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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/60 20060101AFI20221220BHJP
   B65D 43/22 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B65D75/60
B65D43/22 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018219233
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020083367
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 満
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-222286(JP,A)
【文献】特開2010-168073(JP,A)
【文献】特開2013-100121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/60
B65D 43/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート材から成形されるパッケージであって、
第1側部および第2側部と、
前記第1側部および前記第2側部を折り曲げ可能に接続するヒンジ部とを備え、
前記第1側部および前記第2側部は、前記ヒンジ部を中心に回動することによって、物品を収容するための空間を形成する閉状態と、前記空間を開放する開状態との間で変形し、
前記第1側部は、
凸形状および凹形状のいずれか一方を有する第1嵌合部と、
前記第1嵌合部を周回する線上の一部の区間に設けられる剛性部と、
前記第1嵌合部を周回する線上の残りの区間に設けられ、前記剛性部よりも小さい剛性を有する第1脆弱部とを有し、
前記第2側部は、
凸形状および凹形状のいずれか他方を有し、前記閉状態において前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、
前記第2嵌合部を周回する線上に設けられ、前記剛性部よりも小さい剛性を有する第2脆弱部とを有する、パッケージ。
【請求項2】
前記第1側部は、前記ヒンジ部における前記第1側部および前記第2側部の回動中心からその半径方向に離れた位置において、前記シート材の縁をなす縁部をさらに有し、
前記第1嵌合部は、前記縁部と隣り合う位置に設けられ、
前記縁部から前記第1脆弱部までの長さは、前記縁部から前記剛性部までの長さよりも大きい、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記第1脆弱部は、前記第1側部が、前記第1嵌合部を周回する線上に沿って連続的に切断されてなる、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記第2脆弱部は、前記第2側部が、前記第2嵌合部を周回する線上に沿って断続的に切断されたミシン目からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記ミシン目は、前記第2側部が切断されている切断部と、前記第2側部が切断されていない非切断部とを含み、
前記閉状態において、前記非切断部は、前記第1側部の表面上の前記第1嵌合部から前記第1脆弱部までの範囲と重なって配置される、請求項4に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記第1側部には、前記物品の形状に対応した窪み形状を有する窪み部が設けられ、
前記第1嵌合部は、前記閉状態における前記第2側部から見て凸形状をなし、
前記第2嵌合部は、前記閉状態における前記第1側部から見て凹形状をなす、請求項1から5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記第1側部は、前記第1嵌合部から離れた位置に設けられる第3嵌合部をさらに有し、
前記第2側部は、前記第2嵌合部から離れた位置に設けられ、前記閉状態において前記第3嵌合部と嵌合する第4嵌合部をさらに有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2006-256651号公報(特許文献1)には、商品を収容可能な第1包装体および第2包装体と、第1包装体および第2包装体のいずれか一方に設けられた雄部と、第1包装体および第2包装体のいずれか他方に設けられ、封止時に雄部と結合する雌部とを有する包装容器が開示されている。第1包装体または第2包装体には、開封時に、雄部と雌部との結合を保持した状態で雄部または雌部を包装体から分離するための脆弱部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-256651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示される包装容器においては、包装容器が不正開封された事実を容易に確認することを目的に、包装容器の開封時に、脆弱部が雄部および雌部の結合を保持した状態で破断する構成がとられている。しかしながら、このような構成では、包装容器を開封する際に、脆弱部を破断させる時に生じる力によって、包装容器が大きく変形する可能性がある。この場合、包装容器に収容された商品に過大な力が加わったり、商品が包装容器から落下するなどして、商品を適切に保護することができない。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、収容する物品を適切に保護しつつ、開封の事実を事後的に確認することが可能なパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったパッケージは、可撓性を有するシート材から成形されるパッケージである。パッケージは、第1側部および第2側部と、第1側部および第2側部を折り曲げ可能に接続するヒンジ部とを備える。第1側部および第2側部は、ヒンジ部を中心に回動することによって、物品を収容するための空間を形成する閉状態と、空間を開放する開状態との間で変形する。第1側部は、凸形状および凹形状のいずれか一方を有する第1嵌合部と、第1嵌合部を周回する線上の一部の区間に設けられる剛性部と、第1嵌合部を周回する線上の残りの区間に設けられ、剛性部よりも小さい剛性を有する第1脆弱部とを有する。第2側部は、凸形状および凹形状のいずれか他方を有し、閉状態において第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、第2嵌合部を周回する線上に設けられ、剛性部よりも小さい剛性を有する第2脆弱部とを有する。
【0007】
このように構成されたパッケージによれば、パッケージの開封時、互いに嵌合された第1嵌合部および第2嵌合部に外力を加えることによって、第2脆弱部を破断させ、第2嵌合部を第2側部から分離させる。この際、第1嵌合部が剛性部において第1側部と繋がったまま、第1脆弱部において第1側部から分離するように、第1側部が変形するため、第2脆弱部の破断に伴ってパッケージが大きく変形することを防止できる。結果、収容する物品を適切に保護しつつ、開封の事実を事後的に確認することが可能なパッケージを実現することができる。
【0008】
また好ましくは、第1側部は、ヒンジ部における第1側部および第2側部の回動中心からその半径方向に離れた位置において、シート材の縁をなす縁部をさらに有する。第1嵌合部は、縁部と隣り合う位置に設けられる。縁部から第1脆弱部までの長さは、縁部から剛性部までの長さよりも大きい。
【0009】
このように構成されたパッケージによれば、パッケージの開封時に、第1嵌合部および第2嵌合部を縁部の外側から指で押す使用態様を想定した場合に、第1嵌合部を第1側部から分離させる第1脆弱部が縁部からより離れた位置にあるため、第1嵌合部および第2嵌合部を指で押し易くなる。
【0010】
また好ましくは、第1脆弱部は、第1側部が、第1嵌合部を周回する線上に沿って連続的に切断されてなる。
【0011】
このように構成されたパッケージによれば、パッケージの開封時、より小さい力で、第1嵌合部が第1脆弱部において第1側部から分離するように第1側部を変形させることができる。
【0012】
また好ましくは、第2脆弱部は、第2側部が、第2嵌合部を周回する線上に沿って断続的に切断されたミシン目からなる。
【0013】
このように構成されたパッケージによれば、パッケージの未使用時において、第2嵌合部が第2側部と一体とされた形態を実現しつつ、パッケージの開封時には、第1嵌合部および第2嵌合部に外力が加えられることによって、第2脆弱部を破断させることができる。
【0014】
また好ましくは、ミシン目は、第2側部が切断されている切断部と、第2側部が切断されていない非切断部とを含む。閉状態において、非切断部は、第1側部の表面上の第1嵌合部から第1脆弱部までの範囲と重なって配置される。
【0015】
このように構成されたパッケージによれば、パッケージの開封時に、第1嵌合部が第1脆弱部において第1側部から分離するように、第1側部が変形する。このため、ミシン目の非切断部が、第1嵌合部の表面上の第1嵌合部から第1脆弱部までの範囲と重なって配置されることによって、非切断部を容易に破断させることができる。
【0016】
また好ましくは、第1側部には、物品の形状に対応した窪み形状を有する窪み部が設けられる。第1嵌合部は、閉状態における第2側部から見て凸形状をなす。第2嵌合部は、閉状態における第1側部から見て凹形状をなす。
【0017】
このように構成されたパッケージによれば、パッケージの開封が、窪み部に物品が配置された第1側部に対して第2側部が上方から重ね合わされた姿勢で行われる。この場合に、第1嵌合部および第2嵌合部が上方に向けて突出するように設けられるため、パッケージの開封時に、第1嵌合部および第2嵌合部に外力を加える作業を行ない易い。
【0018】
また好ましくは、第1側部は、第1嵌合部から離れた位置に設けられる第3嵌合部をさらに有する。第2側部は、第2嵌合部から離れた位置に設けられ、閉状態において第3嵌合部と嵌合する第4嵌合部をさらに有する。
【0019】
このように構成されたパッケージによれば、第1嵌合部および第2嵌合部による嵌合構造とは別に、第3嵌合部および第4嵌合部による嵌合構造を設けることによって、第1側部および第2側部をより確実に閉状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上に説明したように、この発明に従えば、収容する物品を適切に保護しつつ、開封の事実を事後的に確認することが可能なパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態におけるパッケージ(未使用時)を示す斜視図である。
図2図1中の矢印IIに示す方向に見たパッケージ(未使用時)を示す斜視図である。
図3】この発明の実施の形態におけるパッケージ(閉封時)を示す斜視図である。
図4図1中の2点鎖線IVで囲まれた範囲の第1側部を示す平面図である。
図5図4中のV-V線上の矢視方向に見た第1側部を示す断面図である。
図6図1中の2点鎖線VIで囲まれた範囲の第2側部を示す平面図である。
図7図6中のVII-VII線上の矢視方向に見た第2側部を示す断面図である。
図8図3中の2点鎖線VIIIで囲まれた範囲の第1側部および第2側部を示す平面図である。
図9図8中のIX-IX線上の矢視方向に見た第1側部および第2側部を示す断面図である。
図10】パッケージの開封時における第1側部および第2側部を示す断面図である。
図11】この発明の実施の形態におけるパッケージ(閉封後)を示す斜視図である。
図12図11中の2点鎖線XIIで囲まれた範囲の第1側部および第2嵌合部を示す平面図である。
図13図12中のXIII-XIII線上の矢視方向に見た第1側部および第2嵌合部を示す断面図である。
図14図3中のXIV-XIV線上の矢視方向に見た第1側部および第2側部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態におけるパッケージ(未使用時)を示す斜視図である。図2は、図1中の矢印IIに示す方向に見たパッケージ(未使用時)を示す斜視図である。図3は、この発明の実施の形態におけるパッケージ(閉封時)を示す斜視図である。
【0024】
図1から図3を参照して、本実施の形態におけるパッケージ10は、薬剤が装填された医療品を収容するための容器である。より特定的には、パッケージ10は、ダブルチャンバータイプのプレフィルドシリンジを収容するための容器である。
【0025】
パッケージ10は、可撓性を有するシート材により成形されている。パッケージ10は、樹脂製のシート材により成形されている。
【0026】
パッケージ10は、第1側部21と、第2側部51と、ヒンジ部15とを有する。ヒンジ部15は、第1側部21および第2側部51を折り曲げ可能に接続している。第1側部21および第2側部51は、ヒンジ部15を中心に回動することによって、シリンジを収容するための空間を形成する閉状態(図3に示される状態)と、その空間を開放する開状態(図1および図2に示される状態)との間で変形する。
【0027】
第1側部21は、矩形形状の平面視を有する。第1側部21は、矢印210に示す方向を短手方向とし、矢印220に示す方向を長手方向とする矩形形状の平面視を有する。第1側部21は、第1面21aと、第2面21bとを有する。第1面21aは、閉状態において、外側の空間を向いて配置されている。第2面21bは、第1面21aの裏側に配置されている。
【0028】
第2側部51は、矩形形状の平面視を有する。第2側部51は、矢印210に示す方向を短手方向とし、矢印220に示す方向を長手方向とする矩形形状の平面視を有する。第2側部51は、第3面51aと、第4面51bとを有する。第3面51aは、閉状態において、外側の空間を向いて配置されている。第4面51bは、第3面51aの裏側に配置されている。第2面21bおよび第4面51bは、閉状態において、互いに向かい合っている。
【0029】
なお、第1側部21および第2側部51は、上記の矩形形状に限られず、任意の形状を取り得る。但し、本明細書においては、説明の便宜上、矢印210に示す方向(第1側部21および第2側部51の回動中心軸の半径方向)を、「第1側部21および第2側部51の短手方向」といい、矢印220に示す方向(第1側部21および第2側部51の回動中心軸の軸方向)を、「第1側部21および第2側部51の長手方向」という。
【0030】
ヒンジ部15は、第1側部21および第2側部51の長手方向に延びている。ヒンジ部15は、第1側部21および第2側部51のその平面視における長辺に沿って設けられている。ヒンジ部15は、パッケージ10を成形するシート材を断続的に切断したミシン目からなる。
【0031】
第1側部21には、窪み部23が設けられている。窪み部23は、第2面21bの側において窪み形状をなしている。窪み部23は、シリンジ形状に対応した窪み形状を有する。窪み部23には、シリンジが配置される。第2側部51には、窪み部53が設けられている。窪み部53は、第4面51bの側において窪み形状をなしている。窪み部53は、窪み部23とともにシリンジを収容する空間を形成している。
【0032】
本実施の形態においては、シリンジが配置される第1側部21が、パッケージ10の底部(本体部)をなし、第1側部21に配置されたシリンジを覆う第2側部51が、パッケージ10の蓋部をなしている。
【0033】
一般的な使用態様として、図1に示されるように、第1側部21が、第2面21bが上方を向き、第1面21aが下方を向く姿勢とされ、第2側部51が、ヒンジ部15を中心に矢印110Aに示す方向に回動されることによって、第1側部21および第2側部が閉状態とされる。図3に示されるように、第1側部21を、第2面21bが上方を向き、第1面21aが下方を向く姿勢に維持しつつ、第2側部51が、ヒンジ部15を中心に矢印110Bに示す方向に回動されることによって、パッケージ10が開状態とされる。
【0034】
第1側部21は、縁部24と、フランジ部25と、把持部26と、壁部28とを有する。
【0035】
縁部24は、ヒンジ部15における第1側部21および第2側部51の回動中心からその半径方向に離れた位置において、第1側部21を成形するシート材の縁をなしている。縁部24は、第1側部21の長手方向に延びている。縁部24は、第1側部21のその平面視における長辺に沿って延びている。縁部24は、第1側部21の短手方向において、ヒンジ部15と対向している。
【0036】
フランジ部25は、縁部24に沿って帯状に延在している。フランジ部25は、第1側部21の短手方向において所定幅を有しながら、第1側部21の長手方向に延在している。フランジ部25は、第1側部21の短手方向において、縁部24および窪み部23の間に設けられている。
【0037】
把持部26は、フランジ部25の一部である。把持部26は、主に、パッケージ10の開封時にユーザが把持する部位である。把持部26には、突条部27が設けられている。突条部27は、第2面21bの側に突出する凸形状をなし、第1側部21の長手方向に延びている。
【0038】
壁部28は、第2面21bから立ち上がる壁形状を有する。壁部28は、窪み部23を取り囲む周回経路の一部の区間に設けられている。窪み部23を取り囲む周回経路は、矩形形状を有する。壁部28は、少なくとも、その矩形形状の周回経路の四隅を含む位置に設けられている。壁部28は、閉状態において、第2側部51の窪み部53の内側に挿入されている。
【0039】
第2側部51は、縁部54と、フランジ部55とを有する。縁部54は、ヒンジ部15における第1側部21および第2側部51の回動中心からその半径方向に離れた位置において、第2側部51を成形するシート材の縁をなしている。縁部54は、第2側部51の長手方向に延びている。縁部54は、第2側部51のその平面視における長辺に沿って延びている。縁部54は、第2側部51の短手方向において、ヒンジ部15と対向している。
【0040】
フランジ部55は、縁部54に沿って帯状に延在している。フランジ部55は、後述する切り欠き部56が設けられる位置を除いて、第2側部51の短手方向において所定幅を有しながら、第2側部51の長手方向に延在している。フランジ部55は、第2側部51の短手方向において、縁部54および窪み部53の間に設けられている。フランジ部55は、閉状態において、第1側部21のフランジ部25と重ね合わされている。
【0041】
フランジ部55には、切り欠き部56が設けられている。切り欠き部56は、縁部54の側で開放された切り欠き形状を有する。切り欠き部56は、閉状態において、第1側部21の把持部26をフランジ部55から露出させるように設けられている。
【0042】
図4は、図1中の2点鎖線IVで囲まれた範囲の第1側部を示す平面図である。図5は、図4中のV-V線上の矢視方向に見た第1側部を示す断面図である。
【0043】
図1から図5を参照して、第1側部21は、第1嵌合部31をさらに有する。第1嵌合部31は、閉状態における第2側部51から見た場合に凸形状を有する。
【0044】
第1嵌合部31は、閉状態における第2側部51から見れば、第2面21bから突出する凸形状をなしており、その反対側から見れば、第1面21aから凹む凹形状をなしている。第1嵌合部31は、フランジ部25に設けられている。第1嵌合部31は、縁部24と隣り合う位置に設けられている。第1嵌合部31は、第1側部21の短手方向において、縁部24および窪み部23の間に設けられている。第1嵌合部31は、第1側部21のその長手方向における中央部に設けられている。
【0045】
第1嵌合部31は、第1側部21の長手方向に延びる2本の直線と、その直線の一方端同士を繋ぐ半円周と、その直線の他方端同士を繋ぐ半円周とからなり、中心軸101を中心とするトラック形状の平面視を有する。
【0046】
第1側部21は、剛性部46と、第1脆弱部41とをさらに有する。剛性部46および第1脆弱部41は、第1嵌合部31を周回する線上に設けられている。剛性部46は、第1嵌合部31を周回する線上の一部の区間に設けられている。第1脆弱部41は、第1嵌合部31を周回する線上の残りの区間に設けられている。第1脆弱部41は、剛性部46よりも小さい剛性を有する。
【0047】
第1脆弱部41は、第1側部21が第1嵌合部31を周回する線上に沿って連続的に切断された切断部42からなる。切断部42は、一方端42Pと、他方端42Qとの間で延びている。一方端42Pおよび他方端42Qは、第1側部21の短手方向において、中心軸101および縁部24の間に位置している。
【0048】
切断部42は、内側部43と、一対の外側部44(44p,44q)とを有する。内側部43は、第1側部21の短手方向における縁部24から内側部43までの長さが、第1側部21の短手方向における縁部24から中心軸101までの長さ以上となる位置に設けられている。内側部43は、トラック形状の平面視を有する第1嵌合部31から一定の距離だけ離れながら、第1嵌合部31の周縁に沿って延びている。
【0049】
一対の外側部44は、第1側部21の短手方向における縁部24から外側部44までの長さが、第1側部21の短手方向における縁部24から中心軸101までの長さよりも小さくなる位置に設けられている。外側部44pは、内側部43の一方の端部から切断部42の一方端42Pに向けて、第1側部21の短手方向に延びている。外側部44qは、内側部43の他方の端部から切断部42の他方端42Qに向けて、第1側部21の短手方向に延びている。
【0050】
剛性部46は、切断部42の一方端42Pと、切断部42の他方端42Qとを結ぶ仮想直線に沿って延びている。第1側部21は、切断部42の一方端42Pと、切断部42の他方端42Qとを結ぶ仮想直線上において切断されておらず、剛性部46は、その第1側部21の非切断部により構成されている。
【0051】
このような構成において、切断部42からなる第1脆弱部41の剛性は、ゼロであり、剛性部46の剛性よりも小さい。
【0052】
図6は、図1中の2点鎖線VIで囲まれた範囲の第2側部を示す平面図である。図7は、図6中のVII-VII線上の矢視方向に見た第2側部を示す断面図である。
【0053】
図1から図3図6および図7を参照して、第2側部51は、第2嵌合部61をさらに有する。第2嵌合部61は、閉状態における第1側部21から見た場合に凹形状を有する。
【0054】
第2嵌合部61は、閉状態における第1側部21から見れば、第4面51bから凹む凹形状をなしており、その反対側から見れば、第3面51aから突出する凸形状をなしている。第2嵌合部61は、フランジ部55に設けられている。第2嵌合部61は、縁部54と隣り合う位置に設けられている。第2嵌合部61は、第2側部51の短手方向において、縁部54および窪み部53の間に設けられている。第2嵌合部61は、第2側部51のその長手方向における中央部に設けられている。
【0055】
第2嵌合部61は、第2側部51の長手方向に延びる2本の直線と、その直線の一方端同士を繋ぐ半円周と、その直線の他方端同士を繋ぐ半円周とからなり、中心軸102を中心とするトラック形状の平面視を有する。
【0056】
第2側部51は、第2脆弱部71をさらに有する。第2脆弱部71は、第2嵌合部61を周回する線上に沿って設けられている。第2脆弱部71は、トラック形状の平面視を有する第2嵌合部61から一定の距離だけ離れながら、第2嵌合部61の周縁に沿って延びている。
【0057】
第2脆弱部71は、第2側部51が第2嵌合部61を周回する線上に沿って断続的に切断されたミシン目72からなる。
【0058】
ミシン目72は、切断部73と、非切断部76,77,78とを有する。切断部73は、ミシン目72において第2側部51が切断されている部位である。非切断部76,77,78は、ミシン目72において第2側部51が切断されていない部位である。切断部73と、非切断部76,77,78とが、第2嵌合部61を周回する線上に交互に並ぶことにより、ミシン目72が構成されている。
【0059】
切断部73の全長は、非切断部76,77,78の全長よりも長い。非切断部76および非切断部78は、第2側部51の長手方向において、第2嵌合部61を挟んでその両側に位置している。非切断部77は、第2側部51の短手方向において、第2嵌合部61および窪み部53の間に位置している。非切断部77は、第2側部51の長手方向において、非切断部76および非切断部78の間の中央部に位置している。
【0060】
このような構成において、ミシン目72からなる第2脆弱部71の剛性は、剛性部46の剛性よりも小さい。ミシン目72からなる第2脆弱部71の剛性は、切断部42からなる第1脆弱部41の剛性よりも大きい。
【0061】
図8は、図3中の2点鎖線VIIIで囲まれた範囲の第1側部および第2側部を示す平面図である。図9は、図8中のIX-IX線上の矢視方向に見た第1側部および第2側部を示す断面図である。
【0062】
図3図8および図9を参照して、閉状態において、第1嵌合部31および第2嵌合部61は、互いに嵌合されている。
【0063】
より具体的には、第2面21bから突出する凸形状を有する第1嵌合部31が、第4面51bから凹む凹形状を有する第2嵌合部61の内側に嵌め合わされている。第1嵌合部31および第2嵌合部61が互いに嵌合されることによって、パッケージ10が閉封されている。第1嵌合部31および第2嵌合部61の嵌合構造により、接着剤を用いることなく、パッケージ10の閉封状態を得ることができる。第1嵌合部31および第2嵌合部61が互いに嵌合された状態において、第1嵌合部31の中心軸101と、第2嵌合部61の中心軸102とは、同軸上に配置されている。
【0064】
図8に示されるように、閉状態において、ミシン目72の非切断部76,77,78は、第1側部21の表面上の第1嵌合部31から第1脆弱部41(切断部42)までの範囲と重なって配置されている。ミシン目72の非切断部76,77,78は、第1脆弱部41(切断部42)の線上、または、中心軸101,102から見て第1脆弱部41(切断部42)よりも内側に配置されている。
【0065】
図10は、パッケージの開封時における第1側部および第2側部を示す断面図である。図10中には、図9中に示す範囲の第1側部21および第2側部51の断面が示されている。
【0066】
図3図9および図10を参照して、パッケージ10の開封時、互いに嵌合された第1嵌合部31および第2嵌合部61に外力を加える。
【0067】
より具体的には、第2側部51の側から、第2嵌合部61と、第2嵌合部61の内側に配置された第1嵌合部31とに対して、第2側部51から第1側部21に向かう方向の力(図3および図9中の矢印230に示す方向の力)を加える。これにより、第2側部51の第2脆弱部71を破断させて、第2嵌合部61を第2側部51から分離させる。
【0068】
この際、図10に示されるように、第1嵌合部31が剛性部46において第1側部21と繋がったまま、第1脆弱部41において第1側部21から離れるように、第1側部21が変形する。図10中の矢印240に示されるように、第1嵌合部31が剛性部46を中心にして回動動作するように、第1側部21が変形する。この第1側部21の変形とともに、第2脆弱部71におけるミシン目72の非切断部76,77,78には大きい剪断力が加わるため、第2脆弱部71を容易に破断させることができる。これにより、パッケージ10の開封時に、第2脆弱部71の破断に伴ってパッケージ10が大きく変形することを防止できる。結果、パッケージ10に収容されたシリンジを適切に保護することができる。
【0069】
特にパッケージに収容される物品が、薬剤(抗癌剤等)が装填された医療品である場合、収容物が安全に取り扱われることが求められる。本実施の形態では、パッケージ10が大きく変形することがないため、開封作業時に収容物であるシリンジが落下したり、シリンジから薬剤が漏れたりすることを防止できる。
【0070】
また、パッケージ10の開封は、一般的に、シリンジが配置される窪み部23が設けられた第1側部21に対して、蓋部である第2側部51が上方から重ね合わされた姿勢(図3に示される姿勢)で行われる。この場合に、第1嵌合部31は、閉状態における第2側部51から見て凸形状をなし、第2嵌合部61は、閉状態における第1側部21から見て凹形状をなすため、開封時におけるパッケージ10の上記姿勢において、第1嵌合部31および第2嵌合部61は、上方に向けて突出する形態をなしている。これにより、パッケージ10の開封時に、第1嵌合部31および第2嵌合部61に外力を加える作業を行ない易くなる。
【0071】
また、第1嵌合部31および第2嵌合部61に外力を加えるために、第1嵌合部31および第2嵌合部61を縁部24,54の外側から指(親指)で押す使用態様が想定される。本実施の形態では、第1側部21において、縁部24から第1脆弱部41(切断部42)までの長さが、縁部24から剛性部46までの長さよりも大きい。このような構成により、第1側部21から分離する第1脆弱部41(切断部42)が、縁部24から遠い第1側部21の内側領域に位置し、第1側部21と繋がったままの剛性部46が、縁部24から近い第1側部21の外側領域に位置するため、第1嵌合部31および第2嵌合部61を指(親指)で押し易くなる。
【0072】
また、図8に示される閉状態において、ミシン目72における非切断部76,77,78が、第1側部21の表面上の第1嵌合部31から第1脆弱部41(切断部42)までの範囲と重なって配置されている。この場合に、第1側部21は、第1嵌合部31が第1脆弱部41(切断部42)において第1側部21から分離するように変形するため、ミシン目72における非切断部76,77,78を容易に破断させることができる。
【0073】
また、第1脆弱部41は、第1側部21が第1嵌合部31を周回する線上に沿って連続的に切断された切断部42からなる。これにより、パッケージ10の開封時、より小さい力で、第1嵌合部31が第1脆弱部41において第1側部21から分離するように第1側部21を変形させることができる。
【0074】
また、第2脆弱部71は、第2側部51が、第2嵌合部61を周回する線上に沿って断続的に切断されたミシン目72からなる。これにより、パッケージ10の未使用時には、第2嵌合部61が第2側部51と一体とされた形態を実現しつつ、パッケージ10の開封時には、第1嵌合部31および第2嵌合部61に外力を加えることによって、第2脆弱部71を破断させることができる。
【0075】
なお、第1脆弱部41および第2脆弱部71は、上記の切断部またはミシン目の形態に限られず、たとえば、他の部分よりも小さい厚みを有する薄肉部から構成されてもよい。
【0076】
図11は、この発明の実施の形態におけるパッケージ(閉封後)を示す斜視図である。図12は、図11中の2点鎖線XIIで囲まれた範囲の第1側部および第2嵌合部を示す平面図である。図13は、図12中のXIII-XIII線上の矢視方向に見た第1側部および第2嵌合部を示す断面図である。
【0077】
図3および図11から図13を参照して、第1側部21の把持部26を把持しながら、第2側部51を第1側部21から引き起こす。これにより、第2側部51が、ヒンジ部15を中心に矢印110Bに示す方向に回動して、パッケージ10が開状態とされる。
【0078】
先に説明した第1嵌合部31および第2嵌合部61に外力を加える作業時に、第2脆弱部71が破断しているため、第2嵌合部61が、第1嵌合部31と嵌合した状態で第1側部21に残る。一方、第2側部51には、第2嵌合部61が切り離された後の開口部81が設けられている。これにより、パッケージ10が開封された事実を事後的に確認することが可能となるため、シリンジ内の薬剤の汚染や入れ替え等を把握することができる。
【0079】
なお、パッケージ10の開封時、第1嵌合部31および第2嵌合部61に外力を加える作業を経ずに、第2側部51を第1側部21から引き起こした場合にも、第1嵌合部31および第2嵌合部61の嵌合力が第2脆弱部71の剛性に勝って、第2嵌合部61が第2側部51から分離される。このため、開封方法にかかわらず、パッケージ10が開封された事実を事後的に確認することが可能である。
【0080】
図14は、図3中のXIV-XIV線上の矢視方向に見た第1側部および第2側部を示す断面図である。
【0081】
図1図3および図14を参照して、第1側部21は、第3嵌合部91をさらに有する。第3嵌合部91は、第1嵌合部31から離れた位置に設けられている。第3嵌合部91は、壁部28の四隅に設けられている。第3嵌合部91は、壁部28から突出する凸形状をなしている。
【0082】
第2側部51は、第4嵌合部92をさらに有する。第4嵌合部92は、第2嵌合部61から離れた位置に設けられている。第4嵌合部92は、第3嵌合部91が設けられた位置に対応する4箇所(図1中の2点鎖線A,B,C,Dで囲まれた位置)に設けられている。第4嵌合部92は、窪み部53の内壁に設けられている。第4嵌合部92は、窪み部53の内壁から凹む凹形状をなしている。
【0083】
第3嵌合部91および第4嵌合部92は、閉状態において互いに嵌合する。このような構成により、第1側部21および第2側部51をより確実に閉状態に保持することができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
この発明は、物品を収容するためのパッケージに適用される。
【符号の説明】
【0086】
10 パッケージ、15 ヒンジ部、21 第1側部、21a 第1面、21b 第2面、23,53 窪み部、24,54 縁部、25,55 フランジ部、26 把持部、27 突条部、28 壁部、31 第1嵌合部、41 第1脆弱部、42,73 切断部、42P 一方端、42Q 他方端、43 内側部、44,44p,44q 外側部、46 剛性部、51 第2側部、51a 第3面、51b 第4面、56 切り欠き部、61 第2嵌合部、71 第2脆弱部、72 ミシン目、76,77,78 非切断部、81 開口部、91 第3嵌合部、92 第4嵌合部、101,102 中心軸。
図1
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