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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221220BHJP
   B41J 11/14 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J11/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018221601
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020082551
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】合田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 了
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-015138(JP,A)
【文献】特開平11-115274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路面に載せて搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットにより搬送される前記シートにインクを吐出するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットにおけるインクの吐出口と前記シートとの距離が予め定められた距離となるように、前記シートの厚みに応じて前記搬送ユニットと前記ヘッドユニットとの距離を調整する調整機構と、を備え、
前記調整機構は、
前記搬送路面に垂直な方向の高さが互いに異なる複数の対向面が前記ヘッドユニットと対向するように形成され、前記搬送ユニットに設けられた調整部材と、
前記ヘッドユニットから前記搬送ユニット側へ突出するように形成された突起部と、
を備え、
前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面を前記突起部の先端部に突き当てることで、前記シートの厚みに応じて複数段階に前記搬送ユニットと前記ヘッドユニットとの距離を調整することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記調整部材は、前記搬送路面に平行な方向に移動可能であり、
前記調整機構は、
前記搬送路面に平行な方向に前記調整部材を移動させる第1駆動部と、
前記搬送路面に垂直な方向に前記搬送ユニットを移動させる第2駆動部と、を備え、
前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向するように、前記第1駆動部により前記調整部材を移動させた後、前記突起部に対向する対向面を前記突起部に突き当てるように、前記第2駆動部により前記搬送ユニットを移動させることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向しているか否かの判定結果を出力する判定部を備えることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第2駆動部は、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向していないことを示す判定結果を前記判定部が出力した場合に、前記調整部材を初期位置に戻した後、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向するように前記調整部材を移動させることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからシートにインクを吐出するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、搬送路に沿って搬送されるシートにノズルからインクを吐出することで画像を形成する(例えば、特許文献1)。シートを搬送する手段としては、例えば、駆動ローラーと従動ローラーに巻き掛けられた搬送ベルトを備え、シートを搬送ベルトに載せて搬送する搬送ユニットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-8093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、ノズルと搬送路との距離は、シートが普通紙である場合にノズルとシートとの距離が最適値となるように予め調整されている。そのため、シートの厚みが普通紙と異なる場合に、ノズルとシートとの距離が変化してしまう。ノズルとシートとの距離が最適値でなくなると、色ずれやインクの飛沫等による画質不良が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、シートの厚みの違いによるインクの吐出口とシートとの距離の変化に起因する画質不良を抑制することのできるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、シートを搬送路面に載せて搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットにより搬送される前記シートにインクを吐出するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットにおけるインクの吐出口と前記シートとの距離が予め定められた距離となるように、前記シートの厚みに応じて前記搬送ユニットと前記ヘッドユニットとの距離を調整する調整機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記調整機構は、前記シートの厚みに応じて複数段階に前記搬送ユニットと前記ヘッドユニットとの距離を調整するように構成されてもよい。
【0008】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記調整機構は、前記搬送路面に垂直な方向の高さが互いに異なる複数の対向面が前記ヘッドユニットと対向するように形成され、前記搬送ユニットに設けられた調整部材と、前記ヘッドユニットから前記搬送ユニット側へ突出するように形成された突起部と、を備え、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面を前記突起部に突き当てることで前記搬送ユニットと前記ヘッドユニットとの距離を調整するように構成されてもよい。
【0009】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記調整部材は、前記搬送路面に平行な方向に移動可能であり、前記調整機構は、前記搬送路面に平行な方向に前記調整部材を移動させる第1駆動部と、前記搬送路面に垂直な方向に前記搬送ユニットを移動させる第2駆動部と、を備え、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向するように、前記第1駆動部により前記調整部材を移動させた後、前記突起部に対向する対向面を前記突起部に突き当てるように、前記第2駆動部により前記搬送ユニットを移動させるように構成されてもよい。
【0010】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向しているか否かの判定結果を出力する判定部を備えてもよい。
【0011】
本発明に係るインクジェット記録装置において、前記第2駆動部は、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向していないことを示す判定結果を前記判定部が出力した場合に、前記調整部材を初期位置に戻した後、前記複数の対向面のうち前記シートの厚みに対応する対向面が前記突起部に対向するように前記調整部材を移動させるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シートの厚みの違いによるインクの吐出口とシートとの距離の変化に起因する画質不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットとヘッドユニットを模式的に示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るヘッドユニットの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットの前側の部分の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係るプリンターの電気的構成を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る調整機構の動作を示す流れ図である。
図8】本発明の一実施形態に係る初期状態を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットを下方に移動させた状態を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る調整部材をシートの厚みに対応する位置に移動させた状態を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る搬送ユニットを上方に移動させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置及びプログラムについて説明する。
【0015】
まず、図1乃至4を参照して、プリンター1(インクジェット記録装置の一例)の全体の構成について説明する。図1は、プリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。図2は、搬送ユニット7とヘッドユニット8を模式的に示す正面図である。図3は、搬送ユニット7の斜視図である。図4は、ヘッドユニット8の斜視図である。以下、図1における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0016】
プリンター1は、箱形の筐体2を備える。筐体2内の下部には、引き出し可能な複数の給紙カセット3が設けられており、各給紙カセット3には互いにサイズの異なるシートSが収容される。筐体2の左側面の上部に排出口25が設けられ、その下方に排出トレイ26が設けられている。筐体2の上部には、ヘッドユニット8が配置されており、ヘッドユニット8の下方に搬送ユニット7が配置されている。搬送路6は、給紙カセット3からヘッドユニット8と搬送ユニット7との間隙を経て排出口25に向かうように形成されている。筐体2の右側面の上部に手差し給紙口27が設けられ、その下方に手差しトレイ28が設けられている。
【0017】
図2及び3に示されるように、搬送ユニット7は、フレーム30、駆動ローラー31、テンションローラー32、従動ローラー33、搬送ベルト34及び吸気部35を備える。駆動ローラー31、テンションローラー32及び従動ローラー33は、前後方向を軸方向X(長手方向)として配置され、フレーム30に支持されている。駆動ローラー31は、モーター等の駆動源(図示省略)により駆動される。搬送ベルト34は、無端のベルトであり、駆動ローラー31、テンションローラー32及び従動ローラー33に巻き掛けられている。搬送ベルト34には多数の吸気孔(図示省略)が設けられ、搬送ベルト34を挟んでヘッドユニット8と対向する位置に吸気部35が設けられている。吸気部35は、搬送ベルト34の上方から吸気孔を通り搬送ベルト34の内側へと向かう気流を発生させ、搬送ベルト34の上面(以下、搬送路面34Sという。)に載せられたシートSを搬送ベルト34に吸着させる。搬送ユニット7は、搬送ベルト34を周回させ、シートSを予め定められた搬送方向Y(左方向)に搬送する。
【0018】
図2及び4に示されるように、ヘッドユニット8は、記録ヘッド41K、41C、41M、41Yを備える。記録ヘッド41K、41C、41M、41Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを吐出するラインヘッドである。以下、記録ヘッド41K、41C、41M、41Yを、記録ヘッド41と総称する。記録ヘッド41は、シートSの搬送方向Yと直交する方向に並ぶ複数のノズル(図示省略)を備える。インクが吐出される吐出口は、記録ヘッド41の下面(以下、ノズル面42という。)に形成されている。記録ヘッド41は、ノズル面42を露出させて筐体40に収容されている。記録ヘッド41は、インクを収容したインクコンテナ(図示省略)に接続されており、インクコンテナからインクの供給を受ける。
【0019】
次に、プリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1が外部コンピューター等から画像形成指示を受信すると、画像形成指示で指定されたサイズのシートSが、給紙カセット3又は手差しトレイ28から搬送路6に送り出され、搬送ベルト34に吸着されて搬送される。記録ヘッド41は、搬送されるシートSに画像形成指示に従ってインクを吐出することで画像を形成する。画像が形成されたシートSは、排出口25から排出トレイ26に排出される。
【0020】
次に、図1乃至6を参照して、調整機構100の構成について説明する。図5は、搬送ユニット7の前側の部分の斜視図である。図6は、プリンター1の電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
プリンター1は、ノズルの吐出口(ノズル面42)とシートSとの距離が予め定められた距離となるように、シートSの厚みに応じて搬送ユニット7とヘッドユニット8との距離を複数段階に調整する調整機構100を備える。調整機構100は、搬送路面34Sに垂直な方向の高さが互いに異なる第1対向面51乃至第4対向面54(複数の対向面の一例)がヘッドユニット8と対向するように形成され、搬送ユニット7に設けられた調整部材37と、搬送路面34Sに平行な方向に調整部材37を移動させる第1駆動部60と、搬送路面34Sに垂直な方向に搬送ユニット7を移動させる第2駆動部70と、ヘッドユニット8から搬送ユニット7側へ突出するように形成された突起部45と、を備える。以下、搬送路面34Sに垂直な方向の高さを「高さ」と略記する。
【0022】
図3に示されるように、調整部材37は、搬送ユニット7における搬送ベルト34の前側と後側に設けられている。調整部材37は、搬送方向Yを長手方向とする概ね直方体の部材であり、樹脂等で形成されている。調整部材37の上面には、左右に並ぶ2つの段差部50が形成されている。つまり、搬送ユニット7は、搬送ベルト34の前側における左右の2箇所と、搬送ベルト34の後側における左右の2箇所の、合計4箇所に段差部50を備えている。
【0023】
段差部50は、ヘッドユニット8と対向する第1対向面51、第2対向面52、第3対向面53、第4対向面54を備える。右から順に第1対向面51、第2対向面52、第3対向面53、第4対向面54が並ぶように形成されており、いずれも矩形である。第1対向面51、第2対向面52、第3対向面53、第4対向面54の高さは、互いに異なっている。第1対向面51が最も低く、第2対向面52は第1対向面51よりも高く、第3対向面53は第2対向面52よりも高く、第4対向面54は第3対向面53よりも高く形成されている。4つの段差部50の第1対向面51の高さは等しい。また、4つの段差部50の第2対向面52の高さは等しい。また、4つの段差部50の第3対向面53の高さは等しい。また、4つの段差部50の第4対向面54の高さは等しい。
【0024】
第1対向面51、第2対向面52、第3対向面53、第4対向面54は、それぞれ普通紙、第1種厚紙、第2種厚紙、封筒に対応する高さを有する。ここで、第1種厚紙は普通紙よりも厚く、第2種厚紙は第1種厚紙よりも厚く、封筒は第2種厚紙よりも厚い。第1対向面51と第2対向面52との高さの差は、普通紙と第1種厚紙との厚みの差に等しい。第2対向面52と第3対向面53との高さの差は、第1種厚紙と第2種厚紙との厚みの差に等しい。第3対向面53と第4対向面54との高さの差は、第2種厚紙と封筒との厚みの差に等しい。
【0025】
図3、5に示されるように、調整部材37は、調整部材37の下方に配置された摺動部材38に固定されている。摺動部材38は、搬送ユニット7のフレーム30に設けられ、フレーム30に対して左右方向に摺動可能である。つまり、調整部材37は、摺動部材38とともにフレーム30に対して左右方向に移動可能である。
【0026】
第1駆動部60は、左右方向を長手方向とするラック61、ラック61と噛み合うピニオン62、モーター63、モーター63の駆動力を減速してピニオン62に伝達するギア列(図示省略)を含む。ラック61は、摺動部材38に設けられている。ピニオン62とモーター63とギア列は、フレーム30に設けられている。モーター63の回転により、調整部材37がフレーム30に対して左右方向に移動する。
【0027】
第1駆動部60は、回転検知部65を備える。回転検知部65は、例えば、パルス板とフォトインターラプターとを備える(図示省略)。パルス板は、樹脂等で形成された円板状の部材であり、径方向を長手方向とする複数のスリットが周方向に等間隔で形成されている。フォトインターラプターは、パルス板に光を照射し、パルス板による光の通過と遮断に対応してレベルが変化するパルス信号を出力する。
【0028】
図2に示されるように、第2駆動部70は、上下方向を長手方向とするラック71、ラック71と噛み合うピニオン72、モーター73、モーター73の駆動力を減速してピニオン72に伝達するギア列(図示省略)を含む。ラック71は、搬送ユニット7のフレーム30に設けられている。ピニオン72とモーター73とギア列は、プリンター1の筐体2に設けられている。モーター73の回転により、搬送ユニット7が筐体2に対して上下方向に移動する。
【0029】
図4に示されるように、突起部45は、ヘッドユニット8の筐体40の下面における搬送ユニット7の各段差部50に対応する4箇所に形成されている。突起部45は、概ね円柱状に形成され、突起部45の先端部は、段差部50の第1対向面51乃至第4対向面54と平行な平面状に形成されている。突起部45の先端部は、第1対向面51乃至第4対向面54よりも小さく形成されている。4つの突起部45の先端部の高さは、等しい。
【0030】
図6に示されるように、プリンター1は、制御部4を備え、制御部4には、給紙カセット3、記憶部5、搬送ユニット7、ヘッドユニット8、第1駆動部60、第2駆動部70、回転検知部65が接続されている。制御部4は、CPU等の演算装置である。記憶部5は、ROM、RAM等の記憶装置である。制御部4は、記憶部5に記憶された制御プログラムや制御用データを用いて、プリンター1の各部を制御する。制御部4は、後述する判定部として機能する。
【0031】
次に、図7乃至11を参照して、調整機構100の動作について説明する。図7は、調整機構100の動作を示す流れ図である。図8は、初期状態を示す斜視図である。図9は、搬送ユニット7を下方に移動させた状態を示す斜視図である。図10は、調整部材37をシートSの厚みに対応する位置に移動させた状態を示す斜視図である。図11は、搬送ユニット7を上方に移動させた状態を示す斜視図である。なお、図8乃至11において、ヘッドユニット8については、前側の突起部45よりも前側の断面が示されている。
【0032】
図8に示されるように、初期状態においては、調整部材37が初期位置に位置し、突起部45が第1対向面51の中央に接触している。このとき、ノズル面42とシートSとの距離が最適値になっている。この最適値は、色ずれやインクの飛沫等による画質不良が最少となる距離である。調整部材37は、初期位置よりも左方への移動が規制されている。プリンター1が外部コンピューター等から画像形成指示を受信すると、図7に示される流れ図に従って処理が実行される。
【0033】
最初に、ステップS01において、制御部4が、画像形成指示で指定されたシートSが普通紙であるか否かを判定し、普通紙である場合(ステップS01:YES)には、ステップS21の処理に移行し、普通紙でない場合(ステップS01:NO)には、ステップS03の処理に移行する。
【0034】
ステップS21において、制御部4は、画像形成指示で指定された給紙カセット3又は手差しトレイ28から搬送路6にシートSを送り出し、ヘッドユニット8により画像を形成する。
【0035】
一方、ステップS03において、制御部4は、第2駆動部70のモーター73を所定の回転量だけ回転させて搬送ユニット7を下降させる(図9参照)。
【0036】
次に、ステップS05において、制御部4は、シートSの厚みに応じた位置に調整部材37を移動させる(図10参照)。具体的には、記憶部5には、シートSの厚み毎に第1駆動部60のモーター63の回転量R1を示す制御用データが記憶されている。例えば、第1種厚紙に対応する回転量R1は、第1対向面51の中央と第2対向面52の中央との距離だけ調整部材37を右方へ移動させるのに要する回転量を示す。制御部4は、回転量R1に応じた制御信号をモーター63に送ることで、第2対向面52が突起部45に対向するように調整部材37を移動させる。
【0037】
次に、ステップS07において、制御部4(判定部)は、回転量R1だけモーター63が回転したか否かを判定する。具体的には、制御部4は、回転検知部65から出力されたパルス信号の数からモーター63の回転量rを求め、回転量rが回転量R1に等しい場合には、回転量R1だけモーター63が回転したと判定し(ステップS07:YES)、ステップS09の処理に移行する。一方、制御部4は、回転量rが回転量R1に等しくない場合には、回転量R1だけモーター63が回転しなかったと判定し(ステップS07:NO)、ステップS31の処理に移行する。回転量rの不足や超過は、ノイズにより制御信号が乱れた場合などに起こり得る。
【0038】
ステップS31において、制御部4は、第1駆動部60のモーター63を逆回転させて調整部材37を初期位置に戻し、ステップS05以降の処理を繰り返す。
【0039】
一方、ステップS09において、制御部4は、第2駆動部70のモーター73を逆回転させて段差部50が突起部45に接触するまで搬送ユニット7を上昇させる。シートSが第1種厚紙の場合、第2対向面52が突起部45に接触する(図11参照)。このとき、ノズル面42とシートSとの距離が最適値になっている。
【0040】
次に、ステップS11において、制御部4は、画像形成指示で指定された給紙カセット3又は手差しトレイ28から搬送路6にシートSを送り出し、ヘッドユニット8により画像を形成する。
【0041】
次に、ステップS13において、制御部4は、第2駆動部70のモーター73を所定の回転量だけ回転させて搬送ユニット7を下降させる(図10参照)。
【0042】
次に、ステップS15において、制御部4は、第1駆動部60のモーター63を逆回転させて調整部材37を初期位置に戻す(図9参照)。
【0043】
次に、ステップS17において、制御部4は、第2駆動部70のモーター73を逆回転させて第1対向面51が突起部45に接触するまで搬送ユニット7を上昇させる(図8参照)。
【0044】
以上説明した本実施形態に係るプリンター1によれば、ヘッドユニット8におけるインクの吐出口(ノズル面42)とシートSとの距離が最適値となるように、シートSの厚みに応じて搬送ユニット7とヘッドユニット8との距離が複数段階に調整される。よって、本実施形態に係るプリンター1によれば、シートSの厚みの違いによるインクの吐出口とシートSとの距離の変化に起因する画質不良を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、第1対向面51乃至第4対向面54のうちシートSの厚みに対応する対向面を突起部45に突き当てることで搬送ユニット7とヘッドユニット8との距離を調整するから、高精度な調整を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、第1駆動部60と第2駆動部70により調整部材37を移動させるから、迅速且つ高精度な調整を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、第1対向面51乃至第4対向面54のうちシートSの厚みに対応する対向面が突起部45に対向しているか否かの判定結果を判定部が出力するから、シートSの厚みに対応する対向面が突起部45に対向してない場合の画質不良を回避する契機をつくることができる。
【0048】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、第2駆動部70は、第1対向面51乃至第4対向面54のうちシートSの厚みに対応する対向面が突起部45に対向していないことを示す判定結果を判定部が出力した場合に、調整部材37を初期位置に戻した後、第1対向面51乃至第4対向面54のうちシートSの厚みに対応する対向面が突起部45に対向するように調整部材37を移動させるから、シートSの厚みに対応する対向面が突起部45に対向してない場合の画質不良を回避することができる。
【0049】
上記の実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0050】
上記実施形態の調整部材37に代えて、回転可能な円板上に第1対向面51乃至第4対向面54が周方向に並ぶように配置された調整部材が設けられ、第1駆動部60がこの調整部材を回転させるように構成されていてもよい。
【0051】
上記実施形態の第2駆動部70に代えて、搬送ユニット7を上方に付勢するバネ等の部材が設けられていてもよい。
【0052】
上記実施形態の段差部50に代えて、搬送路面34Sに垂直な方向の高さが搬送方向Yに連続的に変化する斜面が調整部材37に形成されていてもよい。この場合、搬送ユニット7とヘッドユニット8との距離が無段階に調整されるように構成されてもよい。
【0053】
モーター63、73に代えて、ピニオン62、72を手動で回転させるための機構が設けられていてもよい。
【0054】
突起部45が搬送路面34Sに平行な方向に移動可能な構成を有し、第1駆動部60が突起部45を移動させるように構成されていてもよい。
【0055】
ヘッドユニット8に調整部材37と第1駆動部60が設けられ、搬送ユニット7に突起部45が設けられていてもよい。
【0056】
搬送ユニット7に代えてヘッドユニット8を移動させることで搬送ユニット7とヘッドユニット8との距離を調整するように構成されてもよい。
【0057】
搬送ベルト34に代えて、搬送ユニット7のフレーム30に固定された搬送路面34Sに沿ってシートSを滑らせて搬送するプリンター1に本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 プリンター(インクジェット記録装置)
7 搬送ユニット
34S 搬送路面
37 調整部材
8 ヘッドユニット
40 筐体
41、41K、41C、41M、41Y 記録ヘッド
42 ノズル面(インクの吐出口)
45 突起部
51 第1対向面(対向面)
52 第2対向面(対向面)
53 第3対向面(対向面)
54 第4対向面(対向面)
60 第1駆動部
70 第2駆動部
100 調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11