(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221220BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20221220BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221220BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
B41J29/00 E
B41J29/38
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2019012335
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 太朗
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111553(JP,A)
【文献】特開2017-146827(JP,A)
【文献】特開2015-201676(JP,A)
【文献】特開2013-207456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動原稿送り装置によって搬送されてくる原稿、又は原稿載置面に載置されている原稿を読み取る原稿読取部と、
ユーザーが携帯する携帯装置との間で無線通信を行う通信部と、
前記携帯装置と本画像読取装置との距離が、予め定められた第1閾値に達しているか否かと、前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値に達しているか否かとを判断する距離判断部と、
前記距離判断部により前記距離が前記第2閾値に達していると判断されていることを条件の1つとして、前記原稿読取部により読み取られた原稿が本画像読取装置に放置されているか否かを判断する原稿放置判断部と、
前記原稿放置判断部により前記原稿が本画像読取装置に放置されていると判断された状態で、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断された場合に、前記通信部を介して、前記原稿を取り忘れている旨を示す予め定められた第1警告情報を前記携帯装置へ送信する制御部と、
本画像読取装置
に接近する前記ユーザー及び第三者を接近者として、当該接近者の有無を判定する接近者判定部と、を備え、
前記制御部は、
前記原稿放置判断部により前記原稿が本画像読取装置に放置されていると一旦判断された状態で、前記接近者判定部により前記接近者が存在すると判定された場合に、前記通信部を介して、
前記ユーザー以外の第三者である他人による情報漏洩の危険性を示す予め定められた第2警告情報を前記携帯装置へ送信し、
前記原稿放置判断部により前記原稿が本画像読取装置に放置されていると一旦判断された状態で、本画像読取装置への前記接近者が存在する場合であっても、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断されたときには、前記第2警告情報を前記携帯装置へ送信しない画像読取装置。
【請求項2】
前記距離判断部は、前記通信部を介して、前記携帯装置から送信されてくる当該携帯装置の位置情報と予め登録されている本画像読取装置の位置情報とに基づいて、前記距離を算出する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿載置面に載置されている原稿を押さえる、開閉可能な原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材の開閉を検知する開閉検知部と、を更に備え、
前記原稿放置判断部は、前記原稿読取部が前記原稿載置面に載置されている原稿の読み取りを行った後に、前記開閉検知部により前記原稿押さえ部材の開放が検知されないまま、前記距離判断部により前記距離が前記第2閾値に達していると判断された場合、前記原稿が本画像読取装置に放置されていると判断する請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記接近者判定部は、前記開閉検知部により前記原稿押さえ部材の開放が検知されていないと検知されている状態から前記原稿押さえ部材の開放が検知された場合に、前記接近者が存在すると判定する請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記自動原稿送り装置によって搬送され、前記原稿読取部により読み取られた後の原稿を積載する原稿排出トレイと、
前記原稿排出トレイに原稿が存在するか否かを検知する原稿検知部と、を更に備え、
前記原稿放置判断部は、前記原稿読取部が前記自動原稿送り装置によって搬送されてくる原稿の読み取りを行った後に、前記原稿検知部により前記原稿排出トレイに原稿が存在すると検知された状態で、前記距離判断部により前記距離が前記第2閾値に達していると判断された場合、前記原稿が本画像読取装置に放置されていると判断する請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿載置面に載置された原稿を押さえる、開閉可能な原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材の開閉を検知する開閉検知部と、を更に備え、
前記接近者判定部は、前記開閉検知部により前記原稿押さえ部材の開放が検知されていないと検知されている状態から前記原稿押さえ部材の開放が検知された場合に、前記接近者が存在すると判定する請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
本画像読取装置への人の接近を検知する人体検知部を更に備え、
前記接近者判定部は、前記人体検知部により本画像読取装置への人の接近が検知された場合に、前記接近者が存在すると判定する請求項1、請求項2、請求項3又は請求項5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項8】
ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記接近者判定部は、前記操作受付部がユーザー操作を受け付けた場合に、前記接近者が存在すると判定する請求項1、請求項2、請求項3又は請求項5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記原稿読取部による読み取りで得られた原稿の画像データに基づいて、記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【請求項10】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
ユーザーが携帯する携帯装置との間で無線通信を行う通信部と、
前記携帯装置と本画像
形成装置との距離が、予め定められた第1閾値に達しているか否かと、前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値に達しているか否かとを判断する距離判断部と、
前記距離判断部により前記距離が前記第2閾値に達していると判断されていることを条件の1つとして、前記画像形成部が前記記録紙に画像を形成することによって得られた印刷物が本画像
形成装置に放置されているか否かを判断する原稿放置判断部と、
前記原稿放置判断部により前記印刷物が本画像
形成装置に放置されていると判断された状態で、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断された場合に、前記通信部を介して、前記印刷物を取り忘れている旨を示す予め定められた第3警告情報を前記携帯装置へ送信する制御部と、
本画像
形成装置
に接近する前記ユーザー及び第三者を接近者として、当該接近者の有無を判定する接近者判定部と、を備え、
前記制御部は、
前記原稿放置判断部により前記印刷物が本画像
形成装置に放置されていると一旦判断された状態で、前記接近者判定部により前記接近者が存在すると判定された場合に、前記通信部を介して、
前記ユーザー以外の第三者である他人による情報漏洩の危険性を示す予め定められた第4警告情報を前記携帯装置へ送信し、
前記原稿放置判断部により前記印刷物が本画像
形成装置に放置されていると一旦判断された状態で、本画像
形成装置への前記接近者が存在する場合であっても、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断されたときには、前記第4警告情報を前記携帯装置へ送信しない画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿や印刷物からの情報の漏えいを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に、プリンターでの印刷が完了するまでに、ユーザーが携帯する携帯装置とプリンターとの距離が予め定められた閾値以上になると、印刷物を取り忘れている旨を当該携帯装置に出力することが記載されている。例えば、下記の特許文献1には、コンビニエンスストアに設置されているプリンターでの印刷が完了するまでに、ユーザーが当該コンビニエンスストアから退店すると、印刷物を取り忘れている旨を当該携帯装置に出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コピー中にユーザーがコピー機から離れると、原稿や印刷物をユーザー以外の第三者に見られたり、持ち去られたりする危険性がある。原稿や印刷物には個人情報など、秘密にしておきたい情報が含まれている場合があるので、原稿や印刷物が第三者に見られたり、持ち去られたりするのは情報の漏えいになり、セキュリティ上問題である。
【0005】
上記の特許文献1に記載されているように、ユーザーがコンビニエンスストアから退店した場合に、原稿や印刷物の取り忘れをユーザーに警告することは、原稿や印刷物の取り忘れの防止に有効ではあるが、コピー機やプリンターからユーザーが離れても、ユーザーがコンビニエンスストア内に留まっている場合には、上記警告は行わず、セキュリティ上問題がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、従来よりも更に確実に、コピー機等に放置された原稿や印刷物が第三者に見られたり、持ち去られたりするのを防ぎ、情報漏洩の危険性を下げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、自動原稿送り装置によって搬送されてくる原稿、又は原稿載置面に載置されている原稿を読み取る原稿読取部と、ユーザーが携帯する携帯装置との間で無線通信を行う通信部と、前記携帯装置と本画像読取装置との距離が、予め定められた第1閾値に達しているか否かと、前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値に達しているか否かとを判断する距離判断部と、前記距離判断部により前記距離が前記第2閾値に達していると判断されていることを条件の1つとして、前記原稿読取部により読み取られた原稿が本画像読取装置に放置されているか否かを判断する原稿放置判断部と、前記原稿放置判断部により前記原稿が本画像読取装置に放置されていると判断された状態で、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断された場合に、前記通信部を介して、前記原稿を取り忘れている旨を示す予め定められた第1警告情報を前記携帯装置へ送信する制御部と、本画像読取装置への接近者の有無を判定する接近者判定部と、を備え、前記制御部は、前記原稿放置判断部により前記原稿が本画像読取装置に放置されていると一旦判断された状態で、前記接近者判定部により前記接近者が存在すると判定された場合に、前記通信部を介して、他人による情報漏洩の危険性を示す予め定められた第2警告情報を前記携帯装置へ送信し、前記原稿放置判断部により前記原稿が本画像読取装置に放置されていると一旦判断された状態で、本画像読取装置への前記接近者が存在する場合であっても、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断されたときには、前記第2警告情報を前記携帯装置へ送信しない。
【0008】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙に画像を形成する画像形成部と、ユーザーが携帯する携帯装置との間で無線通信を行う通信部と、前記携帯装置と本画像読取装置との距離が、予め定められた第1閾値に達しているか否かと、前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値に達しているか否かとを判断する距離判断部と、前記距離判断部により前記距離が前記第2閾値に達していると判断されていることを条件の1つとして、前記画像形成部が前記記録紙に画像を形成することによって得られた印刷物が本画像読取装置に放置されているか否かを判断する原稿放置判断部と、前記原稿放置判断部により前記印刷物が本画像読取装置に放置されていると判断された状態で、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断された場合に、前記通信部を介して、前記印刷物を取り忘れている旨を示す予め定められた第3警告情報を前記携帯装置へ送信する制御部と、本画像読取装置への接近者の有無を判定する接近者判定部と、を備え、前記制御部は、前記原稿放置判断部により前記印刷物が本画像読取装置に放置されていると一旦判断された状態で、前記接近者判定部により前記接近者が存在すると判定された場合に、前記通信部を介して、他人による情報漏洩の危険性を示す予め定められた第4警告情報を前記携帯装置へ送信し、前記原稿放置判断部により前記印刷物が本画像読取装置に放置されていると一旦判断された状態で、本画像読取装置への前記接近者が存在する場合であっても、前記距離判断部により前記距離が前記第1閾値に達していると判断されたときには、前記第4警告情報を前記携帯装置へ送信しない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿又は印刷物が放置されたまま、ユーザーが携帯する携帯装置と本画像読取装置や本画像形成装置との距離が第1閾値に達した場合(例えば、コピー機の設置されたコンビニエンスストアからユーザーが退店した場合)に、原稿又は印刷物を取り忘れている旨を示す警告情報が上記携帯装置へ送信される。これにより、コンビニエンスストアからの退店時等、ユーザーがコピー機等から遠く離れた時に、ユーザーに原稿又は印刷物の取り忘れに気づかせることができる。
【0010】
また、原稿又は印刷物が放置されている状態で、ユーザー以外の第三者が本画像読取装置や本画像形成装置へ接近した場合(すなわち、情報漏洩の危険性が高くなっている場合)に、情報漏洩の危険性を示す警告情報が上記携帯装置へ送信される。すなわち、ユーザーがコピー機等から遠く離れていなかった(例えば、コンビニエンスストアからユーザーが退店していなかった)としても、他人による情報漏洩の危険性が高くなっている場合には、上記警告情報が上記携帯装置へ送信される。これにより、情報漏洩の危険性を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の外観を示した斜視図である。
【
図3】(A)(B)は、画像形成装置と携帯装置を携帯するユーザーとの位置関係を示した図である。
【
図4】画像形成装置から携帯装置へ警告情報が送信される処理を示すフローチャートである。
【
図5】画像形成装置と携帯装置を携帯するユーザーとの位置関係を示した図である。
【
図6】第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図であり、
図2は、第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の外観を示した斜視図である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャン機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、開閉スイッチ51、近距離通信部31、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を備える。
【0014】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により搬送されてきた原稿、又はコンタクトガラス161に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。なお、原稿給送部6及びコンタクトガラス161はそれぞれ、特許請求の範囲における自動原稿送り装置、原稿載置面の一例である。
【0015】
また、原稿給送部6は、原稿読取部5の上面にヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、原稿マット61及び原稿排出トレイ62を備える。原稿マット61は、コンタクトガラス161上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。原稿排出トレイ62は、原稿給送部6によって搬送され、原稿読取部5により読み取られた後の原稿を積載する。なお、原稿排出トレイ62には、当該原稿排出トレイ62に原稿が存在するか否かを検知する原稿検知部63が設けられている。
【0016】
原稿読取部5には、原稿マット61の開閉を検知するための開閉スイッチ51が設けられている。なお、原稿マット61及び開閉スイッチ51はそれぞれ、特許請求の範囲における原稿押さえ部材、開閉検知部の一例である。
【0017】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置20としてのパソコン等から受信した画像データに基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録紙にトナー像を形成する。
【0018】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0019】
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、又は無線LAN等の近距離無線通信方式を用いて、ユーザーが携帯する携帯装置71との間で無線通信を行うものである。
【0020】
携帯装置71は、NFC通信等の近距離通信用のインターフェイス部及び無線LAN通信用のインターフェイス部と表示部72とを備えると共に、当該携帯装置71の位置情報を取得することが可能であり、例えば、スマートフォンが挙げられる。
【0021】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネル機能を有しており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0022】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上のパソコンやサーバー等の外部装置20や携帯装置71と種々のデータの送受信を行うものである。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における通信部の一例である。
【0023】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、距離判断部102と、原稿放置判断部103と、接近者判定部104とを備えている。
【0024】
制御ユニット10は、図示しないHDD(Hard Disk Drive)に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、操作受付部101、距離判断部102、原稿放置判断部103、及び接近者判定部104として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0025】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、開閉スイッチ51、近距離通信部31、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0026】
例えば、制御部100は、画像形成装置1の近距離通信部31に近付けられた携帯装置71からNFC通信等によって、携帯装置71に記憶されている個人情報(例えば、IDコード、当該携帯装置71のIPアドレス)を取得する。
【0027】
操作受付部101は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。例えば、操作受付部101は、操作部47が備えるハードキーに対するユーザー操作を受け付け、更には、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザー操作を、表示部473が有するタッチパネル機能により受け付ける。
【0028】
例えば、操作受付部101が、コピー開始のユーザー操作を受け付けると、制御部100は、携帯装置71に対して当該携帯装置71の位置情報を画像形成装置1へ定期的に送信する旨を示す指令を、ネットワークインターフェイス部91を介して送信する。これにより、画像形成装置1は携帯装置71の位置を把握することが可能となる。
【0029】
距離判断部102は、ユーザーが携帯する携帯装置71と画像形成装置1との距離Dが予め定められた第1閾値D1(ユーザーが画像形成装置1から遠く離れているとされる距離。例えば、10m)に達しているか否かを判断する。なお、距離判断部102は、携帯装置71から送信されてくる当該携帯装置71の位置情報と、予め登録されている画像形成装置1の位置情報とに基づいて、距離Dを算出する。
【0030】
更に、距離判断部102は、距離Dが第1閾値D1よりも小さい予め定められた第2閾値D2(ユーザーが画像形成装置1の近くにいるとされる距離。例えば、1m)に達しているか否かを判断する。
【0031】
原稿放置判断部103は、原稿読取部5により読み取られた原稿が画像形成装置1に放置されているか否かを判断する。例えば、原稿放置判断部103は、原稿読取部5がコンタクトガラス161に載置されている原稿の読み取りを行った後に、(i)開閉スイッチ51により原稿マット61の開放が検知されないまま、又は(ii)原稿検知部63により原稿排出トレイ62に原稿が存在すると検知された状態で、距離判断部102により距離Dが第2閾値D2に達していると判断された場合、当該原稿が画像形成装置1(ここでは、コンタクトガラス161)に放置されていると判断する。
【0032】
また、原稿放置判断部103は、原稿読取部5が原稿給送部6によって搬送されてくる原稿の読み取りを行った後に、原稿検知部63により原稿排出トレイ62に原稿が存在すると検知された状態で、距離判断部102により距離Dが第2閾値D2に達していると判断された場合、当該原稿が画像形成装置1(ここでは、原稿排出トレイ62)に放置されていると判断する。
【0033】
接近者判定部104は、画像形成装置1への接近者の有無を判定する。例えば、接近者判定部104は、開閉スイッチ51により原稿マット61の開放が検知された場合に、画像形成装置1への接近者が存在すると判定し、又は操作受付部101がユーザー操作を受け付けた場合に、接近者が存在すると判定する。また、別の実施形態としては、接近者判定部104は、画像形成装置1への人の接近を検知する人体検知部(例えば、人体が発する赤外線を検知する人体感知センサー)を新たに備え、当該人体検知部が画像形成装置1への人の接近を検知した場合に、接近者判定部104が、画像形成装置1への接近者が存在すると判定するようにしてもよい。
【0034】
次に、原稿の取り忘れが生じた場合に、画像形成装置1と携帯装置71を携帯するユーザーとの位置関係に基づいて行われる、画像形成装置1から携帯装置71へ警告情報が送信される処理を説明する。
図3(A)、(B)は、画像形成装置1と携帯装置71を携帯するユーザーとの位置関係を示した図である。
図4は画像形成装置1から携帯装置71へ警告情報が送信される処理を示すフローチャートである。
【0035】
図3(A)に示すように、制御部100は、原稿放置判断部103により原稿が画像形成装置1に放置されていると判断された状態で(S1でYES)、距離判断部102により距離Dが第1閾値D1に達していると判断された場合に(S2でYES)、ネットワークインターフェイス部91を介して、原稿を取り忘れている旨を示す予め定められた第1警告情報を、近距離通信部31を用いて事前に取得したIPアドレスに該当する携帯装置71へ送信する(S3)。例えば、「原稿をコピー機に置き忘れています」というようなメッセージを有する第1警告情報が携帯装置71へ送信される。なお、制御部100は、原稿放置判断部103により原稿が画像形成装置1に放置されていないと判断されている状態のときは(S1でNO)、S2以降の処理を行わない。
【0036】
携帯装置71は、画像形成装置1から送信されてきた警告情報が示すメッセージを表示部72に表示する機能を有するアプリケーションを備えている。従って、
図3(A)に示すように、原稿が画像形成装置1に放置されたまま、携帯装置71を携帯するユーザーU1が画像形成装置1から距離D(第1閾値D1)より遠く離れると、上記したようなメッセージが携帯装置71の表示部72に表示される。
【0037】
図3(B)に示すように、制御部100は、原稿放置判断部103により原稿が画像形成装置1に放置されていると判断された状態で(S1でYES)、距離判断部102により距離Dが第1閾値D1に達していないと判断され(S2でNO)、しかも、接近者判定部104により接近者が存在すると判定された場合には(S4でYES)、ユーザー以外の第三者が画像形成装置1へ接近したことになるので、ネットワークインターフェイス部91を介して、他人による情報漏洩の危険性を示す予め定められた第2警告情報を、上記IPアドレスに該当する携帯装置71へ送信する(S5)。例えば、「コピーやスキャンした原稿をコピー機に置き忘れている可能性があり、別の人が置き忘れた原稿を見たり、持ち去ったりする危険性があります」というようなメッセージを有する第2警告情報が携帯装置71へ送信される。なお、S4において、制御部100は、接近者判定部104により接近者が存在していないと判定された場合には(S4でNO)、第2警告情報を携帯装置71に送信しない。
【0038】
従って、
図3(B)に示すように、原稿が画像形成装置1に放置されたまま、ユーザーU1以外の第三者U2が画像形成装置1へ接近した場合には、携帯装置71を携帯するユーザーU1が画像形成装置1から距離D(第1閾値D1)より遠く離れていなくても、上記したようなメッセージが携帯装置71の表示部72に表示される。
【0039】
上記第1実施形態によれば、原稿が放置されたまま、ユーザーが携帯する携帯装置71と画像形成装置1との距離Dが第1閾値D1に達した場合(例えば、コピー機の設置されたコンビニエンスストアからユーザーが退店した場合)に、原稿を取り忘れている旨を示す第1警告情報が携帯装置71へ送信される。これにより、コンビニエンスストアからの退店時等、ユーザーがコピー機等から遠く離れた時に、ユーザーに原稿の取り忘れに気付かせることができる。
【0040】
また、原稿が放置されている状態で、ユーザー以外の第三者が画像形成装置1へ接近した場合(すなわち、他人による情報漏洩の危険性が高くなっている場合)に、情報漏洩の危険性を示す第2警告情報が携帯装置71へ送信される。すなわち、ユーザーがコピー機等から遠く離れていなかった(例えば、コンビニエンスストアからユーザーが退店していなかった)としても、他人による情報漏洩の危険性が高くなっている場合には、第2警告情報が携帯装置71へ送信される。これにより、他人による情報漏洩の危険性を下げることができる。
【0041】
また、上記第1実施形態では、携帯装置71を携帯するユーザーU1が画像形成装置1から距離D(第1閾値D1)より遠く離れた場合には(
図5参照)、その時点で、画像形成装置1への接近者の存在に関係なく、制御部100は、第1警告情報を携帯装置71へ送信する。つまり、携帯装置71を携帯するユーザーU1が画像形成装置1から距離D(第1閾値D1)より遠く離れている場合には、携帯装置71へ第1警告情報が既に送信されており、また、ユーザー以外の第三者が画像形成装置1へ接近したことを通知しても対処が困難であると想定されるため、携帯装置71へ第2警告情報を新たに送信する効果は小さいと考えられる。
【0042】
このため、原稿放置判断部103により原稿が画像形成装置1に放置されていると判断された状態で、距離判断部102により距離Dが第1閾値D1に達していると判断された場合には、接近者判定部104により接近者が存在すると判定されたとしても、第2警告情報を携帯装置71へ送信しないようにしている。
【0043】
また、ここまで原稿についての情報漏洩を防ぐ場合を例に挙げて説明しているが、第2実施形態として、
図6に示すように、原稿放置判断部103の代わりに、画像形成部12が記録紙に画像を形成することによって得られた印刷物が画像形成装置1に放置されているか否かを判断する印刷物放置判断部105を制御ユニット10に備えることで、印刷物からの情報漏洩を防ぐようにしてもよい。
【0044】
例えば、排出トレイ151に印刷物検知センサーを設け、印刷物放置判断部105は、画像形成部12による記録紙への画像形成が開始された後に、印刷物検知センサーにより排出トレイ151に印刷物が存在すると検知された状態で、距離判断部102により距離Dが第2閾値D2に達していると判断された場合、当該印刷物が画像形成装置1(ここでは、排出トレイ151)に放置されていると判断する。
【0045】
制御部100は、印刷物放置判断部105により印刷物が画像形成装置1に放置されていると判断された状態で、距離判断部102により距離Dが第1閾値D1に達していると判断された場合に、ネットワークインターフェイス部91を介して、印刷物を取り忘れている旨を示す予め定められた第3警告情報(第1警告情報に相当)を携帯装置71へ送信する。
【0046】
更に、制御部100は、印刷物放置判断部105により印刷物が画像形成装置1に放置されていると判断された状態で、接近者判定部104により接近者が存在すると判定された場合に、ユーザー以外の第三者が画像形成装置1へ接近したことになるので、ネットワークインターフェイス部91を介して、他人による情報漏洩の危険性を示す予め定められた第4警告情報(第2警告情報に相当)を携帯装置71へ送信する。
【0047】
従って、上記第1及び第2実施形態によれば、従来よりも更に確実に、画像形成装置1に放置された原稿又は印刷物が第三者に見られたり、持ち去られたりするのを防ぎ、他人による情報漏洩の危険性を下げることができる。
【0048】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、コピー機能やプリンター機能、スキャン機能を有した他の画像読取装置や画像形成装置でもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、
図1乃至
図6を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
5 原稿読取部
6 原稿給送部
12 画像形成部
51 開閉スイッチ
61 原稿マット
62 原稿排出トレイ
63 原稿検知部
71 携帯装置
91 ネットワークインターフェイス部
100 制御部
101 操作受付部
102 距離判断部
103 原稿放置判断部
104 接近者判定部
105 印刷物放置判断部
161 コンタクトガラス