(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】配線作業検査システム、情報処理装置、配線作業検査方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20221220BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20221220BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221220BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20221220BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221220BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20221220BHJP
【FI】
G06T1/00 300
G06T3/00 750
G06T7/00 610A
G06T7/60 150G
G06Q50/10
G06T19/00 600
(21)【出願番号】P 2019009094
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】神田 遼
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/020568(WO,A1)
【文献】特開2014-103555(JP,A)
【文献】特開2005-147665(JP,A)
【文献】特開2012-247700(JP,A)
【文献】特開2014-135673(JP,A)
【文献】特開2018-014362(JP,A)
【文献】特開2017-027315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 3/00
G06T 7/00
G06T 7/60
G06Q 50/10
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと前記カメラが撮影した画像に他の画像を重畳させた画像を表示する表示部とを有する拡張現実表示装置と、
情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記カメラが撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する判定部と
を有する配線作業検査システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
許容される所定の曲げ半径で曲げられているケーブルの画像であるケーブル曲げ画像を、前記カメラが撮影した画像に重畳させた画像を生成する重畳画像生成部をさらに有し、
前記拡張現実表示装置の前記表示部は、前記重畳画像生成部が生成した画像を表示する
請求項1に記載の配線作業検査システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記配線作業対象の機器に固有のマーカーの位置を基準とした、配線作業対象のケーブルの差し込み位置を記憶する記憶部をさらに有し、
前記重畳画像生成部は、前記カメラが撮影した画像から前記マーカーを検出し、検出された前記マーカーの位置と、前記記憶部が記憶する前記差し込み位置とに基づいて、前記ケーブル曲げ画像の重畳位置を決定する
請求項2に記載の配線作業検査システム。
【請求項4】
前記重畳画像生成部は、さらに、前記判定部が前記ケーブルの曲げ具合が適切でないと判定した場合、配線作業者に対して警告するための警告画像を前記カメラが撮影した画像に重畳させた画像を生成する
請求項2又は3に記載の配線作業検査システム。
【請求項5】
前記重畳画像生成部は、さらに、前記判定部が前記ケーブルの曲げ具合が適切でないと判定した場合、許容される最小曲げ半径で曲げられているケーブルの画像を前記カメラが撮影した画像に重畳させた画像を生成する
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の配線作業検査システム。
【請求項6】
カメラが撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する判定部と
を有する情報処理装置。
【請求項7】
許容される所定の曲げ半径で曲げられているケーブルの画像であるケーブル曲げ画像を、前記カメラが撮影した画像に重畳させた画像を生成する重畳画像生成部をさらに有する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
カメラが撮影した画像を取得し、
前記カメラが撮影した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する
配線作業検査方法。
【請求項9】
カメラが撮影した画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する判定ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線作業検査システム、情報処理装置、配線作業検査方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの配線作業を支援する装置が提案されている。例えば、特許文献1では、現実の配設状態情報と、作業対象や作業手順を示す作業指示書に基づく指示上の配設状態情報とを比較して、相違の有無を判定する判定手段を有する光配線盤作業支援システムについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような支援システムを用いてケーブルの配線作業を行なったとしても、実際にIT機器を動作させた際に通信品質の問題が内在している可能性がある。その原因として、配線したケーブルの曲げ半径が許容値以下となっていることが考えられる。すなわち、その影響により通信品質の低下を招くという課題がある。
【0005】
本明細書に開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、ケーブル配線作業において、許容される曲げ半径未満の曲げ半径でケーブルが配線されることを抑制することができる配線作業検査システム、情報処理装置、配線作業検査方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様にかかる配線作業検査システムは、
カメラと前記カメラが撮影した画像に他の画像を重畳させた画像を表示する表示部とを有する拡張現実表示装置と、
情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記カメラが撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する判定部と
を有する。
【0007】
第2の態様にかかる情報処理装置は、
カメラが撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する判定部と
を有する。
【0008】
第3の態様にかかる配線作業検査方法は、
情報処理装置が、
カメラが撮影した画像を取得し、
前記カメラが撮影した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する。
【0009】
第4の態様にかかるプログラムは、
カメラが撮影した画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、前記ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する判定ステップと
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の態様によれば、ケーブル配線作業において、許容される曲げ半径未満の曲げ半径でケーブルが配線されることを抑制することができる配線作業検査システム、情報処理装置、配線作業検査方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかる配線作業検査システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】配線作業対象の機器が搭載されているラックの一例を示す模式図である。
【
図4】実施の形態1にかかる情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1にかかる配線作業検査システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】ステップS101において表示部に表示されるAR画像の例を示す模式図である。
【
図7】ステップS105において表示部に表示されるAR画像の例を示す模式図である。
【
図8】実施の形態2にかかる配線作業検査システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる配線作業検査システム10の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、配線作業検査システム10は、拡張現実表示装置100と、情報処理装置200とを有する。拡張現実表示装置100と情報処理装置200とは通信可能に有線又は無線により接続されている。
【0013】
拡張現実表示装置100は、AR(Augmented Reality)機能を提供する装置であり、そのために、カメラ101と、表示部102とを有する。例えば、拡張現実表示装置100は、ケーブルの配線作業者が装着するヘッドセットとして提供される。
【0014】
表示部102は、カメラ101が撮影した画像に他の画像を重畳させた画像を表示するディスプレイである。具体的には、表示部102は、情報処理装置200の後述する重畳画像生成部205が生成した画像を表示する。配線作業現場の風景がカメラ101により撮影され、この撮影映像に任意の画像が重畳された表示画像が表示部102に表示される。当該配線作業者は、この表示画像を見ながら、ケーブルの配線作業を行なう。拡張現実表示装置100は、スマートフォンやタブレット端末などのような、カメラ及びディスプレイを備える携帯端末であってもよい。カメラ101は、撮影画像を即時に情報処理装置200に送信する。
【0015】
情報処理装置200は、
図1に示すように、機器情報記憶部201と、配線作業情報記憶部202と、進捗管理部203と、画像取得部204と、重畳画像生成部205と、判定部206とを有するサーバである。
【0016】
機器情報記憶部201は、機器ごとに、機器情報を記憶する。機器情報は、機器の識別情報を含む。また、機器情報は、機器に貼付けられる識別マーカーについての情報(以下、識別マーカー情報と称す)を含む。
識別マーカー情報は、機器に貼付けられる識別マーカーにより表される識別情報、当該識別マーカーの当該機器における貼り付け位置、識別マーカーの大きさなどの情報を含む。なお、1つの機器に対し、2以上の識別マーカーが貼付けられていてもよい。この場合、識別マーカー情報は、同じ機器に貼付けられた他の識別マーカーとの距離(以下、マーカー間距離と称す)を含んでもよい。
【0017】
また、機器情報は、機器に設けられたコネクタについての情報(以下、コネクタ情報と称す)を含む。コネクタ情報は、機器に設けられたコネクタ毎に存在する。コネクタ情報は、コネクタの識別情報を含む。また、コネクタ情報は、コネクタの位置についての情報(以下、コネクタ位置情報と称す)を含む。コネクタ位置情報は、当該機器に貼付けられている識別マーカーの位置を基準とした相対位置情報である。すなわち、機器情報記憶部201は、配線作業対象の機器に固有の識別マーカーの位置を基準とした、配線作業対象のケーブルの差し込み位置を記憶しているといえる。
【0018】
配線作業情報記憶部202は、配線作業の内容を示す情報である配線作業情報を記憶する。
図2は配線作業情報の一例を示す表である。
図2に示すように、配線作業情報は、配線作業毎に存在する。配線作業情報は、「配線作業項番」情報と、「配線作業対象ケーブル」情報と、「配線作業対象機器」情報と、「差し込み先コネクタ」情報と、「最小曲げ半径画像」と、「ガイド用曲げ半径画像」と、「最大曲げ半径画像」とを有する。
【0019】
「配線作業項番」情報は、配線作業を識別するための識別情報である。「配線作業対象ケーブル」情報は、配線作業対象のケーブルを識別するための識別情報である。「配線作業対象機器」情報は、配線作業対象の機器を識別するための識別情報である。「差し込み先コネクタ」情報は、コネクタの識別情報であり、この情報により、「配線作業対象機器」情報で識別される機器のどのコネクタにケーブルを接続する作業であるかが特定される。
【0020】
「最小曲げ半径画像」、「ガイド用曲げ半径画像」、及び「最大曲げ半径画像」は、所定の曲げ半径で曲げられているケーブルが表された画像である。以下、これらの画像を、特に区別せずに言及する場合、ケーブル曲げ画像と称す。なお、各画像は、端部から所定の長さまでの範囲のケーブルを表す画像である。そして、これらの画像に表されているケーブルは、この所定の長さ部分が、所定の曲げ半径で曲げられている。
【0021】
「最小曲げ半径画像」は、配線作業対象のケーブルに対応する規格に従って許容される最小曲げ半径で曲げられているケーブルが表された画像である。なお、最小曲げ半径画像の曲げ半径は、規格に従って許容される最小曲げ半径でなくてもよい。すなわち、最小曲げ半径画像のケーブルの曲げ半径は、ユーザにより指定された予め定められた最小の曲げ半径であってもよい。
「最大曲げ半径画像」は、ラックへのケーブルの収納の観点などに従って予め定められた最大曲げ半径で曲げられているケーブルが表された画像である。
「ガイド用曲げ半径画像」は、許容される曲げ具合の一例を示す画像であり、許容される最小曲げ半径よりも大きい所定の曲げ半径で曲げられているケーブルが表された画像である。ただし、この所定の曲げ半径は、上述の最大曲げ半径よりも小さい。「ガイド用曲げ半径画像」は、配線作業の際に、AR機能により配線作業者に提示される。
【0022】
進捗管理部203は、配線作業の進捗を管理する。進捗管理部203は、配線作業情報記憶部202に記憶された配線作業情報で表される配線作業がどこまで進んでいるかを管理する。進捗管理部203は、判定部206がケーブルの曲げ具合が適切であると判定した場合、現在の配線作業が完了したと判断し、次の配線作業項番の配線作業を作業対象の配線作業と特定する。このように、進捗管理部203は、現在の作業対象の配線作業についての配線作業情報を特定する。
【0023】
画像取得部204は、拡張現実表示装置100のカメラ101が撮影した画像を取得する。すなわち、画像取得部204は、拡張現実表示装置100から送信された撮影画像を取得する。より詳細には、この撮影画像は、配線作業対象の機器及びケーブルなどを含む配線作業現場の風景を撮影した画像である。なお、配線作業対象の機器とは、配線作業によりケーブルが新たに接続されるIT(Information Technology)機器である。また、配線作業対象のケーブルとは、配線作業により新たに機器に接続されるケーブル、換言すると、配線作業により機器のコネクタに新たに差し込まれるケーブルである。
【0024】
画像取得部204は、カメラ101が撮影した画像をリアルタイムに取得するので、機器へのケーブルの接続が行なわれる前の機器周辺の風景の画像、及び機器へのケーブルの接続が行なわれた後の機器周辺の風景の画像を含む様々な画像を取得する。すなわち、本実施の形態では、画像取得部204は、配線作業対象のケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続される前の状態を写した画像を取得するし、配線作業対象のケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像も取得する。
【0025】
ここで、配線作業対象の機器には、機器ごとに固有の識別マーカーが所定の位置に貼付けられている。この識別マーカーは、例えば、二次元コードである。すなわち、識別マーカーにより当該識別マーカーが貼付けられている機器を特定することができる。
【0026】
図3は、配線作業対象の機器が搭載されているラックの一例を示す模式図である。
図3では、ラック90に、機器91が搭載されている。また、各機器91において、ケーブルの接続が可能なコネクタ93が配置された面の所定の位置(例えば、角)には、識別マーカー92が貼付けられている。なお、識別マーカー92は、
図3に示すように、1つの機器に対し、複数貼付けられていてもよいが、1つだけ貼付けられていてもよい。
【0027】
重畳画像生成部205は、所定の画像を、カメラ101が撮影した画像に、重畳させた画像、すなわち、AR画像を生成する。そして、重畳画像生成部205は、生成した画像を、拡張現実表示装置100の表示部102に出力する。これにより、拡張現実表示装置100の表示部102は、重畳画像生成部205が生成した画像を表示する。つまり、重畳画像生成部205は、カメラ101が撮影したリアルタイムの映像に、任意の画像を重畳させたAR画像を生成する。なお、以下の説明では、カメラ101が撮影した画像に重畳される画像を追加画像と称す。
【0028】
重畳画像生成部205は、縮尺決定部215及び重畳位置決定部225を有する。
縮尺決定部215は、カメラ101が撮影した画像に重畳する際の追加画像の縮尺を決定する。すなわち、縮尺決定部215は、追加画像の倍率を決定する。重畳画像生成部205は、縮尺決定部215により決定された倍率の追加画像を、カメラ101が撮影した画像に重畳することにより、表示部102に表示するAR画像を生成する。
【0029】
縮尺決定部215は、画像取得部204が取得した画像(すなわち、カメラ101が撮影した画像)に写されている識別マーカーに対応する識別マーカー情報を参照し、追加画像の縮尺を決定する。例えば、縮尺決定部215は、識別マーカー情報として記憶されている識別マーカーの大きさと、実際にカメラ101が撮影した画像に写されている識別マーカーの大きさとを比較する。そして、これにより、縮尺決定部215は、実際の識別マーカーの大きさに対する画像内の識別マーカーの大きさの倍率を決定する。その上で、縮尺決定部215は、この倍率に従って、追加画像の縮尺(すなわち倍率)を決定する。
【0030】
また、縮尺決定部215は、次のように、追加画像の縮尺を決定してよい。
縮尺決定部215は、識別マーカー情報として記憶されているマーカー間距離と、実際にカメラ101が撮影した画像に写されている2つの識別マーカーのマーカー間距離とを比較する。そして、これにより、縮尺決定部215は、実際の識別マーカーの大きさに対する画像内の識別マーカーの大きさの倍率を決定する。その上で、縮尺決定部215は、この倍率に従って、追加画像の縮尺(すなわち倍率)を決定する。
【0031】
重畳位置決定部225は、カメラ101の撮影画像に対する追加画像の重畳位置を決定する。
特に、追加画像が、ケーブル曲げ画像である場合、当該ケーブルの端部の位置が、画像上で、配線作業対象のコネクタの位置(すなわち、ケーブル差し込み位置)となるよう重畳位置を決定する。このため、重畳位置決定部225は、カメラ101が撮影した画像から識別マーカーを検出し、検出された識別マーカーの位置と、機器情報記憶部201が記憶するコネクタ位置情報とに基づいて、追加画像の重畳位置を決定する。すなわち、重畳位置決定部225は、識別マーカーを基準とした差し込み位置の相対位置情報を用いて、追加画像の重畳位置を決定する。
重畳画像生成部205は、進捗管理部203により特定された現在の作業についての配線作業情報に対応するケーブル曲げ画像を重畳する。
【0032】
重畳画像生成部205は、配線作業の際、許容される所定の曲げ半径で曲げられているケーブルの画像を、カメラ101が撮影した画像に重畳させた画像をAR画像として生成する。すなわち、重畳画像生成部205は、ガイド用曲げ半径画像を縮尺決定部215により決定された倍率で拡大又は縮小した画像を、重畳位置決定部225により決定された位置に重畳する。なお、重畳画像生成部205は、配線作業の際、ガイド用曲げ半径画像ではなく、最小曲げ半径画像をカメラ101が撮影した画像に重畳させてもよい。また、重畳画像生成部205は、配線作業の際、ガイド用曲げ半径画像、及び、最小曲げ半径画像を、カメラ101が撮影した画像に重畳させてもよい。
【0033】
また、重畳画像生成部205は、判定部206がケーブルの曲げ具合が適切でないと判定した場合、許容される最小曲げ半径で曲げられているケーブルの画像をカメラ101が撮影した画像に重畳させた画像をAR画像として生成する。すなわち、重畳画像生成部205は、最小曲げ半径画像を縮尺決定部215により決定された倍率で拡大又は縮小した画像を、重畳位置決定部225により決定された位置に重畳する。なお、重畳画像生成部205は、配線作業の際、最小曲げ半径画像だけでなく、最大曲げ半径画像も、カメラ101が撮影した画像に重畳させてもよい。
【0034】
なお、追加画像が、警告画像である場合、重畳位置決定部225は、カメラ101の撮影画像における所定の位置を当該追加画像の重畳位置とすればよい。警告画像は、判定部206が、ケーブルの曲げ具合が適切でないと判定した場合、配線作業者に対して警告するための画像である。このように、重畳画像生成部205は、判定部206がケーブルの曲げ具合が適切でないと判定した場合、警告画像をカメラ101が撮影した画像に重畳させた画像をAR画像として生成する。
【0035】
判定部206は、画像取得部204が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、接続されたケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する。例えば、判定部206は、許容される最小曲げ半径で曲げられているケーブルの画像と、画像取得部204が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像とを比較することにより、判定を行なう。
【0036】
配線作業対象のケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像は、進捗管理部203により特定された配線作業情報で指定されたコネクタに接続されているケーブルの画像ということもできる。許容される最小曲げ半径とは、例えば、当該ケーブルの規格に従って予め規定されている最小曲げ半径である。許容される最小曲げ半径で曲げられているケーブルの画像は、具体的には、進捗管理部203により特定された、現在の作業についての配線作業情報に対応する最小曲げ半径画像である。
【0037】
判定部206は、進捗管理部203により特定された配線作業情報の「差し込み先コネクタ」情報で指定されたコネクタのコネクタ位置情報と、画像取得部204が取得したカメラ101の画像に写されている識別マーカーとを用いて、ケーブルの画像認識をする。すなわち、判定部206は、コネクタ位置情報とカメラ101の画像に写されている識別マーカーとに基づいて、当該画像に写された配線作業対象のケーブルを画像認識する。上述の通り、各コネクタについて、識別マーカーを基準とした位置情報であるコネクタ位置情報が記憶されている。このため、判定部206は、画像認識処理により、カメラ101の画像における作業対象のコネクタを認識し、当該コネクタから延びる線の画像を作業対象のケーブルの画像として抽出する。そして、判定部206は、作業対象のケーブルの画像と、最小曲げ半径画像とを比較し、作業対象のケーブルの画像で表されるケーブルの曲げ半径が、最小曲げ半径以上であるか否かを判定する。なお、作業対象のケーブルの画像で表されるケーブルの曲げ半径が、最小曲げ半径以上であるか否の判定には、任意の画像処理技術を用いることができる。例えば判定部206は、各画像のケーブルの弧長(円弧の長さ)及び弦長(円弧の両端の直線距離)から各画像のケーブルの曲げ半径を算出することにより、作業対象のケーブルの画像で表されるケーブルの曲げ半径が、最小曲げ以上であるか否かを判定してもよい。
【0038】
次に、情報処理装置200のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、情報処理装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、情報処理装置200は、例えば、ネットワークインタフェース250、メモリ251、及びプロセッサ252を含む。
【0039】
ネットワークインタフェース250は、拡張現実表示装置100などの他の装置と通信するために使用される。ネットワークインタフェース250は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0040】
メモリ251は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。なお、情報処理装置200は、メモリ251の他にハードディスクなどの記憶装置を有してもよい。機器情報記憶部201及び配線作業情報記憶部202は、例えば、メモリ251又は記憶装置により実現される。
【0041】
メモリ251は、プロセッサ252により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)などを格納するために使用される。
このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0042】
プロセッサ252は、メモリ251からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述した情報処理装置200の処理を行う。すなわち、進捗管理部203、画像取得部204、重畳画像生成部205、及び判定部206の各処理は、プログラムの実行により実現されてもよい。このように、情報処理装置200は、コンピュータとしての機能を備えている。プロセッサ252は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ252は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0043】
なお、拡張現実表示装置100も、
図4に示すような構成を備えてもよい。すなわち、拡張現実表示装置100もコンピュータとしての機能を有し、プロセッサが、メモリからソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、各種の処理が実行されてもよい。
【0044】
次に、配線作業検査システム10の動作の流れについて説明する。
図5は、配線作業検査システム10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図5を参照しつつ、配線作業検査システム10の動作を説明する。
【0045】
ステップS100において、進捗管理部203が、作業対象の配線作業に関する配線作業情報を特定する。作業の開始時の場合、進捗管理部203は、配線作業情報記憶部202に記憶された配線作業情報のうち、最初の配線作業項番の配線作業情報を、作業対象の配線作業に関する配線作業情報と特定する。また、作業中は、進捗管理部203は、判定部206が判定対象のケーブルの曲げ具合が適切であると判定した場合、現在の配線作業が完了したと判断し、次の配線作業項番の配線作業を作業対象の配線作業と特定する。
【0046】
ステップS101において、重畳画像生成部205は、配線作業をサポートするためのAR画像を生成する。ステップS101では、重畳画像生成部205は、許容される所定の曲げ半径で曲げられているケーブルの画像を、カメラ101が撮影した画像に重畳させた画像をAR画像として生成する。このため、縮尺決定部215が、カメラ101が撮影した画像に重畳する際の追加画像の縮尺を決定し、重畳位置決定部225が、カメラ101の撮影画像に対する追加画像の重畳位置を決定する。例えば、重畳画像生成部205は、ガイド用曲げ半径画像を縮尺決定部215により決定された倍率で拡大又は縮小した画像を、重畳位置決定部225により決定された位置に重畳する。これにより、拡張現実表示装置100の表示部102は、重畳画像生成部205が生成した画像を表示する。
【0047】
図6は、ステップS101において表示部102に表示されるAR画像50の例を示す模式図である。
図6に示した例では、ガイド用曲げ半径画像51が、配線作業対象のコネクタ93Aの位置にケーブルの端部が位置するように表示されている。
【0048】
なお、
図6に示した例では、ガイド用曲げ半径画像51で表されるケーブルは下向きに曲がっているが、ケーブルが他の方向に曲げられている画像でもよい。すなわち、当該配線作業に対応する配線作業情報に関連づけられているケーブル曲げ画像が、ケーブルが他の向き(例えば、上向き)に曲げられたケーブルの画像であれば、その向きに曲がったケーブルが表示される。このことは、後述する
図7においても同様である。なお、配線作業情報記憶部202には、配線作業情報として、接続先のコネクタの位置や配線経路などを考慮して決められた方向に曲げられたケーブルの画像が予め登録されている。
【0049】
次に、ステップS102において、配線作業者により、配線作業が行なわれる。配線作業者は、ステップS101で表示されたAR画像を参考にしながら、配線作業を行なう。配線作業が行なわれると、例えば、判定部206により、配線作業対象のコネクタ93Aの位置にケーブルが接続されたことが画像認識され、処理がステップS103へ移行する。なお、配線作業者が、ケーブルの接続が完了したことを示す入力操作を拡張現実表示装置100に設けられた入力インタフェースを用いて行なってもよい。この場合、ケーブルの接続を行なったことを示す信号が情報処理装置200に送信され、処理はステップS103へ移行する。
【0050】
次に、ステップS103において、判定部206は、画像取得部204が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、接続されたケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する。
【0051】
曲げ具合が適切ではない場合(ステップS104でNo)、すなわち、作業者によって接続されたケーブルの曲げ半径が許容される曲げ半径未満である場合、処理はステップS105へ移行する。曲げ具合が適切である場合(ステップS104でYes)、すなわち、作業者によって接続されたケーブルの曲げ半径が許容される曲げ半径以上である場合、処理はステップS106へ移行する。
【0052】
ステップS105において、重畳画像生成部205は、配線作業のやり直しを促すためのAR画像を生成する。ステップS105では、重畳画像生成部205は、許容される最小曲げ半径で曲げられているケーブルの画像及び所定の警告画像をカメラ101が撮影した画像に重畳させた画像をAR画像として生成する。このため、縮尺決定部215が、カメラ101が撮影した画像に重畳する際の追加画像の縮尺を決定し、重畳位置決定部225が、カメラ101の撮影画像に対する追加画像の重畳位置を決定する。上述の通り、重畳画像生成部205は、最小曲げ半径画像だけでなく、最大曲げ半径画像も、カメラ101が撮影した画像に重畳させてもよい。これにより、拡張現実表示装置100の表示部102は、重畳画像生成部205が生成した画像を表示する。
【0053】
図7は、ステップS105において表示部102に表示されるAR画像55の例を示す模式図である。
図7に示した例では、最小曲げ半径画像56及び最大曲げ半径画像57が、配線作業対象のコネクタ93Aの位置にケーブルの端部が位置するように表示されているとともに、警告画像58が画面内の所定の位置に配置されている。なお、
図7において、実際に作業者によって配線されたケーブルは、ケーブル94として図示されている。
【0054】
ステップS105の後、フローは、ステップS102に戻る。すなわち、作業者は、ステップS105の表示に従って、配線作業をやり直す。その後、上述したステップS103以降の処理が繰り返される。
【0055】
ステップS106では、進捗管理部203は、全ての配線作業が終了したか否かを判定する。すなわち、進捗管理部203は、配線作業情報記憶部202に記憶された全ての配線作業情報に対応する作業が終了しているか否かを判定する。全ての配線作業が終了していない場合(ステップS106でNo)、処理はステップS100に戻り、上述した処理が繰り返される。全ての配線作業が終了している場合(ステップS106でYes)、処理は終了する。
【0056】
以上、実施の形態1について説明した。本実施の形態では、情報処理装置200の判定部206により、配線済みのケーブルの曲げ半径が適切であるかが画像に基づいて判定される。このため、許容される曲げ半径未満の曲げ半径でケーブルが配線されることを抑制することができる。つまり、曲げ半径が小さすぎることによる通信品質の劣化を抑制することができる。
【0057】
また、許容される所定の曲げ半径で曲げられているケーブルの画像が重畳された映像が表示部102に表示される(ステップS101、ステップS105参照)。このため、配線作業者は、適切な曲げ具合を把握した上で、実際の作業を行なうことができる。したがって、不適切な配線を抑制することができる。
【0058】
また、特に、配線作業対象のコネクタの位置にケーブルの端部が位置するように画像が重畳される。このため、配線作業者は、配線作業対象のコネクタの位置を容易に把握することができる。
【0059】
また、実際に施行されたケーブルの配線状況が不適切である場合には、警告画像が重畳された映像が表示部102に表示される(ステップS105参照)。このため、作業者に配線作業のやり直しを促すことができる。
【0060】
<実施の形態2>
実施の形態2は、実施の形態1で示した様々な構成要素の一部を用いた実施の形態である。実施の形態2によっても、曲げ半径が小さすぎることによる通信品質の劣化を抑制することができる。なお、以下の説明では、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を用い、必要に応じて重複説明は省略する。
【0061】
図8は、実施の形態2にかかる配線作業検査システム20の構成の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、配線作業検査システム20は、拡張現実表示装置100と、情報処理装置300とを有する。拡張現実表示装置100と情報処理装置300とは通信可能に有線又は無線により接続されている。
【0062】
情報処理装置300は、
図1に示すように画像取得部301と、判定部302とを有するサーバである。
画像取得部301は、拡張現実表示装置100のカメラ101が撮影した画像を取得する。すなわち、画像取得部301は、拡張現実表示装置100から送信された撮影画像を取得する。特に、画像取得部301は、配線作業対象のケーブルの端部が配線作業対象の機器に差し込まれた状態を写した画像を取得する。つまり、配線作業者が当該ケーブルの配線を実施した後の当該ケーブルの当該機器への差し込み状態を撮影した画像が、拡張現実表示装置100のカメラ101により撮影され、情報処理装置300に送信され、画像取得部301に取得される。
【0063】
判定部302は、画像取得部301が取得した、ケーブルの端部が配線作業対象の機器に接続された状態を写した画像に基づいて、当該ケーブルの曲げ具合が適切であるか否かを判定する。
【0064】
実施の形態2にかかる配線作業検査システム20では、情報処理装置300の判定部302により、画像に基づいて、配線済みのケーブルの曲げ半径が適切であるかが判定される。このため、許容される曲げ半径未満の曲げ半径でケーブルが配線されることを抑制することができる。つまり、曲げ半径が小さすぎることによる通信品質の劣化を抑制することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 配線作業検査システム
20 配線作業検査システム
50 AR画像
51 ガイド用曲げ半径画像
55 AR画像
56 最小曲げ半径画像
57 最大曲げ半径画像
58 警告画像
90 ラック
91 機器
92 識別マーカー
93 コネクタ
93A コネクタ
94 ケーブル
100 拡張現実表示装置
101 カメラ
102 表示部
200 情報処理装置
201 機器情報記憶部
202 配線作業情報記憶部
203 進捗管理部
204 画像取得部
205 重畳画像生成部
206 判定部
215 縮尺決定部
225 重畳位置決定部
250 ネットワークインタフェース
251 メモリ
252 プロセッサ
300 情報処理装置
301 画像取得部
302 判定部