(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法及びヒートシンク付き絶縁回路基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20221220BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221220BHJP
C04B 37/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H05K7/20 C
C04B37/02 B
(21)【出願番号】P 2018240749
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018000363
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】石塚 博弥
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181549(JP,A)
【文献】特開2015-153925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B37/00-37/04
H01L23/29
H01L23/34-23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されてなる絶縁回路基板における前記金属層と、中央部に前記絶縁回路基板の少なくとも一部が収容される収容凹部が形成されたヒートシンクにおける前記収容凹部の底面とを接合するヒートシンク接合工程と、
前記ヒートシンク接合工程により接合されたヒートシンク付き絶縁回路基板の前記絶縁回路基板及び前記ヒートシンクの前記中央部を厚さ方向に挟持して押圧し、その状態を維持したまま前記ヒートシンクの周壁部を厚さ方向に挟持して押圧して前記ヒートシンク付き絶縁回路基板の反りを矯正する矯正工程と、を備えることを特徴とするヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記矯正工程では、前記ヒートシンクの前記周壁部を押圧してから所定時間経過後に、前記ヒートシンクの前記周壁部の押圧を解除し、その後、前記絶縁回路基板及び前記ヒートシンクの前記中央部の押圧を解除することを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記矯正工程では、前記絶縁回路基板の上側を第1凸曲面で押圧し、かつ前記ヒートシンクの前記中央部の下側を前記第1凸曲面に対応する第1凹曲面で押圧し、
前記ヒートシンクの前記周壁部の上側を前記ヒートシンクの中央から周縁にかけて下り勾配となる第2凹曲面にて押圧し、かつ前記周壁部の下側を前記第2凹曲面に対応する第2凸曲面で押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁回路基板は、平面視で長方形状に形成され、
前記第1凸曲面及び前記第1凹曲面は、前記絶縁回路基板の長手方向に沿う断面の曲率半径が前記絶縁回路基板の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1凸曲面及び前記第1凹曲面は、楕円曲面により構成され、
前記絶縁回路基板の長手方向と前記楕円曲面の長径方向とが平行であり、かつ、前記絶縁回路基板の短手方向と前記楕円曲面の短径方向とが平行であることを特徴とする請求項4に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、平面視で長方形状に形成され、
前記第2凸曲面及び前記第2凹曲面は、前記ヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径と、前記ヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径とが異なることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記第2凸曲面及び前記第2凹曲面は、前記ヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径が前記ヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径より大きいことを特徴とする請求項6に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2凸曲面及び前記第2凹曲面は、楕円曲面により構成され、
前記ヒートシンクの長手方向と前記楕円曲面の長径方向とが平行であり、かつ、前記ヒートシンクの短手方向と前記楕円曲面の短径方向が平行であることを特徴とする請求項7に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記ヒートシンク及び該ヒートシンクの前記収容凹部は、平面視で長方形状に形成され、
前記矯正工程では、前記絶縁回路基板の上側を第1凸曲面で押圧し、かつ前記ヒートシンクの前記中央部の下側を前記第1凸曲面に対応する第1凹曲面で押圧するとともに、
前記ヒートシンクの長手方向に沿う前記周壁部において前記収容凹部に隣接する第1領域の上側を前記ヒートシンクの短手方向に沿う軸を中心とする第1筒状凹面により押圧し、かつ、前記第1領域の下側を前記第1筒状凹面に対応する第1筒状凸面により押圧し、
前記ヒートシンクの短手方向に沿う前記周壁部において前記収容凹部に隣接する第2領域の上側を前記ヒートシンクの長手方向に沿う軸を中心とする第2筒状凹面により押圧し、かつ、前記第2領域の下側を前記第2筒状凹面に対応する第2筒状凸面により押圧し、
前記第1筒状凸面及び前記第1筒状凹面の曲率半径と、前記第2筒状凸面及び前記第2筒状凹面の曲率半径とが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1筒状凸面及び前記第1筒状凹面の曲率半径は、前記第2筒状凸面及び前記第2筒状凹面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記ヒートシンクの前記周壁部を挟持する面の少なくとも一方は、タイプAデュロメータ硬さが40以上A80以下のゴム材料により構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
【請求項12】
セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されてなる絶縁回路基板における前記金属層と、中央部に前記絶縁回路基板の少なくとも一部が収容される収容凹部が形成されたヒートシンクにおける前記収容凹部の底面とが接合されてなるヒートシンク付き絶縁回路基板であって、
前記絶縁回路基板の前記回路層の上面の平面度が
0.0032mm/cm
2
以上0.0076mm/cm
2
以下であり、
前記ヒートシンクの周壁部の平面度が
0.0031mm/cm
2
以上0.0056mm/cm
2
以下であることを特徴とするヒートシンク付き絶縁回路基板。
【請求項13】
前記回路層は、前記セラミックス基板に接合された純アルミニウムからなる第1回路層と、前記第1回路層の上面に接合されたアルミニウム合金からなる第2回路層と、を備え、
前記金属層は、純アルミニウムで構成され、前記ヒートシンクは、アルミニウム合金で構成されていることを特徴とする請求項12に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法及びヒートシンク付き絶縁回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁回路基板として、窒化アルミニウムを始めとするセラミックス基板からなる絶縁層の一方の面に回路層が接合されるとともに、他方の面にアルミニウム板を介してアルミニウム系のヒートシンクが接合されたヒートシンク付き絶縁回路基板が知られている。
例えば、特許文献1に開示されているヒートシンク付き絶縁回路基板は、セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、セラミックス基板の他方の面に放熱層を介してヒートシンクが接合されてなり、ヒートシンクの天板部には、絶縁回路基板が収容される収容凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている絶縁回路基板では、セラミックス基板と金属層との異種材料を接合しているため、反りが生じやすい。この場合、ヒートシンクの天板部を厚くして全体の剛性を高めることで反りを抑制することができるが、ヒートシンクの厚肉化に伴い大型になるという問題が生じる。一方、ヒートシンクの天板部を薄肉にして絶縁回路基板のセラミックス基板の両側の構成材間の剛性をバランスさせることにより、反りを軽減できると考えられるが、これには緻密な制御が必要で、そのバランスが少しでも崩れると反りが生じてしまう。このため、上記特許文献1に開示されている絶縁回路基板では、絶縁回路基板の表面の平面度やヒートシンクの周壁部の平面度が大きくなる傾向にある。
このような平面度の大きいヒートシンク付き絶縁回路基板の回路層の上面にチップをはんだ付け実装する場合、反りの影響で、はんだが偏りボイドの原因となる。また、ヒートシンクにおける周壁部の上面平面度が大きい場合、ケースへの接着不良やパッケージ樹脂の漏れ原因となり、また、ヒートシンクにおける周壁部の下面の平面度が大きい場合、冷却ジャケットへの締結時に冷却水が漏れる原因となる。そのため、ヒートシンク付き絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及び周壁部の平面度を小さくすることが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ヒートシンク付き絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法は、セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されてなる絶縁回路基板における前記金属層と、中央部に前記絶縁回路基板の少なくとも一部が収容される収容凹部が形成されたヒートシンクにおける前記収容凹部の底面とを接合するヒートシンク接合工程と、前記ヒートシンク接合工程により接合されたヒートシンク付き絶縁回路基板の前記絶縁回路基板及び前記ヒートシンクの前記中央部を厚さ方向に挟持して押圧し、その状態を維持したまま前記ヒートシンクの周壁部を厚さ方向に挟持して押圧して前記ヒートシンク付き絶縁回路基板の反りを矯正する矯正工程と、を備える。
【0007】
絶縁回路基板とヒートシンクの周壁部との両方を平坦にする必要があるが、絶縁回路基板が接合されているヒートシンクの中央部分とヒートシンクの周壁部とを別々に押圧すると、先に押圧して矯正した部位に後から押圧する際の応力が影響して全体の反りを矯正できない。また、これらを同時に押圧しても十分な矯正はできない。
【0008】
これに対し、本発明の製造方法によれば、絶縁回路基板とヒートシンクとを接合した後、ヒートシンク付き絶縁回路基板の絶縁回路基板及びヒートシンクの中央部を厚さ方向に挟持して押圧し、その状態を維持したままヒートシンクの周壁部を厚さ方向に挟持して押圧する。この場合、絶縁回路基板及び中央部の反りを矯正した状態を維持したまま、ヒートシンクの周壁部の反りを矯正するので、ヒートシンクの周壁部の反りを矯正した際に生じる応力が絶縁回路基板に伝達され難く、したがって、セラミックス基板の割れ等を生じることなく、確実に絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を小さくすることができる。
ここで、上記ヒートシンクの周壁部の平面度とは、周壁部における上面及び下面の平面度をいう。
なお、押圧順を逆にした場合、セラミックス基板が割れやすくなるため、本発明では、絶縁回路基板を押圧した状態を維持したままヒートシンクの周壁部を押圧することとしている。
【0009】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記矯正工程では、前記ヒートシンクの前記周壁部を押圧してから所定時間経過後に、前記ヒートシンクの前記周壁部の押圧を解除し、その後、前記絶縁回路基板及び前記ヒートシンクの前記中央部の押圧を解除するとよい。
ここで、絶縁回路基板及びヒートシンクの中央部の押圧を先に解除すると、該絶縁回路基板を囲む周壁部のみが押圧された状態となり、その押圧力が絶縁回路基板に伝達されてセラミックス基板が割れるおそれがある。
これに対し、上記態様では、ヒートシンクの周壁部の押圧を解除した後に、絶縁回路基板及びヒートシンクの中央部の押圧を解除するので、セラミックス基板が割れることを確実に抑制できる。
【0010】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記矯正工程では、前記絶縁回路基板の上側を第1凸曲面で押圧し、かつ前記ヒートシンクの前記中央部の下側を前記第1凸曲面に対応する第1凹曲面で押圧し、前記ヒートシンクの前記周壁部の上側を前記ヒートシンクの中央から周縁にかけて下り勾配となる第2凹曲面にて押圧し、かつ前記周壁部の下側を前記第2凹曲面に対応する第2凸曲面で押圧するとよい。
絶縁回路基板が接合しているヒートシンクの中央部は、回路層を上側として凸状の反りが発生する傾向がある。一方、ヒートシンクの周壁部は、中央部に比べて厚さ寸法が大きいため、中央から周縁にかけて上側に凹状となる反りが発生する。
【0011】
これに対し、上記態様によれば、回路層を上側として凸状の反りが発生する絶縁回路基板及びヒートシンクの中央部を第1凸曲面及び第1凹曲面で挟持して押圧する一方、凹状の反りが発生するヒートシンクの周壁部を第2凹曲面及び第2凸曲面で挟持して押圧するので、より確実に絶縁回路基板の反り及びヒートシンクの周壁部の反りを矯正できる。したがって、絶縁回路基板の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度をより低減させることができる。
【0012】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記絶縁回路基板は、平面視で長方形状に形成され、前記第1凸曲面及び前記第1凹曲面は、前記絶縁回路基板の長手方向に沿う断面の曲率半径が前記絶縁回路基板の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きいとよい。
【0013】
ここで、絶縁回路基板が平面視で長方形状に形成されている場合、縦横の寸法が異なるため、その反りに異方性が生じることから、球状のような縦横均一形状では、矯正工程後の形状を適正に制御し難い場合がある。
上記態様では、第1凸曲面及び第1凹曲面の絶縁回路基板の長手方向に沿う断面の曲率半径を絶縁回路基板の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きくすることで、長方形状の絶縁回路基板の長手方向の反り及び短手方向の反りに第1凸曲面及び第1凹曲面を沿わせることができ、これにより、絶縁回路基板の平面度をより高めることができる。
【0014】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記第1凸曲面及び前記第1凹曲面は、楕円曲面により構成され、前記絶縁回路基板の長手方向と前記楕円曲面の長径方向とが平行であり、かつ、前記絶縁回路基板の短手方向と前記楕円曲面の短径方向とが平行であるとよい。
上記態様では、絶縁回路基板の長手方向と楕円曲面の長径方向とが平行であり、かつ、絶縁回路基板の短手方向と楕円曲面の短径方向とが平行であることから、第1凸曲面及び第1凹曲面を1つの楕円曲面とすることで、第1凸曲面及び第1凹曲面の絶縁回路基板の長手方向に沿う断面の曲率半径を絶縁回路基板の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きく設定でき、絶縁回路基板の平面度を確実に向上できる。
【0015】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記ヒートシンクは、平面視で長方形状に形成され、前記第2凸曲面及び前記第2凹曲面は、前記ヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径と、前記ヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径とが異なるとよい。
【0016】
ここで、ヒートシンクが平面視で長方形状に形成されている場合、縦横の寸法が異なるため、その反りに異方性が生じることから、球状のような縦横均一形状では、矯正工程後の形状を適正に制御し難い場合がある。
これに対し、上記態様では、第2凸曲面及び第2凹曲面のヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径と、ヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径とが異なるので、長方形状のヒートシンクの長手方向の反り及び短手方向の反りに第2凸曲面及び第2凹曲面を沿わせることができ、これにより、ヒートシンクの平面度をより高めることができる。
【0017】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記第2凸曲面及び前記第2凹曲面は、前記ヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径が前記ヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径より大きいとよい。
上記態様では、第2凸曲面及び第2凹曲面のヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径をヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きくすることで、長方形状のヒートシンクの長手方向の反り及び短手方向の反りに第2凸曲面及び第2凹曲面を沿わせることができ、これにより、ヒートシンクの平面度をより高めることができる。
【0018】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記第2凸曲面及び前記第2凹曲面は、楕円曲面により構成され、前記ヒートシンクの長手方向と前記楕円曲面の長径方向とが平行であり、かつ、前記ヒートシンクの短手方向と前記楕円曲面の短径方向が平行であるとよい。
上記態様では、ヒートシンクの長手方向と楕円曲面の長径方向とが平行であり、かつ、ヒートシンクの短手方向と楕円曲面の短径方向とが平行であることから、第2凸曲面及び第2凹曲面を1つの楕円曲面とすることで、第2凸曲面及び第2凹曲面のヒートシンクの長手方向に沿う断面の曲率半径をヒートシンクの短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きく設定でき、ヒートシンクの平面度を確実に向上できる。
【0019】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい別の態様としては、前記ヒートシンク及び該ヒートシンクの前記収容凹部は、平面視で長方形状に形成され、前記矯正工程では、前記絶縁回路基板の上側を第1凸曲面で押圧し、かつ前記ヒートシンクの前記中央部の下側を前記第1凸曲面に対応する第1凹曲面で押圧するとともに、前記ヒートシンクの長手方向に沿う前記周壁部において前記収容凹部に隣接する第1領域の上側を前記ヒートシンクの短手方向に沿う軸を中心とする第1筒状凹面により押圧し、かつ、前記第1領域の下側を前記第1筒状凹面に対応する第1筒状凸面により押圧し、前記ヒートシンクの短手方向に沿う前記周壁部において前記収容凹部に隣接する第2領域の上側を前記ヒートシンクの長手方向に沿う軸を中心とする第2筒状凹面により押圧し、かつ、前記第2領域の下側を前記第2筒状凹面に対応する第2筒状凸面により押圧し、前記第1筒状凸面及び前記第1筒状凹面の曲率半径と、前記第2筒状凸面及び前記第2筒状凹面の曲率とが異なるとよい。
【0020】
上記態様では、回路層を上側として凸状の反りが発生する絶縁回路基板及びヒートシンクの中央部を第1凸曲面及び第1凹曲面で挟持して押圧する一方、凹状の反りが発生するヒートシンクの周壁部の第1領域を第1筒状凸面及び第1筒状凹面で挟持して押圧し、第2領域を第2筒状凸面及び第2筒状凹面で挟持して押圧するので、より確実に絶縁回路基板の反り及びヒートシンクの周壁部の反りを矯正できる。また、第1筒状凸面及び第1筒状凹面の曲率半径と、第2筒状凸面及び第2筒状凹面の曲率半径とが異なるので、第1領域の反りに第1筒状凸面及び第1筒状凹面を、第2領域の反りに第2筒状凸面及び第2筒状凹面を沿わせることができ、これにより、ヒートシンクの周壁部の平面度をより高めることができる。
【0021】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい別の態様としては、前記第1筒状凸面及び前記第1筒状凹面の曲率半径は、前記第2筒状凸面及び前記第2筒状凹面の曲率半径よりも大きいとよい。
上記態様では、第1筒状凸面及び第1筒状凹面の曲率半径が第2筒状凸面及び第2筒状凹面の曲率半径よりも大きく設定されているので、第1領域の反りに第1筒状凸面及び第1筒状凹面を、第2領域の反りに第2筒状凸面及び第2筒状凹面を沿わせることができ、これにより、ヒートシンクの周壁部の平面度をより高めることができる。
【0022】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記ヒートシンクの前記周壁部を挟持する面の少なくとも一方は、タイプAデュロメータ硬さが40以上A80以下のゴム材料により構成されているとよい。
タイプAデュロメータ硬さが40未満であると、ヒートシンクの周壁部のそれぞれを適切に押圧できず、平面度を向上できない可能性があり、タイプAデュロメータ硬さが80を超えると、上記各面により押圧された際にヒートシンクや絶縁回路基板が割れたり、傷ついたりする可能性がある。
【0023】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板は、セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されてなる絶縁回路基板における前記金属層と、中央部に前記絶縁回路基板の少なくとも一部が収容される収容凹部が形成されたヒートシンクにおける前記収容凹部の底面とが接合されてなるヒートシンク付き絶縁回路基板であって、前記絶縁回路基板の前記回路層の上面の平面度が0.0032mm/cm
2
以上0.0076mm/cm
2
以下であり、前記ヒートシンクの周壁部の平面度が0.0031mm/cm
2
以上0.0056mm/cm
2
以下である。
このヒートシンク付き絶縁回路基板は、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度が0.0032mm/cm
2
以上0.0076mm/cm
2
以下で、ヒートシンクの周壁部の平面度が0.0031mm/cm
2
以上0.0056mm/cm
2
以下であるので、ヒートシンク付き絶縁回路基板の回路層状にチップなどの電子部品を固定する際のはんだ付け時におけるボイドの発生を抑制し、かつ、周壁部にケース等を固定する場合における該ケース等への接着不良やパッケージ樹脂の漏れを抑制できる。
【0024】
本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板の好ましい態様としては、前記回路層は、前記セラミックス基板に接合された純アルミニウムからなる第1回路層と、前記第1回路層の上面に接合されたアルミニウム合金からなる第2回路層と、を備え、前記金属層は、純アルミニウムで構成され、前記ヒートシンクは、アルミニウム合金で構成されているとよい。
上記態様では、セラミックス基板の両面に接合される第1回路層及び金属層を純アルミニウムにより構成し、ヒートシンクと第2回路層とをアルミニウム合金により構成することで、セラミックス基板の両側の構成材間をバランスさせることができ、反りを軽減できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ヒートシンク付き絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板を用いたパワーモジュールを示す断面図である。
【
図2】
図1に示すヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法を説明する断面図であり、(a)が絶縁回路基板とヒートシンクとの接合前、(b)が接合後の状態を示す。
【
図3】上記第1実施形態におけるヒートシンク付き絶縁回路基板の平面図である。
【
図4】上記第1実施形態の製造方法における矯正工程の手順を示すフローチャートである。
【
図5】上記第1実施形態の製造方法における矯正工程において、ヒートシンク付き絶縁回路基板が冶具に載置された状態を示す断面図である。
【
図6】上記第1実施形態におけるパワーモジュールのケースへの取り付け例を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板を矯正する冶具の反りを示す図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板を示す平面図である。
【
図9】上記第3実施形態のヒートシンク付き絶縁回路基板を矯正する冶具におけるヒートシンクの周壁部を押圧する第1押圧部を示す平面図である。
【
図10】
図9に示す冶具及びヒートシンクのA1-A1線に沿う矢視断面図である。
【
図11】
図9に示す冶具及びヒートシンクのB1-B1線に沿う矢視断面図である。
【
図12】上記第2実施形態の変形例に係るヒートシンク付き絶縁回路基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
[ヒートシンク付き絶縁回路基板の概略構成]
本発明に係るヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法により製造されるヒートシンク付き絶縁回路基板1は、
図1に示すように、絶縁回路基板10に、複数のフィンが立設されたフィン一体型のヒートシンク20が接合されたものである。
【0029】
[パワーモジュールの構成]
そして、このヒートシンク付き絶縁回路基板1の表面に半導体チップ等の電子部品30が搭載されることにより、パワーモジュール100が製造される。
なお、フィン一体型のヒートシンク20を備えるパワーモジュール100は、例えば
図6に示すようなケース40に取り付けられた状態で使用される。このケース40は、複数のピン状フィン25を内部に挿入状態として取り付けるための開口部41が形成されるとともに、その開口部41の周囲を囲むようにパッキン収容溝42が形成されている。そして、パッキン収容溝42の外側にねじ穴43が形成されており、ヒートシンク20をピン状フィン25が下方を向くように配置することにより開口部41内に挿入し、開口部41の周囲にパッキン50を介して密接させ、ねじ止めにより固定する構成とされる。
図6に示す例では、2個のヒートシンク付き絶縁回路基板1(パワーモジュール100)が取り付けられるようになっており、白抜き矢印で示すように、ケース40の内部に冷却媒体が流通して挿入状態のピン状フィン25を冷却するようになっている。
【0030】
[絶縁回路基板の構成]
ヒートシンク付き絶縁回路基板を構成する絶縁回路基板10は、セラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面に積層された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面に積層された金属層13とを備える。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13の間の電気的接続を防止する絶縁材であって、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)等により形成され、その板厚は0.2mm~1.2mmである。
【0031】
回路層12は、セラミックス基板11に接合される第1回路層121と、第1回路層121の上面に接合される第2回路層122とを備えている。
これらのうち第1回路層121は、純度99質量%以上の純アルミニウムが用いられ、JIS規格では1000番台の純アルミニウム、特に1N90(純度99.9質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。
金属層13は、純度99質量%以上の純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、JIS規格では1000番台のアルミニウム、特に1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。
【0032】
本実施形態においては、第1回路層121及び金属層13は、純度が99.99質量%以上の純アルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム板とされ、その厚さは0.4mm~1.6mmに設定されており、第1回路層121の厚さ寸法と金属層13の厚さ寸法とが同一に設定されている。
一方、第2回路層122は、A6063系等のアルミニウム合金が用いられており、その厚さは0.5mm~1.5mmに設定されており、後述するヒートシンク20の中央部21の厚さ寸法と同一の厚さ寸法に設定されている。
そして、これら回路層12及び金属層13は、第1回路層121、第2回路層122、セラミックス基板11、及び金属層13の順に、例えばAl-Si-Mg系のろう材を介して積層し、これらを積層方向に加圧して加熱することにより接合される。
【0033】
[ヒートシンクの構成]
この絶縁回路基板10に接合されるヒートシンク20は、A6063系等のアルミニウム合金からなる板材により形成される。そして、金属層13に接合されるヒートシンクの中央部21に、絶縁回路基板10の少なくとも一部が収容される収容凹部22が形成され、収容凹部22の外周側に厚肉部分が残されることにより周壁部23が形成されている。この収容凹部22の底面に絶縁回路基板10の金属層13が、Al-Si-Mg系のろう材を介して積層し、これらを積層方向に加圧して加熱することにより絶縁回路基板10にヒートシンク20が接合される。
【0034】
また、ヒートシンク20は、中央部21の厚み寸法(収容凹部22の底面部分の厚み寸法)が周壁部23の厚み寸法よりも薄く形成されている。本実施形態においては、ヒートシンク20がA6063系アルミニウム合金からなる総厚2.1mm~6.8mmの板材により形成され、周壁部23の厚み寸法が2.1mm~6.8mm、収容凹部22の底面部分の厚み寸法が0.5mm~1.5mmに設定されている。このヒートシンク20の中央部21の下面21bには、複数のピン状フィン25が立設され、このピン状フィン25の先端位置は水平面上に揃えられ、下面21bの表面からほぼ等しい立設高さとなるように形成されている。
このようなヒートシンク20の外周縁には、例えば
図6に示すように、ケース40等の各種機器への取り付けの際にねじ止めを行うための締結穴26が形成されている。
なお、ヒートシンク20に立設されるフィンの形状は特に限定されるものではなく、本実施形態のようなピン状フィン25の他、ひし形フィンや帯板状のフィン等を形成することもできる。
【0035】
なお、パワーモジュール100を構成する電子部品30は、回路層12の表面に形成されたNiめっき(不図示)上に、Sn‐Ag‐Cu系、Zn‐Al系、Sn‐Ag系、Sn‐Cu系、Sn‐Sb系もしくはPb‐Sn系等のはんだ材を用いて接合される。
図1中の符号31が、そのはんだ接合層を示す。また、電子部品30と回路層12の端子部との間は、アルミニウムからなるボンディングワイヤ(不図示)により接続される。
【0036】
次に、本実施形態のヒートシンク付き絶縁回路基板1の製造方法について説明する。
その製造方法は、セラミックス基板11に回路層12のうちの第1回路層121及び金属層13を接合して絶縁回路基板10を形成する絶縁回路基板形成工程と、絶縁回路基板10に第2回路層122及びヒートシンク20を接合するヒートシンク接合工程と、ヒートシンク接合工程により接合されたヒートシンク付き絶縁回路基板1を厚さ方向に押圧してヒートシンク付き絶縁回路基板1の反りを矯正する矯正工程と、からなる。以下、この工程順に説明する。
【0037】
(絶縁回路基板形成工程)
第1回路層121、セラミックス基板11、金属層13を、それぞれAl-Si系、Al-Ge系、Al-Cu系、Al-Mg系、Al-Mn系、又はAl-Si-Mg系ろう材箔を介して積層し、その積層体を積層方向に加圧した状態で加熱した後、冷却することにより、セラミックス基板11の一方の面11aに第1回路層121、他方の面11bに金属層13が接合される。ろう材箔は加熱により溶融し、回路層12や金属層13中に拡散して、これらをセラミックス基板11と強固に接合する。
このときの接合条件は、必ずしも限定されるものではないが、真空雰囲気中で、積層方向の加圧力が0.3MPa~1.5MPaで、630℃以上655℃以下の加熱温度に20分以上120分以下保持するのが好適である。
【0038】
(ヒートシンク接合工程)
図2(a)に示すように、第1回路層121上にAl-Si-Mg系ろう材箔14を介して第2回路層122を配置し、かつ、絶縁回路基板10の金属層13の下面と、ヒートシンク20の収容凹部22の底面との間にAl-Si-Mg系ろう材箔介在させ、積層方向に加圧した状態で加熱することにより、第1回路層121と第2回路層122及び金属層13とヒートシンク20とを接合する。これにより、セラミックス基板11の両面に回路層12及び金属層が接合された絶縁回路基板10が形成され、この絶縁回路基板10にヒートシンク20が接合される。この積層方向の加圧力は、0.1MPa~0.5MPaで、590℃以上615℃以下の加熱温度に3分以上20分以下保持するのが好適である。
【0039】
(矯正工程)
絶縁回路基板10及び該絶縁回路基板10が接合されるヒートシンク20の収容凹部22(中央部21)は、
図2(b)の二点鎖線L1に示すように、回路層12を上側として凸状の反りが発生する傾向がある。また、ヒートシンク20の周壁部23は、中央部21に比べて厚さ寸法が大きいため、
図2(b)の二点鎖線L2に示すように、中央から周縁にかけて上側に凹状となる反りが発生する。
【0040】
このような反りの矯正工程は、
図4に示す手順にて実行され、
図5に示す絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を厚さ方向に押圧する一対の加圧板61,62、並びに、ヒートシンク20の周壁部23を厚さ方向に押圧する一対の加圧板71,72を備える冶具を用いて、常温(25℃)で実行される。
これらのうち、加圧板61,62は、角柱状のステンレス鋼材の表面にカーボン板が積層されたものであり、加圧板61は、絶縁回路基板10の回路層12表面を押圧する曲面状の第1凸曲面611を有し、加圧板62は、ヒートシンク20の中央部21の下側に位置するピン状フィン25の先端を押圧する曲面状の第1凹曲面621を有している。第1凸曲面611は、ヒートシンク20の絶縁回路基板10との接合面を凹状とするような曲率半径Rが1000mm以上9000mm以下とされる凸状の曲面である。また、第1凹曲面621は、第1凸曲面611に対応し、ヒートシンク20の中央部21との接合面を凸状とするような曲率半径Rが1000mm以上9000mm以下とされる凹状の曲面である。なお、第1凸曲面611の曲率半径Rと第1凹曲面621の曲率半径Rとは、同一若しくは、絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21の厚さの分、第1凹曲面621の曲率半径Rの方が大きい。
【0041】
加圧板71は、枠状のステンレス鋼材の表面にカーボン板が積層されたものであり、ヒートシンク20の周壁部23の上面24を押圧する曲面状の第2凹曲面711を有し、加圧板72は、ヒートシンク20の周壁部23の下面24Aを押圧する曲面状の第2凸曲面721を有している。この第2凹曲面711は、ヒートシンク20の周壁部23の上側(上面24)を中央から周縁にかけて上り勾配とするような曲率半径Rが1000mm以上9000mm以下とされる凹状の曲面である。また、第2凸曲面721は、第2凹曲面711に対応し、ヒートシンク20の周壁部23の下側(下面24A)を中央から周縁にかけて下り勾配とするような曲率半径Rが1000mm以上9000mm以下とされる凸状の曲面である。
具体的には、第2凹曲面711は、
図3に示すヒートシンク20の中心Cを上記厚さ方向に延びて通過する仮想線C1(
図5参照)から周縁にかけて下り勾配となる凹状の曲面であり、第2凸曲面721は、上記仮想線C1から周縁にかけて下り勾配となる凸状の曲面である。なお、第2凹曲面711の曲率半径Rと第2凸曲面721の曲率半径Rとは、同一若しくは、ヒートシンク20の周壁部23の厚さの分、第2凸曲面721の曲率半径Rの方が大きい。
【0042】
また、加圧板72の上面には、本発明のゴム材料に相当する枠状のゴム73が第2凸曲面721に沿って貼付されており、例えば、ゴム73の厚さは0.5mm~4.0mmに設定され、本実施形態では、略2mmに設定されている。このゴム73は、タイプAデュロメータ硬さが40以上A80以下のゴム材料により構成されている。このタイプAデュロメータ硬さが40未満であると、ヒートシンク20の周壁部23のそれぞれを適切に押圧できず、平面度を向上できない可能性があり、タイプAデュロメータ硬さが80を超えると、一対の加圧板71,72のそれぞれにより押圧された際に、絶縁回路基板10やヒートシンク20が割れたり、傷ついたりする可能性がある。
【0043】
なお、本実施形態では、加圧板72の上面にのみゴム73を形成することとしたが、これに限らず、加圧板71の表面にも上述したタイプAデュロメータ硬さ及び厚さのゴム材料を用いたゴムを設けることとしてもよいし、加圧板72に代えて加圧板71にのみゴム73が形成されていてもよい。すなわち、ヒートシンク20の周壁部23を挟持する面の少なくとも一方が上記ゴム材料により構成されていればよい。
【0044】
矯正工程では、まず、
図4に示すように、ヒートシンク接合工程により接合されたヒートシンク付き絶縁回路基板1の絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を厚さ方向(
図5に示す白抜き矢印に沿う方向)に押圧する(ステップS11)。具体的には、
図5に示すように、ヒートシンク付き絶縁回路基板1を上記冶具に装着し、一対の加圧板61,62により挟持して押圧する。この際、加圧板62は、
図5に示す位置に固定され、加圧板61が絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を厚さ方向に押圧する。なお、この加圧板61の押圧力は、必ずしも限定されるものではないが、積層方向の加圧力が0.2MPa~2.0MPaに設定される。これにより、凸状に沿った状態の絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21は、加圧板61の第1凸曲面611により押圧されることで、加圧板61の第1凸曲面611及び加圧板62の第1凹曲面621により挟持され、凸状に沿った状態から凹状に反る状態に矯正される。
【0045】
そして、矯正工程では、その状態を維持したまま、ヒートシンク20の周壁部23を厚さ方向(
図5に示す二点鎖線白抜き矢印に沿う方向)に押圧する(ステップS12)。具体的には、
図5に示すように、絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を一対の加圧板61,62で押圧(挟持)した状態を維持したまま、加圧板71,72により挟持して押圧する。なお、この加圧板71の押圧力は、必ずしも限定されるものではないが、積層方向の加圧力が0.2MPa~2.0MPaに設定され、例えば、2mm厚のゴム73のたわみ量が0.1mm~0.5mmとなる圧力で押圧される。また、この周壁部23を押圧する押圧力は、絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を押圧する押圧力より大きく設定されている。
なお、押圧順を逆にした場合、セラミックス基板11が割れやすくなるため、本実施形態では、絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を押圧した状態を維持したままヒートシンク20の周壁部23を押圧することとしている。
【0046】
このように、絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21を一対の加圧板61,62にて押圧して、その状態を維持したままヒートシンク20の周壁部23を加圧板71,72により押圧した後、所定時間(例えば、30秒~50秒)経過すると、まず、加圧板71を上記押圧方向とは反対方向に移動させてヒートシンク20の周壁部23の押圧を解除し(ステップS13)、その後、加圧板61を上記押圧方向とは反対方向に移動させて絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部21の押圧を解除し(ステップS14)、矯正処理が終了する。
これは、ヒートシンク20の周壁部23を押圧してから所定時間経過後に、絶縁回路基板10及びヒートシンク20の中央部の押圧を先に解除させると、該絶縁回路基板10を囲む周壁部23のみが押圧されることとなり、該押圧力が絶縁回路基板10に伝達されてセラミックス基板11が割れるおそれがあるからである。
【0047】
このような矯正工程を経たヒートシンク付き絶縁回路基板1は、絶縁回路基板10の回路層12の上面の平面度が0.01mm/cm2以下であり、かつ、ヒートシンク20の周壁部23の平面度が0.006mm/cm2以下となる。
このため、ヒートシンク付き絶縁回路基板1に電子部品30のはんだ付け時におけるボイドの発生を抑制し、かつ、周壁部23にケース40を固定する場合における該ケース40への接着不良やパッケージ樹脂の漏れを抑制できる。
また、セラミックス基板11の両面に接合される第1回路層121及び金属層13を純アルミニウムにより構成し、ヒートシンク20と第2回路層122とをアルミニウム合金により構成することで、セラミックス基板11の両側の構成材間をバランスさせることができ、反りを確実に軽減できる。
【0048】
この製造方法によれば、絶縁回路基板10及び中央部21の反りを矯正した状態を維持したまま、ヒートシンク20の周壁部23の反りを矯正するので、絶縁回路基板10の反りを矯正した際に生じる応力がヒートシンク20の周壁部23を矯正した際の応力が絶縁回路基板10に伝達され難いので、セラミックス基板11の割れ等を生じることがない。また、ヒートシンク20の周壁部23の押圧を解除した後に、絶縁回路基板10の押圧を解除するので、セラミックス基板11が割れることを抑制できる。
【0049】
また、回路層12を上側として凸状の反りが発生する絶縁回路基板10及び中央部21を第1凸曲面611及び第1凹曲面621で挟持して押圧し、凹状の反りが発生するヒートシンク20の周壁部23を第2凹曲面711及び第2凸曲面721で挟持して押圧するので、より確実に絶縁回路基板10及びヒートシンク20の反りを矯正できる。したがって、絶縁回路基板10の平面度及びヒートシンク20の周壁部23の平面度をより低減させることができる。したがって、確実にヒートシンク付き絶縁回路基板1の回路層12の上面の平面度及びヒートシンク20の周壁部23の平面度を小さくすることができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法について、図面を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板の反りを矯正する冶具の上側(絶縁回路基板及びヒートシンクの周壁部の上面に当接する)加圧板を押圧面側から見た平面図である。
ここで、絶縁回路基板10及びヒートシンク20が平面視で長方形状に形成されている場合、縦横の寸法が異なるため、その反りに異方性が生じることから、上記第1実施形態のように加圧板61,62及び加圧板71,72が球状のような縦横均一形状では、矯正工程後の形状を適正に制御し難い場合がある。
【0051】
これを解消するため、本実施形態では、上記第1実施形態の加圧板61,62の第1凸曲面611及び第1凹曲面621、並びに加圧板71,72の第2凹曲面711及び第2凸曲面721が楕円曲面により構成されている。なお、以下の説明では、
図7には、加圧板61Aの第1凸曲面611A、及び加圧板71Aの第2凹曲面711Aのみを示しているが、加圧板61Aに対応する加圧板の第1凹曲面(以下、図示は省略するが説明の都合上、加圧板62Aの第1凹曲面621Aという)及び加圧板71Aに対応する加圧板の第2凸曲面(以下、図示は省略するが説明の都合上、加圧板72Aの第2凹曲面721Aという)も楕円曲面により構成されている。
【0052】
これら第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aは、上述したように、楕円曲面により構成され、絶縁回路基板10の長手方向と楕円曲面の長径方向w2とが平行であり、かつ、絶縁回路基板10の短手方向と楕円曲面の短径方向w1とが平行である。このため、第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aは、絶縁回路基板10の長手方向に沿う断面の曲率半径が第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aの絶縁回路基板10の短手方向に沿う断面の曲率半径より大きくなる。
【0053】
また、第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aは、上述したように楕円曲面により構成され、ヒートシンク20の長手方向と楕円曲面の長径方向w2とが平行であり、かつ、ヒートシンク20の短手方向と楕円曲面の短径方向w1とが平行である。このため、第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aは、ヒートシンク20の長手方向に沿う断面の曲率半径がヒートシンク20の短手方向に沿う断面の曲率半径より大きくなる。
【0054】
本実施形態では、第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aの絶縁回路基板10の長手方向に沿う断面の曲率半径を絶縁回路基板10の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きくすることで、長方形状の絶縁回路基板10の長手方向の反り及び短手方向の反りに第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aを沿わせることができ、これにより、絶縁回路基板10の平面度をより高めることができる。また、第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aを1つの楕円曲面とすることで、第1凸曲面611A及び第1凹曲面621Aの絶縁回路基板10の長手方向に沿う断面の曲率半径を絶縁回路基板10の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きく設定でき、絶縁回路基板10の平面度を確実に向上できる。
【0055】
また、第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aのヒートシンク20の長手方向に沿う断面の曲率半径をヒートシンク20の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きくすることで、長方形状のヒートシンク20の長手方向の反り及び短手方向の反りに第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aを沿わせることができ、これにより、ヒートシンク20の平面度をより高めることができる。さらに、第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aを1つの楕円曲面とすることで、第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aのヒートシンク20の長手方向に沿う断面の曲率半径をヒートシンク20の短手方向に沿う断面の曲率半径よりも大きく設定でき、ヒートシンク20の平面度を確実に向上できる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板1の製造方法について、図面を用いて説明する。
図8は、本実施形態のヒートシンク付き絶縁回路基板の平面図であり、
図9は、本実施形態に係るヒートシンク付き絶縁回路基板の反りを矯正する冶具の上側(ヒートシンクの周壁部の上面に当接する)加圧板を押圧面側から見た平面図であり、
図10は、
図9に示した加圧板及びヒートシンクのA1-A1線に沿う断面であり、
図11は、
図9に示した加圧板及びヒートシンクのB1-B1線に沿う断面である。
【0057】
本実施形態では、加圧板61A,62Aは、上記第2実施形態と同じであり、加圧板71B,72Bのそれぞれが曲率の異なる2つの筒状面(筒状凹面)を有する点で、上記第2実施形態と異なる。なお、以下の説明では、
図9には、加圧板71Bのみを示しているが、加圧板71Bに対応する加圧板(以下、図示は省略するが説明の都合上、加圧板72Bという)は、それぞれ曲率半径の異なる2つの筒状面(筒状凸面)を有している。
【0058】
本実施形態では、
図10に示すように、ヒートシンク20の長手方向に沿う周壁部23において、収容凹部22に隣接する第1領域Ar1(
図8参照)の上側をヒートシンク20の短手方向に沿う軸を中心とする第1筒状凹面712Bにより押圧し、かつ、第1領域Ar1の下側を第1筒状凹面712Bに対応する第1筒状凸面により押圧する。また、
図11に示すように、ヒートシンク20の短手方向に沿う周壁部23において、収容凹部22に隣接する第2領域Ar2(
図8参照)の上側をヒートシンク20の長手方向に沿う軸を中心とする第2筒状凹面713Bにより押圧し、かつ、第2領域Ar2の下側を第2筒状凹面713Bに対応する第2筒状凸面により押圧する。さらに、第1筒状凹面712B及び第1筒状凸面の曲率半径は、第2筒状凹面713B及び第2筒状凸面の曲率半径よりも大きく設定されている。
【0059】
なお、本実施形態では、加圧板71B及び加圧板72Bにおける角部(各筒状凹面及び各筒状凸面により構成されていない領域)については、特に限定しないが、平面であってもよいし、各筒状凹面及び各筒状凸面に段差が形成されないように連続した曲面等により構成されてもよい。
【0060】
本実施形態では、凹状の反りが発生するヒートシンク20の周壁部23の第1領域Ar1を第1筒状凹面712B及び第1筒状凸面で挟持して押圧し、第2領域Ar2を第2筒状凹面713B及び第2筒状凸面で挟持して押圧するので、より確実に絶縁回路基板10の反り及びヒートシンク20の周壁部23の反りを矯正できる。また、第1筒状凹面712B及び第1筒状凸面の曲率半径が第2筒状凹面713B及び第2筒状凸面の曲率半径よりも大きく設定されているので、第1領域Ar1の反りに第1筒状凹面712B及び第1筒状凸面を、第2領域Ar2の反りに第2筒状凹面713B及び第2筒状凸面を沿わせることができ、これにより、ヒートシンク20の周壁部23の平面度をより高めることができる。
【0061】
なお、上記第1実施形態では、第1凸曲面611、第1凹曲面621、第2凹曲面711及び第2凸曲面721のように曲面で押圧したが、これに限定されず、曲面を有さない、即ち、平板状の加圧板で押圧してもよい。
【0062】
上記第2実施形態では、ヒートシンク20の周壁部23を押圧する第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aにおいて、ヒートシンク20の長手方向に沿う断面の曲率半径をヒートシンク20の短手方向に沿う断面の曲率半径より大きくすることとしたが、これに限らない。例えば、
図12に示す形状のヒートシンク付き絶縁回路基板1Aでは、絶縁回路基板10の長手方向と、ヒートシンク20の短手方向とが一致している。この場合、絶縁回路基板10の長手方向の反りが短手方向の反りよりも大きくなるため、ヒートシンク20においては、短手方向の反りが長手方向の反りよりも大きくなる。このため、
図12に示すヒートシンク付き絶縁回路基板1Aのヒートシンク20を押圧する場合には、ヒートシンク20の周壁部23を押圧する第2凸曲面721A及び第2凹曲面711Aにおいて、ヒートシンク20の長手方向に沿う断面の曲率半径をヒートシンク20の短手方向に沿う断面の曲率半径より小さくすればよい。
【0063】
なお、上記第3実施形態に係る冶具により上記
図12に示したヒートシンク付き絶縁回路基板1Aのヒートシンク20の周壁部23を押圧する場合、第1筒状凹面712B及び第1筒状凸面の曲率半径を第2筒状凹面713B及び第2筒状凸面の曲率半径よりも小さくすればよい。
【0064】
また、上記各実施形態では、
図3に示すように回路層12が2個に分かれている構成としたが、これに限らず、2個以上の複数、例えば6個や12個等に分かれている構造としても良い。さらに、回路層12が分かれていない回路層としても良い。
【0065】
その他、細部構成は実施形態の構成のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【実施例】
【0066】
実施例1~16、比較例1,2及び従来例については、絶縁回路基板として、窒化珪素Si3N4により形成された平面視で70mm×70mm、厚さ0.32mmのセラミックス基板の一方の面に4Nアルミニウムからなる第1回路層、他方の面に4Nアルミからなる金属層を接合したものを用い、これに、第1回路層上にA6063系のアルミニウム合金からなる第2回路層と、中央部に平面視で72mm×72mm、深さ3.2mmの収容凹部が形成され、周壁部の外径が100mm×100mm、厚さ4mmのA6063系のアルミニウム合金からなるヒートシンクを接合した。また、実施例7~16については、絶縁回路基板及びヒートシンクの平面サイズが異なっており、絶縁回路基板のサイズは、平面視で75mm×65mm、ヒートシンクの中央部のサイズは平面視で77mm×67mm、周壁部の外径が100mm×80mmとした。すなわち、実施例7~16では、ヒートシンク外周部が平面視で長方形状のものを用いた。
なお、本実施例においては、第1回路層及び第2回路層をエッチングすることにより12個の回路層を形成した。また、ヒートシンクの周壁部の4隅には、締結穴が形成されている。
【0067】
この絶縁回路基板とヒートシンクとが接合されたヒートシンク付き絶縁回路基板を表2に示した矯正方法にて反りを矯正した。また、この冶具の押圧面の形状を表1に示す通りとし、周壁部を挟持して押圧する各押圧面の表面には、表1に示す厚さのゴム材料を配置した。このゴム材料のタイプAデュロメータ硬さは、タイプAデュロメータ(株式会社テクロック製:GS719N)を用いて測定し、表1に示した。
【0068】
この表2に示した手順にて矯正されたヒートシンク付き絶縁回路基板について、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を評価した。また、セラミックス基板の割れの有無についても評価した。
具体的には、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度は、第2回路層全面に対する4隅を基準面とし、12個の電子部品(チップ)の搭載予定箇所のそれぞれの4隅を3次元測定器により測定し、合計48か所のZ軸座標を測定した。そして、Z軸座標の最大値とZ軸座標の最小値の差を測定面積で除した値を平面度として算出し、その値を表1に記載した。なお、測定面積は、第1回路層の全面4隅を範囲とした総面積とした。
【0069】
また、ヒートシンクの周壁部の平面度は、ヒートシンクの周壁部の下面において、収容凹部(ピン状フィン)を囲む領域を12mmピッチにて、合計24箇所を割り当て、この24箇所の4隅を基準面として、Z軸座標を測定した。Z軸座標の最大値とZ軸座標の最小値の差を測定面積で除した値を平面度として算出し、その値を表2に示した。なお、測定面積はヒートシンク下面の面積とした。
また、セラミックス基板の割れについては、矯正されたヒートシンク付き絶縁回路基板を目視にて観察し、割れの有無を評価し、その値を表2に示した。
【0070】
【0071】
【0072】
表1から明らかなように、絶縁回路基板及び中央部を押圧した状態を維持したまま、ヒートシンクの周壁部を押圧する実施例1~16では、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を小さくすることができた。
絶縁回路基板及び中央部の押圧と、ヒートシンクの周壁部の押圧を同一平面で同時に行った、従来例では、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を同時に小さくすることが困難であった。
ヒートシンクの周壁部の押圧状態を維持したまま、絶縁回路基板及び中央部を押圧した比較例1及び比較例2では、セラミックス基板に割れが生じた。
なお、表1において、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度をより小さくできたのは、絶縁回路基板を凸曲面、中央部を凹曲面で押圧し、かつ、ヒートシンクの周壁部の上側を凹曲面、下側を凸曲面で押圧した実施例2~6であった。
【0073】
また、絶縁回路基板及びヒートシンク(収容凹部)が平面視で長方形の実施例7~16のうち、実施例11~16では、ヒートシンク付き絶縁回路基板の反りに異方性が生じるものの、絶縁回路基板を楕円曲面状の凸曲面、中央部を楕円曲面状の凹曲面で押圧し、かつ、ヒートシンクの周壁部の上側を楕円曲面状の凸曲面で押圧し、下側を楕円曲面状の凹曲面で押圧したので、絶縁回路基板の回路層の上面の平面度及びヒートシンクの周壁部の平面度を小さくすることができた。これは、ヒートシンクの周壁部の上側を第1筒状凹面及び第2筒状凹面で押圧し、下側を第1筒状凸面及び第2筒状凸面で押圧した実施例7~10も同様であった。
【符号の説明】
【0074】
1 1A ヒートシンク付き絶縁回路基板
10 絶縁回路基板
11 セラミックス基板
12 回路層
121 第1回路層
122 第2回路層
13 金属層
20 ヒートシンク
21 中央部
22 収容凹部
23 周壁部
24 上面
24A 下面
25 ピン状フィン
26 締結穴
30 電子部品
40 ケース
41 開口部
42 パッキン収容溝
43 ねじ穴
50 パッキン
61 加圧板
62 加圧板
611 611A 第1凸曲面
621 621A 第1凹曲面
71 71A 71B 加圧板
72 72A 72B 加圧板
711 711A 第2凹曲面
721 721A 第2凸曲面
712B 第1筒状凹面
713B 第2筒状凹面
73 ゴム(ゴム材料)
C 中心
C1 仮想線