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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】足場付き自在バンド
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20221220BHJP
   E04G 3/24 20060101ALI20221220BHJP
   E04G 5/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H02G1/02
E04G3/24 302D
E04G5/04 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018235264
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020099108
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】中津 達矢
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-207925(JP,A)
【文献】実公昭54-018620(JP,Y2)
【文献】米国特許第04641727(US,A)
【文献】実公平03-002598(JP,Y2)
【文献】実開平06-082322(JP,U)
【文献】特開2001-094277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00-1/10
E04G 3/24
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱を周回して巻き付けられ、その任意の長手方向位置にフック掛止部材を着脱可能なバンド部と、該バンド部の長手方向両端部、或いは該両端部付近に夫々設けられて互いに着脱自在に連結する連結部と、を備えた自在バンドと、
一方の前記連結部に設けられた足場部材と、を備え
前記足場部材は、前記一方の連結部に後付けで固定されていることを特徴とする足場付き自在バンド。
【請求項2】
電柱を周回して巻き付けられ、その任意の長手方向位置にフック掛止部材を着脱可能なバンド部と、該バンド部の長手方向両端部、或いは該両端部付近に夫々設けられて互いに着脱自在に連結する連結部と、を備えた自在バンドと、
一方の前記連結部に設けられた足場部材と、を備え、
前記足場部材は、前記一方の連結部の一部として予め組み込まれていることを特徴とする足場付き自在バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱の外周面にフック掛止部材を取り付けるために使用される自在バンドに、足場としての機能を付与した足場付き自在バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に登って各種の工事を行う場合には、電柱の外面に予め取り付けられた足場ボルトや補助的に取り付けられた補助ボルトなどを作業者用の足場として使用している。足場ボルトや補助ボルトなどは、電柱の設置当初に適切と思われる位置に取り付け固定される。
しかし、作業員が電柱に登って装柱されている各種機器や電線に対して故障修理や改修工事を実施する際に作業に適した箇所に足場ボルトが設けられていなかったり、通信ケーブルなどの共架線、街灯等の障害物が設置されているために、既存の足場ボルトを利用できずに作業姿勢を悪化させたり、或いは足場ボルトを無理に利用することにより作業効率を著しく低下させることがある。そのような場合には大型の作業台をリフトアップして取り付ける必要があり、労力、作業員数、作業時間を大幅に増大させる原因となっている。
特許文献1には、自在バンドの長手方向に沿って配置した移動式足場支持部材により作業足場を周方向へ移動可能に支持した電柱用作業足場が開示されている。しかし、この電柱用作業足場は、自在バンドに対して移動式足場支持部材等の他部品を組み付けると共に、作業足場は自在バンド面から大きく突出する構造であるため、部品点数の増大により重量増大と大型化を招き、携帯性、取扱い性が悪化するという問題がある。
【0003】
また、作業員が電柱に登って各種作業を行うに際しては、作業員が着用した安全帯から延びる命綱(ランヤード)先端のカラビナ等のフックを、電柱に対して自在バンドにより予め取り付けられたフック掛止部材に掛止することにより落下防止を図っている。しかし、特許文献1にあっては、自在バンドの周方向長のかなりの範囲を周方向長が長い足場支持部材が占めているため、フック掛止部材を自在バンドに取り付けるとすれば、足場支持部材を回避した自在バンドの空き部分に固定する必要があり、フック掛止部材の取付け位置の自由度が著しく低下している。このため、足場支持部材が邪魔となってフック掛止部材を自在バンドの最適な位置に固定できなくなる事態をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-17679公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、部品点数を増やしたり、自在バンド上におけるフック掛止部材の取付け位置の自由度を制限することなく、フック掛止用の自在バンドを電柱上の任意の位置に設置可能な簡易な足場としても利用し得るようにした足場付き自在バンドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の足場付き自在バンドは、電柱を周回して巻き付けられ、その任意の長手方向位置にフック掛止部材を着脱可能なバンド部と、該バンド部の長手方向両端部に夫々設けられて互いに着脱自在に連結する連結部と、を備えた自在バンドと、前記バンド部にネジ止め固定されるフック掛止部材と、一方の前記連結部に設けられた足場部材と、を備えている。そして、前記足場部材は、前記一方の連結部に後付けで固定されていることを特徴とする。また、前記足場部材は、前記一方の連結部の一部として予め組み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の足場付き自在バンドによれば、部品点数を増やしたり、自在バンド上におけるフック掛止部材の取付け位置の自由度を制限することなく、フック掛止用の自在バンドを電柱上の任意の位置に設置可能な足場としても利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)(b)及び(c)は本発明の一実施形態に係る足場付き自在バンドのバンド部の全体構成を示す正面図、右側面図、及び(a)のA-A断面図である。
図2図1の足場部材の一部の構成を示す斜視図である。
図3】(a)及び(b)は一方の連結具を構成する掛止爪付きボルトの正面図、及び底面図であり、(c)及び(d)はナットの正面図、及び左側面図である。
図4】(a)はバンド部にフック掛止部材を取り付けた状態を示す全体斜視図であり、(b)はD視図であり、(c)はC-C断面図である。
図5】(a)は作業員が電柱に取り付けた足場付き自在バンドを利用して作業をしている状態を示す説明図であり、(b)は足場付き自在バンドを電柱に取り付けた状態を示す説明図である。
図6】本発明の変形実施形態に係る足場付き自在バンドの要部側面図である。
図7】(a)は他の変形実施形態に係る足場付き自在バンドの第1連結部の構成を示す正面図(掛止ボルト、及びナットは省略)であり、(b)はその側面図であり、(c)は(b)のB-B断面図である。
図8】(a)及び(b)は他の実施形態に係る足場付き自在バンドの構成を示した正面図、及び左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)(b)及び(c)は本発明の一実施形態に係る足場付き自在バンドのバンド部の全体構成を示す正面図、右側面図、及び(a)のA-A断面図であり、図2図1の足場部材の一部の構成を示す斜視図であり、図3(a)及び(b)は一方の連結具を構成する掛止爪付きボルトの正面図、及び底面図であり、(c)及び(d)はナットの正面図、及び左側面図であり、図4は(a)はバンド部にフック掛止部材を取り付けた状態を示す全体斜視図であり、(b)はD視図であり、(c)はC-C断面図であり、図5(a)は作業員が電柱に取り付けた足場付き自在バンドを利用して作業をしている状態を示す説明図であり、(b)は足場付き自在バンドを電柱に取り付けた状態を示す説明図である。
【0010】
図5に示したように作業員が電柱100に登って各種の作業を行うに際しては、作業員が着用した安全帯110から延びる命綱(ランヤード)112の先端のフック(カラビナ等)114を、電柱に予め固定された自在バンド1に設けられたフック掛止部材60に掛止することにより落下防止を図っている。
電柱に昇降や作業時の障害となる看板、街灯等の障害物が存在している場合には、フック掛止部材付きの自在バンドを障害物よりも上方の電柱部位に固定してそのフック掛止部材に命綱のフックを掛止すべきことが規準に定められている。障害物を回避した上方位置にフック掛止部材を配置した場合には、障害物が障害となって近辺に位置する足場ボルトに靴底を載せることが困難になったり、靴底を載せることができたとしても最適な姿勢を維持することが困難になることが多々ある。このような場合には作業に適した位置に簡易な足場を臨時に設置すると便利であるが、部品点数が少なく軽量、小型で、持ち運びや設置作業などの取扱いに適した簡易足場はこれまで提案されていない。
【0011】
また、障害物の有無に関わりなく、作業に適した電柱の高さ位置や周方向位置に足場ボルトが存在しない場合にも、運搬性や取付け作業性に優れ、電柱上の任意の箇所に取り付けが可能な簡易足場があれば便利である。
【0012】
本発明の簡易足場付き自在バンド1は、このような要請を満たすものである。
足場付き自在バンド1は、フック掛止部材を備えた自在バンドに対して、大型化、重量化、運搬性低下、取扱い性低下、部品点数増を招くこと無く、足場としての機能を付与できるようにした点が特徴的である。
各図に示した足場付き自在バンド1は、電柱を周回して巻き付けられ、その任意の長手方向位置にフック掛止部材を着脱可能であり、且つ電柱の全周に巻き付くに足る長さを有した帯状のバンド部10と、バンド部の周方向(長手方向)に沿って所定のピッチで配置された複数個のバンド穴12、及びバンド部10の長手方向両端部、或いは両端部付近に夫々設けられて互いに着脱自在に連結する第1連結部20、及び第2連結部40を備えた自在バンド本体5と、何れか一つのバンド穴12を用いてネジ止め固定されるフック掛止部材60と、第1連結部20に予め設けられた足場部材70と、を備えている。自在バンド1の各構成要素は、ステンレス等の金属材料から構成されている。
各連結部の配置位置としての「バンド部10の長手方向両端部付近」とは、バンド部の長手方向端部のみならず、端部よりも長手方向中央寄り部位も含む概念である。
【0013】
第1連結部20は、バンド部10の一端に溶着される基部22と、基部22のボルト取付部24に設けた2つの取付穴24a、24bに挿通される掛止ボルト30と、掛止ボルト30を取付穴24a、24bに挿通した状態で掛止ボルトのネジ部30aに螺着されることにより掛止ボルトを基部22に締結固定するナット35と、を備える。掛止ボルト30は一端寄りにネジ部30aを備え、他端に掛止爪部30bを備える。
基部22は図示したように帯状の金属板材を略U字(或いは円弧状)に湾曲させた状態で両端部22aをバンド部10の一端に溶着させた構成を備えており、各取付穴24a、24bは基部の対向する2つの板状部位(ボルト取付部24)に形成されている。本例では、基部22の頂部外面に足場部材70を熔接により予め一体化しているため、既存の自在バンド本体5に足場部材を後付けすることにより製造、加工することができる。
【0014】
他方の連結部40は、掛止ボルトの掛止爪部30bに対して着脱自在に掛止される爪部42を備えている。
自在バンド1を電柱に固定する場合には、まず自在バンド本体5のバンド部10を電柱を周回するように巻き付けておき、予め連結部20の取付穴24a、24b内に挿通されてネジ部30aにナット35を螺着された掛止ボルト30の掛止爪部30bを、連結部40の爪部42に掛止する(仮掛止)。次いでナット35をネジ部30aに対して締め付けて爪部同士が脱落しないように強固に締結することにより、自在バンド1の電柱への固定を完了する。
フック掛止部材60は図4に示すように、L字状の掛止部材本体62と、掛止部材本体の基部に設けた穴62aを一つのバンド穴12に連通させた状態で両穴に挿通されるボルト64と、ボルトに締結されるナット65等を備えており、自在バンドを電柱上の任意の位置に固定した際に作業員が装着した安全帯から延びる命綱先端のフックを掛止し易い位置にあるバンド穴12にフック掛止部材60は固定される。
【0015】
本発明に係る自在バンド1の特徴的な構成は、第1連結部20の基部22に足場部材70が予め一体化されている点にある。足場部材70はU字状の基部22の外面から更に外側へ突出するように固定されており、基部からの突出長、周方向長、形状は作業員が靴底を安定して載せ続けることができるように構成されている。図示した足場部材70は一例に過ぎず、その形状、サイズは種々選定可能であるが、図中にあるように突出長を10cm程度、周方向長を15cm程度とすれば充分である。
足場部材70は第1連結部20に固定されていてバンド部10に干渉しないため、フック掛止部材60を任意のバンド穴12に取り付ける際の障害となることがない。
【0016】
本例に係る足場部材70は、基部22と同等の幅を有した帯状金属片を足場に適した形状、サイズとなるように加工したものであり、その外面の一部には基部22の頂部の湾曲した形状と整合する湾曲面72が形成されている。足場部材70を基部22に熔接する際には湾曲面(接合面)72を基部22の湾曲した頂部に整合状態で密着させた状態で両部を溶着する。これにより充分な接合面積、及び強度を確保することができる。また、足場部材の一部が掛止ボルト30の上方にオーバーハングすると、工具を用いてナット35を締結する際の作業の障害となり得るので、図示のようにオーバーハングしない形状とするのが好ましい。
【0017】
或いは、図6の変形例に示すように足場部材70の一部が掛止ボルト30の上方にオーバーハングする形状としても、工具操作に際しての障害とならない程度に掛止ボルト30から離隔する形状とすれば問題はない。むしろ足場部材70の周方向ほぼ中間部に基部22が固定されているので、足場部材の周方向バランスを高め、足場としての安定性を高めることができる。
【0018】
次に、図7(a)は変形例に係る足場付き自在バンドの第1連結部20の構成を示す正面図(掛止ボルト、及びナットは省略)であり、(b)はその側面図であり、(c)は(b)のB-B断面図である。
この第1連結部20に装備される足場部材70は、基部22の上面と接触する湾曲面72の両側面から垂下する補助接合部材74を備え、各補助接合部材74を基部22の両側面と当接させた状態で熔接することにより足場部材70と基部22との接合面積を広くして接合強度を高めることができる。
【0019】
次に、図8(a)及び(b)は他の実施形態に係る足場付き自在バンドの構成を示した正面図、及び左側面図であり、この例では第1連結部20を製造する際に予め基部22に足場部材70を一体的に設けている。つまり、第1連結部の一部として足場部材が予め形成されており、基部22はU字状ではなく、対向し合う二枚の板材から成るボルト取付部24から構成される。この基部に対して足場部材70を連設することにより第1連結部20が形成されている。
図1の実施形態における基部22を構成する帯状の金属材料を更に長尺にしたものを図8の形状となるように湾曲加工すれば、第1連結部20を製造することができる。
この構成では、足場部材70は、第1連結部20の一部として予め組み込まれているため、製造段階においてこの第1連結部20を既存の足場部材を有しないもの(U字状基部22のみから成るもの)と差し替えるだけで足場機能を備えた自在バンドを製造することが可能になる。
【0020】
<足場付き自在バンド1の使用方法>
足場付き自在バンド1は、図5(a)(b)に示したように電柱100の任意の位置に取り付けることができる。作業員が靴底を載せている下側の自在バンド1は足場として機能しており、作業員の上方に位置する自在バンド1は命綱112先端のフック114を掛止するフック掛止手段として機能している。
足場として利用する下側の自在バンド1の電柱への取付けに際しては、バンド部10を電柱の任意の高さ位置に周回させて各連結部の爪部同士を掛止してから工具を用いてナット35をネジ部30aに締結すればよい。この際、足場部材70が作業員の靴底を載せるのに最適な周方向位置となるように任意に周方向位置を調整することができる。
フック掛止手段として利用する上側の自在バンド1の取付手順も下側の自在バンド1と同様であるが、フック掛止部材60の周方向位置をフック114を掛止し易い箇所に選定する点が異なっている。
【0021】
下側の自在バンド1は、足場ボルト120が存在しない電柱部位であって作業に最も適した位置に取り付けて足場部材70に靴底を載せて体重を掛けることにより、作業員が最も作業し易い位置、及び姿勢での作業が可能となり、作業効率と安全性を高めることができる。しかも、自在バンドの着脱は容易であるため、任意自在に最適な位置に取付けたり、取付け位置を変更することが可能となる。
作業が終了して電柱から降下する際にはナット35を緩めて自在バンド1を取外して回収し、次の電柱に対する作業に再使用することが可能となる。
【0022】
<本発明の実施態様の構成、作用、効果のまとめ>
第1の実施態様に係る足場付き自在バンド1は、電柱100を周回して巻き付けられ、その任意の長手方向位置にフック掛止部材60を着脱可能なバンド部10と、該バンド部の長手方向両端部、或いは該両端部付近に夫々設けられて互いに着脱自在に連結する連結部20、40と、を備えた自在バンド本体5と、一方の連結部20に設けられた足場部材70と、を備えたことを特徴とする。
電柱には、その設置当初に高圧線や低圧線などの他に通信ケーブルなどの共架線が後付けで設置される。この共架線が足場ボルトや補助ボルト付近に設置された場合には、共架線に接触しないように注意しながら足場ボルトなどに足を掛けなければならない。そのため、無理な姿勢で作業を行なうことになったり、共架線が設置される場所によっては共架線が障害となり足場ボルトを使用できなくなる事態も生じる。また、街灯、看板等々の障害物が電柱に設置されている場合にも同様に足場ボルトを使用できなくなる不具合が発生する。
【0023】
また、足場ボルト等は平均的な身長、体型を有した作業員を想定してその者に適すると思われる所定の配置、間隔で所定の個数設置されており、作業員の身長等の個人差を考慮している訳ではない。従って、平均身長に満たない者、或いはそれを越える長身者にとっては既存の足場ボルトの位置、配置間隔等は適合していないことになる。
実施態様では足場専用の部材ではなく、フック掛止部材を電柱に後付けで設置するために従来から使用されてきた自在バンド本体5の第1連結部20に対して足場部材70を設けることにより、フック掛止部材の取付手段を兼用した足場付き自在バンドを提案するものである。
【0024】
これによれば、電柱上での各種作業に際して命綱を掛止するために使用するフック掛止部材を電柱に固定する際に使用する自在バンド本体5の連結部に足場部材を予め固定しているので、格別の足場部材を携帯することなく、通常携帯するフック掛止部材付きの自在バンドにより足場部材を兼用することが可能となり、作業員の作業負担を軽減することが可能となる。
特に、足場部材70は連結部20に一体化されて、靴底を載せて安定して体重を掛け続けることができる程度に連結部から突出するに過ぎないので、携帯して昇柱したり、自在バンドを取付ける作業に際しての不利不便がなく、取付け後には充分に足場として機能させることができる。
【0025】
また、自在バンドのバンド部には他の余計な部品が存在しないため、自在バンド上におけるフック掛止部材の取付け位置の自由度を制限することなく、フック掛止用の自在バンドを電柱上の任意の位置に設置可能な簡易な足場としても利用することが可能となる。
「バンド部の長手方向両端部付近」とは、厳密な意味の端部を意味せず、端部よりも長手方向中央寄り位置に連結部が設けられる場合も含むものである。
【0026】
第2の実施態様に係る足場付き自在バンド1では、足場部材は、一方の連結部に後付けで固定されていることを特徴とする。
市販されているフック掛止部材用の自在バンドの連結部20に後付けにより足場部材70を固定することにより製造できるので、製造コストを低減できる。
【0027】
第3の実施態様に係る足場付き自在バンド1では、足場部材は、一方の連結部の一部として予め組み込まれていることを特徴とする。
既存のフック掛止部材用の自在バンドの連結部20に代えて、予め基部22に足場部材70を一体化した構成の連結部としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…自在バンド、5…自在バンド本体、10…バンド部、12…バンド穴、20…連結部、22…U字状基部、22…基部、22a…両端部、24…ボルト取付部、24a、24b…取付穴、30…掛止ボルト、30a…ネジ部、30b…掛止爪部、35…ナット、40…連結部、42…爪部、60…フック掛止部材、62…掛止部材本体、62a…穴、64…ボルト、65…ナット、70…足場部材、72…湾曲面、74…補助接合部材、100…電柱、110…安全帯、112…命綱、114…フック、120…足場ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8