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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221220BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221220BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20221220BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20221220BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221220BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N1/00 838
B41J29/38
B41J29/46 Z
B41J29/00 Z
G03G21/00 386
G03G21/00 396
G06F3/12 322
G06F3/12 359
G06F3/12 364
G06F3/12 373
G06F3/12 392
G06F3/12 338
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019012336
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020120354
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 太朗
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-185449(JP,A)
【文献】特開2017-005589(JP,A)
【文献】特開2015-032038(JP,A)
【文献】特開2017-146827(JP,A)
【文献】特開2007-193606(JP,A)
【文献】特開2005-327193(JP,A)
【文献】特開2014-092952(JP,A)
【文献】特開2018-102848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/46
B41J 29/00
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部が前記記録紙に画像を形成することによって得られた印刷物を保管する保管装置と、
前記保管装置に保管されている前記印刷物を裁断する裁断装置と、
前記印刷物が前記保管装置に保管されてから予め定められた第1待機時間が経過したと判断した場合に、前記裁断装置の動作を制御して前記印刷物を裁断させる制御部と、
ユーザーが携帯する携帯装置との間で無線通信を行う通信部と、を備え、
前記制御部は、前記印刷物が前記保管装置に保管されてから、前記第1待機時間よりも短い、予め定められた第2待機時間が経過したと判断した場合に、前記通信部を介して、前記印刷物が裁断される旨を示す予め定められた警告情報を前記携帯装置へ送信し、
前記印刷物を裁断した履歴を示す履歴情報を、印刷ジョブを要求したユーザー毎に記憶する履歴情報記憶部と、
印刷ジョブを要求したユーザー個人を特定する個人特定部と、を更に備え、
前記制御部は、前記履歴情報記憶部に記憶されている、前記個人特定部により特定されたユーザー個人に対応する履歴情報が示す前記印刷物の裁断頻度に基づいて、当該裁断頻度が予め定められた閾値以上の場合は、当該裁断頻度が当該閾値よりも低い場合よりも前記第2待機時間を短くして、前記第2待機時間の長さを設定する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部を介して、前記第1待機時間の延長を要求するか否かをユーザーに問い合わせるための通知を前記携帯装置へ行い、前記通信部を介して、前記第1待機時間の延長を要求するユーザー指示を前記携帯装置から受信すると、前記第1待機時間を延長する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信部を介して、前記第1待機時間の延長時間を指定するユーザー指示を前記携帯装置から受信すると、当該受信したユーザー指示が指定する延長時間に従って、前記第1待機時間を延長する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記延長時間の長さに応じた金額で課金処理を実行する課金処理部を更に備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記課金処理部は、印刷ジョブの内容に応じた金額で課金処理を実行すると共に、
前記延長時間には予め定められた上限が設けられ、
更に、前記課金処理部は、前記延長時間が上限に設定された場合であっても、前記印刷物を得た印刷ジョブの内容に応じた印刷料金以上にならない金額として、前記延長時間の長さに応じた延長料金を設定して課金処理を行う請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物からの情報の漏洩を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に、プリンターでの印刷が完了するまでに、ユーザーが携帯する携帯装置とプリンターとの距離が予め定められたしきい値以上になると、印刷物を取り忘れている旨を当該携帯装置に出力することが記載されている。例えば、下記の特許文献1には、コンビニエンスストアに設置されているプリンターでの印刷が完了するまでに、ユーザーが当該コンビニエンスストアから退店すると、印刷物を取り忘れている旨を当該携帯装置に出力することが記載されている。
【0003】
また、下記の特許文献1には、印刷物をロック可能な出力ボックスで保管し、一定時間が経過すると、出力ボックス内にある印刷物をシュレッダーで裁断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-146827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷中にユーザーがプリンターから離れると、印刷物をユーザー以外の第三者に見られたり、持ち去られたりする危険性がある。印刷物には個人情報など、秘密にしておきたい情報が含まれている場合があるので、印刷物が第三者に見られたり、持ち去られたりするのは情報の漏洩になり、セキュリティ上問題である。
【0006】
上記の特許文献1に記載された発明は、印刷物をロック可能な出力ボックスで保管することで、情報の漏洩を防ぐことができる。また、一定時間が経過すると、保管している印刷物を裁断するが、印刷物が裁断されてしまうと、もう一度、印刷を行わなければならず、ユーザーに再印刷のコストや手間を掛けさせてしまい、利便性が低下する。また、記録紙を無駄に消費してしまうことにもなる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、印刷物からの情報の漏洩を防ぎつつ、ユーザーの利便性を損なわないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部が前記記録紙に画像を形成することによって得られた印刷物を保管する保管装置と、前記保管装置に保管されている前記印刷物を裁断する裁断装置と、前記印刷物が前記保管装置に保管されてから予め定められた第1待機時間が経過したと判断した場合に、前記裁断装置の動作を制御して前記印刷物を裁断させる制御部と、ユーザーが携帯する携帯装置との間で無線通信を行う通信部と、を備え、前記制御部は、前記印刷物が前記保管装置に保管されてから、前記第1待機時間よりも短い、予め定められた第2待機時間が経過したと判断した場合に、前記通信部を介して、前記印刷物が裁断される旨を示す予め定められた警告情報を前記携帯装置へ送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保管装置で保管されている印刷物が裁断される前に、当該印刷物が裁断される旨を示す警告情報が、ユーザーが携帯する携帯装置へ送信される。これにより、ユーザーに裁断までの時間が迫っていることを気づかせ、裁断の回避をユーザーに促すことが可能となる。従って、情報の漏洩を防ぎつつ、ユーザーの利便性を損なわないようにすることができる。また、記録紙が無駄に消費されるのを防ぐことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットで行われる処理動作の一例を示したフローチャートである。
図3】携帯装置の表示部に表示される操作画面の一例を示した図である。
図4】第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
図5】履歴情報記憶部に記憶されるデータ構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【0012】
第1実施形態に係る画像形成装置は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャン機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、複数の保管装置51A,51B(以降、まとめて「保管装置51」とも称す)、近距離通信部31、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を備える。また、画像形成装置1は、課金装置110が接続可能に構成されている。
【0013】
課金装置110(例えば、コインベンダー)は、金銭の投入を受け付け、印刷についての料金を徴収し、残金を払い戻しする既知の装置である。課金装置110は、図略の金銭投入口、金銭が投入されたことを検知するための投入検知センサー、投入された金銭の種類を識別するための種類識別センサー、残金表示部、及び金銭返却口などを備える。課金装置110は、既知の技術により、投入された金額の認識、行われた印刷に応じて当該金額を減算する課金(後述する課金処理部102からの指示に従って行う)、課金後の残額の認識等を行う。なお、課金装置110は、画像形成装置1の制御部100による制御の下で動作する。
【0014】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により搬送されてきた原稿、又は図略のコンタクトガラスに載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0015】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データ、又はネットワーク接続された外部装置20としてのコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録紙にトナー像を形成する。
【0016】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙はロック可能な保管装置51へ出力されて保管される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0017】
保管装置51A,51Bはそれぞれ、画像形成部12が記録紙に画像を形成することによって得られた印刷物が蓄積され、当該印刷物を保管する装置である。保管装置51A,51Bは、保管している印刷物を裁断するシュレッダー機能を有する裁断装置52A,52B(以降、まとめて「裁断装置52」とも称す)を備える。保管装置51A,51Bは、例えば、内部に印刷物を積載して収容可能な鍵(例えば暗証番号の入力により解錠する機構)付きの箱である。なお、保管装置51A,51Bにはそれぞれボックス番号が設定されている。
【0018】
近距離通信部31は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、又は無線LAN等の近距離無線通信方式を用いて、ユーザーが携帯する携帯装置71との間で無線通信を行う通信装置である。
【0019】
携帯装置71は、NFC通信等の近距離通信用のインターフェイス部及び無線LAN通信用のインターフェイス部と表示部72とを備えると共に、当該携帯装置71の位置情報を取得することが可能であり、例えば、スマートフォンが挙げられる。
【0020】
操作部47は、指示の入力を受け付けるためのハードキー等を有し、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネル機能を有しており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作するための指示を入力する。
【0021】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の端末装置やサーバー等の外部装置20や携帯装置71と種々のデータの送受信を行うものである。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における通信部の一例である。
【0022】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、課金処理部102とを備えている。
【0023】
制御ユニット10は、図示しないHDD(Hard Disk Drive)に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、操作受付部101、及び課金処理部102として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0024】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、保管装置51、近距離通信部31、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成装置1の近距離通信部31に近付けられた携帯装置71からNFC通信等によって、携帯装置71に記憶されている個人情報(例えば、IDコード、当該携帯装置71のIPアドレス)を取得する。
【0025】
また、制御部100は、印刷物が保管装置51に保管されてから予め定められた第1待機時間T1(例えば、20分)が経過したと判断した場合に、裁断装置52の動作を制御して、裁断装置52により保管装置51に保管されている印刷物を裁断させる。なお、制御部100は、第1待機時間T1を記憶しており、操作部47を介してユーザーから操作受付部101に受け付けられる指示に従って、第1待機時間T1を延長する。
【0026】
操作受付部101は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。例えば、操作受付部101は、操作部47が備えるハードキーに対するユーザーからの指示を受け付け、更には、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーからの指示を、表示部473が有するタッチパネル機能により受け付ける。
【0027】
例えば、操作受付部101が、ユーザーからのコピー指示を受け付けると、制御部100が、原稿読取部5に原稿を読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、画像形成部12に画像を記録紙に形成させる。画像が記録紙に形成されてなる印刷物は保管装置51内に排出される。これにより、印刷物が第三者に見られたり持ち去られることを防止する。
【0028】
なお、印刷物の出力先となる保管装置51のボックス番号や当該保管装置51を解錠するための暗証番号については、操作受付部101がユーザーからのコピー指示を受け付けたときに、制御部100が、表示部473に表示する。これにより、暗証番号がユーザーに伝えられる。具体的には、制御部100が、暗証番号をランダムに設定し、空いている保管装置51のボックス番号に対応付けて、当該設定した暗証番号を記憶し、その後、当該ボックス番号及び当該暗証番号を表示部473に表示する。
【0029】
次に、保管装置51に保管されている印刷物がユーザーに取り出されるまでの一連の流れについて説明する。操作受付部101が、ユーザーの操作部47の操作に基づいてユーザーから印刷物の取り出し要求を受け付けると、制御部100が、例えば「ボックス番号を入力してください」のメッセージが記された操作画面を表示部473に表示させる。これにより、ボックス番号の入力をユーザーに促す。
【0030】
操作受付部101が、ユーザーの操作部47の操作に基づいてユーザーからボックス番号を受け付けると、制御部100が、例えば「暗証番号を入力してください」といったメッセージが記された操作画面を表示部473に表示させる。これにより、暗証番号の入力をユーザーに促す。制御部100は、操作受付部101が受け付けたユーザー入力の暗証番号と当該ボックス番号に対応付けて記憶されている暗証番号とが一致すると判断した場合(すなわち、解錠条件が成立した場合)に、当該ボックス番号に対応する保管装置51を解錠する。これにより、ユーザーは保管装置51から印刷物を取り出すことができるようになる。なお、制御部100は、印刷料金C1の徴収を上記解錠条件の一つとして保管装置51を解錠する。
【0031】
課金処理部102は、印刷ジョブの内容に応じて印刷料金C1を設定し、当該設定した印刷料金C1をユーザーから徴収するための課金処理を実行する。例えば、制御部100が、ユーザー操作に応じて設定された印刷ジョブの内容に従って、画像形成部12を制御することで印刷ジョブを実行し、当該印刷ジョブの実行が終了すると、課金処理部102は、当該印刷ジョブの内容(印刷枚数等)に応じて、課金のカウントアップを要求する信号を課金装置110へ送信する。
【0032】
後で詳しく説明するが、第1待機時間T1がユーザー指示によって延長された場合、延長料金C2を発生させるので、課金処理部102は、第1待機時間T1の延長時間TEの長さに応じて延長料金C2を設定し、当該設定した延長料金C2をユーザーから徴収するための課金処理を実行する。従って、延長料金C2が発生した場合には、当該延長料金C2の徴収も上記解錠条件の一つとなる。
【0033】
なお、保管装置51の空きが逼迫するのを避けるために、延長時間TEについては上限(例えば、20分)を設けるのが好ましい。また、課金処理部102は、延長時間TEが上限に設定されたとしても、延長時間TEの長さに応じた延長料金C2は、印刷料金C1以上にならないように設定する。延長料金C2が印刷料金C1よりも高ければ、再印刷する方が安くなり、費用の点で、印刷物を急いで取りに行く利点が無くなるからである。
【0034】
例えば、課金処理部102は、印刷料金C1が300円である場合、延長時間TEが上限20分のときの延長料金C2は300円以上にならないようにする。例えば、課金処理部102は、延長時間TEが上限の20分に設定されている場合、延長料金C2を印刷料金C1の75%相当(230円)に設定する。同様に、延長時間TEが15分である場合、延長料金C2を印刷料金C1の50%相当(150円)に、延長時間TEが10分である場合、印刷料金C1の25%相当(80円)に、延長時間TEが5分と短い場合、無料に設定する。印刷料金C1「300円」の75%は225円であるが、印刷単価は10円であることが多いので、印刷単価未満を繰り上げ、印刷料金C1「300円」の75%相当を230円としている。
【0035】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御ユニット10で行われる処理動作の一例について、図2に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作は、印刷ジョブが終了した時点で行われる処理動作である。また、このとき、課金処理部102は、印刷ジョブの内容に応じて印刷料金C1を設定している。
【0036】
まず、制御部100は、初期設定として、印刷物を裁断するまでの第1待機時間T1を延長したことを示す延長フラグFを0に設定すると共に(S1)、制御ユニット10に内蔵されているタイマーTを0にリセットし、当該タイマーTを用いて、印刷物が保管装置51に保管されてからの経過時間の計測を開始する(S2)。
【0037】
制御部100は、印刷物が保管装置51に保管されてから予め定められた第2待機時間T2が経過しているか否かを判断する(S3)。第2待機時間T2は、第1待機時間T1よりも短い時間であり、例えば、第1待機時間T1が20分であれば、第2待機時間T2は15分に設定される。
【0038】
制御部100は、第2待機時間T2が経過していないと判断した場合(S3でNO)、保管装置51が解錠されたか否かを判断し(S4)、保管装置51が解錠されたと判断した場合(S4でYES)、ユーザーが保管装置51に保管されていた印刷物を取り出したと認められるので、この処理動作を終了する。このとき、制御部100は、暗証番号の入力及び印刷料金C1の徴収を上記解錠条件の一つとして保管装置51を解錠する。
【0039】
一方、制御部100が、保管装置51は解錠されていないと判断した場合(S4でNO)、処理はS3に戻る。
【0040】
一方、制御部100は、第2待機時間T2が経過していると判断した場合(S3でYES)、ネットワークインターフェイス部91を介して、印刷物が間もなく裁断される旨を示す予め定められた警告情報を、近距離通信部31を用いて事前に取得したIPアドレスに該当する携帯装置71へ送信すると共に、第1待機時間T1の延長を要求するか否かをユーザーに問い合わせるための通知を当該携帯装置71へ行う(S5)。
【0041】
例えば、「もう少しで印刷した文書が裁断されます。取りに来てください。」というようなメッセージM1(図3を参照)を有する警告情報と一緒に、第1待機時間T1の延長時間TEに対する選択肢、及び「料金を払うことで、裁断するまでの時間を一度だけ延長することができます。延長しますか?」というようなメッセージM2(図3を参照)を有する選択情報が画像形成装置1から携帯装置71へ送信される。
【0042】
携帯装置71は、画像形成装置1から送信されてきた警告情報や選択情報が示すメッセージM1,M2、そして当該選択情報が示す選択肢を選択ボタンとして表示部72に表示する機能を有すると共に、第1待機時間T1の延長を要求するユーザー指示を受け付け、当該受け付けたユーザー指示を画像形成装置1へ送信する機能を有するアプリケーションを備えている。従って、印刷物が保管装置51に保管されてから第2待機時間T2が経過すると、図3に例を示すように、上記したようなメッセージM1,M2及び選択ボタンB1乃至B4を含んでなる操作画面G1が携帯装置71の表示部72に表示される。選択ボタンB1乃至B4には、それぞれ画像形成装置1に指示する延長時間が表示されている。選択ボタンB1乃至B4の近傍には、当該表示されている延長時間に対応する延長料金を示す画像E1~E3が表示される。
【0043】
選択ボタンB1乃至B4のいずれかがユーザーによって操作され、携帯装置71が第1待機時間T1の延長時間TEを指定するユーザー指示を携帯装置71が受け付けると、携帯装置71は当該受け付けたユーザー指示を画像形成装置1へ送信する。例えば、ユーザーが選択ボタンB2を操作した場合、携帯装置71は「延長時間を10分に指定する」というユーザー指示を画像形成装置1へ送信する。このとき、ユーザーは、上記画像E1~E3により、指定する延長時間についての延長料金を確認することができる。
【0044】
続いて、画像形成装置1の制御部100は、第1待機時間T1の延長を要求するユーザー指示があったか否かを判断する(S6)。具体的には、制御部100は、ネットワークインターフェイス部91を介して、携帯装置71から送信されてくる延長時間TEを指定するユーザー指示を受信したか否かを判断する。
【0045】
制御部100は、当該ユーザー指示があったと判断した場合(S6でYES)、当該受信したユーザー指示が示す延長時間TEを第1待機時間T1に加算して、第1待機時間T1を新たな第1待機時間T1に更新し(S8)、延長フラグFを1に設定する(S9)。課金処理部102は、延長時間TEの長さに応じて延長料金C2を設定して印刷料金C1に加算する(S10)。この後、処理はS11へ進む。
【0046】
一方、制御部100は、第1待機時間T1の延長を要求するユーザー指示がなかったと判断した場合(S6でNO)、S7乃至S10をスキップして、処理はS11へ進む。
【0047】
制御部100は、印刷物が保管装置51に保管されてから第1待機時間T1が経過しているか否かを判断し(S11)、第1待機時間T1が経過していると判断した場合(S11でYES)、制御部100は、裁断装置52の動作を制御することで、保管装置51に保管されている印刷物を裁断させ(S12)、この処理動作を終了する。
【0048】
一方、制御部100は、第1待機時間T1が経過していないと判断した場合(S11でNO)、保管装置51が解錠されたか否かを判断し(S13)、保管装置51が解錠されたと判断した場合(S13でYES)、ユーザーが保管装置51に保管されていた印刷物を取り出したと認められるので、この処理動作を終了する。このとき、制御部100は、暗証番号の入力と、印刷料金C1及び延長料金C2の徴収とを上記解錠条件の一つとして保管装置51を解錠する。
【0049】
制御部100は、保管装置51は解錠されていないと判断した場合(S13でNO)、延長フラグFが1であるか否かを判断し(S14)、延長フラグFが1であると判断した場合(S14でYES)、処理はS11へ戻り、延長フラグFが1でないと判断した場合(S14でNO)、処理はS6へ戻る。
【0050】
上記第1実施形態によれば、保管装置51で保管されている印刷物が裁断される前に、当該印刷物が裁断される旨を示す警告情報が、ユーザーが携帯する携帯装置71へ送信される。これにより、ユーザーに裁断までの時間が迫っていることを気づかせ、裁断の回避をユーザーに促すことが可能となる。従って、情報の漏洩を防ぎつつ、ユーザーの利便性を損なわないようにすることができる。また、記録紙が無駄に消費されるのを防ぐことも可能となる。
【0051】
また、裁断までの第1待機時間T1をユーザーが要求すれば延長することができるので、ユーザーが印刷物を取りに戻っている途中で第1待機時間T1が経過し、印刷物が裁断されるといったユーザーにとって好ましくない事態が生じるのを回避することが可能となる。
【0052】
なお、上記第1実施形態では、第1待機時間T1の延長時間TEをユーザーが指定する場合について説明しているが、別の実施形態では、単純に、第1待機時間T1の延長だけをユーザーが要求するようにし、当該要求を受信すると、制御部100が第1待機時間T1を予め定められた長さ(例えば、10分)だけ延長するようにしてもよい。
【0053】
図4は、第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。第2実施形態に係る画像形成装置は、制御ユニット10が個人特定部103及び履歴情報記憶部104を備え、更には、制御部100が、第2待機時間T2の長さを変更する機能を有する点で、図1に示した画像形成装置1と相違する。
【0054】
個人特定部103は、印刷ジョブを要求したユーザー個人を特定する。具体的には、個人特定部103は、画像形成装置1の近距離通信部31に近付けられた携帯装置71からNFC通信等によって、制御部100が携帯装置71から取得した個人情報(IDコード)からユーザー個人を特定する。
【0055】
履歴情報記憶部104は、印刷物の裁断履歴に関する履歴情報を、印刷ジョブを要求したユーザー毎に記憶する。例えば、図5に示すように、履歴情報記憶部104は、ユーザーのIDコードに対応付けて、印刷ジョブの履歴及び印刷物の裁断履歴に関する情報を記憶する。従って、履歴情報記憶部104に記憶されている履歴情報を用いることで、ユーザーそれぞれの印刷物の裁断頻度を算出することができる。
【0056】
制御部100は、履歴情報記憶部104に記憶されている、個人特定部103により特定されたユーザー個人に対応する履歴情報が示す印刷物の裁断頻度に基づいて、当該裁断頻度が予め定められた閾値以上の場合は、当該裁断頻度が当該閾値よりも低い場合よりも第2待機時間T2が短くなるように、第2待機時間T2の長さを設定する。
【0057】
例えば、制御部100は、裁断頻度が上記閾値よりも低い場合は、第2待機時間T2を15分に設定するが、裁断頻度が上記閾値以上である場合は、第2待機時間T2を10分に設定する。これにより、印刷物の取り忘れが多いユーザーには、図3に示したような警告情報を早めに通知することが可能となる。
【0058】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、コピー機能やプリンター機能を有した他の画像形成装置でもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、図1乃至図5を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
12 画像形成部
51 保管装置
52 裁断装置
71 携帯装置
91 ネットワークインターフェイス部
100 制御部
101 操作受付部
102 課金処理部
103 個人特定部
104 履歴情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5