が永久磁石61に吸着されて可動部3が動かなくなってしまう事態を回避できる。
【0049】
本実施形態では、第1対向面610および第2対向面620は、保持枠31の揺動軸Jと平行であり、X軸方向およびY軸方向に対して45°傾いている。このような向きでアクチュエーター6を配置すると、第3角部30Cに対向する位置にアクチュエーター6の配置スペースを設けた場合に、Z軸方向から見た場合の支持部4の平面形状の大型化を抑制できる。また、このような配置を採用すると、アクチュエーター6の駆動力が、保持枠31に対してねじれ方向の力として作用することがない。従って、保持枠31を介して、ガラス板30にねじれ方向の力が加わることを抑制でき、ガラス板30や保持枠31の変形を抑制できる。
【0050】
本実施形態では、第1対向面610および第2対向面620は、ガラス板30の表面と直交する面であり、且つ、ガラス板30の表面の法線方向であるZ軸方向と直交する方向に対向する。また、アクチュエーター6は、永久磁石61とコイル62をガラス板30の表面の法線方向であるZ軸方向へ相対移動させる。このような配置では、アクチュエーター6の駆動力は、揺動軸Jを中心とする回転方向の力として可動部3に作用する。従って、可動部3に加わるトルクを大きくすることができる。
【0051】
本実施形態では、アクチュエーター6はコイル62を保持するコイル保持板64を有し、コイル保持板64を介してコイル62が支持部4に固定される。このようにすると、コイル保持板64がバックヨークとして機能する。従って、磁気効率を向上させることができるので、永久磁石61を小さくすることができる。よって、アクチュエーター6の小型化および軽量化を図ることができる。また、部品コストを下げることができる。また、コイル62だけでなく、永久磁石61の側にもバックヨークとして機能する磁石保持板63が配置されるので、磁気効率を更に向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、コイル保持板64は、コイル62が固定されるベース部641と、ベース部641から突出する第1突出部642および第2突出部643と、を有し、第1突出部642と第2突出部643とに挟まれる領域に永久磁石61が配置される。このようにすると、コイル保持板64に囲まれるように永久磁石61を配置できるので、閉じた磁路H1、H2を形成でき、外部に磁束が漏れにくい。よって、有効磁束を増大させることができ、磁気効率を上げることができる。従って、永久磁石61を小さくすることができるので、アクチュエーター6の小型化および軽量化を図ることができる。
【0053】
本実施形態では、ベース部641は、コイル62が配置される側へ突出する凸部644を備え、コイル62は、凸部644が配置される中心孔623が設けられた空芯コイルである。このように、コイル62の中心孔623にコイル保持板64の凸部644を配置することにより、コイル62に磁束を集めることができる。従って、磁気効率を上げることができるので、永久磁石61を小さくすることができる。よって、アクチュエーター6の小型化および軽量化を図ることができる。
【0054】
本実施形態では、ガラス板30は、入射光を透過する透光性基板であり、光路シフトデバイス2は、保持枠31が揺動することによって、ガラス板30への入射光の入射角度を変化させて入射光の光路をずらすことができる。プロジェクター1などの画像表示装置の映像光LLの光路に光路シフトデバイス2を配置し、アクチュエーター6を駆動することにより、映像光LL(入射光)の光路を一定の振幅でシフトさせて、画素の位置を一定の振幅でずらすことができる。これにより、見かけ上の画素を増加させて、スクリーン101に投影される画像を高解像度化することができる。
【0055】
<変形例>
上記実施形態では、可動部3に永久磁石61が保持され、支持部4にコイル62が保持されているが、可動部3にコイル62が保持され、支持部4に永久磁石61が保持される構成を採用することもできる。
【0056】
上記実施形態は、アクチュエーター6として、永久磁石61とコイル62を対向させてローレンツ力により駆動力を発生させる振動アクチュエーターを用いるものであったが、他の原理で動作するアクチュエーターを用いることもできる。例えば、ピエゾアクチュエーターを採用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…プロジェクター、2…光路シフトデバイス、3…可動部、4…支持部、5a…第1軸部、5b…第2軸部、6…アクチュエーター、7…磁気センサー、8…サーミスター、30…ガラス板、30A…第1角部、30B…第2角部、30C…第3角部、30D…第4角部、31…保持枠、32…第1枠部、33…第2枠部、34…第3枠部、35…第4枠部、36…開口部、37…腕部、38…駆動用磁石取付部、39…センサー磁石取付部、40…開口部、41…第1凹部、42…第2凹部、43…第3凹部、61…永久磁石、62…コイル、63…磁石保持板、64…コイル保持板、71…センサー基板、72…ホールセンサー、73…磁石、101…スクリーン、102…光源、104a、104b、104c…ミラー、106a、106b…ダイクロイックミラー、108R、108G、108B…液晶表示素子、110…ダイクロイックプリズム、112…投射光学系、120…制御回路、121…駆動信号処理回路、122…画像信号処理回路、311…前板部、312…側板部、313…爪部、431…第1縁部、432…第2縁部、433…第3縁部、610…第1対向面、620…第2対向面、621、622…有効辺、623…中心孔、641…ベース部、642…第1突出部、643…第2突出部、644…凸部、DS…駆動信号、F…画素の対角方向、H1、H2…磁路、J…揺動軸、LL…映像光、P1、P2…画像表示位置、Px…画素、Rv、Gv、Bv…データ信号、SA…同期信号、Vid…画像信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8