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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221220BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20221220BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/18
B41J2/14 305
B41J2/14 613
B41J2/14 611
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019014211
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2019217755
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2018116136
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 峻介
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-015967(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115353(WO,A1)
【文献】特開2016-000488(JP,A)
【文献】特開2019-217756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0081036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/18
B41J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をノズルから噴射方向へ噴射する液体噴射部と、前記液体噴射部を駆動する駆動回路と、前記液体を貯留する空間が形成された収容体とを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットのうち前記ノズル側において当該ヘッドユニットに接触する固定板と、
前記固定板に接触し、前記ヘッドユニットを支持する支持体とを具備し、
前記支持体は、前記固定板の外周に接触する第1側壁部と第2側壁部とを含み、
前記ヘッドユニットは、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間に位置し、
前記支持体は、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間において前記固定板に接触する接触部を含み、
前記支持体は、前記収容体よりも熱伝導率が高い材料で形成される
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
液体をノズルから噴射方向へ噴射する液体噴射部と、前記液体噴射部を駆動する駆動回路と、前記液体を貯留する空間が形成された収容体とを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットのうち前記ノズル側において当該ヘッドユニットに接触する固定板と、
前記固定板に接触し、前記ヘッドユニットを支持する支持体とを具備し、
第1ヘッドユニットおよび第2ヘッドユニットを含む複数の前記ヘッドユニットを具備し、
前記支持体は、前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとの間において前記固定板に接触する接触部を含み、
前記支持体は、前記収容体よりも熱伝導率が高い材料で形成される
液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記支持体は、前記固定板の外周に接触する第1側壁部と第2側壁部とを含み、
前記第1及び第2ヘッドユニットは、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間に位置する、
請求項2の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記第1ヘッドユニットおよび前記第2ヘッドユニットのうち少なくとも一方は、黒色のインクを噴射する
請求項2又は3の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記支持体は、平面部を含み、
前記第1及び第2側壁部は、前記平面部の周縁から前記噴射方向へ突出し、
前記接触部は、前記平面部から前記噴射方向へ突出する、
請求項1または請求項3の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記固定板は、前記ヘッドユニットが固定された固定部と、前記固定部の外周から前記噴射方向とは反対方向に延在する周縁部とを含み、
前記第1側壁部のうち前記ヘッドユニットとは反対側の表面は、前記周縁部に接触する、
請求項1、請求項3および請求項5の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記駆動回路は、前記噴射方向に直交する第1方向に長尺であり、
前記ヘッドユニットは、前記噴射方向及び前記第1方向に直交する第2方向において、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間に配置され、
前記第1側壁部および前記第2側壁部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延在する、
請求項1、請求項3、請求項5および請求項6の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記支持体は、金属で形成される
請求項1から請求項7の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項9】
前記液体噴射部は、
前記固定板に接触し、前記ノズルに連通する圧力室が形成された流路構造体と、
前記流路構造体における前記ノズルとは反対側に位置し、前記圧力室の圧力を変化させる駆動素子と、
前記駆動素子からみて前記流路構造体とは反対側に位置し、前記駆動回路と前記駆動素子とを電気的に接続する配線が形成された配線基板とを含み、
前記駆動回路は、前記配線基板における前記流路構造体とは反対側の表面に実装される
請求項1から請求項8の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記支持体は、前記固定板よりも熱伝導率が高い
請求項1から請求項9の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項11】
前記支持体は、アルミニウムで形成される
請求項1から請求項10の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項12】
前記支持体の表面には、凹凸が形成される
請求項1から請求項11の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項13】
前記固定板は、前記収容体よりも熱伝導率が高い
請求項1から請求項12の何れかの液体噴射ヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インク等の液体を複数のノズルから噴射する液体噴射ヘッドが開示されている。ノズルからインクを吐出させる圧電素子を駆動する駆動ICが液体吐出ヘッドに実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-000488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、圧電素子の駆動により駆動ICが発熱し、液体吐出ヘッド内部の温度が上昇することで、インクの粘度が変化する。したがって、インクの吐出特性に誤差が生じるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射ヘッドは、液体をノズルから噴射する液体噴射部と、前記液体噴射部を駆動する駆動回路と、前記液体を貯留する空間が形成された収容体とを含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットのうち前記ノズル側において当該ヘッドユニットに接触する固定板と、前記固定板に接触し、前記ヘッドユニットを支持する支持体とを具備し、前記支持体は、前記収容体よりも熱伝導率が高い材料で形成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の構成を示すブロック図である。
図2】ヘッドユニットの分解斜視図である。
図3】ヘッドユニットの断面図(図2におけるIII-III線の断面図)である。
図4】液体噴射ヘッドの断面図(図1におけるIV-IV線の断面図)である。
図5】第2実施形態に係る液体噴射ヘッドの断面図である。
図6】第3実施形態に係るヘッドユニットの断面図である。
図7】第4実施形態に係るヘッドユニットの断面図である。
図8】変形例に係るヘッドユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置100を例示する構成図である。第1実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。色彩が相違する複数種のインクが液体容器14には貯留される。
【0008】
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体噴射ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。制御ユニット20は、制御部の例示である。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY方向に搬送する。
【0009】
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとでヘッドユニット261をX方向に往復させる。X方向は、媒体12が搬送されるY方向に交差(典型的には直交)する方向である。第1実施形態の移動機構24は、ヘッドユニット261を収容する略箱型の搬送体242(キャリッジ)と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数のヘッドユニット261を搬送体242に搭載した構成、または、液体容器14をヘッドユニット261とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
【0010】
液体噴射ヘッド26は、複数のヘッドユニット261を具備する。各ヘッドユニット261は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズル(すなわち噴射孔)から媒体12に噴射する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行してヘッドユニット261が媒体12にインクを噴射することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。なお、X-Y平面に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。ヘッドユニット261によるインクの噴射方向がZ方向に相当する。X-Y平面は、例えば媒体12の表面に平行な平面である。Z方向は、典型的には鉛直方向である。
【0011】
図2は、ヘッドユニット261の分解斜視図であり、図3は、図2おけるIII-III線の断面図である。図2に例示される通り、ヘッドユニット261は、Y方向に配列された複数のノズルNを具備する。第1実施形態の複数のノズルNは、X方向に相互に間隔をあけて並設された第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1および第2列L2の各々は、Y方向に直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、第1列L1と第2列L2との間で各ノズルNのY方向の位置を相違させること(すなわち千鳥配置またはスタガ配置)も可能であるが、第1列L1と第2列L2とで各ノズルNのY方向の位置を一致させた構成を以下では便宜的に例示する。図3から理解される通り、第1実施形態のヘッドユニット261は、第1列L1の各ノズルNに関連する要素と第2列L2の各ノズルNに関連する要素とが略線対称に配置された構造である。
【0012】
図2および図3に例示される通り、ヘッドユニット261は、インクをノズルNから噴射する液体噴射部50と、液体噴射部50を駆動する駆動回路80と、インクを貯留する空間が形成された収容体90とを含む。
【0013】
液体噴射部50は、ノズルNに連通する圧力室Cが形成された流路構造体30と、圧力室Cの圧力を変化させる圧電素子44と、駆動回路80と圧電素子44とを電気的に接続する配線が形成された配線基板46とを含む。圧電素子44は、駆動素子の一例である。
【0014】
流路構造体30は、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する構造体である。第1実施形態の流路構造体30は、流路基板32と圧力室基板34と振動板42とノズル板62と吸振体64とで構成される。流路構造体30を構成する各部材は、Y方向に長尺な板状部材である。流路基板32におけるZ方向の負側の表面に、収容体90および圧力室基板34が設置される。他方、流路基板32におけるZ方向の正側の表面に、ノズル板62および吸振体64が設置される。例えば接着剤により各部材が固定される。
【0015】
ノズル板62は、複数のノズルNが形成された板状部材である。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円形状の貫通孔である。第1実施形態のノズル板62には、第1列L1を構成する複数のノズルNと第2列L2を構成する複数のノズルNとが形成される。例えば半導体製造技術(例えばドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術)を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで、ノズル板62が製造される。ただし、ノズル板62の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0016】
図2および図3に例示される通り、流路基板32には、第1列L1および第2列L2の各々について、空間Raと複数の供給流路322と複数の連通流路324と供給液室326とが形成される。空間Raは、平面視で(すなわちZ方向からみて)Y方向に沿う長尺状に形成された開口であり、供給流路322および連通流路324はノズルN毎に形成された貫通孔である。供給液室326は、複数のノズルNにわたりY方向に沿う長尺状に形成された空間であり、空間Raと複数の供給流路322とを相互に連通させる。複数の連通流路324の各々は、当該連通流路324に対応する1個のノズルNに平面視で重なる。
【0017】
図2および図3に例示される通り、圧力室基板34は、第1列L1および第2列L2の各々について複数の圧力室Cが形成された板状部材である。複数の圧力室CはY方向に配列する。各圧力室C(キャビティ)は、ノズルN毎に形成されて平面視でX方向に沿う長尺状の空間である。流路基板32および圧力室基板34は、前述のノズル板62と同様に、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、流路基板32および圧力室基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0018】
図3に例示される通り、圧力室基板34において流路基板32とは反対側の表面には振動板42が形成される。第1実施形態の振動板42は、弾性的に振動可能な板状部材である。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、振動板42の一部または全部を圧力室基板34と一体に形成してもよい。
【0019】
図3から理解される通り、圧力室Cは、流路基板32と振動板42との間に位置する空間である。第1列L1および第2列L2の各々について複数の圧力室CがY方向に配列する。図2および図3に例示される通り、圧力室Cは、連通流路324および供給流路322に連通する。したがって、圧力室Cは、連通流路324を介してノズルNに連通し、かつ、供給流路322と供給液室326とを介して空間Raに連通する。
【0020】
図2および図3に例示される通り、流路構造体30におけるノズルNとは反対側の表面には圧電素子44が位置する。具体的には、流路構造体30の振動板42のうち圧力室Cとは反対側の面上に、第1列L1および第2列L2の各々について、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子44が形成される。各圧電素子44は、駆動回路80から供給される駆動信号により変形することで、圧力室Cの圧力を変化させる受動素子である。駆動回路80から出力される駆動信号は、配線基板46の接続端子Tを介して各圧電素子44に供給される。駆動信号は、圧電素子44を駆動するための信号である。
【0021】
図2の配線基板46は、複数の圧電素子44が形成された振動板42の表面に間隔をあけて対向する板状部材である。すなわち、圧電素子44からみて流路構造体30とは反対側に配線基板46が位置する。駆動回路80と圧電素子44とを電気的に接続する配線が配線基板46に形成される。配線基板46のうちノズルNとは反対側の表面に駆動回路80が設置される。第1実施形態の配線基板46は、ヘッドユニット261の機械的な強度を補強する補強板、および、圧電素子44を保護および封止する封止板としても機能する。配線基板46は、外部配線52を介して制御ユニット20に電気的に接続される。外部配線52は、駆動信号を制御ユニット20から配線基板46に供給するための可撓性の配線基板である。例えばFPC(Flexible Printed Circuits)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の接続部品が外部配線52として好適に採用される。
【0022】
収容体90は、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留するためのケースである。収容体90のうちZ方向の正側の表面が例えば接着剤で流路基板32に接合される。図3に例示される通り、インクを貯留する空間Rbが収容体90に形成される。空間Rbは、Y方向に長尺な空間である。第1実施形態では、第1列L1および第2列L2の各々について空間Rbが形成される。収容体90の空間Rbと流路基板32の空間Raとは相互に連通する。空間Raと空間Rbとで構成される空間は、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留する液体貯留室(リザーバー)Rとして機能する。収容体90に形成された導入口482を介して液体貯留室Rにインクが供給される。液体貯留室R内のインクは、供給液室326と各供給流路322とを介して圧力室Cに供給される。収容体90は、例えば樹脂材料の射出成形で形成される。
【0023】
また、図2に例示される通り、収容体90には、駆動回路80に対応する位置に開口部Qが形成される。具体的には、Z方向からの平面視において開口部Qの内側に駆動回路80が位置する。すなわち、駆動回路80が開口部Qから露出する。
【0024】
図3の吸振体64は、液体貯留室R内のインクの圧力変動を吸収するための要素である。第1実施形態の吸振体64は、弾性膜641と支持板643とを具備する。弾性膜641は、フィルム状に形成された可撓性の部材である。第1実施形態の弾性膜641は、空間Raと連結流路326と供給流路322とを閉塞するように流路基板32の表面に設置されて共通液室Rの底面を構成する。支持板643は、ステンレス鋼等の高剛性の材料で形成された平板であり、流路基板32に形成された開口が弾性膜641で閉塞されるように弾性膜641を流路基板32の表面に支持する。弾性膜641が貯留室R内のインクの圧力に応じて変形することで液体貯留室R内の圧力変動が抑制される。
【0025】
配線基板46は、基体部70と複数の配線72とを具備する。基体部70は、Y方向に長尺な絶縁性の板状部材であり、流路構造体30と駆動回路80との間に位置する。基体部70は、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、基体部70の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。配線72は、例えば駆動信号を伝送する。基体部70の第1面F1のうちY方向の負側の端部に複数の配線72が位置する。
【0026】
基体部70は、図2に例示される通り、相互に反対側に位置する第1面F1と第2面F2とを含み、圧力室基板34または振動板42における流路基板32とは反対側の表面に、例えば接着剤を利用して固定される。具体的には、振動板42の表面に対して第2面F2が間隔をあけて対向するように基体部70が設置される。
【0027】
図2に例示される通り、基体部70の第1面F1には、駆動回路80と外部配線52とが実装される。すなわち、配線基板46における流路構造体30とは反対側の表面に、駆動回路80と外部配線52とが実装される。駆動回路80は、基体部70の長手方向(Y方向)に沿って長尺なICチップである。外部配線52は、基体部70の第1面F1のうちY方向の負側の端部に実装される。外部配線52には、例えば駆動信号を配線基板46に伝送するための複数の配線が形成される。配線基板46の複数の配線72と外部配線52の複数の配線とが電気的に接続される。圧電素子44を駆動する動作により駆動回路80は発熱する。
【0028】
図4は、図1におけるIV-IV線の断面図(液体噴射ヘッド26の断面図)である。図4に例示される通り、液体噴射ヘッド26は、複数のヘッドユニット261に加えて、ヘッドユニット261が固定される固定板263と、ヘッドユニット261および固定板263を支持する支持体265とを具備する。
【0029】
固定板263は、例えば高剛性の金属で形成された部材であり、各ヘッドユニット261が固定される。例えばステンレス鋼により固定板263は形成される。図4に例示される通り、第1実施形態の固定板263は、固定部631と周縁部633とを具備する。固定部631は、断面視でX方向に延在する平板状の部分である。他方、周縁部633は、固定部631の表面からZ方向の負側に向かって延在する部分であり、固定部631の外周のうちY方向に沿う部分に形成される。
【0030】
図4に例示される通り、固定部631における支持体265側の表面に複数のヘッドユニット261が固定される。複数のヘッドユニット261は、相互に間隔をあけて固定部631に固定される。ヘッドユニット261におけるノズル側(すなわちZ方向の正側)の部位が固定部631に接触する。すなわち、ヘッドユニット261の流路構造体30が固定部631に接触する。具体的には、吸振体64の支持板643における弾性膜641とは反対側の表面が固定部631に接触する。図4に例示される通り、固定部631には、ノズル板62の外形に対応するように開口部Oが形成される。したがって、ノズルNが開口部Oから露出する。
【0031】
支持体265は、平面部653と、当該平面部653の周縁からZ方向の正側に突出する枠状の側壁部とで構成された箱型の構造体である。図4に例示される通り、側壁部は、相互に対向する第1側壁部651と第2側壁部652とを含む。第1側壁部651と第2側壁部652とは、Z方向に延在する平板状の部分である。固定部631の外周のうちX方向の正側および負側においてY方向に沿う部分に対応するように、第1側壁部651と第2側壁部652とが形成される。複数のヘッドユニット261は、第1側壁部651と第2側壁部652との間に位置する。各側壁部におけるZ方向の正側の部分が、固定板263の周縁部633および固定部631に接合される。図4に例示される通り、側壁部におけるZ方向の正側の端部が固定部631の表面に接触し、かつ、側壁部のうちヘッドユニット261とは反対側の表面が周縁部633に接触する。すなわち、周縁部633が側壁部に係合するように、固定板263と側壁部とが接合される。以上の説明から理解される通り、固定板263の外周において支持体265が当該固定板263に接触する。
【0032】
図4に例示される通り、ヘッドユニット261を挟んで固定板263に平面部653が対向する。平面部653のうち固定板263側の表面にヘッドユニット261が接合される。例えば、ヘッドユニット261の収容体90のうち平面部653に対向する部分が接着剤Bにより当該平面部653に接合される。平面部653および接着剤Bには、液体容器からのインクを導入口482に供給するための貫通孔Hが形成される。すなわち、支持体265には、インクが流れる流路が形成される。
【0033】
支持体265は、ヘッドユニット261の収容体90および固定板263よりも熱伝導率が高い材料で形成される。例えばアルミニウムや銅等の金属により支持体265が形成される。第1実施形態では、支持体265の全体が金属で形成される。収容体90および固定板263よりも熱伝導率が高い材料により支持体265を形成することで、ヘッドユニット261の内部で発生した熱が、ヘッドユニット261に接触する固定板263を介して支持体265に放熱される。具体的には、ヘッドユニット261の駆動回路80で発生した熱は、当該駆動回路80の周囲に位置する収容体90および流路構造体30を介して、吸振体64の支持体265に接触する固定板263に伝播する。固定板263に伝播した熱が、当該固定板263に接触する支持体265を介して外気中に放散される。したがって、ヘッドユニット261内部の温度の上昇を抑制することができる。
【0034】
例えば、収容体90および固定板263よりも熱伝導率が低い材料で支持体265が形成される構成(以下「対比例」という)では、駆動回路80により発生した熱がヘッドユニット261の外部に伝播しにくく、ヘッドユニット261内部の温度が上昇するという問題がある。それに対して、ヘッドユニット261の収容体90および固定板263よりも熱伝導率が高い材料で支持体265が形成される第1実施形態の構成によれば、対比例と比較して、駆動回路80で発生した熱が固定板263から支持体265を介して効率的に放熱される。具体的には、放熱に利用できる面積が対比例よりも増加するから、ヘッドユニット261内部の温度の上昇を抑制することができる。したがって、ヘッドユニット261内部の温度の上昇に起因したインクの吐出特性の誤差を低減することができる。
【0035】
支持体265が金属で形成される第1実施形態の構成によれば、駆動回路80で発生した熱を効率的に放熱できるという利点がある。特にアルミニウムで支持体265を形成する構成によれば、例えばダイカスト等の金型鋳造法により容易に支持体265を形成することが可能である。また、第1実施形態では、固定板263の外周において支持体265が当該固定板263に接触するから、固定板263の外周から駆動回路80の熱を放熱できる。収容体90のうち駆動回路80に対応する位置に開口部Qが形成される第1実施形態の構成によれば、駆動回路80が収容体90により覆われている構成と比較して、ヘッドユニット261の内部に熱が滞留すること低減することができる。また、インクが流れる貫通孔Hが支持体265に形成されるから、ヘッドユニット261から支持体265に伝播した熱が、インクを介して効率的に放熱される。
【0036】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0037】
図5は、第2実施形態に係る液体噴射ヘッド26の断面図である。第2実施形態の液体噴射ヘッド26のうち支持体265の構成が第1実施形態とは相違する。なお、ヘッドユニット261および固定板263は、第1実施形態と同様の構成である。
【0038】
図5に例示される通り、第2実施形態の支持体265は、第1側壁部651と第2側壁部652と平面部653とに加えて、接触部654を含む。接触部654は、第1側壁部651と第2側壁部652との間において固定板263に接触する部分である。平面部653から固定板263に向かって延在する平板状の部分が接触部654である。
【0039】
第1ヘッドユニット261aと第2ヘッドユニット261bと第3ヘッドユニット261cとが固定板263に固定された構成を想定する。接触部654aは、第1ヘッドユニット261aと第2ヘッドユニット261bとの間において固定板263に接触する。同様に、接触部654bは、第2ヘッドユニット261bと第3ヘッドユニット261cとの間において固定板263に接触する。接触部654(654a,654b)のうちZ方向の端部が、例えば接着剤により固定板263の表面に接合される。第1ヘッドユニット261aおよび第2ヘッドユニット261bの一方が第1ヘッドユニットの一例であり、他方が第2ヘッドユニットの一例である。また、第2ヘッドユニット261bおよび第3ヘッドユニット261cの一方が第1ヘッドユニットの一例であり、他方が第2ヘッドユニットの一例である。
【0040】
第2実施形態では、固定板263の外周に接触する第1側壁部651および第2側壁部652と、第1側壁部651と第2側壁部652との間において固定板263に接触する接触部654とを支持体265が含むから、固定板263の外周に加えて、第1側壁部651と第2側壁部652との間からも駆動回路80の熱を放熱できる。各ヘッドユニット261(261a,261b,261c)の間は、特に熱が滞留しやすい。第2実施形態では、ヘッドユニット261間において固定板263に接触する接触部654を支持体265が具備するから、ヘッドユニット261間に滞留している熱を効率的に放熱できるという利点がある。
【0041】
なお、黒色のインクは印刷に使用される頻度が高いから、特に黒色のインクを噴射するヘッドユニット261については温度の上昇を抑制し吐出特性の誤差を低減する必要がある。したがって、相互に隣り合う2つのヘッドユニット261のうち少なくとも一方が黒色のインクを噴射する場合に、当該2つのヘッドユニットの間に接触部654を形成する構成が特に好適である。
【0042】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る液体噴射ヘッド26の断面図である。第3実施形態の支持体265は、平面部653と側壁部とに加えて、接続部655を含む。図6に例示される通り、収容体90の開口部Qに対応する位置に接続部655が形成される。第3実施形態の接続部655は、開口部Qの内側に位置し、駆動回路80に熱的に接続される。なお、要素Aと要素Bとが「熱的に接続する」とは、
(1)要素Aと要素Bとが直接的に接触する状態、または、
(2)熱伝導率が10W・m-1・K-1以上である要素Cが要素Aと要素Bとの間に介在し、かつ、要素Aと要素Bとの間に存在する間隙が50μm以下である状態
を意味する。
【0043】
具体的には、駆動回路80の上面と平面部653との間に接続部655が位置する。第3実施形態では、駆動回路80と接続部655との間には、グリース等の充填材Gが介在する。以上の構成において、駆動回路80と接続部655とは充填材Gを介して熱的に接続される。
【0044】
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第3実施形態では、支持体265が、駆動回路80に熱的に接続される接続部655を含むから、ヘッドユニット261の内部で発生した熱を当該支持体265からも効率的に放熱できるという利点がある。なお、第2実施形態に第3実施形態を適用してもよい。
【0045】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態に係るヘッドユニット261の断面図である。図7に例示される通り、第4実施形態では、Y-Z平面に平行な基準面Oを境界としてヘッドユニット261を第1部分P1と第2部分P2とに便宜的に区分する。第1部分P1と第2部分P2とは、基準面Oを挟んで略面対称の関係にある。基準面Oに対してX方向の正側に位置する第1部分P1の構造は、第1実施形態と同様である。第2部分P2は、第1実施形態の構成からノズルNと圧電素子44とを省略した構造である。
【0046】
第4実施形態の流路基板32には、第1部分P1のノズルN毎に循環流路328が形成される。循環流路328は、流路基板32におけるノズル板62との対向面に形成された溝部と当該表面とで包囲された空間である。第1部分P1の連通流路324と第2部分P2の連通流路324とは、循環流路328を介して相互に連通する。
【0047】
第1部分P1の貫通孔Hに供給されるインクは、図7に破線の矢印で図示される通り、第1部分P1内において、導入口482→液体貯留室R→供給液室326→供給流路322→圧力室C、という経路を介して連通流路324に供給される。連通流路324に供給されるインクのうちノズルNから噴射されないインクは、循環流路328を介して第2部分P2の連通流路324に供給され、第2部分P2内において、連通流路324→圧力室C→供給流路322→供給液室326→液体貯留室R→導入口482、という経路で貫通孔Hから排出される。
【0048】
図7に例示される通り、第4実施形態の液体噴射装置100は循環機構92を具備する。循環機構92は、ヘッドユニット261から排出されるインクを当該ヘッドユニット261に環流させる機構である。循環機構92は、ヘッドユニット261に供給されるインクを循環させる機構であり、例えば供給流路921と排出流路922と循環ポンプ923とを具備する。
【0049】
供給流路921は、第1部分P1の貫通孔Hに接続される。排出流路922は、第2部分P2の貫通孔Hに接続される。供給流路921は、第1部分P1の貫通孔Hにインクを供給するための流路であり、排出流路922は、第2部分P2の貫通孔Hからインクを排出するための流路である。循環ポンプ923は、排出流路922から供給されるインクを供給流路921に送出する圧送機構である。すなわち、第2部分P2の貫通孔Hから排出されたインクが排出流路922と循環ポンプ923と供給流路921とを経由して第1部分P1の貫通孔Hに環流される。
【0050】
以上の説明から理解される通り、第4実施形態においては、供給流路921から第1部分P1に供給されるインクのうちノズルNから噴射されないインクが、第2部分P2から排出流路922に排出され、循環ポンプ923により供給流路921に環流される。すなわち、ヘッドユニット261の内部のインクが循環する。
【0051】
以上に説明した通り、第4実施形態によれば、ヘッドユニット261の内部に発生した熱がインクの循環により放散され易いという利点がある。第4実施形態では特に、駆動回路80の周囲に位置する液体貯留室Rおよび圧力室Cを含む経路によりインクが循環するから、駆動回路80に発生した熱を効率的に放熱することが可能である。また、貫通孔Hを経由してヘッドユニット261内のインクが循環されるから、ヘッドユニット261に発生した熱を支持体を介して効率的に放熱することができる。
【0052】
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0053】
(1)支持体265の構成は、前述の各形態の例示に限定されない。支持体265が固定板263に接触する部分を含めば、支持体265の形状は任意である。例えば、側壁部および接触部654とは別の要素を支持体265が含む構成や、支持体265が平面部653を含まない構成を採用してもよい。固定板263のうち支持体265に接触する部分は、支持体265の構成に応じて適宜に変更され得る。すなわち、固定板263のうち支持体265が接触する部分は、当該固定板263の外周や、第1側壁部651と第2側壁部652との間に限定されない。
【0054】
(2)前述の各形態において、固定板263を固定部631と周縁部633とにより構成したが、固定板263の形状は以上の例示に限定されない。例えば周縁部633を省略してもよい。ただし、固定板263が周縁部633と固定部631を含む構成によれば、例えば固定板263が周縁部633を含まない構成と比較して、固定板263と支持体265とが接触する面積が増加する。したがって、駆動回路80から発生した熱を、固定板263を介して支持体265から効率的に放熱することができる。また、固定板263が固定部631および周縁部633とは別の要素を含んでもよい。
【0055】
(3)前述の各形態では、収容体90および固定板263よりも熱伝導率が高い材料により支持体265を形成したが、固定板263よりも熱伝導率が高い材料により支持体265を形成することは必須ではない。収容体90よりも熱伝導率が高い材料により支持体265が形成されれば、駆動回路80で発生した熱を固定板263から支持体265を介して放熱することができる、という前述の効果は実現される。ただし、固定板263よりも熱伝導率が高い材料で支持体265を形成する構成によれば、駆動回路80から固定板263に伝わった熱が支持体265に伝わりやすい。したがって、支持体265が固定板263よりも熱伝導率が低い構成と比較して、駆動回路80の熱を効率的に放熱できるという利点がある。
【0056】
(4)前述の各形態では、支持体265の全体を収容体90よりも熱伝導率が高い金属材料で形成したが、支持体265の一部を収容体90よりも熱伝導率が高い材料で形成してもよい。例えば、固定板263と接触する側壁部を収容体90よりも熱伝導率が高い材料で形成し、その他の部分を収容体90よりも熱伝導率が高い材料で形成してもよい。なお、第2実施形態では接触部654を収容体90よりも熱伝導率が高い材料で形成してもよい。
【0057】
(5)前述の各形態では、吸振体64のうち支持板643が固定板263に接触したが、流路構造体30のうち固定板263に接触する部分は支持体265に限定されない。例えば、吸振体64において支持板643が省略される場合には、弾性膜641が固定板263に接触する。また、流路構造体30において吸振体64が省略される場合には、流路基板32が固定板263に接触する。以上に説明した通り、流路構造体30の構成に応じて、流路構造体30のうち固定板263に接触する部分は適宜に変更される。また、流路構造体30の構成も前述の各形態の例示に限定されない。
【0058】
(6)前述の各形態では、支持体265を金属により形成したが、支持体265の材料は、収容体90よりも熱伝導率が高い材料であれば任意である。例えば、高熱伝導樹脂により支持体265を形成してもよい。
【0059】
(7)前述の各形態では、配線基板46における流路構造体30とは反対側の表面に駆動回路80が実装される構成を採用したが、駆動回路80を実装する位置は以上の例示に限定されない。例えば、図8に例示される通り、端部が流路構造体30に接合された可撓性の配線基板46に駆動回路80が実装される構成も採用される。以上の構成では、圧電素子44は、封止部49により覆われている。ただし、前述の各形態に例示した構成では、図8に例示した構成と比較して、駆動回路80で発生した熱がヘッドユニット261内部に滞留しやすい。したがって、ヘッドユニット261の収容体90よりも熱伝導率が高い材料で固定板263に接触する支持体265を形成する構成がより有効である。
【0060】
(8)前述の各形態において、支持体265の表面に凹凸を形成してもよい。すなわち、ヒートシンクが支持体265の表面に形成される。以上の構成によれば、支持体265の表面が平坦な構成と比較して、支持体265の表面積が増加するから、ヘッドユニット261の内部で発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0061】
(9)前述の各形態において、固定板263の熱伝導率が収容体90の熱伝導率よりも高い構成が好適である。以上の構成によれば、ヘッドユニット261の内部で発生した熱を固定板263からも効率的に放熱することができる。
【0062】
(10)圧力室C内のインクをノズルNから噴射させる駆動素子は、前述の各形態で例示した圧電素子44に限定されない。例えば、加熱により圧力室Cの内部に気泡を発生させて圧力を変動させる発熱素子を駆動素子として利用することも可能である。以上の例示から理解される通り、駆動素子は、圧力室C内の液体をノズルNから噴射させる要素として包括的に表現され、動作方式(圧電方式/熱方式)や具体的な構成の如何は不問である。
【0063】
(11)前述の各形態では、ヘッドユニット261を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体噴射装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体噴射装置にも本発明を適用することが可能である。ライン方式の液体噴射装置によれば、液体噴射ヘッドはラインヘッドであり、支持体に接触し、液体噴射ヘッドが固定される筐体を具備する構成が採用される。以上の構成によれば、液体噴射ヘッドが固定された筐体に支持体265が接触するから、筐体を介してヘッドユニットの熱を放熱できるという利点がある。
【0064】
(12)前述の各形態で例示した液体噴射装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0065】
100…液体噴射装置、12…媒体、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、242…搬送体、244…搬送ベルト、26…液体噴射ヘッド、261…ヘッドユニット、263…固定板、265…支持体、651…第1側壁部、652…第2側壁部、653…平面部、654…接触部、655…接続部、30…流路構造体、32…流路基板、34…圧力室基板、42…振動板、44…圧電素子、46…配線基板、50…液体噴射部、52…外部配線、62…ノズル板、631…固定部、633…周縁部、64…吸振体、70…基体部、72…配線、80…駆動回路、90…収容体、導入口…482。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8