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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20221220BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20221220BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B60C11/03 100C
B60C5/00 H
B60C11/03 B
B60C11/13 B
B60C11/13 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018237680
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020100169
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長橋 祐輝
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特許第6930241(JP,B2)
【文献】特開2017-132317(JP,A)
【文献】特開2017-159752(JP,A)
【文献】特開2018-012372(JP,A)
【文献】特開2012-218650(JP,A)
【文献】米国特許第06142200(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105620205(CN,A)
【文献】国際公開第2017/187740(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101863196(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102774244(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/00
B60C 11/03
B60C 11/12-11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対するタイヤの装着方向を示す装着方向表示部と、タイヤ赤道面に対して車幅方向外側と車幅方向内側とで非対称のトレッド面とを含み、
前記トレッド面は、タイヤ赤道面の車幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる第一主溝と、前記第一主溝よりも前記タイヤ赤道面に近い位置でタイヤ周方向に延びる第二主溝と、前記タイヤ赤道面の車幅方向内側の位置でタイヤ周方向に延びる第三主溝と、前記第三主溝よりも前記タイヤ赤道面から遠い位置でタイヤ周方向に延びる第四主溝と、前記第三主溝と前記第四主溝との間の位置でタイヤ周方向に延びる第一細溝と、前記第一細溝と前記第四主溝との間の位置でタイヤ幅方向に延びて一端が前記第四主溝に開口する第一溝部とを有し、
前記第一溝部は、サイプと第一ラグ溝とを含み、
前記第一主溝の溝幅をG1、前記第三主溝の溝幅をG3、前記第四主溝の溝幅をG4とした場合に、
1.05≦G1/G3≦1.25、1.10≦G4/G3≦1.30の関係を有し、
さらに、G3<G1<G4の関係を有する
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第三主溝と前記第四主溝との間の内側陸部において、前記内側陸部の車幅方向の長さD1に対する、前記第三主溝からの距離D2の比D2/D1が0.15以上0.30以下の位置に、前記第一細溝が設けられている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第一細溝の溝幅Grと前記第三主溝の溝幅G3との比Gr/G3が、0.10≦Gr/G3≦0.30の関係を有する請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
記第一ラグ溝の一端は前記第四主溝に開口し、前記第一ラグ溝の他端は閉塞して前記サイプの一端に接続し、前記サイプの他端は前記第一細溝に接続する請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第三主溝と前記第四主溝との間の車幅方向の長さD1に対する、前記第一ラグ溝の車幅方向の長さD3の比D3/D1は、0.30以上0.45以下である請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第一主溝よりも車幅方向外側の位置から車幅方向外側に延びる第二ラグ溝をさらに含み、
前記第二ラグ溝は前記第一主溝に開口しない請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記第四主溝よりも車幅方向内側の位置から車幅方向内側に延びる第三ラグ溝をさらに含み、
前記第三ラグ溝は前記第四主溝に開口しない請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第二主溝と前記第三主溝との間に設けられた第四ラグ溝を有し、
前記第四ラグ溝の一端は、前記第三主溝に開口し、
前記第四ラグ溝の他端は、前記第二主溝と前記第三主溝との間のタイヤ赤道線に交差せずにタイヤ幅方向に延びる請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第一主溝と前記第二主溝との間の外側陸部に設けられた、第五ラグ溝と第六ラグ溝とを有し、
前記第五ラグ溝と前記第六ラグ溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられ、
前記第五ラグ溝と前記第六ラグ溝とは、車幅方向に延在し、
前記第五ラグ溝の一端は、前記第二主溝に開口し、
前記第六ラグ溝の一端は、前記第一主溝に開口する請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記第四主溝よりも車幅方向内側の位置でタイヤ周方向に延びる第二細溝をさらに有し、
前記第二細溝の溝幅Gsと前記第三主溝の溝幅G3との比Gs/G3が、0.10≦Gs/G3≦0.30の関係を有する請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記第四主溝よりも車幅方向内側の位置から車幅方向内側に延びる第三ラグ溝は、前記第二細溝と交差し、さらに、車幅方向内側に延び、
前記第三ラグ溝は前記第四主溝に開口しない請求項10に記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記タイヤ赤道面から前記第三主溝までの距離よりも、前記タイヤ赤道面から前記第二主溝までの距離の方が短い請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記第二主溝の溝幅をG2とした場合に、1.20≦G2/G3≦1.40の関係を有する請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記第二主溝の溝幅をG2とした場合に、G3<G1<G2の関係を有する請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項15】
前記第二主溝の溝幅G2と、前記第四主溝の溝幅G4とが、G4<G2の関係を有する請求項1から請求項14のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項16】
前記第一主溝の溝幅G1と、前記第二主溝の溝幅G2と、前記第三主溝の溝幅G3とが、(G2-G1)/G3≧0.01の関係を有する請求項1から請求項15のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項17】
前記第一主溝と前記第二主溝との間の外側陸部の幅と、前記第二主溝と前記第三主溝との間の中央陸部の幅と、前記第三主溝と前記第四主溝との間の内側陸部の幅と、のうち、最小の幅に対する最大の幅の比が、1.05以下である請求項1から請求項16のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項18】
前記第一主溝と前記第二主溝との間の外側陸部の幅と、前記第二主溝と前記第三主溝との間の中央陸部の幅と、前記第三主溝と前記第四主溝との間の内側陸部の幅と、のうち、少なくとも1つの幅が他の幅と異なる請求項1から請求項17のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気入りタイヤでは、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性と、通過騒音に関するノイズ性能とを両立すべき課題がある。かかる課題に関する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1、特許文献2に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/005194号
【文献】特許第5695476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、特許文献2に記載の空気入りタイヤは、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性と、通過騒音に関するノイズ性能とを両立する場合に、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性能と、ノイズ性能とを高い次元で両立させることのできる空気入りタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明のある態様による空気入りタイヤは、車両に対するタイヤの装着方向を示す装着方向表示部と、タイヤ赤道面に対して車幅方向外側と車幅方向内側とで非対称のトレッド面とを含み、前記トレッド面は、タイヤ赤道面の車幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる第一主溝と、前記第一主溝よりも前記タイヤ赤道面に近い位置でタイヤ周方向に延びる第二主溝と、前記タイヤ赤道面の車幅方向内側の位置でタイヤ周方向に延びる第三主溝と、前記第三主溝よりも前記タイヤ赤道面から遠い位置でタイヤ周方向に延びる第四主溝と、前記第三主溝と前記第四主溝との間の位置でタイヤ周方向に延びる第一細溝と、前記第一細溝と前記第四主溝との間の位置でタイヤ幅方向に延びて一端が前記第四主溝に開口する第一溝部とを有し、前記第一溝部は、サイプと第一ラグ溝とを含み、前記第一主溝の溝幅をG1、前記第三主溝の溝幅をG3、前記第四主溝の溝幅をG4とした場合に、1.05≦G1/G3≦1.25、1.10≦G4/G3≦1.30の関係を有し、さらに、G3<G1<G4の関係を有する空気入りタイヤである。
【0007】
前記第三主溝と前記第四主溝との間の内側陸部において、前記内側陸部の車幅方向の長さD1に対する、前記第三主溝からの距離D2の比D2/D1が0.15以上0.30以下の位置に、前記第一細溝が設けられていることが好ましい。
【0008】
前記第一細溝の溝幅Grと前記第三主溝の溝幅G3との比Gr/G3が、0.10≦Gr/G3≦0.30の関係を有することが好ましい。
【0009】
記第一ラグ溝の一端は前記第四主溝に開口し、前記第一ラグ溝の他端は閉塞して前記サイプの一端に接続し、前記サイプの他端は前記第一細溝に接続することが好ましい。
【0010】
前記第三主溝と前記第四主溝との間の車幅方向の長さD1に対する、前記第一ラグ溝の車幅方向の長さD3の比D3/D1は、0.30以上0.45以下であることが好ましい。
【0011】
前記第一主溝よりも車幅方向外側の位置から車幅方向外側に延びる第二ラグ溝をさらに含み、前記第二ラグ溝は前記第一主溝に開口しないことが好ましい。
【0012】
前記第四主溝よりも車幅方向内側の位置から車幅方向内側に延びる第三ラグ溝をさらに含み、前記第三ラグ溝は前記第四主溝に開口しないことが好ましい。
【0013】
前記第二主溝と前記第三主溝との間に設けられた第四ラグ溝を有し、前記第四ラグ溝の一端は、前記第三主溝に開口し、前記第四ラグ溝の他端は、前記第二主溝と前記第三主溝との間のタイヤ赤道線に交差せずにタイヤ幅方向に延びることが好ましい。
【0014】
前記第一主溝と前記第二主溝との間の外側陸部に設けられた、第五ラグ溝と第六ラグ溝とを有し、前記第五ラグ溝と前記第六ラグ溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられ、前記第五ラグ溝と前記第六ラグ溝とは、車幅方向に延在し、前記第五ラグ溝の一端は、前記第二主溝に開口し、前記第六ラグ溝の一端は、前記第一主溝に開口することが好ましい。
【0015】
前記第四主溝よりも車幅方向内側の位置でタイヤ周方向に延びる第二細溝をさらに有し、前記第二細溝の溝幅Gsと前記第三主溝の溝幅G3との比Gs/G3が、0.10≦Gs/G3≦0.30の関係を有することが好ましい。
【0016】
前記第四主溝よりも車幅方向内側の位置から車幅方向内側に延びる第三ラグ溝は、前記第二細溝と交差し、さらに、車幅方向内側に延び、前記第三ラグ溝は前記第四主溝に開口しないことが好ましい。
【0017】
前記タイヤ赤道面から前記第三主溝までの距離よりも、前記タイヤ赤道面から前記第二主溝までの距離の方が短いことが好ましい。
【0018】
前記第二主溝の溝幅をG2とした場合に、1.20≦G2/G3≦1.40の関係を有することが好ましい。
【0019】
前記第二主溝の溝幅をG2とした場合に、G3<G1<G2の関係を有することが好ましい。
【0020】
前記第二主溝の溝幅G2と、前記第四主溝の溝幅G4とが、G4<G2の関係を有することが好ましい。
【0021】
前記第一主溝の溝幅G1と、前記第二主溝の溝幅G2と、前記第三主溝の溝幅G3とが、(G2-G1)/G3≧0.01の関係を有することが好ましい。
【0022】
前記第一主溝と前記第二主溝との間の外側陸部の幅と、前記第二主溝と前記第三主溝との間の中央陸部の幅と、前記第三主溝と前記第四主溝との間の内側陸部の幅と、のうち、最小の幅に対する最大の幅の比が、1.05以下であることが好ましい。
【0023】
前記第一主溝と前記第二主溝との間の外側陸部の幅と、前記第二主溝と前記第三主溝との間の中央陸部の幅と、前記第三主溝と前記第四主溝との間の内側陸部の幅と、のうち、少なくとも1つの幅が他の幅と異なることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる空気入りタイヤによれば、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性と、ノイズ性能とを高い次元で両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態による空気入りタイヤを示す子午線方向の断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態による空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
図3図3は、図2のトレッドパターンを部分的に拡大した図である。
図4図4は、図2のトレッドパターンを部分的に拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明にかかる空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0027】
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図1は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、図1は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
【0028】
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいう。タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ10の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ10のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ10のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0029】
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
【0030】
また、車幅方向内側および車幅方向外側は、タイヤを車両に装着したときの車幅方向に対する向きとして定義される。具体的には、空気入りタイヤ10が、車両に対するタイヤ装着方向を示す装着方向表示部(図示省略)を備える。装着方向表示部は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって構成される。例えば、ECER30(欧州経済委員会規則第30条)が、車両装着状態にて車幅方向外側となるサイドウォール部に車両装着方向の表示部を設けることを義務付けている。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2、2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3、3とを備えている。
【0032】
一対のビード部3、3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0033】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10度~40度の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5度以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0034】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0035】
[トレッド部]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤ10のトレッドパターンを示す展開図である。図3および図4は、図2のトレッドパターンを部分的に拡大した図である。図2において、符号Tは、タイヤ接地端を示す。
【0036】
図2に示すように、空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLの車幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる第一主溝11と、第一主溝11よりもタイヤ赤道面CLに近い位置でタイヤ周方向に延びる第二主溝12と、タイヤ赤道面CLの車幅方向内側の位置でタイヤ周方向に延びる第三主溝13と、第三主溝13よりもタイヤ赤道面CLから遠い位置でタイヤ周方向に延びる第四主溝14とをトレッド部1に備える。
【0037】
第一主溝11の溝幅をG1、第三主溝13の溝幅をG3、第四主溝14の溝幅をG4とした場合に、各溝幅は、1.05≦G1/G3≦1.25であり、かつ、1.10≦G4/G3≦1.30の関係を有することが好ましい。また、第一主溝11の溝幅G1と、第三主溝13の溝幅G3と、第四主溝14の溝幅G4とが、G3<G1<G4の関係を有することが好ましい。溝幅G1、溝幅G3、溝幅G4が上記のような関係になっていることにより、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性を向上させることができる。
【0038】
また、第二主溝の溝幅をG2とした場合に、1.20≦G2/G3≦1.40の関係を有することが好ましい。溝幅G2と、溝幅G3とが上記のような関係になっていることにより、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性を向上させることができる。
【0039】
また、溝幅G1、溝幅G2、溝幅G3は、G3<G1<G2の関係を有することが好ましい。溝幅G1、溝幅G2、溝幅G3が上記のような関係になっていることにより、ドライ路面およびウエット路面での操縦安定性を向上させることができる。第一主溝11の溝幅G1と、第二主溝12の溝幅G2と、第三主溝13の溝幅G3と、第四主溝14の溝幅G4とが互いに異なることが好ましい。周方向の主溝の幅を全て異ならせ、タイヤ溝内を通過する空気の共鳴音を変化させることにより、気柱共鳴を撹乱させてノイズ性能の向上を図ることができる。ノイズ性能をより向上させるには、さらに、G4<G2の関係を有し、G3<G1<G4<G2の関係を有することが好ましい。
【0040】
第一主溝11の溝幅G1と、第二主溝12の溝幅G2と、第三主溝13の溝幅G3とが、(G2-G1)/G3≧0.01の関係を有することが好ましい。つまり、溝幅G3に対する、溝幅G1と溝幅G2との差の比(G2-G1)/G3が、0.01以上であることが好ましい。タイヤ幅方向外側の溝幅が、タイヤ赤道面CLに近い中心側の溝幅よりも狭いことにより、ウエット操縦安定性能を犠牲とすることなく、車両通過騒音を低減する効果がある。
【0041】
第一主溝11、第二主溝12、第三主溝13、第四主溝14は、摩耗末期を示すウェアインジケータを有する周方向溝であり、一般に、5.0[mm]以上の溝幅および7.5[mm]以上の溝深さを有する。なお、第一主溝11、第二主溝12、第三主溝13、第四主溝14の溝幅、溝深さは、上記範囲に限定されない。
【0042】
また、後述するラグ溝とは、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する横溝をいう。また、後述するサイプとは、陸部に形成された切り込みであり、一般に1.5[mm]未満の溝幅を有する。
【0043】
[陸部、ラグ溝、細溝]
トレッド部1は、第一主溝11、第二主溝12、第三主溝13および第四主溝14が形成されることで、複数の陸部に分割される。具体的には、トレッド部1は、第一主溝11よりも車幅方向外側に位置する外側ショルダー陸部Soと、第一主溝11と第二主溝12との間の外側陸部Roと、第二主溝12と第三主溝13との間の中央陸部Rcと、第三主溝13と第四主溝14との間の内側陸部Riと、第四主溝14よりも車幅方向内側に位置する内側ショルダー陸部Siと、を有する。
【0044】
トレッド部1は、内側陸部Riに、タイヤ周方向に延びる第一細溝15と、一端が第一細溝15に開口し、他端が第四主溝14に開口する第一溝部30と、を有する。車幅方向内側にタイヤ周方向に延びる第一細溝15を配置し、車幅方向内側には周方向細溝を配置しないことにより、車幅方向外側の陸部の剛性を確保し、操縦安定の確保と排水性向上との両立が可能となる。第一溝部30は、第一細溝15と第四主溝14とに連通している。第一溝部30は、タイヤ周方向に、等間隔に設けられる。
【0045】
第一細溝15の溝幅Grと第三主溝13の溝幅G3とが、0.10≦Gr/G3≦0.30の関係を有することが好ましい。車幅方向内側の内側陸部Riにタイヤ幅方向に延びる第一溝部30を配置することにより、操縦安定性を確保できる。さらに、第一溝部30によって、第一細溝15と第四主溝14とを接続することにより排水性を確保できる。溝幅Grと第三主溝13の溝幅G3とを上記の関係にすることにより、ブロック剛性を維持しつつ排水性を確保できる。
【0046】
トレッド部1は、内側ショルダー陸部Siに、第四主溝14よりも車幅方向内側の位置でタイヤ周方向に延びる第二細溝16と、第二細溝16と交差して第四主溝14よりも車幅方向内側の位置から車幅方向内側に延びる第三ラグ溝33と、を有する。排水性が低下する傾向にある内側ショルダー陸部Siに、第二細溝16と第三ラグ溝33とを設けることにより、ウエット性能を補填することができる。さらに、第一ラグ溝30Aを内側陸部Riに配置することにより、乾燥路面でのコーナリング時に荷重の掛かる車幅方向外側の外側陸部Roおよび中央陸部Rcの溝面積増加を避け、トレッド剛性の低下を避け、操縦安定性能の悪化を避けることができる。
【0047】
第二細溝16の溝幅Gsと第三主溝13の溝幅G3とが、0.10≦Gs/G3≦0.30の関係を有することが好ましい。溝幅Gsと溝幅G3とがこのような関係であれば、内側ショルダー陸部Siの剛性を確保することができる。なお、第三ラグ溝33は第四主溝14に開口しない。内側ショルダー陸部Siの第三ラグ溝33を第四主溝14に連通させないことにより、ノイズ性能の向上に寄与できる。
【0048】
トレッド部1は、外側ショルダー陸部Soに、第一主溝11よりも車幅方向外側の位置から車幅方向外側に延びる第二ラグ溝32を有する。第二ラグ溝32は、タイヤ周方向に、等間隔に設けられる。なお、第二ラグ溝32は第一主溝11に開口しない。外側ショルダー陸部Soの第二ラグ溝32を第一主溝11に連通させないことにより、ノイズ性能の向上に寄与できる。
【0049】
トレッド部1は、外側陸部Roに、一端が第二主溝12に開口する第五ラグ溝35と、一端が第一主溝11に開口する第六ラグ溝36とを有する。第五ラグ溝35は、タイヤ幅方向に延在する。第五ラグ溝35は、タイヤ周方向に、等間隔に設けられる。第六ラグ溝36は、タイヤ幅方向に延在する。第六ラグ溝36は、タイヤ周方向に、等間隔に設けられる。第五ラグ溝35の他端は、外側陸部Roにおいて終端する。第六ラグ溝36の他端は、外側陸部Roにおいて終端する。外側陸部Roにおいて、第五ラグ溝35と第六ラグ溝36とが、タイヤ周方向に交互に設けられている。
【0050】
なお、第五ラグ溝35は、第二主溝12に開口する一端に切り欠き部を有していてもよいし、有していなくてもよい。第六ラグ溝36は、第一主溝11に開口する一端に切り欠き部を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0051】
トレッド部1は、中央陸部Rcに、一端が第三主溝13に開口する第四ラグ溝34を有する。第四ラグ溝34は、第三主溝13に開口する一端に切り欠き部を有していてもよいし、有していなくてもよい。第四ラグ溝34は、タイヤ周方向に、等間隔に設けられる。第四ラグ溝34の他端は、中央陸部Rcにおいて終端する。第四ラグ溝34の終端する他端は、赤道面CLを横切っていない。つまり、第四ラグ溝34の他端は、第二主溝12と第三主溝13との間のタイヤ赤道線CLに交差せずにタイヤ幅方向に延びる。
【0052】
また、外側陸部Roの幅と、中央陸部Rcの幅と、内側陸部Riの幅と、のうち、最小の幅に対する最大の幅の比が、1.05以下であることが好ましい。この比が1.05以下であることは、外側陸部Roの幅と、中央陸部Rcの幅と、内側陸部Riの幅とがほぼ同じであることを意味する。各陸部の幅がほぼ同じであることにより、各陸部の剛性が均一になる。これにより、耐偏摩耗性能が向上したり、空気入りタイヤ10のユニフォミティが向上したりする効果が得られる。
【0053】
ただし、第一主溝11と第二主溝12との間の外側陸部Roの幅と、第二主溝12と第三主溝13との間の中央陸部Rcの幅と、第三主溝13と第四主溝14との間の内側陸部Riの幅と、のうち、すべてが異なる幅であってもよいし、同じ幅のものがあってもよい。外側陸部Roの幅と、中央陸部Rcの幅と、内側陸部Riの幅と、のうち、少なくとも1つの幅が他の幅と異なっていてもよい。各陸部の幅が異なることにより、車両側においてキャンバー角度が0度以外の角度に設定されている場合には、陸部の幅を調整することにより、ハンドリング性能を調整することができる。
【0054】
図3において、内側陸部Riの車幅方向の長さをD1とし、第三主溝13の車幅方向内側の端部から第一細溝15の中心線161までの距離をD2とする。長さD1に対する、距離D2の比が0.15以上0.30以下であることが好ましい。つまり、内側陸部Riの車幅方向の長さD1に対する、第三主溝13からの距離D2の比D2/D1が0.15以上0.30以下の位置に、第一細溝15が設けられることが好ましい。この範囲に第一細溝15が配置されることにより、内側陸部Riの剛性を確保できる。
【0055】
第一溝部30は、第一ラグ溝30Aと、サイプ30Bとから構成される。第一ラグ溝30Aの一端は第四主溝14に開口し、第一ラグ溝30Aの他端は閉塞してサイプ30Bの一端に連通する。サイプ30Bの他端は、第一細溝15に接続する。サイプ30Bは、第一ラグ溝30Aよりも溝幅が狭い。つまり、第一溝部30は、閉塞するラグ溝である第一ラグ溝30Aとサイプ30Bとを含む構成である。第一溝部30をこのような構成にすることで、ウエット路面での操縦安定性能に影響する高速域での排水性(溝面積の大きい方が有利)と低速域での凝着摩擦(溝面積の小さい方が有利)とのバランスが最適化され、ウエット性能が向上する。また、サイプ30Bが第一細溝15に連通することで排水性が向上する。さらに、内側陸部Riにおいて、第一細溝15と第三主溝13との間にラグ溝を設けないことで、凝着摩擦が向上し、さまざまな速度域でのウエット性能に対応することができる。
【0056】
ここで、第三主溝13と第四主溝14との間の車幅方向の長さD1に対する、第一ラグ溝30Aの車幅方向の長さD3の比D3/D1は、0.30以上0.45以下であることが好ましい。比D3/D1の値が上記範囲内であれば、内側陸部Riの剛性を確保しつつ、排水性を向上させることができる。
【0057】
図3に示すように、第一溝部30は、第一細溝15に接続する一端と第四主溝14に開口する他端との間で溝幅が変化している。このように、第一溝部30は、タイヤ赤道面CLに近い部分の溝幅よりも、車幅方向内側に近い部分の溝幅の方が広いことが好ましい。車幅方向内側において第一溝部30の溝幅を増加させることにより、効果的に排水性を向上させることができる。
【0058】
また、図4において、外側陸部Roの幅D4に対する、第五ラグ溝35のタイヤ幅方向の長さD5の比D5/D4は、0.30以上0.40以下であることが好ましい。比D5/D4の値が上記範囲内であれば、外側陸部Roの剛性を確保しつつ、排水性を向上させることができる。
【0059】
さらに、図4において、外側陸部Roの幅D4に対する、第六ラグ溝36のタイヤ幅方向の長さD6の比D6/D4は、0.30以上0.40以下であることが好ましい。比D6/D4の値が上記範囲内であれば、外側陸部Roの剛性を確保しつつ、排水性を向上させることができる。
【0060】
なお、図4に示すように、空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLから第三主溝13までの距離D13よりも、タイヤ赤道面CLから第二主溝12までの距離D12の方が短い。つまり、距離D13に対する距離D12の比D12/D13<1.0である。このため、空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLに対して車幅方向外側と車幅方向内側とで非対称のトレッド面を有している。
【0061】
図2に示すように、トレッド部1は、外側ショルダー陸部Soの領域に、各主溝11~14の溝幅よりも狭い溝幅を有し、タイヤ周方向に延びる周方向細溝は設けられていない。車両装着外側である外側ショルダー陸部Soに周方向細溝を設けないことで、騒音性能が向上する。
【0062】
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁の距離の最大値として測定される。陸部が切り欠き部や面取り部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を基準として、溝幅が測定される。また、溝がタイヤ周方向にジグザグ状あるいは波状に延在する構成では、溝壁の振幅の中心線を基準として、溝幅が測定される。
【0063】
タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
【0064】
規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
【0065】
[実施例]
表1から表5は、この発明にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。この性能試験では、相互に異なる空気入りタイヤについて、ドライ操縦安定性能、ウエット操縦安定性能、ノイズ性能に関する評価が行われた。これらの性能試験では、225/60R17 100Hのサイズの試験タイヤがリムサイズ17×7.5JJのリムに装着され、空気圧240[kPa]が付与された。また、試験車両として、排気量2400[cc]のFF(Front engine Front drive)のSUV(Sport Utility Vehicle)車両が用いられた。
【0066】
ドライ操縦安定性能に関する評価では、試験車両が平坦な周回路を有するドライ路面のテストコースを60[km/h]~100[km/h]で走行する。そして、テストドライバーがレーンチェンジ時およびコーナリング時における操舵性ならびに直進時における安定性について官能評価を行う。この評価は従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
【0067】
ウエット操縦安定性能に関する評価では、試験車両が水深1[mm]で散水したアスファルト路を速度40[km/h]で走行する。そして、テストドライバーがレーンチェンジ時およびコーナリング時における操舵性ならびに直進時における安定性について官能評価を行う。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
【0068】
ノイズ性能に関する評価では、ECE R117-02(ECE Regulation No.117Revision 2)に定めるタイヤ騒音試験法に従って測定した車外通過音の大きさによって評価した。この試験では、試験車両を騒音測定区間の十分前から走行させ、当該区間の手前でエンジンを停止し、惰行走行させた時の騒音測定区間における最大騒音値dB(周波数800Hz~1200Hzの範囲の騒音値)を、基準速度に対し±10km/hの速度範囲をほぼ等間隔に8以上に区切った複数の速度で測定し、平均を車外通過騒音とした。最大騒音値dBは、騒音測定区間内の中間点において走行中心線から側方に7.5m、且つ路面から1.2mの高さに設置した定置マイクロフォンを用いてA特性周波数補正回路を通して測定した音圧dB(A)である。通過騒音は、この測定結果を、従来例を基準(100)とする指数で表し、その数値が大きいほど音圧dBが小さく、通過騒音に対するノイズ性能が優れていることを示している。
【0069】
実施例1から実施例32の空気入りタイヤは、第一溝部30および第一細溝15を有し、第一主溝11の溝幅G1、第三主溝13の溝幅G3、第四主溝14の溝幅G4の関係が、1.05≦G1/G3≦1.25、1.10≦G4/G3≦1.30の関係を有し、さらに、G3<G1<G4の関係を有する空気入りタイヤである。
【0070】
実施例1から実施例32では、表1から表5のように設定した。すなわち、比D2/D1が0.15以上0.30以下であるものとそうでないもの、比Gr/G3が0.10≦Gr/G3≦0.30の関係を有するものとそうでないもの、比D3/D1が0.30以上0.45以下であるものとそうでないもの、第二ラグ溝32、第三ラグ溝33、第四ラグ溝34、第五ラグ溝35および第六ラグ溝36を有するものとそうでないもの、第二細溝16を有し、比Gs/G3が0.10≦Gs/G3≦0.30の関係を有するものとそうでないもの、第三ラグ溝33と第二細溝16とが交差するものとそうでないもの、第三ラグ溝33が第四主溝14に開口するものとそうでないもの、タイヤ赤道面CLから第三主溝13までの距離D13よりも、タイヤ赤道面CLから第二主溝12までの距離D12の方が短い(比D12/D13<1.0)ものとそうでないもの、比G2/G3が1.20≦G2/G3≦1.40の関係を有するものとそうでないもの、溝幅G1、溝幅G2、溝幅G3の関係が、G3<G1<G2の関係を有するものとそうでないもの、溝幅G2、溝幅G4が、G4<G2の関係を有するものとそうでないもの、溝幅G1、溝幅G2、溝幅G3が、(G2-G1)/G3≧0.01の関係を有するものとそうでないもの、最小陸部幅に対する最大陸部幅の比が1.05以下であるものとそうでないもの、各陸部の幅の少なくとも1つが他の幅と異なるものとすべて同じ幅のもの、をそれぞれ用意した。
【0071】
従来例の空気入りタイヤは、溝幅G1~G4が同じであり、第一溝部30、第一細溝15および第二細溝16を有していないものである。
【0072】
また、比較のため、比較例1、比較例2の空気入りタイヤを用意した。比較例1の空気入りタイヤは、比G1/G3が1.10、比G4/G3が1.20、第一溝部30を有し、第一細溝15を有しておらず、溝幅G1、G3、G4がG3<G1<G4の関係を有するものとした。比較例2の空気入りタイヤは、比G1/G3が1.10、比G4/G3が1.20、第一細溝15を有し、第一溝部30を有しておらず、溝幅G1、G3、G4がG3<G1<G4の関係を有するものとした。
【0073】
これらの空気入りタイヤについて、上記の評価方法により、ドライ操縦安定性能、ウエット操縦安定性能、ノイズ性能を評価し、その結果を表1から表5に併せて示した。
【0074】
表1から表5に示すように、比D2/D1が0.15以上0.30以下である場合、比Gr/G3が0.10≦Gr/G3≦0.30の関係を有する場合、比D3/D1が0.30以上0.45以下である場合、第二ラグ溝32、第三ラグ溝33、第四ラグ溝34、第五ラグ溝35および第六ラグ溝36を有する場合、第二細溝16を有し、比Gs/G3が0.10≦Gs/G3≦0.30の関係を有する場合、第三ラグ溝33と第二細溝16とが交差する場合、第三ラグ溝33が第四主溝14に開口する場合、タイヤ赤道面CLから第三主溝13までの距離D13よりも、タイヤ赤道面CLから第二主溝12までの距離D12の方が短い(比D12/D13<1.0)場合、比G2/G3が1.20≦G2/G3≦1.40の関係を有する場合、溝幅G1、溝幅G2、溝幅G3の関係が、G3<G1<G2の関係を有する場合、溝幅G2、溝幅G4が、G4<G2の関係を有する場合、溝幅G1、溝幅G2、溝幅G3が、(G2-G1)/G3≧0.01の関係を有する場合、最小陸部幅に対する最大陸部幅の比が1.05以下である場合、各陸部の幅の少なくとも1つが他の幅と異なる場合に、ドライ操縦安定性能、ウエット操縦安定性能およびノイズ性能について良好な結果が得られた。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【符号の説明】
【0080】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 空気入りタイヤ
11 第一主溝
12 第二主溝
13 第三主溝
14 第四主溝
15 第一細溝
16 第二細溝
30 第一溝部
30A 第一ラグ溝
30B サイプ
32 第二ラグ溝
33 第三ラグ溝
34 第四ラグ溝
35 第五ラグ溝
36 第六ラグ溝
CL タイヤ赤道面
Rc 中央陸部
Ri 内側陸部
Ro 外側陸部
Si 内側ショルダー陸部
So 外側ショルダー陸部
T タイヤ接地端
図1
図2
図3
図4