(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3296 20190101AFI20221220BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20221220BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20221220BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06F1/3296
H02J7/34 A
H02J1/00 304E
G06F1/26 306
(21)【出願番号】P 2018246990
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】林 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 元
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-529456(JP,A)
【文献】特開2017-138870(JP,A)
【文献】特開2006-331080(JP,A)
【文献】特開2009-220366(JP,A)
【文献】特開2012-078781(JP,A)
【文献】特開2018-143016(JP,A)
【文献】特開2015-176443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
B41J 5/00- 5/52
B41J 21/00-21/18
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G06F 3/09- 3/12
H02J 1/00- 1/16
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、
前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、
を備え、
前記変圧部は、
第1変圧部と、
前記第1変圧部とは変圧効率が異なる第2変圧部と、
を有し、
前記制御部は、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第1変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第2変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、の切り替えを実行
し、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を、第1電力量から、前記第1電力量とは異なる大きさの第2電力量へ変更することにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において肯定判断した場合、前記外部機器へ前記インタフェースを介して、前記第2電力量を要求する要求処理と、
を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
第1状態と、前記第1状態に比べて消費電力量が大きい第2状態と、に切り替え可能であり、
前記第2変圧部の変圧効率は、
前記処理部が前記第2状態にあるとき、前記第1変圧部の変圧効率に比べて高く、
前記制御部は、
前記処理部の状態が前記第1状態から前記第2状態へ切り替わるのに応じて、前記第1変圧状態から前記第2変圧状態への切り替えを実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1変圧部の変圧効率は、
前記処理部が前記第1状態にあるとき、前記第2変圧部の変圧効率に比べて高く、
前記制御部は、
前記処理部の状態が前記第2状態から前記第1状態へ切り替わるのに応じて、前記第2変圧状態から前記第1変圧状態への切り替えを実行する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を変更せずに、前記第1変圧状態と前記第2変圧状態とを切り替えることにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができると判断する場合、前記第1変圧状態と前記第2変圧状態とを切り替える切替処理を、実行する、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記要求処理を実行した後に、前記外部機器から前記第2電力量の前記受電電力を受電できない場合、前記第1変圧状態と前記第2変圧状態のうち、変圧効率の良い状態にする
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記インタフェースは、
USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続により電力授受及び通信を行うインタフェースである、請求項1乃至請求
項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1変圧部は、
リニアレギュレータ及びDC/DCコンバータのうち、少なくとも1つを有する、請求項1乃至請求
項6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2変圧部は、
DC/DCコンバータである、請求項1乃至請求
項7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、
CPU及びセンサのうち、少なくとも1つを有する、請求項1乃至請求
項8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、
画像を形成可能であり、
前記第2状態は、
前記第1状態に比べて高速で前記処理部により画像を形成する状態である、請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、
画像を形成可能であり、
前記第2状態は、
前記第1状態に比べて高画質の画像を前記処理部により形成する状態である、請求項2、請求項3及び請求
項10の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、
前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、
前記変圧部へ制御信号を出力する制御部と、
を備え、
前記変圧部は、
第1変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、
前記第1変圧効率とは異なる第2変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、
を有し、
前記制御部は、
前記制御信号に基づいて、前記変圧部の前記第1変圧状態と前記第2変圧状態を切り替
え、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を、第1電力量から、前記第1電力量とは異なる大きさの第2電力量へ変更することにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において肯定判断した場合、前記外部機器へ前記インタフェースを介して、前記第2電力量を要求する要求処理と、
を実行する、情報処理装置。
【請求項13】
外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記変圧部は、
第1変圧部と、
前記第1変圧部とは変圧効率が異なる第2変圧部と、
を有し、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第1変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第1変圧工程と、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第2変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第2変圧工程と、
前記第1変圧工程と前記第2変圧工程との切り替えを実行する切替工程と、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を、第1電力量から、前記第1電力量とは異なる大きさの第2電力量へ変更することにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができるか否かを判断する第1判断工程と、
前記第1判断工程において肯定判断した場合、前記外部機器へ前記インタフェースを介して、前記第2電力量を要求する要求工程と、
を含む、情報処理装置の制御方法。
【請求項14】
外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記変圧部は、
第1変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、
前記第1変圧効率とは異なる第2変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、
を有し、
前記変圧部へ供給する制御信号に基づいて、前記変圧部の前記第1変圧状態と前記第2変圧状態を切り替
え、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を、第1電力量から、前記第1電力量とは異なる大きさの第2電力量へ変更することにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができるか否かを判断する第1判断工程と、
前記第1判断工程において肯定判断した場合、前記外部機器へ前記インタフェースを介して、前記第2電力量を要求する要求工程と、
を含む、情報処理装置の制御方法。
【請求項15】
外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、を備える情報処理装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記変圧部は、
第1変圧部と、
前記第1変圧部とは変圧効率が異なる第2変圧部と、
を有し、
前記コンピュータに、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第1変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第2変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、の切り替えを実行さ
せ、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を、第1電力量から、前記第1電力量とは異なる大きさの第2電力量へ変更することにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において肯定判断した場合、前記外部機器へ前記インタフェースを介して、前記第2電力量を要求する要求処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項16】
外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、を備える情報処理装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記変圧部は、
第1変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、
前記第1変圧効率とは異なる第2変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、
を有し、
前記コンピュータに、
前記変圧部へ供給する制御信号に基づいて、前記変圧部の前記第1変圧状態と前記第2変圧状態との切り替えを実行さ
せ、
前記外部機器から前記インタフェースを介して供給される前記受電電力の電力量を、第1電力量から、前記第1電力量とは異なる大きさの第2電力量へ変更することにより、前記変圧部による変圧効率を向上させることができるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理において肯定判断した場合、前記外部機器へ前記インタフェースを介して、前記第2電力量を要求する要求処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インタフェースを介して電力の授受及び通信を行う情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、USB PD(USB Power Delivery)規格に準じた方式により給電装置から電力を受電する受電装置がある。特許文献1に開示される受電装置は、バッテリへ充電用の電力を供給するDC/DCコンバータと、バッテリから供給された直流電力の電圧を変圧して出力するDC/DCコンバータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した受電装置では、DC/DCコンバータによる変圧において電力の損失が発生する。このため、受電した電力を利用する装置にとって、変圧時の電力の損失を減らすことが課題となる。
【0005】
本願は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、供給された受電電力を効率的に変圧できる情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、制御部と、外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、を備え、前記変圧部は、第1変圧部と、前記第1変圧部とは変圧効率が異なる第2変圧部と、を有し、前記制御部は、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第1変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された前記受電電力を前記第2変圧部で変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、の切り替えを実行する。
【0007】
また、本願に係る情報処理装置は、外部機器との間で電力授受及び通信を行うインタフェースと、前記外部機器から前記インタフェースを介して供給された受電電力の電圧を変圧する変圧部と、前記変圧部により変圧された電力で動作する処理部と、前記変圧部へ制御信号を出力する制御部と、を備え、前記変圧部は、第1変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第1変圧状態と、前記第1変圧効率とは異なる第2変圧効率で前記受電電力を変圧して前記処理部へ供給する第2変圧状態と、を有し、前記制御部は、前記制御信号に基づいて、前記変圧部の前記第1変圧状態と前記第2変圧状態を切り替える。
また、本願に開示の内容は、情報処理装置としての実施だけでなく、情報処理装置を制御する制御方法、情報処理装置を制御するコンピュータで実行するプログラムとしても実施し得るものである。
【発明の効果】
【0008】
本願に係る情報処理装置等によれば、供給された受電電力を効率的に変圧できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るプリンタのブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1DC/DCコンバータ、第2DC/DCコンバータ、及びリニアレギュレータの出力電流と変圧効率の関係を示すグラフである。
【
図5】電力制御の内容を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の情報処理装置を具体化した一実施形態である第1実施形態の携帯型のプリンタ1について
図1を参照しつつ説明する。
【0011】
(1.携帯型のプリンタの構成)
図1は、本実施形態の携帯型のプリンタ1の電気的構成を示している。プリンタ1は、例えば、持ち運び可能な携帯型の印刷装置であり、PCやスマートフォン等との間で有線通信又は無線通信を介して受信した印刷ジョブの画像データを所定のシート(感熱紙など)に印刷する。プリンタ1は、CPU12、RAM13、ROM14、NVRAM15、画像形成部16、USB接続部19、ユーザインタフェース20、通信部24、電源部27、画像処理回路28などを備えている。これらのCPU12等は、バス11で互いに接続されている。画像処理回路28は、受信した印刷ジョブに係る画像データの加工処理や展開処理等をするための回路である。
【0012】
ROM14は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、制御プログラム41などの各種プログラムを記憶している。例えば、CPU12は、ROM14から読み出した制御プログラム41を実行して、プリンタ1のシステムを起動する。NVRAM15は、不揮発性のメモリである。NVRAM15は、切替テーブル43及び画像データ45を記憶する。なお、上記したデータの記憶先は一例である。例えば、制御プログラム41を、NVRAM15に記憶しても良い。また、切替テーブル43をROM14に記憶しても良い。また、制御プログラム41を記憶する記憶部は、ROMに限らず、フラッシュメモリなどでも良い。また、制御プログラム41を記憶する記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体としては、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体を採用しても良い。
【0013】
制御プログラム41は、例えば、プリンタ1の各部を統括的に制御するファームウェアである。CPU12は、制御プログラム41を実行し、実行した処理結果をRAM13に一時的に記憶させながら、バス11で接続された各部を制御する。切替テーブル43は、後述するように、第1DC/DCコンバータ32(
図2参照)などの変圧回路を切り替えるための情報である。画像データ45は、例えば、PCやスマートフォン等との間で有線通信又は無線通信を介して受信した印刷ジョブの画像データである。なお、以下の説明では、制御プログラム41を実行するCPU12のことを、単にCPU12として記載する場合がある。例えば、「CPU12が」という記載は、「制御プログラム41を実行するCPU12が」ということを意味する場合がある。
【0014】
画像形成部16は、例えば、ライン型のサーマルヘッド47を備え、CPU12の制御に基づいて、ダイレクトサーマル方式によりシートに画像を印刷する。画像形成部16は、サーマルヘッド47に対向して設けられたプラテンローラ48を回転させシートを搬送する。例えば、印刷を開始する際に、プリンタ1の挿入口にシートが挿入されると、挿入されたシートは、プラテンローラ48とサーマルヘッド47との対向部分に案内され、印刷完了後に排出口より排出される。画像形成部16は、シートの挿入や排出を検知するシートセンサ49を有している。CPU12は、シートセンサ49の検知信号に基づいて、画像形成部16によるシートの搬送を制御する。
【0015】
また、USB接続部19は、例えば、USB PD(USB Power Delivery)規格に準拠した通信や電力授受を行うインタフェースである。USB接続部19は、例えば、コネクタとして3つのレセプタクル51を備える。USB接続部19は、レセプタクル51に接続された様々な外部機器との間で、データ通信や電力授受を行う。接続される外部機器は、
図1に示すように、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)81である。なお、接続される外部機器としては、PC81に限らず、例えば、スマートフォン、デジタルカメラ、外付けハードディスクなど、USB規格で接続可能な様々な機器を採用できる。
【0016】
レセプタクル51は、例えば、USB Type-C規格に準拠したコネクタである。各レセプタクル51は、データ通信や電力授受を行うための複数のピンを備える。例えば、レセプタクル51は、複数のピンとして、USB Type-C規格のコネクタにおけるTXピン、RXピン、Dピン、Vbus、CCピンなどを備える。レセプタクル51は、例えば、TXピン、RXピン、Dピンのいずれかを用いてデータ通信を行う。また、レセプタクル51は、Vbusピンを用いて電力の供給、電力の受電を行う。
【0017】
また、CCピンは、例えば、電力ロールを決定するために用いられるピンであり、レセプタクル51に接続するプラグの表裏に対応してCC1ピン、CC2ピンを備えている。各レセプタクル51は、電力ロールとして、電力の供給源である電力ソース、又は電力の供給先である電力シンクに切り替え可能なデュアル・ロール・パワー(DRP)機能を有している。
【0018】
図2は、電源部27の構成を示している。
図2に示すように、電源部27は、電源回路39、電力コントローラ25、第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、リニアレギュレータ34等を備えている。電源回路39は、プリンタ1内の各装置の電源として機能し、各装置へ電力を供給する。電源回路39は、例えば、バッテリ39a、ブリッジダイオード、平滑化回路などを備え、バッテリ39aから供給される電力からを直流の電圧(電力)を生成し、プリンタ1の各部へ電圧(電力)を供給する。具体的には、電源回路39は、出力電圧V2の電力と、出力電圧V3の電力を各部へ供給する。出力電圧V2の電圧値は、例えば、3.3Vである。出力電圧V3の電圧値は、例えば、出力電圧V2よりも大きい値である。出力電圧V2の電力は、プリンタ1の内部電源として使用される。ここでいう内部電源とは、CPU12、画像処理回路28、CPU12を実装する基板、各種センサ、マイコンなどの低電圧で動作するICや回路で使用する電源である。各種センサは、例えば、画像形成部16のシートセンサ49である。出力電圧V3の電力は、サーマルヘッド47やプラテンローラ48を駆動するモータ等へ供給される。なお、バッテリ39aを充電する方法は、特に限定されない。例えば、プリンタ1は、電源回路39を外部のAC電源に接続するためのACコードを備えても良い。この場合、電源回路39は、AC電源から受電した電力によりバッテリ39aを充電しても良い。あるいは、電源回路39は、後述するUSB接続部19を介してPC81から供給される入力電圧V1によりバッテリ39aを充電しても良い。また、電源回路39は、AC電源からの電力と、入力電圧V1の電力との両方を用いてバッテリ39aを充電する構成でも良い。
【0019】
電力コントローラ25は、USB接続部19を介した電力の授受を制御する。また、電力コントローラ25は、USB接続部19(レセプタクル51)に接続された外部機器との間で、電力授受に係る通信を実行する。電力授受に係る通信とは、例えば、装置の電源情報の授受に係る通信、及び電力授受のネゴシエーションを含む。ここでいうネゴシエーションとは、例えば、電力ロールの設定、授受する電力量の設定などを行う処理である。電力ロールとは、電力を供給する供給源として機能する電力ソース、又は電力ソースから電力を受電する電力シンクである。
図2では、電力コントローラ25が一体的なブロックとして図示されているが、電力コントローラ25は、USB接続部19を介して電力を授受するブロックと、USB接続部19を介して電力授受に係る通信を行うブロックと、を別々に有していてもよい。
【0020】
電力コントローラ25は、例えば、USB PD規格による電力授受により、外部機器のPC81から直流の入力電圧V1を受電する。電力コントローラ25は、USB接続部19を介して受電した入力電圧V1を、第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、リニアレギュレータ34に供給可能となっている。従って、電源部27は、電力コントローラ25から第1DC/DCコンバータ32等へ直流電圧を供給可能となっている。電源部27は、CPU12の制御に基づいて、電力コントローラ25から第1DC/DCコンバータ32等へ供給する電力量を変更可能となっている。また、以下の説明では、第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、リニアレギュレータ34を、変圧回路と総称して記載する場合がある。
【0021】
第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、及びリニアレギュレータ34は、電力コントローラ25から供給される直流の電圧(入力電圧V1など)を直流の出力電圧V2に変圧する変圧回路である。従って、本実施形態のプリンタ1は、内部電源の電力として使用する出力電圧V2の電力を、電源回路39や各変圧回路で生成可能となっている。以下の説明では、3つの変圧回路の接続構成における入力電圧V1側を入力側、出力電圧V2側を出力側という場合がある。
【0022】
また、上記した3つの変圧回路の変圧動作における変圧効率や変圧損失は、例えば、出力電圧V2側である出力側の消費電力(負荷)に応じて変動する。また、3つの変圧回路の変圧効率や変圧損失は、互いに異なっている。なお、変圧回路の変圧効率や変圧損失についは、後述する。
【0023】
CPU12は、3つの変圧回路の各々へ制御信号CIを出力することで、出力電圧V2を出力する変圧回路を変更する。3つの変圧回路の各々は、例えば、ハイレベルの制御信号CIを入力することに基づいて動作を開始し、ローレベルの制御信号CIを入力することに基づいて動作を停止する。CPU12は、変圧回路に出力する制御信号CIの信号レベルを変更することで、3つの変圧回路のうち、何れか1つの変圧回路から出力電圧V2を出力させる。なお、3つの変圧回路を切り替える方法は、制御信号CIによる方法に限らない。例えば、3つの変圧回路の各々の入力側に切替スイッチを配置し、各切替スイッチのオン・オフを切り替えることで、入力電圧V1の入力を切り替え、変圧回路を切り替えても良い。また、CPU12は、複数の変圧回路を同時に動作させ、複数の変圧回路から出力電圧V2を同時に出力させても良い。
【0024】
また、
図1に示すユーザインタフェース20は、例えば、タッチパネルであり、液晶パネル、液晶パネルの背面側から光を照射するLED等の光源、液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜等を備えている。ユーザインタフェース20は、プリンタ1に対する操作を受け付け、操作入力に応じた信号をCPU12へ出力する。また、ユーザインタフェース20は、プリンタ1に係わる情報の表示を行う。ユーザインタフェース20は、CPU12の制御に基づいて液晶パネルの表示内容を変更する。
【0025】
通信部24は、有線通信や無線通信が可能となっている。プリンタ1は、通信部24により有線LANや無線通信を介して印刷を受け付ける。CPU12は、通信部24を制御し、有線通信や無線通信を介して印刷ジョブ(画像データ45など)を受信する。また、プリンタ1は、USB接続部19のデータ通信により印刷ジョブを受信することができる。CPU12は、受信した印刷ジョブに基づいて画像形成部16による印刷を実行する。
【0026】
(2.切替テーブル43の構成)
次に、切替テーブル43の構成について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、切替テーブル43の内容を示している。
図4は、第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33及びリニアレギュレータ34の出力電流と変圧効率の関係を示している。
図3に示すように、切替テーブル43には、待機状態、低負荷動作状態、高負荷動作状態の3つの動作状態が設定されている。
図3に示す入力電圧V1及び出力電圧V2は、
図2に示す変圧回路の入力側及び出力側のそれぞれの電圧を示している。出力側消費電力は、出力側で消費される電力であり、CPU12やシートセンサ49などの内部電源を利用するIC等で消費される電力である。出力電流は、出力側のCPU12等に流れる電流の合計値である。変圧効率は、変圧回路における変圧動作の効率を示している。ここでいう効率とは、例えば、出力電圧V2を入力電圧V1で除算した値(=V2/V1)である。変圧損失は、変圧回路における変圧動作の損失を示している。ここでいう損失とは、例えば、入力電圧V1から出力電圧V2を減算した値(=V1-V2)である。
【0027】
図3に示す待機状態は、例えば、プリンタ1の消費電力を抑える動作状態である。CPU12は、印刷ジョブを受け付けていない時間が一定時間を経過すると、プリンタ1を待機状態に設定する。CPU12は、待機状態において、例えば、プラテンローラ48の回転を停止し、サーマルヘッド47の加熱体の温度を印刷時の温度よりも下げることで、プリンタ1の消費電力を印刷時に比べて減らす。また、CPU12は、待機状態において、CPU12を実装する基板、各種センサ、及びマイコンなどの低電圧で動作するICや回路への供給電力を印刷時の供給電力よりも小さくする。
【0028】
また、低負荷動作状態は、例えば、高負荷動作状態に比べて、変圧回路の出力側の消費電力が小さい動作状態である。出力電圧V2の電力を使用するCPU12及び画像処理回路28等の処理負荷は、例えば、印刷の解像度が高くなるのに比例して増大する。このため、CPU12及び画像処理回路28等の消費電力は、高解像度の場合に増大する。CPU12は、例えば、印刷ジョブに設定された解像度に基づいて、印刷を開始した際に、低負荷動作状態又は高負荷動作状態のどちらの動作状態へ移行するのかを判断する。そして、CPU12は、待機状態、低負荷動作状態、高負荷動作状態の3つの動作状態間において、動作状態の移行を検知すると、3つの変圧回路から変圧効率の良い変圧回路へ切り替える制御を実行する(
図5参照)。
【0029】
詳述すると、
図3に示すように、待機状態の出力側消費電力は、例えば、0.1Wである。低負荷動作状態の出力側消費電力は、例えば、1W~10Wである。また、高負荷動作状態の出力側消費電力は、例えば、20W~30Wである。従って、出力側消費電力(出力側の負荷)は、待機状態、低負荷動作状態、高負荷動作状態の順に増大する。
【0030】
図3に示すように、3つの変圧回路の各々の変圧効率や変圧損失は、各動作状態に応じて、即ち、出力側消費電力の大きさに応じて異なっている。なお、
図3における「レンジ外」との記載は、その変圧回路が、設定された入力電圧V1を入力しても、要求されている出力電圧V2や出力電流を生成できないことを示している。
【0031】
例えば、
図4に示すように、リニアレギュレータ34は、出力電流のレンジが0Aから3.3Aまでの範囲であり、それ以上の出力電流となる高負荷動作状態には対応していない回路構成となっている。リニアレギュレータ34は、出力電流がレンジ内の範囲において、66%の一定の変圧効率で入力電圧V1から出力電圧V2への変圧が可能となっている。
【0032】
また、第1DC/DCコンバータ32は、例えば、出力電流のレンジが0.03Aから3.3Aまでの範囲であり、高負荷動作状態には対応していない回路構成となっている。第1DC/DCコンバータ32の変圧効率は、出力電流の増大にともなって増大する。このため、第1DC/DCコンバータ32の低負荷動作状態(出力電流が0.3A~3.3A)における変圧効率(80%~90%)は、待機状態(出力電流が0.03A)における変圧効率(50%)に比べて高くなっている。
【0033】
また、第2DC/DCコンバータ33は、例えば、出力電流のレンジが0.03Aから9Aまでの範囲であり、全ての動作状態に対応可能な回路構成となっている。第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、出力電流の増大にともなって増大する。第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、待機状態(50%)、低負荷動作状態(60%)、高負荷動作状態(85%~90%)の順に高くなっている。
【0034】
第2DC/DCコンバータ33は、例えば、高負荷動作状態のような出力側の負荷の変動が大きく、電圧変動が大きい場合であっても、変動する電圧に対する追従性を高めるため、スイッチング周波数として高い周波数を用いる。これにより、第2DC/DCコンバータ33は、高負荷動作状態において高効率な変圧を行うことができる。一方で、第2DC/DCコンバータ33は、高いスイッチング周波数を用いるため、低負荷動作状態や待機状態などのような電圧変動が比較的小さい場合には、過度なスイッチング動作によって熱損失などが増大する。第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、低負荷動作状態や待機状態において相対的に低下する。結果として、第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、小さい電圧変動に合わせて設計された第1DC/DCコンバータ32に比べて、低負荷動作状態において低くなる。同様に、第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、リニアレギュレータ34に比べて、待機状態において低くなる。そこで、本実施形態のCPU12は、
図3に示す切替テーブル43の変圧効率を参照することで、動作状態の移行に応じて、より変圧効率の良い変圧回路を選択する。
【0035】
(3.変圧回路選択制御)
次に、本実施形態のプリンタ1による変圧回路を選択する変圧回路選択制御について、
図5を参照しつつ、説明する。CPU12は、例えば、プリンタ1の電源を投入されると、ROM14に記憶された制御プログラム41を実行し、プリンタ1のシステムを起動した後、
図5に示す変圧回路選択制御を開始する。なお、本明細書のフローチャートは、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU12の処理を示す。即ち、以下の説明における「判断」、「切り替え」、「決定」等の処理は、CPU12の処理を表している。CPU12による処理は、ハードウェア制御も含む。また、
図5に示す変圧回路選択制御を、CPU12以外の装置が実行しても良い。例えば、電力コントローラ25が、
図5に示す変圧回路選択制御を実行しても良い。
【0036】
ここで、CPU12は、各動作状態の移行に基づいて、
図5の変圧回路選択制御を実行することで、変圧回路を切り替える。以下の説明では、動作状態を移行する複数の状態移行について、
図5のフローチャートを参照しつつ、説明する。まず、1つ目の状態移行として、待機状態から低負荷動作状態へ移行する状態移行について説明する。また、移行前の待機状態は、リニアレギュレータ34が動作しているものとする。また、以下の変圧回路選択制御では、例えば、
図2に示す電源回路39からCPU12、画像処理回路28等へ十分な電力を供給できない状態とする。この場合、CPU12は、USB接続部19を経由して電力を確保する必要がある。ここで、「十分な電力を供給できない状態」とは、例えば、「バッテリ39aの残量が少なく、プリンタ1の全ての部位(負荷)へ供給する電力をバッテリ39aの残量で確保することが難しい状態」を指す。本実施形態のプリンタ1は、このような状態において、CPU12及び画像処理回路28等へ供給される出力電圧V2の電力は、USB接続部19を経由して確保するように構成されている。
【0037】
(3-1.待機状態から低負荷動作状態への移行)
まず、
図5のステップ(以下、単に「S」と記載する)11において、プリンタ1のCPU12は、動作状態の移行が発生したか否かを判断する。CPU12は、動作状態の移行を検知するまでの間(S11:NO)、S11の判断処理を繰り返し実行する。従って、CPU12は、プリンタ1のシステムを起動させた後、動作状態の移行を定期的に監視する。
【0038】
低負荷動作状態は、上記したように高負荷動作状態に比べて、出力側消費電力が小さい動作状態である。CPU12は、例えば、待機状態において受け付けた印刷ジョブの設定に基づいて動作状態の移行を検知する。CPU12は、例えば、所定の解像度以下の解像度を設定された印刷ジョブ、即ち、処理負荷として低負荷であり出力側消費電力の小さい印刷ジョブを受け付けると、待機状態から低負荷動作状態へ移行すると判断する(S11:YES)。なお、待機状態から低負荷動作状態への移行条件は、上記した低解像度の印刷ジョブの受け付けに限らない。例えば、CPU12は、モノクロ印刷の印刷ジョブを受け付けた場合、低速で印刷を行う印刷ジョブを受け付けた場合など、出力側消費電力が比較的小さい印刷ジョブを受け付けた場合に、低負荷動作状態への移行を検知しても良い(S11:YES)。
【0039】
CPU12は、低負荷動作状態への移行を検知すると(S11:YES)、S15を実行する。S15において、CPU12は、切替テーブル43を参照して、今の動作状態に比べて出力側消費電力が変わるか否かを判断する。
図3に示すように、本実施形態では、低負荷動作状態の出力側消費電力(1~10W)は、待機状態の出力側消費電力(0.1W)に比べて大きい。このため、CPU12は、S15において肯定判断し(S15:YES)、S17を実行する。
【0040】
なお、本実施形態では、
図3に示すように、3つの動作状態の出力側消費電力は、互いに異なっている。このため、状態の移行が発生すると、CPU12は、S15において、必ず肯定判断を行う。しかしながら、仮に、同一の出力側消費電力の動作状態が、2つ以上存在する場合(例えば、通常速度印刷状態、モノクロ印刷状態などが存在する場合)、CPU12は、動作状態の移行があっても出力側消費電力に変動がなければ、S15で否定判断し(S15:NO)、再度S11からの処理を実行する。この場合、変圧回路は、変更されない。
【0041】
S17において、CPU12は、入力電圧V1を変更しない範囲で最も変圧効率の良い変圧回路に切り替える制御を実行する。本実施形態のプリンタ1は、例えば、USB接続部19に接続されたPC81を電力ソースとして、USB PD規格に準じた方式により電力を受電することができる。そして、CPU12は、電力コントローラ25を制御し、PC81等の電力ソースとネゴシエーションを実行する。プリンタ1は、ネゴシエーションに成功した場合、所望の電力を電力ソースから受電することができる。
【0042】
ここで、例えば、USB PD規格に準じた方式では、2.5W(5V、0.5A)~100W(20V、5A)までの電力量の範囲で、電力ソースから電力を受電できる。CPU12は、例えば、この電力量の範囲内で、且つ供給可能な電圧値及び電流値の組み合わせの電力リストをPC81から受信する。CPU12は、受信した電力リストから必要な電力(入力電圧V1)をPC81へ要求する。
【0043】
S17において、CPU12は、PC81へ入力電圧V1の変更を要求せずに、入力電圧V1を一定としたまま、変圧回路を変更することで、変圧効率を向上できるか否かを判断する。これにより、仮に、後述するネゴシエーションに失敗し入力電圧V1を変更できなかった場合でも、現状の入力電圧V1で最も変圧効率の良い変圧回路に切り替えることができる。
【0044】
移行前の待機状態では、
図3に示すように、入力電圧V1が5Vとなっている。CPU12は、待機状態では、例えば、PC81から受電可能な最低の電力2.5W(5V、0.5A)を受電する。また、待機状態から低負荷動作状態へ移行すると、出力側消費電力は、1~10Wの範囲まで大きくなる。そこで、CPU12は、入力電圧V1が5Vで、且つ移行前から移行後の動作状態における出力側消費電力の範囲(0.1~10W)で動作可能な変圧回路のうち、最も変圧効率の良い変圧回路を選択する。
図3に示すように、低負荷動作状態では、第1DC/DCコンバータ32の変圧効率(80%~90%)は、リニアレギュレータ34の変圧効率(66%)に比べて高くなっている。このため、CPU12は、切替テーブル43を参照して、入力電圧V1が5Vで低負荷動作状態において最も変圧効率の良い変圧回路を第1DC/DCコンバータ32であると判断する。CPU12は、S17において、制御信号CIに基づいて変圧回路をリニアレギュレータ34から第1DC/DCコンバータ32へ切り替える制御を実行する。
【0045】
なお、CPU12は、変圧効率以外の基準に基づいて変圧回路を選択しても良い。例えば、CPU12は、損失に基づいて変圧回路を選択しても良い。
図3に示すように、本実施形態の3つの変圧回路は、より変圧効率の良い変圧回路を選択することで、より損失の小さい変圧回路を選択できる関係となっている。しかしながら、各変圧回路の変圧効率の範囲が重複する場合など、変圧効率だけで変圧回路を特定できない場合に、CPU12は、例えば、変圧損失を参照して変圧回路を選択しても良い。あるいは、CPU12は、変圧損失のみに基づいて変圧回路を選択しも良い。従って、切替テーブル43は、変圧効率又は変圧損失のどちらか一方の値だけを設定された構成でも良い。
【0046】
次に、S19において、CPU12は、入力電圧V1を変更することで、より変圧効率の良い変圧回路があるか否かを判断する。
図3に示すように、本実施形態の切替テーブル43では、低負荷動作状態において入力電圧V1を変更する動作状態(例えば、入力電圧V1が9Vの低負荷動作状態)が設定されていない。このため、CPU12は、S19において否定判断し(S19:NO)、S11からの処理を再度実行する。これにより、待機状態から低負荷動作状態へ移行する場合に、CPU12は、変圧回路を第1DC/DCコンバータ32に切り替えることで変圧効率を向上させることができる。
【0047】
なお、例えば、低負荷動作状態において入力電圧V1を9Vにすることで変圧効率が第1DC/DCコンバータ32よりも良くなるDC/DCコンバータが接続されている場合を考える。この場合、CPU12は、S19において肯定判断し、S21移行を実行して変圧回路の切り替えを実行する。これにより、入力電圧V1を変更し、より変圧効率を向上させることができる。S21以降を実行する場合については、後述する。
【0048】
(3-2.待機状態から高負荷動作状態への移行)
次に、待機状態から高負荷動作状態に移行する場合の制御について説明する。なお、以下の説明では、上記した待機状態から低負荷動作状態への移行時の制御と同様の内容については、その説明を省略する。
【0049】
CPU12は、S11において、待機状態から高負荷動作状態への移行を検知する。例えば、CPU12は、待機状態において、所定の解像度以上の解像度を設定された印刷ジョブを受け付けた場合、あるいは、所定の色数以上の色数が設定されて印刷ジョブを受け付けた場合など、出力側消費電力が増大する場合に、高負荷動作状態へ移行すると判断する(S11:YES)。
【0050】
図3に示すように、高負荷動作状態の出力側消費電力は、待機状態の出力側消費電力に比べて大きい。このため、S15において、CPU12は、切替テーブル43を参照し、肯定判断する(S15:YES)。CPU12は、S17において、入力電圧V1が5Vで、且つ移行前から移行後の動作状態における出力側消費電力の範囲(0.1~30W)で動作可能な変圧回路のうち、最も変圧効率の良い変圧回路を選択する。本実施形態の第1DC/DCコンバータ32は、高負荷動作状態がレンジ外であるものの、入力電圧V1が5Vで出力側消費電力(出力側の負荷)が大きくなった場合、リニアレギュレータ34に比べて変圧効率が高くなる。そこで、CPU12は、切替テーブル43を参照することで、より変圧効率の良い変圧回路を第1DC/DCコンバータ32であると判断する。CPU12は、S17において、変圧回路をリニアレギュレータ34から第1DC/DCコンバータ32へ切り替える制御を実行する。
【0051】
次に、S19において、CPU12は、入力電圧V1を変更することで、より変圧効率の良い変圧回路があるか否かを判断する。
図3に示すように、本実施形態の切替テーブル43では、高負荷動作状態において入力電圧V1を9Vに変更し第2DC/DCコンバータ33を使用した場合、変圧効率は、85%~90%まで向上する。このため、CPU12は、S19において肯定判断し(S19:YES)、S21を実行する。
【0052】
S21において、CPU12は、電力コントローラ25を制御し、PC81とネゴシエーションを実行する。電力コントローラ25は、CPU12の制御に基づいて、PC81へ9Vの入力電圧V1を要求するネゴシエーションを実行する。電力コントローラ25は、要求に対するPC81の応答の結果をCPU12へ通知する。
【0053】
S23において、CPU12は、電力コントローラ25から受信したネゴシエーションの結果を判断する。CPU12は、ネゴシエーションに失敗したと判断した場合、即ち、PC81から9Vの入力電圧V1を供給されない場合(S23:NO)、S11からの処理を実行する。これにより、仮に、入力電圧V1を変更するネゴシエーションに失敗した場合であっても、S17で第1DC/DCコンバータ32に切り替えることで、変圧効率を向上させることができる。
【0054】
また、CPU12は、S23において、ネゴシエーションに成功したと判断すると(S23:YES)、入力電圧V1を変更後の範囲で最も変圧効率の良い変圧回路、即ち、第2DC/DCコンバータ33への切り替えを実行する(S25)。第2DC/DCコンバータ33は、CPU12の制御に基づいて動作を開始する。電力コントローラ25は、PC81から受電した9Vの入力電圧V1を第2DC/DCコンバータ33へ供給する。これにより、移行後の高負荷動作状態において、変圧効率を向上できる。
【0055】
(3-3.低負荷動作状態から待機状態への移行)
上記した2つの例では、出力側消費電力が増大する場合について説明した。次に、低負荷動作状態から待機状態に移行する場合、即ち、出力側消費電力が減る場合の制御について説明する。また、移行前の低負荷動作状態では、第1DC/DCコンバータ32が動作しているものとする。
【0056】
CPU12は、S11において、低負荷動作状態から待機状態への移行を検知する。例えば、CPU12は、低負荷動作状態において、印刷ジョブに基づく印刷を完了した後、印刷ジョブを受け付けていない時間が一定時間を経過すると、待機状態へ移行すると判断する(S11:YES)。
【0057】
図3に示すように、待機状態の出力側消費電力は、低負荷動作状態の出力側消費電力に比べて小さい。このため、S15において、CPU12は、切替テーブル43を参照し、肯定判断する(S15:YES)。CPU12は、S17において、入力電圧V1が5Vで、且つ移行前から移行後における動作状態の出力側消費電力の範囲(10W~0.1W)で動作可能な変圧回路のうち、最も変圧効率の良い変圧回路を選択する。本実施形態のリニアレギュレータ34は、入力電圧V1が5Vで出力側消費電力が小さくなった場合、第1DC/DCコンバータ32に比べて変圧効率が高くなる。そこで、CPU12は、切替テーブル43を参照することで、より変圧効率の良い変圧回路をリニアレギュレータ34であると判断する。CPU12は、S17において、変圧回路を第1DC/DCコンバータ32からリニアレギュレータ34へ切り替える。
【0058】
次に、S19において、CPU12は、入力電圧V1を変更することで、より変圧効率の良い変圧回路があるか否かを判断する。
図3に示すように、本実施形態の切替テーブル43では、入力電圧V1を5V未満に変更する設定は存在しない。このため、CPU12は、S19において否定判断し(S19:YES)、S11からの処理を再度実行する。これにより、待機状態への移行に合わせて第1DC/DCコンバータ32からリニアレギュレータ34に切り替えることで、変圧効率を向上できる。
【0059】
(3-4.高負荷動作状態から待機状態への移行)
次に、高負荷動作状態から待機状態に移行する場合の制御について説明する。また、移行前の高負荷動作状態は、第2DC/DCコンバータ33が動作しているものとする。また、プリンタ1は、入力電圧V1として9VをPC81から供給されているものとする。
【0060】
CPU12は、S11において、例えば、高負荷動作状態において印刷を完了した後、印刷ジョブを受け付けていない時間が一定時間を経過すると、待機状態へ移行すると判断する(S11:YES)。
図3に示すように、待機状態の出力側消費電力は、高負荷動作状態の出力側消費電力に比べて小さい。このため、S15において、CPU12は、切替テーブル43を参照し、肯定判断する(S15:YES)。
【0061】
CPU12は、S17において、入力電圧V1が9Vで、且つ移行前から移行後における動作状態の出力側消費電力の範囲(30W~0.1W)で動作可能な変圧回路のうち、最も変圧効率の良い変圧回路を選択する。本実施形態では、入力電圧V1が9Vの場合、第1DC/DCコンバータ32及びリニアレギュレータ34がレンジ外となり、第2DC/DCコンバータ33のみが動作可能となっている(
図3、
図4参照)。このため、CPU12は、S17において、現状の第2DC/DCコンバータ33よりも変圧効率の良い変圧回路を切替テーブル43から検知できず、変圧回路の切り替えを実行しない。
【0062】
次に、S19において、CPU12は、入力電圧V1を変更することで、より変圧効率の良い変圧回路があるか否かを判断する。
図3に示すように、第1DC/DCコンバータ32及び第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、入力電圧V1が5Vで、出力側消費電力が0.1Wの場合(待機状態の場合)、50%となる。一方、リニアレギュレータ34の変圧効率は、入力電圧V1が5Vで、出力側消費電力が0.1Wの場合、66%となる。このため、CPU12は、S19において肯定判断し(S19:YES)、S21を実行する。なお、
図3には図示していないが、仮に、入力電圧V1を9Vで維持した場合でも、出力側消費電力が待機状態の0.1Wになると、本実施形態の第2DC/DCコンバータ33の変圧効率は、リニアレギュレータ34の変圧効率(66%)未満となる。
【0063】
S21において、CPU12は、電力コントローラ25を制御し、PC81とネゴシエーションを実行する。電力コントローラ25は、CPU12の制御に基づいて、PC81へ5Vの入力電圧V1を要求するネゴシエーションを実行する。S23において、CPU12は、ネゴシエーションに失敗したと判断した場合、即ち、PC81から5Vの入力電圧V1を供給されない場合(S23:NO)、S11からの処理を実行する。この場合、待機状態において9Vの入力電圧V1をリニアレギュレータ34で変圧することとなる。これにより、仮にネゴシエーションに失敗し入力電圧V1を変更できない場合であっても、対応可能なレンジの広い第2DC/DCコンバータ33を動作させることによって、内部電源として必要な出力電圧V2を生成することができる。
【0064】
また、CPU12は、S23において、ネゴシエーションに成功したと判断すると(S23:YES)、リニアレギュレータ34への切り替えを実行する(S25)。これにより、移行後の待機状態において、変圧効率を向上できる。
【0065】
因みに、プリンタ1は、情報処理装置の一例である。CPU12は、制御部、処理部の一例である。画像処理回路28は、処理部の一例である。PC81は、外部機器の一例である。USB接続部19は、インタフェースの一例である。シートセンサ49は、処理部、センサの一例である。入力電圧V1は、受電電力の一例である。第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、リニアレギュレータ34は、変圧部、第1変圧部、第2変圧部の一例である。
【0066】
また、3つの変圧回路の各々で変圧を実行する状態は、第1変圧状態、第2変圧状態の一例である。従って、上記した待機状態、低負荷動作状態、高負荷動作状態の何れか1つから、他の状態への移行は、第1変圧状態から第2変圧状態への移行の一例である。上記した(3-1)~(3-4)の実施例では、記載しなかったが、低負荷動作状態から高負荷動作状態への移行、又は高負荷動作状態から低負荷動作状態への移行も、第1変圧状態と第2変圧状態間の移行として適用できる。例えば、印刷の実行中に解像度や印刷速度が変更される場合、解像度や印刷速度の異なる印刷ジョブを連続して実行する場合がこれにあたる。
【0067】
(4.効果)
以上、上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)第1実施形態のプリンタ1のCPU12は、例えば、PC81からUSB接続部19を介して供給された入力電圧V1をリニアレギュレータ34で変圧してCPU12やシートセンサ49へ供給する状態(第1変圧状態の一例)と、PC81からUSB接続部19を介して供給された入力電圧V1を第1DC/DCコンバータ32で変圧してCPU12等へ供給する状態(第2変圧状態の一例)と、の切り替えを実行する。
【0068】
第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、リニアレギュレータ34は、PC81から供給された入力電圧V1をCPU12で必要な出力電圧V2に変圧する。第1DC/DCコンバータ32等の3つの変圧回路は、変圧効率が互いに異なっている。そして、CPU12は、変圧回路を切り替えて変圧を行うことが可能となっている。このため、CPU12は、変圧回路に入力される入力電圧V1、変圧回路の出力電流、変圧回路の出力側消費電力などに応じて、変圧効率の異なる変圧回路を切り替えることで、効率的に入力電圧V1を変圧することが可能となる。
【0069】
(2)また、CPU12等は、例えば、待機状態(第1状態の一例)と、待機状態に比べて消費電力量が大きい低負荷動作状態(第2状態の一例)と、に切り替え可能である。第1DC/DCコンバータ32の変圧効率は、CPU12等が低負荷動作状態にあるとき、リニアレギュレータ34の変圧効率に比べて高い(
図3参照)。CPU12は、CPU12等の状態が待機状態から低負荷動作状態へ切り替わるのに応じて、リニアレギュレータ34により変圧する状態から第1DC/DCコンバータ32により変圧する状態への切り替えを実行する。
【0070】
これによれば、低負荷動作状態において、第1DC/DCコンバータ32の変圧効率は、リニアレギュレータ34に比べて高くなる。そして、CPU12等が待機状態から低負荷動作状態へ切り替わるのに合わせて、リニアレギュレータ34による変圧状態から第1DC/DCコンバータ32による変圧状態へ切り替えることで、変圧効率を向上できる。
【0071】
(3)また、リニアレギュレータ34の変圧効率は、CPU12等が待機状態にあるとき、第1DC/DCコンバータ32の変圧効率に比べて高い(
図3参照)。CPU12は、CPU12等の状態が低負荷動作状態から待機状態へ切り替わるのに応じて、第1DC/DCコンバータ32により変圧する状態からリニアレギュレータ34により変圧する状態への切り替えを実行する。
【0072】
これによれば、待機状態において、リニアレギュレータ34の変圧効率は、第1DC/DCコンバータ32に比べて高くなる。そして、CPU12は、低負荷動作状態から待機状態へ切り替わるのに合わせて、第1DC/DCコンバータ32による変圧状態からリニアレギュレータ34による変圧状態へ切り替えることで、変圧効率を向上できる。
【0073】
(4)また、CPU12は、PC81からUSB接続部19を介して供給される入力電圧V1の電力量を変更せずに、リニアレギュレータ34による変圧状態と第1DC/DCコンバータ32による変圧状態とを切り替えることにより、変圧効率を向上させることができると判断する場合、変圧回路を切り替えるS17の処理(切替処理の一例)を、実行する。これによれば、PC81に対して入力電圧V1の電力量の変更を要求することなく、変圧回路を切り替えることで、変圧効率を向上できる。
【0074】
(5)また、CPU12は、PC81からUSB接続部19を介して供給される入力電圧V1を、5V(第1電力量の一例)から、9V(第2電力量の一例)へ変更することにより、変圧効率を向上させることができるか否かを判断するS19の処理(第1判断処理の一例)と、S19の処理において肯定判断した場合(S19:YES)、PC81へUSB接続部19を介して、9Vを要求するS21の処理(要求処理の一例)と、を実行する。
【0075】
これによれば、PC81から受電する入力電圧V1を9Vに変更することで変圧効率を向上できる場合、CPU12は、PC81に対して9Vの入力電圧V1を要求する。これにより、9Vの入力電圧V1を受電し第2DC/DCコンバータ33へ供給することで、変圧効率を向上できる。
【0076】
(6)また、CPU12は、S21の処理を実行した後に、PC81から9Vの入力電圧V1を受電できない場合(S23:NO)、リニアレギュレータ34による変圧状態と第1DC/DCコンバータ32による変圧状態のうち、変圧効率の良い状態(S17の実行結果を維持する状態)にする。これによれば、CPU12は、9Vの入力電圧V1をPC81から受電できない場合、入力電圧V1を変更せずにリニアレギュレータ34による変圧状態、第1DC/DCコンバータ32による変圧状態のうち、変圧効率の良い状態にする。これにより、より変圧効率を向上できる入力電圧V1への変更をできない場合、入力電圧V1を5Vのまま変更せずに変圧回路を切り替えて変圧効率を向上できる。
【0077】
(7)また、USB接続部19は、USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続により電力授受及び通信を行うインタフェースである。USB PD規格などに準じた電力授受が可能なインタフェースを備えるプリンタ1では、外部機器から受電する入力電圧V1の変更を要求でき、所望の入力電圧V1を変圧回路の電源として利用できる。入力電圧V1と、変圧回路との組み合わせを変更し、変圧効率を向上させることが可能となる。このため、USB規格のインタフェースを備えるプリンタ1において、変圧効率の異なる変圧回路の切り替えを実行することは極めて有効である。
【0078】
(8)また、プリンタ1は、変圧回路としてリニアレギュレータ34及び第1DC/DCコンバータ32を有する。これによれば、変圧効率の異なるリニアレギュレータ34や第1DC/DCコンバータ32を切り替えて変圧効率を向上できる。
【0079】
(9)また、プリンタ1は、変圧回路として、第2DC/DCコンバータ33を有する。これによれば、高負荷動作状態において、第2DC/DCコンバータ33を利用することで、変圧効率を向上できる。
【0080】
(10)また、プリンタ1は、CPU12及びシートセンサ49(センサの一例)を有する。CPU12やシートセンサ49の消費電力量は、CPU12の処理負荷やシートセンサ49の動作状態に応じて変動する。そこで、CPU12等の消費電力量に応じて変圧回路を切り替えることで、消費電力量に合わせてより変圧効率のより変圧回路を用いることができる。
【0081】
(11)また、CPU12は、画像を形成可能である。高負荷動作状態(第2状態の一例)は、低負荷動作状態(第1状態の一例)に比べて高速でCPU12により画像を形成する(例えば、印刷速度を維持したまま高解像度の画像処理を実行する)状態である。これによれば、高速な画像形成をCPU12により実行し、CPU12の消費電力量が増大する高負荷動作状態において、第2DC/DCコンバータ33を利用して変圧効率を向上できる。
【0082】
(12)また、高負荷動作状態は、低負荷動作状態に比べて高画質の画像をCPU12により形成する(例えば、高解像度の印刷を実行する)状態である。これによれば、高画質の画像をCPU12により形成し、CPU12の消費電力量が増大する高負荷動作状態において、第2DC/DCコンバータ33を利用して変圧効率を向上できる。
【0083】
(5.変形例)
尚、本願は上記第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記第1実施形態では、電源部27は、第1DC/DCコンバータ32、第2DC/DCコンバータ33、及びリニアレギュレータ34の3つの変圧回路を備えたが、1つの変圧回路だけを備える構成でも良い。
図6は、第2実施形態の電源部27のブロック図を示している。
【0084】
第1実施形態では、CPU12は、制御信号CIを変更することで、3つの変圧回路から変圧を実行する変圧回路を選択した。これに対し、
図6に示す第1DC/DCコンバータ32は、例えば、スイッチング周波数の異なる複数のモードを備え、CPU12から入力する制御信号CIの内容に応じてスイッチング周波数を変更する。第1DC/DCコンバータ32は、スイッチング周波数を変更することで、上記した第1実施形態のように変圧効率の異なる3つの変圧回路を、1つの変圧回路で実現することができる。なお、第1DC/DCコンバータ32は、制御信号CIに基づいてモードを変更せずに、スイッチング周波数の値そのものを変更する構成でも良い。また、第1DC/DCコンバータ32は、制御信号CIに基づいてスイッチング周波数以外のパラメータ(内部回路の抵抗値や昇圧率)を変更し、変圧効率を変更しても良い。
【0085】
第1DC/DCコンバータ32は、例えば、制御信号CIに基づいてスイッチング周波数を変更することで、入力電圧V1や出力側消費電力に対する変圧効率を変更する。従って、CPU12は、制御信号CIに基づいて第1DC/DCコンバータ32のモードを、入力電圧V1や各動作状態の出力側消費電力に応じて、より変圧効率の良いモードに切り替えることができる。そして、第1DC/DCコンバータ32のモードを変更することで、動作状態の移行に合わせて、より変圧効率の良い変圧を実行することができる。
【0086】
従って、第2実施形態の第1DC/DCコンバータ32は、所定の変圧効率(第1変圧効率の一例)で入力電圧V1を変圧してCPU12等へ供給する状態(第1変圧状態の一例)と、所定の変圧効率とは異なる変圧効率(第2変圧効率の一例)で入力電圧V1を変圧してCPU12等へ供給する状態(第2変圧状態の一例)と、を有する。CPU12は、制御信号CIに基づいて、第1DC/DCコンバータ32の変圧状態を切り替える。これによれば、CPU12は、制御信号CIにより第1DC/DCコンバータ32のモードを切り替えることが可能となっている。このため、CPU12は、第1DC/DCコンバータ32の入力電圧V1、出力電流、出力側消費電力などに応じて、変圧効率の異なるモードに切り替えることで、効率的に入力電圧V1を変圧することが可能となる。
【0087】
電源部27は、2つの変圧回路を備える構成や、4つ以上の変圧回路を備える構成でも良い。
CPU12は、S17の入力電圧V1を変更せずに変圧回路を変更する処理、又はS19、S25の入力電圧V1を変更して変圧回路を変更する処理のどちらか一方のみを実行する構成でも良い。
また、上記第1実施形態では、
図5に示す変圧回路選択制御を、CPU12により実行したが、他の装置が実行しても良い。例えば、電力コントローラ25が、
図5に示す変圧回路選択制御を実行しても良い。この場合、電力コントローラ25は、本開示の制御部の一例である。
また、切替テーブル43を記憶する記憶先は、プリンタ1内の記憶装置でなくとも良い。例えば、CPU12は、切替テーブル43をサーバ等の外部装置に記憶しても良い。
また、本願におけるインタフェースの通信規格は、USB PD規格に限らず、電力の授受が可能な他の通信規格でもよい。
【0088】
また、上記実施形態に記載した待機状態、高負荷動作状態、低負荷動作状態の判断基準や状態の内容は、一例である。例えば、高負荷動作状態は、低負荷動作状態よりも、プラテンローラ48を高速に回転させて、高速に印刷する状態であってもよい。
また、上記実施形態では、各変圧回路は、入力電圧V1を出力電圧V2に変圧するものであったが、入力電圧V1を出力電圧V3(>V2)へ変圧するものであってもよい。つまり、プリンタ1は、各変圧回路で出力電圧V3へ変圧された電力をサーマルヘッド47やプラテンローラ48を駆動するモータへ供給する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、プリンタ1は、USB接続部19を介して供給された電力を変圧する変圧回路として、入力電圧V1を出力電圧V2に変圧するもののみを有していたが、更に、入力電圧V1を出力電圧V3に変圧するものも有していてもよい。
また、電力コントローラ25の少なくとも一部は、USB PD規格に準拠して電力の授受を制御する機能を有するコントローラ、所謂、PDコントローラであっても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、本願の制御部として、CPU12を採用したが、これに限らない。例えば、制御部の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで構成してもよい。また、制御部は、例えばソフトウェアによる処理と、ハードウェアによる処理とを併用して動作する構成でもよい。
また、上記実施形態では、本願の情報処理装置として携帯型のプリンタ1を採用したが、これに限らない。本願の情報処理装置は、携帯型でない据え置き型のプリンタでも良く、プリンタに限らず、コピー装置、ファックス装置、スキャナ装置、カメラでも良い。また、本願の情報処理装置は、複数の機能を有する複合機でもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 プリンタ(情報処理装置)、12 CPU(制御部、処理部)、19 USB接続部(インタフェース)、28 画像処理回路(処理部)、32 第1DC/DCコンバータ(変圧部)、33 第2DC/DCコンバータ(変圧部)、34 リニアレギュレータ(変圧部)、49 シートセンサ(処理部、センサ)、81 PC(外部機器)、V1 入力電圧(受電電力)。