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  • 特許-タスク管理装置およびタスク管理方法 図1
  • 特許-タスク管理装置およびタスク管理方法 図2
  • 特許-タスク管理装置およびタスク管理方法 図3
  • 特許-タスク管理装置およびタスク管理方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】タスク管理装置およびタスク管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221220BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20221220BHJP
   G06F 9/48 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/0962
G08G1/09 S
G06F9/48 300H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019009568
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020119235
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】川野 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(72)【発明者】
【氏名】上利 崇
(72)【発明者】
【氏名】森 亮祐
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/151179(WO,A1)
【文献】特開2018-160017(JP,A)
【文献】国際公開第2007/010683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G06F 9/455 - 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両とネットワークを介して接続されたサーバ側のタスク管理装置であって、
複数の車両から車両用情報をそれぞれ取得する取得部と、
車両用情報にもとづいて、車載のマルチメディア装置で実行される複数のタスクの優先度を設定するための指示情報を生成して前記マルチメディア装置のタスクを管理するタスク管理部と、
生成された前記指示情報を前記マルチメディア装置に送信する通信部と、を備え、
前記タスク管理部は、所定の地域を走行している複数の車両の前記マルチメディア装置に対して一括でタスクを管理し、車両が位置する所定の地域の予め設定された負荷レベルが高いほど、運転に関するメディア機能のタスクの優先度を娯楽に関するメディア機能のタスクの優先度よりも高くなるようにし、
前記負荷レベルは、車両用情報を送る割り込み通信の頻度に応じて設定されることを特徴とするタスク管理装置。
【請求項2】
前記タスク管理部は、車両用情報にもとづいて複数のタスクの優先度を導出し、導出したタスクの優先度をもとに前記指示情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のタスク管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、車両の位置情報を車両用情報として取得し、
前記タスク管理部は、位置情報にもとづいて前記指示情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載のタスク管理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記マルチメディア装置のメディア機能の利用履歴を車両用情報として取得し、
前記タスク管理部は、メディア機能の利用履歴にもとづいて前記指示情報を生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタスク管理装置。
【請求項5】
複数の車両とネットワークを介して接続されたサーバ側の装置によって実行されるタスク管理方法であって、
複数の車両から車両用情報をそれぞれ取得するステップと、
車両用情報にもとづいて車載のマルチメディア装置で実行される複数のタスクの優先度を設定するための指示情報を生成して前記マルチメディア装置のタスクを管理するステップと、
生成された前記指示情報を前記マルチメディア装置に送信するステップと、を含み、
前記タスクを管理するステップにおいて、所定の地域を走行している複数の車両の前記マルチメディア装置に対して一括でタスクを管理し、車両が位置する所定の地域の予め設定された負荷レベルが高いほど、運転に関するメディア機能のタスクの優先度を娯楽に関するメディア機能のタスクの優先度よりも高くなるようにし、
前記負荷レベルは、車両用情報を送る割り込み通信の頻度に応じて設定されることを特徴とするタスク管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載のマルチメディア装置で実行されるタスクの優先度を管理するタスク管理装置およびタスク管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のタスク毎にタスクの実行順位を決定するための複数の種類のパラメータを各タスク毎に設定し、その設定したパラメータをもとに優先度を決定し、優先度にもとづいてタスクを実行するマルチタスク処理装置が開示されている。このマルチタスク処理装置は、各タスクについて、通信先によるランクと、通信内容によるレベルの2つのパラメータを考慮した優先度を決定し、通信タスクを管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-95802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載装置は、道路に設けられたビーコン装置などから交通情報を受け取って乗員にその交通情報を通知する。交通情報は割り込みで車載装置に入力されるため、車載装置の処理負荷を高める要因となっており、車両の走行状況によっては交通情報による割り込み頻度が高く、車載装置の処理負荷が過度に高くなることがある。
【0005】
特許文献1に記載のマルチタスク処理装置は、予め設定されたランクおよびレベルにもとづいてタスクの優先度を決定するため、車両に搭載した場合、車両の走行状況によってはタスクの優先度を適切に設定できないおそれがある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、タスクの優先度にもとづいてマルチタスクで処理をする装置に対して、タスクの優先度を適切に設定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のタスク管理装置は、複数の車両とネットワークを介して接続されたサーバ側のタスク管理装置であって、複数の車両から車両用情報をそれぞれ取得する取得部と、車両用情報にもとづいて、車載のマルチメディア装置で実行される複数のタスクの優先度を設定するための指示情報を生成してマルチメディア装置のタスクを管理するタスク管理部と、生成された指示情報を前記マルチメディア装置に送信する通信部と、を備える。タスク管理部は、所定の地域を走行している複数の車両のマルチメディア装置に対して一括でタスクを管理し、車両が位置する所定の地域の予め設定された負荷レベルが高いほど、運転に関するメディア機能のタスクの優先度を娯楽に関するメディア機能のタスクの優先度よりも高くなるようにする。前記負荷レベルは、車両用情報を送る割り込み通信の頻度に応じて設定される
【0008】
本発明の別の態様は、タスク管理方法である。この方法は、複数の車両とネットワークを介して接続されたサーバ側の装置によって実行されるタスク管理方法であって、複数の車両から車両用情報をそれぞれ取得するステップと、車両用情報にもとづいて車載のマルチメディア装置で実行される複数のタスクの優先度を設定するための指示情報を生成してマルチメディア装置のタスクを管理するステップと、生成された指示情報を前記マルチメディア装置に送信するステップと、を含む。タスクを管理するステップにおいて、所定の地域を走行している複数の車両のマルチメディア装置に対して一括でタスクを管理し、車両が位置する所定の地域の予め設定された負荷レベルが高いほど、運転に関するメディア機能のタスクの優先度を娯楽に関するメディア機能のタスクの優先度よりも高くなるようにする。前記負荷レベルは、車両用情報を送る割り込み通信の頻度に応じて設定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タスクの優先度にもとづいてマルチタスクで処理をする装置に対して、タスクの優先度を適切に設定できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例のタスク管理システムの概要について説明するための図である。
図2】タスク管理システムの機能構成について説明するための図である。
図3】地域負荷情報保持部に保持される地域と負荷の高さの関係を示す図である。
図4】道路状況に応じたタスクの優先度の導出について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施例のタスク管理システム1の概要について説明するための図である。タスク管理システム1は、サーバ側のタスク管理装置10と、タスク管理装置10にネットワークを介して接続される複数の車載装置12とを備える。車載装置12は、車両に搭載されたマルチメディア装置14を少なくとも含む。
【0012】
マルチメディア装置14は、複数のメディア機能を実行可能な機器であり、メディア機能の実行に応じて車載のディスプレイ、スピーカおよび警報機などの出力部から乗員に情報を出力する。マルチメディア装置14は複数のメディア機能を組み合わせて構成され、それらのメディア機能は、文字データ、画像データまたは音データの少なくとも一つを出力するものであって、例えばオーディオ機能、ナビゲーション機能、映像再生機能、交通情報の通知機能などを含む。
【0013】
マルチメディア装置14は、複数種類の車両用情報を取得して、それらの車両用情報にもとづいた出力結果を出力部から出力する。車両用情報には、オーディオデータ、乗員による操作情報、カメラ画像、車載センサの検出情報などの車載機器から取得されるデータと、ラジオデータ、GPS(Global Positioning System)情報、ETC(Electronic Toll Collection System)情報、ビーコン情報などの外部から取得されるデータがある。
【0014】
マルチメディア装置14は、複数のメディア機能をマルチタスクで実行し、優先度にもとづいて複数のタスクを並行して処理する。複数のタスクには優先度がそれぞれ設定され、優先度に応じてCPU(Central Processing Unit)やメモリ等のリソースが割り当てられる。
【0015】
ここで、車両走行時にマルチメディア装置14に入力される複数種類の車両用情報のうち、ETCやビーコンなどの交通情報は、割り込みで入力され、優先的に処理される。割り込み入力の頻度が増えると、割り込み入力にリソースを振り分けられるため、マルチメディア装置14の処理負荷が高くなる。例えば、都心部では交通情報による割り込み入力の頻度が高く、マルチメディア装置14の処理負荷が高くなる傾向がある。また、道路が渋滞している地域や災害が発生している地域では、ナビゲーション機能が渋滞地点や災害地点を回避する道路案内をすることによってマルチメディア装置14の処理負荷が高くなることがあり、高速道路での走行や走行時間帯などの要因でも、マルチメディア装置14の処理負荷が高くなることがある。
【0016】
そこで、タスク管理装置10は、マルチメディア装置14の処理負荷が高くなり過ぎることを抑えるため、マルチメディア装置14のタスクの優先度を管理する。サーバ側のタスク管理装置10がタスク管理を行うことで、マルチメディア装置14の処理負荷が高くなったあとで処理負荷を低減する処理を実行する場合より、各車両の走行環境に応じてタスクの優先度を素早く調整できる。また、タスク管理装置10が所定の地域を走行している車両に対して一括でタスク管理をすることも可能なため、車載装置12が個別に走行環境に応じたタスク管理をするより負荷を抑えることができる。
【0017】
図2は、タスク管理システム1の機能構成について説明するための図である。図2において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0018】
タスク管理装置10は、サーバ側通信部20、取得部22、タスク管理部24、利用履歴保持部26および地域負荷情報保持部28を備える。車載装置12は、マルチメディア装置14、位置取得部30および車載側通信部32を備える。マルチメディア装置14は、入力部34、タスク実行部36および出力部38を有する。
【0019】
車載装置12の位置取得部30は、GPS(Global Positioning System)または道路に設置された発信装置により自車両の位置情報を取得する。自車両の位置情報は、マルチメディア装置14にてナビゲーション案内機能や現在位置の表示機能などで用いられるとともに、車載側通信部32によりタスク管理装置10に送信される。自車両の位置情報は、緯度および経度で示されるものであってよく、道路IDで示されるものであってよい。なお、道路IDは、道路の区間を識別可能な情報であって、道路に設置された発信装置から取得されてよく、緯度および経度から導出されてよい。
【0020】
車載側通信部32は、タスク管理装置10が複数の車載装置12を識別できるように車両IDを付して、車両用情報をタスク管理装置10に送信する。また、車載側通信部32は、生成されたタスクに関する情報を送信する。生成されたタスクに関する情報は、例えば、実行予定の又は実行中のタスクの属性情報であり、タスクの属性情報は、いずれのメディア機能のアプリケーションプログラムであるか示す。車載側通信部32は、タスク管理装置10からタスク優先度に関する情報を受信する。
【0021】
マルチメディア装置14の入力部34は、位置取得部30、車載センサ(不図示)および外部装置(不図示)などから車両用情報を受け取る。車載センサは、車速情報、車両の加速度情報、障害物検出センサの検出情報などをマルチメディア装置14に送る。外部装置は、ビーコン情報やETC(Electronic Toll Collection System)情報などの交通情報や、ラジオデータなどのインフラ情報をマルチメディア装置14に送る。
【0022】
また、入力部34は、車載側通信部32を介してタスク管理装置10から、タスクの優先度を設定するための指示情報を受け取る。例えば、タスクの優先度を設定するための指示情報は、マルチメディア装置14にて実行される各タスクの優先度を定めたものである。タスクの優先度は、タスクの実行順位であってよい。
【0023】
タスク実行部36は、入力された車両用情報をもとに複数のメディア機能をマルチタスクで実行する。タスク実行部36は、タスクの優先度を設定し、設定した優先度にもとづいて複数のタスクを実行することで、メディア機能を実行する。タスク実行部36は、タスク管理装置10からの指示情報をもとに、タスクの優先度を設定している。
【0024】
タスクは、優先度が高いほど計算量に対する計算リソースが多く割り当てられ、速い演算速度で処理される。なお、複数のタスクが同じ優先度に設定されてよく、タスク実行部36は、同じ優先度に設定された複数のタスクに対して、タスクの計算量に応じた計算リソースを配分してもよく、タスクの優先度が高くてもそのタスクの計算量が少なければ計算リソースを増しても、下位のタスクより計算リソースが少ない可能性がある。タスク実行部36は、複数のタスクに対して、優先度の高い順に計算リソースの割り当てが大きくなるように配分し、優先度が上位であるタスクを完了させると、それより下位のタスクの優先度を繰り上げて計算リソースの割り当てを増す。優先度が高いタスクが生成されると、すでに演算中の他のタスクの優先度が繰り下がり、計算リソースの割り当てが減る。優先度が非常に低いタスクは、少ない計算リソースが割り当てられてもよいが、処理を一時停止してもよい。
【0025】
タスク実行部36は、マルチメディア装置14の負荷状態を示す情報、例えばCPUおよびメモリの使用率を取得し、取得したマルチメディア装置14の負荷状態を示す情報をタスク管理装置10に送る。また、タスク実行部36は、いずれのタスクが実行中であるか示す情報をタスク管理装置10に送る。
【0026】
出力部38は、ディスプレイ、スピーカおよび警報機などを含み、タスク実行部36にて実行された処理結果に応じて乗員に情報を出力する。
【0027】
タスク管理装置10のサーバ側通信部20は、車載側通信部32と情報を送受する。取得部22は、サーバ側通信部20を介して車載装置12から車両用情報およびタスクに関する情報を車両IDとともに取得する。取得した車両用情報には、車両の位置情報と、マルチメディア装置14で用いるメディア機能の利用履歴とが含まれる。利用履歴保持部26は、車両IDに関連付けてメディア機能の利用履歴を保持する。
【0028】
タスク管理部24は、タスクに関する情報および車両用情報にもとづいて車載のマルチメディア装置14で実行される複数のタスクの優先度を導出し、複数のタスクの優先度を設定するための指示情報を生成する。タスク管理部24は、タスクに関する情報をもとにタスク管理の対象となる複数のタスクを認識し、認識した複数のタスクに対して優先度をそれぞれ導出する。これにより、タスクの優先度を、車両走行環境などに応じて適切に設定できる。
【0029】
タスク管理部24は、車両の位置情報にもとづいてタスクの優先度を導出する。タスク管理部24は、地域負荷情報保持部28に保持されるテーブルを参照して、車両の位置情報をもとにタスクの優先度を導出する。タスク管理部24により導出されるタスクの優先度は、車両の位置によって異なる場合がある。例えば、地域負荷情報保持部28は、地域毎の負荷レベルを示すテーブルを保持する。
【0030】
図3は、地域負荷情報保持部28に保持される地域と負荷の高さの関係を示す図である。図3に示すように、負荷レベルは、地域毎に複数段階に分けられており、時間帯に応じて異なっている。例えば、地域Aでは、日中の負荷レベルが中レベルであり、夜間の負荷レベルが低レベルになっている。
【0031】
車両が位置する地域の負荷レベルが高いほど、タスク管理部24は、交通情報に関する機能や運転支援機能など、運転に関するメディア機能のタスクの優先度を高くなるようにし、ラジオやオーディオなど娯楽に関するメディア機能のタスクの優先度が低くなるようにする。タスク管理部24は、車両が位置する地域の負荷レベルに応じて、タスクの種類と優先度の関係を示すテーブルをもとに、タスクの優先度を導出する。これにより、地域ごとに適切なタスクの優先度に設定でき、例えば、東京駅前などビーコン等からの割り込み頻度が多い場所では交通情報に関するタスクの優先度を上げることができ、割り込み通信を迅速に処理できる。負荷レベルの高い地域を走行中には割り込み通信が頻発することを想定して、タスク管理部24が、マルチメディア装置14の計算リソースを使い切らずに予め余裕を持たせるように、タスクの優先度を導出することも可能である。
【0032】
図2に戻る。タスク管理部24は、渋滞情報や道路の通行制限情報などの道路状況情報と、車両の位置情報にもとづいてタスクの優先度を導出してもよい。タスク管理部24は、道路状況を示す道路状況情報を周期的に取得し、道路状況情報をもとに事故や渋滞などの異常が発生してる道路を特定し、その道路の周辺に位置する車両に対して、交通情報に関する機能のタスクの優先度が高くなるように導出する。
【0033】
タスク管理部24は、各車両のマルチメディア装置14におけるタスクの利用状況をもとに、割り込み通信の頻度が基準値より高い高負荷地域を導出し、高負荷地域に位置する車両に対して、交通情報に関するメディア機能の優先度が高くなるように導出する。これにより、各車両の車両用情報をもとに、処理負荷が高くなる地域を特定し、その地域を走行する車両に対して適切なタスク管理ができる。また、タスク管理部24は、災害時に災害箇所を起点とした所定範囲内に位置する車両に対して、交通情報処理のタスク優先度を上げることもできる。
【0034】
図4は、道路状況に応じたタスクの優先度の導出について説明するための図である。図4には、車両50と、車両の通行が制限されている通行制限道路52と、車両50の案内経路54と、車両50への提案経路56とが示される。つまり、車両50が通行制限道路52に向かっている状況である。
【0035】
マルチメディア装置14のタスク実行部36は、ナビゲーション機能において、通行制限道路52の交通情報を受け取って、車両50が通行制限道路52を迂回するように、案内経路54を提案経路56に変更することを提案する。この提案は運転者に迅速にした方がよいが、ナビゲーション機能における目的地変更処理は、処理負荷が非常に高い。
【0036】
そこで、タスク管理部24は、道路情報をもとに異常が発生した道路の周辺に位置する車両を抽出して、抽出した車両に対して、ナビゲーション機能など所定の機能のタスクの優先度を高くし、上位になるように導出する。これにより、タスク管理部24が、道路状況に応じて迅速にタスクの優先度を設定できる。
【0037】
図2に戻る。タスク管理部24は、マルチメディア装置14のメディア機能の利用履歴にもとづいてタスクの優先度を導出する。車載装置12のメディア機能の利用履歴は、利用履歴保持部26に保持される。利用履歴保持部26は、各車両に対して、メディア機能ごとの利用履歴、および利用履歴から算出されたメディア機能ごとの利用頻度を保持する。
【0038】
タスク管理部24は、メディア機能の利用履歴をもとに、利用頻度の低いメディア機能を抽出し、利用頻度が所定値以下のメディア機能のタスクに対して優先度を低く導出する。利用履歴の少ないタスクの優先度を下げることで、他のタスクを優先的に実行できる。運転者によりメディア機能毎の利用頻度や追加アプリケーションソフトウェアの種類やそれらの利用頻度に差があり、タスクの管理をメディア機能の利用履歴にもとづくことで、運転者ごとに適切なタスクの管理ができる。
【0039】
タスク管理部24は、車両の位置情報とメディア機能の利用履歴にもとづいてタスクの優先度を導出してもよい。これにより、交通情報に関するメディア機能の優先度が高い地域に位置する車両に対して、メディア機能の利用履歴をもとに、利用頻度が非常に高いメディア機能は優先度を高く設定してスムーズに動作させることができる。
【0040】
タスク管理部24は、負荷レベルが相対的に高い地域に車両が位置する場合に、利用頻度が所定値以下のメディア機能のタスクに対して優先度を低く導出し、負荷レベルが相対的に低い地域に車両が位置する場合に、メディア機能の利用履歴に関わらず、タスクの優先度を導出してもよい。これにより、走行環境に応じて適切なタスクの優先度を導出できる。
【0041】
サーバ側通信部20は、タスク管理部24により導出された優先度をもとにタスクを実行させるため、タスクの優先度を示す指示情報を車載装置12の車載側通信部32に送信する。この指示情報をもとに、タスク実行部36はタスクの優先度を設定し、各タスクに計算リソースを振り分ける。
【0042】
(変形例について)
タスク管理システム1の変形例について説明する。変形例のタスク管理システムでは、タスクの優先度の導出が車載装置12側で実行され、タスク管理装置10はタスクの優先度を調整するための指示情報を送信する。つまり、変形例のタスク管理システムは、タスクの優先度を導出する場所がタスク管理装置10側でなく、車載装置12側である。
【0043】
変形例のタスク管理装置10のタスク管理部24は、タスクの優先度を設定するための指示情報として、1または複数のメディア機能の優先度を高くさせることを規定した指示や、1または複数のメディア機能の優先度を低くさせることを規定した指示を生成する。例えば、タスク管理部24は、車両用情報として車両の位置情報を受け取り、車両位置の周辺で道路通行制限等が発生していれば、その車両にナビゲーション機能等の優先度を高くさせる指示情報を送信する。
【0044】
生成されたタスクの優先度を設定するための指示情報は、サーバ側通信部20および車載側通信部32を介してマルチメディア装置14の入力部34に送られる。
【0045】
マルチメディア装置14の入力部34は、タスクの優先度を設定するための指示情報を受け取る。タスク実行部36は、タスクの優先度を設定するための指示情報および基礎優先度にもとづいてタスクの優先度を設定し、設定した優先度にもとづいて複数のタスクを実行することで、メディア機能を実行する。複数のメディア機能には、基礎的な優先度が予め設定されており、その基礎優先度とメディア機能の関係を示すテーブルが保持される。基礎優先度は、交通情報の通知機能や運転支援機能など、運転に関するメディア機能が高く設定され、ラジオやオーディオなど娯楽に関するメディア機能が低く設定される。基礎優先度が高く設定された機能のタスクは優先的に処理される。
【0046】
タスク実行部36は、タスクの優先度を設定するための指示情報をもとに基礎優先度を調整して、タスクの優先度を導出する。これにより、例えば、交通渋滞や道路の通行止めなどの要因で所定地域を走行している車両に対してナビゲーション機能の優先度を高くさせる指示など、タスクの優先度を迅速に調整できる。
【0047】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0048】
1 タスク管理システム、 10 タスク管理装置、 12 車載装置、 14 マルチメディア装置、 20 サーバ側通信部、 22 取得部、 24 タスク管理部、 26 利用履歴保持部、 28 地域負荷情報保持部、 30 位置取得部、 32 車載側通信部、 34 入力部、 36 タスク実行部、 38 出力部。
図1
図2
図3
図4